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博 士 ( 医 学 ) 飯 塚 純 子

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 飯 塚 純 子      学 位 論 文 題 名

オ ス テ オ ポ ン チ ン と 自 己 免 疫 疾 患 ー オ ステ オポ ンチ ン      ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス を 用 い た 解 析

学 位 論 文 内 容 の要 旨

    オス テオポンチ ン(O PN)は骨基質に存在する蛋白として同定された。一方でぱr 細胞の活性化に伴い発現されるearlyTlymphocyteactivation−1くEta−1)という遺伝 子 とレても同 定された。OPNは分子 内にビ卜口ネクチンやフィプロネクチンなどの細 胞外マトリックスが有するアルギニン・グリシン・アスパラギン酸(RGD)配列という 細 胞 接着 配 列を 有 する 。 こ のRGD配 列 を介 レ てavロ3を始めとす るavロ1、avロ5な ど のインテグ リン分子とCa依存性に結 合すること が知られて いる。最近では〇PNの RGD配列を介 さない接着 についての 研究も進められており、CD44と結合することやト

□ ンビン切断後のN末端を含む半分がテナシン受容体であるa9ロ1と結合することも明 ら かになってきた。○PNは骨、腎臓、内耳、ミルクなど生体内に広く分布している。

その機能も多岐に及んでおり、マク口ファージ、破骨細胞、各種腫瘍細胞、血管内皮細 胞をはじめとする様々な種類の細胞への接着、マクロファージやCD44陽性・の腫瘍細胞 に 対してchemotaCticに 作用するな どの細胞運 動能、N○合成酵 素をmRNAレベルで抑 制することによる一酸化窒素(NO)産生の調節、石灰化の調節、そレて自己免疫疾患へ の関与などがしられている。これらの中でも特に自己免疫疾患への関与については、1) ヒトの自己免疫疾患のひとつである全身性工リテマ卜ーデスくSLE冫やSLEのモデルマウ ス であるMRLーlprの血 清中の○PNが上昇していた。2)MRL一lprマウスでは異常細胞 で あ るCD4―CD8−doublenagative(DN)T細胞 が 増加 す るが 、DNT細 胞で ○PNの mRNAの発 現が上昇し ていた。3)MRL―lprマウ ス血清中で はIL−2、3、4などのポリ ク 口ーナルなB細胞の 活性化を引 き起こすサイ卜カインの産生量には変化はないが、

〇PN量 は 増 加して いたため、 〇PNはMRLlprマウスで 認められるB細胞 の活性化を 担 っ ていると思 われる。4)MRLーlprマウ スからT細胞を除去 レた脾臓細胞を調整し、

〇PN十LPSで刺 激をするとIgGやIgMの産生が認められる。などがあげられる。このよ う に自己免疫病態を示すMRLー1prマウスやヒ卜SLEでは〇PNは主に活性化T細胞によっ て 産生されて いる。自己 免疫疾患に おけるOPNの役割は、T細胞から産生された〇PN がB細胞のポリクローナルな活性化を惹起し、瓸Gクラスの自己抗体を含む塘Gの産生を 増 強することにあると考えられてきた。しかし、これらの疾患では〇PN値の上昇のみ ならず、種々の免疫系の異常が存在し、その影響を除外することはできない。より直接 的 に○PNの自己免疫疾患における役割を検討するためにりンバ球特異的に標的遺伝子 を 発現することのできるブ口モーターを用いて〇PNトランスジェこックマウスを作製 レた。これをIg−〇PNと名付けた。

(2)

  Ig− 〇PNに お け る 〇PNmRNAの 発 現 を 調 べた と ころ 内 因性 の 〇PNmRNAの発 現 が 腎臓に 認められる のに対して 外因性のmRNAの発 現は脾臓細 胞と胸腺細 胞に認められ た。tgの血 中のOPN値も増強し ているのが 確認された。また細胞における〇PN蛋白の 発現を調ぺるためにIg−○PNより脾臓細胞、腹腔内細胞を調整後、B細胞に特異的な表 面抗原 であるB220で分画したものについても調べたところ、卜ランスジ工二ックマウ ス(tg)では脾臓細胞及び腹腔内細胞のB220陽性の分画では〇PN蛋白の発現が強くなっ ている のが確認された。次に○PNの強発現によるりンパ球の分化異常を調べるために 表面抗 原の解析を 行った。胸 腺細胞上のCD4、CD8、脾臓細胞 上のCD3、CD5、B220、 avmtegrm、 腹 腔 内 細 胞 上 のB220、CD5、IgM、IgD、av血tegrmの 発 現 をF丶ACS を用いて解析した。T細胞については胸腺細胞のダブルネガティブ及びダブルポジティ ブ細胞の比、脾臓細胞の表面抗原の発現に異常は認められなかった。B細胞については、

末梢のB細胞は2種類に分類され、ひとつは、IgMIo IgDhjghであるB2細胞、もうひとつ はIgMhighIgDlowのBl細胞である。Bl細胞は更にCD5の発現により2種類に分類される。

IgMhighIgD帥CD5゛がBla、IgMhtghIgd° CD5−がB1bと分類される。脾臓ではB1細胞、

B2細胞とも に変化はなかったが、腹腔内細胞においてはtgでBl細胞(B1a、Blb共に)

が 増加 し てい た 。ま た 、〇PNのレ セ プタ ー のひ と つで あるavmtegrmの発現 も腹腔 内細胞 にのみ増加 していた。Bl細 胞は塘M、IgG3をっくることがしられているためtg におけ る血中のイムノグ口ブリンの濃度を測定した。IgG1の濃度はwtとtgで変化はな かった が、IgMとIgG3に ついてはtgの 血中でwtに比べて上昇していた。また、B1細胞 は自己 抗体をつく ることでも レられてい るため、代表的な自己抗体である抗DNA抗体 に つい て 測定 し た。 血 中におけ る抗1本 鎖及び2本鎖DNA抗体を測定 したところ 、tg で はIgMク ラ スの 抗2本鎖及 び1本 鎖DNA抗体 価が上昇し ていた。し かし、IgGクラス の抗体には変化は認められなかった。

  本実験で 作製したtgでは腹腔内B1細胞数が著名に上昇し、B1細胞を含む腹腔内B220 陽性細 胞群では○PNの受容体であるavインテグリンの発現が増強していた。しかも、

B1細胞由来 と考えられ るIgMとIgG3の 血中値及び 抗DNA抗体 値が上昇し ていた。これ ら のこ と からOPNはB1細 胞 の増 殖 分化 とBl細 胞 由来 の 抗DNA抗体 の産生に関 与して い るこ と を示 唆 して い る。しか しながら、 本研究のき っかけとな ったMRLllprでは

○PN発現の 上昇やB2細胞の活性化は認められるが、Bl細胞の増加は認められない。す なわち 、MRL11prマウスでは、リンバ球の大多数を占める異常T細胞が○PNを産生し、

B2細 胞 を活 性 化し て いる 。mutroで〇PNの刺激によ りB2細胞から 産生される 免疫グ 口プリ ンはG2とG1でありG3はほとんど 変化レない ためこれら の抗体はB2細胞より産 生され ていること を示してい る。〇PNtgでは、mRNAは胸腺細胞 及び脾臓細胞で上昇 してい るものの、〇PN蛋白の発現は主に腹腔内B220陽性細胞、すなわちBl細胞に限ら れてい る。しかも、これらの細胞はavインテグリンの発現増強を示しているので少な くとも 部分的には活性化されている。ー方、B2細胞は活性化されていない。詳細な機 序 は不 明 であ る が、 〇PNtgではB1細胞に おいて、OPNとその受 容体であるavインテ グリンヘの結合というautoc血1e機序が作用し、B1細胞の増殖分化を促進レ、自己抗体 の産生へと帰結している可能性がある。

  いずれに しても本研究により〇PNが自己抗体の産生を惹起し、自己免疫疾患に関与 する可 能性が強く示唆された。この〇PNtgを用い、自己免疫疾患と〇PNの関係につい ての更なる解析が期待される。

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

オステオポンチンと自己免疫疾患―オステオポンチン      ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス を 用 い た 解 析

    オステ オポンチン(OPN)は、骨、腎臓、内耳、ミルクなど生体内に広く分布して おり、その機能も多岐に及んでいる。すなわちマク口ファージ、破骨細胞、各種腫瘍細 胞 、 血 管 内 皮細 胞 をは じ めと す る様 々 な種 類 の細 胞 へ の接 着 、細 胞 運動 能 促進 (chemotacticな作 用 )、inducibleN○合 成酵素をmRNAレベ ルで抑制す ることによ る一酸化窒素(N O)産生の調節、石灰化の調節、更に自己免疫疾患への関与などがしら れ てい る 。  自 己免 疫疾 患におけるOPNの役割 は、T細 胞から産生 されたOPNがB細 胞のポリク口ーナルな活性化を惹起し、IgGクラスの自己抗体を含む免疫グ口ブリンの 産生を 増強することにあると推察されてきた。しかし、これらの疾患ではOPN値の上 昇のみならず、種々の免疫系の異常が存在し、その影響を除外することはできない。よ り直接 的にOPNの自己免疫疾患における役割を検討するために、リンバ球特異的に標 的遺伝 子を発現することのできるプ口モーターを用いてOPNトランスジ工二ックマウ スを作 製した。こ れをIgーOPNと名付けた 。  Ig―〇PNにおけ るOP NmRNAの発現を 調 べた と ころ 内 因性 のOPNmRNAの 発現 が 腎臓 に 認め ら れるのに対 して、外因 性の mRNAの発現 は脾臓細胞 と胸腺細胞 に認められ た。OPN蛋 白の発現は 腹腔内Bl細胞で 増強していたが、胸腺細胞や脾臓細胞では認められなかった。血中の○PN値は対照群 に比し 有意に増強 しているの が確認され た。T細胞やB細胞の分化、増殖能に変化は 認められなかったが、腹腔内Bl細胞数が著名に上昇し、Bl細胞を含む腹腔内B220陽性 細胞群 ではOPNの 受容体であ るavインテグ リンの発現 が増強して いた。しかも、Bl 細 胞由 来 と考 え られ るIgMとIgG3の血 中 値及 びIgMクラ スの抗一 本鎖および2本鎖 DNA抗 体値が上昇していた。公開発表および個別の審査において、副査の吉木教授よ り、ホモ結合体でなく、ヘテ口結合体を用いた理由、自己免疫疾患類似の病理組織像の 有無、週齢にともなう自己抗体等の変化、副査の小池教授より、avインテグリン受容 体の生体内分布、OPNがBl細胞を増やす作用機序、OPNはau toc rineに作用するのか、

あるいはparac rineやen docrineの作用機序があるのか、副査の小野江教授より胸腺中 のBl細胞 は増加する か、○PNの受 容体はavインテグリンの他にどんなものが存在す るか、トランスジェニックマウスではクラススイッチは正常か、免疫によって自己抗体

光則 夫敬 利和 隆 出江 池木       野 上小 小吉 授授 授授 教教 教教 査査 査査 主副 副副

(4)

は変化するか等の質問がなされた。  質問に対して申請者は、未発表データや関連論文 を引用しつっおおむね妥当な回答をなし得た。  明確な回答のなし得なかった点にっき、

主査の上出教授より、視点を変えた補足質問がなされた。  更に3人の副査の教授より   今後、ホモ結合体を用いた解析が必要であること、他の系統のマウスの背景にOPN を導入したほうが、自己免疫症状の有無を検討しやすいこと、病理組織像の検討が必要 であるとのアドバイスがあった。

    本論文は、OPNトランスジェこックマウスを作製し、○PNがBl細胞の増加により 自己抗体の産生を惹起し、自己免疫疾患に関与する可能性を強く示唆したものであり、

今後の自己免疫疾患の発症機序を解析する上で貴重なモデル動物を提供するものと期待 される。

  審査員一同は、これらの成果を評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併 せ申 請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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