Hokkaido University of Education
Title 未経験者による筝指導の授業実践 ―ICT の活用に注目して―
Author(s) 小川, 真季; 長尾, 智絵
Citation 学校教育学会誌, 第24号: 35‑42
Issue Date 2021‑09
URL http://s‑ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/12137
Rights publisher
北海道教育大学函館学校教育学会
学校教育学会誌第 24 号 2021.9
35
未
未経 経験 験者 者に によ よる る筝 筝指 指導 導の の授 授業 業実 実践 践
―ICTの活用に注目して―
Koto Practice in Music Class by Inexperienced Person in Elementary school
―Focusing on Utilizing ICT―
小川 真季* 長尾 智絵**
OGAWA Maki * NAGAO Chie**
*福島県伊達郡桑折町立半田醸芳小学校
**北海道教育大学函館校
* Handajoho Elementary School, in Dategun-Koori
** Hokkaido University of Education, Hakodate Campus
論
論 文文 概概 要要
本稿は、小学校及び中学校の音楽の授業以外で和楽器に触れたことのない“和楽器未経験者”で ある授業者が、卒業研究のために行った箏の指導においてICT機器を活用している場面に注目し、
その有用性について考察したものである。授業実践においては、楽曲を鑑賞する場面、箏の奏法を 確認する場面において、インターネットの動画共有サイトに挙げられた動画を活用した。その結果、
授業者の教材選択の幅が広がり、授業者にとって「思い」を持てる視聴覚教材が得られること、動画 の編集などによって、児童が自分のペースで奏法等を確認できるなど、主体的に取り組める場面を 作り出せることがわかった。今後、ますますICTの活用が求められる中、未経験者の指導を助ける ICT活用の事例として本授業実践を提示する。
キーワード:小学校音楽科 ICT 活用 YouTube 箏の指導 未経験者
1
1 ははじじめめにに
本稿は北海道教育大学函館校令和2年度卒業論文「箏を中心とした音楽教育の指導法―鑑賞・音 楽づくり・器楽指導の一体化を実現させる授業の提案―」の一部を抜粋し、再構成したものである。
上記、卒業論文では、和楽器が小学校音楽科で必修となったものの先行研究や先行事例の分析では、
その授業内容が専門家による演奏を鑑賞するアウトリーチ活動に偏っていること、〈さくらさくら〉
以外の教材がほとんど見当たらないこと、楽器の不足を補うこと等が課題であることを指摘した。
そして、それらの課題を解決するため、鑑賞、音楽づくり、箏曲を演奏する器楽指導を一体化させ、
Music Class about Koto Teaching by a Teacher Having No Experience
of Playing the Koto: Paying Attention to Utilizing ICT
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未
未経 経験 験者 者に によ よる る筝 筝指 指導 導の の授 授業 業実 実践 践
―ICTの活用に注目して―
Koto Practice in Music Class by Inexperienced Person in Elementary school
―Focusing on Utilizing ICT―
小川 真季* 長尾 智絵**
OGAWA Maki * NAGAO Chie**
*福島県伊達郡桑折町立半田醸芳小学校
**北海道教育大学函館校
* Handajoho Elementary School, in Dategun-Koori
** Hokkaido University of Education, Hakodate Campus
論
論 文文 概概 要要
本稿は、小学校及び中学校の音楽の授業以外で和楽器に触れたことのない“和楽器未経験者”で ある授業者が、卒業研究のために行った箏の指導においてICT機器を活用している場面に注目し、
その有用性について考察したものである。授業実践においては、楽曲を鑑賞する場面、箏の奏法を 確認する場面において、インターネットの動画共有サイトに挙げられた動画を活用した。その結果、
授業者の教材選択の幅が広がり、授業者にとって「思い」を持てる視聴覚教材が得られること、動画 の編集などによって、児童が自分のペースで奏法等を確認できるなど、主体的に取り組める場面を 作り出せることがわかった。今後、ますますICTの活用が求められる中、未経験者の指導を助ける ICT活用の事例として本授業実践を提示する。
キーワード:小学校音楽科 ICT 活用 YouTube 箏の指導 未経験者
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1 ははじじめめにに
本稿は北海道教育大学函館校令和2年度卒業論文「箏を中心とした音楽教育の指導法―鑑賞・音 楽づくり・器楽指導の一体化を実現させる授業の提案―」の一部を抜粋し、再構成したものである。
上記、卒業論文では、和楽器が小学校音楽科で必修となったものの先行研究や先行事例の分析では、
その授業内容が専門家による演奏を鑑賞するアウトリーチ活動に偏っていること、〈さくらさくら〉
以外の教材がほとんど見当たらないこと、楽器の不足を補うこと等が課題であることを指摘した。
そして、それらの課題を解決するため、鑑賞、音楽づくり、箏曲を演奏する器楽指導を一体化させ、
Music Class about Koto Teaching by a Teacher Having No Experience of Playing the Koto: Paying Attention to Utilizing ICT
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さらに児童が主体的に取り組める授業実践を提案した。本稿では、この授業実践の成果を別の角度 から考察したい。
授業実践者である第一著者(以下、授業者)は箏(和楽器)の未経験者である。未経験者による和 楽器指導は、上述した通り、音楽科教育の課題である。音楽の授業内で楽器を扱う際には、授業者が 見本を示す場面が多々ある。しかし和楽器が必修となっても、多くの音楽専科を含めた小学校教員 に、実際に児童の前で和楽器演奏をデモンストレーションできるほどの技術や経験はほとんどない。
そのために、和楽器指導にあたっては、上述したように視聴覚教材に頼る鑑賞指導やアウトリーチ に偏ることになるのである。この課題を授業者はICTを活用することによって自身の不足を補った。
具体的にはインターネットの動画共有サイトの利用、インターネットに挙げられた専門家によって 作成された動画教材などを収集し、適宜、授業で使いやすいように編集して活用した。
小学校でもプログラミング教育が始まっているが、プログラミング的思考を伸ばすといった目的 以外でも、ICTの活用はますます求められている(参考:文科省「教科指導におけるICTの活用」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/shiryo/attach/1249668.htmなど)。
埼玉県教育局指導主事大木まみこが「ICTの活用にまだ消極的な先生方に知ってほしいのは『ICTを 授業のここで取り入れたらこんなに便利になる』ということ」(大木 2020, p.31)と述べているよ うに、ICTを活用することによって、教師の負担ではなく、より便利に、より授業がわかりやすい有 益なものとならなければならない。また『音楽科教育とICT』(音楽之友社, 2019年)の著者であ る深見友紀子は「音楽家専科でない担任の先生には、『ICTによってこういうところを補うと、楽に 音楽の授業ができる』といった専門性の不足をカバーするアイデアを見つけていただきたい」と述 べている(深見2020, p.28)。
そこで本稿では、小学校及び中学校の音楽の授業以外で和楽器に触れたことのない“和楽器未経 験者”である授業者が、卒業研究のために行った箏の指導においてICTを活用している場面に注目 し、その有用性について考察する。
2
2 授授業業ににおおけけるる動動画画共共有有ササイイトトのの利利用用ににつついいてて
YouTube 等、インターネット上の画像や動画を使用することについては著作権等の制約を受ける ことになり、その扱いには注意を払わなければならない。一般社団法人日本著作権教育研究会「著 作権 Q&A」によれば、授業で動画共有サイトの動画を扱うことについて、「公表された著作物は授業 等に供することを目的とする場合は、第 35 条の権利制限で著作権者の許可なく利用することができ ます。教材用動画サイトはその用法を守れば問題ありません」と説明している。ただし、「違法動画 が含まれているかもしれません」との注意喚起があるように、その動画が誰によって、どのように 配信されているかどうかについては注意を払わなければならない。なお、本授業実践で使用した動 画は、演奏者自身が演奏を録画、配信しているもので、また演奏曲についても著作権の保護期間が 終了した楽曲であり、違法性はないものと判断した。
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3 IICCTT をを活活用用ししたた授授業業実実践践のの概概要要
本授業実践は、2020年11 月 21 日・28 日(いずれも土曜日 10:00〜12:00)に、学童保育所に通う小 学4年生の児童3人に対して行った。児童の保護者には、事前に書面にて実践授業の参加や秘密保 持に関する書面に同意を頂いた。以下、実践に参加した児童3名をA、B、C と表記する。児童の詳 細については以下の通りである。
表1 実践に参加した児童の詳細
A B C
年齢(2020.11.28 時点) 9才9か月 10 才7か月 10 才3か月
音楽関係の習い事 無し 無し 無し
また、全4時限の指導計画は以下の通りである。
表2 指導計画 1時限目 宮城道雄による箏曲〈線香花火〉の鑑賞
目標:自発的意見で、箏独特の奏法と音色に興味・関心を持つ。
2時限目
箏を使った音楽づくり
目標:箏と触れ、音楽づくりを行う中で、音やフレーズをつなげたり重ね たりして、音楽をつくる。
3時限目 箏曲〈数え唄変奏曲〉を鑑賞
目標:箏曲〈数え唄変奏曲〉を鑑賞し、箏の音色や奏法の特徴を聴き取る。
4時限目 箏曲〈数え唄変奏曲〉の演奏
目標:箏の音色や奏法に関心をもち、基礎的な奏法で主体的に演奏する。
毎回の準備物として、ノートパソコン、スピーカーを用意した。大人数に対する教室で行う授業 であればプロジェクターの使用が適当であるが、本授業実践では児童3名の少人数を対象としたた め、ノートパソコンの使用にとどめた。なお、授業者のノートパソコンはキーボード部分が外れる タブレット端末と同様の使い方ができた。
4
4 本本授授業業実実践践ににおおけけるる IICCTT 機機器器をを活活用用場場面面とと考考察察
以下、それぞれの時限でのICT機器を活用した場面を挙げ、その効果について考察する。
〈1時限目 鑑賞〉
本時限の目標は「自発的意見で、箏独特の奏法と音色に興味・関心を持つ」とし、宮城道雄作
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曲〈線香花火〉を鑑賞し、児童が聴き取ったこと、音楽の特徴や奏法など気づいたことKJ法を 用いてまとめ、児童同士で共有した。なお、表3は授業の動画より、「児童の主な学習活動」「実 際の児童の様子」「教師の発言・働きかけ」を記録したものの一部である。
表3 1時限目 鑑賞の授業
○児童の主な学習活動 ●実際の児童の様⼦ □教師の発⾔・働きかけ
□筝はどんな⾳がするか知っているかと問いかける。
●教師の発問に対して返答する。
ⒶⒷⒸ「知らない」
□⾳を知るには聴くことが⼤切だから、1回⽬は聞いて⾏く ことを伝え、本時の活動に⾒通しを持たせる。
〇本時のめあてを確認する
□めあてを確認する。
〇筝曲〈線⾹花⽕〉を映像で鑑賞する。 □鑑賞をするにあたり、気づいたことや分かったことを書く
よう指⽰する。
○聴きながら、感想や気づいたこと、曲の印
象を付箋に書く。 □付箋1枚につき1つの内容を書くよう伝える。
●〈線⾹花⽕〉を鑑賞する。 □〈線⾹花⽕〉の映像を流す。
Ⓐ集中して画⾯を⾒て鑑賞している。 □机間巡視を⾏い、児童が書いている内容を確認する。
●児童が付箋に書いた内容
Ⓑ・うまい、美しい ・⼤きい⾳、⼩さい⾳がする。
・⾳がきれい
Ⓒ・⾳がきれい
など
□テンポ、⾳⾊、弾き⽅などに注⽬しながら、もう⼀度、鑑 賞するよう伝える。
〇筝曲〈線⾹花⽕〉を映像で鑑賞する。
○テンポ、⾳⾊、弾き⽅などに注⽬して鑑賞 する。
○聴きながら、感想や気づいたことを書く。
●〈線⾹花⽕〉を鑑賞する。
Ⓐ集中して画⾯を⾒て鑑賞している。
ⒷⒸ付箋に書きながら鑑賞している。⼀時、Ⓐに書くよう 声を掛ける。
●教師の発問に対して返答する。
Ⓐ「ううん」Ⓑ「えええ」
●Ⓐに対して書いた内容を教える。
Ⓑ「⾳がきれい」
●教師の発問に対して返答する。
Ⓐ「え」
Ⓒ(Ⓐの⽅を⾒ながら)「きれいだとは思った?」
Ⓐ付箋に「⾳がきれい」と書く
●Ⓐに対して書いた内容を教える。
Ⓒ「弾き⽅。両⼿を使っていた」
●教師の発問に対して返答する。
Ⓐ「両⼿動いていた」
Ⓐ付箋に「両⼿が動いていた」と書く 筝曲〈線⾹花⽕〉を映像で鑑賞する。
○テンポ、⾳⾊、弾き⽅などに注⽬して鑑賞 する。
○聴きながら、感想や気づいたことを書く。
●〈線⾹花⽕〉を鑑賞する。
Ⓐ集中して画⾯を⾒て鑑賞している。
ⒷⒸ付箋に書きながら鑑賞している。⼀瞬2⼈で話をす る。
●〈線⾹花⽕〉を鑑賞する。
Ⓐ集中して画⾯を⾒て鑑賞している。
□ひき⽅ではどうか聞く。
Ⓑ「左⼿でぽんぽんしている」
□どのようにやっていたのか、やってみるよう声をかける。
Ⓑやってみせる
Ⓒ「少し似てて、右⼿で弾いて左⼿で押さえている。
〜 後 略 〜
〜 前 略 〜
導
⼊
展 開
〜 略 〜
〜 略 〜
〜 略 〜
〜 略 〜
〜 略 〜
〜 略 〜 宮城道雄が作曲した〈線⾹花⽕〉を鑑賞しよう。
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まず、箏曲に慣れるため〈線香花火〉を YouTube 動画で鑑賞した。鑑賞楽曲として〈線香花 火〉を選んだ理由として、まず、小学校音楽教科書では箏曲の作曲者として宮城道雄が取り上げ られることが多いからである。その上で、教科書で取り上げられる曲だけではなく、さまざまな 楽曲に触れられるようにと〈線香花火〉を選んだ。〈線香花火〉は《改訂版 宮城道雄著宮城道 雄箏独奏曲集》(2020)によると、「昭和16年に作曲された箏独奏曲。〈風鈴〉と〈線香花火〉
という夏の風物詩をテーマにした2曲から成る描写性に富んだ作品である」(p. 5)とあり、児 童が親しみやすい標題音楽である。授業者は既に述べた通り、小中学校の音楽で箏に触れた経験 はあるものの〈さくらさくら〉以外の箏曲に親しむ機会に恵まれなかったという経験がある。そ して音楽科教育における和楽器指導について、教材が〈さくらさくら〉に偏っていることを先行 実践から明らかにした。そこで、本授業実践にあたって、さまざまな箏曲を主に YouTube で視 聴し、その結果〈線香花火〉は教科書で取り上げられることの多い宮城道雄の作品であること、
授業で取り扱うのに適した曲の長さであること、親しみやすさ、さらに動画を配信している演奏 者の音楽性や演奏レベルが教材として適していると判断して教材にすることを決めた。
注目すべきことは、授業で鑑賞教材とした動画は授業者が主体的に選んだ動画であり(1)、その 演奏の良さなど、こだわりを持って選んでいるという点である。さまざまなテキストでは、鑑賞 指導においてどのような曲をどのように聴かせるかという点については説明されるが、誰の演奏 を活用するかという点については説明されない。そこには授業者の選択の余地が生まれる。視聴 覚教材は多々あり用いられているが、授業者のこだわりが反映できないことも多いのではないだ
ろうか。YouTubeのような動画共有サイトには、素人からプロの演奏まで古今東西のさまざまな
演奏が配信され、手軽に視聴することができる。プロでなくともプロ級の演奏に出会うことも少 なくなく、動画配信をきっかけにスターになる例もある。そのようなインターネットのメリット を大いに活用し、授業者が好む演奏表現を見つけることも鑑賞指導では大切なのではないだろう か。授業者の、主観的であっても、この演奏を児童と共有したいという「思い」がなければ、児 童にその良さが伝わることはない。既に述べたようにインターネットの動画共有サイトの使用に ついては考慮すべき点もあるが、世界中の動画を閲覧できるインターネットだからこその利点が ここにある。ICTを活用する有益な点はこのようなところにも見出せる。
〈2時限目 音楽づくり〉
この時限では自由に箏に触れながら、さまざまな箏の奏法を試し、その奏法を組み合わせて音 楽づくりを行った。
ICTを活用した場面としては、奏法を記した「弾き方カード」を提示し、その説明通りに実際 に箏を鳴らしながら、適宜、動画でその奏法を確認するところである。ここで用意したのは、前 時に視聴した〈線香花火〉より、その奏法で演奏している場面を編集しておいた動画と、奏法に ついて説明した教材動画である(2)。
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表4 2限目 鑑賞の授業
少人数であれば、授業者がその都度、奏法を提示すれば良いのであるが、実際の大人数の授業
○児童の主な学習活動 ●実際の児童の様⼦ □教師の発⾔・働きかけ
〇本時のめあてを確認する。 ●めあてを、確認する。
□この時間は筝を使って⾳楽をつくることを理解させる。
〇ひき⽅カードに記載されてい る奏法を学び⾳を鳴らす。
□8種類のひき⽅を学ぶことを伝え、⾒通しを持たせる。
□ひき⽅カードを⾒せグリッサンドという⼿前から奥に向 かって流れるように弾く技を教える。
Ⓑ「きれい」ⒶⒷⒸグリッサンドをする。
□(Ⓐに対して)⼒強くいいねと褒める。
□もう1種類のグリッサンドである(ひき⽅カードを⾒せ)奥 から⼿前へ弾く技を教える。
Ⓑ「こう(奥から⼿前にやっているふりをする)」
ⒶⒷⒸグリッサンドをする。
□前時に聞いた〈線⾹花⽕〉のグリッサンドのところだけ取 り出した動画を流すことを伝える。
□動画を流す
●動画を⾒る
□グリッサンドに気がついたのか確認をする。
□もう1回流すので⼀瞬のグリッサンドに注意して⾒るよう 伝える。
Ⓒ「⼀瞬だった」
□⼊るタイミングを伝え、⾒逃さないよう伝える。
□動画を流す
●動画を⾒る。
Ⓐ「ああ〜」ⒷⒸ「わかった」
実際にグリッサンドをやっているふりをする
□Ⓐに動画のようにやってみるよう伝える。
ⒶⒷⒸグリッサンドをする。
「⽖どっち?」
□⼈差し指につけるよう⽀援する。
ⒶⒷⒸグリッサンドをする。
□次は弦以外の⾳を出すことを伝える。
□⽖をつけていない⽅の⼿で筝をたたいたり触ったりして⾳
を出すよう指⽰する。
●実際に弦以外の⾳を出す
Ⓐ⻯頭をたたく-Ⓑ⻯尾をたたく-Ⓒ⻯尾と⻯頭をたたく
□どんな⾳するか問いかける。
Ⓑ「太い⾳する。⽊の⾳する。」
□ひき⽅カードを⾒せる
Ⓒ「押し⼿」
□押し⼿を学ぶことを理解させる。
□児童側に回り筝柱の右側を弾いて右側を弾く左側を押し、
押し⼿を実際にやって⾒せ⽐較させる。
Ⓑ「⾼くなった」
□⾼くなったことを確認させる。
□左側の弦を揺らす版もやってみせる。
Ⓒ「柱より右側押すとならないの」
□合せ⽖の動画を流すことを伝える。
□注⽬してほしい⽅の⼿を伝える。
□動画を流す。
Ⓒ「さっきのやつのこれの⼿のやつの反対側でピンってやっ たら」(⾝振り⼿ぶりをしながら説明する)
Ⓑ「ドゥツドゥルルルドゥツドゥルルル」(⾝振り⼿振りを しながら)
Ⓐ合せづめをやっている
□細部まで注⽬して⾒たことを褒める。
□これで全ての技を確認したことを伝える。
展 開 導
⼊
〜 略 〜
〜 略 〜
〜 後 略 〜 筝を使って⾳楽をつくってみよう。
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では、毎回、授業者に確認することは手間であるし混乱する可能性もある。そのため、例えばグ ループに1つのタブレットを用意し、それぞれのペースで奏法を確認できるようにしておくこと は、児童の主体的な学習態度を身につけるためにも有効である。
ところで、同様のICT活用は『教育音楽 小学版』2020年2月号にある佐藤圓(宝仙学園小 学校教諭)の筝授業の実践にも見られる。その授業では、電子黒板、3台のモニター(中央のモ ニターは書画カメラ、左右のモニターにはデジタル教材や拡大楽譜が表示される)が設置され、
さらに班に1台ずつヤマハのデジタル音楽教材「筝授業」が入ったダブレット端末が用意されて いる。そのタブレット端末を使って、児童が楽譜や動画を繰り返し再生する機能を使って練習し たい箇所を取り出して復習が行えるようになっている。授業のICT活用が進み、タブレットを取 り入れた授業実践が増えつつあるなかで、このような授業は今後、増えるだろう。しかし、佐藤 の実践では「ICTを活用する場面とそうではない場面。(中略)デジタルな学びとアナログな学 び。その切り替えのタイミングやバランスを配慮することで、それぞれの子どもたちが『自分に 合った』手段を見つけられる」(p.15)と、タブレットに依存するのではなく、やはりアナログ な部分の重要性も強調されている。本授業実践でも、授業者の不足している技術をICTの活用に よって補い、それによって児童のペースに合わせることが可能となった。しかし、それ以外の場 面においては、「アナログな学び」となっている。
〈3時限目 鑑賞〉
この時限では、4時限目に〈数え唄変奏曲〉を演奏する前段階として、〈数え唄変奏曲〉を1 時限目と同じ演奏者のYouTube動画を使って鑑賞した。〈数え唄変奏曲〉は変奏曲であるため、
わかりやすい歌のメロディがさまざまに変化する。その変化を聴き取りながら、さまざまな奏法 をより身近に感じられるように選曲した。2時限目で学習した奏法も随所で使われるため、どの 変奏でどの奏法が見られたか「鑑賞マップ」を使って確認し、学習を深めた。
〈4時限目 器楽〉
最後の時限では、前時に鑑賞した〈数え唄変奏曲〉を授業者が、箏に初めて触れたばかりの児 童が3人で1面の箏を使って演奏できるように編曲したものを練習し、合わせて演奏した。主に 器楽指導だったためICT機器の活用はなかった。
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5 おおわわりりにに
本授業実践では、和楽器未経験者である授業者が、インターネットの動画共有サイトの動画を活 用し、適宜、使いやすいように編集をするなどして、箏の演奏を鑑賞する場面や、奏法を確認して練 習する場面でICTを活用した。その結果、ICT活用の有用性として以下のことが挙げられる。
• 授業者の教材選択の幅が広がり、授業者にとって「思い」を持てる視聴覚教材を得られる。
• 動画の編集などによって、児童が自分のペースで奏法等を確認できるなど、主体的に取り組
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42 める場面を作り出せる。
ICT の活用により、小学校及び中学校の音楽の授業以外で和楽器に触れたことのない“和楽器未 経験者”である授業者であっても、箏の指導を可能にしたと言って良いだろう。
今後は、教科指導におけるICT活用がますます増えることが予想される。デジタル機器を使うこ とで授業の質をより良いものにしていくために、教員には「うまく」使いこなすスキルが必要とな る。本稿はICTの活用方法がさまざまあるなかで、未経験を補うためのICT活用という実践事例の 一つとなった。
謝 謝辞辞
本研究における筝の授業実践に御協力くださった3名の児童に、改めて感謝申し上げます。
注 注
(1)動画配信者の許可を得ていないため、どの動画を使用したかについては省略する。
(2)ここでは洗足学園音楽大学が配信する「伝統音楽デジタルライブラリー」より箏の奏法につ いて動画(https://www.senzoku-online.jp/TMDL/j/01-koto.html)を活用した。
引 引用用文文献献
一般社団法人日本著作権教育研究会「著作権 Q&A」https://www.jcea.info/Q&A.html(2021年6 月最終閲覧).
「授業ライブ・リポート『自分に合った』学びの手段」(2020)『教育音楽』75(2), pp. 11-15.
大木まみこ(2020)「音楽科教育のICT活用の現状―行政上の課題から見えること―」『教育音 楽』75(1), pp. 30-33.
深見友紀子・小梨貴弘(2019)『音楽科教育とICT』音楽之友社.
深見友紀子(2020)「今、学校教育で求められているICTとは」『教育音楽』75(1), pp. 26-29.
宮城道雄(2020)《改訂版 宮城道雄箏独奏曲集》
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