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ECRイオン源のイオンエネルギー制御 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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全文

(1)

論 文

ECRイオン源のイオンエネルギー制御

秋津哲也 松沢秀典 小川栄二 米村真次

宮下大幸 水野真克 佐々木正巳 大沢文雄 酒井正

Experimental Investigations on Ion Energy Control

in an Electron Cyclotron Resonance (ECR) Ion Source

TetsuyaAKITSU HidenoriMATSUZAWA EijiOGAWA ShinjiYONEMURA

HiroyukiMIYASHITA MasakatsuMIZUNO MasamiSASAKI FumioHSAWA TadashiSAKAI

      Abstract   The infuences of control parameters on ion energy−pressure and the electro−negativity of working gas, microwave power and an external bias voltage 一 have been investigated in an electron cyclotron resonance(ECR)ion source. When the plasma potential was shifted with an external bias voltage appliedto an anode, a proportional increase was observed in the ion energy on a remote target surface. 1 序論  イオンピームを用いた薄膜の堆積や微細加工はミク ロサイズの電子デバイスの作製の基本的な技術として 広く用いられている.電子サイクロトロン共鳴(Elec− tron Cyclotron Resonanc,以下ではECRと略す)イ *電子情報工学科,Dept. Electrical Engineering&Com・  puter Science †日電ANELVA株式会社,The ANELVA Corporation,  Yotsuya 5−8−1, Fuchu city, Tokyo,183 Japan a)現在の所属:日立製作所,国分工場・送電システム設計  部,Hitachi Ltd. Kokubu Works, Power System  Control&Protection Dept, Kokubu−cho 1−1,Hitachi  city, Ibaragi Pref.316 Japan b)現在の所属:日立製作所,ストレージシステム事業部  Hitachi Ltd. Data Storage&Retrieval System Divi・  sion , Kozu 2880,0dawara city, Kanagawa Pref.256  Japan オン源はこれらのイオンビームプロセスをはじめ,酸 化膜の形成や高温超伝導体を合成するプロセスなどに 応用され,今後ますますその応用分野と重要性を増し ていくものと考えられる.このレポートは,日電

ANELVAとの共同研究として行った発散磁界型

ECRイオン源に関する研究の報告である.  ECRイオン源によって固体の表面の微細加工を行 う場合,ハロゲン化合物と希ガスの混合気体が放電媒 質として用いられている.遊離したハロゲン原子は高 い化学的反応性とともに電気的陰性度(Electron Affinity)を有するが,電気的陰性度の高いプラズマ中 での発散磁界によるイオン加速はあまり議論されてい ない.実験の第一の目的は,電気的陰性度が高いSF6と 希ガスのArを用いてECRプラズマを生成し,電子の 磁気モーメント保存によって発散磁界中において生じ るイオン加速電界の空間分布を比較することである.  実験の第2の目的は,発散磁界中のECRプラズマ 固有の不安定性を抑制し,時間的に定常,しかもイオ ンのエネルギー制御が可能なイオンピーム源の開発で

(2)

ある.Limpaecher and MacKenzie〔Ref.1〕による Magnetic multipoleに関する初期の報告以来,永久磁 石によって発生させた磁界による表面閉じ込めを用い た熱陰極方式のイオン源や,ECRの共鳴磁場として多 重極磁界を用いた構造や多重極磁界の表面閉じ込めを 利用した大直径のECRイオン源2∼8)が開発されてい る.Fujiwara等9∼1°)は真空容器の周囲に配置した永久 磁石によって多重極磁界を加えることによって,ECR プラズマのMHD(Magneto−Hydro Dynamic)不安 定性を抑制し,イオンビームの速度分散の減少による エッチング特性の向上を指摘している.本研究では ECRイオン源の内部に多重極磁石を設置することに よって,プラズマを安定化するとともに,さらに磁極 近傍の電極(陽極)に直流・ミイアスを加えてプラズマ 電位の制御を試みる.プラズマ電位の制御特性と,サ ブストレート表面近傍のシース内で加速されたイオン の入射エネルギーの制御特性を調べる.イオン源の制 御に陽極バイアスを加える技術は,静電閉じ込め型イ オン源11),バイアスによるスパッタリング・プロセス制 御2),マグネトロンスパッターの電位制御13)などに用 いられているが,ECRイオン源の場合にはサブスト レート支持電極に高周波バイアス14”’16)や直流・ミイア ス17)を加えてイオンエネルギーを制御する技術が用い られている.陽極バイアス方式では,システムの構造 的な必要性によってサブストレートが接地電位に固定 Fig.1 SOLENOID COIL

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 些.・・ 薯÷ヤ「.        300         ECR Z{mm) 図1 ECRイオン源 W.Gは導波管,1.E.A.は減速グリッド型イオンエネル ギー分析器,磁界強度分布の横軸の↑はECR領域の位置 を示す. されているときにも,入射するイオンエネルギーを一 定の範囲内で制御する自由度を提供できる. 2 実験装置の構成

 図1は実験に用いられたECRイオン源の概略を示

している.ダブルガン型ECRイオンビーム装置の一 つのソレノイドを用いてマイクロ波の入射窓から70

mmの位置に単一のECR領域を発生し,プラズマ生

成室の一端の石英窓からAr中にマイクロ波(2.45 GHz)を入射して高密度のプラズマ(1−2×1011cm3) を生成した.

 図1の磁界強度の分布においてECRで支持された

矢印の位置が共鳴領域を示している.  マイクロ波はマグネトロン・マイクロ波電源によっ て励起され,導波管(W.G, Wave guide)によって 伝送された.イオン源内部にNeを封入した小型の放 電管を挿入し,マイクロ波の電界によって励起された 発光の強度を光ファイー〈 一によってモニターすること によって,局所的なマイクロ波の電界強度を測定した. この実験で用いられた条件では,入射電力300Wの動作 条件において±13%の周期的な出力変動が観測され た.  Samukawa等18)はマグネトlrンの出力変動および 周波数変動によるイオン源のイオンエネルギー分散の 増大を指摘しているが,本研究では,陽極バイアスを 加えてECRプラズマから引き出されるイオンの平均 エネルギーを増大させることによって,平均エネル ギーとエネルギー分散の比を相対的に改善する.  空芯コイルによって発生された定常磁界の強度は入 射窓の位置において約0.1T, z=70 mmの位置におい て0.0875Tである.マイクロ波はz=0−100 mmの領 域で吸収されているので,下流におけるプローブ測定 にはマイクロ波電界の影響は無視できる.  マイクロ波キャビティーは円筒形状であり,内径160 mm,長さ240 mm,接地電位が与えられている.イオ ン源のプラズマ生成室は直径70mmのアパチャーに よって大容積の処理室に接続されている.開口部から 130mmの位置にターゲット(直径100 mm)が固定さ れている.軸方向に可動の静電プローブを用いてプラ ズマ中の電位分布を測定し,接地電位のターゲットに 入射する正イオンのエネルギー分布と比較した.イオ ンエネルギー分析器(1.E. A, Ion energy analyzer) はG、からG4のグリッドとニッケル製のコーン形状の コレクタによって構成され,G、には接地電位, G2に は一90Vの電子反発電位, G3には0∼70 Vのイオン減 速電位に重畳した微小交流が加えられた.コレクタ

(3)

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TAPER ANGLE ノ「 ALUMINUM BASE      \ 図2 陽極の部分展開図 NEOMAX は一9Vにノミイアスされた.コレクターに集められた イオン電流に重畳した交流成分をロックインアンプを 用いて検出することによって,イオン減速電位に対す る一次微分を求めた.  図2はイオンエネルギー制御の実験において用いら れた陽極の部分展開図を示している.陽極の各ユニッ トの内部には2個の永久磁石(NEOMAX)が備えられ ている.永久磁石はアルミニューム製べ一ス上に固定 され,水冷ダクトによって冷却された容器壁に熱的に 結合されている.ステンレス製の電極板(陽極)が5mm の間隙を設けて,永久磁石を覆うアルミナセラミック ス製のボートの両側に固定された.プラズマに面して いる部分の電極板の面積は60cm2である.容器壁の面 積は約1.2×105cm2であるから,容器壁の面積に対す る面積比は5×10−4であるが,電極に正極性の直流バイ アスを加えると優先的な陽極として作用する.電極に 交わる磁力線は永久磁石近傍で閉じているため,プラ ズマ領域に伸びた磁力線に沿って流入する電子電流は アルミナセラミックによって遮られ,永久磁石によっ て発生する磁力線に垂直方向に拡散する.多重極磁界 とアルミナセラミックス製のボートはプラズマからの 熱の流入を遮断するとともに,容器壁に対して正極性 の電圧を与えられて電極板に流入する電子電流を制限 している.多重極磁界の磁極の近傍にバイアス用電極 を配置する事によって,プラズマ電位を電極の電位の 近傍まで引き上げて安定化させるとともに,低い動作 Fig.3  7 言 :6 i ト5

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o ミ ゴ 図3 ECRプラズマのパラメータ (a)磁力線に垂直方向の電子温度Te⊥と平行方向の電子温  度Te〃の空間分布,挿入図は方向性プローブの構造を示  す. (b)電子密度の空間分布 Ar,6.7×10−2Pa.,マイクロ波入射電力,300 W. 圧力領域で過剰な電子損失によるマイクロ波放電の不 安定化を防ぐことができる. 3 実験結果 A.不均一磁界中の電子密度の空間分布  図3はマイクロ波プラズマ内部の(a)電子温度と (b)電子密度の空間分布をマイクロ波入射窓からの距 離の関数として示している.  Swift and Schwar19)によれぽ,平均自由行程1。mに 比較してサイクロトロン半径が小さいとき磁界の影響 によって磁力線に平行な面に流れ込む電子電流はサイ クロトロン半径とプローブ半径の比rL。/rpに比例して 減少する.ここで行った実験条件のもとでの電子の平

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均自由行程1。mは,1。m=102 cmであるため,サイクロ トロン運動による電子拡散係数の非等方性が無視でき ない.プラズマ生成領域の電子密度測定において不均 一な磁界の影響を補正するため,一対の方向性プロー ブを用いてプラズマ電位において流入する電子電流の 比を測定し,実験結果から求めた電子拡散係数の磁場 依存性を用いて測定結果を補正した.  測定に用いられた方向性プロープの構造は図3の挿 入図に示されている.磁場に垂直方向の電子電流はPt 製の細線(直径が0.1mm,長さ7mm)のコレクター を用いて検出し,磁力線に平行方向の電子電流は平面 プローブを用いて検出した.平面プロープのコレク ター部分は直径が0.83mmのPt電極の周囲に軟質ガ ラスを熔着し,これを軸方向に垂直な面で研磨したも ので,研磨面を磁力線に垂直な平面に平行に配置した.  面積が等しいコレクターにプラズマ電位において流 れ込む垂直方向と平行方向の電子電流の比は,次式で 与えられる.〔Ref.19〕

  £−1(1nl+2ムーln鴛)

      rp  ここで,rL.はサイクロトロン半径, rpはプローブ半 径,1。mは平均自由行程である.電子電流の比は対数項 を通じて磁界に依存する.図3(b)は実験データに よって決定された定数を用いて磁界に対する電子拡散 係数の依存性を補正した電子密度分布を示している. イオン源内部の電子密度はECR領域近傍(マイクロ 波入射窓から70mm付近)において最大値(1−2×1011 cM−3)を示した. z=100−140 mmの範囲では,磁力線 に垂直方向の電子温度Te⊥は, Te⊥=7eV,平行方 向の電子温度Te〃=は, Te〃=6eVの値が得られた. 電子温度はイオン源内部のz=100mmの位置で既に 等方的である.ターゲット付近では磁力線に垂直方向 の電子温度Te⊥は, Te⊥=4eV,平行方向の電子温 度Te〃は, Te〃=5eVに低下する.陽極・ミイアスに よってプラズマ電位を制御しない場合,ターゲット表 面におけるイオン加速は低い電子温度によって制限さ れている.  図4はArイオンビームのイオン飽和電流の空間分 布と軸上における電子密度を比較している.この測定 結果は後述するプラズマ電位の制御において陽極バイ アスが30Vの場合と比較できる.引き出されたイオン ビームは処理室内で拡散し,ターゲット付近の電子密 度は1×10i°CM’3に低下するため,後述するように, ECR領域の不安定性により密度揺動が励起されると, ターゲット近傍の低密度のイオン電流密度と比較して 無視できない大きさになる. Fig.4 1 0 5 ll

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270 200 [ii 三 も 望 245 Z{mm) 図4 イナンビームの空間分布 Ar.6.7×10−2Pa.,マイクロ波入射電力,300 W, 陽極バイアス,十30V. B.プラズマ電位の空間分布に対する電気的陰1生度の 影響  SF6は高い電気的陰性度を有する常温で気体のハロ ゲン化合物であり,フッ素の供給源として多用されて いる.実際のプラズマ・プロセスでは放電パラメータ の調整やサブストレートの冷却などの目的でハロゲン 気体と希ガスとの混合気体が多く用いられている.  図5(a)はAr50%+SF650%の混合気体中における ECRプラズマ中におけるプラズマ電位,電子温度,電 子密度の空間分布をマイクロ波入射窓からの距離の関 数として示している.SF6に対する測定結果は図5(b), Arに対する測定結果は図7に示されている.実験にお いてイオン源と処理室はセラミック製のアパチャー

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Fig.5(a) ; 二 〉 30 20 10 SF6+Ar  6.7x10−2 Pa

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…3° ≧。  0  10  20  30  40     10N ENERGY{eV, Fig.5(b) ; 二 〉 30 20 10 0 100    200    Z{mm) SF6 6.7x10已2Po     已L−−Vp  ●_●_●ノ ▲一一▲  \●    、 ■/■\

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(6)

Fig.7(a)     Ar,2.6x10−2Po          −一一’Vp       /  30      ●一一●

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; 二 〉 00 Fig.7(b) 30

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      ■\       ■、 0 100    200    300         ZCmm} 図7 Ar ECRプラズマ中の電子密度とプラズマ電位の比    較 Ar,(a)2.6×10−2,(b)6.7×10−2,(c)0.10 Pa.,マイクロ波入 射電力,300W 7)と比較しても,負イオンに起因する空間電位の極 性の逆転のような大きな変化は観測できない.これら の実験結果は,マイクロ波による電子加熱が定常的に 行われているECRイオン源内部とその近傍では, SF6 のような高い電気的陰性度を有する気体を放電媒質と して用いた場合にも負イオンの相対的密度は低く,し たがって,反応性イオンビーム加工などの応用におい て負イオンに起因する多極性拡散電界の影響は無視で きることを示唆している.  発散磁界中での正イオンピームの輸送効率を決定す るプラズマ電位の空間分布は空間電荷の中性化率や磁 界の勾配に起因する電子の垂直方向の運動量の変化等 の要因による影響を受けることが知られているが,実 験で観測されたz=200−300mmの領域に生じた局所 的な加速電界は,絶縁物のアパチャーを挿入したこと によって生じたものである.この点に着目して,実験 の後半では多重極磁界を用いて電子損失を制限するこ とによって,アパチャー近傍の加速電界の発生を抑さ え,ターゲット前面のシース領域にイオン加速電界を 集中させる.アパチャー近傍の電位勾配でイオンが加 速された場合,サブストレート表面までの距離が平均 自由行程に比較して無視できないため,サブストレー トに入射する前にイオンが電荷交換や衝突による散乱 を受ける可能性が大きい.  図6はArイオンビームの圧力とマイクロ波入射電 力に対するエネルギー分布関数の変化の典型的な測定 結果を示している.(a)の実験ではマイクロ波入射電 力を300W,(b)では600Wとした.外部からの・ミイアス 電圧を加えない場合,作動気体の圧力とマイクロ波入 射電力を変化させてもイオンエネルギーは30eV程度 で制限されている.(b)の実験結果において0.1Pa以 上の圧力領域では,低エネルギー成分の増大などの著 しいイオンビーム速度分布の変化が認められる.この ように,マイクロ波入射電力を増大させることによっ てはイオンエネルギーの上昇は得られない.  次に,Arの圧力に対するプラズマ電位の変化の傾向 とイオンエネルギー分布の測定結果を比較する.図7 は異なる圧力におけるイオン源内部の電子密度と電位 の分布を示している.作動気体の圧力を低圧力側に変 化させるとプラズマ生成領域の電位が上昇する.これ にともなって,イオンエネルギーが増大するが,相補 的に電子密度が減少する.負性気体中では低圧力領域 では安定なマイクロ波放電が維持できなかった.

 図8はSF6ECRプラズマから引き出されたイオン

ビームのイオソエネルギー分布関数の測定結果を示し ている.最大イオンエネルギーは前述の電位分布に示 されたプラズマ生成領域の電位と比較する事ができ る.電気的陰性度が高いSF6を放電媒質として用いた 場合にも,ECRプラズマ中から引き出されたイオン ビーム中の電位分布はArプラズマの測定値と大きく 変化しないことが明らかになった.

(7)

Fig.8 = ’i≡ コ 」50 旨 ;

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200 図9 プラズマ電位の空間分布 陽極バイアス電圧一30∼+30V Ar,6.7×10−2Pa.,マイクロ波入射電力,300 W C.プラズマ電位の制御  陽極をプラズマ生成室内部のz=130−240mmの位置 に挿入して直流バイアスを加え,プラズマ電位の空間 分布を測定した.プラズマ電位は静電プ1r一ブの電 流・電圧特性から決定された.図9はArイオンピーム 中のプラズマ電位の空間分布を示している.横軸の中 央付近の破線はプラズマ生成領域と処理室の境界の開 口部,右端の矢印↑はターゲットの位置を示している. 正極性の陽極・ミイアス電圧を加えたとき,プラズマ電 位が陽極バイアスに比例して上昇した.加速電界の増  20  40  60 10N ENERGY{eV} 図10 イオンエネルギー分布の陽極バイアスに対する依存    性, Ar,(a)6.7×10一2Pa.,(b)3.3×10−2Pa 大はターゲット前面のプラズマシースの部分に集中し ている.このような電位構造は,正イオンの加速がプ ラズマシースに集中するため有利である.すなわち, イオンシースとターゲットの間の距離が平均自由行程 に比較して無視できるほど小さいため,加速されたイ オンが中性原子との衝突等による散乱を受ける可能性 が少ない. D.陽極バイアスによるイオンエネルギーの制御  次に,陽極バイアスによる正イオンの入射エネル ギーの変化をプラズマ電位の変化と比較する.イオン 源の下流(z=350mm)に設置された接地電位のター ゲットの中央部のアパチャーに入射したイオンエネル ギーを減速グリッド型イオンエネルギー分析器を用い

(8)

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  :1:   :1:’ 言… .竺・60 1−■ .70   .8e   .ge  ・tOO {b} 0 10     20 VOL丁AGE  {V) 30 図11 イオンエネルギー分布の陽極バイアスと圧力に対す る依存性 (a)平均イオンエネルギー (b)イオン電流の陽極バイアスに対する依存性 Ar,3.3−9.3×10−2Pa.,マイクロ波入射電力,300W. て測定した.図10は典型的なイオンのエネルギー分布 の測定結果であり,作動気体の圧力が(a)6.7×10−2 Pa.,(b)3.3×10 2Pa.の場合の陽極バイアスに対する イオンエネルギー分布の依存性を比較している.図 10(a)における平均イオンエネルギーの増大はター ゲット前面のプラズマ電位,すなわちシース電位の上 昇と比較できる.4.7×10−2Pa.以下の低圧力領域で は,顕著なイオン電流の増大が観測できる.低圧力領 域におけるイオン電流の増大の原因としては,磁力線 を横切る直流放電(30V,1.2A)の重畳と静電的閉じ込 め効果によるプラズマ生成領域の電離効率の増大が考 えられる.  図11(a)はイオンエネルギーとターゲット近傍のプ ラズマ電位,図11(b)はイオン電流の陽極バイアスに 対する依存性を示している.作動気体の圧力はパラ メータとして3.3−9.3×10−2Pa.の圧力範囲にわたっ て変化させた.シース電位は陽極バイアスに比例して 上昇し,これにともなって平均イオンエネルギーが増 大している.ただし,ここではターゲット前面のプラ ズマ電位をシース電位Vsとしている.低圧力領域 (p≦4.7×10−2Pa)の測定ではイオン電流の増大が観      \へ♪!い __4__よ___L__      き   ハ   り        bFre《担ency【と〃」] 図12ECRプラズマ中の低周波密度揺動 (a)イオン飽和電流の揺動波形,(b)周波数スペクトル Ar,6.7×10−2Pa.,マイクロ波入射電力,300W 測された.  陽極バイアスを用いてイオンビームのエネルギーを 制御できる圧力とバイアス電圧の上限は,陽極と接地 電位の真空容器壁との間の直流放電による放電状態の 変化によって制限されている.陽極バイアスを+30V 以上加えると,プラズマ生成部の内部の発光状態が均 一でなくなり,放電電流が増加する不均一な放電状態 に移行する現象が起きた.このような場合,陽極バイ アスを短時間低下させることによって,再度,一様な マイクロ波放電を立ち上げるのであるが,陽極バイア スの上昇とともに,放電状態の変化が頻繁に起き,時 間的定常なイオンビームの発生が困難になった.より 高い圧力では低い電圧で放電状態の変化が起きた. E.ECRイオン源の低周波密度揺動の安定化  マイクロ波イオン源のプラズマ生成領域において低 周波の密度揺動(19−20kHz)が観測された.図12はイ オン飽和電流の揺動波形と周波数スペクトルの代表的 な例を示している.縦軸の単位はD/A変換器に入力 された信号の相対的な大きさを示している.磁気多重 極を加えない場合,プラズマ周辺部では100%変調に近 い密度の揺動が観測された.図13(a)は半径方向の電 子密度(時間平均)の空間分布,(b)の○は不安定な状

(9)

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