博 士 ( 文 学 ) 水 野 優 子
学 位 論 文 題 名
4み カ oztgh ClauseslnEngliShDiSCOurSe: AFunCtionalAnalySiS
( 英 語 の 談 話 に お け る ロZ励 〇 卿 節 ― 機 能 言 語 学 的 分 析 )
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
本論 文の 目的 は、 英語 のalthough節 に っい ての 包括 的な記述を行なうこと にある。
although節は、他の副 詞節には見られない特殊陸を持つことが知られている。 例えば、
理 由、様態、目的、時 を表す副詞節などと異なり、although節は焦点化するこ とができ な い。また、他の副詞 節に比べて主節との結びっきが弱いことが指摘されてい る。譲歩 節 全般 にっ いて 最も 包括 的な 分析を行なったKonigは、although節は少なくと も三つの 種 類の 譲歩 関係 、す なわ ち、 標準 譲歩(standard concessive)、修辞譲歩(rhetorical concessive)、訂 正譲 歩(rectifying concessive)を表 すことができ、このう ち訂正譲 歩は常に後置although節に導かれる、と主張している。
しかし、although節 にっいて断片的に言及する研究はあるが、although節自 体の研究 は きわめて少なく、使 用されたデータも不十分であった。このため重要な問題 が未解決 を まま残っている。第 一は、提案の説明カに係わるものである。従来の研究は 概ね分析 者 の作 例に 依存 して いた 。こ のた め、 例 えばKonigが 提案 した3種類のalthough節が、
実 例に あて はま るの かが 不明 なままである。さら に、3種類の用法のうち、ど の用法の 頻 度が高いのかも明ら かではない。第二は、前置と後置の違いである。先行研 究では、
副 詞節一般の傾向とし て、一っに、前置節は先行文脈と関連付けられる傾向が 強いが後 置節はその傾向が弱 いこと、さらに、前置節はより従位揺第誼勺であるのに対し後置節は 等位接続的であるこ とを指摘している。しかし、although節も同じイ頃向を示すのかどう かは明らかにされて いない。
本研 究は 、次 の四 点に 焦点 をあ てて い る。 第一 は、Konigが提案したalthough節の3 分 類が 実例 では どの よう に具 現す るの か を調 べる こと である。第二は、前置 と後置の although節 の用 法及 びそ の頻 度の 違い を 明ら かに する ことである。このため 、まず、
although節 の3用 法が 前置 節と 後置節で分布がどのように異なるのかを調査す る。第三 に 、先行文脈との関連 の仕方をパターン分類し、それぞれのパターンの頻度の 違いを明 ら かに する 。第 四は 、前 置although節 の 方が 後置although節よりもより従位 接続的で あるかどうかを具体 的に検証することである。
本論は、言語資料 として、主に電子コーパスの新聞記事を用いているが、 必要に応 じて、ラジオ英会言 播組のテキスト、小説、雑誌、及てぢ観鞭矯輪韓劫ゝら提供された例 文 も用いている。although節と先行文脈との関連のパターン分類には、Prince、Birner
&Wardが提唱した 時報構造の理論を適用してい る。
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第 一 章 は 、 本 論 文 の 目 的 を 明 ら か に し 、 本 論 の キ ー ワ ー ド で あ る 四 つ の 意 味 関 係 、 す なわち「対比」、「標準譲歩」、「修辞譲歩」、「訂正譲歩」、三っの 時報的地位、すなわち「談 言舌新時報」、「談話 旧 晴報」、「推論可能晴報」、そして等位・従位接続の説明を行なってい る 。 第 二 章 は 、 主 な 先 行 研 究 の 譲 歩 節 、 及 びalthough節 の 分 析 を 概 観 し 、 そ の オ 嚇 を 指 摘している。
第 三 章 は 、although節 の 用 例 を2006年8月16日 付 け の 電 子 コ ー パ ス 、Lexis Nexis、 の 英 字 新 聞 か ら 収 集 し 分 析 し て い る 。 結 果 と し て 、 前 置 ・ 後 置although節 は 、 用 法 の 種 類 に 差 は な く 、 違 い は そ れ ぞ れ の 用 法 の 頻 度 に あ る こ と を 報 告 し て い る 。 す な わ ち 、 前 置although節 は 漂 準 譲 歩 と 修 辞 譲 歩 だ け で は な く 、 訂 正 譲 歩 、 対 比 、 発 話 行 為 の 用 法 が あ る こ と 、 後 置although節 は 標 準 譲 歩 、 修 辞 譲 歩 、 訂 正 譲 歩 だ け で は な く 、 対 比 と 発 話 行 為 の 用 法 が あ る こ と を 観 察 し て い る 。 し か し 、 前 置 と 後 置although節 で は 最 も 頻 度 の 高 い 用 法 が 異 な っ て お り 、 前 置although節 の 大 部 分 は 標 準 譲 歩 を 表 す の に 対 し 、 後 置 although節 の 大 部 分 は 訂 正 譲 歩 を 表 す こ と を 報 告 し て い る 。 さ ら に 、 訂 正 譲 歩 に は 三 っ の 下 位 ク ラ ス 、 す な わ ちCancelingAssumption缶t定 の 取 り 消 し ) 、Weakening Validity
(妥当性の弱化)、Exception C1J夕ト)が同定 されている。
第 四 章 は 、 第 三 章 で 用 い た196例 のalthoughの 用 例 に 基 づ い て 、 前 置 ・ 後 置although 節 を 時 報 溝 造 の 観 点 か ら 比 較 し て い る 。 ま ず 、107例 の 前置although節の 内 、76例(71% ) が 先 行 文 脈 と 関 連 し 、 さ ら に 、 前 置although節 と 先 行 文 脈 と の 関 連 の 仕 方 と し て 、(i) 談 話 旧 情 報 を 表 す 、(ii)推 論 可 能 情 報 を 表 す 、(iii)推 論 可 能 な 開 放 命 題(Open Proposition)と 焦 点(focus)を 表 す 、(iv)対 比 を 表 す 、 の 四 パ タ ー ン が あ る こ と を 観 察 し て い る 。 一 方 、89例 の 後 置although節 の 内 、 先 行 文 脈 と 関 連 し て い る の は わ す 功 ゝ 15例(17% ) で あ る 。 後 置although節 と 先 行 文 脈 と の 関 連 の 仕 方 に は 、(ii)推 論 可 能 情 報 を 表 す 、(iii)推 論 可 能 な 開 放 命 題 と 焦 点 を 表 す 、(iv)対 比 を 表 す 、の 三パ タ ーン の み が 観 察 さ れ 、 前 置although節 に 見 ら れ る(i)談 話 旧 時 報 は 後 置although節に は 見ら れ ない。
第 五 章 は 、 前 置 ・ 後 置although節 を 等 位 ・ 従 位 節 ら し さ の 観 点 か ら 比 較 し て い る 。 後 置although節 は 四 つ の パ ラ メ ー タ 、(A)主 節 か ら 統 語 的 に 独 立 で き る か 、(B)独 自 の 発 話 内 効 力(illocutionary force)を 持 て る か 、(C)主 語 の 省 略 を 許 す か 、(D)命 題 内 容 が 前 景 化 さ れ る か 、 の 全 て に お い て 等 隘 嬲 勅 ふ る ま い が 許 さ れ る が 、 前 置although節は(A), (C),(D)の パ ラ メ タ に 関 し て 常 に 従 位 接 続 的 に ふ る ま う こ と を 示 し て い る 。 一 方 、 although節 に 限 り 前 置 ・ 後 置 節 の 両 方 に お い て 命 令 文 や 修 辞 疑 問 文 と い っ た 主 節 現 象 が 許 さ れ る 事 実 を 観 察 し て お り 、 こ れ は 他 の 副 詞 節 に は な い 特 陸 で あ る 。 第六章では、結論が 述べられている。
本 論 が 主 張 す る 主 な 論 点 は 以 下 の も の で あ る 。 前 置 ・ 後 置although節 に は そ の 用 法 の 使 用 頻 度 に 大 き な 違 い が あ り 、 前 置 節 で は 標 準 譲 歩 、 後 置 で は 訂 正 譲 歩 の 頻 度 が 高 い こ と 、 前 置 節 の71% は 先 行 文 脈 と 関 連 が あ っ た の に 対 し 後 置 節 で は17% に 過 ぎ な く 、 前 置 節 で 多 く 見 ら れ た 談 話 旧 時 報 は 後 置 節 で は見 られ なか っ たこ と、 さら に、 後 置節 は 四 つ の パ ラ メ タ ー す べ て で 等 位 接 締 約 で あ っ た が 、 発 話 内 効 カ を も つ 可 能 性 に つ い て は 前置節も等位接続的に ふるまうことができること である。
学位論文審査の要旨 主査
副査 副査
教授 准教授 准教授
高橋 野村 瀬名波
英光 益寛 栄潤
学位論文題名
Althoug . カ Clausesln English Discourse:
A Functional Analysis
(英語の談話におけるalthough 節―機能言語学的分析)
本論の成果は、っぎのように要約できる。第一に、前置と後置のalthough節の違いは、
用法の種類に はなく、用法の頻度にあることを発見したことである。 前置although節の 大部分は標準 譲歩を表すのに対し後置although節の大部分は訂正譲歩 を表すことが、明 確な数値デー タに基づき明らかになっている。第二に、訂正譲歩のalthough節は、これ まで単一のカ テゴリーと考えられていたが、実際にはそうではなく、 新たに、三つの下 位クラス、すなわち「想定の取り消し」、「妥当性の弱化」、「til外」の存在を示したこと である。第三に、主節現象が前置節においても容認される実例を提示したのは、「主節現 象は後置節で のみ許容される」という副詞節一般にっいての定説に大 きな修正を迫るも のである。
加えて、Prince、Birner &Wardの|膏般構造の理論を、although節と先行文脈の意味関 係の分析に適 用することにより、後置although節と先行文脈の関連は 、(ii)推論可能情 報を表す、(iii)推論可能な開放命題と焦点を表す、(iv)対比を表す、の三パターンであ り、前置節に見られる(i)談話旧´t青報は後置節には見られない、という独自の観察を得て いる点は高く評価できる。
橋 斜ま 、審 査付 き学 術 誌に掲載ずみの2本の論文を基盤とし、さら に、第四章の一部 は、 当分 野で は国 際的 に 定評 のあ るCSL工Publicationsの言語学論集、Empirical and Experimental Methods in Cognitive/Functional Research、に掲載されることが決まっ て い る 。 こ の 事 実 は 、 本 研 究 が 国 際 水 準 に 達 し て い る こ と を 物 語 っ て い る 。 ただ、本論 には多少の不備があることが指摘された。英語使用国間 のalthoughの用法 の違いにっい て考察が及んでいないこと、訂正譲歩の定義にやや不明 瞭なところがある こと、加えて 、although節のなかの主節現象についての制約が十分に 説明されていない 点が指摘され た。しかし、これらは、本論の先駆的研究としての価値 を少しも損なうも のではなく、むしろ今後の発展可能性を示唆するものである。これらの課題にっいては、
水野氏自身も十分に自覚しており、新たを方法でデータ収集し、研究を深化させる構想 をもっていることが口述試験で確認されている。
本論が、英語のalthough の基本文献として参照されることは明らかであり、although 節のみならず譲歩節、副詞節、そして等位接続と従位接続の研究に大きな貢献をするこ とは疑いがない。