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中枢神経炎症性脱髄性疾患と脳腫瘍の鑑別における

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Academic year: 2021

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中枢神経炎症性脱髄性疾患と脳腫瘍の鑑別における proton MRS の有用性

研究分担者  清水優子1

共同研究者  〇池口亮太郎1、清水優子1、阿部香代子2、清水悟3、丸山隆志4、新田雅之4、阿 部光一郎2、川俣貴一4、北川一夫1 

演者・共同演者の所属: 1東京女子医科大学神経内科、2東京女子医科大学画像診断学・核医学講 座、3東京女子医科大学総合研究所・研究部、4東京女子医科大学脳外科 

【研究要旨】多発性硬化症 (MS)や視神経脊髄炎 (NMOSD)は、中枢神経炎症性脱髄性疾患の代 表的な疾患であり、自己免疫性機序が想定されている。これら中枢神経炎症性脱髄性疾患の診断 は非典型例の場合、診断に時間を要することも少なくない。特に脳腫瘍との鑑別に時間を要する 場面にもしばしば遭遇する。中枢神経炎症性脱髄性疾患の中でも、腫瘍様脱髄性病変 (TDL:

tumefactive demyelinating lesion)という頭部MRI上脳腫瘍によく似た所見を呈する一群があ り、中枢神経悪性リンパ腫や神経膠腫との鑑別のために脳生検が必要となる。本研究は、中枢性 脱髄性疾患と脳腫瘍におけるproton magnetic resonance spectroscopy (MRS)の有用性につい て検討した。

【目的】中枢神経炎症性脱髄性疾患のうち、

腫 瘍 様 脱 髄 性 病 変 (TDL: tumefactive demyelinating lesion)という MRI 上脳腫瘍 によく似た所見を呈する一群があり、鑑別に 時間を要することが多い。本研究は、TDLと 脳 腫 瘍 の 鑑 別 に お け る proton magnetic resonance spectroscopy (MRS)の有用性につ いて明らかにすることを目的とする。

【研究方法】本研究は後ろ向き研究である。

2004年1月から2017年6月の間に、当院に 入院もしくは外来受診しproton MRSを施行 した脳腫瘍患者、TDL患者を対象とした。異 なる MRI 装置を用いたため 2 つのコホート に分類した。コホート1 (2004年1月〜2011 年1月)は1.5テスラMRI装置を用い、神経 膠腫患者5名(3名が高悪性度)、悪性リンパ 腫2名、TDL 6名、多発性硬化症24名を解 析した。コホート2 (2011年1月〜2017年6

月)は3.0テスラMRI装置を用い、神経膠腫 患者 17名(8名が高悪性度)、悪性リンパ腫 1名、TDL 6名を解析した。全てsingle voxel、

PRESS法で行った。MRSで各代謝物のpeak areaを測定し、choline(Cho)/creatinine(Cr)、 N-acetylaspartate(NAA)/Cr、Cho/NAAを 各疾患間で比較した。ROC 曲線解析を行い、

各代謝物比の疾患マーカーとしての感度、特 異度などを算出した。Methionine-PET (M- PET)における腫瘍正常組織比 (TNR: target- to-normal-tissue ratio)とMRSの各代謝物比 との相関、それぞれの診断精度についても検 討した (コホート2におけるTDL患者4名、

神経膠腫患者11名を解析)。

【倫理面への配慮】本研究は東京女子医科大 学の倫理委員会において承諾を得て行い、プ ライバシーの保護に十分配慮し施行した。

【研究結果】コホート1において神経膠腫群

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の Cho/NAA が TDL 群よりも有意に高かっ た。コホート2では、神経膠腫群とTDL群間 において差は認められなかった。高悪性度神 経膠腫群、低悪性度神経膠腫群、TDL群間の 比較では、コホート1、2ともに高悪性度神経 膠腫群のCho/NAAがTDL群および低悪性度 神経膠腫群よりも有意に高かった (図A、B)。

ROC 曲線解析では、高悪性度神経膠腫群と TDL群間におけるCho/NAAのAUCは0.958、

感度は100%、特異度は 87%であった。また

MRSの各代謝産物比のうちCho/NAAのみが

M-PETにおけるTNRと有意な正の相関を示

した (r2=0.35、p = 0.02)。

【考察】Proton MRSのCho/NAAは、異な る2つの装置において、TDLと高悪性度神経 膠腫との鑑別において有用であった。MRSに おける代謝物比は、異なる MRS 装置および 設定では比較できないため、各装置・設定毎 に鑑別に有用な因子やcut off値などを評価す る必要がある。MRSは、Methionine-PETが 行えない場合、TDLと脳腫瘍の鑑別に有用で ある可能性が示唆された。

【結論】MRSはTDLと高悪性度神経膠腫と の鑑別に有用である可能性が示唆された。よ り鑑別精度を高めるため、今後さらなる検討

が必要である。

【文献】

1. Lucchinetti CF, Gavrilova RH, Metz I, et al. Clinical and radiographic spectrum of pathologically confirmed tumefactive multiple sclerosis. Brain 2008; 131: 1759-1775.

2. Weinshenker BG. Tumefactive demyelinating lesions: Characterstics of individual lesions, individual patients, or a unique disease entity?

Multi Scler 2015; 21: 1746–1747.

3. Hollingworth W, Medina LS, Lenkinski RE, et al. A systematic literature review of magnetic resonance spectroscopy for the characterization of brain tumors.

AJNR Am J Neuroradiol 2006;

27:1404-1411  

健康危険情報なし 

知的財産権の出願・登録状況  特許取得:なし 

実用新案登録:なし 

A:コホート1における各疾患のCho/NAAB:コホート2における各疾患のCho/NAA

図 A:コホート 1 における各疾患の Cho/NAA 図 B:コホート 2 における各疾患の Cho/NAA

参照

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