レー ザ ー を 用 い た 新 しいDLCコ ー テ ィ ン グ 法
北 川 正 憲*,溝 口佳 宏*,橋 新 裕 一牌,中 山 斌 義 林
New DLC Coating Method by Pulsed Laser Deposition
Masanori KITAGAWA*, Yoshihiro MIZOGUCHI*, Yuichi HASHISHIN** and Takeyoshi NAKAYAMA**
Diamond like carbon (DLC) film has the feature which is excellent in high hardness and low friction. Adhesion strength of DLC film to a substrate, however, is not so strong, because the misfit of the lattice constant between the substrate and the film. In this reason, an application of DLC film is frequently limited. In this research, we developed the method of improving adhesion by forming the buffer layer between a substrate and a DLC film to relieve the misfit.
By devising the target used for pulsed laser deposition (PLD) method, we achieved a formation of DLC film having a high adhesion strength on Si substrate.
Key words : Diamond like carbon, Pulsed laser deposition, Buffer layer
上 で被 膜 対 象 物 の用 途 に応 じてsp3結 合 とsp2結 合 の比 率 を変 化 させ て,高 硬 度 膜 や 低 摩 擦 膜 の 作 り分 け が 可 能 と な る.
基 板 結 晶 上 に成 膜 す る場 合 に,そ の 薄 膜 が基 板 の 結 晶 に対 して あ る 定 ま っ た 方 位 に 成 長 す る現 象 が 起 こ る.し か し,基 板 結 晶 の 格 子 間距 離 とコ ー テ ィ ン グ層 の 格 子 間 距 離 が 大 き く離 れ て い る場 合 に は 薄 膜 の 結 晶成 長 が うま くい か な く,ミ ス フ ィ ッ ト転 位 と呼 ば れ る欠 陥 が 入 り, 良質 な 結 晶 が得 られ な くな る.DLC薄 膜 を作 製 す る際, しば しば,Si基 板 上 に コー テ ィ ン グ され る.こ れ は ダ イ ヤ モ ン ド構 造 を持 っSi上 に 成 膜 す る こ とで ダ イ ヤ モ ン ド 構 造 が得 られ や す い とい っ た 理 由 か らで あ る.し か し, Siと ダイ ヤ モ ン ドと の格 子 不 整 合 の た め,期 待 す る ほ ど
の結 果 が 得 られ な い.ま た,ミ ス フ ィ ッ トに よ る密 着 性 の悪 化 も考 え られ る.そ こでSi上 にSiCの 中 間 層 を作 製 し,格 子 不 整 合 を 緩 和 す る方 法 が 用 い られ て き た.従 来, こ の 中 間 層 の作 製 方 法 は 成 膜 中 に基 板 上 でSiとcを 混 合 す る方 法 が 用 い られ て い る.つ ま り,PLD法 と他 の成 膜 法 を組 み 合 わ せ た 複 合 成 膜 法10)が 用 い られ て い る の で PLD法 の み で は作 製 で きな い とい う問 題 が あ る.
我 々 はPLD法 の み で 中 間 層 とDLC層 を作 製 す る た め, 成 膜 に 用 い た タ ー ゲ ッ トに 着 目 した.ま ず,グ ラ フ ァ イ トとSiを 混 合 したSi‑cタ ー ゲ ッ トを用 い て 中 間 層 の作 製 を行 い,そ の 上 に グ ラ フ ァイ トター ゲ ッ トを用 い てDLC 層 を形 成 す る 方 法 を用 い た.本 稿 で は 中 間層 作 製 に用 い
たSi‑cタ ー ゲ ッ トのSiの 混 入 比 率 の変 化 させ る こ とに よ っ て 中 間層 ・DLC層 に どの 様 な影 響 を 及 ぼ す か を調 べ た.
1.は じ め に
DLC(diamondlikecarbon)薄 膜 は1970年 代 初 め に イ オ ン ビ ー ム 蒸 着 法 を 用 い てS,Aisenberg等 に よ っ て ダ イ ヤ モ ン ド合 成 の 副 産 物 と し て 作 製 さ れ て 以 来1),炭 化 水 素 系 ガ ス を 用 い るCVD(chemicalvapor¢position)法 ≧3) や グ ラ フ ァ イ トを 用 い るPVD(physicalvapordeposi虚on)
法 働 な ど で 種 々 の 膜 が 作 製 さ れ て き た,中 で も レー ザ ー を 用 い た 作 製 方 法 で あ るPLD〈pulsedlaserdeposidon)法 は 化 学 気 相 成 長 と 比 較 して 膜 中 にsp3結 合 が 多 く含 ま れ, 水 素 の 混 入 を 低 減 で き る こ とか ら硬 度 が 高 い な ど の 特 長 を も っ6).そ の た め,PLD法 を 用 い たDLC薄 膜 の 作 製 が 数 多 く行 わ れ て い るz8).DLC薄 膜 は1980年 代 に はsp3 結 合 を 含 ん だ 硬 質 炭 素 系 膜 と定 義 づ け ら れ て い た が,現 在 で は,硬 度 な ど に よ る 定 義 づ け は な く,ア モ ル フ ァ ス 炭 素 系 薄 膜 の 総 称 と し て 用 い ら れ て お り 、 モ ー タ ー な ど の 摺 動 部 品 へ の 応 用 の み な らず 、 刃 物 ・ ド リ ル な ど の 切 削 工 具 へ の 産 業 応 用 が 期 待 され て い る9).
DLC薄 膜 の 性 質 はsp3結 合(ダ イ ヤ モ ン ド構 造)とsp2 結 合(グ ラ フ ァ イ ト構 造)の 比 率 に よ っ て 決 定 され,sp3 結 合 が増 加 す る と高 硬 度 膜 に,sb2結 合 が 増 加 す る と低 摩 擦 膜 に な る とい わ れ て い る.よ っ てDLC薄 膜 を応 用 す る
平 成18年7月18日 受 理
*近 畿 大 学 大 学 院 総 合 理 工 学 研 究科 紳 近 畿 大 学 理 工 学 部 電 気 電 子 工 学 科
レー ザ ー学 会 学術 講 演 会 第26回 年 次 大 会 発 表 (2006年2月,大 宮)
結 合 を有 す るSiが 混 入 され た た め で あ る と考 え られ る.
ま た,Siの 混 入 比 率 が増 加 す る に 従 っ てclsス ペ ク トル は さ らに 高 エ ネ ル ギ ー 側 に シ フ トして い る こ と が確 認 す る こ とが で き る.
2.実 験
sp3 bond sp2bond
. .
Si mixed Owt%
Si mixed lwt%
Si mixed 5wt%
Si mixed 1Owt%
oi
• CA
Si mixed 30wt%
,~Si mixed 50wt%
Fig.1に レ ー ザ ー ア ブ レ ー シ ョ ン 法 を 用 い たDLC層 ノ 中 間 層 作 製 装 置 を 示 す.Si‑cタ ー ゲ ッ ト と グ ラ フ ァ イ ト タ ー ゲ ッ ト(C・073601,99%,ニ ラ コ 社 製)に 照 射 す る ア ブ レ ー シ ョ ン レ ー ザ ー にArFエ キ シ マ レ ー ザ ー (LPxlo5LヨmbdaPhysik社 製,波 長:193ml,パ ル ス 幅:
15ns㏄)を 用 い,対 向 す るSi(P型[1001)基 板 上 に 中 間 層 とDLC薄 膜 を 作 製 した.ま た,レ ー ザ ー エ ネ ル ギ ー 密 度 は0。33Jlcm2と し,真 空 チ ャ ン バ ー 内 を1σ3Torrま で 真 空 引 き し た 後 に 成 膜 を 行 っ た.本 実 験 で は 中 間 層 作 製 に 用 い たSi・cタ ー ゲ ッ トは 乳 鉢 でSiウ ェ ハ ー と グ ラ フ ァ イ トを 粉 末 化 し 混 合 し た 後,加 圧 圧 縮 に よ りペ レ ッ ト状 に 形 成 した.Siの 比 率 がo〜50械%のSi・cタ ー ゲ ッ トを 用 い て 中 間 層 の 作 製 を 行 っ た 後,グ ラ フ ァ イ トタ ー ゲ ッ ト を 用 い てDLC層 の 作 製 を 行 っ た.作 製 し た 中 間 層 とDLC 層 の 化 学 結 合 状 態 をXPS(ESCA。850,島 津 製 作 所 社 製)
を 用 い て 測 定 し た.ま た,SEM(S‑570LB,β 立 社 製) とAFM(SPI・3700,セ イ コ ー 電 子 工 業 社 製)を 用 い てDLC 層 の 表 面 形 状 の 測 定 を行 っ た.ま た,DLC薄 膜 の 密 着 性
を テ ー プ テ ス トに て 測 定 を 行 っ た.
Graphite and Si-C target
Binding Energy (eV)
XPS spectra of Cis in buffer layer.
Vacuum chamber ArF excimer laser
Fig. 2
XPSス ペ ク トル に 化 学 シ フ トを 確 認 す る こ と が で き た の で,結 合 状 態 が ど の よ う に 変 化 し て い る か を 調 べ る た め にClsス ペ ク トル を ス ペ ク トル 分 解 した 例 をFig.3に 示 す.(a)はSi‑cタ ー ゲ ッ トのSi混 入 比 率 がOwt%の 中 間 層 で あ り,(b)は50wt%の 中 間 層 で あ る.こ の と きCls ス ペ ク トル はSiC結 合(2835±0.1eV,FWHM(fhllwidth
atMfmaximum);1.7± α05eV),sp2結 合(2843±0.1eV, FWHM:0.91±0.05eV),sp3結 合(285.3± αleV,FWHM:
1.29±0.05eV)お よ び,CO結 合(286.6±0.1eV,FWHM:
1.8±0.05eV)で,分 布 が 全 て ガ ウ ス 分 布 と し て 解 析 ソ フ ト(Odgin7J,OdginLab社 製)を 用 い て ス ペ ク トル 分 解 した.
Si substrate Cylindrical lens
Fig. 1 Experimental setup of PLD method.
3.実 験結果および考察
PLD法 を用 い て 作製 したDLCISi。c/Siの 分析 結 果 を以 下 に 示 す.
3‑1.中 間 層 の 評 価
sp2 bond ---
..~-~sCO bond sp2 bond
- - - sp3 bond - CO bond
Binding Energy (eV)
(a) Si mixed Owt% (b) Si mixed 50wt%
Influence of Si mixing ratio on C ls spectrum (buffer layer).
Fig. 3 Si・Cタ ー ゲ ッ トのSi混 入 比 率 を0〜50wt%と 変 化 させ
て作 製 した 中 間層 をXPSを 用 い てCls電 子 の 結 合 エ ネ ル ギー の測 定 を行 った.こ の 結 果 をFig2示 す.
Siの 混 入 比 率 が 蹴%のClsス ペ ク トル は284.8eV付 近 に ピー クが あ る こ とが確 認 で き る.こ れ は284.3eVに
ピー ク を もつsp2結 合 と285.3eVに ピー ク を もつ 写p3結合 の 組 成 を 含 むDLC力 弐作 製 され て い る と考 え られ る.ま
た,Siの 混 入 比 率 膜 がlwt%の 試 料 は0瓢%の 試 料 と比 較 してClsス ペ ク トル に 大 き な 変 化 が 見 られ な か っ た が, S量の 混 入 比 率 が5帆%の 試 料 は0槻%,1wt%のClsス ペ
ク トル と比 較 して α8elV程 度 高 エ ネ ル ギー 側 に シ フ ト し て い る こ と確 認 す る こ とが で き る.こ れ は 膜 中 に 同 じsp3
また,Si混 入 比 率30wt%で 作 製 した 中 間層 上 のDLC層 は さ らに285.3eV付 近 が 増加 して お りsp2結 合 の ピー ク位 置 で あ る2843eV付 近 が 減 少 して い る こ と が確 認 で き る, Si混 入 比 率50wt%で 作 製 した 中間 層 上 のDLC層 は さ ら に 285.3eV付 近 に シ フ トして い る こ とが 分 か る.
L54L50ZOO
Binding Energy (eV)
5 XPS spectra of C l s in DLC layer.
6L
Fig.
XPSス ペ ク トル に 化 学 シ フ トを確 認 す る こ とが で き た の で,結 合 状 態 が どの よ うに変 化 して い る か を 調 べ る た め にClsス ペ ク トル を スペ ク トル 分 解 した 例 をFig6 に示 す.(a)はSi混 入 比 率 がOwt%のSi・cタ ー ゲ ッ トを 用 い て 形 成 した 中 間 層 に コー テ ィ ン グ したDLC層 で あ り,(b)はSi混 入 比 率 が50wt%の ター ゲ ッ トを 用 い た DLC層 で あ る.ス ペ ク トル 分 解 の 方 法 は 中 間層 の とき と 同 じ方 法 を 用 い て 行 っ て い る.し か し,DLC層 に はSiC 結 合 は存 在 しな い と考 え られ る の でSiC結 合 は ス ペ ク ト ル 分 解 に は含 ん で い な い.
1211【2■ ■
Binding Energy (eV)
(a) DLC/SiooC1 (b) DLC/SiCs
Fig. 6 Influence of Si mixing ratio on C I s spectrum (DLC layer).
Si混 入 比 率 がOwt%の 中 間層 はsp2結 合 の ピー ク強 度 が sp3結 合 の ピー ク強 度 よ り高 い こ とが 確 認 で き る.し か し, Siを50wt%混 入 した ター ゲ ッ トで 作 製 した 中 間 層 で は sp3結 合 の ピ ー ク 強 度 が 大 き く増 加 して い る こ とが 確 認 で き る.ま た,CO結 合 の ピー ク を確 認 す る こ とが で き る が,こ れ は,次 の2つ の原 因 が 考 え られ る.1つ は,成 膜 後 に真 空 チ ャ ンバ ー か ら試 料 を取 り出 した とき に 膜 表
面 が 大 気 中 に さ ら され る た め に酸 素 と結 合 した.他 は 真 空 チ ャ ンバ ー 内 の環 境 が10輪3Torrと 低 真 空 下 で 成 膜 を行 っ た た め真 空 チ ャ ンバ ー 内 に残 留 した 酸 素 と結 合 した.
ま た,Siを 混 入 したDLC層 はco結 合 も増 加 して い る が, これ はSiを 粉 末 化 した た め 表 面 積 が 増 加 し酸 素 との 結 合 が 増 加 した も の と考 え られ る.ま た,Si混 入 比 率 が50wt%
の 中間 層(Fig.3(b))のSiC結 合 の ピー ク強 度 は小 さ く,含 有 比 率 は1%程 度 で あ っ た.中 間層 のSi混 入 比 率 とsp3 結 合 と の 関係 をFig.4に 示 す.
Siの 混 入 比 率 カミ1wt%で 作 製 した 中間 層 のsp3結 合 比 率 はOwt%の 試 料 と同 程 度 で あ るが,5wt%で は大 き く増 加 して い る こ とが分 か る.こ れ は 同 じsp3結 合 を有 す るSi が 膜 中 に存 在 す る こ とに よ っ て,炭 素 のsp3結 合 が 形 成 さ れ た も の と思 われ る.こ の こ とよ り,Si基 板 に成 膜 して エ ピ タ キ シ ャル 成 長 を 行 うよ りSiを 混 入 した方 がsp3結 合 の 形 成 が容 易 で あ る とい え る.
Si fraction (wt%) Fig. 4 Relation between Si fraction and
fraction of sp3 bonding (buffer layer).
Si混 入 比 率 がo〜50wt%のSi‑cタ ー ゲ ッ トを用 い て作 製 した 中 間 層 の 上 に グ ラ フ ァ イ トタ ー ゲ ッ トを用 い て DLC層 を作 製 した.
DLC層 の 化 学 結 合 状 態 をXPSを 用 い て測 定 した 結 果 をFig5に 示 す.Si混 入 比 率Owt%,lwt%で 作 製 した 中 間 層 上 に作 製 したDLC層 のClsス ペ ク トル に は 大 き な 変 化 を確 認 す る こ とは で き な か った.し か し,Si混 入 比 率5wt%で 作 製 した 中間 層 上 のDLC層 のClsス ペ ク トル はsp3結 合 の ピー ク位 置 で あ る285.3eV付 近 が 増 加 して い る こ とが確 認 で き,Si混 入 比率10wt%で 作 製 した 中 間 層 上 のDLC層 も ほ ぼ 同 じ よ うな ス ペ ク トル を示 して い る.
レ ー ザ ー を 用 い た 新 し いDLCコ ー テ ィ ン グ 法
ゼ ン を用 い るた め,イ オ ン化 した 炭 化 水 素 を 電 界 で加 速 す る こ とで膜 中か ら水 素 が た た き 出 され,sp3結 合 が 増 加 す る12).さ らに,イ オ ン化 蒸 着 法 で はsp2結 合 を増 加 さ せ る 揚 合 に は基 板 電圧 を増 加 し,sp3結 合 を増 加 させ る 場 合 に は ア ノー ド電 圧 を増 加 させ る13).こ れ らの事 よ り, sp2結 合 とsp3結 合 の 比 率 を変 化 させ るの に2つ の 要 素 の コン トロー ル が 必 要 で あ り複 雑 で あ る と言 え る.本 手 法 で は ター ゲ ッ トを変 え る だ け で 結 合 比 率 を変 え られ る 特 徴 が あ り,手 法 と して容 易 な 方 法 だ と言 え る.
3‑3.DLC層 の 密 着 性 の 評 価
作 製 したDLC薄 膜 の密 着 性 の 評 価 方 法 と して ∬SH 8504に 規 定 され て い るテ ー プ 試 験 方 法 を用 い て 測 定 を行 っ た14).今 回,DLC薄 膜 に5×5㎜ の 大 き さの粘 着 テ ー一 プ を は り付 け,テ ー プ を急 速 か つ 力 強 く引 き剥 が す こ と に よっ て,テ ー プ の 粘 着 面 に 付 着 した 面 積 の 大 き さで 密 着 性 の 良 悪 の判 断 を行 っ た.そ の 引 き 剥 が した テ ー プ を Fig8に 示 す.
(a) DLC/S"Cloo,m/Si(b) DLC/Si50,"C50,wiSi Fig. 8 Photograph of tape after the test of adhesion strength.
Siが 混 入 され て い な い,す な わ ち 中間 層 が 無 い 状 態 で は sp3結 合 よ りsp2結 合 の 方 が ピー ク強 度 が 高 い こ とが確 認 す る こ とが で き る.ま た,中 間 層 の ス ペ ク トル(Fig3(a))
と比 較 して さ ら にsp2結 合 の ピー ク強 度 が 増 加 して い る こ とが 分 か る.こ れ は,Si基 板 上 にDLCを 形 成 す る と Si基 板 か ら離 れ る に 従 っ て 基 板 の影 響 を受 け に く くな り, 膜 厚 の 増 加 に 伴 っ て グ ラ フ ァイ トター ゲ ッ トの 結 合 状 態 で あ るsp2結 合 が増 加 す るた め で あ る.
ま た,Fig6(b)のDLc!si50轍c50噛 はsp3結 合 の ピー ク 強度 が 高 い こ とが 確 認 す る こ とが で き る.こ れ は,中 間層 の スペ ク トル(Fig3(b))で も 同様 の 結 果 が得 られ て い る の でDLC層 は 中 間 層 の影 響 を受 け,エ ピ タ キ シ ャ ル 成 長 した もの と推 測 で き る.中 間 層 お よびDLC層 のsp3 結 合 の 割 合 と タ ー ゲ ッ ト中 のSiの 混 合 割 合 との 関係 を Fig。7に示 す.
DLC層 のsp3結 合 比 率 は 中 間 層 のsp3結 合 比 率 と比 較 す る と数%程 度 減 少 して い る が,中 間 層 のsp3結 合 比 率 と DLC層 のsp3結 合 比 率 は 同 じ傾 向 を示 してい る こ とが わ
か る.こ の 結 果 よ りDLC層 の 組 成 は 中 間層 の 結 合 状 態 に 依 存 して い る こ とが確 認 で き る.ま た,中 間 層 をSi混 入 比 率 が50wt%の タ ー ゲ ッ トで 作 製 した 中 間 層 上 のDLC 層 のsp3結 合 の 比 率 が62%程 度 で あ る こ とが 分 か る.こ
れ に対 してSi混 入 比 率 がOwt%のDLC層(中 間 層 無 しで 作 製 したDLC薄 膜)のsp3結 合 の 比 率 は42%程 度 で あ る.
よ っ て,タ ー ゲ ッ トを変 化 させ る本 手 法 を用 い る こ とに よっ てPLD法 のみ で約20%程 度sp3結 合 を増 加 させ る こ とが 可 能 で あ る.
中 間層 のSi混 入 比 率Owt%上 のDLC層(Fig.8(a))で は 左 側 と下側 に 膜 が 付 着 して い る こ とが 分 か る.ま た,こ の とき の付 着 面 積 は 基 板 の約113程 度 で あ る.こ れ に 対
してSi混 入 比 率50wt%上 のDLC層(Fig8(b))で は テ ー プ に膜 の付 着 を確 認 す る こ とは で き な か っ た.こ の 結 果 は, 中間 層 を 作 製 す る こ とに よ っ てDLC層 の密 着 性 が 大 き く 向上 す る 事 を示 して い る.こ れ は,中 間層 を挟 む こ と に よ っ てSi基 板 とDLCと の格 子 不 整 合 が緩 和 され た た め で あ る.
4.ま と め Si fraction (wt%)
Fig. 7 Relation between sp3 fraction of buffer and DLC layer and Si fraction of Si-C target.
本 論 文 はPLD法 に よ るDLCコ ー テ ィ ン グ に お い て Si・Cタ ー ゲ ッ トを用 い て 中 間層 を作 製 しDLC層 に どの
よ うな 影 響 を与 え るか を検 討 した.
中 間 層 上 に作 製 され たDLC層 のsp3結 合 の 割 合 は 中 間 層 の そ れ と近 い 結 合 比 率 を有 して お り,エ ピ タ キ シ ャル 成 長 が 実 現 して い る 事 が わ か った.
以 上 の こ とか らタ ー ゲ ッ トを 工 夫 す る こ とに よ りPLD 法 のみ でDLC膜 中 のsp2結 合 とsp3結 合 の 比 率 を コ ン ト
ロール す る こ とが 可能 で あ る こ とが 分 か っ た.
中 間 層 を 作製 しな いPLD法11)で は 、sp2結 合 を増 加 さ せ る揚 合 に は 成 膜 中 に基 板 加 熱(20〜400℃)し,sp3結 合 を増 加 させ る場 合 に は レー ザ ー の照 射 強 度 を強 くす る.
この 方 法 で はsp2結 合 とsp3結 合 の 比 率 を コ ン トロー ル す る た め に は 基 板 温 度 と レー ザ ー 強 度 の両 方 を コ ン トロー ル しな けれ ば な らな い.
レー ザ ー を用 い な い 成 膜 方 法 に は高 周 波 プ ラ ズ マ 法 、 イ オ ン化 蒸 着 法 が あ る.高 周 波 プ ラズ マ 法 は メ タ ンガ ス が原 料 と して 使 われ て い る た め,膜 中 の水 素 力移 くな り sp3結 合 が 減 少 す る.一 方,イ オ ン化 蒸 着 法 は原 料 にベ ン
理 工 学 部 研 究 報 告 第42号
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