応用行動分析に基づく保育士を対象とした発達支援リーダー養成 : プログラムの開発及びその効果 : 発達障害者支援センターにおける地域支援として
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(2) 要旨 本博 士論文 では 、発達障害者支援 セ ン ター にお ける地域支援 プ ロ グラ ム と して 、応 用行 動分析 に基 づ く指導的 立 場 の保 育 士対象 の研修 プ ログラムの 開発及 びそ の効果 の検討 を行 つ た。発 達障害者支援 セ ン ター は、発達障害児 ・ 者 に対す る地域支援 の 中心 的 な機 関 であ り、発達障害児 ・ 者 に対す る直接支 援 だけでな く、地域 の支援者 に対す る支援 の実施 も求 め られ てい る。 本研 究で実施 した保 育 士対象 の研 修 プ ロ グラムの 開発及 び 効果検討 は、神 戸市発達障害 者支援 セ ンターが 早期発 達支援 の体制整備 の ため の大学受託研 究事業 として実施 した もの であ る。神戸市 の保 育所数 は 189で あ り、保 育 士 数 は 2379名 、園児数 は 18677名 であ り、 研修 プ ログラム には 、指導的 立場 の保育 ±. 97名 が参加 した。応用行動分析 は、対象者 の. 行動 と環 境 との相 互 作用 に注 目し、 当該 の環境 を変 えるこ とに よつて 問題 の解決 を 目指す 徹底 的 に問題 解決 的 なアプ ロー チである。 これ まで の研 究か ら発 達障害 へ の効果的 な発 達 支援 に関 して 多 くの知見が積 み上 げ られ て い る。本研 究事業 では 、応用行動分析 の研 修 プ ログラム を保 育所 内 の 多 くの保 育 士へ 普及 させ るために、指導的 立場 の保 育 士 を対象 と し. ﹂. て実施 した。. F ﹂ E E. 開発 した研修 プ ログラム は、応用行動 分析 の支援方法 だけでな く、支援 の立案や 、そ の. F F. ため のアセ ス メン トまで も含 む包括 的な トレーニ ングプ ログラム であった。 なお 、 アセ ス メ ン トと して取 り上 げた. ABC観 察記録 は、個人 の行動 と環境 との相 互作用 を分析 す る機. 能的 アセ ス メン トの 1つ であった。地域支 援 プ ロ グラム として の有効性 を検 討す るために、 ①研修 内 の参加者 の支援 の立案 ス キル の 向上 に加 えて 、②保 育所 内へ の研修 プ ログラムの 効果 、 ③研修 プ ログラムの受 け入れやす さについ て検討 を行 っ た。②保 育所 内へ の効果 は 、. 1)参 加者及 び他 の保 育 士の チー ム に よる対象園児 へ の支援 、2)参 加者 の助 言 に対す る評 価 、3)他 の保 育 士の支援行動 、4)対 象 園児 の行動変容 、5)参 加者 に よる直接支援及 び他 の保 育 士 へ の助言、6)他 の保 育 士 に よる ABC観 察記録 の 実施 の 6つ の点 か ら分析 を行 つ.
(3) た。 研 究 1で は 、指導的立場 の保 育 士対象 の応用行動 分析 に基 づ く研修 プ ロ グラムの 開発及 びそ の効果 の検討 を行 っ た。研 究 1の 5つ の研 究では、 参加者対象 の質問紙調査 に よって 、 ①研 修 内 の参加者 の支援 の立 案 ス キル の 向上 に加 えて 、②保 育所 内へ の効果 として 、1)チ ー ム に よる対象 園児 のへ の支援や 、5)参 加者 に よる直接支援 と他 の保 育 士 に対す る助言 に つい ての改善 を確認 した。研 究. 1‐. 3か ら研 究. 1‐. 5で は 、参加者 か ら助言 を受 け る立場 の保. 育 士 対象 の質問紙調査 に よって 、2)参 加者 の助言 が他 の保 育 士か ら高 い評価 を得 た こ とを 確認 した。 また 、研 究. 1‐. 5で は 、行動観察 に よって 、3)参 加者 か ら助言 を受 けた保 育 士の. 支援行動 の 改善 と、参加者及び他 の保育 士の記録 によって 、4)対 象 園児 の行動 の改善 を確 認 した。 研究. 1‐. 3か ら研 究. 1‐. 5で は、それ まで応用行動 分析 の専門家 が行 ってい た研 修 プ ロ グラ. ムのス タ ッフ を研修参加 者 (保 育 士ス タ ッフ)が 行 っ た。研 究. 1‐. 3か ら研 究. 1‐. 5に わた る改. 善 の結果 、保育 士ス タ ッフ を導入 した効果的な研修 プ ログラム を開発 した。 研 究 2で は 、研 究 1の 全参加 者 を対象 に、研修 プ ログラムの効果 の検討 に加 えて 、研修 プ ロ グラムの 実施及 び 改善 につ なが る分析 (巡 回相 談 の効果等)を 行 った。研 修 プ ロ グラ ム. ラムの受 け入れやす さについ て検討 した。そ の結果 、6)約 半数 の参加者 の保 育所 では 、他 の保 育 士 も ABC観 察記録 を実施 した こ と、また 、③研修 プ ログラムが 多 くの参加者 に と つて受 け入れやす い もので あ った こ とがわか った。 研 究 3で は 、フ ォ ロー ア ッププ ログラム と して事例検討会 を実施 し、1)支 援 の 実施 に よ る対象 園児 の行動変容、2)ABC観 察記録及 び標 的行動 の記録 の 実施状況 につ いて検討 し た。標 的行動 の記録 の実施方法 につい て改善 を行 つた研 究 3‐ 2で は 、2)適 切 な記録 の 実施 及び 、1)支 援 の 実施 に よる対象園児 の行動 の改善 を確認 した。 ここか ら、事例検討会 が新 しい 事例 に対す る適切 な記録 の実施や支援 の立案 の機 会 とな るこ とが示 され た。 総合論議 では 、研 究 1の 研修 プ ロ グラムが 、参加者 だけでな く保 育所 内 の他 の保 育 士や. 11 1 ■ ■ 1 1. の効果 は 、②保 育 内 の効果 と して 6)他 の保 育 士の ABC観 察記録 の実施 と、③研修 プ ロ グ.
(4) 対象 園児 に対 して も効果 があることや 、保 育 士ス タ ッフの導入 、 また 、研 究 3の 事例検討 会 の フ ォ ロー ア ッププ ロ グラ ム として の有効性 、 さらに、指導的 立場 の保 育 士 を対象 とす るこ とに よる早 期支援体制 の整備 とそれ による予防的 な効果 につい て指摘 し、本研 究 で実 施 した研修 プ ロ グラ ム及 び事例 検討会 が地域支援 プ ロ グラ ム として有効 な もの であ る と結 論 づ けた。.
(5) 目. 次 頁. 第 1章. 序論. 第 1節. は じめに. 第 2節. 発達障害者支援セ ンター. 2-1.応 用行動分析 第 3節. 就学前 の 発達障害児及び 「気 に なる」子 どもにつ いての 調査研究. 6. 第 4節. 教 師 トレー ニ ング/ス タ ッフ トレー ニ ング. 9. 4-1。. 支援 ス キルに 関す る トレー ニ ング (適 切行動 に対す る強化). 4-2.支 援 ス キル に関す る トレー ニ ング (複 数の支援 ス キル 4-3.支 援計画作成 (支 援 の立 案)に 関す る トレー ニ ング 4-4.ア セス メン トに 関す る トレー ニ ング 4-5.包 括的な支援 ス キルに関す る トレー ニ ング 4-6.教 師 /ス タ ッフ トレー ニ ングによる地域支援. ). 9 12 15. 19. 22 25. 第 5節. 行動 コンサルテー シ ョン. 34. 第 6節. 神 戸市発達障害者支 援 セ ンター に おける保育士対象の研修 プログラム. 36. 第 7節. 地域支援 と しての保育士対象 の 研修 プログラム. 38. 7-1.保 育所 内へ の効果 7-2.参 加者 対象 の 質問紙調査 による研修 プログラムの 受 け入れ やす さ 7-3.研 修参加者 をス タ ッフとす る研修 プログラムの 開発 7-4.フ ォ ロー ア ツププ ログラムの 開発及び効果 7-5.研 修 プログラムの 実施及び改善 につ なが る分析 第 8節. 本研究 の 目的. 41 43 43. 44 44 46.
(6) 第 2章. 神 戸市発達障害者支援 セ ンター における指導的立場 の保育 士 対象の研修. 48. プ ログラム 開発 の背 景及 び実施状況 第 1節. 指導的 立 場 の 保育 士 対象 の 研修 プ ログラム 開発 の 背景. 第 2節. 研修 プ ログラム 及 び事例検討会 へ の参加方法. 48. 第 3節. 研修 プ ログラム 及 び事例検討会 へ の参加状況. 49. 第 3章. 1:応 用行動分析 に基 づ く研修 プ ログラムの 開発及 びその効 果. 51. 研究 1-1:応 用行動分析 に基 づ く研修 プ ログラムの 開発及 びその効 果. 51. 研究. 第 1節. ―参加者 に対す る質問紙調査 による検討 ‐ 1-1。. 51. 序. 1-2.方 法 1-3.結 果 1-4.考 察 第 2節. 研究 1-2:応 用行動分析 に基 づ く研修 プ ログラムの 改善及 びその効 果. 52 61 68. I. 73. 一参加者 に対す る質問紙調査 による検討 ―. 2-1.序 2-2.方 法 2-3.結 果 2-4.考 察 第. 3節. 研究 1-3:応 用行動分析に基 づ く研修 プログラムの改善及びその効果 Ⅱ -参 加者か ら助言を受ける保育士に対する質問紙調査による検討 ―. 73 74 78 83. 86. 3-1。. 序. 86. 3-2.. 方法. 87. 3-3。. 結果. 91. 3-4。. 考察. 95.
(7) 第. 4節. 研究 1-4:応 用行動分析に基 づ く研修 プログラムの改善及びその効 果 Ⅲ. 97. -参 加者 か ら助言を受ける保育士に対する質問紙調査による検討 ― 4-1。. 序. 97. 4-2.. 方法. 98. 4-3.. 結果. 100. 4-4.. 考察. 104. 第 5節. 研究 1-5:応 用行動分 析 に基 づ く研修 プログラムの 改善及 びその効果 Ⅳ. 107. ―観察者 によ る行動観 察及び保育士の記 録 を用 いた検 討 ‐. 5-1.序 5-2.方 法 5-3.結 果 5-4.考 察. 107 108 114 121. 研究 2:研 究 1の 5つ の研修 プ ログラムの参加者 を対象 と した分析. 第 4章. 第 1節. 研究 2-1:5つ の研修 プログラムの参加者 を対象 とした地域支援 プログ ラム としての有効性の検討 ‐他の保育士による ABC観 察記録の実施及び. 126. 126. 研修 プログラムの 受 け入れやす さ. 1-1.序 1-2.被 調査者 1-3.他 の保育 士 によ る ABC観 察記録 の実施 1-4.研 修 プログラムの受 け入れ やす さ 第. 2節. 研究. 2-2:5つ. の 研修 プ ロ グ ラ ム の 参 加 者 を対 象 と した 研 修 プ ロ グ ラ ム. 126 126 127 128. 131. の 実 施 及 び改善 の た めの 分析 ―巡 回相 談 の 効 果 、ABC観 察 記 録 の 有 効 性 と負担 感 の 関係 、支 援報 告 に 関す るテキ ス トマ イ ニ ン グ. 2-1.序 2-2.被 調査者 2-3。. 巡 回相談の効果. 2-4.他 の 保育士 によ る ABC観 察記録 の 負担感 と有効性の関係 2-5.支 援報告 に関す るテキ ス トマ イ ニ ング. 131 131. 132 134 135.
(8) 第 5章. 研究 3:研 究 1の 研修 プログラムの参加者に対するフォ ローア ップ. 140. プ ログラムの開発及びその効果 研究 3-1:フ ォ ローア ッププログラムとしての事例検討会の効果. 第 1節. I. 140. 1.序. 140. 1-2.方 法 1-3.結 果 1-4.考 察. 141. l…. 144 151. 研究 3-2:フ ォ ロー ア ツププ ログラム と しての事例検討会の効果 Ⅱ. 第 2節 2-1。. 153 153. 序. 2-2.方 法 2-3.結 果 2-4.考 察. 166. 総合論議. 168. 第 6章. 153 155. 第 1節. 地域支援 プログラム としての有効性. 168. 第 2節. 今後の課題 と展望. 172. 2-1.研 修 プログラムの効果の検討方法 2-2.研 修 プログラムの内容 2-3。. 保育所以外の支援機関への適用. References(i∼ 付録. 輌i). (I∼ XXXⅥ. ). 172. 174 177.
(9) 第 1章. 第. 1節. 序論. は じめ に. 文部科学省 の調 査 か ら、小 中学校 の通常学級 内 の 6。 3%の 児童 が学習面 も しくは行動 面 に 著 しい 困難 を抱 えて い る ことが 明 らかにな った(文 部科学省 ,2003)。. また、厚 生労働省 の調. 査 では 、5歳 児検診 にお ける ADHD、 LD、 高機能 広 汎性発達障害、軽度精神遅滞 の 出現頻 度 が 、 8。 2∼ 9。 3%で ある こ とが報告 され て い る(厚 生 労働省 ,2007)。. この よ うな現状 を受 け. 2004年 には、発達障害 へ の支援 に関す る法律 である発達障害者支援法 が成 立 した。 この法 律 の 中 には 、発 達障害児 に対す る早期 の発 達支援 の ため の体制 を整備す るこ とや 、適切 な 支援 の実施 を可能 にす るた めに、医療 、保健 、福祉 、教育等 に 関す る業務 に従事す る職 員 につ いて 、専 門知識 を有す る人材 の確保及 び 、発達障害 に対す る専門性 を高 め るた め の研 修 等 を実施す る こ とが明記 され て い る。 また 、発達障害児 ・ 者 へ の 直接 の支援や 、関係機 関 の支援者 に対す る支援 を行 う機 関 として発達障害者支援 セ ン ター が都道府 県知事 に よつ て指 定 され る ことも支援法 の 中に記 され てい る(大 塚 ,2005)。 発達障害者支援 セ ン ター が支 援 を提供す べ き支援者 として保 育 士 を挙 げ る こ とがで きる。保 育所 は、就 学前 の乳児 、幼 児 が初 めて集 団 生活 を行 う機 関 であ り、早期 の発達支援 において重 要な役割 を担 ってい る。 そ の た め 、保 育所 で働 く保 育 士 には 、発達障害 に対す る理 解や 、発 達支援 に 関す る知識及 び 技術 の 向上 が求 め られ る(重 成・ 井 上 0山 口,2008)。. これ らの保育 士 に対す る研修等 のプ. ロ グラムの 開発 は、発達障 害者支援 セ ン ターの急務 の課題 である。 長年 の研 究 に よつ て 、発達障害 へ の効果的 な発 達支援 に 関す る多 くの知見 を積 み 上 げて 来 た 学問領域 の. 1つ に行動 分析学 がある(山 本 0澁 谷 ,2009)。 発達障害者支援 セ ンターが 、. 行動 分析 学 の領域 で 明 らか にな っ た発達支 援 に関す る各種 の知識や ス キル を現場 の保 育 士 に対 して提 供す るこ とがで きれ ば 、早期 の発達支援 の ための 体制整備や 、現場 の支援者 の 専門性 の確保 につ なが る地域支援 とな るだ ろ う。 行動分析学 は基礎研 究 として の実験的行動分析 と応 用研 究 として の応用行動分析 が 同 一.
(10) の枠組 み を持 ってい る。 これ によって 、基礎研 究 に よって 明 らか になった知 見 が 、応 用研 究 において用 い られ 、そ の 中で生 じた疑間 につい て さらに基礎研 究が行 われ る とい う形 で 、 基礎 と応用が相 互 に連環 しなが ら発展 を遂 げてきた (田 中 。嶋崎 ,2007)。. また 、応用研 究 に. お い て も、専門機 関や 専門家 によって 明 らかになった支援方法等 の知見が 、学校や施設 と い っ た実 践現場 で教師や施設 ス タ ッフ等 の現場 の支援者 自身 が 実施 し、 そ こで生 じた 問題 や疑 間 に対 して 、 さらに応 用研 究が行 われ てきた。 この よ うな行動分析 学 の応 用研 究 の知 見 の 実践現場 へ の適応 自体 を取 り扱 っ た研 究領域 に 、教師 トレー ニ ングや ス タ ッフ トレー ニ ン グ とい っ た支 援者 トレー ニ ング に 関す る研 究が ある。支援者 トレー ニ ングの研 究 は、 これ までにアメ リカを 中心 に多 くの研 究 が行われ、様 々 な知見が積み 上 げ られ てきて い る。 これ らの支援者 トレーニ ングプ ロ グラムが発達障害者 支援 セ ンター に よって 、保 育 士 に対 して提供 されれ ば 、発 達障害者支援 法 に記載 され てい る早期 の発 達支援 の実現 に貢献す る こ とが予想 され る。 本研 究 では 、神 戸市発 達障害者支援 セ ンターの 大学委託研 究事業 と して 、保 育 士 に対す る応 用行動分析 の研修 プ ロ グラム を開発 し、そ の効果 を検討 した。神戸市発 達障害者支援 セ ンター は 2007年 の開設 当初か ら、早期 の発達支援体制 を整備す るために 、関西学院大学 に保 育 士 に対す る応用行動 分析 の研修 プ ロ グラムの 開発及びそ の効果 の研 究委託 を行 って お り、著者 は 2008年 度 か ら 2010年 度 にかけて同事 業 に関わ つた。本論 文 は 、著者 が 関 わ つた神戸市発達障害者支 援 セ ンター にお ける研 究事業 に基 づ くもので あ る。 そ のた め本章 で はまず 、発達障害者支援 セ ン ター につい て述 べ た後 、 日本 にお ける就 学前 の発達障害児 及 び 「気 にな る」子 どもについ て の現状 を調査 した研 究 につい て概観す る。 これ に続 いて 、 これ までに応 用行動分析 の領域 で行 われ て きた支援者 トレー ニ ングについて述 べ る。 そ の 後 、神 戸市発達障害者支 援 セ ン ターが研修 プ ロ グラムの実施 に よつて行 う保 育所 へ の支援 及 び 、そ の 中 で行 われた D● o&Tanaka‐ Matsumi(2008)の 研 究 につい て記述す る。最後 に、 今後 さらに研 究 を進 めることが望 まれ る点 を指摘 し、本研 究 の 目的 を述 べ る。.
(11) 2節. 第. 発 達 障 害 者 支 援 セ ン ター. 2004年 に発 達障害 へ の支援 に関す る法律 である発達 障害者支援法 が公布 され た。 この法 律 に よつて 、それ まで法的 に規定 され て い な い ために支 援 の空 白域 にな っ て い た発 達障害 「自閉症 、 とい う概念 が 、初 めて行政 に取 り込 まれ た(三 島,2007)。 同法 の 中で 、発達障害 は 、 ア スペ ル ガー症 候群 そ の他 の広 汎性発達障害、学習障害、注意欠 陥多動性 障害 そ の他 これ に類す る脳機 能 の 障害 であ っ てその症 状 が通常低年齢 にお い て発 現す るもの 」 と定 義 され て い る。発達障害者支援法 には、発達障害児 に対す る早期支援 として 、就学前 の発 達支援 、 学校 支援 につい て述 べ られ て い る ことに加 えて 、発達障害者 に対す る就 労や 地域 にお ける 生活等 に関す る支援 につい て も述 べ られ てい る。 この よ うな発達障害児 ・ 者 に対す る生涯 を通 した支 援 を行 うた め の 中心 的 な機 関 として 、発達障害者支援 セ ン ター は規 定 され て い る(Figure l‐ 1)。 発達障害者支援 セ ンター は、都道府 県知事 によつて指定 され 、そ の業務 は ① 発 達 障 害 の 早 期 発 見 、 早 期 の発 達 支 援 、② 発 達 障 害 者 に対 す る専 門 的 な発 達. (発 達 障害者支援 セ ン ター 等). 第十 四条. 都道府 県知事 は、次 に揚 げ る業務 を、社会福祉 法人 そ の他 の政令 で定 め る法人 で あ つて 当該. 業務 を適正 か つ 確 実 に行 うこ とがで きる と認 めて指定 した者 (以 下 「発 達障害者支援 セ ン ター 」 とい う。) に行 わせ 、又 は 自ら行 うことがで きる。 一. 発 達 障害 の 早期発 見 、早期 の発達支援等 に資す るよ う、発達障害者及 びそ の家族 に対 し、専門的 に、 そ の相 談 に応 じ、又 は助言 を行 うこ と。. 二. 発 達障害者 に対 し、専門的 な発達支援及 び就 労 の支援 を行 うこと。. 三. 医療 、保健 、福祉 、教育等 に関す る業務 (次 号 において 「医療業務」 とい う。)を 行 う関係機 関及 び民 間団体並び に これ に従事す る者 に対 し発達障害 につい ての情報提供及 び研修 を行 うこ と。. 四. 発達 障害 に関 して 、医療等 の 業務 を行 う関係機 関及 び民 間団体 との連絡調整 を行 うこ と。. Figure l-1。. 発達障害者支援法 (平 成十六年法律第百十七号)の 抜粋.図 中の下線 は,本 文 との. 対応 を示すため追記 したもので ある. ..
(12) 支援及 び就 労支援 、③ 医療 、保健 、福祉 、教育等 の 関係機 関や支援者 に対す る情報提供及 び研 修 の実施 、④ 関係機 関等 との連絡調整 とされ てい る。 これ らの業務 内容 は 、発 達障害 者支援 法 の 中核 をなす もので あ り、 ここか らも発達障 害者支援 セ ンターが地域支援 の 中心 的役割 を担 うことが期待 され てい ることがわか る。 発 達障害者支援 セ ンター は. 2006年 には全 国 48の 都道府県・ 指定都市 に設 置 され (大 塚. ,. 2007)、 それぞれ のセ ン ター にお いて 、地域 の状況 に合 わせ た支 援 が展 開 され てい る。大阪. 府発 達障害者 支援 セ ン ター では、特別支援教育 のモ デ ル 校 、 リー ダー とな るス タ ッフの養 成 を 目的 に 、教育委員会 と連 携 して講義形式 の研修 、実習研修 、巡回相 談 を組 み合 わせ て 実施 し、参加 した教員 の段 階的な知識や ス キル の獲得 を実現 してい る(新 澤 ,2007)。 仙 台市 発達 障害者支援 セ ンターで は、市 内 の小 中学校 をモ デ ル 校 と して 、全教 員参 加 の事例検討 会及 び研修会 の 実施 、他 の保護者 に対す る研修 、保護者・ 学校 ・ 支援 セ ンター 共 同 に よる 会議 の実施及び 「個別 の支援計画」作成 が行われて い る(矢 本 0今 田,2007)。 広 島県発達障 害者 支援 セ ン ター では 、就 労支援 と して 、障害者職 業 セ ンター 等 へ の登録 の斡旋や ジ ョブ コー チの配置等 が行 われ てい る(西 村 ,2007)。. これ 以外 にも、各地 の支援 セ ンターで独 自の. 地域支援 が 展 開 され てい るが、多 くのセ ンター で共通 す る点 もあ る。発 達障害者支援 セ ン ター は多 くの場合. 4名 前後 の少数 のスタ ッフによって 、広 範 な地域 に対す る支援 が求 め ら. れ る。そ の ため、直接 の対象者 に対す る支援 (直 接支援 )だ けでな く、研修 、事例検討会、巡 回相 談等 を実施す る こ とに よって 、当該 の 地域 の保健 、医療 、教育、福祉 、労働等 の各分 野 の支援者 の専 門性 の 向上 や 、 それ らの支援機 関 と支 援 セ ンター との連携や支援機 関同 士 の連携作 りを行 ってい る。. 2-1.応 用 行 動 分 析. 発 達障害者支援 セ ン ターが 目指す各種機 関 の 専 門性 の 向 上や連 携. の促進 に貢献す る領域 の 1つ に応用行動 分析 がある(山 本 0井 上・高橋・稲葉・式部 ,2010)。 応 用行動分析 は 、対象児 ・ 者 の行動 問題 に 関 して 、内的な原 因 を追及す るのではな く、対 象児・ 者 とそれ を取 り巻 く環境個 囲 の支援者 の対応等 を含 む)と の相 互 作用 に注 目 し、当該.
(13) の環境 を変 え る こ とに よつ て 、そ の解決 を 目指す。 また 、相 互 作用 の分析 にお い ては 、個 人 の 行 動 (behavior)と そ の 前 の 環 境 (先 行 事 象 :antecedent)と 後 の 環 境 (後 続 事 象. :. consequence)の 3つ の要素 か らなる 3項 随伴性 の枠組 み を用 い る(小 野 ,2005)。 ① 3項 随伴 性 に注 目 し、個人 の行動 の 改善 の ために周 囲 の支援者 の対応 を含 む環 境 の 改善 を行 う応用 行動分析 のアプ ロー チ は 、徹底 して 問題解決的 な もの であ り、 日々発達障害児 ・ 者 へ の支 援 に試行 錯誤 して い る多 くの現場 の実践家 に とつて役 立つ もので あ る。 また 、 この よ うな アプ ロー チ は 、②就学前 の幼児 へ の発達支援 か ら、成人 の対象者 に対す る就 労支援 にまで 適 用 可能 で あ り、 また障 害 の程度 に合 わせ て も応用す るこ とがで きるた め、保健 、医療 、 教育 、福祉 、労働 等 の全 て の支援者 に対 して有効 な もの であ る。 また 、③全 ての 問題 を同 一 の枠組 み で分析す るため、異 なる領域 の支援者 同士が 同一の枠組 みで支援 を検討 した り、 支援 を引 き継 ぐ こ とが可能 とな り、支 援者 同 士の連携や 、支援機 関同士 の連携 を促進す る こ とも予想 され る。①徹底 して 問題解決 的、②年齢や障害 の程度 に 関 わ らず適用 可能 、③ 全 て の 問題 を同 一 の枠組 み で分析す る とい う特徴 を持 つ応用行動分析 のアセ ス メ ン トや支 援方 法等 を地域 の様 々 な機 関 に対 して普及 、定着 させ る こ とがで きれ ば、地 域 の様 々 な機 関 の 専 門性 を高 め る こ とがで きるだ けでな く、機 関同 士の縦断的・ 横断的 な連 携 に貢 献す る こ とが予想 され る。 これ は、発達障 害者支援 セ ン ター による地域支援 の. 1つ のモ デ ル と. な る可能性 があ る。 千葉県、静岡市、兵庫県 の発達障害者支援 セ ン ター では 、す でに応 用 行 動分析 の研修や コ ンサル テ ー シ ョン等 の 間接支援 を行 うこ とに よつて 、地域 の支援者 の 専 門性 の 向上 の取 り組 み を実施 してい る(山 本・ 井 上・ 高橋 ・ 稲葉・ 式部 ,2010)。 これ らの 実践 が普及 、定着す るためには 、効果的 な応用行動 分析 の研修 プ ロ グラ ムの 開発や評価 に 関す る研 究 の発展 が必 要である。 応 用行動分析 の研修 プ ログラ ムの 開発や評価 に 関連す るもの として 、教 師 トレー ニ ング. /ス タ ッフ トレー ニ ングの研 究が ある。 ア メ リカにお い ては 、教師. トレーニ ン グ/ス タ ッ. フ トレー ニ ン グ とい う領域 で 、現場 の支援者 に対す る応用行動 分析 のアセス メ ン トや支援 方法等 の指導 に 関す る多 くの研 究 が行 われ てい る。 日本 においては 、対象児 の親 を対象 と.
(14) したペ ア レン トトレー ニ ングについては、多 くの研究が行われてお り娩 1田 ら,1995;宮 下・ 免 田,2007)、 発達障害者支援 センター において も研究 が行われてい る(式 部・ 橋本 0井 上 2010)。. ,. 教師 トレーニング/ス タッフ トレーニ ングについても、 日本において研究が徐 々に. 行 われ るよ うになってい る(澤 村 0加 藤・ノ林,1994;大 久保 0井 上,2006;大 羽・井上,2007) jヽ. が、その数はまだまだ少ないのが現状 であ り(井 上,2009)、 発達障害者支援 センター におけ る 教 師 /ス タ ッ フ ト レー ニ ン グ の 研 究 は ほ と ん ど行 わ れ て い な い (D衝 o& Tanaka‐ Matsunli,2008)。. 発 達障害者 支援 セ ンターが よ り有 効 な地域支援 を行 うた めには 、発達障害者支援 セ ンタ ー にお ける教師 トレー ニ ング/ス タ ッフ トレー ニ ングの研 究 を展 開 してい く必要 が あ る。 本研 究 では 、そ の 対象 と して特 に発達障害児 に対す る早期支援 の 重要 な支援者 であ る保 育 士 、そ の 中で も特 に他 の保 育 士 に対 して助言等 を行 う指導的 立 場 の保 育 士 を対象 と した ト レー ニ ングプ ロ グラムの 開発 を行 つた。 地域 において発達支 援 の リー ダー とな る保 育 士 を 育成す るこ とは 、早期 の発達支援体制 を整備す るこ ととな る。早期 か ら十分 な発達支援 を 行 うこ とがで きれ ば 、小学校や 中学校 にお い て生 じる可能性 の ある各種 の行動 問題 (授 業妨 害 、対人 トラブル 等)に 対 して よ り初期 の段階か ら対応す るこ とが可能 となる。 このため早 期 の支援 体制 の整備 は 、予防 とい う観 点 か らも重要 な ものであ り、発達障害者支援 セ ンタ ーが 地域支 援 を行 う際 に真 っ先 に取 り組む べ き課題 の 1つ である。 次 の節 では 、保 育 士が 支援対象 とす る就学前 の発達障害児及 び 「気 にな る」子 どもにつ いての調査研 究 につい て取 り上 げる。 そ の後、 これ までアメ リカ を中心 に行 われ て きた教 師 トレーニ ング/ス タ ッフ トレーニ ングについて概観 し、地域支援 と して提 供す べ き トレ ー ニ ングプ ロ グラム につい て検討す る。. 第. 3節. 就 学 前 の 発 達 障 害 児 及 び 「 気 に な る」 子 ど も に つ いて の 調 査 研 究. 就学前 の発達障害児に関す る大規模な実態調査 としては、厚生労働省 (2007)が ある。ここ では、軽度発達障害を学習障害、注意欠陥多動性障害、広汎性発達障害、軽度精神遅滞 と.
(15) 定義 し、鳥取県 の 5歳 児健診 を基盤 とした出現頻度 の疫学調査 を実施 した。5歳 児健診 では、 鳥取県内. 24町 村 の 1,069名 の うち 1,015名 (94。 5%)が 受診 し、医師 による診 察 で所見有 り. とな つた児 童 の 内、助言指導 を除 い た 149名 分 のデ ー タを解析 した結果 、注意欠陥多動性 障害 (疑 い を含む)3。 6%、 広 汎性発達障害 (疑 い を含 む)1。 9%、 学習障害 (疑 い を含 む)0。 1%で あ り、 さらに知的発 達が境界域 あるい は軽度精神遅滞 が疑 われ る児 (3。 6%)が 把握 され たため 、 以 上 をあわせ る と 9。 3%と い う出現頻度 が 明 らかにな つ た。栃木県 で も同様 の 5歳 児検診 の 結果 、軽度発 達障害 の 出現頻度 は 8。 2%で あ った。 また 、鳥取県、栃木県 とも 10%近 くに及 ぶ 高 い 出現頻度 であったが 、 こ うした幼児 の 半数以 上が 、3歳 児検診 にお い ては、何 ら発達 上 の 問題 を指摘 され ていなか った こ とも報告 された。 幼稚 園 に所属す る園児 を対象 に行 われ た研 究 にお い て も、発 達障害児 の 出現頻度 に 関す るデ ー タが得 られ て い る。 大 六 ら (2008)は 、5歳 児発達障害・ 知的障害 ス ク リー ニ ン グ質 問票 (石 川 ら,2007)の ス ク リー ニ ン グ精度 の検討 を行 うために、つ くば市内 の 18の 公 立幼 稚 園 に在 籍す る年少 (5歳 児)ク ラスの園児 の保護者 に対 して質問票 の実施 、幼稚 園教諭 へ の 面談そ して、園 にお ける観 察 を行 つた。そ の結果 、751名 中 96名 観 察 を必要 として い た。96名 の 内訳 は 、18名 入児 であ り、64名. (8。. (2。. (12。. 9%)が 介入 な い し経過. 4%)が 介入済みであ り、14名. (1。. 9%)が 要介. 6%)が 要経過観察児 であった。. 保 育所 で実施 され た研究 としては 「気 にな る」子 どもに 関す る調 査 (本 郷 ら,2003)や 、「気 にな る行動」 を示す子 どもに関す る調査 が ある(平 澤 ・ 藤原 ・ 山根 ,2005)。 本郷 ら (2003) は 、「気 にな る」子 どもを、調査時点で 「障害児」 として認 定 され て い な い 中で保育 士 に と 「気 になる」子 どもの特徴 、親子 関係 、 つて保 育 が難 しい と考 え られ てい る子 ども と定義 し、 保 育所 にお ける対応 につい て調 査 を行 つた。市内 の 81か 所 の保育所 に所属す る保 育 士 を対 象 に調 査 を実施 した結果、 141名 の気 にな る子 どもについ て回答 が得 られ た。「気 にな る」 子 どもの特徴 と しては 、「落 ち着 きの な さ」「状況 へ の順応性 の低 さ」 が 、年齢 間 での違 い がな く比較的年少 の 頃 か ら特 徴的 な傾 向である こ とがわか っ た。 また 、年齢 が進 む ととも に問題 が大 き くな るもの として 「対人的 トラブル 」「ル ール 違反」 が挙 げ られ て い た。「対.
(16) 人的 トラブル 」や 「ル ール 違反」 といつ た特徴 が他児 の発達や他児 との 関係 と関連 してい るこ とか ら、「気 にな る」子 どもの特徴 を捉 える場 合 には 、子 どもの行動特徴 (個 体 内要 因) と子 どもを取 り巻 く人 との 関係性 の要因 の 両側 面 に注 目す ることの重要性 を指摘 してい る。 親子 関係 につい ては、調査 の結果 か ら 「気 にな る」子 どもの特徴 の原 因 を親子 関係 に求 め るこ とはできない ことが指摘 され た。 また 、保育者 の対応 に関す る調査 の結果 か ら、「気 に な る」子 どもへ の対応 と して 、「席 の場所 を考慮す る」「集 団 をな るべ く落 ち着 かせ るよ う にす る」 とい っ た周 囲 の環境 の整備 が有効 である一方 で 、子 どもに対す る直接 の働 き か け が難 しい ことが示 唆 され た。 平澤 ・ 藤原 0山 根 (2005)は 、K市 内 の 160か 所 の保育所 を対象 に 「気 にな る・ 困 つてい る行動 」を示す子 どもの実態 と園 での支援 につい て調査 を行 つ た。そ の結果 、160か 所 の 内. 143か 所 (89。 4%)に 該 当児 がい ることがわか った。該 当児 の総数 は 785名 であ り、全在 籍児 17,464名 の 4.5%で あ った。気 にな る・ 困 つてい る行動 の調査結果 か ら、主 に集 団活動や対 人 関係 に 関す る行動が気 にな る行動 と して挙 げ られ た。 また 、 これ に対す る対応 の効果や 満 足 は十 分 な もので な い こ とも明 らかにな った。 これ に対 しては 、観 察 に よつて 当該 の行 動 の機 能 を分析 し、そ の機 能 に応 じた対応 を提供す ることや 、該 当児 だ けでな く周 囲 の子 どもに対 して配慮す るこ とが必要 であるこ とを述 べ てい る。 また、該 当児 を診 断無 し群 、 診 断有 り群 に分類 し、分析 を行 った結果 、診断 の無 い子 どもの場合 、家族 との話 し合 い 、 加 配 の数 、保 育 士の障害児保 育 の経験年数 が 、診断 の有 る子 どもに比 べ て少 な い こ とが明 らか になった。 また 、所 内 の会議 、所外 の支援 につ いて も、診断有 り群 よ りも診断無 し群 の方 が少 な い こ とがわかった。 この結果 は、診 断 の無 い子 どもに対す る支援 体制 が 十分 で な い ことを示 してい る。 これ につい て平 澤 ら (2005)は 、従来 の障害児保 育 を越 えて 、診 断 の な い子 どもを含 む特別支援保育 といった支援体制が必要である ことを述 べ てい る。 ここまで 、 日本 にお ける就学前 の発達障害児及び、発達 の気 にな る園児 につい ての調 査 研 究 につ い て見 て きた。 どの研 究 にお いて も支援 を必要 とす る園児 が相 当数 い るこ とが示 され ていた。 また 、診 断 の有 る園児 だ けでな く、診断 の無 い 園児 に対す る支援 体制 の整備.
(17) が必 要 で あ るこ とも報告 され た。 ここか ら、発達障害者支援 セ ン ター が保 育 士 に対 して発 達支援 の研修 プ ログラ ム を提供す る際 には、発達障害 の 明確 な診断 の有 る園児 だけでな く、 診 断 は無 いが保 育 士 に よつて発達 が気 にな る とされ る、 い わ ゆる “グ レー ゾー ン"の 園児 を も視 野 に入れ る必要がある と考 え られ る。平澤 ら (2005)に よう て 、園児 に対す る支援 と して 、対象児 の行動 の機能 に基 づ く支援方法 の有効性 が指摘 され て い た。行動 の機 能 に基 づ く支援方法 は、応用行動分析 の領域 でそ の効果 が確認 され てお り、 日本 の幼稚 園 (野 呂・ 吉村 ・ 秋元・ 小松 ,2005)や 保 育所 (平 澤・ 藤原,2001)に お ける研 究で も効果 が 実証 され て い る。 次 の節 では 、 これ ら応用行動 分析 のアセ ス メ ン トや支援 方法等 を保 育 士 や教師等 の支 援者 が 実施す るた めの トレー ニ ン グに 関す る研 究 につい て述 べ る。. 第 4節. 教師 トレーニング/ス タッフ トレーニング. 4-1.支 援 ス キル に 関す る トレー ニ ン グ (適 切 行動 に 対 す る強 化 ) 応 用行動分析 に基 づい て発達支援 を行 う場合 は 、不適切 な行動 の減少 よ りも、それ に代 わ る適切 な行動 の増加 に当てた支 援 を行 うことが重要である(山 本・ 池 田,2007)。 適切 な行 動 の増 加 にお いて そ の基礎 とな る支 援 が 、適切行動 に対 して言語称 賛等 の正 の 強化 を実施 す る こ とで ある。 このため 、応用行動分析 の発達支援 にお い て 、適切行動 に対 す る正 の 強 化 は最 も重要 な支援 の. 1つ であ り、保 育 士 を始 め、様 々 な機 関 の支援者 が身 に付 けるべ き. 支援 ス キル で ある。 適切行動 に対す る正の強化 につい ては 、 1960年 代 に実 験的行動分析 の基礎研 究で明 らか にな った強化 の原 理 の応用 として 、保 育所 ・ 幼稚園 いreschoo1/nursery schooDの 園児 の行 動 変容 に焦点 を当てた研 究 が行 われ た。 ここでは、強化 の 中で も特 に、教師 に よる言語称 賛や 注 目等 の社会的 な強 化 が 、園児 の行動変容 に効果 的であ るこ とが 多 くの研 究 に よ っ て 明 らかにな つ た。Allen,Hart,Buell,Harris,&Wolf(1964)で は 、教師 の 注 目を他児 との相 互 作用 に随伴 させ る一 方で、1人 遊びや大人 のみ にかかわ る ことに対 して注 目を止 める とい う分化 強化 に よつ て 、他児 との相 互 作用 が増加す る こ とを実験的 に示 した。同様 に、Harris,.
(18) Johnston,Kelle勇 &W01f(1964)は 、教師 の注 目を用 いた分化強化 によって 、園児 の歩行行 動 の増力日を確認 した。 また 、Hart,Allen,Buell,Harris,Florence,&Wolf(1964)は 、教師 の注 目を用 い た分化強化 (泣 く行動 には注 目を与 えず 、他 の よ り望 ま しい行動 に対 して注 目 を与 える)に よって 、泣 く行動 が減少す る ことを示 した。Hart,Reynolds,Baet Brawleゝ. &. Harris(1968)は 、注 目と承認 を用 いて社会的強化 の効果 を調 べ た。 ここでは、注 目と承認 を随 伴性 させ ることによっ て 、協同的 な遊びが増加す ることを示 した。 多 くの研 究 に よって社会的強化 の 手続 きの効果 が 実証 され る一方 で 、保 育所 の教 師 が こ れ らの 手続 き を用 い るた めの 教 師 トレー ニ ングの研 究 も行 われ る よ うにな っ た (CoopeL. ThOmsOn,&Baer,1970;Gross&Ekstrand,1983)。. CoopeL Thomson,&Baer(1970)は 、. 異 な る保 育所 に所属す る 2名 の教師 を対象 に介入研 究 を行 つてい る。 2名 の教師 ともに 15 名 の 園児 が所属す るクラス を 1名 の教師 と 1名 の補助員 で担 当 して い た。教師 の注 目の使 用 を標 的行動 と して介入 を行 つた。被験者 間マ ル チプル ベ ー ス ライ ンデザイ ンで介入 が 実 施 され 、ベ ー ス ライ ン に続 いて 、教師 に対す る トレー ニ ングが 実施 され た。 トレー ニ ング では 、(1)適 切 な行動 の定義 、(2)10分 毎 に実施 され る適切 な注 目に関す る フ ィー ドバ ック、. (3)2時 間 のセ ッシ ョン終了後 に実施 され る適切 な注 目に関す る フ ィー ドバ ック、(4)2時 間 のセ ッシ ョン終 了後 に実施 され る注 目の失敗 (適 切 な行動 に注 目で きなか っ た)に 関す る フ ィー ドバ ック とい う. 4つ タイプの フ ィー ドバ ックが提 供 され た。 Figure. l‐ 2は 、 CoopeL. Thomson,&Baer(1970)の 結果を示したものである。介入当初Ohase l)は 、(4)注 目の失 敗 に 関す るフ ィー ドバ ック以外 の. 3つ の フ ィー ドバ ックが 行 われ た が 、2名 ともにベ ー ス ラ. イ ン よ りも園児 の 適切 な行 動 に対す る注 目が 増 加 した。 これ に続 い て 、(4)注 目の 失 敗 に関 す る フ ィー ドバ ックを加 え る(phase 2)と 、適切 な行 動 に対す る注 目は さ らに増 加 した 。 そ の 後 、 (2)10分 毎 の フ ィー ドバ ック、 (1)適 切 な行 動 の 定義 、 (4)注 目の 失敗 に関す る フ ィ ー ドバ ック、(3)セ ッシ ョン終 了後 の フ ィー ドバ ック の順 で 除 去 を行 つた 結 果 、プ ロー ブ に お い て も、適 切 な行動 に対す る注 目は維持 され てい た 。. Cooper,ThOmsOn,&Baer(1970)の 他 に も、 GrOss&Ekstrand(1983)は 、障害 の あ る幼 10.
(19) cher. (opproprio,0) ●. (disruptive〕. (oppropriol● ) b. (disrupilve). ネ. irre:● vant. reed bOcL. 0 4 0 3 0 2. ● 一0 匡 ゝ T 0 0. I Trfttng:. b. 0 1. a ︹ ﹄0 一卜 0 〓 0 一 ● 〓 二 り o 一 ぃ E 一﹁ E O 一一0 ”C ● n O ﹂E一一 一0 一C0 0 ヽ一﹂ ︶. Te●. A B. Teacher. 50. ▲. 0. :. 2 3. 4. 5. 6. 7. 8 9 10. ‖. :2 13 :4 15 16 :7 :8 :9 20 2: 22. Successive D● ys(2‐ Ooソ B:OCkS) ig, 1. Daily ratcs()F aticndirlg lo aPPrOPriatC anti di3日 uPtiVC tllild bcI:aviuis● 1に 1せto:dcti foE TCathcl A alld 「 daッ bloCkS・ TratilcI B tlulin3 3a導 dillcD TlaiEliElgゥ alld P30bC COn(lition3。 「 Fhc data arc PrCttntcd in two‐. Figure l-2.2名 の 教師 の 園児 の適切 行動 と不適切 行動 へ の注 目の 反応率 (Cooper et al. (1970)よ り転載 ).. 児 (知 的 障 害 、盲 目、難聴 、脳 性 麻痺 )を 対 象 とす る学級 の 1名 の 教 師 と 2名 の 補 助 者 の 言語. 称 賛 につ いて介入 を行 い 、言語称 賛 の増 加 を確認 してい る。 ここで は、教師 の言語称 賛 の グラ フ を教室 の壁 に掲示す る介入 (パ ブ リックポ ステ ィ ン グ)と 、ラ ンダ ム に選 ばれ た 日に教 師 に対 して 直接 フ ィー ドバ ックを提示す る介入 (フ ィー ドバ ックフ ェー デ ィ ン グ)が 実施 さ れ 、 フ ィー ドバ ック フェー デ ィ ン グだけが介入 除 去 後 の教師 の言語称賛 の維持 を もた らす こ とが示 され た。 ここまでの研 究 か ら教師 トレー ニ ン グによって 、現場 の支援者 の適切行動 に対す る正 の 強化 、そ の 中 で も特 に注 目や言語称賛 とい っ た社会的 な強化 に 関す る支援行動 の増 加 が 可 能 で ある こ とが明 らか にな っ た。 この他 に も、正 の 強化 を含 む複数 の支援 ス キル の教師 ト レー ニ ングが行 われ てい る。.
(20) 4-2日. 支 援 ス キ ル に 関す る トレー ニ ング (複 数 の支 援 ス キル ). 教師 の承認 や注 目等 の社会的強化 に 関す る トレー ニ ングだ けでな く、 よ り多 くのスキル の獲得 を対象 と した教師 トレー ニ ング も行 われ てい る。 Jones&Eimers(1975)は 、小学 3 年 生 の普通学級 (各 クラス には 28名 の児童 が所属)の 2名 の教師 に学級 管 理 の “ス キル パ ッ ケ ー ジ"の 使用 につい ての トレー ニ ング を行 った。学級管 理 の “ス キル パ ッケ ー ジ"は 、 承認や注 目等 の社会的強化 に加 えて 、教 室 内 の巡回、不適切 な行動 に対す る不承認 、 タイ ムア ウ ト(一 定時間強化 を受 ける機 会 を児童 に与 えな い. )、. ルール 、 プ ロ ンプ ト(通 常 の指示. 等 に追加 され る ヒン ト、手掛 か り)等 の各種 ス キル を統合 した もので ある。Jones&Eimers (1975)で は 、教師 に対 して ロー ルプ レイ のセ ッシ ョンを実施 し、これ に よつて教 室 内 の 問題. 行動 の減少 を試みて い る。 ロール プ レイは放課後 に実施 され、90分 のセ ッシ ョンか ら成 っ て い た。 セ ッシ ョンで は 、参加者 が “教師 "、 “良 い 生 徒 "、 “ 悪 い 生徒 "を 行 つ た後 、教 師 役 の参加者 に対 して トレー ナ ーや他 の参加者 か らフ ィー ドバ ックが行 われ た。 対象 とな っ た クラス 内 の行動 は 、机 上課題 中 の 隣 の児童 との私語 と離席 、 グル ープデ ィス カ ッシ ョン 中 の 不適切 な発言 であった。机 上課題 につい ては、教師 1が 算数 、教師 2が 国語 であ つた。 グル ープデ ィス カ ッシ ョンについては、教師 1で は様 々 な トピ ックが取 り上 げ られ 、教師 2 では 国語 の課題 が 取 り上げ られ た。教師. 1の クラスのみ算数課題 の成績 が測定 され た。 マ. ル チプル ベ ー ス ライ ンデザイ ンで介入 が 実施 され 、介入期 では 、 ロー ル プ レイが、教師. 1. に対 して 6セ ッシ ョン、教師 2に 対 して 7セ ッシ ョン実施 され た。 Figure l‐ 3に は机 上 課 題 中 の 隣 の児童 との私語 につい ての結果 を示 した。実験 の結果 か ら、2名 の教師 の クラスの 児 童 の 隣 の児童 との私 語 を含む. 3つ の標的行動 で、 トレー ニ ングの実施 され た介入期 にお. いて減少 が 見 られ 、 トレー ニ ング後 も減少 した状態 が維持 され た。 また、算数課題 の成績 につい ては、ベ ース ライ ンの際 に高 い成績 を取 っていた生徒 には上昇 が 見 られ なか ったが 、 中程度 と低 い成績 を取 っていた児童 に有意 な上昇 が 見 られ た。 学級管理 のスキル パ ッケ ー ジの トレー ニ ング を ピラ ミッ ドトレー ニ ングの形式 で実施 し た研 究 もある。 ピラ ミッ ドトレー ニ ングは、 トレー ニ ング を受 けた参力日 者 (tier 12. l)が. 、 トレ.
(21) TEA⊂ HER NO口 1. 150. ミ建 潔 彙 ミ ミ. 仏ゞヽヽコミ〓 LO ヽもΣ嘔邁6rミて ヽミ ゝヽ. 250 BASELINE 200 ―. TEACHER TRAINING. POST‐ TRAINING. ↓丁RAININC SESS10NS. ‐. 100. 50 0. ― ― ― ― ― … ― ―― ―― ― … … … … … ■. L__… …………………………■. 250. TEACHER NO.2. : l. 200 150. 100. 50 0. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. WEEKS Fig。. 1.Incidence of children talking to neighbors during seat wOrk(tallied in each Of 72 intervals per day).. Figure l-3.2名 の教師のクラス にお ける机上課題 中の 隣 の 児童 との 私語 の 頻度 (Jones& Eimers(1975)よ り転載 ).. ― ニ ン グ後 に トレー ナ ー とな り、別 の参力日 者 (tier 2)に 対 して トレー ニ ング を実施す るもの で あ る。 この トレー ニ ングでは、tier lの 参加者 が tier 2の 参加者 に トレー ニ ン グを行 う前 に “コー チ ン グス キル "に つい て の追力日の コース が提供 され る。Jones,Fremouw,&Carples (1977)は 、小学校 の教師 を対象 に、ス キル パ ッケー ジに 関す る ピラ ミッ ドトレー ニ ン グを実 施 した。tier lと して 3名 の教師 に対 して専門家 か ら トレー ニ ン グが提供 され た後 、各教師 は別 の 3名 の教師 (tier 2)に トレーニ ン グを提供 した。 tier lは 3名 、tier 2は 9名 の計 12 名 の教師 に対 して トレーニ ン グが提 供 され た。 トレー ニ ングの効果 を検討す るために、tier lと tier 2の クラスの児童 の行動 が対象 とな っ た。対象 とな っ た行動 は 、机 上 課題 時 の 隣 の 13.
(22) 児童 との私語 と離席 であった。tier lが 、 トレーニ ング受講後 に受 けた コー チ ングの トレー ニ ン グは 、 ロー ル プ レイ ヘ の フ ィー ドバ ック、 ス キル パ ッケー ジの理 論 的根拠 の復習 、参 加者 の ロー ル プ レイ に対す る不安 へ の対応 、 トレー ニ ング につい ての批判的 な コ メン トに 対す る対応 に 関す るもので あ った。 実験 の結果、tier. l、. tier 2の クラス で トレー ニ ング後. に 、隣 の児童 との私語 と離席 に減少 が 見 られた。 また 、tier lに お い ては 、 トレー ニ ングの 効果 の現れ方 に複数 のパ ター ンが確認 され た。 直接 の トレー ニ ング後 に学級 内 の標 的行動 が大 き く減少す る場合 もあれ ば、直接 の トレーニ ング後 に減少 し、そ の後他 の教師 に コー チ ング を行 つ た後 に さらに減少す る場合や 、直接 の トレー ニ ング後 にはわず かな減少 しか 見 られ なか っ たが 、 コーチ ングを行 つた後 に大 き く減少す る場合 があった。 これ は 、 トレ ー ニ ン グに よって学習 した支援 ス キル を他者 に教 える(コ ー チ ング)こ とに よつて 、教 える側 自身 のス キル 習得 を促進す る可能性 を示唆す る結果である。 学級 管理 の “ス キル パ ッケ ー ジ"以 外 に も、複数 のスキル を トレー ニ ング した研 究 が行 われ てい る。 Hiralall&Martens(1998)は 、保 育所 の教師 に対 して 、行動分析学 に基 づ く 教 育法 であ る直接 的教授法 (Direct lnstruction)で 用 い られ る一 連 の教授 法 につ いて トレー ニ ン グを行 っ た。 直接 的教授 法 は教師 が 学級 内で実施 可能 な集 団指導 の方法 で あ り、そ の 一 連 の教授 法 は 、児童 の注 目を教師 に向けるための指示 、明確 な指示 、見本 の提示 (モ デ リ ング. )、. 言語称賛、課題 に従事 していない児童 へ の再指示 か ら成 っていた。 4名 の教師 と各. 教師 によって選 ばれた 14名 の園児 (範 囲 :3歳 8ヶ 月. -4歳 10ヶ 月)を 対象 に研 究 が行 われ. た。 トレーニ ング と手順表 (ス ク リプ ト)の 2つ の介入 が実施 され た。 トレー ニ ングでは 、教 師 の ロール プ レイ及び 教 室場面での実践 に対 してフ ィー ドバ ック(エ ラー の修 正 、正 反応 ヘ の称賛)が 実施 され た。 手順表 には 、活動 中に実施す べ き手続 きが示 され てお り、実施 した 手続 きに参加者 自らチ ェ ックを行 う形式 にな っ ていた。介入 の結果 、教師 の支援行動 が増 加 し、それ に伴 って対象児 の行動 にも改善が見 られ た。 ここまでの研 究では、単独 の 支援 ス キルや 複数 の支援 ス キル につい ての トレー ニ ングが 教師 に対 して実施 され 、そ の効果 が検討 され てい る。効果 の検討 のために、実際 の 教室場 14.
(23) 面 にお け る行動 観 察 が 実施 され て い る。観 察 の対象 は 、 トレー ニ ン グの対象 とな る教 師 の 支援行動や 、教師 の支援行動 の対象 とな る対象児 の行動 であつた。 いずれ の研 究 にお いて も、 トレー ニ ングの結果 、教師 の支援行動や 、対象児 の行動 に望 ま しい 変化 が 見 られ 、 ト レー ニ ン グの効果 が確認 され てい る。 これ に加 えて 、Jones et al.(1977)で は 、参加者 であ る教師 (tear l)が 、他 の教師 (tear 2)に 対 して トレー ニ ン グ内容 の指導 を行 うこ とによ つて 、 指導 を行 った教師 (tear l)自 身 の学習 が促進 され る ことも示唆 され た。 Riessman(1965)は 「あ る こ とを学 習す るため の最 もよい方法 のひ とつ は 、それ を教 えるこ とで あ る」 と述 ベ て い るが、Jones et al.(1977)の 結果 が示 唆す るよ うに学 んだ内容 を他者 に “ 教 える"こ と も トレー ニ ングの効果 を高 める手続 き として有効 な もので あ るのか も しれ な い。 ここまで の トレー ニ ングで は 、 “ 支援方法 "を 直接参加者 に対 して指導 していたが 、 “ 支援 方法 を考 える"こ とを参加者 に対 して指導 した トレー ニ ングの研究 もある。. 4-3日. 支 援計 画 作 成 (支 援 の立 案)に 関す る トレー ニ ン グ. ここまでの教師 トレー ニ ン グでは、 トレーニ ン グの対象 とな る支援方法 は研 究者 に よ つ て提 供 され るもので あ った。 これ に対 して Hundert(1982)で は 、 ろ う学校 の特別支援学級 の. 2名 の教師 に対 して、行動変容 プ ログラムの実施 だ けでな く、 プ ログラムの作成方法 に. つ い て も トレー ニ ング を実施 した。対象 とな っ た教師 は 、行動的 な問題 、情緒的 な問題 、 学習 上 の 問題 を抱 える 2名 の児童 を対象 として選択 した。トレーニ ン グで 直接対象 とす る. 1. 名 の児童 につい ては 2つ の標 的行動 (こ の 内 の 1つ が 直接 の トレー ニ ン グの対象 )を 、も う 1 名 の児童 につい ては. 1つ の標 的行動 を定めた。参加者 間マル チプル ベ ース ライ ンデザイ ン. が 用 い られ 、ベ ー ス ライ ンの後 、測定方法 の トレー ニ ン グ、 プ ロ グラム作成 の トレー ニ ン グをそれ ぞれ実施 した。測 定方法 の トレー ニ ングで は、プ ロ グラ ム作成 を構成す る要素 と して 測定す る標 的行動 の設 定方法 、行動 の観 察及 び 記録 の方法 、記録 の グラフ化 の方法 に つ い て トレー ニ ン グが実施 され た。続 くプ ログラム作成 の トレー ニ ン グでは 、教師 に対 し て 、行動変容 プ ロ グラム作成 の た めの一 般 的 な問題 解決方略 の トレーニ ン グを行 つ た。 こ 15.
(24) こでは 、 (a)測 定可能 な用語 で教室内 の 問題 を定義す る、(b)問 題 を引き起 こ してい る可能 性 の ある変数 を特定す るために 自身 の教授方法 を 自己評価す る、(c)特 定 され た変数 を変更 す ることに基 づ く解決策 の工夫、(d)解 決策 の実施及び評価 が教師 に指 導 され た。一 般的 な 内容 が指導 され た後、対象児 の. 1つ の行動 につい てのプ ログラム作成 のための トレー ニ ン. グが行 われ た。 教師 は 自身 の対応 につい てチ ェ ック リス トを用 いてチ ェ ックを行 つた後 、 自身 の対応 の “不適切 "な 部分 の修 正 を行 い 、それ に基 づ い て行動 変容 プ ロ グラムの作成 を行 っ た。 トレーニ ングの効果 を検討す るために、 プ ログラム 内 の適切 な記述 の割合 、教 師 の適切 な行動変容手 続 き の使用、児童 の標的行動 の 生起 が 測定 され た。 この結果 、 プ ロ グラ ム 内 の適切 な記述 の割合 は、ベ ー ス ライ ンか ら測定方法 の トレー ニ ング後 に上 昇 し、 そ の後 プ ロ グラ ム作成 の トレー ニ ング後 に大 き く上昇 した。 トレー ニ ングの 直接 の対象 と な っ た行動 だ けでな く、他 の行動 につい て も同様 の傾 向 が 見 られ た。教師 の適切 な行動変 容 手続 き の使用 は 、測定 の トレー ニ ング後 にはほ とん ど増 加 しなかったが 、 プ ロ グラ ム作 成 の トレー ニ ング後 に大 き く増加 した (Figure. l‐. 4)。. 児童 の標的行動 にお いて も同様 の傾 向. が 見 られ た。 この結果 か ら、測定方法 の トレー ニ ングのみ では 、教師 の行動 に変 化 が 見 ら れず 、 このため児童 の行動 に も変化 が 見 られ な い こ とが明 らかにな っ た。 この一方 で 、行 動変容 プ ロ グラ ム作成 の トレー ニ ングは、教師 の適切 な支援行動 の増加 と、それ に伴 う対 象児 の行動 の 改善 を もた らす ことが示 され た。 同様 の効果 は、プ ロ グラ ム作成 の トレー ニ ングの直接 の対象以外 の行動や 、他 の児童 に も見 られ 、 トレー ニ ングの般化 が確認 され た。 直接 の支援 ス キル を トレー ニ ング して も、それ は全 て の状況 に適応 できるもので はない。 様 々 な状況 に支 援 を適応す るためには、そ の支援 ス キル を状況 に合 わせ て調整 す る必要 が あ る。教師 には 、教 え られ た支援 を実施す るだ けでな く、状況 に合 わせ て “自ら支援 を考 える"こ とが求 め られ るので ある。 Hundert(1982)の 研 究 は、実施方法 だけでな く、 プ ロ グラ ムの作成 に必 要な “ 考 え方 (問 題解決方略)"を トレー ニ ングす ることによつて 、教師 が “自ら考 える"た めの ス キル を提供 した とい える。 Hundert(1982)に お いて 、 トレー ニ ン グ内容 の般化 が 見 られ た ことか ら、 よ り応用性 の高 い効果的な トレー ニ ング と しては 、教 16.
(25) TEACHER l 釧 ・TK.Im「. F E 口喜 讐 E E E F 島. ●Ct 一 口F 〓 2 ﹄望 コ”〓 重. :. :. l. l. ¬ OA. ■00:. 〕 《 〕. :. Ll‖. ヨ HLL心 m. :. ‐イ. Fキr〓L●Lrビユ 卜 一. ●C 一 E 一口とF ”EDe〓●﹄コ” ●■ ≧. ■. ●A:. ・ 0 ■. LI‖. 1《. 眈 ¨ 一 ︺ ︺ 町 野 H 町 り じ. TEACH ER 2. ハ m ¨ . ∽u∝ D● ︺0 0 ra Ox〓≧ 工UD 卜0 国匡 “ 0 じ 卜〓 W りに u 一. :. ヽ__ヘ SESSiONS. Fig. 1.Teachcrsi percent correct use of behavlor modincation prixedures pter lx,sslon,for Tmcher l,Lura: task,Arti on‐ task,Laura:、 ⅣritinE:and fOr Teachei 2.Lindal s「 Elling.Lindal head‐ shakingo Rob: on・ t`sk. o■ ‐ aftcr measurement tralning and programlning training。. Figure l-4.2名 の教師 の教師 の適切 な行動変容手続 きの使用の割合 (Hundert(1982)よ り 転載 ).. 師 が “自ら考 える"た めの “ 考 え方 "を 提供す るものが有効である こ とが予想 され る。 教師 カヨ 自ら考 える"と い う要素 を トレー ニ ン グに取 り入れ た研 究 として Peck,Kllen,&. Baumgart(1989)が ある。Peck. et al。 (1989)は. 、統合保 育 を実施 してい る保 育所 の教師 を対. 象 に、個別 の教育支援計画 (individualized education plan:IEP)に 基 づ く支援行動 の増加 を 試 み て い る。 具体的 な支 援行動 は 、言語称 賛等 の社会的強化 を含 む後続 事象 の支援 と、先 17.
(26) 行事象 の支援 であ るプ ロ ンプ ト(言 語 プ ロ ンプ ト、 ジェ スチ ャー 、身体的 ガイ ド)で あ っ た。 研 究 1で は 、3名 の教師 を対象 に介入 が行 われ た。介入 の効果 を検討す るた めに、それぞ れ の教師 が受 け持 つ. 1名 の発達障害 の ある園児 につい ての観察 が行 われ た。介入 では、各. 教師 につい て選 択 され た活動 場面 (10分 て 、 トレー ナーは教師 に対 して. -15分 )を ビデオに撮 り、活動後 の話 し合 い にお い. IEPに 基 づ く行動的 な 目標 を伝 え、録画 した ビデオ を見せ. た。 そ の後 、 トレー ナーは教師 に対 して. IEPに 基 づ く目標 を達成す るための方法 を考 える. こ とを求 めた。 この際、 トレー ナ ーか ら方略や方法 を提示す るこ とはな く、教師 が 考 えた もの に対 してポ ジテ ィブな フ ィー ドバ ックを行 うのみ であつた。教師 が複数 のアイデ ィア を出 した後 、 トレー ナ ー は 、教師 にその中で優先順位 をつ けて、次 の活動場 面 で実 際 に行 うもの を 1つ か. 2つ 選 ばせ た。次 の活動場面 の後、再 び ミーテ ィングの機会 が設 け られ 、. 活動場面 の ビデ オ を見て 、教師 がそ こでの支援 の評価 を行 い 、 必要 であれ ば支 援案 の修 正 を考 えた。 この 際 、 トレー ナ ー は 、支援 の変更 につ いて意 見す る こ とはな く、教師 がそ こ で 考 えたアイデ ィアに対 してポジテ ィブな フ ィー ドバ ックを行 うのみで あ つた。 マ ル チプ ル ベ ー ス ライ ンデザイ ンで介入 が 実施 され 、ベ ー ス ライ ンに続 いて介入 が導入 され る と 3 名 の教師 ともに支 援行動 が増 加 し、それ に伴 って対象 とな っ た 園児 の標 的行動 に も改善 が 見 られ た。 また 、 ビデオ撮影 が行 われ た トレーニ ング場面 とは異 な る場面搬 化場面)に お い て も 2名 の教師 の支援行動 が増加 し、 それ に伴 って対象児 の標 的行動 も改善 した。 研究. 2で は、 これ までにスーパ ーバ ィ ズ に関す る トレー ニ ング を受 けた ことのない特殊. 教育 の教師 が トレー ナ ー とな り、研 究 1と は異なる 2名 の教師 を対象 に同様 の介入 が 実施 され た。 なお 、 ここでは ビデ オ録画 は用 いず、教師 に対す るイ ンタ ビュー に よって 教師 の 活動 のふ り返 りを行 った。特殊教育 の教師 に対 しては 、 トレー ナー の手続 き の説明 が約 45 分行 われ た。研 究. 2で も、研 究 1と. 同様 に、介入 が行 われ た後 に、教師 の支援行動 の改善. が 見 られ 、 また 、教師 の行動 の変化 に伴 って対象児 の行動 に も改善 が 見 られ た。 Peck et al.(1989)に お いて も、教師 が支援 を “自ら考 える"こ とによつて 、適切 な支援行. 動 が増加 し、 また 、 トレー ニ ング場面 とは異な る場面 へ の般化 が 見 られ た。 ここで教師 が 18.
(27) “自ら考 える"た めに トレー ナ ー が行 っ た支援 は、対象児 に 関す る具体的 な行動 目標 の提 示 、教師 の行動 の ビデオ に よる提示 、教師 のアイデ ィアに対す るポ ジテ ィブな フ ィー ドバ ック の み で あ つ た。教師 が 園児 の具体的 な行動 の変化 を 目標 とし、それ に対す る 自らの支 援 を客観 的 にふ り返 る ことがで きれ ば 、教師 は多 くの支援案 を考 えるこ とがで きるのか も しれ な い。 また、教師が考 えた支 援案 に対 して承認 とい う社会的強化 を提示す るこ とで 、 よ り多 くの支援案 が生 まれ 、そ の 中か ら選ぶ こ とで よ り適切 な ものが選択 され る と考 え ら れ る。 多 くの教 師 は、 これ まで の経験 の 中 で様 々 な支援方法 を身 につ けてお り、 自ら考 え るた め の材料 と機 会 が あれ ば 、教 え られ な くて も適切 な支援 を立 案す るス キル を持 っ て い る こ とが予想 され る。支援 を考 えるための材料 としては 、具体的 な行動 目標 と自らの支援 を客観 的 にふ り返 るための記録 が 有効 な もの である。 多 くの教師 は、 日常 の業務 の忙 しさのために一 人 で支 援 を考 える時 間 を確保 す るこ とが 難 しい。 また 、 一 人 で考 えて も、 これ で いいの だ ろ うか と自問 自答 し、な か なか考 えが進 まな いか も しれ な い。Peck et ale(1989)で は、 トレー ナ ー との ミー テ ィ ングの機 会 が設 け ら れ 、 そ こで教師 のア イデ ィア にポジテ ィブなフ ィー ドバ ックが提示 され て い た。教師 が 自 ら考 える上で 、この よ うな トレー ナ ー との ミー テ ィ ン グの機会 は重要な もの である。また 、 Peck et al。 (1989)の. 研 究 か ら、ここでの トレー ナ ー は特別 な専門家 でな くて も実施 可能 であ. る こ とが示 され た。教師 が所属す る機 関 の上 司等 が スー パ ー バ イザ ー となれ ば 、 ミー テ ィ ングの機 会 を頻繁 に設定す ることが可能 とな り、 よ り現場 へ の定着 が促進 され るこ とが予 想 され る。 こ こで は 、教 師 が “自 ら考 え る"こ とを促 進 す る トレー ニ ン グが般 化 に とつ て重 要 で あ る こ とが示 され た が 、 “自 ら考 え る"た め の材 料 とな る記録 や アセ ス メ ン ト方 法 を扱 っ た 教 師 トレー ニ ン グ もあ る。. 4-4.ア セス メン トに関す る トレー ニ ング 行動分析学 の代表的なアセ スメン トとして、機能的 アセスメン トがある。行動問題 の生 19.
(28) 起 にかかわ る環境要因 を査定す るアセス メン トであ り、行動 問題 の生 起 と機 能 的 に 関係 し てい る先行事 象 と後続事象 に 関す る情報収 集 のプ ロセ ス で ある(0'Neill et al,1997/2003; MiltenbergeL 2001/2006)。. この行動 問題 の機能的 アセ ス メン トの実施 に よつて 、支援 の効. 果 が 高 ま る こ とは 多 くの 研 究 に よつ て 明 らか に な っ て い る (Campbell,2003;Didden,. Korzilius,van Oorsouw,&Stutmey 2006;平 澤 ,2009)。 機能的 アセ ス メン トには、間接 的 アセ ス メ ン ト、直 接観 察 、機 能 分析 の. 3つ の アプ ロー チ が あ る仏 lberto&■ outman,. 1999/2004;0'Neill et al,1997/2003;Miltenberger,2001/2006)。 間接的 アセ ス メン トでは 、 行動 問題 を示す対象者や 対象者 を よ く知 る人 に対 して 、イ ンタ ビューや質 問紙 な どを用 い て情報収集 を行 う。 直接観 察 は、行動 問題 を示す対象者 の 直接観 察 を行 い 、行動 問題 の生 起 の たび に、そ の先行事象 と後続事象 を観察、記録す るもので あ り、一般 に ABC観 察 mC observation)と 呼ばれ る(Bttou,Peterson,&Ault,1968)。. ABC観 察は、間接 的 アセ ス メン. トよ りも信 頼性 があ り、 よ り正確 な情報 を得 ることができる。ABC観 察 は、 自然場面 にお ける直接 観察 であるため、対象者 の行動 (B)に 対 して周 囲 の支援者 が反応 し(C)、 そ の反応 ω に対 して対象者 が反応す る(B)と いった 具合 に、相 互 作用 が連続 して続 く場合 が あるが、 こ の場合 には複数 の ABCの 連 な りを記録す ることとな る。 機能分析 (functional analysis)は 、 先行 事象 と後続 事象 を実験 的 に操作す るこ とに よって 、行動 問題 の機能 を同定す るアセ ス メ ン トである(Iwata. et al。. ,2000;Iwata,Dorsey9 SlifeL Bauman,&Richman,1982/1994)。. ABC観 察 では 、行動 と先行事 象、後続事象 との相 関関係 を示す ことしかできないが 、機能 分析 を実施すれ ばそ の機能的関係 を明確 に特定す ることができる。この よ うに機能分析 は 3 つ のアプ ロー チ の 中で最 も正 確 な方法 とされ る一 方 で 、そ の 実施 にかか る負担 も高 い こ と が知 られ てい る。 Moore et al。 (2002)は 、 この機能分析 を トレーニ ングの対象 と して取 り上げて い る。 3名. の小学校 の教師 を対象 に機 能分析 の 手続 きを トレー ニ ング し、教師 の行動 の 直接観 察 に よ って そ の効果 を検討 した。2名 の参加者 は普通 クラスの教師 であ り、1名 の参加者 は統合教 室 の教師であ った。3名 の教師 はそれぞれ 1名 の児童 を選 出 した。3名 中 1名 の児童 は学習. 20.
(29) 障害 の診 断 が あ り、残 りの 2名 は発達 の遅れ はな く、3名 の児童 とも授 業 中 に不適 切 な発言 が 見 られ た。教師 に対 しては、訓練 練. 1、. 訓練. 2、. 教 室プ ロー ブの順 で介入 が 実施 され た。 訓. 1で は、最初 に参加 者 は機能 分析 の手続 きにっ い て の言語教示 を読 んだ。 そ の後 、実験. 者 か ら提示 され る質 問 に正答 した参加者 は 、 生徒役 の 大学院生 に対 し機 能分析 の 手続 きを 実施 した。 ここでは 、手続 き の実施 に対 して フ ィー ドバ ックは行 われ なか っ た。 これ に続 く訓練. 2で は、参加者 に対 して、実験者 に よるモデル の提示 と、機能分析 の手続 きの実施. に対す るパ フ ォー マ ンス フ ィー ドバ ックが 実施 され た。 この後、教 室プ ロー ブ にお い て参 加 者 は、それ ぞれ の対象児 に対 して機 能分析 の手続 きを実施 した。 参加者 間 マル チプル ベ ー ス ライ ンで 実験 が行 われ た結果 、訓練 の であ っ たが 、訓練. 1で は 3名 とも正確 な手続 き実施 の割合 は低 い も. 2で は 3名 ともに上昇 が見 られ実施 の割合 は高 い もの とな った。訓練 2. に続 く教室 プ ロー ブにおいて も この傾 向 が維持 され 、正確 な手続 き の 実施 の割合 は高 い も の で あ っ た。 機 能分析 は標 的行動 の 随伴性 を探 る方法 として最 も正 確 な方法 であ る一 方 で 、そ の 実施 上 の負担 も大 きい。 Maag&Larson(2004)は 、一般 の教師 が よ り実施 しや す い 直接観察 に よ る機 能 的 ア セ ス メ ン トの 手 続 き と して FAHFP(hnctional assessment hypotheses formulation protocoDを. 1名 の教師 に トレーニ ング し、そ の効果 を検討 した。 FAHFPは 、. 標 的行動 の操作的定義 、標 的行動 の生起 と関連す るセ ッテ ィ ン グ事象 の特定、標 的行 動 の 直接観 察 、標 的行動 につい て可能性 の あ る機能 を考 える、標 的行動 の機 能 につ い て仮説 を 立て る とい う一連 の手順 か ら成 るアセ ス メン ト手続 きである。1名 の教師 に よつて 2名 の児 童 が選 ばれた。 どち らも 5年 生であ り、授 業妨害行動 (離 席 、不適切 な発言 、指示 に従 わな い 等)を 示 した。1名 は国 が 定 めた情緒障害 あるい は行動 障害 の基準 を満 た してお り、も う 1 名 は学 習 障害 の診 断 を受 けて い た。機能的 アセ ス メン トの実施 に関す る情報提供 と練習 を 含 む 2セ ッシ ョンの トレー ニ ン グを受 けた後、教師 は FAHFPの 手順 を実施 し、そ こか ら 2 名 の児童 の標 的行動 (授 業妨害行動)の 機能 を推定 した。 また 、機能 に基 づ く支援 を実施 し、 推 定 した機 能 が 妥 当な もの で あ っ たか を検証 した。教師 に よって 実施 され た支 援方法 に よ. 21.
(30) つて 、2名 の 生徒 の標 的行動 は減少 し、教師 の推定 した仮説 が 妥 当であ るこ とがわか つた。 ここでの研 究 か ら、教師 トレーニ ングに よって 、機 能分析や直接観 察 を用 いた機 能 的 ア セ ス メン トに 関す るス キル の獲得 も可能 であることが 明 らかにな った。 対象児 の行動 とそ の先行事象 と後続 事象 の情報 を獲得す るこ とができれ ば、教師 が 自ら支援 を考 える際 に大 い に役 立つ もの となるだろ う。. 4-5。. 包 括 的 な支 援 ス キル に 関す る トレー ニ ング. これ まで 、介入方法 の 実施 、介入方法 の立案 、 アセ ス メン トの 実施 につ いて扱 った 教師 トレー ニ ングの研 究 を概 観 してきたが 、 これ ら全 て を包括 した トレー ニ ングの研 究 も行 わ れ てい る。McClean et al.(2005)は 、行動問題 を示す対象者 に直接支援 を行 うス タ ッフに対 して積極的行動支援 (Positive Behavioral Supports:PBS)の アセ ス メ ン ト及び支援方法 の トレー ニ ン グを行 うス タ ッフ焦点型 トレー ニ ング(Person Focused Training:PFT)の 効果 につい て検討 してい る。 PBSは 、教育的 な方法 と個人 の生活環境 の再設計 のためのシステ ム変 更 の方法 とを用 い て 、個人 の行動 レパ ー トリー の拡大、生活 の質 の 向 上 、行動 問題 の 減 少 を 試 み る ア プ ロ ー チ で あ り、 そ の 基 礎 は 、 応 用 行 動 分 析 と 人 中 心 の 価 値 (person‐ centered value)に ある(Carr et al。 ,2002)。. PBSの ス タ ッフ トレー ニ ングで ある. PFTで 対象 となるアセ ス メ ン トは、包括的 な心理社会的アセスメン ト、事象解析 (incident analysis)、 機能的 アセ ス メ ン ト、仮説検証 であつた。対象 とな る介入方法 は 、環境 的 な調. 整 、 ス キル の教授 、直接 の介入 とい う 3つ の前進的 ないrOactive)介 入 と事後的 な(reactive) 方略 の計 4つ であ つた。 McClean et al.(2005)は 、PFTを 7年 間 に渡 って 、 132名 のスタ ッフに対 して 実施 した。 トレー ニ ングの参加者 は、4つ の通学地域 に在 住す る 1,665名 の知 的障害児・者 に対 して 日中 の支援 (デ イサ ー ビス)や 施設 での支援 を提供す るサ ー ビス会社 の ス タ ッフで あ った。参カロ 者 の内 121名 が介護 士で 、そ の 内 の 47名 は スー パ ー バ イザ ー で あ った。残 りの 11名 は臨床心理 士で あ った。 65名 は看護 士で 、55名 は社会科 、 心理 学 、保 育 の学位 を取得 していた。 女性 111名 、男性 21名 で職歴 の平均 は 5.35年 であつた。 これ. 22.
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