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解析 II ・講義ノート

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(1)

解析 II ・講義ノート

第8回

(202012 1()配信分)

(2)

§8.

高次の微分と極値問題

 さて、

2

変数関数

f(x, y)

は偏微分可能として、その偏導関数

fx(x, y), fy(x, y)

がさらに偏微分可能のとき、

f(x, y)

2

(由緒 正しい本では「 階」)

偏微分可能であると言い、得られる

2

次偏導関

数を次のように表します。

∂x

∂f

∂x

= 2f

∂x2 = (fx)x(x, y) = fxx(x, y)

∂y

∂f

∂x

= 2f

∂y∂x = (fx)y(x, y) = fxy(x, y)

∂x

∂f

∂y

= 2f

∂x∂y = (fy)x(x, y) = fyx(x, y)

∂y

∂f

∂y

= 2f

∂y2 = (fy)y(x, y) = fyy(x, y)

と表します。上付きの

2

の位置、表記による

x

y

の順番の違

いに気をつけましょう。

(3)

 これらが全て連続のとき、

f(x, y)

C2

級であると言います。

f(x, y)

C2

級のとき、

fxy(x, y)

fyx(x, y)

は一致しますが、

C2

級でないときは、一致するとは限らないので注意が必要です。

 これらを並べて出来る

2

次正方行列を

f(x, y)

のヘッセ行列と

呼び、

Hess f = D2f =

fxx fxy fyx fyy

で表します。

f(x, y)

C2

級のとき、そのヘッセ行列は、各点

(x, y)

で実対称行列になります。

(4)

 一次関数

f(x, y) = ax + by + c

に対し、

fxx(x, y) = fxy(x, y) = fyx(x, y) = fyy(x, y) = 0 ((x, y) R2)

より、

Hess f(x, y)

は零行列です。

 また二次関数

f(x, y) = ax2 + 2bxy + cy2

に対しては、

fxx(x, y) = 2a, fxy(x, y) = 2b

fyx(x, y) = 2b, fyy(x, y) = 2c ((x, y) R2)

より、

Hess f(x, y) =

2a 2b 2b 2c

となります。

(5)

 以下繰り返し、

n

回微分可能、

n

次偏導関数、

Cn

級、無限回微

分可能=

C

(⇐⇒

何回でも好きな変数について好きな順番で 偏微分できる

)

と言った用語が定義されます。任意の多項式関数、

有理関数は、定義域の各点で

C

級になります。また

2

変数

(

変数

)

Cn

級関数と

1

変数の

Cn

級関数の合成関数も

Cn

級にな

ります。

(6)

 さて、

f(x, y)

C2

級としましょう。点

x0 = (x0, y0)

を通り

方向ベクトル

v = (p, q)

の直線

(x, y) = (x0 + pt, y0 + qt) = x0 + tv

(t R (

または

0

を含む開区間

))

に制限すると

(

つまりグラフを縦の平面で切ると

)

t

に関する

1

変数関数

g(t) = f(x0 + pt, y0 + qt) = f(x0 + tv)

が得られますが、この関数もまた

C2

級で、次が成り立ちます。

(

以下では、慣例にならって、勾配ベクトル

grad f,

方向ベクトル

v

は共に列ベクトルと考え表記します。

)

(7)

g(t) = fx(x0 + pt, y0 + qt) p + fy(x0 + pt, y0 + qt) q

=

fx(x0 + tv) fy(x0 + tv)

·

p q

( · は内積)

= grad f(x0 + tv) · v

g′′(t) = fxx(x0 + pt, y0 + qt) p2 + fxy(x0 + pt, y0 + qt) pq

+fyx(x0 + pt, y0 + qt) qp + fyy(x0 + pt, y0 + qt) q2

= (p q)

fxx(x0 + tv) fxy(x0 + tv) fyx(x0 + tv) fyy(x0 + tv)

p q

= tv Hess f(x0 + tv) v

(8)

 この関数に

t = 0

で平均値の定理を適用すると

g(t) = g(0) + g(θt) t (∃θ (0, 1))

= f(x0) + t (grad f(x0 + θtv) · v) 2

次までのテイラーの定理を適用すると

g(t) = g(0) + g(0) t + 1

2g′′(θt) t2 (∃θ (0, 1))

= f(x0) + t (grad f(x0) · v) +t2

2 (tv Hess f(x0 + θtv) v)

が得られます。

(9)

 特に二次関数

f(x, y) = ax2 + 2bxy + cy2 + kx + ly + m

の場合

には、

g(t) = m + t

k l

·

p q

+ t2 (p q)

a b b c

p q

ですが、一般の関数では、最後の項の行列が一定にはならず、

x0 = (x0, y0)

にも

v = (p, q)

にも依る上に、何より

θ (0, 1)

が何

か具体的にはわからないので少々注意が必要です。

(10)

 今、一般の

2

変数関数

z = f(x, y)

について、と言っても

C2

級くらいは仮定して、その増減について調べてみたいと思います。

1

変数が

2

変数になっても、とりあえずグラフを3Dで描く、

もしくは思い浮かべることはできました。しかし、

2

変数になっ

1

変数と大きく違うことの一つに、増減表が書けないと言うこ とがあります。それは変数の変化が直線的でないため、右に行く と増え、左へ行くと減ると言ったように、関数の値の増減を表に 表すことが困難だからです。そこで極大値や極小値、最大値や最 小値をどこでとるか調べるにあたって、

1

変数のとき以上に、

2

回微分の果たす役割が重要になります。

(11)

f(x, y)

(x, y) = (x0, y0)

で極大

(

)

値をとるとしましょう。

極大

(

)

値の定義は、本によって多少ぶれがあって、面倒なこと もあるのですが、この講義では、

(x0, y0)

の十分近くでは最大

(

)

値、より厳密に言うと、十分小さい

δ > 0

を選べば

f(x0, y0) f(x, y) (||(x, y) (x0, y0)|| < δ)

(

極小値のときはもちろん

)

が成り立つとき、極大

(

)

値をと

ると言うことにしておきます。

(12)

 このとき、点

(x0, y0, f(x0, y0))

を通る任意の縦の平面

(x, y, z) = (x0 + pt, y0 + qt, z) ((t, z) R2)

で切っても、断面に現れる

( t

に関する

) 1

変数関数

z = g(t) = f(x0 + pt, y0 + qt)

は、

t = 0 (

つまり

(x, y) = (x0, y0) )

で極大

(

)

値をとりますか

ら、結局、偏微分を含む全ての方向微分が

(x, y) = (x0, y0)

0

ならなければなりません。

C1

級のとき、偏微分が

0

なら方向微

分も

0

になりますから、とりあえず

fx(x0, y0) = fy(x0, y0) = 0

ならば、この条件は満たします。

(13)

 さて、

1

変数関数

y = f(x)

の場合には、

x = x0

で極値をとる

ならば、

f(x0) = 0

を満たしましたから、上の事実はちょうどそ

の部分に対応しています。そこで、実際に極値になっているのか

どうかは、

x = x0

の前後で

f(x)

の符号が変わるか否かで判定す

ることができました。ところが

2

変数ではこれは難しい。そこ

で、もう一つの判定方法、

C2

級のとき凹凸を調べると言う方法を

考えてみましょう。

(14)

 それは、

f′′(x0) < 0

ならば上に凸で極大値、

f′′(x0) > 0

ならば

下に凸で極小値 と言うものでした。これをテイラー展開を用いて 説明すると、

f(x) = f(x0) + f(x0) x + 1

2f′′(x0 + θ(x x0)) x2

= f(x0) + 1

2f′′(x0 + θ(x x0)) x2

で、ここで

f′′(x0) < 0 (>)

ならば、十分

x0

に近い任意の

x ̸= x0

に対しても、

f′′(x0 + θ(x x0)) < 0 (>)

が成り立つので、

f(x) < f(x0) (>)

も成り立ち、

x = x0

で極大

(

)

値をとると言う

ことになります。

(15)

2

変数の場合も同様に、偏微分が

0

ならば、先に計算しておい た

2

次までのテイラー展開は

1

次の項が消えるため、

f(x) = f(x0) + t2

2 (tv Hess f(x0 + θtv) v)

となり、

f(x)

f(x0)

の大小は、

2

次の項の符号だけで決まるこ とになります。ここで

t2

2 > 0 (t ̸= 0)

ですから、結局十分

0

に近

t ̸= 0

に対し、

tv Hess f(x0 + θtv) v

が、

v = (p, q) (

p2 + q2 = 1)

θ (0, 1)

に依らず、負

(

)

なら

f(x) < f(x0) (>)

より、

f(x, y)

(x, y) = (x0, y0)

で極大

(

)

値をとるとわかります。

(16)

 それでは、その正負がどうしたらわかるかと言うと、行列とベ クトルで表していることからもわかるように、二次関数の分類の 際に、線形代数からの準備として用意しておいた、実対称行列の 対角化を用いる方法が使えます。

2

次までのテイラー展開は、実は一次関数による近似

f(x0) + t (grad f(x0) · v) (今は 1 次の項は 0 )

の誤差を

2

次の剰余項

t2

2 (tv Hess f(x0 + θtv) v)

によって表したもので、二次関数による近似とは言えませんが、

その誤差の部分の符号を調べることで、大雑把に言えば、どのよ

うな二次関数に近い凹凸の状況にあるかがわかります。

(17)

 さて、

2

変数の二次関数

ax2 + 2bxy + cy2

は行列

a b b c

の固有値

λ1, λ2

を用いて、

λ1X2 + λ2Y 2

の形に書き直すことがで きるので、固有値がどちらも負

(

)

なら、原点以外では負

(

)

値をとりました。そして、固有値は固有方程式

λ2 (a + c)λ + (ac b2) = 0

の解でしたから、解と係数の関係より、

ac b2 > 0

のとき同符号

で、さらに

a + c < 0 (>)

のとき負

(

)

になりました。ところが

ここで

ac > b2 0

より

a

c

は同符号ですから、この二つ目の

条件は

a < 0 (>)

または

c < 0 (>)

に置き換えられます。

(18)

 従って、今考えている

2

変数関数の場合には、任意の単位ベク トル

v

と十分

0

に近い

t

θ (0, 1)

に対し、

x = x0 + θtv

fxxfyy fxy2 > 0, fxx < 0 (fxx > 0)

ならば極大

(

)

値となりますが、今仮定より

f

C2

級なので、

fxx, fyy, fxy

は全て連続のため、

fxxfyy fxy2

もまた連続で、

x = x0

の近くでは、それらの符号は

(

従って

Hess f

の固有値の符

号も

)

変わりません。よって、

x = x0

での符号を調べれば十分と 言うことになります。

 一方

fxxfyy fxy2 < 0

ならば、

x = x0

のいくらでも近くで、

tv Hess f v

が正負両方の

値をとってしまうので、極値にはならないことも判定できます。

(19)

 以上まとめると、

C2

級の

2

変数関数

f(x, y)

が、

fx(x0, y0) = fy(x0, y0) = 0

をみたすとき、

(1) fxx(x0, y0)fyy(x0, y0) fxy(x0, y0)2 > 0

かつ

fxx(x0, y0) < 0

らば

(x, y) = (x0, y0)

で極大値

f(x0, y0)

をとる。

(2) fxx(x0, y0)fyy(x0, y0) fxy(x0, y0)2 > 0

かつ

fxx(x0, y0) > 0

らば

(x, y) = (x0, y0)

で極小値

f(x0, y0)

をとる。

(3) fxx(x0, y0)fyy(x0, y0) fxy(x0, y0)2 < 0

ならば

(x, y) = (x0, y0)

で極値をとらない。

と判定できます。

 判定条件を二次方程式の判別式を用いて説明している本などでは、

fxy2 fxxfyy の符号で記述していることがあります。見かけ上、正負が逆にな るので、参照する際には注意して下さい。この講義では、線形代数との関わり を重視して、fxxfyy fxy2 の符号で記述しました。

 ちょっと例題を見ておきましょう。二次関数はもう分類済み

(20)

0 - x y z 6

z =ax2+cy2 (a < 0, c <0)

極大値

0 -

x y z 6

z =ax2+cy2 (a > 0, c >0) 極小値

(21)

0 - x y z 6

z =ax2+cy2 (a > 0, c <0) 極値でない

なので、

2

変数の三次関数

f(x, y) = x2y y

について考えてみま

しょう。もしこの関数がどこかで極値をとるならば、そこでは

fx(x, y) = 2xy = 0 fy(x, y) = x2 1 = 0

が成り立たなければなりません。

(22)

 第2式より

x = ±1

で、これを第1式に代入して

y = 0

を得ま

す。従って、極値を取る点の候補は

(x, y) = (±1, 0)

です。ここで

fxx = 2y, fxy = 2x, fyy = 0

より、

fxx(±1, 0) = 0, fxy(±1, 0) = ±2, fyy(±1, 0) = 0

ですから、

fxx(±1, 0)fyy(±1, 0) fxy(±1, 0)2 = 4 < 0

より、極値はとらないことがわかります。

[

練習課題

]

f(x, y) = x2y y + 1

3y3

ではどうでしょうか?

(23)

 上の判定条件

(1),(2),(3)

の内、どの条件も満たさないときは、

さらに高次の微分に関する情報が無ければ、一般には判定できま せん。

 たとえば二次関数の場合、原点で偏微分が消えていてヘッセ行 列の固有値の一つが

0

ならば、対角化する座標変換により、結局

f(x, y) = ax2(+0y2) (a ̸= 0)

の場合に帰着しましたが、この場合

fxx(0, 0)fyy(0, 0) fxy(0, 0)2 = 2a · 0 02 = 0

となり、上の判定条件は適用できないものの、

a < 0

のとき、

f(x, y) f(0, 0) ((x, y) ̸= (0, 0)) ( a > 0

のとき

)

より、極大

(

)

値をとります。

( y (x = 0) 上では等号が成立してしまうので、本によってはこれを極値と 認めなかったり、広義の(=広い意味での)極値と言ったりします。)

(24)

0 - x y z 6

z = ax2(+0y2) (a < 0, c= 0)

(広義の)極大値

0 -

x y z 6

z = ax2(+0y2) (a > 0, c= 0) (広義の)極小値

(25)

 しかし、これが

f(x, y) = ax2 + cy3 ( a ̸= 0, c ̸= 0 )

なら、原点

での偏微分は

2

回まで全て上の例と一致するものの、

c > 0

(c < 0)

のとき、

y

軸上では狭義単調に増加

(

減少

)

するので、原点

では極値をとりません。

 一方、

f(x, y) = ax2 + cy4 ( a ̸= 0, c ̸= 0 )

なら、やはり原点で

の偏微分は

2

回まで全て上の例と一致しかつ、

a < 0

かつ

c < 0

のとき、

f(x, y) < f(0, 0) ((x, y) ̸= (0, 0))

( a > 0

かつ

c > 0

のとき

> )

より、原点で極大

(

)

値をとりま

すが、

a < 0

かつ

c > 0

のときは、

x

軸上で上に凸、

y

軸上で下に

( a > 0

かつ

c < 0

のときは上下が逆

)

より、原点で極値はとり

ません。

(26)

 このように、ヘッセ行列

Hess f(x0)

の固有値の中に

0

がある、

つまり

2

回微分が消えている方向があるとき、高次の項の符号 が、極値になるならないに影響して来るわけです。特に

x2y, xy2, x3y, x2y2, xy3

などの項が、一般には

2

次の場合の

xy

のように整理できるとは 限らず、判定にはより困難が伴います。

 ここでは

2

変数関数について説明して来ましたが、上の判定条 件は、

n

変数関数でも同様に成り立ちます。ただし、実

n

次対称

行列の固有値の符号の判定条件を書き下すために、

Hess f(x0)

小行列式が用いられ、条件式の本数は

n

に応じて増えます。この

講義ノートでは省略しますが、参考書等で確認しておいて下さい。

(27)

第7回練習課題の解答

(r, θ)

(x, y) =

x

x2 + y2

y

x2 + y2

y x2 + y2

x x2 + y2

=

cos θ sin θ

sin θ r

cosθ r

= 1 r

r cosθ r sinθ

sinθ cosθ

=

cosθ −r sinθ sinθ r cosθ

1

=

(x, y)

(r, θ)

1

参照

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