解析 I ・講義ノート
第3回
(2020年6月2日(火)配信分)
第3回本題
関数
f(x)が
x → aのとき極限値
αに収束すると言うとき、
xは
x ̸= aを満たしつつ、限りなく
aに近付くことを考えていて、
x = a
で
f(x)がどのような値をとるかは、全く考慮されず、それ どころか、
x = aで
f(x)は定義されている必要さえありませんで した。
以下では、まず
f(x)が
x = aでも、とりあえず定義はされて
いる状況を考えてみましょう。
よく整備された、なだらかな道を歩いていて、その途中に穴
(落
し穴とか、倒木を抜いた跡とか、蓋の空いたマンホールとか…
)が開いていても、その穴が小さすぎて、ぎりぎりまで気付けない ような場合を思い浮かべてみて下さい。ちょっとでも離れた所か らは、そこでも道がちゃんと続いているように見えているわけで、
その見かけのその地点での地面の高さが、極限値です。
でも、実際にはそこだけ、地面は低くなっているわけです。こ の場合、地面の高さを表す関数のグラフはつながっていません。
0
x- 6
y
◦
・
a
y =f(x) α
f(a)
この道が、離れた所から見えているままに、見かけ通り穴も無 い状態ならば、地面の高さを表す関数のグラフはちゃんとつなが ります。
このように、関数
f(x)が
x = aで連続 であるとは、
xlim→a f(x) = f(a)
が成り立っていること
(つまり周囲からどう見え ているかと、実際にどうかが一致していること)を言います
(教科
書
23頁参照
)。
0 -
x 6
y
・
a
y =f(x) f(a) = α
それでは、
f(x)が
x = aでは定義はされていない場合はどうで しょうか?
ただし、
x = a以外の
x = aの近くではちゃんと定義されてい て、極限値
limx→a f(x) = α
が存在するものとします。
0
x- 6
y
◦
a
y =f(x) α
そのときは、関数の値が定義されていなかった
x = aで、その
極限値
αを値とする関数を、新たに
ff(x) :=
f(x) (x ̸= a) α (x = a)
により定義すれば、この
ff(x)については、
xlim→a
ff(x) = limx→a f(x) = α = ff(a)
が成り立つので、
x = aで連続と言うことになります。
0 - x 6
y
・
a
y =fe(x) fe(a) := α
定義域を拡げて定義したので、fe(x) と f(x) は、あくまで違う関数と言うこ とで、別の記号(文字)で表記していますが、このような自然な拡張のときは、
そのまま同じ記号(文字)で表すことも少なくありません。
たとえば、関数
sin xx
は、
x = 0では定義されていませんでした が、
x → 0のときの極限値については
xlim→0
sin x
x = 1
が成り立ちましたから、
g(x) :=
sin x
x (x ̸= 0)
1 (x = 0)
と定義すれば、関数
g(x)は
x = 0で連続になります。
0 - x 6
y
y = g(x)
−π
−2π π 2π
1
・
y = 1x y =−1x
y = −x1 y = x1
また、前回も登場した関数
xsin 1x
も、
x = 0では定義されてい
ませんでしたが、
x → 0のときの極限値については
xlim→0 x sin 1
x = 0
が成り立ちましたから、
g(x) :=
x sin 1
x (x ̸= 0)
0 (x = 0)
と定義すれば、関数
g(x)は
x = 0で連続になります。
0
x- 6
y
y = g(x)
@@
@@
@@
@@
@@
@@
y = |x| y = |x|
y =−|x| y = −|x|
・
一方、関数
sin 1x
は、
x → 0のときの極限値が存在しませんで したから、
x = 0での値をどのように定義しても、
x = 0で連続
な関数に拡張することはできません。
f(x)
が定義域の各点で連続のとき、連続関数であると言いま す
(教科書
23頁参照
)。直観的には、グラフがちゃんとつながって いると言うことです。基本的な初等関数は皆、連続関数です。連 続関数に関する基本的な性質は、教科書でしっかり復習しておい て下さい。
有理関数 1
x や三角関数の内 tanx などは、グラフがつながっていないので は?と思われるかもしれませんが、これらの関数は、グラフが途切れている所 ( x = 0 やx = n
2π(n は奇数)) では、そもそも定義されていませんから、「定義 域の各点で連続」と言う条件は、ちゃんと満たしています。
その意味では、x sin 1
x もsin 1
x も連続関数であると言えます( x = 0 は定義 域の外)。このような曖昧さを避けたいときには、連続である範囲を明言して、
x ̸= 0 で連続な関数とか、(−∞, 0) ∪ (0, +∞) 上の連続関数のように言えばよ いでしょう。
連続関数に関する重要な定理に中間値の定理があります。その 主張は、
閉区間
[a, b]で連続な関数
f(x)は、両端での異なる値
f(a) = αと
f(b) = βをとるものとします。このとき、
α < β
ならば
α < γ < β,β < α
ならば
β < γ < αを満たす任意の実数
γに対し、
f(c) = γを満たすような
cが、開
区間
(a, b)内に、少なくとも一つは存在する
と言うものでした。
これは、阪和線で関西空港から天王寺に向かう電車は、全て一 度は杉本町を含め途中の各駅を、少なくとも一度は通過または停 車すると言うことと同じで、当たり前のことに思えますが、実は、
阪和線のレールが一本につながっていて
(値域が閉区間
)、電車が
タイムスリップ
(定義域がつながっていない
)もワープ
(関数が連
続でない
)もしない、と言う大前提の下で言えることなわけです。
関空 -
時刻 天王寺 6
杉本町
!
中間値の定理の応用の代表例の一つとして、
実係数の3次方程式
a3x3 + a2x2 + a1x + a0 = 0 (a3 ̸= 0)は、少
なくとも
1個の実数解を持つ
と言う事実の証明があります。
今、
f(x) = a3x3 + a2x2 + a1x + a0とおけば、
x ̸= 0では
f(x) = a3x3
1 + a2
a3 × 1
x + a1
a3 × 1
x2 + a0
a3 × 1 x3
ですから、
a3 > 0
の場合、
x→−∞lim f(x) = −∞, lim
x→+∞ f(x) = +∞
が、
a3 < 0の場合、
x→−∞lim f(x) = +∞, lim
x→+∞ f(x) = −∞
が成り立ちます。
以下、
a3 > 0として、話を進めます。
このとき、
limx→−∞ f(x) = −∞
から十分小さい
(負で絶対値が大
きい
) xに対しては
f(x) < 0が、
limx→+∞ f(x) = +∞
から十分大き
い
xに対しては
f(x) > 0が、それぞれ成り立っていることにな
ります。
そこで、それぞれの
xたちから一つずつ選んで
x1(< 0) (十分
小さいので、負の数から選べます
)、
x2(> 0) (十分大きいので、
正の数から選べます
)とすれば、
f(x1) < 0, f(x2) > 0です。
0 -x
6y y =f(x)
x1
−∞←
↓−
−∞
x2 →+∞ +
↑ +∞
ここでx1 < 0, x2 > 0 と選んだのは、x1 < x2 を保証するためで、この大小 関係さえ成り立っていれば、x1, x2 の符号は、この場合、実は正負どちらでも 構いません。一方、f(x1) と f(x2) の符号の違いは本質的で、外せません。
今、関数
f(x)は
R全体で連続ですから、特に閉区間
[x1, x2]でももちろん連続です。よって中間値の定理が適用できて、この 閉区間の両端での値
f(x1)(< 0)と
f(x2)(> 0)の中間にある任意
の実数を
x1と
x2の間の少なくとも1箇所で、
fの値としてとり
ます。
従って、特に正負の境目である
0と言う値もどこかで取る
(言い
換えると、3次関数
y = f(x)のグラフが
x軸を横切る
)、ことも
言えます。そのときの
x (の一つ
)を
cとすれば、
f(c) = 0が成り
立つ、つまり3次方程式
f(x) = 0は
x = cを実数解として持つと
言う結論が得られます。
0 -x 6y y =f(x)
x1
− x2 +
cW