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洪水流速計の実用化に関する研究

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(1)

愛知工業大学研究報告 第 35号B 平成 12年

洪水流速計の実用化に関する研究

A Study of Flood Flow speedometer Aiming at Operational Use

高 木 克 英 本 四 俵 正 俊 本 *

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Katsuhide SHIDAWARA

Masatoshi

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103 1ー はじめに わが国における洪水時の河川の流量観測は、通常、

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手子を投下し、その流下速度に更正係数を乗じること によって平均流速を求める方法がとられる。浮子によ る流量観測は広く用いられているが、その裏付けは明 確でない。洪水時流量観測の信頼性を上げるためには、 実測による流速分布の把握が必要である。 差圧から検出する仕組みになっている。この流速計の 原理図を図lに示す2)。この流速計を水面から河床まで 下げると、測線上の水深一流速の関係(流速プロファ イノレ)が測定できる。 最近、ピトー管の原理を応用することにより、静圧 から水深を、総圧と静圧の差圧より流速を求める水圧 式水深流速言十が開発され、実証観測が始まった。その 観測結果がいくつか報告されている1)。筆者らは、今回 水圧式水深流速計を用いた洪水流量観測に参加する機 会を得た。本研究では、水圧式水深流速計を用いた中 出水時の水深、流速観測データの解析を行う。特に、 橋脚が、流速分布に及ぼす影響を調べ、洪水流量観測 精度の向上を目指す。 2 高水流量観測 2. 1水圧式水深流速計 7.k圧式水深流速計は、ピトー管の原理を応用したも ので、水深を静圧により検出し、流速は総圧と静圧の * 愛知工業大学建設システム工学専攻 川 愛 知 工 業 大 学 土 木 工 学 科 ( 豊 田 市 ) 差圧変換器

(

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)

PO~p^-P. 大気圧 図1 7.k圧式水深流速計の原理図 2. 2 観測場所 建設省中部技術事務所と玉野総合コンサルタント (株)の観測に参加し、以下の場所で観測を行った。 - 庄 内 川 志 段 味 観 測 所 志 段 味 橋 -長良川忠節観測所 忠節橋 - 長 良 川 芥 見 地 点 藍川橋 本研究では、庄内川i志段味橋、長良川忠節橋での観 測結果を用いて検討を行った。

(2)

104 愛知工業大学研究報告、第35号B、平成 12年、 Vol.35-B、Mar. 2000 2. 3 観測方法 台風時の高水を対象に、水圧式水深流速計で、の観測 と浮子観測を同時に行った。ここでは、庄内)11志段味 橋での観測方法を示す。 水圧式水深流速計を用いた観測では、図 2に示す様 に、河川の横断方向に、橋脚の位置、河床の変化点を 留意して10測線を配置した。測線毎に橋上から、図3 に示す様に、下流仮IJに流速計をワイヤーで吊り下げ、 連続降下昇降測定を行った。洪水時には流下物が多く、 流下物がセンサーやワイヤーに接触することによって、 センサ一部分の破壊、ワイヤーの破断などが起こる可 能性がある。そのため、橋の上流側に監視員を配置し、 上流側の状況を把握しながら、観測を行った。 30 ε 、 J ( E ) 随燃 2 22

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100 J20(m) 図2 圧内)11志段味橋の調j線配置図 図3 7.K圧式水深流速計による観測の模式図 水圧式水深流速計による観測と同時に;辛子による観 測を行った。浮子観測では、図 2の破線で示す位置に 4 測線を配置した。表 1の様な条件のもとで、各測線に おける水深に応じた浮子を選定し、橋上から浮子を投 下した。表 2に各測線で用いた浮子の種類を示す。投 下した浮子が、橋から約70m下流に位置する第 1見通 断面から、更に 100m下流に位置する第 2見通断面に 流れるのに要した時間を測定し、流速を算出した(図4) 3) 表 1 浮子の選定 表2 各測線で用いた浮子の種類 測線 浮子の砲水(m)

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100m f_ーと 第1見通断面 ψ手 正 叶門心 ψ ψ 第2見通断面 図 4 浮子を用いた観測方法 2. 4 流量算出方法 2.4.1 水圧式水深流速計を用いた場合 図5に示す様に、 1つの測線の受け持つ区分断面積 を、これと村目隣り合う両側の測線とのそれぞれの中央 までとした。但し、最外側の測線にあっては、 7}く際(死 水域のあるときは流水域との境)まで、全部受け持つも のとした。この断面積と各測線毎の鉛直平均流速との 積を、各区分断面の流量とし、これを全測線について 合計したものを、全流量として算出したへ

測線

測線

図5水圧式水深流速討を用いた場合の 区分流量断面の算出方法

(3)

洪水流速計の実用化に関する研究 2.4.2 浮子観測の場合 図5に示す様に、橋から約 70m下流に位置する第 1 見通断面と、更に下流100m(こ位置する第2見通断面に おいて、1つの流速測線の受け持つ区分断面積を求め、 両見通断面において各対応する区分断面の面積の平均 値を、その流速測線の受け持つ区分断面積とした。ま た流速は、阿見通断面聞の距離を、各測線で投下した 浮子が、第1見通断面から、 100m下流に位置する第2 見通断面に流れるのに要した時間で害Ijって浮子の流下 速度を求め、それに更正係数を掛けて算出した。この 流速と各区分断面積との積を全iJlIJ線について合計して 全流量を算出した5)。 第2見通断面~ 図 6 f手子観測jでの区分断面流量の算出方法 2. 5観測結果 1999年 9月 15日の出水時の、庄内川志段味橋での 第 lサイクルにおける水圧式水深流速計による観測及 び浮子観測の結果から、それぞれの流量を算出した。 結果を表 3に示す。 表3 流量計算結果 水圧式代理龍謹it 坪 子 剖 鵠 鉛 直 平 均 斑 連 断 面 積 E(分lnA罰is)量 更(正ml流,)通 断 面 積 巨分流畳 111/S) (m2) (m可 {m"/s) ιヲ 2.20 26 5x 2.62 8J 213 3 1.93 21 4U 4 1.51 30 45 コ 1.99 40 RO 2.30 84 193 6 1.84 25 46 7 l.05 19 20 1.48 4< 65 包 0.08 11 り 0.01 12

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(4)

愛知工業大学研究報告、第35号B、平成12年、 Vol.35-B、Mar.2000 106 表4の結果より、全測線の観測値を用いた場合と、 浮子観測を行った測線のみで観測値を用いて算出した 流量を比較すると、 25%程度の差が生じた。 100 40 60 80 図9・a測定断面 橋脚

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4 3 2 1 0 雪 国 ) 憎 提 3. 1 観測方法 橋脚付近では、流速の変動が、特に著しいと考えら れる。そのため、図 9・a の測定断面に示す様に、左岸 側の橋脚の中央と、中央から2m間爾で、左に3測線、 右に4測線の8測線を配置し、各測線毎に連続降下昇 降視u定を

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日の出水において実施した。 また、連続降下昇降測定とは別に、各測線における水 面から1mおよび2mの深さの位置(1司図・印)におい て、水圧式水深流速言十を停止させて、それぞれ3分間 の連続測定を行った。 3. 橋脚の影響量調査 4 100 統述正岡,) 00.5 1 1.5 2 2.53 3.5 () ....~ 0,51 • -:. .. ~ 11

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3.51. 司 図10-a摂j線2 流速(m1s)

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図9-h 3. 2 観測結果 1ー速度分布 図 9・b~h は、水面から深さ 0.5mおきに、同じ深さ の流速(上下各0.2m厚内の平均値)を横断方向にプロ ットしたものである。図 9・ b~h の中の.印は、高水 流量観測を行った時の各測線における流速の平均値で あり、・印は、橋脚の中央から2m間隔で配置した、各 誤11線における流速の平均値を示す。これらの図から、 表面近くでは、橋脚の影響によって、流速が極端に落 ちていることがはっきり分かる。ところが、深くなる につれて、橋脚の下流で流速が落ちているようには見 えない。 図 10-a~d に、測線 2~5 における流速の鉛直フ。ロフ

(5)

洪水流速言十の実用化に関する研究 107 ァイルを示す。測線 2では、水面付近で流速が速く、 深くなるにつれて徐々に流速が遅くなっていることが わかる。一方、 mlJ線

4

(橋脚の付近)では、流速プロフ ァイノレが乱れており、特に水面近くでその傾向が強い。 深くなると、乱れが少し減ると同時に、平均流速が水 面付近よりも大きくなっている。これは、先ほどの図9 の結果と対応する。 3. 3 観測結果2一流速の時間変動 図11は、水圧式水深流速計を一定時間停止させて測 定した流速の時間変動を示す。観測点は、図 8-aに③ 印で示してある。深さ 1m層での測定値(実線)を見て、 まず分かるのは、橋脚の左岸側 6mの点での流速(図 11・a) は、変動が少ないが、左 2m (図 11-c)、橋脚の 真後ろ(図11・d)、右2m (図11-e)、右 4m (閲11-f) の点の流速は、ゼロの値も含んでかなり激しく変動し ていることである。これについては後述する。一方、 深さ 2m層(破線)でも同様の傾向はあるが、 1m層ほ ど顕著ではない。この傾向は、図10、図 11とも対応し ている。 橋脚近くの流速変動について検討する。橋脚は円柱 で、 レイノノレズ、数は 6X 106程度になる。これは、安 定なカルマン渦の発生する領域であり、自由流速を 2m/s強として計算すると周期は約5秒になる。図11 -cから流速変動の周期を読み取ると、これにほぼ等しい と見ることが出来る。したがって、この測定された流 速の変動はカルマン渦の影響であることが推測される G) 3. 4観測結果3-5可床変動 左岸側の橋脚付近の 8測線における、既往の横断面 図から求めた河床の深さと、(低水時の河床位置)と、 出水中に水圧式水深流速計で測定された水深(出水時 の河床位置)を、図 12に示す。 左6m左4m左2m中 央 右2m右4m右6m右8m

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臼 口 日 4 図12 橋脚付近の 8i買JI線における 低水時の河床位置と出水時の河床位置の比較

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(6)

108 愛知工業大学研究報告、第35号B、平成12年、 Vol.35-B、Mar. 2000 図12の結果から、全て測線において、出水時の計測 水深の方が深くなっていることから、橋脚周辺では、 洗堀の可能性が考えられる。橋脚の中央では、洗堀深 小さく、外側

l

に向かうに従って、その差が、徐々に大 きくなっている傾向が見られたロ 3. 5観測結果4一流量計算結果 図13示すように、河川の横断方向に 10測線(図中 実線)を配置した場合での第2サイクノレの観測結果に、 その直後に橋脚付近に 8測線(図中破線)を配置して 行った、橋脚付近の観測結果を合わせて流量を算出し た結果と、第2サイクノレの観測のみで、得られた結果を 用いて流量を算出した結果とを比較した。但し、図 10 に示す各測線における鉛直速度分布と、図11に示す流 速の時間変動から、橋脚の中央から左岸側に

4m

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に6m程度までであると考えられるため、第 2サイク ノレの観測のみで得られた結果を用いて流量を算出する 際には、影響範囲内である測線4を省いて流量を算出 した。 30 内 ノ ( 宮 伺 E 阿 乙 ) 随 鵬 聴 梓 ハU 今

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主断面積 全涜量 全断面積 全流量 179m2 253m3/s 175m2 275m31s 表 5の結果から、橋脚の影響範囲内に複数測線を配 置した場合の流量を算出してみると、影響範囲内に測 線を配置しない場合の流量 275m3/sに対し、差は 8% 程度であった。 4. 観測可能な水深 1999年 9月22日の出水時における、長良川底、節橋 での観測で、水圧式水深流速言十で、測定で、きた最大水深 と既往の横断面図から読み取った河床位置を図15に 測線 l 、 2 、 4~7 における流速の鉛直プロファイルを図 16に示す。図 14に示すように、 10測線配置したが、 測線3は橋脚への衝突の可能性が高かったため、観測 を行わず、残りの9測線で観測を行った。なお、図16 に示す横断線は既往の横断面図から読み取った河床位 置を示す。

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40 80 120 160 200 回 _ 2 ロ JE 5 4 ロ 贋ロ ロ 国 Rせ6 調 関 園 圃横断面図から読み取った河障の位置 口流連E十で測定できた最大水深 図15 横断面図から読み取った河床の位置と 流速計で測定できた最大水深 図16-a Ji

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(7)

洪水流速計の実用化に関する研究 ︺ 山 ﹁

闘 い ま い 為

流速(m/s) 2 3 4 5 6 図16・e 測線6 図16-f測線7 通常、センサーの着底はワイヤーの緩みで判断する ことにしているが、測線1、2、4、5では、流速が速く ワイヤーの傾角が大きく、ワイヤーの緩みでは判断す ることが不可能であったため、モニター上の水深値が 最大となった時点で着底と判断し、センサ}を巻き上 げた。しかし、図15、16の結果から、測線1、2、4、 5で、既往の横断面図から読み取った河床位置より、水 圧式水深流速計で測定できた最大水深の方が浅くなっ ており、計測機器が河床に着底していなかったと判断 される。流速 3~4m1s の時センサーは、水面から 3~

4m

しか降下せずに、下流に流されてしまっていると考 えられる。下流に流されるのを防ぐためには、ワイヤ ーの径、センサーの径を細くすることにより、計測機 器が受ける抵抗力を小さくし、センサ}の水中重量を 重くするなどの改良を加える必要があると考えられる。 5_まとめ ・水圧式水深流速計による観測と、浮子観測によって

1

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算出した流量に、大きな差が生じたのは、橋脚下流で の流速分布の複雑さに大きな要因があったと考えられ る。 ・橋脚の後ろでは、流速が橋脚の影響を受けて小さく なり、カノレマン渦の影響と恩われる流速の激しい変動 が観測された。 -橋脚の影響範囲内に複数測線を配置した場合と、影 響範囲内に視u線を記置しない場合で、流量を算出した 結果、

8%

程度の差が生じた。 ・流速 3~4m/s 程度以上の時、センサーは水面から 3 ~4m しか降下せずに、下流に流されてしまっていると 思われる。大きな出水を観測するためには、計測機器 の改良が必要である。 参考文献

1

)

福田ら:水圧式水深流速計による洪水流速観測、土 木学会年次学術講演会、

1

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2)江川太郎:水圧式洪水流速計の実用化に関する研究、 河川情報センター研究助成報告書

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建設省水文研究会:水文観測、社団法人建設技術協 A '"ミ 4)建設省河川局:建設省河川砂防技術基準調査編、

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土木学会水理公式集

pp36

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富井善弘、木田輝彦、中谷仁志水力学、

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(受理平成1

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3月1

8日)

参照

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