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3.実験結果および考察

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Academic year: 2021

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(1)

酸化インジウム透明導電膜へのホウ素ドーピング効果の比較検討

Comparative study of Boron doping in In

2

O

3

transparent conductive thin films

森 峻 (電気電⼦⼯学科) Shun Mori

⾼機能デバイス研究室 指導教員 相川 慎也 准教授

1. 緒⾔

薄膜太陽電池や大面積タッチパネルなど、次世代エネルギ ー・情報デバイスの実現加速に向け、透明電極材料の導電率 と透明性の向上が求められている。現在商用的に用いられて いる酸化インジウムスズ(ITO)は、イオン化不純物による散乱 によって電子移動度が向上しないため、これ以上の性能改善 が困難である。酸化インジウム系透明薄膜は、ドーパントの イオン半径が小さくなると電子の衝突確率が減少し電子移動 度が向上する。そこで当研究室では、イオン半径の小さいホ ウ素(B)を添加した酸化インジウムボロン(IBO)を開発した 1) しかし、ITO に比べキャリア密度が低く、導電率の向上にはさ らなるキャリア移動度の向上が不可欠である。

本研究では、成膜した IBO サンプルに対して O2、Ar/H2、N2 雰囲気下でアニールをおこない、各雰囲気と温度に対しての 薄膜特性変化を調査する。アニールでは、膜の欠陥の減少に よる透過率の向上、余剰酸素の還元による低抵抗化、不活性 化での結晶化による電子移動度の向上が期待されるためであ る。また、抵抗率や透過率などの物性値の変化からアニール 条件の最適化を目的とする。

2. 実験方法

テンパックスガラス基板をアセトン、IPA に浸し超音波洗 浄にかけた。その後、UV 照射で基板表面をクリーニングした。

洗浄後、RF スパッタリング装置を用いて基板上に IBO 薄膜及 び、比較用の In2O3薄膜を成膜した。B 粒(純度 99.999%)を 1 個および 2 個用いてコスパッタで IBO を膜厚 50nm 程度にな るよう成膜した。成膜圧力は 0.24 Pa、RF 電力は 50W、100W とし、成膜時の O2および Ar 流量を変化させ、O2%が 0~4%の 範囲になるように設定した。成膜後、それぞれのサンプルに 対して酸化 O2、Ar/H2、N2雰囲気下、150℃、300℃、600℃、30 分間の条件でそれぞれアニールをおこなった。光学特性は紫 外可視分光光度計で透過率を測定した。電気特性は 4 探針抵 抗測定器にてシート抵抗を測定するとともに、Hall 効果測定 装置を用いてキャリア密度と電子移動度を評価した。膜構造 は X 線回折装置を用いて定量評価をおこなった。薄膜内の B の含有量を調べるため、走査型電子顕微鏡に付属のエネルギ ー分散型 X 線分析装置を用いて薄膜組成の分析をおこなった。

また、透明導電膜の膜厚は接触式表面形状測定装置で測定し た。

3.実験結果および考察

Fig.1 に B1 個を用いて成膜した IBO のアニール温度に対す る抵抗率の特性を示す。O2アニールにおいては、温度が上が るにつれ抵抗率が上昇しており、膜の酸化が進み高抵抗化し たと考えられる。Ar/H2アニールにおいては、膜内の余剰酸素 が還元され結晶化した結果、電子移動度が向上したと考えら れる。N2アニールにおいては、300℃までは余剰酸素との結合 が活発でなく抵抗率の変化がなかったが、300℃~600℃の間 で結合が活発な状態になり、余剰酸素との結合で高抵抗化し たと考えられる。

Fig.2 に上記 IBO 薄膜の透過スペクトルを示す。as-depo 膜 の可視光領域を 380~750nm とした時の平均透過率は 71.8%で あったのに対し、アニール後の透過率はいずれも大きな変化 がみられなかった。本研究で得られた透過率はいずれも 70%

程度であり、先行研究1)より報告された 80%程度の透過率に満 たない結果となった。酸素の脱離によって酸素空孔が増加し たため、可視光領域の透過率が低下したと考えられる。

Fig.3 に X 線回折測定による温度ごとのスペクトルを示す。

150℃までは結晶構造由来のピークが確認されないものの、

300℃から結晶化が始まり、600℃では高いピーク強度が得ら れたことから結晶粒が大きくなったと考えられる。また、

300℃と 600℃で比較すると 600℃でピーク位置が高角度側に シフトしている。これは,熱エネルギーによる格子収縮が顕 著になり,B の小イオン半径を反映した結果と考えられる。

4.結論

IBO の熱処理条件を最適化するため、作製した薄膜に対し てアニールをおこなった。検討した条件での最小抵抗率及び、

最高透過率は、それぞれ 2.83×10-4Ω・cm、透過率は 70.9%で あった。成膜直後の as-depo 膜以上の性能を示し、アニール による特性向上の効果があることが分かった。今後は、成膜 時酸素分圧やアニール時間にも条件振りし、さらなる最適化 を進めていく。

5.参考文献

1) S. Aikawa, Y. Shibata, Y. Morinaga, 2020 IEEE 20th International Conference on Nanotechnology, Virtual Conference. 2020 July, 29-31.

Fig.1 Resistivity of B-doped In2O3 films deposited at room temperature.

Fig.2 Transmittance of B-doped In2O3 films deposited at room temperature.

Fig.3 XRD spectra of B-doped In2O3 films.

30 40

0 5000

2θ(deg)

600℃

300℃

150℃

as−deposited film

Intensity(a.u.)

RF power :100W Number of borons : 1 O : 2%2 N annealed 2

500 1000

20 40 60 80

Transmittance(%)

Wavelength(nm) 150℃−O asdep

2

150℃−Ar/H 150℃−N2

300℃−O2 2

300℃−N2

300℃−Ar/H2

600℃−O2

600℃−Ar/H2

600℃−N2

RF power : 100W

0 200 400 600

10−4 10−2 100

Temperature (℃)

Resistivity (Ω・cm)

Ar/H annealed as−deposited film

2

N annealed2

O annealed2

RF power : 100W

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