ゆで加熱 におけ る最 適加 熱 時間の予測 0沸 騰 までの水温上昇 お よび余熱 利用の効果一
香 西 み どり 長 尾 慶 子
食 品 を 加 熱 して 最 適 な煮 熟 状 態 を得 る た め に は 加 熱 温 度 や 時 間 な どの 加 熱 条 件 が 適 度 で あ る こ とが 重 要 で あ る 。 この よ う な最 適 加 熱 条 件 は 一 般 に経 験 的 に知 られ て お り、 調 理 の コ ツ や カ ン と い わ れ て い る 。 食 品 の 調 理 加 工 にお い て最 適 条 件 を 設 定 す る こ と は好 ま しい 仕 上 が り状 態 を得 る た め ば か りで な く、 省 エ ネ ル ギ ー 的 に も 必 要 な 課 題 で あ る。 著 者 ら は こ の よ う な観 点 か ら、 一 定 温 度 にお け る野 菜 の最 適 加 熱 加 熱 時 間 の 予 測 に 関 す る研 究 を行 っ て きて い る1)〜3}。さ ら に調 理 用 熱 量 測 定 装 置 を作 製 し、 最 適 加 熱 時 間 の 予 測 法 を 適用 し て加 熱 調 理 に お け る省 エ ネ ル ギ ー 的 調 理 条 件 を検 討 した4》。 そ の 結 果 、 水 量 な どの 調 理 条件 に よ って 程 度 は 異 な る が加 熱 停 止 後 の 余 熱 を利 用 す る こ とで使 用 熱 量 が15%
前 後 減 少 し、 余 熱 利 用 の省 エ ネ ル ギ ー 的 効 果 が 把 握 で きた 。 野 菜 の 加 熱 に よ る軟 化 につ い て は 速 度 論 的研 究 はみ ら れ るが5)〜lo}、加 熱 時 間 の 予 測 と い う観 点 か らの 研 究 は ほ とん ど ない 。 本 研 究 で は水 と と も に試 料 を加 熱 し、 沸 騰 ま で の水 温 上 昇 お よ び 加 熱 停 止 後 の 余 熱 利 用 を組 み合 わ せ た ゆ で 加 熱 の 最 適 加 熱 時 間 を 計 算 に よ り求 め
る こ と を 目的 と した 。
ア ル マ イ ト製 角 形 鍋(一 辺22cm、 重 量650g)に 入 れ 、 ガ ス コ ン ロで 加 熱 して 加 熱 中 お よ び加 熱 停 止 後 の 水 温 変 化 を測 定 した 。 火 力 は都 市 ガ ス の ハ イ カ ロ リ ー 形(3200kcal/h)で 沸 騰 ま で は強 火 、 沸 騰 後 は弱 火 と し、 水 温 は99.5±0.5度 の 範 囲 に 保 っ た 。 試 料 を い れ る と き は 鍋 に水 0.5〜2リ ッ トル を入 れ 、 試 料 を0.5〜2kg入 れ 、 総 重 量 を1〜4㎏ と して加 熱 し た。 加 熱 方 法 は
① 水 か ら加 熱 し余 熱 利 用 、 ② 沸 騰 か ら加 熱 し、
余 熱 利 用 、 ③ 水 か ら加 熱 し、 余 熱 な し、 ④ 沸 騰 か ら加 熱 し、 余 熱 な し と した 。 余 熱 利 用 の場 合 は 、 加 熱 停 止 後 ふ た を して そ の ま ま放 置 した 。 こ の 間 の水 温 変 化 を鍋 底 か ら約2cmの 位 置 に 固 定 し た 銅 一 コ ンス タ ン タ ン熱 電 対(直 径1㎜)
に よ り測 定 し、 熱 電 対 に接 続 し た デ ジ タ ル温 度 計(タ ケ ダ理 研;TR2721A)で30秒 間 隔 に 自動 記 録 した 。
3.官 能 検 査
加 熱 し た 試 料 の煮 熟 度 を5段 階 評 点 法(‑2、
煮 熟 不 足;‑1、 や や 煮熟 不 足;0、 適 度:+1、
や や 煮 熟 し す ぎ;+2、 加 熱 しす ぎ)に よ り評 価 し た。 パ ネ ル は お茶 の水 女 子 大 学 調 理 学 研 究 室 員10名 と した 。
実験方法
1.試 料
ジ ャガ イモ(男 爵)を 小 売 店 よ り購 入 し、 一 辺 が1〜3cmの 立 方 体 に成 形 した 。
2.加 熱 方 法 お よ び 水 温 変化 の 測 定
水 の み(1〜4リ ッ トル)を 加 熱 す る と きは
4.計 算
計 算 方 法 を図1に 示 した。 は じめ に差 分 法 に よ る3次 元 非 定 常 熱 伝 導 解 析 を行 い 、 試 料 の 分 割 刻 み を1㎜ 、 時 間 間 隔 を1秒 と して 試 料 内 部 温 度 を算 出 した。 次 に既 報1}の軟 化 の 速 度 定 数 お よ び最 適 軟 化 率 を用 い て軟 化 率xの 計 算 を 行 い 、 ジ ャ ガ イ モ の 最 適 軟 化 率0.9に な る ま で
1.試 料 内 部 温 度
差 分 法 に よ る3次 元 非 定 常 熱 伝 導 解 析 熱 拡 散 率:0.0015cm21sec
試 料 の 分 割 刻 み(△x,△y,△z):1㎜
2.軟 化 率x
● 軟 化 率xの 定 義 X= yoY
yo‐yeOsXsl
yO:硬 さの 初 期 値;ye:硬 さの 平 衡 値 y:硬 さの測 定 値
● 軟 化 率xの 算 出
dx =k(1‑x)一 一>x‑exp(‑kB) ae
θ:加 熱 時 間;
k:軟 化 の 速 度 定 数(miri1) k=Aexp(‑E/RT)
T:絶 対 温 度(°K) 頻 度 因 子A6.99×1019miri1 活 性 化 エ ネ ル ギ ー145kJ/mo1 気 体 定 数R8.314kJ/mo1/°K
● 最 適 軟 化 率 の 値
官 能 検 査 に よ り決 定 ジ ャ ガ イ モ0.9 図1計 算 方 法
の 時 間 を 最 適 加 熱 時 間 と し て 求 め た 。 計 算 は プ ロ グ ラ ム を作 製 し、SunSparkStationに よ り 行 っ た 。 計 算 の 流 れ 図 を 図2に 示 し た 。
結果および考察
1.水 量 別 に よ る加 熱 中 及 び 加 熱 後 の 水 温 変 化 は じめ に水 温 変 化 を種 々 の水 量 別 に 測 定 し た 結 果 を 図3に 示 す 。 図 は3回 測 定 した 結 果 の 平 均 値 を モ デ ル 的 に か い た もの で あ る 。 図 の 矢 印 は沸 騰 点 お よび加 熱 停 止 点 を示 して い る。 水 量 が1リ ッ トル か ら4リ ッ トル へ と増 加 す る に従 い 、水 温 上 昇 お よび水 温低 下 が緩 や か に な っ た 。 こ こで 得 られ た 水 温 上 昇 期 お よ び水 温 下 降 期 を 利 用 し た加 熱 に お け る最 適 加 熱 時 間 につ い て以
下 に 述 べ る。
2.余 熱利用 の加熱 におけ る最適加熱 時間 水量別 に余熱 を利用 した場合 の試料の 中心温
水温 の時 間変 化 を 測定
測定 値 をモ デル の 外周 節点 温度 と し て 入力
tk=tk十 △tk
鞄 轡
時 間Z [∠yx̲
Ox
解析 モ デル
試料 を3次 元 メ ッシュで モ デル化
k
,
沸 騰継 続時 間 tk
i
試 料内 部各 点 の温度 、軟化 率の時 刻歴計 算
NO
.9≦ 軟 化'・OK
lENDl
図2計 算 の流 れ
表1沸 騰 時 と加 熱停 止時 の試料 中心 部温 度 お よび軟 化 率 一水 か ら加熱 し余熱 利 用一
(T:中 心部 温 度(℃)x:軟 化率)
1リ ッ トル 2リ ッ ト丿 レ 3リ ッ ト ル 4リ ッ ト丿 レ
T
t
Tt
Tt
Tt
1 cm
沸 騰時 加 熱停 止*
89.1 99.0
0.04 0。68
93.2 98.3
o.io O.25
一 94.1
一
〇.17
一 91.9
一
〇.16
2 C‑D
沸 騰時 加 熱停止*
60.2 97.9
o.00 0.50
75.0 90.4
o.of O.09
93.2
〃 0.04
〃
一 83.4
一
〇.05
3 cm
沸 騰時 加 熱停止*
34.1 93.8
o.00 0.33
50.5 84.4
o.00 0.06
64.3 71.4
o.00 0.of
一 69.0
一
〇.of
4 cm
沸騰 時 加 熱停止*
23.4
...
o.0 0.25
32.8 .1.
o.00 0.05
45.3 70.8
o.00 0.of
53.8
〃 o.00
〃
*こ の 状 態 で 加 熱 停 止 後、 い ず れ も余 熱 に よ り軟 化 率 が0.9に 達 す る 。
度 よ り中心 部 にお け る軟 化 率 の経 時 変 化 を 計算 した 。 図4は 計 算 結 果 の 一 例 と して3cm角 試 料 を水 量2リ ッ トル で水 か ら加 熱 した と き の 中心 温 度 お よ び軟 化 率 の 変 化 を 示 した もの で あ る。
こ こで は試 料 に対 し、 水 量 が 多 く水 温 変 化 に 及 ぼ す 影 響 が ほ ぼ 無 視 で きる 場 合 とす る。 水 温 は 測 定値 、 試 料 中 心 温 度 お よび 軟 化 率 は 計 算 値 で あ る 。 あ らか じめ 、 試 料 温 度 の 計 算 値 につ い て は 実験 値 と の 比 較 を行 い、 そ の 差 が約 ±1℃ の 範 囲 に あ る こ と を確 認 した。図 に 示 した よ う に、
試 料 申心 温 度 は 沸 騰 時 に は50℃ 、 加 熱 停 止 時 に は84℃ に な り、 余 熱 に よっ て い っ た ん94℃ まで 上 昇 し た 後 、 水 温 に遅 れ て 緩 や か に低 下 した 。 一 方、 軟 化 率 は加 熱 停 止 時 で も0.05と ほ ぼ0に 近 い値 で あ っ た が 、 余 熱 利 用 に よ っ て 大 き く増 加 し、 最 終 的 に は 最 適 軟 化 率 で あ る0.9に 達 し た 。 この よ う に 試 料 内 部 温 度 お よ び軟 化 率 を求 め る こ と に よ り計 算 に よ っ て沸 騰 時 お よ び加 熱 停 止 時 の 試 料 内 部 の 状 態 が 数 値 的 に 把 握 で き た 。 そ こ で 次 に水 量 お よ び試 料 の 大 き さ別 に 同 様 の計 算 を行 い 、 これ らの 条 件 に よ る 違 い を比 較 した。 表1は い ず れ も加 熱 停 止 後 の余 熱 に よ っ て試 料 中 心 部 の 軟 化 率 が0.9に 達 し た場 合 の 沸 騰 時 と加 熱 停 止 時 の 試 料 中心 温 度 と軟 化 率 を
示 した もの で あ る 。 加 熱 停 止 時 の 軟 化 率 は0〜
0.68と0.9に 達 して お らず 、 い ず れ の 条 件 にお い て も煮 熟 不 足 で あ っ た。 特 に 水 量 が 多 く試 料 が 大 きい ほ ど0に 近 く、余 熱 効 果 が顕 著 で あ っ た 。 以 上 、 計 算 に よ り沸 騰 ま で の 試 料 内 部 温 度 の 上 昇 お よ び余 熱 利 用 に よ る軟 化 率 の 増 加 を 求 め た 結 果 、 加 熱 停 止 時 に お い て は ほ とん ど軟 化 して い な い に も関 わ らず 、 余 熱 に よっ て 最 適 軟 化 率 に達 す る ま で 軟 化 す る こ とが 予 測 され 、 ゆ で加 熱 に お け る余 熱 利 用 の 効 果 が 非 常 に大 きい こ と が 明 らか に な っ た 。
3.加 熱 法 別 最 適 加 熱 時 間
こ こ で は4つ の加 熱 法 別 の最 適 加 熱 時 間 を水 量 お よび 試 料 の 大 き さ別 に算 出 した 。3cm角 試 料 を例 と して 水 量 別 に計 算 した結 果 を図5に 示 し た。 図 は下 か ら沸 騰 まで の 時 間 、 沸 騰 継 続 時 間 お よび 余 熱 時 間 を 示 して い る 。 図5の 左2つ の 余 熱 あ りは 右2つ の 余 熱 な し よ りも沸 騰 継 続 時 間が 著 し く減 少 して お り、 余 熱 利 用 の 効 果 が 大 き い こ とが 明 らか で あ っ た。 こ の 余 熱 利 用 に よ る沸 騰 継 続 時 間 の 短 縮 は 水 量 が 多 くな る ほ ど 顕 著 で あ っ た 。 ま た水 か ら加 熱 した 方 が 沸 騰 か ら加 熱 した もの よ り もや や 沸 騰 継 続 時 間 が 短 く
図6水 温 上 昇,余 熱 利 用 の 沸 騰 継 続 時 間 短 縮 効 果 一 沸 騰 か ら加 熱 に対 して一
加 熱 法① の沸 騰 継続 時 間 短 縮の割 合(%)=100一 加 熱 法④ の沸 騰 継続 時 間 ×100
加 熱 法① 、④ は図5に 同 じ
な っ て お り、 余 熱 よ り少 な い な が ら水 温 上 昇 期 利 用 の 効 果 も示 され た 。 他 の大 き さ の 試料 につ い て も 同 様 の 傾 向 が 得 られ た が 、 沸 騰 継 続 時 間 短 縮 効 果 は 水 量 、 試 料 の 大 き さ に依 存 す る こ と を 認 め た 。
次 に沸 騰 継 続 時 間 が 最 も長 い 加 熱 法 ④ で あ る 沸 騰 か ら加 熱 し、 余 熱 な しの値 に対 す る 比 を用
い て余 熱 利 用 に よ る沸 騰 継 続 時 間 の 短 縮 の 割 合 を求 め た 。 図6は 水 か ら加 熱 し、 余 熱 を 利 用 し た 加 熱 法① にお け る短 縮 の 割 合 を 示 した もの で あ る。 図 の 下 が 沸 騰 ま で の 水 温 上 昇 に よ る短 縮 分 で、 上 が 余 熱 利 用 に よる 短 縮 分 で あ る 。 沸 騰 継 続 時 間 が 短 くな る ほ ど短 縮 され た 割 合 が 増 加 し、100%に な る と沸 騰 継 続 時 間 が0,100%を 越 え る と沸 騰 前 に加 熱 停 止 と い う こ と に な る 。 た とえ ば 、2リ ッ トル 、Icm角 試 料 の場 合 につ い て み る と、 沸 騰 継 続 時 間 短 縮 の 割 合 は 水 温 上 昇 期 利 用 に よ っ て15%、 余 熱 利 用 に よ っ て75%、
全 体 で90%と な っ た 。 他 の 水 量 、 試 料 の 大 き さ に つ い て も沸 騰 継 続 時 間 は50%〜100%短 縮 さ れ、 全 体 的 な傾 向 と して 水 量 が 多 い ほ ど、 ま た 試 料 が 小 さ い ほ ど短 縮 効 果 が 大 き くな っ た。 特 に水 量4リ ッ トル で は1〜3cm角 試 料 は 沸 騰 前 に加 熱 停 止 して も煮 熟 され る 結 果 とな り、4cm 角 試料 で も沸 騰 継 続0,す な わ ち沸 騰 と 同 時 に 加 熱停 止 して も最 適 軟 化 率 に 達 す る 結 果 とな っ た 。 この よ うに 水 温 上 昇 期 お よ び余 熱 を利 用 す る だ け で 最 適軟 化 率 に 達 す る こ と が 計 算 に よ り 予 測 さ れ た の で 、 こ こで 示 され た加 熱 時 間 で 実 際 に試 料 を 加 熱 し て 、 官 能 検 査 を 行 っ た 結 果 、 平 均 点 が0±0.5と い ず れ の 条 件 に お い て もほ ぼ 適 度 な 煮 熟 状 態 に 達 し て い る こ とが 確 認 さ れ 、 余 熱 利 用 の 効 果 が 明 らか に な っ た 。
4.実 際 の 調 理 へ の 適 用
これ ま で の 結 果 よ り、 水 の み を加 熱 した と き の 水 温 変 化 を用 い て 、 ジ ャ ガ イ モ を4種 類 の 加 熱 法 で 加 熱 した 場 合 の 最 適 加 熱 時 間 を比 較 す る と余 熱 利 用 に よ る加 熱 時 間 の 短 縮 が 著 し い こ と が わ か っ た 。 こ こ で は 実 際 の 調 理 で 水 に対 して 試 料 重 量 が多 く、 水 の み 加 熱 した と きの 水 温 変 化 に 大 き く影 響 す る場 合 に つ い て検 討 し た。
図7は 水 量2リ ッ トル と総 重 量 が 等 し く、 試 料 対 水 の比 が1:1で 試 料 表 面 が ほ ぼ 水 で 覆 わ れ た 状 態 で あ る と きの 水 温 変 化 を 示 した もの で あ る。 図 に示 し た よ う に、 水 の み の 場 合 よ りも
加 熱 法 ①
軟 化 率 加 熱① 、④ は 図5に 同 じ
匚コ0.91〜0。92匳 璽0.93〜0.94靂 翻0.95〜0.96 匚]0.90〜0.91匚 コ0.92〜0.93靂 翻0.94〜0.95
加 熱 法 ④ 総 重 量:4kg 圜0.97〜0.98■0.99〜1.0
幽0.96〜0.97■ ■0 .98〜0.99 図94cm角 試料 の 軟化 率分 布の断 面 図
試 料 が1:1ま で入 っ た と き の 方 が 沸 騰 ま で の 時 間 が 短 く、 水 温 上 昇 が 速 か っ た 。 また 、 加 熱 停 止 後 の水 温 降 下 も試 料 の 入 っ た 方 が 速 くな る 傾 向 が み られ た。 そ こで 試 料 投 入 に よ る影 響 を 示 す 補 正 係 数 が 必 要 で あ る と考 え 、A〜Dの 各 水 温 域 を 通 過 す る 時 間 の 比 を と り、 これ を補 正 係 数 と し た 。 補 正 係 数 は水 温 域 が20‑99℃ の水 温 上 昇 期 に お い て は0.9、99‑90℃ の 水 温 下 降 期 に お い て は0.8、90‑80℃ に お い て は0.9、80‑70
℃ に お い て は1.0と な っ た 。 こ れ らの 補 正 係 数 を用 い て4種 類 の 加 熱 法 につ い て 加 熱 時 間 の 計 算 を再 度 行 い、前 出 した 結 果 と比 較 した と こ ろ 、 補 正 係 数 を用 い た こ と に よ る 影 響 が 最 も大 きか っ た の は水 か ら加 熱 し余 熱 あ りの 加 熱 法 ① で あ っ た 。 図8に そ の 計 算 結 果 を水 量 別 に示 し た 。 図 に示 し た よ うに 、 補 正 後 は沸 騰 まで の 時 間 が や や 短 く、 沸 騰 継 続 時 間 が や や 長 くな っ た 。 こ の よ う に試 料 と水 の 比 が 大 きい 場 合 で も、 実 験 に よ り得 られ た水 温 の 補 正 係 数 を用 い る こ とで 最 適 加 熱 時 間 を 算 出 で き る こ とが 示 さ れ た 。 以 上 、 最 適 加 熱 時 間 の 予 測 法 を水 温 上 昇 期 、 お よ び 加 熱 停 止 後 の水 温 下 降期 に も適 用 して余 熱 利
用 の 効 果 が 数 値 化 で き る こ と を 明 らか に した 。 最 後 に 加 熱 法 の 違 い が 試 料 内 部 の 軟 化 率 の 分 布 に も影 響 す る こ とが 予 測 さ れ る こ とか ら、 余 熱 利 用 の 効 果 が 仕 上 が り状 態 の均 一 さ に どの よ う に 関 わ るか に つ い て検 討 し た 。 図9は 水 か ら 加 熱 し、 余 熱 あ りの 加 熱 法 ① と沸 騰 か ら加 熱 し て 余 熱 な しの 加 熱 法 ④ で4cm角 試 料 を加 熱 した と きの 、 試 料 中 心 部 の 軟 化 率 の分 布 を示 した も の で あ る 。 加 熱 時 間 は い ず れ も試 料 の 中 心 部 が 最 適 軟 化 率0.9に な る ま で と し、 計 算 に よ り温 度 分 布 よ り軟 化 率 の 分 布 を求 め た 。 図 は 中央 の 白 い 部 分 が 軟 化 率0.9〜0.93、 外 側 に む か っ て 0.1ご と に 色 が 濃 く な っ て い き、 外 側 は0.99〜
1と な っ て い る 。 図9に 示 し た よ う に左 側 の 加 熱 法 ① と右 側 の 加 熱 法 ④ の 軟 化 率 分 布 の 差 は 明 らか で あ り、 加 熱 法 ① の 方 が 加 熱 法 ④ よ り試 料 の 外 側 と内 部 の 差 が 小 さ く、 均 一 で あ っ た 。 加 熱 法 ④ で は周 囲 部 の 軟 化 率 が 非 常 に 大 き く、 煮 熟 しす ぎ に よ る 煮 くず れ が 起 こ る こ と、 ま た 中 央 部 の 適 度 な状 態 の 部 分 が 少 な く、 外 側 の煮 熟 しす ぎ との 差 が 大 き い こ とが 予 測 され た 。 これ に対 して 、 加 熱 法 ① で は 適 度 な煮 熟 状 態 が 広 範
囲 に わ た っ て お り、 外 側 も軟 化 率 が0.99に 達 し て お らず 、 煮 崩 れ の な い均 一 な 仕 上 が り状 態 で あ る こ とが 予 測 され た。 こ の仕 上 が り効 果 は 官 能 検 査 に よ り確 認 され た。
以 上 、 本 研 究 に よ り最 適 加 熱 時 間 の予 測 法 を 適 用 し、 従 来 経 験 的 に知 られ て い た加 熱 停 止 後 の 余 熱 利 用 の 効 果 を数 量 的 に 表 現 す る こ とが 可 能 に な っ た 。 この こ と は食 品 の 調 理 加 工 に お け る 自動 制 御 な らび に 省 エ ネ ル ギ ー と い う問 題 に 対 して貢 献 す る もの で あ る と考 え る。
本研究 の遂行 にあた り、計算 処理 の上 で多 大 な御 協力 を頂 きま した東京 電力 株式 会社AI研 究室 の中村 文子氏 に謝意 を表 します。