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所 属 理工学研究科 機械工学専攻 学 位 の 種 類 博士(工学)

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名

HAN

ハ ン

Van

ハ ゙ ン

Cuong

ク オ ン

所 属 理工学研究科 機械工学専攻 学 位 の 種 類 博士(工学)

学 位 記 番 号 理工博 第

340

号 学位授与の日付 令和

2

9

30

課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

Near-infrared thermal imaging for magnetic particle applications

磁性粒子応用のための近赤外温度イメージングに関する研究(英文)

論 文 審 査 委 員 主査 准教授 角田 直人 委員 准教授 小方 聡 委員 准教授 小原 弘道

【論文の内容の要旨】

近年,磁性粒子の産業および生物化学分野への応用が注目されている.磁性粒子とは酸 化鉄をベースとしたマイクロ・ナノ粒子を指すが,印加磁場からエネルギーを効率的に吸 収し,熱として放出する特徴を有する.この機構は磁気ヒステリシス損失と磁気緩和損失

(ネール緩和とブラウン緩和)によって説明され,発熱効率の向上を目指した粒子開発研 究が現在精力的に行われている.応用分野としてはマイクロリアクターや細胞の局所加熱,

癌温熱療法などがあり,反応拡散の促進,不活性反応の生起,癌細胞の熱殺傷を目的とし て磁性粒子が熱源として使用されている.しかし,これらの応用では二つの課題がある.

一つは粒子の分散性,すなわち最適な数密度で粒子位置を制御することが難しい点である.

そのため,ゲルや多孔質材料に粒子を含有させ固定化する方法や,液滴(droplet)やマイク ロカプセルに入れてその位置を制御する方法が試みられている.もう一つの課題は,温度 分布の正確な測定もしくは予測であり,この情報がない限り,加熱条件の評価や粒子発熱 量の算定ができない.既存の熱電対や赤外イメージング法を直接適用することは,測定対 象が液体内の微小領域の温度分布であるため,原理的に不可能である.故に従来,粒子懸 濁液内の定点温度やその容器の表面温度を測定することによって粒子発熱特性が調査され てきた.

そこで本研究では,マイクロ流路および

droplet

によって位置制御された磁性粒子のため

の新たな温度イメージング法を提案し,その有用性を検証した.この方法は水の近赤外吸

収帯の温度依存性を原理とし,本研究では,測定対象の光路長に適した,波長

1450 nm

近に存在する吸収帯を利用した.磁性粒子は高周波磁場によって誘導加熱され,その近傍

(2)

の水の温度上昇を2次元吸光度画像によって捉えた.実験では,磁場強度,印加時間,数 密度による温度分布と発熱量の違いを定量的に明らかにし,その妥当性を数値計算との比 較によって確かめた.また,壁面上の

droplet

の場合は球対称温度分布が形成されないため,

吸光度画像から温度分布を求めることはできないが,本研究では数値計算による温度デー タベースを構築し,その中から最適な温度分布と発熱量を探索する手法を提案した.

これらの内容を以下の5章からなる構成で論文にまとめた.

第1章「緒論」では,背景,既往の研究,本研究の目的を述べ,本論文の構成を示した.

既往の研究としては特に誘導加熱,磁気温熱療法,マイクロ化学工学など,本研究と関連 する応用事例について紹介した.

第2章「マイクロ磁性粒子を含有する

droplet

近傍の水の温度測定」では,誘導加熱され発

熱する

droplet

のための近赤外温度イメージング法の開発と実験結果について述べた.はじ

めに,水の近赤外吸収帯スペクトルの温度依存性を応用した本方法の原理について解説し た.次に,開発した実験装置と方法,画像解析法を説明した.イメージング装置はハロゲ ン光源, 狭帯域透過フィルター, レンズ, および近赤外カメラで構成し, 直径

0.6 mm

droplet

の吸光度画像を取得した.吸光度分布は加熱レベルおよび加熱時間と相関することが視覚 的および定量的に示された.ただし,壁面上の

droplet

では球対称温度分布が形成されない ため,吸光度画像から温度分布を逆問題解法によって求めることはできない.そこで,変 形度,温度拡散率比,発熱量をパラメータとした数値計算による温度データセットを作成 し,測定された吸光度との残差に基づいた探索法を開発した.最後に,この手法で決定さ れた温度分布を示し,その妥当性について考察した.

第3章「流路内の磁性粒子層の温度イメージング」では,マイクロ流路内の熱制御と磁性 粒子評価法の確立のために実施した,磁性粒子層の誘導加熱実験と温度測定結果について 紹介する.光路長

1 mm

U

字型流路の底面に

sub-mm

厚さの磁性粒子層を外部からの永久 磁石によって形成し,その後,高周波磁場を印加して加熱した.水の温度分布は,加熱レ ベルと加熱時間に加え,粒子層厚さに依存することを明らかにし,分解能は

0.2°C

であった.

磁性粒子の発熱量は,加熱時間と厚さとは無関係であり,加熱レベルに対応して変化した.

この方法は,化学反応や細胞/組織治療への磁性粒子応用における温度場の理解と制御に役 立つため,その展望についても述べた.

第4章「ナノ磁性粒子近傍の温度イメージングと熱化学応用」では,マイクロフルイディ

クスシステムとナノ磁性粒子の応用研究における温度場評価法を紹介した.実験では,ナ

ノ磁性流体を外部磁場によってマイクロ流路内に誘導し,磁性粒子の層およびクラスター

を局所的に形成させた.クラスターは磁場条件と流体力学条件によって様々な形状となり,

(3)

有効表面積を増加させる効果とともに,その凹部では対流熱伝達を抑制すると考えられた.

近赤外温度イメージング法による測定結果と数値シミュレーション結果により,それらの 効果を確認し,主流路の流速と温度分布の関係を明らかにした.一連の研究成果は,磁気 分離,免疫アッセイ,表面プラズモン共鳴,磁気温熱療法のための発熱特性調査に貢献す る.

第5章「結論」では,本研究で得られた結果をまとめた.

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