氏 名 和田里 章悟 授 与 し た 学 位 博 士 専攻分野の名称 学 学 位 授 与 番 号
医
博 甲第 6581 号 学位授与の日付 2022年3月25日
学位授与の要件 医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻
(学位規則第4条第1項該当)
学 位 論 文 題 目
論 文 審 査 委 員 教授 松下 治 教授 和田 淳 教授 草野展周
学位論文内容の要旨
【緒言】
細菌バイオフィルムは尿路留置カテーテルの内腔が閉塞する原因となる。本研究では、
Diamond-like carbon(DLC)を尿路カテーテルへ応用し、尿中におけるバイオフィルム抑制 効果を評価した。
【方法】
内/外径が 2/3mmのシリコンチューブの内腔に DLCを成膜した。GFP 産生緑膿菌株を混
和した人工尿をチューブ内腔に満たし、2時間クランプすることで表面に緑膿菌を付着させ た。その後、無菌人工尿の持続還流下でバイオフィルムを形成させた。2時間で付着した緑 膿菌のcolony forming unitカウントと電子顕微鏡像、および14日目までのバイオフィル ムを、非コーティングシリコンチューブを対照群として比較した。
【結果】
緑膿菌の付着数と、実験14 日目までのバイオフィルムは、DLC チューブで有意に少ない 結果であった。また、DLCチューブの内腔に付着した緑膿菌は集族せず、colonyを形成し ていない事が観察された。
【結論】
DLCは細菌バイオフィルムを抑制する可能性がある。
論文審査結果の要旨
カテーテル留置に伴う複雑性尿路感染症では、カテーテル内腔面へのバイオフィルム形成 による閉塞が問題になる。
本研究の目的は、尿路カテーテル内腔面へのDiamond-like carbon (DLC)コーティングの 応用である。緑膿菌を混和した人工尿を内腔に満たして菌を付着させ、菌数測定と電子顕微 鏡像観察により評価した。DLC加工チューブでは付着菌数は少なく、マイクロコロニーを 形成しなかった。無菌人工尿を持続還流してバイオフィルムを形成させ、その性状を対照群 と比較した。DLC加工チューブでは、実験14日目までのバイオフィルム形成が有意に少な かった。DLC加工は、カテーテル内腔のバイオフィルム形成を抑制すると考えられる。
委員からは、カテーテル感染の起因菌、使用した菌種の妥当性、接種菌数、統計手法、接 着のメカニズム、コーティングの抗菌活性の有無、接着と集族を阻害するのは表面の平滑性 か無荷電の何れか、線毛産生の変化などについて質問があり、本研究者は具体に言及しつつ 自らの考察を適切に述べた。
本研究は、表面加工技術を現場が必要とする医療材料のニーズに合わせて応用し、その効 果について基礎的検討を整然と行うことで、DLCコーティングが緑膿菌の接着、集族、バイ オフィルム形成を抑制する旨の重要な知見を得たものとして価値ある業績と認める。
よって、本研究者は博士(医学)の学位を得る資格があると認める。
Intraluminal diamond-like carbon coating with anti-adhesion and anti-biofilm effects for uropathogens: A novel technology applicable to urinary catheters
(細径管腔内Diamond-like carbon coating の尿路病原性細菌に対する 抗付着性、抗バイオフィルム性の評価)