博士(経済学)趙 斌傑 学位論文題名
中国・内モンゴルの経済発展と労働市場の研究 一 フフホ ト市の事 例分析 を中´い に一
学 位論文内容の要旨
本 論 文 で は 、 まず 序 章で マク ロ統 計に 基 づぃ て、 内モ ンゴ ル の経 済状 況と 労 働市 場の 特 徴 を 検 討 し た 。 内 モ ン ゴ ル で は 、 全 国 レ ベ ル ( そ れ を 牽 引 す る 先 進 地帯 の省 ・ 市) ほど に は 都 市 部 公 有 制 企 業 に 替 わ る 私 営 企 業 ・ 外 資 系 企 業 の 市 場 展 開 が 十 分で はな く 、そ れ故 に 都 市 部 で の 労 働 カ 化 率 が 低 く 、 就 業 者 の 減 少 す ら 見 ら れ る 。 一 方 農 村部 では 、 農村 人口 が 減 少 し て い る に も か か わ ら ず 、 就 業 者 数 は 増 加 し て お り 、 全 国 以 上 に農 村部 の 就業 者比 率 が 高 い 。 郷 鎮 企 業 を 中 心 と す る 非 農 業 部 門 が 全 国 レ ベ ル 以 上 に 雇 用 吸収 の受 け 皿と して 機 能 し て お り 、 こ れ が 農 村 部 就 業 者 比 率 を 高 く し て い る 要 因 の ひ と つ であ る。 さ らに 農村 部 就 業 者 比 率 が 高 い の は 、 農 村 部 居 住 者 の 都 市 部 で の 出 稼 ぎ 就 労 ( い わゆ る農 民 エ) もそ の 要 因 と 考 え ら れ る 。 総 体 的 に み て 都 市 労 働 市 場 の 形 成 の 立 ち 後 れ も 特 徴 的 で あ る 。 内 モ ン ゴ ル の 都 市 部 労 働 力 供 給 ・ 雇 用 斡 旋 状 況 ・ 賃 金 な ど の デ ー タか らみ て も、 学歴 水 準 の 高 度 化 が 全 国 レベ ル に追 いっ けず 、高 学 歴層 の労 働市 場参 入 もそ れほ ど急 速 では ない 。 ま た 求 人 数 が 求 職 者数 に 追い つか ず、 供給 過 剰が 続レ ゝて いる 。 都市 では 就業 構 造の 変容 が 大 量 の 下 崗 労 働 者 ・ 失 業 者 を 生 み 出 し て い る と 考 え ら れ 、 新 た な 労 働市 場の 整 備が 緊要 の 課 題 で あ ろ う 。
統 計 デ ー タ の み で は 内 モ ン ゴ ル 労 働 市 場 の 全 体 像 を 捉 え る こ と は でき ない 。 それ ゆえ 本 論 文 で は 、 企 業 形 態 別 に 個 別 企 業 レ ベ ル に ま で 下 っ た 実 態 調 査 に よ って 、マ ク ロ統 計の 限 界 を 超 え る 具 体 的 な 労 働 市 場 の 分 析 に 重 点 を 置 い た 。 い わ ば マ ク ロ とミ クロ を 接合 する 視 座 の 設 定 で あ る 。
第1章 で は 、 中 国 経 済 の 中 で 最 も 成 長 し て い る 私 営 企 業 の 労 働 市 場 の 分 析 を 行 っ た 。 公 有 企 業 の 整 理 縮 小 に よ る 余 剰 労 働 カ の 増 加 や 潜 在 的 な 農 村 過 剰 人 口 、そ れに 新 規学 卒者 の 参 入 に よ っ て 、 労 働 者 の 過 剰 供 給 が 続 い て お り 、 し か も 外 資 企 業 が まだ それ ほ ど大 きな ウ
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エ イ ト を 占 め な い 内 モ ン ゴ ル で は、 新た な雇 用 吸収 の担 い手 と私 営 企業 に期 待す る とこ ろ が 大 き い 。 私 営 企 業 の 調 査 事 例 ( 大 手 大 企 業1社 と 中 小 企 業2社 ) に よ れ ぱ 、 確 か に私 営 企 業 の 労 働 市 場 が 形 成 さ れ て い るこ とは 疑い な い。 調査 企業 のデ ー タに よれ ぱ、 自 治区 内 外 か ら の 農 民 工 の 都 市 へ の 流 入 、元 国有 企業 労 働者 の私 営企 業へ の シフ トな どに よ って 、 相 当 の 労 働 カ 移 動 が 生 起 し て お り 、 市 場 が 広 域 化 し つ っ あ る こ と も 確 認 で き た 。 第2章 は 、 現 代 中 国 で 国 内 改 革 の 最 大 の 課 題 の ひ と つ であ る国 有 企業 改革 に伴 う 、国 有 企 業 内 部 の 労 働 市 場 の 変 化 に 注 目し た。 調査 対 象の 国有 煙草 企業 に よれ ば、 企業 は 中央 政 府 の 方 針 に 沿 う 企 業 改 革 に よ っ て近 代的 な企 業 制度 への 移行 を図 り 、労 働市 場の 本 格的 導 入 が 企 図 さ れ て い る 。 国 レ ベ ル の国 有企 業改 革 プラ ンと 個別 企業 の 実効 性に は時 間 的ズ レ も ある が 、調 査企 業は 整理 ・ 統合 によ って グ ルー プ化 され 再出 発 した 優良国有企 業であり、
内 モン ゴ ルで はひ とつ のモ デ ルケ ース とな っ てい る。
第3章 で は 、1980年 代 以 来 農 村 余 剰 労 働 カ の 吸 収 、 農 家所 得の 向 上な どで 大き な 役割 を 果 た し て き た と 言 わ れ る 郷 鎮 企 業に も注 目し た 。郷 鎮企 業の 制度 的 枠組 みや 位置 づ けと そ の 展 開 過 程 を 整 理 し た 上 で 、 中 小 郷 鎮 企 業2社 を 事 例 と して 、郷 鎮 企業 の雇 用吸 収 カと 労 働 市場 の 変容 の今 日的 特徴 に つい て検 討し た 。
以 上 の よ う に 本 論 文 で は 、 マ クロ 視点 とミ ク ロ視 点を 接合 しつ つ 、個 別企 業の オ リジ ナ ル デ ー タ に 基 づ ぃ て 、 労 働 市 場 の需 給構 造を よ り詳 細に 検討 した 。 次に 企業 横断 的 に労 働 市 場の 具 体的 特質 を再 整理 し 、本 論の まと め にか えた い。
労 働 力 需 要 の 構 造 に つ い て 、 私営 企業 の場 合 は、 管理 職・ 事務 職 は高 学歴 の都 市 戸籍 者 が 多 数 を 占 め て い る の に 対 し て 、生 産職 は低 学 歴で 地元 出身 の農 村 戸籍 者が 主体 と なっ て い る。 企 業内 では 、学 歴( 技 能) と戸 籍に 基 づく 分節 化し た職 域 内の 職務分業が 形成され、
そ の結 果 、職 位間 で賃 金格 差 が明 瞭で ある 。 国有 企業 では 、契 約 工制 度や新たな 賃金制度、
独 自 の 早 期 内 退 制 度 、 国 基 準 の 社会 保障 制度 の 導入 など を通 して 、 企業 内部 の労 働 関係 に も 大 き な 変 化 が 生 ま れ て い る 。 特に 早期 内退 制 度( 一般 には 下崗 ) は、 今後 退職 勧 告の 対 象 と な る こ と を 恐 れ る 若 年 ・ 壮 年層 の労 働者 に 対し て、 早期 の昇 進 に向 けて 競争 的 な勤 労 意 欲 を 引 き 出 す イ ン セ ン テ イ プ とも なろ う。 職 屑毎 に学 歴等 を基 準 とし て市 場が 分 節化 す る 一 方 で 、 「 親 の 跡 継 ぎ 」 慣 行 の痕 跡( 子弟 が 退役 軍人 や煙 草学 校 卒業 者の 場合 ) が部 分 的 に 残 る な ど 、 旧 来 の 雇 用 慣 行 が完 全に 払拭 で きて いる わけ では な い。 郷鎮 企業 に おい て は 、 管 理 職 を 含 め て 農 村 戸 籍 者 が多 数を 占め 、 農村 に立 地す る企 業 とし て、 農村 余 剰労 働
カ の 吸 収 に 一 定 の 役 割 を 果 た し て い る と 言 え る が 、 職 位 構 成 は 単 純 で 昇 進 ・ 昇 給 の ル ー ル が 明 確 で は な い 。
労 働 力 供 給 の 構 造 に つ い て 、 私 営 企 業 の 場 合 は 、 労 働 者 の 出 身 世 帯 は 農 家 出 身 者 が 半 数 以 上 を 占 め て い た 。 特 に 生 産 職 労 働 者 は 自 治 区 内 の 農 村 部 出 身 者 が 多 数 で あ り 、 地 縁 ・ 血 縁 に よ る 縁 故 採 用 へ の 依 存 度 が 高 い 。 労 働 者 の 流 動 性 は 高 く 、 そ の 要 因 と し て は 異 業 種 間 の 労 働 力 移 動 、 公 有 部 門 か ら 民 間 企 業 へ の 移 動 、 お よ び 民 間 企 業 で の 度 重 な る 転 職 な ど 、 多 様 な 移 動 ル ー ト の 存 在 が 考 え ら れ る 。 国 有 企 業 で は 、 煙 草 専 門 学 校 で の 求 人 を 除 く と 、 地 縁 ・ 血 縁 に 基 づ く 縁 故 採 用 や 退 役 軍 人 の 優 先 採 用 な ど イ ン フ オ ー マ ル な 雇 用 慣 行 へ の 依 存 度 が 高 い 。 ま た 優 良 と 評 価 さ れ る 調 査 企 業 で は 、 賃 金 水 準 が 比 較 的 高 く 、 国 基 準 と 企 業 独 自 の 福 利 厚 生 も 整 っ て い る の で 、 労 働 者 の 流 動 性 は そ れ ほ ど 高 く な っ て い な い 。 郷 鎮 企 業 に お い て は 、 労 働 者 の 供 給 が 企 業 立 地 す る 村 に 限 定 さ れ ず 、 他 の 農 村 ( 主 に 近 隣 農 村 ) や 都 市 の 労 働 カ を も 吸 収 し て お り 、 供 給 範 囲 が 拡 大 し つ っ あ る 。 ま た 労 働 者 は 農 村 出 身 者 の 低 学 歴 者 が 多 く 、 縁 故 ( 人 的 な ネ ッ ト ワ ー ク ) に 依 存 し て 入 職 す る こ と に な る 。 し か し 、 私 営 企 業 は 、 新 興 の 労 働 市 場 と し て 安 定 的 で 持 続 的 な 就 労 を 提 供 し て い る わ け で は な く 、 調 査 企 業 で は 、 企 業 規 模 別 の 大 小 に よ ら ず 、 多 層 化 し た 入 職 ロ に よ る 労 働 者 の 学 歴 階 層 性 と 中 国 独 自 の 戸 籍 制 度 が 相 互 に 作 用 し 、 企 業 内 の 労 働 市 場 が 分 節 化 し て い た 。 賃 金 や 就 労 の 安 定 度 等 で 職 眉 間 に 格 差 が 顕 在 化 し て お り 、 市 場 の 組 織 性 ・ 開 放 性 や 職 業 選 択 の 自 由 度 等 の 面 で も 職 層 間 に 質 的 な 相 違 が 見 ら れ る 。 国 有 企 業 で も 、 調 査 企 業 を 見 る 限 り 企 業 内 労 働 市 場 の 組 織 性 ・ 開 放 性 に 制 約 が あ る と 言 え よ う 。 「 親 の 跡 継 ぎ 」 雇 用 が 部 分 的 に 残 存 す る な ど 、 旧 来 の 雇 用 慣 行 が 払 拭 さ れ て い る わ け で は な く 、 未 だ 改 革 の 過 渡 的 な 就 業 構 造 が 看 取 さ れ る 。 郷 鎮 企 業 に お い て は 、 調 査 対 象 の 中 小 郷 鎮 企 業 が 比 較 的 単 純 な 職 位 構 成 で あ り 、 内 部 昇 進 ・ 昇 給 の ル ー ル も 明 確 で は な く 、 内 部 労 働 市 場 は 未 成 熟 で あ っ た 。 本 論 文 で は 、 マ ク ロ デ ー タ と ミ ク ロ の 事 例 分 析 に よ っ て 内 モ ン ゴ ル 労 働 市 場 の 構 造 的 特 徴 を 試 論 的 に 提 示 し た 。 し か し 、 限 定 的 な 事 例 に よ る 特 質 把 握 で あ り 、 そ の 結 諭 を ど こ ま で 一 般 化 で き る か は 、 今 後 の 一 層 の 調 査 研 究 の 積 み 重 ね に よ っ て 検 証 し て い く こ と が 必 要 で あ る 。 さ ら に 、 今 後 は 内 モ ン ゴ ル 自 治 区 の 労 働 市 場 の 特 質 把 握 に 止 ま ら ず 、 中 国 全 国 の 労 働 市 場 の 研 究 動 向 や 各 地 域 の 研 究 動 向 を も 踏 ま え て 、 中 国 労 働 市 場 の 全 体 構 造 の 中 に モ ン ゴ ル 労 働 市 場 を 位 置 づ け る 研 究 に 発 展 さ せ て い き た い 。
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学 位論文審査の要旨 主 査 教 授 宮 本 謙 介 副査 准教 授 高井哲彦 副査 准教 授 内藤隆夫
学 位 論 文 題 名
中国・内モンゴルの経済発展と労働市場の研究 ― フ フ ホ ト 市 の 事 例 分 析 を 中 心 に ―
本研究は、中国・内モンゴル自治区における労働市場形成の特質を、マクロ統計 および企業形態別の個別企業分析によって総合的に捉えようとした実証研究である。
中国経済研究の中でも、労働市場研究は最も遅れた領域と言われており、沿岸大都市 部を対象とした研究は徐々に蓄積されつっあるものの、内陸後進地帯についてはほと んど先例がない。未開拓の研究領域ともいうべき内モンゴルの労働市場研究にあって、
本論文は先駆的業績と言えよう。
論文の構 成は、序 章がマク 口統計分 析、第 1 章〜第 3 章が詳細な実態調査に基づく 企業形態別の事例分析である。序章では、『中国統計年鑑』(各年版)、『内モンゴル統 計年鑑』(各年版)等の公刊データに拠って、全国レベルと対比しつつ内モンゴルの 就業構成の特徴を検出している。農村部では、郷鎮企業の雇用吸収に支えられて就業 者比率が高いこと、対照的に都市部では公有制企業に代わる民間企業(私営企業・外 資系企業)の未成熟から労働力化率が低く、都市労働市場の形成が立ち後れているこ と、などが指摘される。また労働カの学歴水準の低位性、供給過剰、下崗労働者の再 雇用問題の深刻さなども自治区全体の特徴である。これらの特徴が個別企業レベルの 労 働 市 場 の 形 成 に お い て 、 ど の よ う に 具 体 的 に 顕 現 す る の か が 課 題と な る。
個別企業レベルの分析で設定している具体的課題は、@労働力需要に関して、需要 する労働カの質としての学歴・技能・就労キャリア、労働条件からみた職種間の重層 性、内部労働市場の展開度など、◎労働力供給では、労働者の入職経路、流動性、供 給源の階層分析など、◎総合的評価としては、労働市場の分節性・組織性・開放性、
労働者の職業選択の達成度などである。
第 1 章は、 私営企業 の労働市 場の事例 分析であ り、大手 大企業 1 社と 中小企業 2 社
が対象となっている。大企業では学歴・技能などによって入職口が多層化し、人事考
課に基づく内部昇進や昇給体系が整備されているが、中小企業では単純な職位構成で 昇進=昇給のルールも明確ではない。企業規模の大小によらず、生産職を中心に自治 区内の農民工(農村戸籍者)や元国有企業労働者(都市戸籍者)が多数就業しており、
この点では私営企業の増加によって労働カの流動化と市場の広域化が生起している。
公有制企業の整理縮小による余剰労働カの増加、潜在的な農村過剰人口、新規学卒者 の参入によって労働者の過剰供給が続いており、しかも外資企業がまだ大きなウェイ トを占めない内モンゴルでは、新たな雇用吸収の担い手として私営企業に期待すると ころが大きいという。
第2 章は国 有企業の 事例分析で あり、国内改革の最大の課題である国有企業改革に 伴う労働市場の変化に注目している。調査企業は、整理・統合によってグループ化さ れた大型国有企業の一支社であり、内モンゴルでは国有企業改革のモデルケースとさ れている。分析結果によれば、労働契約制、新賃金体系、早期内退制などの導入によ って「固定工」時代の労働関係は払拭されつっあるが、「親の跡継ぎ」慣行が残存す るなど、改革の過渡的状況も看取される。賃金水準の高さや福利厚生の充実などから 労働者の流動性も高くないが、国有企業の中ではやや特殊な優良企業であるため、検 出 さ れ た 特 徴 の 一 般 性 に 関 し て は 、 今 後 の 課 題 と さ れ て い る 。 第3 章は農 業関連の 中小郷鎮企 業の分析である。上位職を含めて農村戸籍者が多数 を占め、職位構成も単純で内部労働市場は未成熟であるが、依然として郷鎮企業が農 村過剰労働カを吸収する重要な受け皿となっていることが確認される。同時に都市労・
働カをも吸収するなど、その労働市場の役割と性格が市場の流動化とともに変質しつ っあることも明らかとなっている。
終章では、企業横断的に労働市場の評価が示され、分析のまとめとなっている。私 営企業では、賃金や就労の安定度等で職眉間に格差が顕在化しており(特に大規模企 業)、市場の組織性・開放性や職業選択の自由度等の面でも職眉間に質的な相違が見 られる。国有企業でも、調査企業を見る限り「親の跡継ぎ」関係が残存するなど、市 場の組織性・開放性に制約がある。国有企業で長期勤続者が多いのは、労働者の技能 蓄積の結果というよりも、むしろ都市戸籍労働者(およびその家族)の生涯を社会保 障する固定工時代の雇用慣行が、経営者・労働者双方の職務意識の中に深く根付いて いるためとも見られる。郷鎮企業に関しては、市場の広域化が見られるものの、縁故 に依存した雇用、内部労働市場の未成熟、福利厚生の未整備など、市場が十分組織化 されず、不安定雇用が一般的との評価である。
以上、マク口統計と個別事例分析を結びっけた分析結果が示されており、論旨は一 貫していると言える。また、未開拓の研究領域であるため、試論の域は出ないものの、
独創的な結論を得ていることは高く評価できる。ただし、事例研究はなお限定的であ り、本研究の結論がどこまで一般化できるかは、今後の一層の調査研究の積み重ねに よって検証していくことが必要である。更に今後は、内モンゴル自治区の労働市場の 特質把握に止まらず、中国全国の労働市場の研究動向や各地域の研究動向をも踏まえ て、中国労働市場の全体構造の中に内モンゴル労働市場を位置づける研究へと発展さ せていくことが望まれる。これらの課題に取り組めば、本研究の完成度は一層高まる であろう。
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