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博士(理学)照井教文 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(理学)照井教文 学位論文題名

マイクロ電気化学法による単一微小油滴/溶液系 におけるイオン移動過程の研究

学位論文内容の要旨

油/ 水 エ マ ル ショ ン 中 の 油 滴/ 水 界 面 を 経 由す る 物 質 移 動過 程 は , 球 状界 面へ の溶質 の拡 散挙動 や サイ ズ に よ る 油滴 の 比 表 面 積の 変 化 な ど の 影響 を 受 け る ため . 平 坦 な パル ク油 /水界 面と は異な る 挙動 を 示 す と 考え ら れ る . 特に マ イ ク 口 メ ート ル オ ー ダ ーの サ イ ズ の 油滴 では 比表面 積の 効果が 顕 著と な り . 様 々な 界 面 現 象 には 油滴 サイズ 依存性 があら われ る,そ のため ,工マ ルショ ン系 の化学 反 応や 現 象 の 解 析に 単 一 油 滴 を対 象 と し た 測 定が 必 要 不 可 欠で あ る , し かし なが ら,単 一微 小油滴 を 対象 と し た 研 究は 測 定 手 法 的に 困 難 が 多 く ,こ れ ま で ほ とん ど 研 究 さ れて いな いのが 現状 である . 一方 , 微 細 加 工技 術 に 基 づ いた 様々 な形状 を持つ マイク 口電 極の作 製や, 単一微 小油滴 のレ ーザー 捕 捉法 な ど の 発 展に と も な い ,こ こ 数 年 の 内 にエ マ ル シ ョ ン中 の 単 一 微 小油 滴/ 水界面 を経 たイオ ン 移動 や 電 子 移 動の 研 究 が 可 能に な っ た . し かし な が ら 舳 滴/ 水 界 面 を 経由 する 現象や 反応 は種々 の 過程を 含むた め,そ の速 度論的 解析は 一般的 には難 しく ,更な る詳細 な研究 が望 まれる .特に,溶液中 で副 反 応 を 伴 なう 不 安 定 な イオ ン に つ い て の油 滴 / 溶 液 界面 の イ オ ン 移動 の精 密な測 定は 全くな さ れて し ゝ な い .そ こ で 本 研 究で は, マイク 口アレ イ電極 によ る酸化 還元物 質の生 成と捕 捉を 利用し た 電気 化 学 法 と 単一 油 滴 の レ ーザ ー 捕 捉 法 な どを 組 み 合 わ せた 新 規 な 測 定法 を開 発し, 副反 応をと も なう 不 安 定 な イオ ン を 対 象 とし た 単 一 微 小 油滴 / 水 界 面 を経 た イ オ ン 移動 過程 の詳細 な検 討を行 う ことを 目的と した,

  第 一 章 で は, 単 一 微 小 油滴 / 溶 液 系 にお い て 油 滴 サイ ズ に 依 存 す る界 面 物質 移動過 程の特 異性を 説明 し , 油 滴 一粒 に つ い て 測定 する 事の重 要性を 述べて いる .また ,本研 究の背 景とな る油 滴/溶 液 界面 に お け る 物質 移 動 , 電 子移 動反 応およ び色素 生成反 応に ついて 説明す るとと もに, 本研 究の目 的 を述べ た.

  第 二 章 で は, 単 一 微 小 油滴 を 対 象 と した マ イ ク ロ 電気 化 学 測 定 シ ステ ム の作 製につ いて述 べてい る. マ イ ク 口 電極 は 三 次 元 拡散 によ り酸化 還元種 の物質 移動 が速や かに起 こるな ど,従 来の 電気化 学 測定 と は 異 な る特 性 を 示 す .特 に , 複 数 の 電極 か ら 構 成 され る マ イ ク ロア レイ 電極を 用い ること に より, 局所的 に酸化 還元 種の生 成と捕 捉(generetion‑collection: GC)を行うことができるため,後続化 学反 応 を 伴 な う溶 質 の 物 質 移動 過程 を解析 するに は非常 に有 カな測 定法で ある. また, レー ザ一捕 捉 法や マ イ ク ロ ファ イ バ ー 操 作法 を利 用する ことに より, 単一 油滴の 測定が 可能と なる. この ような 手 法の 特 性 を 詳 述し た 後 に , 本研 究 で 用 い た マイ ク 口 電 気 化学 法 と レ ー ザー 捕捉 法およ びマ イク口 フ ァイパ ー操作 法を組 み合 わせた 測定シ ステム につい て説 明した .

  第 三 章 で は. マ イ ク ロ アレ イ 電 極 を 用い た キ ノ ン ジイ ミ ン 誘 導 体 の物 質 移動 過程に ついて 述ぺて いる . マ イ ク ロア レ イ 電 隠 を用 い 、1つ の電 極 上 で 生成 させ たキノ ンジイ ミン誘 導体を 隣接 した電 極

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で 再還元す るGC測 定を行っ た.キノンジイミンが再還元される割合を表す捕捉率は溶液中に存在 する亜硫酸イオン濃度および電極間距離に大きく依存することを示すとともに,キノンジイミン誘 導体が隣接電極に拡散する途中で亜硫酸イオンによルスルホン化を受けることを明らかにした,こ れにより、電極近傍の溶液中におけるキノンジイミン誘導体の濃度分布は,拡散距離と競争的に起こ るスルホン化反応に大きく依存することを明らかにした.また、捕捉率の亜硫酸イオン濃度および電 極間距離依存性を速度論的方法およびデジタルシミュレーション法により解析することにより,キ ノンジイミン誘導体のスルホン化反応速度定数を決定した.

  第四章では,レーザー捕捉法とマイク口アレイ電極を用いた電気化学測定を組み合わせた新規な 測定手法を開発し,単一微小油滴/水界面を経由するヒド口キシエチルフェ口セニウムカチオンの 物 質移動過程を検討した結果を述べている.3本の隣接するマイク口バンド電極の中央の電極に単 一油滴を配置し,油滴中のヒド口キシエチルフェ口センを酸化した.油滴内で生成したヒド口キシエ チルフェ口セニウムカチオンが周囲の水中ヘ移動する過程を,隣接電極による捕捉率として直接測 定することが可能であることを示した.また,油滴内および溶液中で観測したサイクリックポルタ モグラムのピーク電位の差をイオン種が生成してから捕捉されるまでの物質移動に要する時間に等 しいと仮定して解析した.その結果、ヒド口キシエチルフェ口セニウムカチオンの単一油滴/水界 面 を経た物 質移動 過程は 、油滴 および 水相中 のイオ ン拡散 が律速で あることを明らかにした.

  第五章では,単一二トロベンゼン(NB)微小油滴から周囲の溶液中へのフェ口セニウムカチオンの 界面イオン移動について検討した結果を述べている.油滴/水界面を経るフェロセニウムカチオン の イオン移動に基づくボルタモグラムのピーク電位は.掃引速度とNB7水系における液聞電位差に 大きく依存した.そこで.大きさの異なる油滴のサイクリックボルタモグラムからピーク電位シフト を 定量的に解析し,フェロセニウムカチオンの油滴から溶液への界面イオン移動速度が,NB7溶液 界面の液間電位差に依存することを明らかにした.また,この結果は単一微小油滴におけるサイクリ ックボルタモグラムのデジタルシミュレーションからも支持された,さらに,実測したピーク電位シ フ トの掃引 速度依 存性と シミュ レーシ ョンの 結果を比較し,フェ口セニウムカチオンのNB7水系 で の 標 準 イ オ ン 移 動 電 位 に お け る 界 面 イ オ ン 移 動 速 度 定 数 を 初 め て 決 定 し た .   第六章では本研究で得られた成果を総括するとともに,今後の研究の展望についても言及してい る,本研究においてはマクロアレイ電極によるgeneration‑collection法を単一微小油滴/水界面を 経たイオン移動の速度論的解析に応用して大きな成果を上げた.また,レーザー捕捉法やマイク口フ ァイバー法により,単一微小油滴を任意に操ることにより,これまで行われていなかった単一微小 油滴/水界面を経た現象を明らかにすることができた.

  本研究で開発した電気化学的手法はイオン移動の問題だけではなく,比較的短寿命な酸化還元種 の速度論的解析にも応用できると考えている.本研究の結果に基づいて関連する研究分野の更なる 発展を期待するものである.

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授

教授

教授

助教授

喜多村  昇 魚崎浩平 長谷部  清

(北海道大学大学院地球環境科学研究科)

金  幸夫

学 位 論 文 題 名

マイクロ電気化学法による単一微小油滴/溶液系 におけるイオン移動過程の研究

  油/水工マルション中の油滴/水界面を経由する物質移動過程は、溶媒抽出、相間移動 触媒などの様々な分野における重要な基礎過程であるにも関わらず、その詳細は解明され ていない。その大きな理由のーっとして、界面物質移動過程は油滴サイズに大きく依存す ると考えられるにも関わらず、これまで個々の単一油滴を対象とした実験的な手法が無か ったためである。したがって、これまでの研究結果は、様々な大きさの油滴で起こる化学 過程の平均値であり、油滴/水界面を経た物質移動過程の特徴や分子論的機構が明らかに されたとは言い難い。このような研究の背景に立ち、著者はエマルション中における単一 油滴をマニピュレートする方法を研究に導入するとともに、油滴/水界面を経た物質移動 過程の新しい測定手法を考案し、これに基づいてエマルション系における化学に関する新 たな知見を得ることに成功している。

  第一章では、単一微小油滴/溶液系において予想される油滴サイズに依存する界面物質 移動過程の特異性を説明し、油滴一粒について測定する事の重要性を述ぺている。また、

本研究の背景となる油滴/溶液界面における物質移動、電子移動反応および色素生成反応 について説明するとともに、本研究の目的を述べている。

  第二章では、単一微小油滴を対象としたマイクロ電気化学測定システムの作製について 述べている。マイク口電極は従来の電気化学測定とは異なる特性を示す。特に、マイク口 アレイ電極を用いることにより、局所的に酸化還元種の生成と捕捉(generation‑collection: GC)実 験を行うことができるため、後続化学反応を伴なう溶質の物質移動過程を解析する には非常に有カな測定法である。また、レーザー捕捉法やマイクロフんイバー操作法を利 用 す る こ と に よ り 、 単 一 油 滴 の 測 定 が 可 能 と な る こ と を 示 し て い る 。   第三章 では、 マイク口 アレイ 電極を用い、キノンジイミン誘導体のGC測定に基づいた 物質移動過程について論じている。キノンジイミンが再還元される割合を表す捕捉率は、

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溶液中に存在する亜硫酸イオン濃度および電極間距離に大きく依存することを示すととも に、キノンジイミン誘導体が隣接電極に拡散する途中で亜硫酸イオンによルスルホン化を 受けることを明らかにした。また、捕捉率の亜硫酸イオン濃度および電極間距離依存性を 速度論的方法およびデジタルシミュレーション法により解析することにより、キノンジイ ミ ン 誘 導 体 の ス ル ホ ン 化 反 応 速 度 定 数 を 決 定 す る こ と に 成 功 し て い る 。   第四章では、レーザー捕捉法とマイク口アレイ電極を用いた電気化学測定を組み合わせ た新規な測定手法を開発し、単一微小油滴/水界面を経由するヒド口キシエチルフェ口セ ニウムカチオンの物質移動過程を検討した結果を述べている。油滴内で生成したヒド口キ シェ チルフ ェ口セニ ウムカチオンが周囲の水中へ移動する過程を,GCモード実験による 捕捉率として直接測定することが可能であることを初めて示した。また,、油滴内および溶 液中で観測したサイクリックボルタモグラムのピーク電位の差をイオン種が生成してから 捕捉されるまでの物質移動に要する時間に等しいと仮定して解析し、ヒド口キシェチルフ エ口セニウムカチオンの単一油滴/水界面を経た物質移動過程は、油滴および水相中のイ オン拡散が律速であることを明らかにした。

  第五章では、単一二ト口ベンゼン微小油滴から周囲の溶液中へのフェ口セニウムカチオ ンの界面イオン移動について検討した結果を述べている。フェ口セニウムカチオンのイオ ン移動に基づくボルタモグラムのピーク電位は、掃引速度と液聞電位差に大きく依存する ことを示した。また、実測のピーク電位シフトの掃引速度依存性とシミュレーションの結 果を比較し,、フェ口セニウムカチオンの標準イオン移動電位における界面イオン移動速度 定数を初めて決定することに成功した。

  第六章では、本研究で得られた成果を総括するとともに、今後の研究の展望について論 じている。

  これを要するに、著者はエマルション中における単一油滴/水界面を経た物質移動過程 の直接測定を可能にする実験的手法を考案するとともに、これに基づいて、目的とする界 面透過物質移動過程の詳細について明らかにしたものであり、油水工マルションが関わる 基 礎 、 応 用 研 究 の 今 後 の 進 展 に 対 し て 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。   よ って著 者は、北 海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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