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博 士 ( 経 済 学 ) 本 間 雅 美 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 経 済 学 ) 本 間 雅 美

学 位 論 文 題 名

世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ウ ッ ズ 体 制

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  本論文 は,世銀の成立と 戦後ブレトン・ウ ッズ体制確立の関連 を解明しようとし た研究である。

と はい え ,筆 者の 関 心は 世銀 成 立の史的変遷だけに 向けられているの ではなく,いわゆ るブレト ン ・ウ ッ ズ体 制を 支 えて いる 世 銀の基本的メカニズ ムを究明する手掛 かりをひき出すこ とにあっ た 。と い うの は,1971年 の金 ・ ドル交換停止により 崩壊し,これ以降 の二度の石油危機 により新 た な再 編 成を 迫ら れ てき てい る からである。ここに ,いわゆるブレ卜 ン・ウッズ体制の 性格規定 に 新し い 理論 的指 針 を与 える 意 味がある。全体は, 世銀成立の方法論 を論じる序章,本 文をなす 5章(第1〜5章) の部分から成り立っ ている。

  序章 は ,世 銀の 成 立と ブレ ト ン・ウッズ体制の原 点との関連で戦後 再編構想原理の「 修正」問 題 の性 格 規定 を論 ず る。 ここ で は,戦後再編構想原 理は「自由・無差 別・多角主義」と 拡張主義 的な「国 際協力」から構成 され,両原理が調 和的に両立しうるか 否かは、「国際協 力」の内容と程 度 に大 き く依 存す る こと にな っ たこと,したがって 戦後再編実践は「 国際協力」の程度 と範囲を め ぐる 英 米両 国の 「 対立 」とr協調 」 がい かな る 形に 落ち着くかに規 定されることにな ったとの 基 本認 識 の下 に, 世 銀の 機能 縮 小は「国際協力」か ら「拡張主義圧力 」の縮小をもたら し,っい に は戦 後 再編 構想 原 理の 再編 実 践における適応方式 の「修正」をもた し,「第三の道」 を採用さ せるに至 ったことなどにっ いての問題提起を 行っている。

  第1章 は, い わゆ るブ レ トン ・ウ ッ ズ体 制の 成 立史 に新たな研究の 光を与えるために ,世界銀 行 の 起 源に まで 遡 って その 今 日的 意義 と 限界 を検 討 する 。ま ず ,世 銀はIMFの 「 付属 物」 で は ナよく, 世界経済に「拡張 主義圧力」を加え る「世界中央銀行」として構想された点で,英米の「国 際 協 力 」の 焦点 の ーっ であ り 続け たこ と を, 本邦 で はじ めて オ リジ ナルWhite Perpersを 駆 使 し て 明 らか にす る 。そ して , ホワ イト 案 とケ イン ズ 案の 検討 を 通じ て, 英 米交 渉に お いてIMF の 討 議 の 方 に 優 先 順 位 が 付 けら れ ,IBRDが 後 回し にさ れ たと いう , いわ ゆる 世 銀一 時棚 上 げ 問題をは じめて歴史的文脈 の中で検証した。

  第2章 は, ホ ワイ トの オ リジ ナル 世 銀構 想が ケ イン ズとの英米交渉 の中で,「世界中 央銀行」

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か ら「国 際投 資保証 基金」 に転変 せざ るをえ なかっ た経緯 を世銀 草案 の書き換えという視点から 詳 細に跡 づけ ,ブレ トン・ ウッズ の「 国際協 力」の 意義と 限界を 明ら かにした。そして,世銀の

「 国際復 興開 発銀行 」から 「保証 基金 」への 後退が 戦後再 編構想 原理 の適用方式の「修正」をも た らした 一因 である ことを 論証し た。

  第3章 は, ブレト ン・ウ ッズ協 定の批 准を 過渡期 の「国際協力」とブレトン・ウッズ協定の「修 正 」とい う基 本方向 から詳 細に検 討し ,過渡 期の国 際経済 関係に おけ るブレトン・ウッズの「国 際 協力」 の限 界が再 編実践 の「修 正」 を現実 にもた らし, 「中間 の道 」を採らせたということ,

し たがっ てま た,こ の「第 三の道 」のブレトン・ウ、ッズ協定への導入がいわゆるブレトン・ウッ ズ 協定の 「修 正」問 題にほ かなら ない という 問題提 起を行 ってい る。 そして,ここでは戦後の世 界 経 済の再 編実践 がブレ トン ・ウッ ズ協定 にみら れる 「多角 主義jと英 米金融 協定や マーシ ャル

・ 一プラ ンに 代表さ れる「 双務主 義」というニっのアプ口一チの「混合」.「併存」方式を採用せ ざ るをえ なか った一 因は, 世銀の 「国 際投資 保証基 金」へ の後退 にあ ったことを,世銀成立の歴 史 的限界 とい う視点 から考 察して いる 。

  第4章は ,戦後 世界経 済の 再編実 践の起 点とい われる 英米 金融協 定の批 准問題 を「 冷戦」 の起 源 との関 連に おいて 検討す る。英 米金 融協定 が欧州 の「双 務主義 」を 英米の「双務主義」で防ぐ と 同時に ,「 英ソ同 盟」を 封じ込 める という ,いわ ゆるジョージ.F.ケナンの「反共封じ込め」

論 により 正当 化され るほか なかっ た点 を,金 融協定 がなぜ ,いか にし て「反共主義」で総括され ざ るをえ なか ったの かとい う歴史 的文 脈のな かでは じめて 解明し た。

  第5章 は, 世銀の 設立を アメリ カの対 外借 款政策 のなかで位置づけ,ブレトン、.ウッズ体制確 立 の原点 をさ ぐる。 そして ,サバ ンナ 会議に おいて 設立さ れた世 銀は ,戦後過渡期の双務的展開 や 「冷戦 」の 進行に より事 実上「 アメ リカの 機関」 に転化 する以 外に は誕生しえなかったとこを 実 証する とと もに, 併せて これを 過渡 期の「 国際協 力」と いう視 覚か ら英米金融協定がブレトン

・ ウッズ 協定 の批准 問題と 並んで 登場 するに 至った 点と関 連づけ て検 討している。これ以後の戦 後 再編実 践が 「双務 主義」 の流れ を汲 むマー シャル ・プラ ンによ りさ らなる「転換」を迫られ,

い わ ゆ る パ ック ス ・ ア メリ カーナ 体制 として 確立さ れざる をえ なかっ た論理 的必然 性を世 銀の

「 戦略的 貸出 拒否」 政策と いう文 脈の 中で論 じた。

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学位論文審査の要旨

  今日の 途上国 の累積 債務 問題, ロシア 東欧改 革を契 機と する世 界への 開発援助問題の再浮上な ど によ って世 界銀行 は再び 脚光を 浴び ており ,世銀 の歴史 的理 論的研 究の意義が大きくなってい る 。

  従 来 世 銀はIMFの付 属 物 と み な され , や や もす るとそ の研究 はお ざなり にされ てきた 感が あ り , 本 研 究 は そ う し た 大 き な 研 究 上 の 空 隙 を 埋 め よ う と す る も の で あ る 。   た し か に既 に 世 銀(IBRD)の研 究 と し て は,R. M.オ リ バ ー の大 著International Economic Cooperation and the World Bank,London,1975( 「国際 経済 協カと 世界銀 行」) のよう なよ く 知ら れてい る研究 もある 。

  本間氏 は,こ うした オリ バーの 研究の 成果を 吸収し っつ ,特に 今まで 十分利用されていなかっ た ホ ワ イ ト の遺 稿 集 ,White Papersのごと き原資 料を丹 念に 読み込 んだ上 ,いく っかの 面で 従 来 の研 究にな かった 点を解 明する こと に成功 した。

  ま ず , オリ バ ー を 初 めと し た 世 銀 及びIMFの設 立の関 連にお ける 従来の 通説の 難点を 明ら か に し , 世 銀 構想 の 当 初 か ら 現実 の 設 立 に 至る 真 相を解 明した 。すな わち ,通説 ではIMFに対 す る 反対 を押し 切り, その成 立をと もか く成功 させる ために 世銀 構想が いわばいけにえのような役 割 を 果 た さ せら れ た , い い かえ れ ば 世 銀 構想 を 後景に 押しや ること によ ってIMFの成 立が果 た さ れた とされ ていた が,現 実の経 緯で は,実 は世銀 問題は 終始 重要な 議題であり続けたこと,た だ いわ ゆる拡 張主義 的「国 際協力 」の 立場に 立っケ インズ の「 清算同 盟案」とアメリカ国務省の

「 自由 ・無差 別・多 角主義 」にた つ戦 後再編 構想原 理の対 立, それを 反映したアメリカ政府内部

( 国務 省の「 ハルの 原理」 と財務 省の「ホワ.イト案」)の対立といった複雑な対立・葛藤が背後 に あっ たため に,世 銀をめ ぐる議 論が 一時棚 上げさ れたり ,ま た世銀 構想が当初の案から後退し て い く こ と に な ら ざ る を え な か っ た と い っ た , こ と の 真 の 背 景 が 解 明 さ れ た 。   第 二 に ,IBRDが「 世 界 中 央 銀行 」 構 想 か ら 「国 際 投 資 保 証基 金 」 に変身 を余儀 なく されて

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児 生

行 雄

虔 隆

康 昭

森 木

田 坂

   

   

富 佐

濱 石

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いった 過程が かっ てない ほどに 綿密に 検証さ れた 。この 点は「 本書の 圧巻 部分で あり,ともすれ ば, こ れ ま で 「 国際 通 貨 基 金 」を め ぐ る 論 議に 埋 没 し が ちで あ っ た ブ レ トン ・ウ ッズ体 制の IBRDの地 位に光 りを当 てたも のと して, 関心を 呼ばず には おかな い」( 小野朝 男和歌山大学長,

世界経 済評論92年8月号 )との 賛辞も 受けて いる 点であ る。

  第三に ,従 来ブレ トン・ ウッズ 体制 の研究 ではや や軽視 されが ちで あった 米英金 融協定成立の 経緯が 取り上 げら れ,こ れが従 来いわ れてい たよ うに単 純に「 反共イ デオ 口ギー 」によって生み 出され たもの でな く,ブ レトン ・ウッ ズ協定をめ.ぐる複雑な経過全体の有機的関連のなかで生ま れたも のであ るこ と,「 反共イ デオ口 ギ―」 は, 主とし てその 時に出 てき た様々 の反対意見を説 得 す る た め の レ ト リ ッ ク と し て 使 わ れ た も の で あ る こ と が 明 ら か に さ れ た 。   こうし た, 諸点に わたる 本間氏 の, オリジナルな解明を支えるべき全体のポイントとなるのは,

今亠っ の同氏 のオ リジナ ルな貢 献とい うべき は, ブレ卜 ン・ウ ッズの 原点 はブレ 卜ン・ウッズ協 定の修 正問題 にあ るとす る,同 氏自身 によっ て詳 細に検 証され ている 同協 定修正 のプロセスの解 明と,それによって明らかとなる,「多角主義」と「双務主義」,ナょいしは「ユニバ―サル・アプ ローチ 」と「 キー カレン シー・ アプ口 ーチ」 の混 在・併 存とも いうべ き, ブレト ン・ウッズ体制 の本質 の解明 とい う点で あろう 。

  以上の よう な諸点 にわた る同氏 のオ リジナ ルな解 明点に 照らし て, 本書は 国際的 に見ても,オ リバー 以来の 貢献 ともい うこと ができ ,十分 に博 士学位 論文と しての 条件 を満た していると判断 できる 。また ,す でに同 氏は, 本書の 続編と なる べき世 銀グル ープの その 後の展 開に関する研究 をほ と ん ど その7割ほ ど仕上 げてお り,こ の著 書が一 層の研 究の進 展の 石礎と なって いるこ とも 確認さ れる。

  だが, それ にもか かわら ず若干 の注 文点が ないわ けでは ない。 特に ,「多 角主義 」と「双務主 義」と いった 概念 が,時 に異な る次元 で二重 の意 味で用 いられ るなど ,随 所にキ ー・カテゴリー の未整理が見られるナょど,用語上の混乱が散見される。また,全体にクオーテ―ションが多すぎ,

これは 概念を かえ ってあ いまい にし, 読者に 負担 をかけ るとの 指摘が なさ れた。 また,本書の全 体がい わば政 策史 を軸と して書 かれて おり, その 結果, 政策の 背後に ある 経済関 係とその動きの 叙述に やや弱 さが 見られ ること も否め なかっ た。

  これら にっ いては ,上に ふれた 本書 の続編 となる べき, 同氏の 世銀 グルー プの展 開過程にっい て の 研 究 に お い て 是 非 改 善 さ せ る こ と を 特 に 期 待 し て お き た い 次 第 で あ る 。

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