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博 士 ( 医 学 ) 日 比 谷 優 子

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 日 比 谷 優 子

学 位 論 文 題 名

ラ ッ ト rn ガ 関 連 遺 伝 子 産 物 の 解 析 ; 結 合   DNA 配 列 お よ び へ テ 口 一 量 体 形 成

学 位 論文 内 容 の 要旨

  mafはニ ワ ト り の自 然 発 生 腫瘍 か ら 分離さ れたRNA腫瘍ウ イルスAS42のゲノ ムの解 析から 同 定され た癌遺伝 子であ る(v‑maf) .maf遺伝 子産物 のアミ丿酸配列中には転写因子に共通す るモチーフの1つであるbasic‑leucine zipper構造(bZIP:塩基性ドメインとそれに続くロイシン ジ ッパー 構造)が 見いだ され, この遺伝子も転写因子をコードする核内癌遺伝子のグループに 属 す る こと が わか った. すでにmaf遺伝子 につい ては, ニワト リ線維 芽細胞のcDNAライ プラ リ ー か ら5種 類の細 胞性関 連遺伝 子がク ローニ ングさ れフんミ リーを 形成し ている ことが 知 ら れてい る.それ ら遺伝 子がそ れぞれ 組織特 異的に 発現し ている ことから ,発生 や分化など に 重要な 役割を果 たす転 写因子 である と推察 されて いる. 西沢ら は,v‑Mafを 用いてMaf認識 配 列 (MARE: 壘 垂 璽pcognition璽ement) を 決 定し , ホ モ 二量 体 を 形 成し たvーMafが ,

−Tく℃1、GAC(G)1℃AGCA‐とぃう,認識配列としてはかなり長い2つの回文構造配列を認識す る こ と を 見 い だ し た . こ れ ら の 配 列の 中 央 部 の7〜8塩基 対 は そ れぞ れ , 転 写因 子AP,1

(Jun肺s)の認識するTPA氓Sponsive璽ement(H岨),CREB/ATFファミリーの転写因子が認識す るcAMP珊sponsive璽ement(CRE) と全く同一のものである.したがって同一の塩基配列を介し て 転写を 調節しう るMaf 以外の 複数の転写因子が存在し,Mafを含む複雑な転写制御のネット ワークの存在が予想される.

  先 に我 々 は ,ラッ ト肝臓c蹴`ラ イプラ リーか ら2種類 のm び 関連遺 伝子cDNA侭atm#1, 艦 啣 を ク ロ ー ン し , そ れ ら の 相 同 性か らM心1が 報 告 され て い る トり のMafBに ,M42がト り のcIMafに相 当する ものと 考えた.本研究では,Maf蛋白質によって転写が制御されている標 的 遺 伝 子の 探 索 を 目的 と し て ,哺 乳 動 物由来 のM艀1お よぴM揖2の結合 蹴`配 列の決 定と,

bZIP構 造を持 つ他の 転写因 子との へテロ 二量体形 成能お よぴそ れらの 認識配 列について検討 し,新たな知見を得た.

  く材料及び方法>

  1)動物培養細胞を用いた転写促進活性の測定

  MAREを持っ プロモ ーター 配列をル シフェ ラーゼ 遺伝子 の上流 にっないだレポータープラス ミ ドを構 築した 。この レポー タープ ラスミド と各々 のMafの 発現プラ スミドをHepG2細胞(ヒ ト肝癌細胞株)にj,冫′酸カルシウム法に従って導入し、48時間後に細胞抽出液中のルシフウラー ゼ活性をルミノメーターで測定して、転写活性化を測定した。

  2)DNA結合特異性およびへテ口二量体形成能

  而y 珀ロでの胼岨結合実験に用いた11種の蛋白質は,大腸菌でマルトース結合蛋白質との融 合 蛋白質 として 発現さ せ,アミロース・アフイニテイークロマトグラフイーにより精製した.

MAおよぴその関連酉西I』をプローブとしてゲル移動度シフト法を既述の方法に従って行った。

ヘ テ ロ二量体 の形成 を調べ る場合 は、ゲ ルシフ ト上で 移動度 の異なる2つの蛋 白質を4M尿素 中で変性させた後、尿素を除き再構成して試料とした。

109 ‑

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  3)結合DNA配列の決定

  PCR法を用いたランダムセレクション法(SAAB:Selected and Amplified Binding Site Method) によりMaf‑lおよ びMaf‑2の結 合DNA配 列を決定 した.さらに得られた配列の結合の強さをゲル 移動度シフト法で調べた.

  く結果およぴ考察>

  1)Maf‑lおよびMaf‑2の転写促進活性

  MAREを持っレ ポータ ー遺伝 子に刔 するMaf‑lおよびMaf‑2の転写促進活性を確かめた.レポー タ ー遺伝 子の転 写は,v‑Mafと同様 にMaf‑lとMaf‑2によっ ても強 く活性化され,転写因子とし て機能していることが確認された.

  2)Maf‑lおよぴMaf‑2のDNA結合特異性

  v‑Mafで 決 定 され たMAREお よぴい くっか の関連 配列を プロー プとし てゲル移 動度シ フト法 を行い,lylaf‑lおよびMaf‑2のDNA結合特異性をc‑Junまたはv‑Mafと比較した.Maf‑lとMaf‐2は 構 造 が 似て い る に もか か わらず それぞ れのDNA結 合特異 性は一 部異なっ ていた .さら にアミ ノ 酸配列 から相 同の転写因子と考えられたM小2とcーMaf(c・M証はv‐Mafと1アミノ酸を除いて 同 一の構 造を持 つ)のD1岨結合 特異性も 異なっ ており ,トリ 由来のMafとは異なる性質が明ら かとなった.

  3)M心1およびMaf.2の結合m弧配列

  SAABに よ り ,M出1は ,v‐Mafで 決定 さ れ たMAREの回 文 構 造 の半 分 に 相 当す る 短 い 配列

‐GaIGAC‐およ ぴ類似 の配列 を有す る多数 のDNA配列 に結合 するこ とが明らかとなった.さら に 選択さ れた結 合配列を 持つ遺 伝子に 対するM揖1の転 写活性 化能を 調べた ところ ,それ らの 配 列は結 合の強 さに応じ てエン ハンサ ーとし ての活 性を持 っこと が確認 された. 一方,M艀2 の 結合配 列は限 られてお り,調 べた中 ではv―Mafで決定 されたMAREに最 も強く 結合し転 写を 活性化することがわかった・

  4)M鹸1およ びMaf‐2と他のbZIP構造を 持つ転 写因子 とのへ テロ二量体形成およびそれらの DNA結合特異性

  MafはbZIP構造 を介し てホモ 二量体あ るいは ,いく っかのbZIP蛋白質とへテ口二量体を形成 す ること が報告 されてい る.し かし,JunまたはFosフんミリーに属するすべての転写因子との ヘ テロ二 量体形 成能につ いての 報告は ない.そこでM狙1およびMaf.2と,JunまたはFosファミ リ ー に 属す る す ぺ ての 転 写因子 とのヘ テロ二量 体形成 能とそ れらのDNA結合特 異性を ゲル移 動 度 シ フト 法 に よ り調 ぺ た.そ の結果M41およびM心2はJunよ りFosフ ァミリー に属す る転写 因 子とへ テロ二 量体を形 成しや すいこ とがわ かった .X線結 晶解析 の報告から二量体形成の特 異性は各leucine五ppe|構造間の組み合わせによりある程度厳密に決められ,さらに各単量体は,

そ のホモ ニ量体 が結合す る認識 配列( 回文構 造)の 半分の 領域を 維持し てへテロ 二量体 を形 成 するた め,ニ 量体の組 み合わ せによ り多くの特異的な結合配列を生じることが明らかになっ て い る .こ の よ う なDNA認 識 の 多 様性 が ,M艀1とF0sフんミリ ーとの へテロ 二量体 形成に お い て生じ ,M鹸1は その結 合配列 が二量体 形成の 相手に 依存し て微妙 に変化 した. また形 成さ れ た ヘ テロ 二 量 体 のDNA認識 はM鹸2に 比べる とより 広範囲 であっ た.一 方,M心2は二量 体形 成 もほぼc−FOsのみ に限ら れ,そ の認識 もM接1に比ベ特異的であり,従って標的遺伝子がより 限られると推察された.

  現 在まで にMAfが二 量体形 成によ り細胞 の分化 や機能 発現の制 御をしている知見がぃくっか 報告されており,発生,分イヒ,増殖,発癌などの基本的な機能の中にMafを含む転写因子のネッ ト ワーク が存在 している ことは 明らか である ,M虹の 生理的 機能, さらに細胞の分化や増殖に お いて重 要な役 割を担う 標的遺 伝子と その機 能を明 らかに してい くこと が重要で あると 考え られる.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ラ ット rn ガ関連 遺伝子 産物の解 析;結合   DNA 配 列 お よ び へ テ ロ 一 量 体 形 成

  mafiよニワ トりの 自然発生 腫瘍か ら分離さ れたRNA腫瘍ウイルスAS42のゲノムの解析によって 同定された癌遺伝子であり転写因子をコードしている.maf遺伝子産物は,basic4eucine zipper構 造(bZJP: 塩 基 性ドメイ ンとそ れに続く ロイシ ンジッパ ー構造 )を介し て,他の 転写因 子とも ヘテロ 二量体を 形成す ることで 極めて 広い範囲 の標的 遺伝子を 持ち,様 々な転 写制御機構に関 わっている可能性がある.既に申請者らがクローンしたラットmaf関連遺伝子maf‑lおよぴロraf‑2 は,そ れらの相 同性か らMaf‑lが報告されているトりのMafBに,Maf一2がトりのc‑Mafに相当する ものと考えられた.Maf‑lおよびMaf‐2は,それぞれきわめて限られた組織で特異的に発現してい ること から,発 生や分 イ匕などに重要な役割を果たす転写因子であると推察され,標的遺伝子と その機能を明らかにしていくことが重要と考えられる・

  申請者は,本研究において,哺乳動物由来のM矼‐1とM矼ー2は構造が似ているにもかかわらずそ れぞれの胼岨結合特異性が一部異なること,また相同の転写因子であると考えたM矼−2とo眦Ifの DNA結 合特異性 も異な ることを 明らかにした.さらに,新たにM出1とMafI二2の標的遺伝子を探索 す るた め に ,両 者の結 合併愼 配列の決 定と, 協P構 造を持つ 他の転 写因子と のヘテ ロ二量体 形 成 能お よ び それ らの認 識配列 について 検討し ,新たな 知見を得 た.PCR法を用 いたラ ンダムセ レクシ ョン法(SAAB)によ り,Mば‐1が,v一M矼で決定された認識配列の回文構造の半分に相当 する短い配列‐GCT(強C‐を有する多数のDNA配列に結合することを明らかにし,従来考えられた ものよりも多くの標的遺伝子に対して転写を活性化する可能性を示唆した.一方,`M証‐2に関し ては, 調べた中 ではぃMばで 決定さ れた認識 配列に最 も強く結合し転写を活性化することから,

結合配列が限られていると推察した.さらにM矼゜1およびMば‐2と,JunまたはF髄ファミリーに属 す るす べ て の転 写因子 とのヘ テロ二量 体形成 能とそれ らのDNA結合特 異性をゲ ル移動 度シフト 法により調べ,M虹_1およびMぱ‐2はJunよりFosファミリーに属する転写因子とヘテロ二量体を形 成しや すいこと を明ら かにした .X線結晶解 析の報告 から二量体形成の特異性は各b齢inezippば 構造間 の組み合 わせに よりある 程度厳 密に決め られ, さらに各 単量体は ,その ホモ二量体が結 合する 認識配列 (回文 構造)の 半分の 領域を維 持して へテロ二 量体を形 成する ため,二量体の 組み合 わせによ り多く の特異的 な結合 配列を生 じるこ とが知ら れている .申請 者は,このよう な研岨認識の多様性が,Mオ‐1とF0sフんミリーとのヘテロ二量体形成において生じ,M甜‐1はそ の 認識 配 列 が二 量体形 成の相 手に依存 して微 妙に変化 し,形成 された ヘテロ二 量体のm瞼認 識

三 雄

信 輝

   

   

橋 藤

西 石

授 授

教 教

査 査

主 副

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がぃ Mafや Maf‐2に比べて広い範囲であることを明らかにした.一方,Maf‑2に関しては二量体形 成もほぼc‑Fosのみに限られ,その認識もMaf‑lに比べて特異的であり,従って標的遺伝子がより 限られることを示唆した・

  以 上の 結果は,Mafが二量 体形成により細胞の分化や機能発現の制御をしていると ぃう現在ま での いく っかの知見と合わせて,発生,分化,増殖,発 癌などの生命現象においてMafが関連す ると 推察 され る機 能 の中 に存 在す る複雑な転写制御のネットワークの解明に有用と 思われる.

  審 査に あた って は ,副 査石 橋教 授,斉藤教授より,ゲル移動度シフト法の諸条件 ,ヘテロ二 量体 形成 の具 体的 な 判定 法, 特異 性およぴ定量性について質問があった.さらに副 査斉藤教授 より ,D眦lfとW・2の性 質の 違い ,決定された結合DNA配列と標的遺伝子およぴ転写 制御機構と の関 連に ついて質疑があった.また主査西教授より,結 合配列の決定時にVlM証で決 定された認 識配 列は クロ ーニ ン グさ れて きた かとの質問があった.申請者は概ね妥当な回答を なしえた・

  審査員一同は,.これらの成果を高 く評価し,また研究者として誠実かつ熱心であり,申請者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た .

参照

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