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博 士 ( 医 学 ) 朝 比 奈

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 朝 比 奈    肇

     学位 論文題 名

A phaseHtrial of gefitinib as first − line therapy for     advanced non ― small cell lung cancer with     epidermal growth faCtorreCeptormutationS

(上皮成長因子受容体遺伝子変異を有する未治療進行非小細胞肺癌に対する      ゲ フ イ チ ニ ブ の 有 効 性 お よ び 安 全 性 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【背景】進行#.J唏田且蝕啼癌に対するプラチナ参劇を中心としたイビ誇寮法は、Best supportive careと比 較し 生倖 審 を向 上さ せ るが 、そ の 初回 治療 の 奏効 率は30‑40%、生 存期 間中央値(Median survival time Msr)は&10ケ月に過ぎない 。

    ヒ 皮 成 長 因 子 受 容 体(Ep(1enml鈩 田m缸 畑r珀 こq血 )r´R弧 ) は、 分子 量17010aの 細 胞膜 貫通 型受 容体 で 、リ ガン 縣 占合 によ り 二量 体を 形 成、 細胞 内 のチ ロシ ン キナ ーゼ 部 位の 自己 リン酸化 を生 じ、 細胞 の 増殖 、遊 走 ・浸 潤、 血 管新 生、 ア ポト ーシ ス 回避 など を 引き 起こ す こと が知 られてい る。

E( ニFRは 、非 小 細胞 肺癌 の43・89%に高発 現しているため、E(亜Rのチロシンキ ナーゼ阻害剤であ るゲ フ ィ チ ニ ブ の非 小 細胞 肺癌 に 対す る臨 床 開発 が進 め られ 、再 発 例に 対す る 国際 臨床 第H相 試 験で は、

奏 効 率1D20% と 比 較 的 良 好 な 成 潰 が 示 さ れ 也 ま た 、 そ の後 の 第III相試 験で は 有意 な生 存 延長 効果 は示 され な かっ たが 、 東治 圦、 女 阯丶 非喫 煙 昔、臓直といった 臨床的特徴をもっ サブクシレープで は高 い効 果を 有 する こと が 指摘 され た 。一 方、 日 本で は、 ゲ フィ チニ ブ 投与 に伴 う 間質 陸肺 炎による 副作 用死 が2% を超 え 、大 きな 社 会間 題と な って いる 。 従っ て、 ゲ フィ チニブが真に 有効であると期待 され る症 例を 選 択し て治 療 する こと が 極め て重 要 と考 えら れ る。 近年 その 有効陸を予預0する生物学的 因子 につ いて 研 究が 進め ら れ、ゲフィチ ニブが有効であっ た症例の肺癌組織 には、I三 (ニFRのチロシン キナ ー ゼ 部 位 に 活 陞 聖 陵 異 ( エ ク ソ ン19の 欠失 型 変異 ある い はエ クソ ン18、21の 点 突然 変異 ) が存 在す ることが明らかと なった。

【 目 的 】 取 弧 遺 伝 子 変 異 を 有 す る 進行 非小 細 胞肺 癌に 対 する 、初 回 治療 とし て のゲ フィ チ ニブ の有 効陸と安全陸を第n相試験 で前向きに検討した

【方 法】 本 研究 は、 当 院を 含む 北 海道 肺癌 臨 床研 究談 話 会に 所属 す る各 施設 の 倫理 委員 会にて承 認を 受けた後、文書に よる同意カミ得ら れた20歳以上のイ ビ誇寮法未治療の進行ヲ馴唏聞包肺癌患者を対象とし て実 施さ れ た。 本研 究 では 、ま ず はじ めに 各 施設 で手 術 また は生 検 で採 取さ れ 当科 へ送 付された 一次 登 録 走 例 の 肺 癌 組 織 よ りDNAを 抽 出 し 、 ダ イ レ ク ト シ ー ク エ ン ス 法 に てBGFR遺 伝 子 変 異 の 有 無 に っき 解听 を 行っ た。 続 いて 同変 異 を有 し、 ゲ フィチニブ投与の 承諾が得られた二 次登録症例のみを 対象

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と し て 、 初 回 治 療 よ ル ゲ フ ィ チ ニ ブ を 投 与 する 臨 床 第H相試 験 を 行 っ た第H相 試 験 にお け る 必 要 症 例 数 は 、期 待 奏 効 率 を70%、 閾値 奏 効 率 を30%と 設 定した 場合、aエ ラー=0.05、ロエ ラー 〓0110の条 件下 で14例 であっ たため 、脱落 例を 考慮し て16例と 設定 した。

【 結 果 】 一 次 登 録 さ れ た 非 ′ | 湘 脆 肺 癌82症 例 に お け るK孤 遺 伝 子 変異 を 解 听 し た年 齢 は 中 央 値 65歳 缶 囲 、 螂3歳 ) 、 性 別 は 男 性33例m% ) 、 女 陸49例 ( ∞ %) 、 組 織 型 はE泉 癌 ワ2例(87% )、

扁平 ヒ皮癌4例 (5%)、 大細胞 癌3例(4%) 、喫煙 匿は 現喫煙 者28例Q唾% )、前 喫煙 者16例(20%)、

非 喫 煙 者38例m% ) 、 検 体 は 手 術 険 雄30例 髑 % ) 、 経 鰰 轍 堂 鯲 体 舛 例 は % ) 、 そ の 他 の 検 体 8例Q0% ) で あ っ た 珊R遺 ぼ . 繆 溟 は 、20例 は % ) で 認 め 、 節 隣 理 判 瞞 徴 と の 関 連 でiま 、 特 に 非 喫 煙 者 に お い て 喫 匱 者 と 比 較 し て 有 意に 多 か っ たG9% 対11%, ヰ 臘 脚 が 、年 齢 、 性 別 、組 織型 、検鉢 の種21鰯I亅では 有意差 を認め なか った。

  続 い て 、E( 孤 遺 伝 子 変 異 陽t生 例 の う ち 、 不 適 格症 例 な ど4例を 除 い た16例 が 二 次 登 録さ れ 第n 相 試 験 を行 っ た 。16症 例 の 内 訳 は、 年 齢 は 中 央値68歳( 同、 哲薑8歳) 、性別 は男性3例 、女陛13例、

雑 囀 晒 ! は 腺 癌15例 、 扁 平 ヒ 支 癌1例 、 喫 煙 は 夢 誘 燬2例 、 前 螻 麺 者1例 、 ヲ 麗 獸 醋13例 、 検 体 は 手 術 検 体5例 、 経 気 管 支 肺 生 検検 体9例 、 その 他 検 体2例、 変 異 の 種 類は エ ク ソ ン19の 欠 失 型 変異 が13例 、 エ ク ソ ン21の 点 突 然 変 異 皿 暇 鰰 が3例 で あ っ た 。 ゲ フ ア チニ ブ は12例 に お い て 奏 効し 、 奏 効 率 は乃 % (95% ( エ48粥% ) 、 生 存 曲線 は 観 察期間 中央 値1270月 の時点 で、全 生存期 間は中 央値 に 違 せ ず 、 無 觀 姓 存 期 間 は8.90月 瞞 %a´6.7‐1111ケ 月 ) で あ っ た 副作 用 は 、Qade3瑚 干職 能 障 害2例 、 皮 疹1例 、 胃 潰 瘍1例 の 他 、Grade1の 間 質 陸 肺 炎に よ る 治 療 中 止を1例 で 認 めた が 、 従 来 報 告 さ れ て い る 副 作 用 と 同 等 で 重 驚 な も の は な く 、 治 療 関 連 死 も 認 め な か っ た ふ

【 考 察 】 本 研 究 で は 、 前 向 き 研 究 に よ りEGFR遺f繖 異 陽 陸 の 未 治 療進 行 非 小 細 胞肺 癌 に お け るゲ フ ィ チニブ の有効 性と 安全陸 を証明 した。 ;萄 研究で 認めら れた奏 効率、 無増 悪生存 期間、 全生存 期間 f弧臣常 の初回 治療で のイビ誇寮法で得られる結果よりもはるカゝに良好であり、また副fキ澗も軽度である こ と か ら、 ゲ フ ィ チ ニブ 単 独 療 滋 ま、 今 後 、E(汗R遺 伝子変 異陽 陸の非 小細胞 肺癌に 対して は、 現在 の プ ラ チナ ベ ー ス の 化学 療 法 に 替 わり 、 初 回 治 療で の標準 療法と なりう る可 能陸が ある。 一方で 、過 去 の 臨 床試 験 の 検 体 を用 い た 解 忻 では 、RニFR遺 伝 子 変 異 陽陸 の 非 小 細 胞肺癌 は通常 の化学 療法 に対 す る 感 受陸 も 高 い と する 報 告 も あ り、R彁R遺 伝子 変 異 が 非 小細 胞 肺 癌 の 単な る 予 後 因 子 に過 ぎ ない と い う 司l飽 陸 も 現 時点 で は 残る。 今後は 、本 治療法 の真の 役割を 明らか にす るため 、R語R遺 伝孑 変異 陽 陸 の 非小 細 胞 肺 癌 に対 す る 、 ゲ フィ チ ニ ブ 単 独療 法と現 在の標 準治療 であ るプラ チナベ ースの 二剤 併用 化学療 法と のtヒ 較第m相試 驗う ゛ゝ必 要であ ると考 えられ る。

【結 語】E(丑R遺 伝奇凌 異I昜陸の 未治療 進行非′|唏田餬市癌に対するゲフィチニブの有効陸と安全陸を 証 明 し た。 同 症 例 に 対す る ゲ フ ィ チニ ブ 単 独 療 法は 現在の 標準で ある二 剤併 用化学 療法に 替わる 標準 療法 となり うる 。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

A phaseutrial of gefitinib as first −line therapy for     advanced non ― small cell lung cancer with     epidermal growth faCtorreCeptormutationS

(上皮成長因子受容体遺伝子変異を有する未治療進行非小細胞肺癌に対する      ゲ フ ィ チ ニ ブ の 有 効 性 お よ び 安 全 性 に 関 す る 研 究 )

  上皮成長因子受容体(Epidermal growth factor receptor,EGFR)は、分子量170kDaの細胞 膜貫通型受容体で、リガンド結合により二量体を形成し、細胞内のチロシンキナーゼ部位の自己 リン酸化を生じ、細胞の増殖、遊走・浸潤、血管新生、アポトーシス回避などを引き起こすこと が知られている。EGFRのチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブは化学療法再発例に対す る国際臨床第II相試験で、奏効率10―20%と比較的良好な成績を示し、また東洋人、女性、非喫 煙者、腺癌といった臨床的特徴をもっサブグループではさらに高い効果を有することが指摘され たが、その後の第III相試験では有意な生存延長効果は示されていない。一方、日本では、ゲフ ィチニブ投与に伴う問質性肺炎が大きな社会問題となっている。従って、ゲフィチニブが真に有 効であると期待される症例を選択して治療することが極めて重要と考えられる。近年、ゲフィチ ニブが有効であった症例の肺癌組織には、EGFR遺伝子のチロシンキナーゼ部位に活性型変異が 存在することが明らかとなった。

  そこで我々はEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌に対する、初回治療としてのゲフイ チニブの有効性と安全性を第II相試験で前向きに検討した。

  本研究は、当院を含む北海道肺癌臨床研究談話会に所属する各施設の倫理委員会にて承認を受 けた後、文書による同意が得られた20歳以上の化学療法未治療の進行非小細胞肺癌患者を対象 として実施された。本研究では、まず各施設で手術または生検で採取され、当科へ送付された一 次登録症例の肺癌組織よりDNAを抽出し、ダイレクトシークエンス法にてEGFR遺伝子変異(エ クソン18め点突然変異G719X,エクソン19の欠失型変異,エクソン21の点突然変異L858R)の 有無にっき解析を行った。続いて同変異を有し、ゲフィチニブ投与の承諾が得られた二次登録症 例のみを対象として、初回治療よルゲフィチニブを投与する臨床第II相試験を行った。第II 相試験における必要症例数は、期待奏効率を70%、閾値奏効率を30%と設定した場合、aエラー     ー295−

博 俊

正 弘

香 田

浅 秋

西

授 授

教 教

査 査

副 副

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=0. 05 、ロエラー‑0 .   10 の条件下で 14 例であったため、脱落例を考慮して16 例と設定した。

   まず、一次登録された非小細胞肺癌 82 症例においては、EGFR 遺伝子変異は、20 例(24 %)で 認め、臨床病理学的特徴との関連では、特に非喫煙者において喫煙者と比較して有意に多かった (39% 対11% ,p=0. 003) が、年齢、性別、組織型、検体の種類別では有意差を認めなかった。

   続いて、EGFR 遺伝子変異陽陸例のうち、不適格症例など4 例を除いた16 例が二次登録され第 II 相試験を行った。ゲフィチニブは12 例において奏効し、奏効率は75% (953toCI ,48 ―93%) 、生 存曲線は観察期間中央値12.70 月の時点で、全生存期間は中央値に達せず、無増悪生存期間は 8 .9 ケ月(95%CI ,6 .7 −11.1 ケ月)と良好な成績であった。従来の化学療法と比較して重篤な副 作用の頻度は低く、治療関連死も認めなかった。

   今後の展開として、本治療法の真の役割を明らかにするため、EGFR 遺伝子変異陽性の非小細胞 肺癌に対する、ゲフィチニブ単独療法と現在の標準治療であるプラチナベースの二剤併用化学療 法との比較第III 相試験が必要であると考えられる。

   公開発表において、副査浅香正博教授から、 1 )今後ゲフィチニブを使用する際にはEGFR 遺 伝子変異検索は必須か、2 )本研究で問質性肺炎の合併頻度が低かった理由、3 )今後の日本に おけるゲフィチニブ使用の方向性に関する申請者の考えにっいて質問があった。次いで副査秋田 弘俊教授から、1 )本研究でのEGFR 遺伝子変異の解析方法の感度と特異度、2 )ゲフィチニブ 奏効例が耐性となる機序とその克服方法について質問があった。また副査西村正治教授から1 ) 他臓器癌におけるEGFR 遺伝子変異の有無と特徴、2 )検体採取における気管支鏡の有用性につ いて質問があった。最後に主査今村雅寛教授から1 )本研究で非奏効例が存在した理由、2 )変 異の種類による奏効率の差の有無、3 )本研究でEGFR 遺伝子変異の陽陸率に性差を認めなかっ た理由、4 )EGFR 遺伝子変異陰性例でゲフィチニブが奏効する機序について質問があった。い ずれの質問に対しても、申請者は自験データや過去の文献を引用し、概ね適切に回答した。質疑 応答の時間は約15 分であった。

     この論文は、前向き研究によりEGFR 遺伝子変異陽性の未治療進行非小細胞肺癌におけるゲフ ィチニブの有効性と安全性を証明したものである。その成果は高く評価され、今後ゲフィチニブ 単剤療法はこのような非小細胞肺癌に対する、初回治療での標準療法となりうる可能性がある。

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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