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博 士 ( 工 学 ) 堀 田 大 介 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 工 学 ) 堀 田 大 介

学 位 論 文 題 名

破 砕 性 粒 状 体 の 主 応 力 回転 下 に お ける カ 学 挙 動 と そ の 評 価 法 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容の 要 旨

  これ まで地 盤を構成 する粒 子の破 砕現象 は,しらすやまさ土などの特殊土における限定的な問題とし て捉え られて きた。 しかし ,構造 物の大 型化,大深度化に伴う地中応カの増大や,交通荷重の重量化な どによって,もはや粒子破砕はあらゆる粒状体に生じうる一般的な問題と見なされるようになってきている。

例えば ,フア ルダム におけ るロッ ク材は 粗大粒 子で構 成されて おり, ダム底部では数MPa以上の高圧が 作用するため破砕が誘発されている。また,鉄道軌道を構成するバラストでは列車走行による繰返し荷重 によっ て粒子 の稜角 性が失 われ, 沈下の 増大や剛性の低下が生じるとされている。さらに,火山灰地盤 や石灰 質系の 砂地盤 におい ては杭 周面に おける 粒子破 砕のため に体積 収縮が 起こり ,杭の 周面摩擦カ が低下 すると いう報 告があ る。一 方,粒 子破砕に関する研究は従来主に三軸試験や,締固め試験などの 試験前後における試料の粒度分布の変化を調べることで行われてきた。しかし,こうしたカ学試験が抱え る問題 と同様 に,粒 子破砕 につい てもこ れらの試験が必ずしも原位置における応力状態,変形状態に対 応しているとは言えないという指摘がある。

  この ような 背景から ,鉱物 組成別 の単粒 子破砕特性に着目することによって集合体のカ学挙動に結び 付けよ うとす る試み や,せ ん断帯 部分と それ以外の部分における粒子破砕の違いに着目した研究,大ひ ずみ領 域まで 変形を 与えう る試験 機を用 いて,粒子破砕の収束を見極めようとする研究がいくっか行わ れてき た。こ れらの 試みは ,一定 の成果 を挙げてはいるものの,試験結果は用いた試料や試験方法に依 存するところが大きく,普遍的な粒子破砕法則を導くには至っていない。このことはあらゆる条件に適合す るような試験法や推定法,または法則を導くのではなく,現実に粒子破砕が起こっているような実現象を 模擬したり,粒子破砕が起こりうるであろう条件を設定するなどの手法で,多様な議論を喚起する必要性 を示していると指摘される。

  ま た , 異 方性 粒 状 地 盤に お け る 主応 力 軸方向 の違い がカ学 挙動に 及ばす 影響や ,主応力 軸回転 が ダイレ イタン シー特 性に及 ばす影 響につ いて調べた研究は多岐にわたっているものの,主応力軸方向の 違いや 主応力 軸回転 が粒子 破砕に 及ぼす 影響に ついて 調べた研 究は少 なぃ。 さらに は,粒 子破砕の抑 止を目的とした研究もその事例が見当たらなぃのが現状である。

  こう した背 景から, 本研究 では主 応力軸 方向の 違いや 主応力 軸回転 が粒子破 砕特性 に及ばす影響に ついて論じている。また,粒子破砕に及ばす物理的,力学的要因についても考察を加えている。さらに,

限られ た範囲 内では あるが ,単調 載荷過 程およ び繰返 し載荷過 程にお ける粒 子破砕 特性を 明らかにし たうえで,これらの応力場における粒子破砕評価法を提案している。

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  さらに,一連の単調載 荷試験結果から得られた粒 子破砕特性を考察し,過圧密 履歴を与えることで繰 返し載荷過程における粒 子破砕の進展を抑止する方 法を提案した。

  本研究は全6章から構 成され,各章の概要は以下の 通りである。

  第1章 では ,粒 子破 砕 に関 する 既往 の研 究 をレ ビュ ーした 。粒子破砕に及ばす影響因 子を体系的に 分類し,それぞれについ て既往の知見をまとめている。そして,これまでの研究における問題点を明らか にしたうえで,本研究の 方向性およぴ目的を明示し ている。

  第2章 では,土質試験に用いら れる様カな試験機を紹介し, 本研究で用いた中空ねじり せん断試験機 の特徴や優位性について 述べた。

  第3章 では ,本 研究 で 破砕 性粒 状体 とし て 用い た北 海道粗 粒火山灰土の生成および堆 積過程につい て概説し,試料のサンプ リングから物理試験結果までを詳細に記述している。また,本研究で行った各試 験方法について説明する とともに,本研究における 粒子破砕評価指標として細粒 分増加量を定義した。

  第4章 では ,単 調載 荷 過程 にお ける 粒状 体 のカ 学特 性およ び粒子破砕特性について明 らかにしてい る。 例え ば, 物 理的 ,力 学的 要 因がカ学特性に及ばす影響に ついては,せん断応カの発 現に及ばす影 響は 殆ど 見られなかったものの, 土圧係数Kが軸ひずみ発生挙 動に及ばす影響は顕著であ った。また,

試料 の乾 湿が 粒 子破 砕特 性に 影 響を及ぼすことが確かめられ ている。次に,強度特性に ついてその特 徴を 詳細 に考 察 した とこ ろ, 通 常の粗粒材料以上に強いせん 断抵抗角の最小有効主応力 依存性が確認 され,ここに粒子破砕性 の影響が認められるとしている。さらに,圧密および単調載荷過程で生じる細粒 分増加量が,有効応力比 および主応力軸方向によっ て表現されることを示し,こ れを圧密およぴ単調載 荷過程における粒子破砕 評価法として提案している 。

  第5章 では ,繰 返し 載 荷過 程に おけ る粒 状 体の カ学 特性お よび粒子破砕特性について 明らかにして いる 。具 体的 に はせ ん断 応力 比 ,K値 ,平 均 有効 主応 力,過 圧密比,繰返し載荷回数, 主応力軸回転 角の 影響 につ い て調 べて いる 。 例えば,力学特性については せん断応力比および平均有 効主応カが同 じで ある 場合 , 等方 圧密 供試 体 では発揮されるせん断ひずみ 振幅が大きいものの,体積 ひずみ発生挙 動は小さく,異方圧密供 試体ではそれぞれ全く逆の挙動が得られるとの事実を明らかにしている。また,

粒子破砕特性については ,せん断応力比が高くなるほど,または過圧密比が小さくなるほど発揮されるせ ん断 ひず み振 幅 およ ぴ体 積ひ ず みが大きく,生じる細粒分増 加量も多くなることが明ら かとなった。

  続 いて ,繰 返 し載 荷試 験の 応 カとひずみの時刻歴によって 与えられるせん断弾性係数 ,塑性仕事量 を算 出し ,種 々 の要 因が 供試 体 剛性の変化ならびに粒子破砕 に費やされるエネルギーの 変化に及ばす 影響について考察してい る。ここでは,せん断応力 比の高い領域では繰返し載荷 回数の増大とともに供 試体剛性が回復し,塑性 仕事量が減少する傾向を示すことを明らかにしている。こうした傾向は異方圧密 供試体において顕著であ ったことから,連続的主応力軸回転の影響に起因するとしている。さらに,過圧 密供 試体 では 正 規圧 密供 試体 に 比べて,せん断応力比が大き な領域においてもせん断弾 性係数,塑性 仕事 量の 変化 が 安定 する こと を 示すとともに,先行圧密過程 における粒子破砕が初期供 試体剛性の増 加に貢献し,なおかつ, 繰返しせん断過程における 粒子破砕を抑止するとしてい る。最後に,累積塑性 仕事量と細粒分増加量, 体積ひずみ挙動をせん断応 力比,繰返し載荷回数,過圧 密比毎に比較検討し,

それぞれのパラメータが 密接な対応関係にあることを明らかにしたうえで,累積塑性仕事量に基づく繰返 し載荷過程の粒子破砕評 価法を新たに提案している 。

  第 6章 で は , 各 章 で 得 ら れ た 知 見 を 総 括 し , 今 後 の 展 望 と 課 題 を 述 べ て い る 。

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学位論文審査 の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

三浦 三田地 藤井 石川

学 位 論 文 題 名

清一 利之 義明 達也

破砕性粒状体の主 応力回転下における カ学 挙動とそ の評価法に関する研究

  

地 盤を構 成する土 粒子の破 砕は, 構造物の 大型化 や基礎の大深度化に伴う地中応カの増 加 ,さらに は交通 荷重等の 増大に よって, 各種の 基礎地盤 や土構造物において誘発される 重 要な工学 的問題 となって きてい る。例え ぱ,フ ィルダム のロック材等は粗大粒子で構成 さ れている が,底 部では高 拘束圧 が作用す るため 顕著な破 砕がもたらされている。また,

鉄 道軌道を 構成す るバラス トでは ,列車走 行によ る多数回 の繰返し荷重によって粒子の稜 角 性が失わ れ,沈 下の増大 や剛性 の低下が 生じる とされて いる。さらに,火山灰地盤や石 灰 質系の砂 地盤に おいては ,杭等 の深い基 礎周面 における 粒子破砕のために体積収縮が惹 起 され,杭 体の支 持カを構 成する 周面摩擦 カが低 下する。 特に,しらす,軽石,スコリア な どの火山 灰土は ,普通レ ベルの 荷重下で も粒子 破砕が生 じる破砕性土である。このよう な 破砕性火 山灰土 では低い 応力域 において も構成 粒子の破 砕が生じやすく,粒子自体の硬 度 が高い砂 のよう な非破砕 性粒状 体のカ学 特性と はかけ離 れた特異な挙動を示すことが今 ま での研究 により 明らかに されて いる。

  

し たがっ て,破砕 性粒状体 からな る地盤の カ学挙 動の評価では粒子破砕の影響を考慮す る ことが必 須とな る。いま までに 行われて きた粒 子破砕に 関する室内試験研究は,主に三 軸 圧縮試験 や締固 め試験な どに基 づいてい た。し かしこう したカ学試験は,厳密な意味で は 原位置に おける 応力状態 や変形 状態に対 応して いないこ とから,実地盤における粒子破 砕 の特性を 把握す る手段と しては 不適切で あり, したがっ て結果を実設計や施工にそのま ま 適用する ことは できない 。

  

こ のよう な背景か ら,本研 究では 異方的な 堆積構 造にある実地盤で起こる 相異なる三 主 応カのも とで主 応力軸方 向が回 転する という 一般的な 応力条件を再現できる中空ねじ り せん断試 験機を 用いて, せん断 による普 遍的な 粒子破砕 法則を見出すことを目指した。

こ のために 必要と なる,主 応力軸 方向の違 いや主 応カの連 続的な回転が粒子破砕に及ばす

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影響を定量的に明らかにするための一連の静的・繰返しねじりせん断試験が粗粒火山灰土 を対象に行われた。さらに,種々の組み合わせ荷重下の単調載荷試験から得た粒子破砕特 性を詳細に考察し,繰返し載荷過程における粒子破砕の進展を抑止する方法を検討した。

   本論文は6 章から構成されるが,研究の成果を章毎に要約すると以下のようである。

   第 1 章では研究の背景ならびに既往の研究とその問題点を示し,本研究の目的を明確に 述べている。

   第 2 章では,土質試験に用いられる代表的な試験装置を紹介するとともに,本室内試験 で用いた中空ねじりせん断試験機の特徴やカ学的優位性について述べた。さらに,本研究 の目的 を達成す るために 行った装置の改良や自動化・高度化等の説明を加えている。

   第 3 章では,破砕性粒状体として用いた粗粒火山灰土にっいて,その生成および堆積過 程を概説し,さらに試料のサンプリング法や物理試験結果を詳細に記述している。なお,

本研究で行った各試験方法の説明に加えて,本研究における粒子破砕評価指標として用い た細粒分増加量の工学的意義とその有用性を示している。

   第 4 章では,単調載荷過程における粒状体の応カーひずみ特性と粒子破砕性との関連を 明らかにしている。ここでは構成粒子の物理的性質の違いがカ学特性に及ぼす影響に加え て,火山灰試料の乾湿が粒子破砕特性にも顕著な影響があることを示している。さらに,

強度特性についてもその特徴を詳細に考察し,通常の粒状体に比べてはるかに強いせん断 抵抗角の最小有効主応力依存性が確認されている。すなわち,粒子破砕による破壊包絡線 の拘束圧依存性である。これらの事実から,有効応力比および主応力軸方向に支配される 構成粒 子の破砕 量を一般 化し,単調 せん断過 程におけ るその評 価法を導 いている 。    第 5 章では,繰返し載荷過程におけるカ学特性および粒子破砕特性を,任意のせん断応 力比,平均有効主応力,過圧密比,繰返し載荷回数,主応力軸回転角のもとで調べている。

ここでは,特に応力一ひずみー破砕特性の定量化に適用できるいくっかの知見を獲得して いる。例えぱ,等方圧密供試体では発揮されるせん断ひずみ振幅と破砕による細粒分の変 化挙動が異方圧密供試体のそれとは明らかに異ぬること,これは任意のせん断応力比韜よ び過圧密レベルによらない傾向であること,などの注目すべき事実を明らかにしている。

さらに,繰返し載荷試験の応カとひずみの時刻歴からせん断弾性係数および塑性仕事相当 量を算出し,連続的主応カ軸回転場における正規圧密・過圧密供試体の剛性の変化ならび に粒子破砕に費やされるエネルギーにっいて検討し,塑性仕事がもたらす粒子破砕の物理 的な意味とその定量化の工学的意義を明示している。これらの考察から,累積塑性仕事量 に 基づ く 一般 応 カ 下で の 繰 返し 載 荷に お け る破 砕 評価 法 を新 たに提案 している 。    第 6 章は結論であり,各章で得られた知見を総括し,今後の展望と課題を述べている。

     これを要するに,著者は,破砕性粒状体である火山灰質土のせん断破砕則を 相異なる 三主応力下でかつ主応力軸方向が回転する という一般応力条件のもとで確立するととも に,この種の地盤における 過圧密化などの応力履歴の導入による粒子破砕抑止効果 を 定量的に把握することに成功しており,土質力学ならびに地盤工学の発展に貢献するとこ    ろ大なるものがある。よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あ    るものと認める。

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参照

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