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目次 はじめに : 調査の概要 1 第 1 章インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策及び動向 2 1. スマートシティ開発に係る各種政策との関連性 2 2. 各都市が実施するスマートシティの構成要素 9 第 2 章インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策を活用した事業化に向けた具体的計画の

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インド・ナビムンバイでのスマートシティ開発における

JCM 事業実施可能性調査報告書

-経済産業省 産業技術環境局 地球環境対策室・地球環境連携室 委託調査-

平成 28 年 3 月

(2)

1.スマートシティ開発に係る各種政策との関連性 2 2.各都市が実施するスマートシティの構成要素 9 第 2 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策を活用した事業化に向けた具体 的計画の検討 15 1.インドにおける類似した開発に関する情報収集 15 2.事業計画の策定 20 3.事業化のためのファイナンスの検討 45 4.リスク低減策の検討 56 第 3 章 事業化した場合に適用可能な排出削減方法論の検討、同方法論を用いた排出削減 見込量の試算 58 1.JCM プロジェクトで採用する技術の検討 58 2.適用可能なJCM-MRV の検討 58 3.排出削減見込量の試算 73 4.排出削減ポテンシャル 76 第4 章 事業化した場合の経済効果及びインドへの影響の分析 78 1.スマートシティ開発計画の成功による経済効果の検討 78 2.JCM 化そのものによる経済効果の検討 79 3.インド全体の経済及びエネルギー需給に対する潜在的効果の検討 82 第5 章 今後の事業化の課題及び将来の JCM 化に向けた成功要因や解決すべき課題:事業 の具体化に向けた課題の抽出 89 第6 章 インドにおける JCM 及びスマートシティに関連する政策(低炭素技術・製品に関 する技術的基準や財政的支援策等)の提言 94 1.ナビムンバイにおける税制優遇措置、財政的支援策とインド他州及び新興国との 比較 94 2.ナビムンバイ及びインドに適した技術的基準の検討 101 i

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はじめに:調査概要

調査目的 経済産業省はインド・マハラシュトラ州政府との間で、産業協力に関する覚書を署名(平 成 27 年 9 月 11 日)し、エネルギー効率に焦点を当てたナビムンバイ・スマートシティ開発 の実現可能性調査を実施・協力することを合意している。そのため、この覚書に基づき、 将来の JCM 化を目指した当該地域におけるスマートシティ化に向けた実態調査や関連する 新たな政策の提言、当該政策提言と連動した低炭素技術・製品の普及等に向けた事業スキ ームの提案等を行うことで、JCM と優れた低炭素技術・製品の有用性を明らかにし、ナビ ムンバイのスマートシティ事業の推進を通じた低炭素技術・製品の普及促進を図るととも に、制度に関する二国間文書への署名に向けた理解の促進、及びインドに対する環境の持 続可能性の達成への我が国からの貢献に資することを目的とする。 調査内容 ナビムンバイにおけるスマートシティ計画の現況は、現時点では、①どういった産業が 進出するか不明、②どの程度の居住規模、どういった住宅構造になるか不明、③商業エリ アの具体的姿は不明となっている。そのため、今後、当該地域における開発計画の構築に 向けて、具体的な JCM 事業やスマートシティ化の可能性を明らかにし、開発計画において 必要な要素を組み込むというアプローチが必要になる。 そこで本調査は、当該計画での JCM やスマートシティ化の可能性の明確化に向けて、以 下の項目の調査・検討を実施した。調査方法は文献調査、ヒアリング調査等によって行っ た。 (1)インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策及び動向調査 (2)インドにおける JCM 及びスマートシティに関連する政策(低炭素技術・製品に関す る技術的基準や財政的支援策等)の提言 (3)事業化に向けた具体的計画の検討 (4)事業化した場合に適用可能な排出削減方法論の検討、同方法論を用いた排出削減見 込量の試算 (5)事業化した場合の経済効果及びインドへの影響の分析 (6)今後の事業化の課題及び将来の JCM 化に向けた成功要因や解決すべき課題 (7)インド政府関係者や企業等との JCM 及びスマートシティに対する理解の増進や関係 強化のために必要な取組の実施 1

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第 1 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策及び動向

1. スマートシティ開発に係る各種政策との関連性

1.1 スマートシティ 100 都市構想が立案されるまでの経緯

インドでは、2005 年 6 月に特別経済特区法(SEZ 法:Special Economic Zone act)を制

定し、経済活性化を推進してきた。その後、2006 年 12 月には、日印共同事業として 6 州

にまたがる地域に貨物専用鉄道を敷設し、その周辺に経済特区を設定することで経済圏を

整備する「デリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC:Delhi-Mumbai Industrial Corridor)」

構想が立ち上がり、工業団地、物流基地、商業施設の他、道路、発電所等のインフラ整備 に取り組んできた。DMIC 構想以外にも、デリー・コルカタ・チェンナイ・ムンバイの 4 つの都市を高速道路でつなぐ「黄金の四角形(GQ:Golden Quadrilateral )」構想等の試 みも図られてきた。しかし実際には、インフラ整備が思うように進まず、機能しない特区 が目立つ結果となった。また、インドでは、年々都市人口が急増する一方、水や電力、都 市交通など基礎的な社会インフラの整備が求められている状況にある。 その中で、産業と都市のインフラ改善を目指し、2022 年までに国内 100 カ所にスマート シティを構築する構想(以下、「スマートシティ 100 都市構想」)や、500 都市を対象にし

た 都 市 再 生 計 画 「 ア タ ル ・ ミ ッ シ ョ ン (Atal Mission for Rejuvenation & Urban Transformation)」構想(AMRUT 構想)等が打ち出された。 1.2 スマートシティ開発に係る各種関連政策 スマートシティ100 都市構想やアタル・ミッション構想の他にも、特に 3 億 7,700 万人 (2011 年)から 6 億人(2031 年)に急増するとされる都市人口への対応を目的として、プ ラダン・マントリ・アワズ・ヨジャナ(PMAY 構想)、スワッチ・バーラト・ミッション構 想(SBM 構想)などが導入されている。以下では、各政策について概要を記すとともに、 政策間の関連性について述べることにする。 ①スマートシティ100 都市構想 2015 年 6 月にインド政府(都市開発省)は、スマートシティ 100 都市構想整備事業に向

けたガイドライン「Mission Statement & Guidelines」を公表した。そこでは、スマート

シティに関する明確な定義はないが、スマートシティを構成する要素として表1.1.1 のよう な事例を挙げている。同年の8 月 27 日には、100 都市のうち 98 都市(ジャンヌカシミー ル州の1 都市とウッタルプラデシュ州 1 都市の 2 都市は候補から外れた)が整備候補都市 として選定された(表1.1.2)。候補都市には 24 の州都の他、ビジネス・産業センターが 24 都市、文化・環境地区が18 都市、港湾地区が 5 都市、そして教育・ヘルスケア拠点が 3 都 市ある。 98 都市は都市開発計画を提出し、選考を経てスマートシティ整備対象に選定される。選 考は3 回に渡って行われ、2016 年 8 月までに全選考が終了する予定となっている。 2

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表1.1.1 スマートシティの構成要素 スマートソルーション 具体事例 (1) E-ガバナンスと市民サービス 電子サービスの提供、防犯など (2) 廃棄物管理 エネルギー、燃料、堆肥、水、建築廃材など (3) 水管理 スマートメーターによる測定・管理、漏水特定、水質管理など (4) エネルギーマネジメント スマートメーターによる測定・管理、再生可能エネルギー エネルギーの効率化、グリーンビルディングなど (5) 都市交通 スマートパーキング、インテリジェント交通管理など (6) その他 スマート医療、スマート教育、ベンチャー企業支援、 貿易促進センター、スキル開発センターなど

出典:都市開発省 Mission Statement & Guidelines1(2015.6 公表)

表1.1.2 整備候補 98 都市(28 州、7 連邦直轄領)

1 http://smartcities.gov.in/writereaddata/SmartCityGuidelines.pdf

No 州名 都市名 No 州名 都市名 1 Andaman &

Nicobar Islands 1.Port Blair 19 Madhya Pradesh

1.Bhopal , 2.Indore , 3.Jabalpur , 4.Gwalior , 5.Sagar , 6.Satna , 7.Ujjain

2 Andhra Pradesh 1.Vishakhapatnam , 2.Tirupati , 3.Kakinada 20 Maharashtra

1.Navi Mumbai , 2.Nashik , 3.Thane 4.Greater Mumbai , 5.Amravati , 6.Solapur 7.Nagpur , 8.Kalyan-Dombivali ,

9.Aurangabad , 10.Pune

3 Arunachal Pradesh 1.Pasighat 21 Manipur 1.Imphal

4 Assam 1.Guwahati 22 Meghalaya 1.Shillong

5 Bihar 1.Muzaffarpur , 2.Bhagalpur , 3.Biharsharif 23 Mizoram 1.Aizawl

6 Chandigarh 1.Chandigarh 24 Nagaland 1.Kohima

7 Chhatisgarh 1.Raipur , 2.Bilaspur 25 Odisha 1.Bhubaneshwar , 2.Raurkela

8 Daman & Diu 1.Diu 26 Puducherry 1.Oulgaret

9 Dadra & Nagar Haveli 1.Dilvassa 27 Punjab 1.Ludhiana , 2.Jalandhar , 3.Amritsar

10 Delh 1.New Delhi Municipal Council 28 Rajasthan 1.Jaipur , 2.Udaipur , 3.Kota , 4.Ajmer

11 Goa 1.Panaji 29 Sikkim 1.Namchi

12 Gujarat 1.Gandhinagar , 2.Ahmedabad , 3.Surat 4.Vadodara , 5.Rajkot , 6.Dahod 30 Tamil Nadu

1.Tiruchirapalli , 2.Tirunelveli , 3.Dindigul , 4.Thanjavur , 5.Tiruppur , 6.Salem , 7.Vellore , 8.Coimbatore , 9.Madurai , 10.Erode

11.Thoothukudi , 12.Chennai

13 Haryana 1.Karnal , 2.Faridabad 31 Telangana 1.Greater Hyderabad , 2.Greater Warangal

14 Himachal Pradesh 1.Dharamshala 32 Tripura 1.Agartala

15 Jharkhand 1.Ranchi 33 Uttar Pradesh

1.Moradabad , 2.Aligarh , 3.Saharanpur , 4.Bareilly , 5.Jhansi , 6.Kanpur , 7.Allahabad , 8.Lucknow , 9.Varanasi , 10.Ghaziabad 11.Agra , 12.Rampur 16 Karnataka 1.Mangaluru , 2.Belagavi , 3.Shivamogga 4.Hubballi-Dharwad , 5.Tumakuru 6.Davanegere 34 Uttarakhand 1.Dehradun 3

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②アタル・ミッション構想(AMRUT 構想)

2014 年 5 月、500 都市を対象に都市再生計画「アタル・ミッション(Atal Mission for Rejuvenation & Urban Transformation)」構想(AMRUT 構想)が策定された。この計画

は、2005~2012 年の都市インフラ整備計画「ジャワハルラール・ネルー国家都市再生ミッ

ション」の後継として、主に上下水道の整備や都市交通の開発など市民サービスの向上を 中心に推進するものであり、スマートシティ開発の一面も有している。

インド政府(都市開発省)は、スマートシティ 100 都市構想と同様、この整備事業に向

けたガイドライン「Mission Statement & Guidelines」を 2015 年 6 月に公表した。アタル・

ミッション構想で想定される要素としては、表1.1.3 に示す内容を挙げている。現時点では、 500 都市のうち 484 都市が整備対象として公表されている(表 1.1.4)。また、総事業費は 5 年間で5,000 億ルピー(約 8,250 億円2)を計画している。 表1.1.3 AMRUT 構想の構成要素 構成要素 具体例 (1)水供給 (ⅰ)上水道、水処理施設、一般計器設置 (ⅱ)上水道、水処理施設の改修 (ⅲ)飲料水や地下水の再利用 (ⅳ)供給難地域(丘、海岸沿いの都市)への供給 (2)下水処理施設 (ⅰ)地下下水道網 (ⅱ)老朽化下水システムと処理施設の改修 (ⅲ)下水の再利用 (3)腐敗槽汚泥管理 (ⅰ)費用効率の高い排泄物運搬管理 (ⅱ)下水道・浄化槽の機械、生物による浄化 (4)道路側溝 (ⅰ)洪水防止のための建設・改修 (5)都市交通 (ⅰ)運河用フェリー、バス (ⅱ)歩道、橋の歩道、車を利用しない移動手段(自転車等) (ⅲ)多層式駐車場 (ⅳ)バス高速輸送システム(BRTS) (6)環境配慮型スペース、 公園 (ⅰ)子どもに優しいスペース、公園 (7)キャパシティ ビルディング (ⅰ)個人および企業向け (ⅱ)包括的キャパビル(CCBP)の継続

出典:都市開発省 Mission Statement & Guidelines3(2015.6 公表)

2 1 ルピー=1.65 円(H28.2.29 時点)で計算

3 http://amrut.gov.in/writereaddata/AMRUT%20Guidelines%20.pdf

17 Kerala 1.Kochi 35 West Bengal 1.New Town Kolkata , 2.Bidhannagar 3.Durgapur , 4.Haldia

18 Lakshadweep 1.Kavaratti

4

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表1.1.4 整備対象 484 都市(アタル・ミッション構想)

No 州名 都市名

1 Andaman & Nicobar Islands 1.Port Blair

2 Andhra Pradesh

1.GVMC 2.Vijayawada 3.Guntur 4.Nellore 5.Kurnool 6.Kadapa 7.Rajahmundry 8.Kakinada 9.Tirupati

10.Anantapur 11.Vizianagaram 12.Ongole 13.Eluru 14.Nandyal 15.Machilipatnam 16.Adoni 17.Tenali 18.Proddatur 19.Chittoor 20.Hindupur 21.Bhimavaram 22.Madanapalle 23.Guntakal 24.Srikakulam 25.Dharmavaram 26.Gudivada 27.Narasaraopet 28.Tadpatri 29.Tadepalligudem 30.Chilakaluripet 31.Amravati

3 Arunachal Pradesh 1.Itanagar

4 Assam 1.Guwahati 2.Silchar 3.Dibrugarh 4.Nagaon

5 Bihar

1.Patna 2.Gaya 3.Bhagalpur 4.Muzaffarpur 5.Biharsharif 6.Darbhanga 7.Purnia 8.Arrah 9.Begusarai 10.Katihar 11.Munger 12.Chapra 13.Dinapur Nizamat 14.Saharsa 15.Hajipur 16.Sasaram 17.Dehri 18.Siwan 19.Bettiah 20.Motihari 21.Bagaha 22.Kishanganj 23.Jamalpur 24.Jehanabad 25.Buxar 26.Aurangabad

6 Chandigarh 1.Chandigarh

7 Chhatisgarh 1.Raipur 2.Bhilai Nagar 3.Korba 4.Bilaspur 5.Durg 6.Rajnandgaon 7.Raigarh 8.Jagdalpur 9.Ambikapur

8 Daman & Diu 1.Daman

9 Dadra & Nagar Haveli 1.Silvassa

10 Delh 1.North DMC 2.East DMC 3.South DMC 4.New Delhi Municipal Council (NDMC)

11 Goa 1.Panaji

12 Gujarat

1.Ahmadabad 2.Surat 3.Vadodara 4.Rajkot 5.Bhavnagar 6.Jamnagar 7.Junagadh 8.Gandhidham 9.Nadiad 10.Gandhinagar 11.Anand 12.Morvi 13.Mahesana 14.Surendranagar Dudhrej 15.Bharuch 16.Vapi 17.Navsari 18.Veraval 19.Porbandar 20.Godhra 21.Bhuj 22.Botad 23.Patan 24.Palanpur 25.Jetpur Navagadh 26.Valsad 27.Kalol 28Gondal 29.Deesa 30.Amreli 31.Dwarka 32.Guja

13 Haryana 1.10.Bhiwani 11.Ambala 12.Sirsa 13.Bahadurgarh 14.Jind 15.Thanesar 16.Kaithal 17.Rewari 18Palwal Faridabad 2.Gurgaon 3.Rohtak 4.Hisar 5.Panipat 6.Karnal 7.Sonipat 8.Yamunanagar 9.Panchkula 19.Jagadhri 20.Ambala Sadar

14 Himachal Pradesh 1.Shimla

15 Jammu & Kashmir 1.Srinagar 2.Jammu 3.Anantnag

16 Jharkhand 1.Dhanbad 2.Ranchi 3.Deoghar 4.Adityapur 5.Hazaribag 6.Chas 7.Giridih 8.Jharkhand

17 Karnataka

1.BBMP 2.Hubballi-Dharwad 3.Mysore 4.Gulbarga 5.Mangaluru 6. Belagavi(Belgaum) 7.Davanagere 8.Bellary 9.Bijapur 10. Shivamogga 11.Tumakuru 12.Raichur 13.Bidar 14.Hospet 15.Gadag-Betigeri 16.Bhadravati 17.Robertson Pet 18.Chitradurga 19.Kolar 20.Mandya 21.Hassan 22.Udupi

23.Chikmagalur 24.Bagalkot 25.Ranibennur 26.Gangawati 27.Badami

18 Kerala 1.Thiruvananthapuram 2.Kochi 3.Kozhikode 4.Kollam 5.Thrissur 6.Alappuzha 7.Palakkad

19 Lakshadweep 1.Kavaratti

20 Madhya Pradesh

1.Indore 2.Bhopal 3.Jabalpur 4.Gwalior 5.Ujjain 6.Dewas 7.Satna 8.Sagar 9.Ratlam 10.Rewa 11.Murwara 12.Singrauli 13.Burhanpur 14.Khandwa 15.Morena 16.Bhind 17.Guna 18.Shivpuri

19.Vidisha 20.Mandsaur 21.Chhindwara 22.Chhatarpur 23.Neemuch 24.Pithampur 25.Damoh 26.Hoshangabad 27.Sehore 28.Khargone 29.Betul 30.Seoni 31.Datia 32.Nagda

21 Maharashtra

1.Greater Mumbai 2.Barshi 3.Pune 4.Yavatmal 5.Nagpur 6.Achalpur 7.Thane 8.Osmanabad 9.Pimpri Chinchwad 10.Nandurbar 11.Nashik 12.Wardha 13.Kalyan Dombivali 14.Udgir

15.Vasai-Virar City 16.Hinganghat 17.Aurangabad 18.Navi Mumbai 19.Solapur 20.Mira Bhayandar 21.Bhiwandi 22.Amravati 23.Nanded Waghala 24.Kolhapur 25.Ulhasnagar 26.Sangli-Miraj Kupwad 27.Malegaon 28.Jalgaon 29.Akola 30.Latur 31.Dhule 32.Ahmadnagar 33.Chandrapur 34.Parbhani 35.Ichalkaranji 36.Jalna 37.Ambarnath 38.Bhusawal 39.Panvel 40.Badlapur 41.Bid 42.Gondiya 43.Satara

22 Manipur 1.Imphal

23 Meghalaya 1.Shillong

24 Mizoram 1.Aizawl

25 Nagaland 1.Dimapur 2.Kohima

26 Odisha 1.Bhubaneswar Town 2.Cuttack 3.Brahmapur 4.Raurkela Town 5.Puri 6.Sambalpur Town 7.Baleshwar Town 8.Baripada Town 9.Bhadrak

27 Puducherry 1.Ozhukarai 2.Puducherry

28 Punjab 1.10.S.A.S. Nagar 11.Abohar 12.Malerkotla 13.Khanna 14.Muktsar 15.Barnala 16.Firozpur Ludhiana 2.Amritsar 3.Jalandhar 4.Patiala 5.Bathinda 6.Hoshiarpur 7.Batala 8.Moga 9.Pathankot

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※網掛けはスマートシティ100 都市構想整備候補都市(89 都市重複)

※下線はスマートシティ20 都市選定都市(19 都市重複)

③プラダン・マントリ・アワズ・ヨジャナ(Pradhan Mantri Awas Yojana)(PMAY 構想)

PMAY 構想は、「Housing for all(Urban)」から改名されたイニシアティブであり、2015

年7 月に住宅都市貧困緩和省からガイドライン「Scheme Guidelines」が公表された4。こ の計画では、2015 年から 2022 年までの期間において、貧困層やスラム街の住民を対象に 基礎的な設備を備えた住宅 2,000 万戸を都市に建設し、全ての市民が家を持つことを目標 としている。対象都市は、インドにおける全ての都市・町(4,041 ヶ所)(国政調査 2011 で規定)となっている。PMAY 構想の構成要素として、基礎的な社会インフラ、水処理、 公衆衛生、電気供給などが挙げられる。また、主な補助政策としては、住宅ローン金利の うち6.5%が補助される。更に、財政的支援として、1 戸当たり 10 万~23 万ルピー(約 19 ~43 万円)の建設補助を受けることができる。

④スワッチ・バーラト・ミッション構想(Swachh Bharat Mission)(SBM 構想)

SBM 構想は、都市における公衆衛生の改善を目的とした開発事業であり、2014 年 12 月

にガイドライン「Guidelines for Swachh Bharat Mission」が公表された。この計画は 2019

4 http://mhupa.gov.in/writereaddata/01_PMAY_Guidelines_English.pdf

29 Rajasthan

1.Jaipur 2.Jodhpur 3.Kota 4.Bikaner 5.Ajmer 6.Udaipur 7.Bhilwara 8.Alwar 9.Bharatpur 10.Sikar 11.Pali 12.Ganganagar 13.Tonk 14.Kishangarh 15.Hanumangarh 16.Beawar 17.Dhaulpur 18.Sawai Madhopur 19.Churu 20.Gangapur City 21.Jhunjhunun 22.Baran 23.Chittaurgarh 24.Hindaun 25.Bhiwadi 26.Bundi 27.Nagaur 28.Sujangarh

30 Sikkim 1.Gangtok

31 Tamil Nadu

1.Chennai 2.Coimbatore 3.Madurai 4.Tiruchirappalli 5.Salem 6.Tirunelveli 7.Ambattur 8.Tiruppur 9.Avadi 10.Tiruvottiyur 11.Thoothukkudi 12.Nagercoil 13.Thanjavur 14.Pallavaram 15.Dindigul 16.Vellore 17.Tambaram 18.Cuddalore 19.Alandur 20.Kancheepuram 21.Erode 22.Tiruvannamalai 23.Kumbakonam 24.Rajapalayam 25.Kurichi 26.Madavaram 27.Pudukkottai 28.Hosur 29.Ambur 30.Karaikkudi 31.Nagapattinam 32.Velankanni

32 Telangana 1.Khammam 2.GHMC 3.Warangal 4.Nizamabad 5.Karimnagar 6.Ramagundam 7.Mahbubnagar 8.Nalgonda 9.Adilabad 10.Suryapet 11.Miryalaguda

33 Tripura 1.Agartala

34 Uttar Pradesh

1.Lucknow 2.Budaun 3.Kanpur 4.Banda 5.Ghaziabad 6.Lakhimpur 7.Agra 8.Hathras 9.Meerut 10.Lalitpur 11.Varanasi 12.Modinagar 13.Allahabad 14.Deoria 15.Bareilly 16.Pilibhit 17.Moradabad

18.Hardoi 19.Aligarh 20.Mainpuri 21.Saharanpur 22.Etah 23.Gorakhpur 24.Basti 25.Firozabad 26.Chandausi 27.Loni 28.Gonda 29.Jhansi 30.Akbarpur 31.Muzaffarnagar 32.Khurja 33.Mathura 34.Azamgarh 35.Shahjahanpur 36.Ghazipur 37.Rampur 38.Mughalsarai 39.Maunath Bhanjan 40.Sultanpur 41.Farrukhabad-cum-Fatehgarh 42.Shikohabad 43.Hapur 44.Shamli 45.Etawah 46.Ballia 47.Mirzapur-cum-Vindhyachal 48.Baraut 49.Bulandshahar 50.Kasganj 51Sambhal 52.Amroha 53.Fatehpur 54.Rae Bareli 55.Orai 56.Bahraich 57.Jaunpur 58.Unnao 59.Sitapur 60.Faizabad

35 Uttarakhand 1.Dehradun 2.Hardwar 3.Haldwani-cum-Kathgodam 4.Rudrapur 5.Kashipur 6.Roorkee

36 West Bengal

1.Kolkata 2.Balurghat 3.Haora 4.Habra 5.Durgapur 6.Jamuria 7.Asansol 8.Bankura 9.Siliguri 10.North Barrackpur 11.Maheshtala 12.Raniganj 13.Rajpur Sonarpur14.Nabadwip 15.South Dum Dum 16.Basirhat 17.Rajarhat Gopalpur 18.Halisahar 19.Bhatpara 20.Rishra 21.Panihati

22.Ashoknagar Kalyangarh 23.Kamarhati 24.Baidyabati 25.Barddhaman 26.Puruliya 27.Kulti 28.Kanchrapara 29.Bally 30.Darjiling 31.Barasat 32.Titagarh 33.North Dum Dum 34.Dum Dum 35.Baranagar 36.Champdani 37.Uluberia 38.Bongaon 39.Naihati 40.Khardaha 41.Bidhan Nagar 42.Jalpaiguri 43.Kharagpur44.Bansberia 45.English Bazar 46.Bhadreswar 47.Haldia 48.Kalyani 49.Madhyamgram 50.Baharampur 51.Raiganj 52.Serampore 53.Hugli-Chinsurah 54.Medinipur 55.Chandannagar 56.Uttarpara Kotrung 57.Krishnanagar 58.Barrackpur 59.Santipur

6

(10)

理の推進、そして公衆衛生の意識向上を目的とした取り組みを対象としている。インドの 全4,041 都市・町が対象となる。ガイドラインでは、以下の構成要素が挙げられている。(表 1.1.5) 表1.1.5 SBM 構想の構成要素 No. 構成要素 1 家庭用トイレ(注水式水洗便所への転換含む)、共同体トイレ、公衆トイレ 2 固形廃棄物処理 3 公衆衛生についての大衆意識向上 4 キャパビル、事務管理

出典:都市開発省 Guidelines for Swachh Bharat Mission5(2014.12 公表)

その他の関連政策として、12 の都市を対象として、遺産都市の保護や観光による都市の

発展を目的としたHeritage City Development & Augmentation Yojana (HRIDAY)がある

が、HRIDAY とナビムンバイとの関連性は低いと思われる。 表1.1.6 スマートシティ開発に関連する政策の変遷まとめ 政 策 名 制定年度 概 要 黄金の四角形構想 (GQ: Golden Quadrilateral) 1998 ・主要4 都市(デリー・コルカタ・チェンナイ・ムンバイ)間の 道路整備構想。 国道整備計画

(NHDP: National Highway Development Project ) 1999

・GQ・南北道路・東西道路の整備。 ・既存国道の2 車線化・4 車線化・6 車線化。

特別経済特区法

(SEZ: Special Economic Zone act) 2005.6 ・特区による経済活性化やインフラ等の開発。

デリー・ムンバイ間産業大動脈構想

(DMIC: Delhi-Munbai Industrial Corridor ) 2006.12

・6 州(ハリヤナ州、ウッタルプラデシュ州、ラジャスタン州、マ ディヤプラデシュ州、グジャラート州、マハラシュトラ州)に またがる地域に貨物専用鉄道(DFC)を敷設し、その周辺に経 済特区を設定することで経済圏を整備。 ・特区では、工業団地、物流基地、商業施設、道路、発電所等の インフラを整備。 チェンナイ・バンガロール間産業回廊構想

(CBIC: Chennai-Bengaluru Industrial Corridor ) 2011

・タミル・ナド州チェンナイとカルナカタ州バンガロール間の道 路を整備し、その周辺の経済圏を整備。

・なお、タ州では、政策方針「Vision Tamil Nadu 2023」(2012.3) の基、道路整備、電力・水の供給等を行う「タミル・ナド州投 資促進プログラム(TNIPP)」がある。 スマートシティ100 都市構想 2014.5 ・2022 年までに国内 100 ヵ所にスマートシティを構築。 ・モディ政権の「Make in India」(インドを国際的な製造業のハ ブにするため投資促進計画)の受け皿づくりの一環。 ・都市開発省がスマートシティ整備事業に向けたガイドライン

「Mission Statement & Guidelines」(2015.6)※1を制定。

・2015 年 8 月、98 都市※2の整備対象都市を選定。2015 年度末に

は第一期整備事業20 都市を公表予定。

5 www.swachhbharaturban.gov.in/

7

(11)

アタル・ミッション構想

(AMRUT: Atal Mission for Rejuvenation & Urban Transformation) 2014.5

・500 都市を対象に、水資源の供給・下水道処理・公園緑地など の整備、都市交通の混雑緩和と汚染削減などを目指す都市整備 事業。 ・2005~2012 年の都市インフラ整備計画「ジャワハルラール・ネ ルー国家都市再生ミッション」の後継事業。 PMAY 構想

(Pradhan Mantri Awas Yojana) 2014.6

・2022 年までに、全家庭に水道水供給、トイレ設置、24 時間無停 電を目指す「Housing for all(Urban)」イニシアティブから改 名。

スワッチ・バーラト・ミッション構想

(SBM:Swachh Bharat Mission ) 2014.6

・市民の健康や公衆衛生、廃棄物処理の改善を目的にした取り組 み ・2019 年 2 月まで実施される 1.3 スマートシティ開発に係る各種政策との関連性 ここでは、上記した4 政策(スマートシティ 100 都市構想、アタル・ミッション構想、 PMAY 構想、SBM 構想)に関して、事業の概要について比較を行う。 まず、具体的な取り組み内容については、各政策の対象範囲に若干の違いがあるものの、 重複する取り組みがあることがわかる(表1.1.7)。また、スマートシティ 100 都市構想の ガイドラインにも関連する政策と協調して展開する方針が定められている。 表1.1.7 各種政策における主な構成要素の比較 構成要素 各種政策(下段は対象都市数) スマート シティ アタル・ ミッション PMAY 構想 SBM 構想 100 都市 500 都市 全市町村 (4041 ヶ所) 全市町村 (4041 ヶ所) インフラ 水処理関係 ○ ○ ○ 交通 ○ ○ エネルギーマネジメント ○ ICT スマート医療・教育等 ○ E-ガバナンス ○ 環境・衛生 廃棄物処理 ○ ○ ○ 環境に配慮した公園整備等 ○ トイレ整備(家庭・公衆等) ○ ○ 公衆衛生整備・意識向上 ○ ○ 各政策が対象としている都市についてみると、スマートシティ 100 都市構想とアタル・ ミッション構想では、89 都市が重複している(表 1.1.2、1.1.4 参照)。また、PMAY 構想 とSBM 構想では、インドの全 4,104 都市・町が対象となっており、対象都市は同じである。 これらの事業の実施を通じて、特定の都市における重点的なインフラ整備が可能となる。 従って、政策としては異なるものの、一つの都市を整備するための資金調達手段として、 インフラ整備をはじめ、生活基盤や生活水準を向上させていくものと考えられる。 8

(12)

る他のプロジェクトが同時に実施されているケースが認められる。そのため、インドにお けるスマートシティ化に向けた取り組みの把握には、そうした他の政策における資金支援 等の動向についても留意する必要がある。

2. 各都市が実施するスマートシティの構成要素

2.1 スマートシティ 20 都市選考結果 スマートシティ20 都市の第 1 期選考(ラウンド 1)では、2015 年 11 月末(12 月 15 日 まで延長)の締切りまでに、98 都市のうち 97 都市から提案書が提出された。選考の結果、 2016 年 1 月 28 日に第一期の整備対象として 20 都市が選定された(表 1.2.1)。 20 都市の選考にあたっては、スコア制が導入され、世界銀行、アジア開発銀行などの国 際機関や大学、そして研究機関等によるパネルディスカッションにおいて、上位20 都市(下 線・マーカー都市)が選定された(表1.2.2)。選定都市をみると、チェンナイ等の大都市の 他、比較的インフラの整っていない小規模な都市も多く選ばれている。 表1.2.1 スマートシティ 20 都市選定結果(H28.1.28 公表) No 州名 都市名 No 州名 都市名

1 Andaman & Nicobar Islands 1.Port Blair 19 Madhya Pradesh 1.Bhopal , 2.Indore , 3.Jabalpur , 4.Gwalior , 5.Sagar , 6.Satna , 7.Ujjain

2 Andhra Pradesh 1.Visakhapatnam , 2.Tirupati , 3.Kakinada 20 Maharashtra

1.Navi Mumbai , 2.Nashik , 3.Thane 4.Greater Mumbai , 5.Amravati , 6.Solapur 7.Nagpur , 8.Kalyan-Dombivali ,

9.Aurangabad , 10.Pune

3 Arunachal Pradesh 1.Pasighat 21 Manipur 1.Imphal

4 Assam 1.Guwahati 22 Meghalaya 1.Shillong

5 Bihar 1.Muzaffarpur , 2.Bhagalpur , 3.Biharsharif 23 Mizoram 1.Aizawl

6 Chandigarh 1.Chandigarh 24 Nagaland 1.Kohima

7 Chhatisgarh 1.Raipur , 2.Bilaspur 25 Odisha 1.Bhubaneswar , 2.Raurkela

8 Daman & Diu 1.Diu 26 Puducherry 1.Oulgaret

9 Dadra &

Nagar Haveli 1.Silvassa 27 Punjab 1.Ludhiana , 2.Jalandhar , 3.Amritsar

10 Delh 1.New Delhi Municipal Council 28 Rajasthan 1.Jaipur , 2.Udaipur , 3.Kota , 4.Ajmer

11 Goa 1.Panaji 29 Sikkim 1.Namchi

12 Gujarat 1.Gandhinagar , 2.Ahmedabad , 3.Surat

4.Vadodara , 5.Rajkot , 6.Dahod 30 Tamil Nadu

1.Tiruchirapalli , 2.Tirunelveli , 3.Dindigul , 4.Thanjavur , 5.Tiruppur , 6.Salem , 7.Vellore , 8.Coimbatore , 9.Madurai , 10.Erode 11.Thoothukudi , 12.Chennai

13 Haryana 1.Karnal , 2.Faridabad 31 Telangana 1.Greater Hyderabad , 2.Greater Warangal

14 Himachal Pradesh 1.Dharamshala 32 Tripura 1.Agartala

15 Jharkhand 1.Ranchi 33 Uttar Pradesh

1.Moradabad , 2.Aligarh , 3.Saharanpur , 4.Bareilly , 5.Jhansi , 6.Kanpur , 7.Allahabad , 8.Lucknow , 9.Varanasi , 10.Ghaziabad 11.Agra , 12.Rampur

(13)

表1.2.2 スマートシティ 20 都市のランキング 順位 都市名 州/連邦直轄領 スコア(%) 1 Bhubaneswar Odisha 78.83 2 Pune Maharashtra 77.42 3 Jaipur Rajasthan 73.83 4 Surat Gujarat 68.16 5 Kochi Kerala 66.98 6 Ahmedabad Gujarat 66.85

7 Jabalpur Madhya Pradesh 63.03

8 Visakhapatnam Andhra Pradesh 61.12

9 Solapur Maharashtra 60.83

10 Davanagere Karnataka 59.93

11 Indore Madhya Pradesh 59.89

12 New Delhi Municipal Council Delh 59.63

13 Coimbatore Tamil Nadu 58.74

14 Kakinada Andhra Pradesh 58.19

15 Belagavi (Belgaum) Karnataka 57.99

16 Udaipur Rajasthan 57.91

17 Guwahati Assam 57.66

18 Chennai Tamil Nadu 56.16

19 Ludhiana Punjab 55.84

20 Bhopal Madhya Pradesh 55.47

21 Ujjain Madhya Pradesh 55.03

22 Gwalior Madhya Pradesh 54.82

23 Warangal Telangana 54.79

24 Chandigarh Chandigarh 54.73

25 Amritsar Punjab 54.55

26 Shivamogga Karnataka 54.36

27 Jalandhar Punjab 53.82

28 Madurai Tamil Nadu 53.34

29 Lucknow Uttar Pradesh 53.24

30 Newtown Kolkata West Bengal 53.10

16 Karnataka

1.Mangaluru , 2.Belagavi (Belgaum), 3.Shivamogga

4.Hubballi-Dharwad , 5.Tumakuru 6.Davanagere

34 Uttarakhand 1.Dehradun

17 Kerala 1.Kochi 35 West Bengal 1.New Town Kolkata , 2.Bidhannagar 3.Durgapur , 4.Haldia

18 Lakshadweep 1.Kavaratti

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31 Nagpur Maharashtra 53.00

32 Panaji Goa 52.99

33 Salem Tamil Nadu 52.95

34 Nashik Maharashtra 52.75

35 Agra Uttar Pradesh 52.69

36 Thane Maharashtra 52.34

37 Rajkot Gujarat 52.33

38 Kalyan-Dombivali Maharashtra 52.30

39 Pasighat Arunachal Pradesh 52.26

40 Vellore Tamil Nadu 52.04

41 Kanpur Uttar Pradesh 52.00

42 Tirupati Andhra Pradesh 51.78

43 Greater Mumbai Maharashtra 51.77

44 Hubballi-Dharwad Karnataka 51.71

45 Navi Mumbai Maharashtra 51.68

出典:都市開発省 スマートミッションホームページより 6 2.2 スマートシティの構成要素 インド政府は 2015 年に、97 都市から提案のあったスマートソリューションの一部を公 表した(ヒアリングを通じ取得)。公表されたソリューションは、以下の通りであるが、基 本的には表1.1.1で示したガイドラインのスマートソリューションに概ね沿ったものとなっ ている。 ○ICT の活用した E-ガバナンス(27 都市) ○スマートメーターを用いたスマート水管理(21 都市) ○固形廃棄物処理の改善(20 都市) ○スマート公共交通(16 都市) ○LED 街灯(16 都市) ○公共防犯のためのCCTV カメラの設置(14 都市) ○交通と水供給監視のための指令・制御センター(9 都市) ○市民のためのスマートアプリ(6 都市) ○WiFi(5 都市) ○GIS(地理情報システム) マッピング(4 都市) 6 http://smartcities.gov.in/writereaddata/Ranking_of_Smart%20Cities.pdf 以下、省略 11

(15)

今回選定された20 都市の提案書7と、ナビムンバイの提案書(ヒアリングを通じ取得) の事業内容に関して、表1.2.3 に整理する。 表1.2.3 各都市が実施するスマートソリューション スマートソリューション スマートシティミッション ガイドライン 選定20 都市 ナビムンバイ 都市数 採用率(%) 採用の有無 E-ガバナンスと 市民サービス 電子サービス 10 50 ○ CCTV(防犯、交通管理等) 11 55 ○ 大気質監視 8 40 ○ 廃棄物管理 廃熱・エネルギー利用 1 5 固形廃棄物処理 20 100 ○ 水管理 上下水道 20 100 ○ 水質・漏水管理 9 45 ○ エネルギー マネジメント スマートメーターによる 測定・管理 20 100 ○ 再生可能エネルギー 20 100 ○ 省エネ(LED 街灯等) 20 100 ○ 都市交通 スマートパーキング 20 100 ○ スマート交通 20 100 ○ マルチ/ インターモーダル輸送 3 15 その他 ICT 20 100 ○ WiFi 10 50 ○ GIS(地理情報システム) (マッピング、旅行等) 11 55 スマート医療・教育 5 25 ○ ベンチャー企業支援 1 5 ○ スキル開発センター 3 15 ○ 20 都市が採用するスマートソリューションについてみると、交通の便の向上、水供給・ 下水処理やゴミ(固形廃棄物)処理、再エネ(10%以上を太陽光で賄うことが要件)などに ついては、ほぼすべての都市で採用されている。特に、水処理では、SCADA(監視制御シ ステム)を用いている例が多い。交通関連では、Coimbatore での 30km に渡るエコモビリ ティ回廊などにみられるように、歩道や、自転車道の整備を通じた、自動車依存を減らす 取り組みが多くなっている。また、防犯を目的とした CCTV カメラの導入が多い一方、 Jaipur と Udaipur では、タージマハール周辺の観光地の美化のため、CCTV カメラでの 7 http://smartcities.gov.in/winningCityp1.htm 12

(16)

高波対策など地域特性を考慮したソリューションの提案がみられる。また、New Delhi Municipal Council 等では、EV などの比較的先進的な取り組みもみられるが、生活基盤そ のものに係るソリューションが多いことがわかる。 ナビムンバイについても、「市民の生活の質の向上と、持続性かつ信頼性があり、斬新か つ活気のある都市の実現」というビジョンのもと、20 都市と同様のソリューションを多く 提案したが45 位という結果となった。この理由として、スキル社は、ナビムンバイは比較 的インフラの整った大都市であると分析としているが、提案者のナビムンバイ市有公社 (NMMC)が中央・州政府が監視する特別目的会社(SPV)に反対であることや他都市と 比較し特徴ある提案内容でなかったことなども起因したものと考えられる。8 なお、インドでは国策として、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー等の導入が 進みつつある他、インド電力省ではスマートグリッド関連技術の実証にも積極的に取り組 んでおり、今後より高度なスマートシティの技術要素を取り入れていくと考えられる。な お、スマートグリッド実証には、ハリヤナ州パニパット市において新エネルギー・産業技 術総合開発機構(NEDO)との共同によるスマートメータを活用した配電系統監視・制御 技術実証などがある。 2.3 残り 80 都市の選考スケジュール 今回選定された20 都市はラウンド 1 であり、2016 年 4 月から受付が始まるラウンド 2 に先駆け、今回選定されなかった20 都市以外の州、23 州より各 1 都市が選定される予定 である。 また、ラウンド2 については、残り 57 都市のうち、40 都市を上限に選定される予定と なっている。ナビムンバイについては、残り57 都市に該当するため、このタイミングで再 度申請する予定である(表1.2.4)。 スマートシティ開発にかかる総事業費は5 年間で 4,800 億ルピー、1 都市当たり毎年 10 億ルピーが支給される計画となっている。 なお、マハラシュトラ州からは10 候補都市が提案書を提出し、ラウンド 1 では 2 都市が 選定された。10 都市の合計費用は 3,200 億ルピーとされており、ナビムンバイは 850 億ル ピーと、最も費用の高い開発計画であった。 中央政府が打ち出したスマートシティ 100 都市構想とは別に、マハラシュトラ州都市産 業開発公社(CIDCO9)はナビムンバイのスマートシティ開発を目的として、2015 年 12 月に州独自の政策である「スマートシティアクションプラン」を発表した。2019 年までに 3,500 億ルピー規模の計画であるが、中央政府からの予算はなく、CIDCO 独自の資金調達 や民間企業の参加によって賄う計画となっている。ただ、州政府によるスマートシティ整 備計画があるものの、中央政府が主導し国際的にも認知されている 100 都市構想に選定さ れない場合には、資金調達や海外企業の参加という点で、少なからず影響が伴う可能性が 8 現地ヒアリングによる

9 CIDCO : City and Industrial Development Corporation of Maharashtra

13

(17)

ある。 表1.2.4 今後の選考スケジュール ※ナビムンバイはラウンド2 で再申請を予定 2016年 選考過程 対象 1月 4月 6月 8月 1月28日 選定(済) 4月15日 4月1日 6月30日 選定 全97都市から20都市を選定 (1)ラウンド1 (1)、(2)で選定されていない都市のうち 40都市を上限として選考 (3)ラウンド2 (1)で選定都市のない23州の各1都市を 優先して選考 (2)ファーストトラック 受 付 受 付 14

(18)

第 2 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策を活用し

た事業化に向けた具体的計画の検討

1. インドにおける類似した開発に関する情報収集

1. 1 調査対象工業団地の選定 現在のナビムンバイ開発計画は計画策定段階にあるため、具体的な事業計画の策定に当 たっては、インドの典型的な工業団地等を参照する必要がある。また、本調査事業は、ス マートシティ開発による二国間クレジット制度(JCM)化の検討を念頭に置いていること から、日系企業が進出している他の工業団地の動向を調査し参考とする。なお、調査は、 文献等による調査に加え、現地訪問によるヒヤリングにより実施する。 現在、インド国内には大小様々な工業団地が存在し、現在も開発が進行中である。2015 年4 月には、日本の経済産業大臣とインドの商工大臣間において、日本が投資支援する 11 ヶ所の工業団地が選定され、共同文書が発行された 10。選定された 11 ヶ所の工業団地へ の日系企業の進出状況も含め、在インドの政府関係組織・企業等に確認した結果、ラジャ スタン州ニムラナ工業団地がインド国内で最も成功している工業団地であることがわかっ た。なお、日本が投資支援する工業団地の進出状況については、表2.1.1 の通りである。 表2.1.1 日本が支援する工業団地と進出企業数(2015 年 11 月調査時) 州名 地域名 企業数進出 州名 地域名 企業数進出 アンドラ・プラデシュ (Andhra Pradesh) 州南部とクリシュナパト ナム港間の地域 0 軒 ラジャスタン (Rajasthan) ギロット工業団地 0 軒 グジャラート (Gujarat) マンダル工業団地 3 軒 タミルナド (Tamil Nadu) ポネリ工業団地 0 軒 ハリアナ (Haryana) ジャジャール工業団地 2 軒 タミルナド (Tamil Nadu) ワンハブ チェン ナイ 工業団地 3 軒 カルナカタ (Karnataka) トゥムクゥル工業団地 0 軒 タミルナド (Tamil Nadu) 双日マザ ーソン 工業 団地 0 軒 マハラシュトラ (Maharashtra) スパ工業団地 0 軒 ウッタル・プラデシュ (Uttar Pradesh) グレータ ーノイ ダ統 合工業団地 0 軒 ラジャスタン (Rajasthan) ニムラナ工業団地 46 軒 10 http://www.meti.go.jp/press/2015/09/20150911004/20150911004.html 15

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ニムラナ工業団地は、図2.1.1 に示す通り、ラジャスタン州の北東部のハリアナ州との境 界付近にあり、ニューデリーより約120km の場所に位置する。この工業団地は、経済特別 区の指定は受けてはいないものの、前述したデリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)構想 の周辺地にあり、インドとしても今後最も注力する地域にある。今回、ナビムンバイの開 発に当たり参考とするため、ニムラナ工業団地を視察することにした。 図2.1.1 ニムラナ工業団地位置図 1.2 類似した工業団地の調査結果 ニムラナ工業団地は、ラジャスタン州産業公社(RIICO)により開発された工業団地で ある。3 つの開発エリアのうち、1 つが日系企業専用エリアであり、2007 年より分譲開始 されている。現在、日系企業の入居率は 8 割以上に達しており、電気機械や自動車関連部 品が主な進出企業である。日系企業専用エリアの敷地面積は約 467ha、電力需要は現時点 で約100MW である。 16

(20)

図2.1.2 ニムラナ工業団地の見取り図 図2.1.3 ニムラナ工業団地の風景 ① ニムラナ工業団地の電力供給 ニムラナ工業団地の電力供給は、開発初期と現在で状況がかなり異なる。工業団地周辺 には11kV と 33kV の 2 種類の電力系統があり、開発初期は全て 11kV より供給されていた。 11kV 系統は一般家庭も含めた多くの需要家に供給する系統でることもあり、開発初期は予 告なく週に数回の停電から一度停電すると数日間継続する状態下であった。このため、工 業団地では、以下のステップで電力供給の改善が図られていることがわかった。 17

(21)

ステップ 対 策 備 考 第1 期 (2007 年~) ・各需要家の自家用発電機(ディーゼル発電機 DEG)を連携し、地域で相互融通するキャプテ ィブ発電CPP※1 を実施。 ・※1:図 2.1.4 参照 第2 期 (2012 年~) ・自家用発電機(DEG)と太陽光発電(6MW の うち1MW)を連携。 ・発電会社は30MW ガスタービン発電機を導入。 ・供給力の向上 ・低炭素化の実現 現在 ・需要家の2/3 は 11kV から 33kV に昇圧済。 ・停電頻度の縮小 ・自家用発電機の燃料 コストの抑制 これにより、現在の停電頻度は、月1回数時間程度までに大幅に改善されている。なお、 突発的な停電に備え、需要家ではバックアップ設備として自家用発電機は保有している。 図2.1.4 キャプティブ発電と太陽光発電による電力供給イメージ 安定的な電力供給の実現には、供給力以外にも、電力設備そのものの品質も重要な要素 である。そこで、工業団地の電力系統の敷設状況についても調査した。工業団地に敷設さ れている電線は裸電線にも関わらず街路樹と離隔不足にあること、また、地中ケーブルの 敷設も防護なしの直接埋設であることなど、インドで最も成功している工業団地でさえも、 依然として停電リスクがある状況下にあり、改善余地が見られた。なお、この状況は、イ ンドのコスト意識と電力供給品質に対する意識の問題であるとも考えられ、工業団地内に ある電線の所有者に応じて改善交渉は異なる。 18

(22)

図2.1.5 電力系統の架線状況 図2.1.6 地中ケーブルの敷設状況 ② 工業団地開発での留意点 海外における日系企業が進出する工業団地開発を考えた場合、安定した電力供給以外に も、日本人従業員の住環境への配慮が必要である。今回視察した企業によると、日本人従 業員のうち、独身者は工業団地周辺に居住し、家族同伴者は教育や生活環境が整ったハリ アナ州グルガオン市より通勤している(図2.1.1 参照)。ただし、独身者についても、週に 一度はグルガオン市に食料品等の買い出しをしなければならない状況下であった。更に、 グルガオン市とニムラナ工業団地を結ぶ国道8 号線は慢性的な交通渋滞にあり、通勤や生 活面で負担が強いられていた。現在、ニムラナ工業団地では、団地に隣接した居住エリア (住居・商業・病院等)の整備が進められている(図2.1.2、図 2.1.7 参照)。 19

(23)

図2.1.5 ニムラナ工業団地に建設中の居住エリアの様子 また、日本が投資支援する11 ヶ所の工業団地に選定されたマハラシュトラ州スパ工業団 地(開発総面積約930ha うち日系企業専用エリア約 200ha。2015 年 9 月分譲開始。)にお いても、開発エリア内には工業区の他、病院、日本人学校、レストランなども完備されて いる。 このように、工業団地開発と併せ、労働者の住環境も整備することが、日系企業にとっ てより進出しやすい環境になるものと言える。

2. 事業計画の策定

2.1 Navi Mumbai Special Economic Zone(NMSEZ)の開発計画の現状

NMSEZ は、経済特区に指定された開発総面積約 2,000ha の大小4つのエリア、Ulwe

(Waterfront)、Ulwe(Airport)、Kalamboli および Dronagiri からなる。経済発展が著し いムンバイの中心からこの NMSEZ への移動には、現時点ではムンバイ湾北部を経由する 必要があり、車で2 時間から 2 時間半の道のりである。しかし、ムンバイ湾において円借 款により総長約 22km にもなる連絡橋を敷設する計画が現在進行中であり、この連絡橋の 完成によりムンバイからのアクセスは大幅に短縮され、30 分程度になる見込みである。ま た、ナビムンバイ北部には新空港の建設も予定されており、既に工事は着工されている。 ヒヤリングによれば、連絡橋と新空港の完成時期は双方とも2019 年度の完成(運用開始は 2020 年代初頭)を目指しているが、完成時期が前後する可能性もある。(図 2.2.1 参照) 20

(24)

図2.2.1 NMSEZ の開発エリア NMSEZ には、現在、以下の開発条件が設定されている。 ・工業区と併せ、商業・居住・公園なども整備する。

・工業区は開発エリア全体の85%とする。(残り 15%は商業・居住・公園など)

・工業区で製造した商品のうち75%は海外輸出とする。(残り 25%は国内販売可)

この条件の基、NMSEZ の開発者である SKIL Infrastructure Ltd11(以下、スキル社と

いう。)の現時点の開発計画は、表2.2.1 の通りであり、4 エリア全体の総需要は、700MW を想定している。 この開発計画によれば、工業区に加え、居住区などの併設も想定しているのはDronagiri の1 エリアのみであり、その他 3 エリアは工業区のみとなっている。また、Dronagiri の進 出想定業種は多岐に亘る一方、残り 3 エリアについては、比較的広大な敷地面積および需 要想定にも関わらず、特定業種に限定している。現時点のスキル社による開発優先順位は、 以下のとおりである。 ・優先順位1 位:②Ulwe(Airport)、④Dronoagiri ・優先順位3 位:③Kalamboli ・優先順位4 位:①Ulwe(Waterfront) 更に、本地域の開発事業者であるスキル社は、現在の彼らの開発計画に対する事業計画 11 プラント・港湾・鉄道等の EPC(設計・調達・建設)ビジネス、防衛ビジネスの他、 造船、物流などを手掛ける総合エンジニアリング企業。1990 年設立、ムンバイ拠点。 21

(25)

の立案を求めているのではなく、NMSEZ における開発コンセプトそのものや、最終的に実 現すべきスマートシティの将来像を求めている段階にあり、実現したいスマートシティ像 として、低炭素かつ最先端なスマートシティの実現を目指している。

表2.2.1 現時点の NMSEZ 開発計画

用 途 区 分 ①Ulwe(Waterfront) ②Ulwe(Airport) ③Kalamboli ④Dronagiri

計画業種と構成比率 [100%] 宝飾品 [67%] 国際金融センター [32%] IT 分野における 外部委託サービス (ITES・BPO・KPO) [100%] 繊維・アパレル・ 革製品 [32%] 物流倉庫・配送 [18%] 自動車部品・ 軽工業・電気機械 [14%] 電子機器・ 小型電子部品・ 家電・家庭用品 [14%] 化学薬品・バイオ・ 医薬品製造 [14%] 加工食品・飲料 [8%] 繊維・アパレル・ 革製品 工業区 1.工業エリア 52 ha 208 ha 228 ha 425 ha 2.物流倉庫・配送センター - - - 200 ha その他 3.居住エリア - - - 145 ha 4.ユーティリティスペース 2.2 ha 9 ha 7.3 ha 23 ha 5.公園・オープンスペース 11 ha 44 ha 49 ha 130 ha 6.社会インフラ 3.8 ha 14 ha 16.7 ha 56 ha 7.道路 11 ha 45 ha 49 ha 171 ha 8.その他、溜池(既存) - - - 100 ha 総 計 80 ha 320 ha 350 ha 1,250 ha (備考)最大電力量 35MW 126MW 147MW 392MW

注:ITES : Information Technology enabled Services. BPO : Business Process Out-sourcing.

KPO : Knowledge Process Outsourcing.

2.2 NMSEZ の開発提言 本稿では、ニムラナ工業団地および NMSEZ の調査結果を踏まえ、事業計画の立案に先 駆けて実施すべく、開発コンセプトの立案と開発エリアの周辺環境を踏まえた具体的な方 向性について提言する。なお、本提言では、現在スキル社が考える将来像は押さえつつ、 コンセプトの抜本的見直しを実施した。 22

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ナビムンバイ開発のコンセプト立案に当たり、先ずは、ナビムンバイで将来的に実現す る街づくりを検討した。インド国内に日系企業が進出し操業していくためには、一番の課 題は安定した電力の確保である。最近は以前と比較すると停電頻度は低下傾向ではあるが、 頻繁かつ無計画に停電するような環境下では各企業の事業計画に影響するため、日系企業 が進出する判断は難しくなる。このため、開発エリアには、各企業の事業継続が可能とな る強靭な電力供給を備えておく必要がある。 ただし、電力の安定供給だけでは企業進出を促進することは難しい。如何に低廉な電気 を供給できるかが次の課題となる。これまでのように、各需要家が電力の供給量を管理し ている状況下では、設備維持費などのコスト面で各需要家にかなりの負担を強いることに なるため、進出促進には繋がらない。そこで、各需要家のコスト負担を排除するためには、 域内として全体のエネルギーを管理し、効率よく利用できる仕組みの提供も、開発エリア には必要である。 更に、現在のインド国内ではコストメリットなどの観点から比較的エネルギー効率が低 い機器や設備等が普及しており、例えば近年は、著しく増加した自動車による排気ガス汚 染なども深刻な問題となっている。今回の開発エリアがこれまでと同様なエネルギー利用 を継承するようでは、低炭素かつ最先端なスマートシティの実現には程遠い。そこで、開 発エリアに低炭素に繋がる様々な取組みを導入することによって、スマートシティのある べき姿を示し、現地の人々に向けて環境意識を変革するメッセージを伝える役割・機能も、 開発エリアには必要である。 以上より、ナビムンバイで実現したい街づくりのポイントを、以下3 点に設定する。 1) 停電に強く、事業継続可能な「レジリエンスシティ」 2) 域内のエネルギーを賢く利用する「スマートエネルギーシティ」 3) インド国内を代表する低炭素な「環境配慮型スマートシティ」 この街づくりの実現に向け、実施すべきアクションについて検討した。電力供給を安定 化するうえで、先ず必要なことは電力インフラの充実である。ニムラナ工業団地でさえも 日本の電力設備と比較すると停電リスクが随所に見受けられたため、ナビムンバイの開発 に当たっては、極力、停電リスクを排除した設備構築が必要なアクションと言える。 次に、停電リスクが排除された電力インフラにおいて、大規模な低炭素を実現するため には、先ずは開発エリアの至る所に省エネルギー設備を導入していくことが必要である。 しかし、省エネルギー設備の導入に頼るだけの低炭素化では、その製品の持つ性能だけに 委ねられ、実運用上でエネルギー効率を高めることはできない。そこで、系統電力に頼ら ないエネルギー源も開発エリアに組み込むことも必要と言える。具体的には、太陽光発電 などに代表される創エネルギー設備や、蓄電池に代表される蓄エネルギー設備の導入など であり、これらは省エネルギー設備の導入と同様に重要な要素である。 これらのアクションの実現だけでも十分なスマートシティにはなり得るが、電力供給面 以外においては、インド国内に対しメッセージ性のある最先端なスマートシティを提供し 23

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ているとは言い難い。そこで、電力インフラの開発に併せて構築した情報通信回線を用い、 様々な IOT12サービスを開発エリアに提供することを考える。これにより、外面的には開 発エリアにおけるスマートシティ像を域外に対して見える化できるだけではなく、内面的 には開発エリアの企業やそこで生活する人々に対してスマートシティの恩恵を実感させる ことに繋がるため、IOT サービスの提供も必要なアクションとなる。 以上より、ナビムンバイで実現したい街づくりに向け、実施すべきアクションとしては 次の3 点を設定する。 1) 域内グリッドの充実 2) 省エネ・創エネ・蓄エネの大規模導入 3) IOT の展開 開発コンセプトの概念図は、図 2.2.1 に示す通りである。また、3 つのアクション関して、 以下、それぞれ具体的に提言する。 図2.2.1 ナビムンバイに提案するスマートシティ化構想 (1)域内グリッドへの提言 域内グリッドへの提言は、次の3 点である。 ・工場向けには、特別高圧(22kV 級配電線)の専用回線にて構築。 ・停電範囲を短時間に縮小するため、工場には 2 方向引込、その他は配電自動化システ ムを推奨。 ・電力系統の停電時には、再生可能エネルギーと蓄電池のみで域内供給。 ナビムンバイ周辺の電力系統は11kV と 22kV である。そのため、工場での停電リスクの 回避を考えると、22kV 系統から専用回線にて構築することが望ましい。また、更に電力品 質を高めるうえでは、以下の点についても推奨される技術要素となる。 12 Internet of Things の略称であり、あらゆるモノがネットワークを介して繋がり、モノ同 士が人の操作・ 入力を介さず、自律的に最適な制御が行われることを意味する概念のこと。 24

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・配電線の地上高確保 ・電線のケーブル化 ・地中ケーブルの保護管敷設 なお、工場以外の需要家に対して、通常のように11kV 系統から供給する場合には、停電 範囲を極小化するうえで、配電自動化システムの導入なども考慮すべき技術要素と言える。 開発エリア内における通常の電力供給方法としては、太陽光発電を基本として供給し、 太陽光発電による供給量で足らない分は系統電力から供給する。また、天候等による再生 可能エネルギーの需要変動を補う技術要素として、蓄電池を域内に組み込むことを想定し ている。しかし、停電により系統電力からの供給が完全に途絶えた場合には、域内だけで 電力供給する必要がある。この場合、マイクログリッドにおいて太陽光発電と蓄電池のみ の運転に切り替えする。その際、全体の電力供給量は減少とならざるを得ないため、無通 告で供給量を減らすのではなく、きめ細やかなサービスを提供するうえで、需要家に対し てデマンドレスポンス(DR)を発動し、電力使用量の目安や停電時刻の周知など適切な情 報を提供するツールも備えておくことが必要である。 図2.2.2 再生可能エネルギーと蓄電池による供給イメージ (2)省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言 省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言は、以下2 点である。 ・省エネ・創エネ・蓄エネの大規模導入により、「低炭素基盤」を構築。 ・ICT13/M2M14を活用し、導入した省エネ・創エネ・蓄エネ機器を全体で管理制御す ることにより、更なる低炭素化の促進と電力安定供給を実現。

13 Information and Communication Technology の略称であり、情報・通信に関する技術の総称

のこと。

14 Machine to Machine の略称であり、機械と機械が通信ネットワークを介して、互いに情

報をやり取りすることにより、自律的に高度な制御や動作を行うこと。

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低炭素化の実現のためには、先ずは域内に省エネ・創エネ・蓄エネ設備を導入していく ことが基本となるが、どれだけの規模で導入できるかによって低炭素化の進展が左右され る。また、より低炭素化を促進させていくためには、それら設備の導入だけに留まらず、ICT を活用しそれぞれの情報を連携させ、域内エネルギーをトータルで管理・制御することが 重要である。 このトータルマネジメントは、単に低炭素化を促進するだけでなく、域内にあるエネル ギーを無駄なく効率的に制御することも可能なため、電力の安定供給にも寄与する。具体 的に実施すべき内容を、図2.2.3 に示す。 図2.2.3 ナビムンバイに導入すべき技術要素 図に示したように、開発エリア内では、設備導入・モニタリング・オペレーションの3 点セットを展開する。これにより、設備導入を単独で実施するときよりも、より低炭素化 の促進と電力の安定供給を図ることが可能となる。更に、トータルマネジメントを電力エ ネルギーの枠だけに留めず、熱エネルギー、上下水や工場排水と言った水処理、交通分野 などにも拡大することによって、街全体としてより一層の効果を見込むことができる。 しかし、省エネ・創エネ・蓄エネ設備の大規模導入を一度に実現することは難しい。そ のため、進出企業の規模数も考慮しながら、小規模からでも設備導入・モニタリング・オ ペレーションの3 点セットで PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを廻しながら、 域内を徐々に好循環(スパイラルアップ)させていく事業計画の立案が必要である。 また、これらの要素技術は、日本企業が得意としている分野でもある。そのため、ナビ 26

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は日本の技術や製品の海外輸出にも繋がる可能性がある。 (3)IOT(Internet of Things)の展開への提言 IOT の展開への提言は、以下 3 点である。 ・域内に張り巡らされた情報通信網を活用し、様々な情報を連携した「情報プラットフ ォーム」を構築。 ・ ICT を活用し、業務の質・量・速さの向上を実現。 ・将来は、蓄積されたビックデータ15を活用することで、様々な新サービスを域内に提 供。 エネルギーマネジメントの実施により、開発エリア内には情報通信網が張り巡らされる ことになる。また、ICT と M2M により、域内のあらゆる機器と機器とが接続され、利用状 況などの様々なデータが多く集約される。この集約データを活用することで、域内エネル ギーの更なる効率化に役立てることが可能になる。そこでは、域内データを集約する「情 報プラットフォーム」を域内に設置し、一元的に管理する仕組みを構築する。 また、インド経済の今後の成長や中東・アフリカなどへの輸出量増加などを考えれば、 開発初期からICT を活用した業務スタイルの変革をしておくことが必要である。ICT を活 用し、業務の質・量・速さを向上させることによって、ビジネスチャンスを逃さない仕組 みが構築できれば、電力供給面以外でも魅力的な産業拠点となり得る。 更に、域内で得られたデータをエネルギーマネジメントや業務面だけで活用するだけで は、スマートシティとしての魅力は十分ではない。そこで、域内で得られたビックデータ の解析や情報通信網をエネルギー分野以外へ活用し、域内で働く人々や生活する人々にも 様々なサービスを提供する。これにより、開発エリアを、インドを代表する先進的なスマ ートシティとすることが可能になる。 なお、新サービスの提供には、サービス提供会社へのデータ売買だけではなく、ビック データを解析するマーケティング業界と連携しながら自ら提供することなども考えられる。 図2.2.4 に、域内において考え得る IOT サービスの一例を示す。 例に挙げたように、様々なデータを連携していくことで、提供できるサービスは無限大 である。従って、IOT サービスの提供に当たっては、スキル社が提供したい IOT サービス を実現していく必要がある。また、省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言でも述べたよう に、例えば、スマート物流から初め、スマート交通、スマート通販へと段階的に域内サー ビスを拡充していくなど、IOT サービスの展開においても事業計画の立案が必要である。 15 インターネットの普及やコンピューターの処理速度の向上などに伴い生成される、大容 量のデジタルデータのこと。 27

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図2.2.4 域内に提供するうえで考え得る IOT サービスの一例 2.2.2 開発エリアの周辺環境を踏まえた具体的な方向性 (1)ナビムンバイに構築するスマートシティの概念 ここまで想定してきたスマートシティ化の基本的な構想を踏まえれば、具体的にナビム ンバイに構築するスマートシティは次の通りである(図2.2.5 参照)。 ・各需要家など街全体に、環境性に優れた「LED 照明」や「省エネ機器」などを大規模 導入。 ・域内へ乗入れする車両には、蓄電設備としても活用できる「次世代自動車(EV 車)」 を採用。 ・メガソーラー、建物のルーフトップ、道路灯など「太陽光発電」を広範囲に設置。 ・各需要家が保有する自家発電設備は、域内で「蓄電池」を一括配備。 ・エネルギーマネジメントやIOT の展開のため、データセンターを中心に据えた「ICT インフラ」を構築。 スマートシティの構成要素は、大きく分けて3 つの分野からなる。 一つ目の分野は、域内にある、需要家、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、蓄 電池を連携し、エネルギーマネジメントを実施するものである。具体的には、工場や商業 施設には、各需要家のコスト負担を軽減するため、需要家毎にビルであればBEMS16、工

16 Building Energy Management System の略称であり、機器・設備などの運転管理によ

ってエネルギー消費量の削減を図る システム(EMS)のことを意味し、ビル向けに導入す るシステムのこと。

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17 タセンターで管理されたソフトウェアを活用するクラウド型エネルギーマネジメントを提 供する。また、一般家庭においてはHEMS18を導入し、域内の需給状況に応じて、家庭内 の家電・機器類の利用時間帯や温度設定などを制御するエネルギーマネジメントを実施す る。 データセンターはエネルギーマネジメントシステムの提供だけでなく、域内のデータを 蓄積するデータバンクとしての役割も担う。また、エネルギーマネジメントでは電力エネ ルギーだけでなく、熱エネルギーなども利用することで、エネルギーの有効利用を図る。 具体的には、工場などで発生する排熱だけでなく、域内にゴミ焼却炉を構築し、域内で発 生した産業廃棄物や生活ゴミなどを焼却させる。これは単に熱エネルギーを産出するだけ の目的ではなく、域内で発生したゴミを域内で処理する(封じ込める)ことで、開発エリ アが環境配慮型のスマートシティであることを域外に示すことができ、更には域外やイン ドでの参考となる環境面でのメリットとなる。 図2.2.5 ナビムンバイに構築するスマートシティの概念図 二つ目の分野は、運輸部門での取組みである。省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言で も述べたように、運輸部門ではCO2 排出量ゼロである EV 車の導入を促進する。EV 車は 自家用車だけでなく、バス、トラック、タクシー、レンタカー、二輪などあらゆる車両に 採用する。現在の技術では、EV 車はガソリン車と比較し走行距離が短いのが課題である。 しかし、ナビムンバイのエリアでは、近くに空港、港湾、鉄道などがあることから、各拠 点間の人や物の短距離輸送に活用することから導入する。 また、EV 車にはカーナビなどの無線端局を搭載させ、利用状況の一元管理や指令端末と

17 Factory Energy Management System の略称であり、工場向けの EMS のこと。

18 Home Energy Management System の略称であり、家庭向けの EMS のこと。

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しても活用する。具体的には、トラックでは物流管理、バスでは運行管理、タクシーでは 業務手配などに活用できる他、最近のインドでは著しい交通渋滞情報をタームリーに提供 することによって、的確な運行指示にも活用できる点でメリットがある。 更に、EV 車は蓄電池を搭載していることから、蓄電池をエネルギー源と見なし活用する ことも可能である。具体的には、前述した通り、系統電力が停電した場合、域内では太陽 光発電に代表される再生可能エネルギーと蓄電池のみでの電力供給となるため、供給量は 低下する。この供給量の低下を補充する目的として、開発エリアでは EV 車を活用する。 EV 車はエネルギーのバックアップシステムとしても活用できる点で、ナビムンバイのスマ ートシティ化構想の実現には必要な要素となる。 三つ目が IOT サービスの展開である。前述した通り、データセンターに蓄積されたデー タや域内の情報通信網を利用することによって、域内への多様なサービスを提供する。な お、サービス提供は域内だけでなく、域外へのサービス提供なども今後のビジネス展開で は考えられる。 これらの要素については、開発初期から如何に組み込んでいくのかグランドデザインを 描いておくことが重要である。そこで、開発エリア毎にどのような要素を組み込むべきか について、以下で考える。 (2) 開発エリアの工業区に取り込む業種の検討 開発エリアの成功には、インドの国内企業だけでなく、如何に日本なども含めた海外資 本を取り込んでいくのかが鍵を握る。日系企業の海外進出状況を図2.2.6 に示す。 図2.2.6 日系企業の海外進出状況 現在、海外進出企業のうち、約 4 割が製造業、残り約 6 割が非製造業である。製造業の 業種では、「輸送機械」「電気・通信機械」「化学工業」の順に多く、その他にも、「生産用 機械」「金属製品」「食料品」「繊維」などが進出している。一方、非製造業については、「卸 売業」が最も多いが、「運輸業」「情報通信業」などの進出も見られる。 30

表 1.1.2  整備候補 98 都市(28 州、7 連邦直轄領)
表 1.1.4  整備対象 484 都市(アタル・ミッション構想)
表 1.2.2  スマートシティ 20 都市のランキング  順位 都市名 州/連邦直轄領 スコア (%)  1  Bhubaneswar  Odisha  78.83  2  Pune  Maharashtra  77.42  3  Jaipur  Rajasthan  73.83  4  Surat  Gujarat  68.16  5  Kochi  Kerala  66.98  6  Ahmedabad  Gujarat  66.85
図 2.1.2  ニムラナ工業団地の見取り図  図 2.1.3  ニムラナ工業団地の風景  ①   ニムラナ工業団地の電力供給    ニムラナ工業団地の電力供給は、開発初期と現在で状況がかなり異なる。工業団地周辺 には 11kV と 33kV の 2 種類の電力系統があり、開発初期は全て 11kV より供給されていた。 11kV 系統は一般家庭も含めた多くの需要家に供給する系統でることもあり、開発初期は予 告なく週に数回の停電から一度停電すると数日間継続する状態下であった。このため、工 業団地では、以下のス
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参照

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