第14号:131〜141 平成7年3月2引ヨ
植生水路内の流速変動のウェーブレット解析
田中 雅史。福原 朋久
三濱大学生物だ源学部
WaveletAnalysisofVelocityFluctuationsinVegitatedChannels
MasがumiでANÅKA,TomohisaダuKUHARA
F8CultyoぎBioresourees,MieUniversity
Abstracts
Multiresolution analysis was applied to theiIl、一eStigation of charEICteristics of 柑locity fluctuationsin vegitated channels.Multiresoluもion analysIS ean be extractedinformationcontentsataglVenreSOlutionbydecomposlngflow velocity
tin−e Series on n discrete waveletbasis,Called wa、relet represenLation.Velocity rluctuation data are oblained e):Perimentally through18.boratory flumes planted fourkindofwaterplants.
Itis detected representati\・e features of fluctuations alld time of occurreIICe Of thesefluetuatingpatterns.Speetlla Of\∫elocity fluctuations collSistS Oft\VO Predorni−
naIltrrequenCyrangeS,OneisduetothelnOVementS Of water pla】ltSaSa\ヾhole,the OtherisdueもOthesmallscaledisturLbancenearthe waterplantslayer.Thereexists Clearfrequencygapsbetヽ\,eenthesetworanges.
入・1ultiresolution representations are effective for analyzing characteristies fea−
turesofthefluctuatingpheIlOmena.
Keywords:Mulもiresolutionrepresentation,WaveletanalysIS,Veg・まtated Channels.flow\▼elocityfluctuatibns
系列信号に含まれている情報がより明瞭に抽出され,物 理的考察が容易になる。また,離散ウエーブレット解析 は,従来の時系列データの一般的解析法であるフーリエ 変換怯やスペクトル解析法では不可能な特定の変動の発 生した時刻を特定することや,各周波数成分の合成され
た特徴的な変動パターンを抽出することがで蕃る。
植生水路中の流水の流速域の変動は,基本的には植生 のゆら割こより発生する。現地観測によれば,植生体の ゆらぎをきっかけとして発生する種々の時間スケールの 流水の乱れに起因し流速変動が生起することが観測され
る。すなわち,植生水路申の流速変動域のデータは,さ 1.はじめに
本文では,水路申に沈水性植物が繁茂している場合の 流水の流速変動域の特性をウエーブレット解析により検 討した結果について報告する。ウエーブレット解析は,
時系列データや信号処理の新しい解析方法である。;〉〜4)
ここでは,離散ウエーブレット変換による多蛮解像度解 析(MulとiR¢SOlutionAnalysis:MRA)と呼ばれ
る方法を用いた。5〉・6〉多蕊解像度解析によれば,さまざ まな時間スケールの混在した現象の特性を種々の解像度 でスケールごとに抽出することがで轟るので,もとの時
まぎまな原因によって発生する変動成分が混在している と考えられる。このことから,植生水路申の流速変動現 象を解析するにはウエーブレット解析が適していると判 断し.その適用を試みた。
2.解析デ岬夕
解析対象の流速変動の時系列データは,室内楽験によっ て取祷されたデータを用いた。実験には,長さ20m,
幡40cmの長方形断面水路を使用した。水路の山部に2 mにわたって水路床全面に沈水性水草を数段した。水 草としては,それぞれ4種の沈水性水琴,セキショウも
タロモ.ヤナギモ,エビモを用いた。草丈はいずれも 15〜17emである。実験に際しては,ビデオ据影によ
り水準のゆらぎの状況についても観察した。流盈は,12
〜20戚/sの範囲に設定した。植生帝先端より1.5mの 下流地点の水路中央部において,測定点鉛直方向に5m m間隔で流速8柳窪をおこなった。流速の測定には直径8 mmの小型紙速計を使用し,流速計の出力をサンプリン グ間隔20H乞でデジタルデータレコーダに出九 流速植 に変換した後,処理をおこなった。予備的検紺の結鼠 10Hz以上の変動は微少であることがわかったので,時 間間隔0.18eC(10王iz)の再サンプリングをおこなっ た。全データ長は25.6sec(N=256点)とした。測定 現象の時間スケールに対し,この解析時間最,サンプリ
ング時間で十分であると判断している。解析に先立って,
流速健から平均値を差し引いた変動流速成分のみを解析 対象とし,これを流過密動の時系列データf(t)とする。
なお,このデータは,植生水路の流速域の構造解明の ため爽施している血遵の実験データの一部である。7)・8〉
3.解析方法
多意解像度解析ほ,本来複数の時間スケールで時系列 や信号の局所的平滑化をおこない,階層的近似により,
信号の局在的特性と全体的特性を解析する方法である。
多感解像度解析を直交ウエーブレットにより構成する方 法は,MallatおよぴMeyerにより数学的に定式化さ れている。厳密な数学的故論については参考文献1)〜
4)等で解説されているので参照されたい。
まず,はじめに多蛋解像度解析の基本的概念を示して おく。鵬定の時間間隔△£=Tでサンプリングされた時 系列/(〜)をもとに,まず△よ=アの時間スケールの 評
細な部分 ∂○と,より 粗い 時間スケールの△と=2T の/l部分に分割する。ついで,/lをdlと/2とに分割す る。以下このような操作をおこない,dO,dユ,dg,…を 順次取り出していく。すなわち,時間スケールを△£=
2ノアにとり,′とが1の部分に分割すればトⅣ何の繰り 返しの操作により,元の時系列は,
J(£)=/〃+d8+dl+…+♂叫 (1)
とかける。
このことは,ベクトル空間上で,時系列/(£)を解像 度を2のペキ発にとり,解像度2ノ中三および2ノにより近 似をおこない,その差♂を抽適することに相当してい
る。/(f)のベクトル列のこのような近似はそれぞれベ クトル空間VかとV2′への直交射影に等しい。l′2jの 直交櫛空間をⅣ2∫とすれば,
W2′⊥V2ノ,肋∫◎仇ノニ1克∫・・
が成立する。ここに,◎は直和を表わす。
/(£)のⅣ2′への直交射影を計算するには翫ノを構成す
る正規直交基底を必要とする。このような基底は以下に 述べる直交ウエーブレットと呼ばれる関数Ⅳ(ズ)のス ケーリングと平行移動により構成される。なお,解析に 隣し,対象とする流速変動時系列データは,測定時間で を一周期とする周期関数とする。実際は周期関数ではな いが,測定時間を解析対象の時間スケールに対して十分 長くとっておけばこのことば問題とはならない。
時系列/(ズ)を(2)式のようにウェ岬プレット関数
Ⅳ(ズ)を基底関数として展開する。
ここに,£=と/ア(0≦ズ<1.0)
/(ズ)ニα0十伽′十ゐ泌(2∫ズ…た)
「 1r
=α。十左l㌫(ズ)+[α=勤]
L−−O L・一1
∽(2£)
+[α沌α6αT] とく.−(4ユ:)
∽(毎㌣1)
∽(毎−2)
∽(4ズー3)
十…・t・
L−2
…+α2′+ん泌(2な】た)十…… (2)
整数ノはスケーリングのパラメータで.スケーリングは
2のベキ乗にとっている。全体を1として,1/2,1/4
…と解像度を順次あげて分解することに対応している。
一方,無数ゐはシフト(平行移動)のパラメータで,た
=0〜2ノー1。
以下では,L=1/2ノ(j=0,1…)に対応してレベル
(Lと略語己)と呼ぶことにする。例えば,L−2は解像度 1/4に対応している。
本文では,もとの時系列データが平均値を中心とした 変動成分のみとしたので,係数伽は常にゼロとなる。
Ⅳ(ズ)は敵交遠戚であるから,展開係数α2′。−戊は次式で 与えられる。
的中力=2ゾJ(ズ)W(2な−ゐ)血 (3)
展開による係数蝕−トんをFig.1に示す。
なる差分方程式を満足していなければならない。
(4)式ほダイレーション方程式と呼ばれている。このよ うな,関数¢(ズ)をもちいることにより,ウエーブレッ ト関数Ⅳ(ズ)は,次式により構成される。
Ⅳ(ェ)㌔云1ト1)ふC尤¢(2ズ十た−Ⅳ+1)
/ここ0
(5)
ここに,G:ウエーブレット係数。
係数C奥の低ほ,Daubechiesにより数億表の形で与 えられている。9〉・沌)係数の個数はⅣニ20(DB20)を用 いた。
結局,離散ウエーブレット変換は適切鳩ウエーブレッ ト関数を準備し,離散時系列データ′(1:2つから展開 係数の例α(1:2つを酎・興すればよい。この変換は線 形写像であるから,その行列表現を用いて計算で轟
る。=
計算には,Mallatのピラミッドアルゴリズムを用い た。8)
Mallaものアルゴリズムによれば,スケーリング関数
¢(ズ)や関数Ⅳ(ズ)を麗接構成することなしにウエーブ レット係数のみから効率よく計算できる。ここには,詳 細を示さないが,采燃上は,ウエーブレット係数Gに より構成されるローバスフィルターエとハイパスフィ ルター〃を準備し,Fig・.2に示すようにデータに服次 フィルターをかけることにより,もとの時系列データを 分解しウエーブレット変換を実行する。逆にフィルター
〟=エγおよびG=〟rをもちいて逆ウェーブレット変 換をおこないデータ
置を表わす。
直交基底を構成する鵬遁のウェーブレット関数の関数 形の例をFig・,3に示す。これらは,それぞれL−4,
5,6の代表的基底関数である。図より,基底関数形は いずれも時間軸に対して局在化され,しかも互いに相似 な形をしていることがわかる。
解析に用いた時系列データは,総数N=256=28の データ列であるので,L−0′}L−7のレベルに分解さ れる。解析対象とする流速変動の時系列/(ズ)をウェー ブレット変換し展開係数を計算した後,各レベル毎に逆 変換し,それぞれのレベルにおける波形を再構成し た。いわゆる,多靂解像度表現(Multiresolution R叩reS紺tation)の結果をもとに,流速時系列の変動 特性について検討する。
Iγ(∫)
II′(加−た)
Ⅳ(毎−た)
L−2′巨三こ]…・・[二] ご ∫:・・一
Fig.1Schematicdiagl・amOr\\,a\・eletcoerficients
本丸 ウエーブレット関数(アナライジンダウェープ レット)の関数形は数学的にはいくつかの関数が考えら れるが,員的に応じて適切なウエーブレットを選択する
ことになる。ここでは,Daubeebiesの直交ウエーブレッ トを採用した。
基底となるウエーブレット関数阿(ズ)は,姦になる スケーリング関数¢(∬)より,以下のようにして構成さ れる。
スケーリング関数¢(ズ)ほ,
トご、・::二 −・ (4)
関係数aiを静定の後に,逆変換して各レベルの変動成分 のみを荷台成し表示している。
同園の結果をもとにして,適切な表示法をとることに より,流速変動域のもつ構造やパターンがより明瞭に示 される。表示法には,時間〜レベルの2次元平面上に 結果を敦わす表示法やマップによる表示法がある。
Fig.5のように,機鰍こ時間,縦軸にレベルをとり,
時間〜レベルの2次元平面上に結果を表示すると,さ まざまな時間スケールの変動がどのように構成され,全 体の変動パターンを形成しているのか明確になる。Fi訃 5の黒色部分は変動波形の谷部を,白色部分ほ山部を表
している。時間軸方向のそれぞれの横様の帽は,各レベ ルにおける波形の時間スケールの長さを示している。横 様が低レベルから嵩レベルまで繋がり枝わかれしたフォー
ク状の領域ほ,大きな周期の彼の申に相似的に小さな披 を含んだ階層構造が存在していることを示している。時 間〜レベルの2次元平面上の敦示法は,Photo.1,
Photo.2のようにカラー表示をおこなえば.変動パター ンの構造がよか矧瞭に示される。
写炎では,波形の山部の振幅の大きい領域が赤色で衷 示されている。Photo.1(a)〜(c〉 ほ,同じデー
タを振幅の大きさに対応して鳳鼠 色調を変えて表示し たものである。Photo.1(a)のように正の振幅を示 す赤色の領域を狭めた表示をとれば,振幅の大きい時間 帯とそのレベルがわかりやすくなり,Photo.1(c)の
ように階調を少なくすると,全体的な構造が見えやすく なる。Photo.1(b)では,おおむね正の変動成分の 強さのみをカラー表示し,負の部分は靂色で表示されて いる。なお,Pho七0.2(a)〜(d)はそれぞれアig・.
4(a)〜(d)の変動時系列データに対応している。
マップによる表示は,ウエーブレット展開係数の強度 a号を各レベル毎に時間軸に沿って表示したもので,どの 時亥りにどの程度の強さの振幅の変動が出現しているのか が示されている。各レベルの中心周波数は2 ・/慮/N ぴ‖Ⅳはそれぞれサンプリング周波数,データ数)に より周波数と対応しているから,マップは時間一周波数 解析の結果を表示していることに相当する。マップによ り解析結果をyig・.6(a)〜(c)に示す。例えば.
レベルL−4の波が主要な波形を構成するFig.6(a)
は,L−6,7に塊申する波で構成されているFig.6
露エい,宛エ⊥
払 ……・声匡ヨヰ匠トヰ蕾……・浄
㌔・.;・三∫∫
8rq(伽J肘l・−)
(a)discrete wavelettransrorm
〟い.ルJ⊥
幻葬 ヰ…… 匠コ←匠]キー一国ヰ…
†G▲
8 モ首(伽ごα…)
(b)lnversediscrete wavelettransforn Fig.2 Diagtrnm or decoll叩OSition Elnd rccon・
struction wiIh discrete\VaVelet trnnsform
1,0 0.5 0.0
−0.5
・1.0
0 50 100 150 200 250
n u 1.0
0.5 0.0
−0.5
・1.0
0 50 100 150 200 250
1.0 0.5 0.0
・0.5
・1.0
0 50 100 150 200 250
N
Fi思 3 Examplesofwaveletぎunetions upperW(16Ⅹ),middleⅥr(32Ⅹ),
lowerW(64Ⅹ)
4.解析精巣
yig.4(a)〜(d)に流速変動時系列に対する代表 的な解析結果を示す。図では,ウエーブレットによる展
1 2 3 4 5 6 7 − ■ ︼ − − ︼ ︼
L L L L L L L
0 50 100 150 200
== N
0 50 100 150
(b)
0
5
2
0
0
2
1 2 3 4 5 6 7 − ■ ︻ ︻ ■ ■ ︻
L L L L L L L
0 50 100 150 200
(Cj N 0 50 100 150 200 250
(d)
Fig.▲1Wa\・eletrepresentation
(a)Sseries(Vallisneriaasiatica)Uニ24.6cm/s,Z=19,7cm
(b)Kseries(Hydrillaverもicillata)Uこニ15.3cm/$,Z=16.1cm
(c)Ks肝ies(Hydrま11averticillata)U=23▲9cm/s,Zニ18.6cm
(d)Eseries(Po七色mo酢tOnCrispus)U=8.6cm/s,Z=12.2cm
(U:meanVelociもy,Z:d叩th)
中心としたL−6,7の振幅の大きい故に特徴がある。L−
6の披は,全観測時間において定姦しているが,L−7 の披は,観測時刻12秒を墳にして前半部の時間帯では 常に存在し後半部では局所的に存在している。もとのデー
タを構成する波形のパターンは,L−7とL鵬2の波形 の様相から判断すると,前半部の時間滞では単独的な放 で構成され,後半部の時間禅では時間的に践い放と短い 放との混在から構成されていることを示している。詳細
nU O nU
+
一の︑∈U︶⊃ 7 5 3
一む>む﹂
yig,5 Two−dimensionalrepres¢ntationof
\\,a\・eletdecompositionSserics U=24.6em/s,Z=19.7cm
(c)と比絞して時間スケールの長い変動が存在している ことがわかる。
以下では,もとになる結果Fig.4を中心に,Fig.6 およぴPhoto,2の解析結果を参照しつつ,流速変動時 系列のパターンについて検討する。
Fig.4(a)のデータでは,時間スケールの長い披か ら短い改まで,さまざまなスケールの披が存在している。
解像度L−2の波形により,もとのデータは時刻0秒か ら8執 8秒から18秒,18秒から25秒のはぼ7〜10
秒の時間間隔の三領域から構成されていることがわかる。
対応するPhoto.2(a)によれば,それぞれの領域に おいてフォーク状のつながりがみられ,商レベルまで概 ね相似的な波形パターンを示している。
yig.4(b)のデータは,レベルL−2の波形に示さ れる時刻4秒〜12秒および12秒〜20秒のほぼ8秒間 隔の盛時聞スケールの変動およびL−5の披が存在し,
良時間スケールの変動と短時間スケールの変動の閤にギャッ プがあるのが特徴である。各レベルにおいて振幅のほぼ 同じ波が出現しているが,L−6では,似た披形のパター
ンが間欠的に全観測時間にわたって存在している。また,
対応するFig.6(b)のマップによれば,L−5の振幅 が蔑も強く,全観測時間にわたって連続的に出現してい ることがわかる。以上の変動パターンは,Photo.2
(b)にもよく示されており,それぞれの領域ごとに相 似的な構造をしている。
Fig.4(c)のデータは,短い時間スケールの変動を
10 16 20 25 Time(S)
→レベル
(c)
Photo.1T\\rO−dimensionと111、CPreSeIltation of wavel飢decomposition
Yseries:U:ご15.8cm/s.Z=14.2cm
にみると,L−6において,ほぼ5秒〜6秒間隔で振幅 の同じ波が規則的に出現していることがわかる。これに 対応する,Photo.2(c)によれば,前半部と後半部の 構造の差ほ低レベルのパターンに示され 全体的に短い 時間スケールの変動の多いことが示されている。
yig・.4(b)のデータは,主としてL−2〜L−6の 波形で構成されている。L−2の変動ほ,全観測時間に わたってほぼ同山の振賂 時間スケールの放として存在
している。L−4,6の変動は属所的に存凝しているが,
彼の振幅が小さい。Photo.2(d)において,低レベ ルの色調が規則的に現われていること,商レベルの色調 が薄いことからも判断できる。なお,Photo.2(e)は,
Photo.2(d)と似た表示になっているが,(e)の変 動は,(b)のそれと逆の構造になっており,谷部(熊 色)で階層桃遊を有している。
5 10Ttme(S)15 20 2さ 10¶血沌(S)15 20 26
†レベル
16 20 2ら
ら 20 25 5 10
0 ら 10 15 20 26
Photo.2 T\\TO−dimensionE11rcpresentationof waveletdecomposiもion
(a)S sellies:U=2こl.6cln:∴s,Z=19.7cm
(b)l(series:U=15.3em,:s.Z=16.1cm
(c)Kseries:U=23.9cm/s,Zニ18.6cm
(d)Eseries:U= 8.6cm/s,Z=12.2cm
(e)Sseries:U=30.6cm/s,Zニ21.2cm
5.考 察
多雷解像度解析により抽出された各レベルの流速変動 のパターンをもとに,ビデオ撮影による観察結果を参考
にしつつ,植生水路の流速蟻の変動特性について考察す る。F蝮.7,Fig・.6は各レベルの変動成分の分散魔の 分布を示したものである。ぎig,7ほ,Eシリーズ(ェ
ビモ)について測定水深による変動パターンの違いを見 たものである。Elは植生内部の測点での結果であり,
E2は植生の先端部近傍の胤軋 E3は上層部の流れで の結果である。このように植生滞と流速測定水深との相 対的位澄関係によって,全体の変動パターンには植生の 職域によらない共通の特徴があり,植生水路に共通する 流速変動域の構造が存在することを示唆している。一方,
Fまg.8は,四種類の植生に対して各レベルの変動成分 の分散催の分布の違いを,ほぼ同じ測定位置の解析結果 をもとに比較したものである。図より,タロモ(Ⅹ)と ヤナギモ(Y)の結果ほほぼ似た分布形状をしており,
レベル5の変動が全体の88%前後を占めている。エビ モ(E)はピークが,レベル3と5のニケ所にあり,セ キショウモ(S)はレベル2にピークがある。このこと から,絆純な流速変動の構造は名機坐により凄いがある と考えられる。
低レベルL−0,1および高レベルL−7の成分を除い た成分,すなわち,トレンド成分と,微細な変動成分を 円
2
3
感 4
ト ヨ 5
6
7
2
3
感 4
>・
ヨ 5
6
7
2
3
感 4
>
5
6
7
40
3(I
′−ヽ
ボ ヽ J
し ヱO
d 声・
10
¢ 0 1 ユ 3 4 5 6 7
LE\ EL
==●…・El−一亡「−∈2 −一口ー・E3
Fig.7 Distribution of rariancc at dif[erent
le\,els E series
El:U= 8.6cnl..′/s,Z=12.2c111 E2:U=15.9cnl/s.Z=14.2c111 E3:Uニ19.5cm/s,Z=15,7cm
var(%)誓」×100
ぴi:Varianく:eOfeachlevel ぴg:もOtalvariance
0 5 10 1S 20 Z5
Time(S)
Fig.6 入;‡ean−SquarCmaPSOr\\ra\▼elet coerrieients K sel・ies
(a):U=7.7cm/s,Z=14.6cm
(b):U==15.3cm/s,Z==16.1cm
(c):U==23.9em/s,Z=18.6cm
除去し再合成した時系列についてスペクトル解析をおこ なった。結果をFig・.9(a)〜(e),Fig.10(a)〜
(d)に示す。Fig.9(c)は植生静内郎の測定位置での 結果である。0.1Hzと付近に鋭敏な超越周波数がある のが特徴である。より上層の測定位置での結果,同園
(b)によれば,いくぶん卓越周波数が商周波数側へ移 行し,パワーの分布が広い抒域に拡がる。このような流 れの領域では下層から拡散して重た変動と植生帯先端部
0 1 ヱ 3 4 5 (; 7
LE\′EL
十Y 一也− K▲
t…儲・…E −か S
Fig.8Distributionofvarianccatdi[erentle\・els Y:Yseries(Potamog・etOnOXphyllus),
Ⅰく:Ⅰ(sel・ies,E:Eseries.S:Sserics
1.OxlO3
1.OxlOさ
0.0 0.5 1.0 1.5 2.O
F「q.(Hz)
Fig.9 Spectraor\・ClocityfluctuatiollSl・eCOnSト ructedfl・Om L−2101.−6nt difrercnt dcpth
Esel・ies
Samedataasyig.7
(a):E3,(b):E2,〈e):El
0.0 0.5 1.0 1.5 2.O Frq.(Hz〉
Fig.10 Speetraofl・eeOnStl・uCted\,eloe恒Irluctし1a−
tionsorrourkindorwaterplants
(a):Yseries(b):Kseries
(c):Es群ies(d):Sseries
Fig.10(a)〜(d)は植生による速いを示している。
いずれも植生禅近傍の麗接植生のゆらぎを反映してい るとみなせる測定位脛での結果である。卓越周波数の変 動成分はいずれも植生のゆらぎと直接関連していると見 なせるが,クロモやヤナギモの車適周波数は0.5Hz付 近にえる。これに対し,セキショウモは低周波数にある。
エビモは二つの噂越周波数をもっている。このような適 いは植生の形態の差によるものと考えられる。
Fig.11(a)〜(h)は以上の検討をもとに,植生水 で作られる変動が混在して変動を構成している。低周波
敵側の二つのピークは植生帯の盛時閲スケールの揺動に 対応し,高周波数側のピークは蛮自体のゆらぎにより生 成される変動に対応していると考えられる。更に,上層 では同図(a)に示すように卓越した変動ほ低周汲数側 へ移行していく。この卓越部分は,下層あるいは上流か
ら流下してさた大規模変動渦の通過に伴う流速低下によ るものと考えられ,嵩周波数領域の変動成分は下層から 輸送された変動成分の通過に起債‡する。
0 5 10 15
くb)
10 15 20
(d)
5 10 15 20
(f〉
0 5 10 15 20
(g) Time(S)
0 5 10 15 20
(h) The(S)
Fig.11Typicalvelocityrluctuationpatternofvegitatedchannels
(a)〜(r):Ksel・ies
(a)U= 5.6cm/s,Z=14.1cm(b)U=15.3cm/s,Z=16.1cm
(c)U=18.5cm/s,Z=17.1cm(d)u=20.4cm/s−Z=17.6cm
(e)U=23.9cm/s,Z=18.6cm(f)U=29.8cm/s.Z=20.6cm
(g):Eseries U=19.5em/s,Z=15.7cm
(11):Ssel・ies U=2⊥l.6cnl/−s.z=19.7cnl
謝 辞
水理実験の実施にあたっては,小笹二郎,川北偽札 木村有紀予の諸氏の熱心な協力を得た。ここに三氏に対
して深く感謝します。
参考文献
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11)PressW,H,飢C;NumericalRecipiesin yOR TRÅN,Cbap.13.10,2nded‥Cambri軸eU.
P‥N¢WYork,(1993)
路の典型的な流速変動域のパターンを摘出したものであ る。同図(a)〜(r)はクロモについて水深による波形 の変化を示している。(a)は植生滞の内部でのパター ンであり、速い流れの吹き込みにより植生輝は倒伏し,
商い流速が間欠的に発生する。稽塵灘の下部では盛時閲 スケールの変動成分が存在しているが(b),徐々に,
長時瀾スケ…ルの変動とより時間スケールの短い変動が 混在するようになり,植生滞よりやや上部の流れ(e)
においては短い時間スケールの変動成分が超越する。水 面に近い領域では(f),変動の大きさが小さくなり,間 欠的な低流速成分が存在する。植生の種類によっても変 動のパターンには差があるが,(g)はエビモ,(h)は セキショウモについてその樽徴的なパターンを示したも のである。変動形状は似ているがその時問スケールが親 なり,セキショウモの時間スケールは炭くゆっくりとし た変動を示す。
6.あとかき
植生水路の流速変働噸の特性について,多盈解像度解 析を適用して流速変動パターンを抽出した。植座水路の 流速変動は植生滞と流れの相互作用によって生成されて おり,さまざまな原因による変動成分が混在している。
このような流れの場の時系列データの解析には離散ウエー ブレット解析は有効であることを示した。なお,離散ウエー ブレット変換の計算アルゴリズムについてほ,主として 文献(9),(11)を参考にした。
要 約
植生水路内の流速変動の特性について多蔑解像度解析 を適用して検討した。多感解像度解析によれば,流速時 系列私 離散ウエーブレット基底により分解することに より,与えられた分解能の情報を抽出することができる。
流速変動データは4種類の水軍を敷設した室内実験によ り得られた。代表的な変勤の様相と変動パターンの生起 時刻が検出された。流速変動のスペクトルには二つの卓 越機幾数裕域が存在し,血つば植生の全体のゆらぎに起 l表し,もう一つは植生層近傍の小さいスケールの揺動に 起因している。両方の周波数帯域には明確なギャップが 存在している。多蕊解像度衷現は変動磯象の特性を解析 するのに有効である。