出産 予 定 に関す る認 識(第1報)
― 産 後 に お け る 経 時 的 変 化 と 認 識 形 成 の 影 響 要 因 ―
○松 岡知 子1)我 部 山 キ ヨ子2)宮 中 文 子3)池 田 浩 子2)菅 沼美 奈 子2)堀 内 寛 子1) 伊 藤三 紀 子4)脇 田満 里 子5)入 澤 み ち 子6)多 田 秀子7)山 下 浩 子7) 1)京都府立 医科 大学 附属看護専 門学校助産学科2)京 都大学 医療技術短期大学部 3)京都府立 医科大学 医療技術短期大学部4)京 都府立医科大 学附属病 院 5)藍野学院短期 大学6)高 槻赤十字病院7)国 立京都病院附属看護助産学校 1.は じめ に 近 年 、 出 生率 の低 下 が社 会 的 問 題 と して 注 目さ れ て い る。 出 生 率低 下 の背 景 に 関 して は、 乳 幼 児 死亡 率 低 下 に よ り希 望子 供 数 が確 保 で き る よ うに な った こ とや 、 女性 の結 婚 年 齢 、社 会 的 地 位 、 居 住形 態 等 が 影 響 して い る とす る報 告 が あ る。 出産 を経 験 した女 性 に お け る次 の妊 娠 予 定 の認 識 は社 会 的 な要 因 に 加 え 、 出産 体 験 を中 心 と し た 周 産期 要 因 も影 響 して い る の で は な いか と思 わ れ る。 また、 出 産 予 定 の 認 識 は 出産 直後 か ら夫 や 家 族 、 重要 他 者 との 関 わ りの 中 で 、 さ ら に実 際 に育 児 を す る こ とな どに よ って 変化 す る の で は ない か と思 わ れ る。 そ こで、 今 回出 産 経 験 を した 褥 婦 を対 象 に 出産 予 定 に 関 す る認 識 に影 響 を 与 え る と思 わ れ る出 産 体 験 の認 識 と周 産 期 の 要 因 に つ い て 、 出産 直後 、 出産5日 後 、 出産1か 月後 に調 査 した の で報 告 す る。 2.用 語 の定 義 出産 体 験:出 産 開 始 か ら出 産 後24時 間 以 内 で 、産 婦 自身 の経 験 か ら感 じ、 表 現 さ れ た こ と。先 行 研 究 に よ り出産 体 験 を以 下 の 内 容 で構 成 し た。 ① 自己制 御 機 能:思 っ て い る よ うな 自分 自身 と し て 振舞 い 、 自己 の一 貫 性 を維 持 す る 自己 感 情 の保 持 ・課 題 達 成 ② 出産 制 御 機 能:正 常 な経 過 で 出産 を行 う こ とが で きる 身体 能 力 ③ 身 体 的 苦 痛 や 不快:出 産 に伴 う身 体 的 な 痛 み や 不 快 及 び生 理 的 ニ ー ドが 満 た さ れ な い不 快 ④ サ ポ ー ト:家 族 や 医 療 従事 者 な ど重 要 他 者 との 相 互 交 渉 、 感 情 共 有 で あ り、手 段 的、 情 緒 的 、情 報 的 内容 を含 んで い る。 3.方 法 1)調 査 方 法:京 都 及 び 大 阪府 下 の4病 院 で1993年 6∼9月 に 出産 した 褥 婦446人 2)調 査 方 法:出 産 直 後 、5日 後 、1か 月後 に 自己 記 入 式質 問 紙 法 に よ る調 査 を行 った。 質 問 紙 は3 回 と も同一 で、 そ の 内 容 は表1に 示 す よ うに出 産 予 定 の有 無 、 出産 体 験 を形成 す る と思 わ れ る 自 己 制 御 ・出産制 御 機 能 ・身 体 的 苦 痛 や不 快(含 む 産 痛)・ サ ポ ー トの他 に、 出 産 予 定 の認 識 に影 響 を 与 える と考 え られ る周 産 期 異 常 の 有無 、 育 児 の 大 変 さ等 で あ る。 また、1か 月後 に は性 役 割 志 向性 (ISRO)、 夫婦 関係 につ いて 質 問 した。 3)分 析 方 法:単 純 集 計 、X2検 定 の他 に影 響 の 強 度 に 関 して は 数 量 化II類 を行 っ た。 分 析 に 関 して は 統 計 プ ログ ラム パ ッケ ー ジHALBAUを 用 い た 。 4.結 果 有 効 回 答 数 は446名(100%)で あ っ た。 1)対 象 の 属 性(表2) 今 回の 出産 が 初 産 で あ った 者(以 下 、 初 産 婦 と す る)が203人(45.5%)、 経 産 で あ っ た者(以 下 、 経 産婦 と す る)が243人(54.5%)で あ っ た。 平 均 年 齢 は初 産 婦27.7歳 、 経 産 婦30.7歳 であ った 。表1調 査 項目 表2対 象属性 2)出 産 予 定 の認 識(表3) 出産 予 定 の認 識 は初 産 婦 で は 「あ り」 と答 え た 者 が 分 娩 直 後 は37%、5日 後 は43%、1か 月後 は 48%、 「考 え られ な い(未 考)」 と答 え た者 は直 後 は56%、5日 後 は50%、1か 月後 は47%、 「な し」 と答 え た者 は7∼5%で あ っ た。 経 産 婦 では 各 時 期 と も大 きな 変 化 は な く、 「出産 予 定 あ り」 は 表3出 産予定の認識 約10%、 「出 産 予 定 な し」 は約60%、 「考 え ら れ な い 」 は 約30%で あ っ た。3時 期 で の 変 化 の 有 無 を み た と こ ろ、 変 化 群 は初 産 婦 は27%、 経 産 婦 は 13%で あ っ た。 3)出 産 予 定 の 認識 の 影 響 要 因 出産 予 定 の認 識 とそ の影 響 要 因 につ い てX2検 定 を行 っ た(表4)。 この際 、 出 産 予 定 の 有 無 を 明 確 に す る ため に 「考 え ら れ な い 」 と答 え た も の は 除外 し た。 表4出 産予定がある事に関連する要因
「出 産 予 定 が あ る」 と関 連 して い る 項 目は 、 全 体 で は「誘 発 分 娩 が な い(直 、5D)」 「新 生 児 異 常 が ない(5D、1M)」 「初 産 婦(直 、5D、1M)」 「母 親 の 年 齢 が29歳 以 下(5D)」 「新 生 児 の体 重 が2500g以 上 」 「産痛100未 満:直 後(直 、5D、1M) 、5日 後(5D、1M)、1か 月後(1M)」 「自己 制 御得 点 平 均 以 上:直 後(直)、5日 後(5D)、1 か月後(1M)」 「サ ポー ト得 点 平 均 以 上:1か 月 後(1M)」 「出産 制 御 得 点 平 均 以 上:直 後(直)」 「自尊感 情(SE)得 点 平 均 以 上:直 後(直)、5日 後(5D)」 「夫 婦 関係 得 点 平 均 以 上:1か 月(1M) 」で あ った。 初 産 婦 で は 「出産 予 定 が あ る 」 と関 連 して い る 項 目は 、 「誘 発分 娩 が な い(直 、5D)」 「新生 児 異 常 が な い(1M)」 「産 痛100未 満:直 後(直 、5 D、1M)、5日 後(5D、1M)、1か 月後(1M)」 「 自己制御 得 点 平均 以 上:直 後(直)、5日 後(5D) 」 「サ ポ ー ト得 点 平 均 以 上:5日 後(1M)、1か 月後(1M)」 で あ っ た。 経 産婦 で は 「出産 予 定 が あ る 」 と関 連 して い る 項 目は 「自 己制 御 得 点 平 均 以 上:直 後(直 、1M)」 rSE得 点 平 均 以 上:直 後(直)」 で あ っ た。 4)出 産 予 定 認 識 の背 景 要 因 の多 変 量 解 析(数 量 化 II類) 出産 予 定 の背 景 に あ る要 因 を総 合 的 に み る た め に 「出産 予 定 認 識 の有 無 」 を外 的 基 準 と し、各 対 象(全 体 、 初 産 婦 、経 産 婦)で 有 意 差 の み られ た 項 目 を説 明 変 数 と して数 量 化H類 に よる 解 析 を行 った。 結 果 は図1∼3に 示 す通 りで あ る 。 図 は 各項 目 毎 の カ テ ゴ リー数 量 を示 してお り、「+」 方 向 に い くほ ど 「出産 予 定 の認 識 があ る」 こ とに 与 え る 影 響 が強 い こ とを示 して い る。 カ テ ゴ リー数 量 の 範 囲 の 大 き く、 出 産 予 定 の認 識 に影 響 を与 え て い る と考 え られ る 項 目 は 、全 体 で は 「初 経 別 」 「新 生 児 異 常 の 有 無 」 「新 生児 体 重 」 「誘 発 分 娩 の 有 無 」 「産 痛 」 で あ っ た。初 産 婦 で は 「新 生 児 異 常 」 「誘 発 分 娩 の 有 無 」 「産 痛 」 「1か 月 後 の サ ポー ト得 点 」 で あ った 。 経 産婦 で 図1出 産予定認識の有無の影響要因(数 量化n類)一 全 体 は特 に範 囲 が大 きい もの は な か っ た。 5考 察 出産 予 定 有 無 の 認 識 は経 産 婦 で は各 時 期 と も大 き な変 化 は な く、 「出産 予 定 あ り」は 約10%、
図2出 産予定認 識の有無 の影響 要因(数 量化II類)一 初 産婦 図3出 産 予定認 識の有無 の影響要因(数 量化II類)一 経産 婦 「出産 予 定 な し」 は約60%「 考 え られ な い」 は30 %弱 で あ っ た 。 予定 の有 無 の影 響 要 因 は 「自 己制 御 」「SE」 の2項 目で あ り、周 産 期 の 要 因 に は 影 響 さ れ な い と思 わ れ た。 初 産 婦 で は 出 産 予 定 有 無 の 認 識 は 出産 直後 は 「 考 え られ な い」 と答 え た者 が 半 数 以上 で あ っ た が、 時 間 の 経 過 と と も に減 少 し、 「出 産予 定 あ り」 が 増 加 して い た。 「な し」 と答 え た 者 は 小 数 で 若 干 減 少 して い る が大 き な 変化 は み られ な か っ た。 ま た、 「新 生 児 異 常 」 「誘 発 分娩 の 有 無 」 「産 痛 」 「自己制 御 」 「サ ポ ー ト」 とに 関 連 が み られ た。 そ の影 響 の 強 い もの か ら順 に 「誘 発 分 娩 あ り」 「 新 生 児異 常 あ り」 「産 痛 の 強 度 が 強 い」 「1か 月 後 の サ ポ ー トな い 」 が 出 産 予 定 の 認 識 が な い こ と に 影 響 を与 え て い る と思 わ れ た。 これ らの こ とか ら 周 産期 の 援 助 の あ り方 や サ ポー ト作 りが重 要 で あ る こ とが 示 唆 さ れ た。 6.結 論 1)出 産 予 定 の 認 識 の 経 時 的 変 化 初 産 婦 で は出 産 直 後 は 「考 え ら れ な い 」者 が半 数 以 上 を しめ るが 経 過 と と も に 「出産 予 定 が あ る」 が 増 加 した 。 経 産 婦 で は変 化 は少 な く、 「出産 予 定 が な い」 者 が約6割 と多 か っ た。 2)出 産 予 定 の 認 識 形 成 の影 響 要 因 経 産 婦 で は 「自 己制 御 」「SE」 に 関 連 性 が み ら れ た が、 周 産 期 の 要 因 とは 関 連 性 は み られ な か っ た。 初産 婦 で は 「誘 発 分娩 あ り」 「新 生 児 異 常 あ り」 「産痛 の強 度 が 強 い 」 「1か 月 後 の サ ポー トな い 」 が 出 産予 定 の認 識 が な い こ とに 影 響 を与 え て い た。 参 考 文 献 1) 東 清 和他: 性 役 割 の 心 理, 大 日本 図書, 1989
2) Norr,K,L,et al.: Explaining pain and enjagment in childbirth. Journal of Health and Social Behovior, 18, 260-275, 1977
3) 加 藤 忠 明 他: 家 庭 ・出 生 機 能 に か か わ る 統 計 解 析, 日本 総 合 愛 育 研 究 所 紀 要, VOL.28, P99∼ 114, 1992年 4) 小 松 美 穂 子 他: も う1人 子 供 を 持 つ, 持 た な い に 関 す る 両 親 の 意 識 分 析. 筑 波 医 短 研 報, No.12, P81∼89, 1991年 5) 伊藤 達 也: 最 近 の 夫 婦 出 生 力 の 分 析, 人 口 問 題 研 究, 160, P44∼60, 1981年
出産 予 定 に関 す る認 識(第2報)
― 出 産 予 定 の タ イ プ 分 類 と そ の 内 容 分 析 ―
○ 脇 田 満 里 子1)入 澤 み ち子2)山 下 浩 子3)菅 沼 美 奈 子4)多 田 秀 子3)伊 藤 三 紀 子5) 堀 内 寛 子6)池 田 浩 子4)松 岡 知 子6)宮 中 文 子7)我 部 山 キ ヨ子4) 1)藍野学 院短期大 学2)高 槻赤 十字病院3)国 立京都病 院附属看護 助産学校4)京 都大学 医療技術短 期大学 5)京都府 立医科大 学付属 病院6)京 都府立 医科大学 附属看護専 門学校7)京 都府立 医療技術 短期大学 1.は じめ に 第1報 で,産 後 に お け る 出産 予 定 に関 す る認 識 に,出 産 体 験 の 認 識 と 周 産 期 の 要 因 が 影 響 を 与 え るとい う こ と を 明 らか に した 。 そ こで,本 報 で は 山 産 予 定 の 有 無 と その 理 由 の 経時 的 変 化 に つ いて タ イ プ 分 類 を し,各 タ イ プ 毎 に内容 分 析 を 行 った 。 2.対 象 と方 法 対 象 は,京 都 お よ び 大 阪 府 下 の4病 院 で 平 成5 年6月 か ら9月 まで に 出 産 した 産 婦 に 質 問 紙 を 配 布 し,回 答 の 得 られ た446人 中,出 産 直 後 ・5日 目 ・1か 月 後 の3時 期 の 全 て に回 答 の 得 られ た初 産婦147人,経 産 婦153人 の 計300人 で あ る。 分 析 方 法 は,出 産 直 後,出 産5日 後,出 産1か 月後 にお け る出 産 予 定 の有 無 と そ の 理 由 につ い て 自由記 載 内 容 を 分 析 した。 3.結 果 お よ び 考 察 1)対 象 背 景:300人 の 背 景 は,自 然 分 娩 した 初 産 婦 ・経 産 婦 で,帝 王 切 開 術 ・異 常 児 出産 は 除 外 した 。 2)出 産 予 定 に関 す る認 識 の タ イ プ 分 類 表1に 示 す 通 りI型:3時 期 共 「予 定 有 り」 と した 群,II型:3時 期 共 「未 だ 考 え て い な い 」 と した 群,III型:3時 期 共 「予 定 無 し」 と した群 で 上記I・II・III型 を 不 変 群 と 呼 ぶ 。 IV型 は,出 産 直 後 か ら5日 目 にか け て 「予 定 無 し」 ま た は 「未 だ 考 え て い な い 」 と して いた もの が1か 月 後 「未 だ考 え て い な い 」 ま た は 「予 定 有 り」 と 変 化 した 群 で,こ れ を 上 昇 型 と呼 ぶ 。 V型 は,出 産 直 後 か ら5日 目 に か け て 「予 定 有 り ま た は 「未 だ 考 え て い な い 」 と して い た もの が1 か 月 後 「未 だ 考 え て い な い」 ま た は 「予 定 無 し」 と変 化 した 群 で,こ れ を 下 降 型 と 呼 ぶ 。VI型 は 出 産 直 後 に 「未 だ考 え て い な い 」 と して い たが,5 日 目 に 「予 定 無 し」1か 月 後 に再 び 「未 だ 考 え て い な い 」 と した 群 お よ び 出 産 直後 に 「未 だ考 え て い な い 」 と して い た が,5日 目 に 「予 定 有 り」 と な り,1か 月 後 に再 び 「未 だ 考 え て い な い」 と し た 群 で,こ れ を 復 帰 型 と した 。 上 記IV・V・VI型 を 変 化 群 と 呼 ぶ 。 以 後,「 予 定 有 り」 を 「有 り」 「未 だ 考 え て い な い 」 を 「未 考 」,「 予 定 無 し」 を 「無 し」 と示 す 。 第1報 の 報 告 の 如 く,不 変 群241人(80.3%) 変 化 群59人(19.7%)と 不 変 群 が 多 か った 。 表1出産 予定 に関す る認識の タイプ分類表2タ イブ別の主な理 由とその特 徴(不 変郡) 表3タ イブ別の 主な理由とその特徴(変 化群) 3)各 タ イ プ の 内 容 分 析(表2・ 表3) ①I型 不 変型(有 り→ 有 り→ 有 り)は,初 産 婦 48人,経 産 婦14人 で 計62人(20.7%)で あ っ た 。 初 産 婦 は 経 産 婦 に比 べ3.4倍 と多 く,そ の 理 由 と して 「予 定 して い た 子 供 の 数 に 達 して い な い 」 が 最 も多 く,中 で も 「一 人 っ子 は 可 哀 相 」 「一 人 っ子 に した くな い」 の 紀 述 が 多 く見 られ た 。 経 産 婦 の 理 由 は,初 産 婦 同 様 「予 定 して い た 子 供 の 数 に達 して い な い 」 が 多 く.そ の下 限 は3人 以 上 と して い る。 中 で も 「子 供 は 多 い ほ ど よ い 」 は,1か 月 時6人(42.9%)で あ っ た。2番 目の 理 由 と して,子 供 の 性 別 に対 す る希 望 を 挙 げ て い たが,こ れ は子 供 の 人 数 に比 較 す る と経 産 婦,初 産 婦 共 に 約 半 数 を 占 め て い た 。 全 体 と してI型 の 群 で は 「有 り」 と した 理 由が 子 供 の 人 数 と性 別 に 限 られ て お り,出 産 体 験 に よ る 影 響 を 受 け た と考 え られ る 記 述 は 全 く見 られ な か った 。 こ の 事 は,妊 娠 ・出 産 ま た は 結 婚 以 前 に, 子 供 の 数 や 性 別 にっ い て イ メ ー ジあ る い は 決 定 し て い る可 能 性 もあ る と考 え られ る。 次 の 出 産 の時 期 を 「2・3年 後 」 「2年 後 」 な ど明 らか に して い る もの が,13人(21.0%)で あ っ た。 ②II型 不 変 型(未 考 → 未 考 → 未 考)は,初 産 婦 56人,経 産 婦34人 で 計90人(30%)で あ った 。 初 産 婦 は 経 産 婦 に 比 べ1.5倍 と 多 く,そ の 理 由 と して 「育 児 に精 一 杯 」 「育 児 に 専 念 した い 」 が 多 く,出 産 直 後5人,5日 目20人,1か 月 後31人 と経 時 的 に 増 加 傾 向 が 見 られ た 。 次 に 「お 産 が 大 変 だ っ た 」 と した理 由 も大 き な 比 重 を 占 め て い た が,出 産 直 後21人,5日 目8人,1か 月 後7人 と 経 時 的 に減 少 傾 向 が 認 め られ た 。 以 上 か ら,初 産 婦 は 分 娩 時 の 印 象 が 経 時 的 に薄 くな って い くの に 対 し,逆 に 育 児 の 負 担 が 増 加 し て い くと 考 え られ る。 経 産 婦 の 理 由 は 「育 児 に精 一 杯 」 「育 児 に専 念 した い」 が10人(29.4%)と 最 も多 く,直 後 か ら この 比 率 で,経 時 的 変 化 は 認 め られ な か っ た 。 経 産 婦 は,出 産 直 後 で あ って も育 児 負 担 に 対 す る予 測 が 可 能 な た め,経 時 的 変 化 が 認 め られ な か っ た と 言 え る。
II型 で理 由 の記 述 が なか っ た の は,直 後,5日 目18人(20%)だ っ た が1か 月 後 で は 記 述 が見 ら れ,「 育 児 に精 一 杯 」 が 多 か っ た 。 ③III型 不 変 型(無 し→ 無 し→ 無 し)は 初 産 婦4 人,経 産 婦85人 で 計89人(29.7%)で 経 産 婦 が 95.5%と 大 部 分 を 占 め て い た 。 初 産 婦 の 理 由 は 「高 齢 出 産 の た め 年 齢 ・体力 の 限界 」 「仕 事 の 都 合 」 「育 児 に精 一 杯 で あ った 」 が 多 く,妊 娠 ・出 産 が 大 変 だ っ た た め に 「無 し」 と した 人 は,直 後2人,5日 目1人,1か 月後0 人 だ った 。 経 産 婦 の 理 由 は 「予 定 して い た子 供 の 人 数 に 達 した」 が82人(96.5%)と 最 も多 か っ た。 「希 望 して い た子 供 の 性 別 に 満 足 した」 は6人(7.1%) で,子 供 の人 数 に比 べ 非 常 に少 な か っ た。 そ の 他 には 「年 齢 ・体 力 の 限 界 」 「経 済 的 問 題 」 が 記 述 されて お り,年 齢 ・体 力 の 限 界 に 付 随 す る因 子 と して,妊 娠 中 の 身 体 の 辛 さ ・つ わ り ・陣 痛 が あ っ た。 ま た,他 に 「子 育 て の み で一 生 を 終 え た くな い」 とす る記 述 もあ っ た 。 以 上 よ り,不 変 群 のI・III型 は 子 供 の人 数 お よ び性 別 が 主 な 理 由 とな って い る た め に初 期 に 出 産 予定 を 決 定 し,以 降 は 出産 体 験 お よ び経 時 的 に 生 じて くる さ ま ざ ま な 因 子 に 影 響 さ れ な い と言 え る。 II型は 未 だ 認 識 が 明 確 化 さ れ て お らず,そ の 理 由 の記 述 内 容 は 経 時 的 に 分 娩 お よ び育 児 に 関 す る 影響 を 受 け て い る と言 え る。 ④IV型 上 昇 型(未 考 → 未 考 → 有 り)(未 考→ 有 り→ 有 り)(無 し→ 無 し→ 未 考)(無 し→ 未 考 → 未 考)は 初 産 婦25人,経 産 婦7人 で 計32人(10.7 %)で あ った 。 初 産 婦 で は 。 「未 考 」 か ら 「有 り」 と変 化 した のが20人(80%)と 最 も多 か った 。 そ の理 由 と し て,直 後 に 「お 産 が 大 変 だ っ た 」 と答 え て い た 人 が,時 間 的 経 過 に よ りそ の 印 象 が 薄 れ,「 一 人 っ 子 は だ め 」 「赤 ち ゃん は 可 愛 い 」 な ど の 肯定 的 要 素 が ク ロ ー ズ ア ツブ さ れ,子 供 が ほ し い と い う認 識 に変 化 した と言 え る 。 経 産 婦 は 「未 考 」 か ら 「有 り 」 と 変 化 し た の は 3人(42.9%),「 無 し」 か ら 「未 考 」 と 変 化 し た の は4人(57.1%)で あ っ た 。 そ の 理 由 は 「男 の 子 が2人 で よ い 」 「高 齢 だ が 妊 娠 す れ ば 生 む 」 か ら 「も う 一 人 女 の 子 が 欲 し い 」 「子 供 が 欲 し い 」 と 変 化 し て い る 。 全 体 と して,直 後,5日 目,1か 月 と経 時 的 に 「無 し」 → 「未 考 」 → 「有 り」 と 徐 々 に 変 化 して い る 様 子 が 見 ら れ.「 無 し」 か ら 「有 り」 と 変 化 し た の は1人(3.1%)の み だ っ た 。 こ れ は 前 述 の 通 り,「 子 供 が 欲 し い 」 と い う 認 識 の 変 化 は,分 娩 体 験 の 印 象 が 薄 れ る と と も に 段 階 的 に 進 行 し て く る と 言 え る 。 ⑤V型 下 降 型(有 り→ 有 り→ 未 考)(有 り → 未 考 → 未 考)(未 考 → 未 考 → 無 し)(未 考 → 無 し→ 無 し)は 初 産 婦8人,経 産 婦8人 で 計16人(5.3 %)で あ っ た 。 初 産 婦 は 直 後 「有 り 」 「未 考 」 だ っ た の が,5 日 目 あ る い は1か 月 後 に 「未 考 」 「無 し 」 と な っ て い る 。 そ の 主 な 理 由 は 「お 産 が 大 変 」 「育 児 に 精 一 杯 」 で あ っ た 。 経 産 婦 は7人(87.5%)が 直 後,5日 目 に 「未 考 」 と し て い た が,1か 月 後 「無 し」 と 変 化 して い る 。 そ の 理 由 は 「年 齢 ・体 力 の 限 界 」 「経 済 的 問 題 」 「育 児 に 精 一 杯 」 で あ っ た 。 傾 向 と して 初 産 婦 は 「有 り 」 か ら 「未 考 」 と 変 化 し た の は6人(75.0%),経 産 婦 は 「未 考 」 か ら 「無 し」 と 変 化 し た の は7人(87.5%)で あ っ た 。 以 上 か ら,初 産 婦 は1か 月 時 点 で 結 論 を 保 留 し,経 産 婦 は 断 定 して い る と い う 差 が み ら れ た 。 こ れ に は 分 娩 体 験 ・育 児 経 験 ・社 会 的 要 因 が 経 時 的 に 影 響 し て い る と 言 え る 。 ⑥VI型 復 帰 型(未 考 → 有 り → 未 考)(未 考 → 無 し → 未 考)は 初 産 婦6人 ,経 産 婦5人 の 計11人(3.7 %で あ っ た 。 初 産 婦 で は 直 後 「未 考 」 か ら,5日 目「 有 り 」 と な り,1か 月 時,再 び 「未 考 」 が3人(50%) で あ っ た(下 降 型 の 復 帰)。 そ の 理 由 は「 育 児 に
精 一杯 」 「育 児 に 専 念 した い 」 「も う少 し時 間 を 経 て 考 え た い」 で あ っ た 。 経 産 婦 で は 「未 考 」 か ら5日 目 「無 し」 とな り 1か 月 時,再 び 「未 考 」 が3人(60%)で あ った (上 昇 型 の復 帰)。 そ の 理 由 は,「 妊 娠 が 大 変 」 「お 産 が 大 変 」 「育 児 に精 一 杯 」 と して い る 。 理 由 の 特 徴 と して,出 産 体 験 ・育 児 経 験 を す べ て 否 定 的 に認 識 して い た 。 以 上 よ り,初 産 婦 は育 児 経 験 が 影 響 して お り,経 産 婦 は 妊 娠 ・分 娩 体 験 ・育 児 経 験 が 経 時 的 に 影 響 して い る と言 え る。 4.ま と め 出 産 予 定 の 認 識 に 関 す る タ イ プ 分 類 は,I・II III型の 不 変 群 とIV・V・VI型 の変 化 群 に分 類 さ れ る。 全 体 の 約8%強 の 褥 婦 が 不 変 群 で あ っ た こ とか ら,出 産 予 定 の認 識 は 出産 直 後 に 決 定 し,経 時 的 に変 化 しな い と言 え る。 参 考 文 献 出 産 予 定 に関 す る認 識(第3報)に 記 載 不 変 群 のI・III型 の 決 定 理 由 は,子 供 の人 数 が 大 部 分 を 占 め,次 に 性 別 で あ った 。 理 由 が 明 確 で 経 時 的 に変 化 しな い こ と か ら,出 産 予 定 に関 す る 認 識 は,分 娩 体 験 ・育 児 経 験 に よ る影 響 が ほ と ん ど な い と言 え る。 不 変 群 のII型 で は 理 由 の 中 に分 娩 体 験 ・育 児 経 験 に よ る影 響 が 経 時 的 に 出 て い る 。 特 に初 産 婦 は そ の 傾 向 が 顕 著 で あ った 。 III型の 初 産 婦 の 数 は4名 と 少 な い が,年 齢 ・体 力 ・仕 事 と育 児 の 関 係 か ら一 人 っ子 を 是 認 して い る 。 変 化 群 は,全 体 の20%弱 でIV・V・VI型 っ ま り 上 昇 ・下 降 ・復 帰 を 示 した 。 ま た 出 産 体 験 ・育 児 経 験 が マ イ ナ ス の 因 子 と して 影 響 し,出 産 予 定 に 関 す る認 識 を 変 化 さ せ て い る こ と が 明 らか に な っ た 。 以 上 の こ と か ら,今 後,出 産 ・育 児 が よ り よ い体 験 とな る援 助 が 求 め られ て い る と言 え る 。
出 産 予 定 に 関 す る認 識(第3報)
― 出 産 予 定 の タ イ プ 別 事 例 分 析 ―
○ 入 澤 み ち 子1)脇 田 満 里 子2)山 下 浩 子3)菅 沼 美 奈 子4)伊 藤 三 紀 子5)堀 内 寛 子6) 池 田 浩 子4)多 田 秀 子3)松 岡 知 子6)宮 中 文 子7)我 部 山 キ ヨ 子4) 1)高槻赤十字 病院2)藍 野学 院短期大 学3)国 立京都病 院附属看護 助産学校4)京 都大学 医療技術短 期大学 5)京都府 立医科大学 附属病 院6)京 都府 立医科大学 附属看護 専門学校7)京 都府立 医療技術短 期大学 1.は じめ に 第2報 で,出 産 予 定 に 関 す る 認 識 の タ イ ブ 分 類 とそれ ぞれ の タ イ ブ の 記 載 内 容 を 経 時 的 に 分 析 し た。 結果,約80%の 不 変 群 は 出 産 体 験 ・育 児 経 験 によ る影響 を受 け な か った の に 対 し,約20%の 変 化群 と不変 群 のIII型の 初 産 婦 は そ れ らの 影 響 を受 けて い る こ とが 解 っ た 。 従 って 本 報 で は 出産 予 定 の 認 識 に 周 産 期 の ケ ア の質が 影 響 して い る と考 え られ る変 化 群 と,初 産 婦のIII型に つ き事 例 を 挙 げ て 経 時 的 に検 討 した 。 2.対 象 と方 法 対象 は,変 化 群 のIV型(上 昇)V型(下 降)の 特徴 を顕 著 に示 した 初 産 婦 ・経 産 婦 の各2事 例 と VI型(復 帰)の 経 産 婦1事 例,不 変 群 のIII型の 初 産婦1事 例 の 計6事 例 で あ る。 分析 方 法 は,各 事 例 の 出 産 予 定 に 関 す る認 識 に 及ぼす 影響 に つ い て の 自 由 記 載 内 容 を 分 析 した 。 3.結 果 お よ び 考 察 1)IV型 上 昇 型(未 考 → 有 り→ 有 り)初 産 婦 年齢:本 人20才 夫28才,切 迫 早 産 で ウ テ メ リ ン 2W間 内 服,分 娩 所 要 時 間:4時 間43分.分 娩 異 常 無 し,児:体 重3550g,正 常 児 自 己 制 御 得 点38→37→40と 出 産 直 後 か ら 平 均 よ り高 く1か 月 で さ ら に 上 昇 し て い る 。 出 産 制 御 得 点40→43→43と 直 後 か ら平 均 よ り高 く,5日 目 よ り上 昇 して い る 。 お 産 の 痛 み は85→80→70と5日 目,1か 月 目 と時 間 の経 過 と と もに 弱 くな っ て い る。 育 児 の大 変 さ は500→200→300と 直 後 に 最 も高 く,5日 目,1か 月 と低 下 して い る。 ま た5 日 目,1か 月 時 点 で の 母 乳 栄 養 率100%で あ る。 サ ポ ー トは す べ て の項 目で 肯 定 的 認 識 が 高 くな っ て い る。 里 帰 り はせ ず,産 後 は 「手 伝 い は あ った が 買 い物 等 の 家 事 は 自分 で した 」 と述 べ て い る。 身 体 的 苦 痛 は直 後 にお い て 「息 み を 逃 す こ と と 赤 ち ゃん が 出 て くる 時 」 と,5日 目,1か 月 目で は,そ れ に 加 え て 妊 娠 時 の 苦 痛 で あ る 「つ わ り, 切 迫 早 産 」 を あ げて い る。 精 神 的 苦 痛 は3時 期 共 「出血,お 腹 の 張 り,切 迫 早 産,7か 月 時 逆 子 と 言 わ れ た 」 と して い る。 〈事 例 の 特 徴 〉 自 己 制 御,出 産 制 御 と もに 平 均 値 と比 べ 高 く5 日 目,1か 月 目 で さ らに上 昇 して い る。 表1各 事例 ごとの3時 期 におけ る自己制御、 出産 制御、 お産 の痛み、育児 の大 変 さの得点身 体 的 お よ び精 神 的 苦 痛 で は妊 娠 期 の切 迫 早 産, 分 娩 期 の 陣 痛 を 述 べ て い るが,(未 考 → 有 り→ 有 り)と した 理 由 で は,直 後 「生 まれ て き た 時 の 生 活 が 忙 しそ うだ か ら」5日 目 「若 い う ち に 産 ん で お き た い,子 供 は と っ て も可 愛 い し何 か や る気 に な る」1か 月 目 「年 子 で 子 供 が 欲 し い と思 うよ う に な って き た。 子 供 っ て 本 当 に 可 愛 い」 と経 時 的 に育 児 を 体 験 す る こ と に よ り,育 児 の 喜 び を実 感 し,出 産 予 定 の 認 識 に変 化 を 及 ぼ して い る と言 え る。 ま た 変 化 す る時 期 は5日 目 で上 昇 型 の 傾 向 が 出 て い る事 例 で あ る。 2)IV型 上 昇 型(無 し→ 無 し→ 未 考)経 産 婦 年 齢:本 人27才 夫28才.妊 娠 中毒 症 合 併,分 娩 所 要 時 間:7時 間53分,分 娩 異 常 無 し,児:体 重 3450g,正 常 児 自 己 制 御 は得 点18→21→18と 平均 値 に比 して非 常 に低 く,5日 目 にや や 上 昇 して い る も の の3時 期 を 通 して 強 い 否 定 的 認 識 を 示 して い る。 出産 制 御 は得 点30→25→24と3時 期 共 低 く,否 定 的認 識 を 示 して い る。 お 産 の痛 み は100→100→100と 3時 期 共 最 高 値 で あ っ た 。 育 児 の大 変 さ は150→ 200→150と5日 目 に否 定 的 傾 向が 強 くな って い る。 母 乳 栄 養 率 は,5日 目,1か 月 時100%で あ っ た。 サ ポ ー トは 分 娩 時 一 人 で 放 置 され た こ と, 夫 や 家 族 が 側 に いな っ か っ た事 に 否 定 的 認 識 を示 して い る。 里 帰 りは しな か っ た が 産 後 手 伝 って く れ る人 は い た。 身 体 的 苦 痛 は 「陣 痛 を 乗 り切 る こ と」 と3時 期 共 述 べ て お り,精 神 的 苦 痛 は 「つ わ りの 時,子 供 に苛 々 して 理 由 も な く叱 って し ま った こ と 」 「陣 痛 時,一 人 で 心 細 か っ た 」 と記 述 して い る。 〈事 例 の 特 徴 〉 自 己 制 御,出 産 制 御 が 非 常 に低 値 を 示 し,(無 し→ 無 し→ 未 考)と した 理 由 を 「今 回 の 分 娩 は し ん どか った 」 「陣 痛 を 思 い 出 す と嫌 に な る 」 と述 べ て い る こ と か ら,出 産 体 験 が 強 い 喪 失 体 験 に な った と考 え られ る。 深 夜 の 分 娩 とい う事 で 出 産 時 に サ ポ ー トが 充 分 得 ら れ な か った こ と も影 響 して い る と思 わ れ る 。 しか し1か 月 時 に 「赤 ち ゃん を 見 る と ま た 欲 しい よ う な 気 が す る」 と述 べ,苦 痛 の 大 き い 出 産 体 験 の認 識 は変 化 しな くて も,時 間 的 経 過 と,育 児 の 喜 び な ど に よ り出 産 予 定 の 認 識 は変 化 し う る こ とを 示 唆 して い る 事 例 と 言 え る 。 3)V型 下 降 型(有 り→ 有 り→ 未 考)初 産 婦 年 齢:本 人43才 夫47才,切 迫 早 産 で 妊 娠23週 よ り入 院,子 宮 筋 腫 合 併,低 位 胎 盤,分 娩 所 要 時 間 :3時 間55分,出 血 多 量.児:3256g,正 常 児 自 己 制 御 得 点28→32→20,出 産 制 御 得 点30→25 →24と 共 に平 均 値 に比 して 低 く,強 い否定 的認識 を 示 し1か 月 時特 に強 い 。 お産 の 痛 み は100→ 100→100と3時 期 共 最 高 の 値 を 示 して い る 。 育 児 の 大 変 さ は300→1000→10万 と極 端 な 上 昇 を 示 し,経 時 的 に否 定 的 認 識 が 強 ま って い る 。 母 乳 栄 養 率 は100%で あ る。 サ ポ ー トは 医 療 従 事 者 に 関 して 直 後,5日 目 に 肯 定 的 だ っ た が1か 月 目 に 否 定 的 認 識 に 変 化 して い る 。 里 帰 り は せず,産 後 の 手 伝 い もな か っ た 。 身 体 的苦 痛 は 「約4か 月 の 入 院 生 活 と 点 滴 」 「極 限 の 陣 痛 」 「高 齢 出産 な の で 産 後 の 自分 の 身 体 が 心 配 」 と述 べ て い る。 精 神 的 苦 痛 は 「入 院 し て い た の で 自由 が な く太 陽 に 当 た れ な い 」 「長 い 入 院 生 活 で 家 庭 生 活 が な か った 】 【夜 中 に 子 供 が 泣 き続 け,寝 な い の で 自分 も眠 れ ず イ ラ イ ラ」 「今 もイ ラ イ ラ して い る」 と述 べ て い る 。 〈事 例 の特 徴 〉 (有 り→ 有 り→ 未 考)と した 理 由 は 直後 は 記 述 が な く,5日 目 に 「女 の 子 が 欲 しい」 と して い る が1か 月 目 に 「育 児 疲 れ で,今 日,今 の 事 を 考 え るの が 精 一 杯]と 述 べ て い る。 妊 娠 お よ び 分 娩 異 常 が 重 な っ た た め,か な り強 い ス トレス 状 態 だ っ た と思 わ れ るが,直 後5日 目 と 「出産 予 定 有 り」 と して い る こ と か ら,そ れ らの ス トレス は否 定 的 な 影 響 を 与 え て い る と は い え な い。 む しろ子 育 て の 面 で サ ポ ー トが 得 に くい 状 況 で の 負 担 や 疲 労 が 自 己制 御,出 産 制 御 の認 識 を 否 定 的 に 変 化 さ せ, 結 果 的 に 出 産 予 定 に 関 す る認 識 に 否 定 的 な 影 響 を 与 え て い る と思 わ れ る 。 4)V型 下 降 型(未 考 → 未 考 → 無 し)経 産 婦 年 齢:本 人34才 夫31才,妊 娠 経 過 異 常 無 し,分 娩 所 要 時 間:10時 間5分,分 娩 異 常 無 し,産 褥 期 高
血圧 症,児:体 重3248g,正 常 児 自 己 制 御 得 点34→37→37で,平 均 値 と比 べ 肯 定 的 認 識 が 全 体 的 に高 く,ま た 経 時 的 に 上 昇 して い る。 出 産 制 御 得 点30→32→29で,平 均 値 と 比 べ 全 体 的 に 低 く否 定 的 認 識 と な って い る。 特 に 直 後 低 く,5日 目 に や や 回 復 して い るが1か 月 時 下 降 し て い る。 お産 の 痛 み は100→100→100と3時 期 共 最 高 の 値 を 示 して い る。 育 児 の大 変 さ は100→ 100→100と な っ て い る。1か 月 時 の 母 乳 栄 養 率 は100%で あ る。 サ ポ ー トは 夫 や 家 族 に関 す る も の に否 定 的 認 識 を 示 して い る。 産 後 は 里 帰 りは し なか っ た が,手 伝 って くれ る人 は い た 。 身 体 的 苦 痛 は 「上 の 子 が い る た め 休 息 が 取 れ な か った」 「前 回 に 比 べ お 腹 が 大 き く,骨 盤 位 に な った た め しん ど か った 」 「分 娩 は 体 力 の限 界 で あ る」 と述 べ て い る 。 精 神 的 苦 痛 は3時 期 共 「特 に 無 し」 と して い た 。 〈事 例 の 特 徴 〉 自 己制 御 は 平 均 値 よ り高 い の に 比 して,出 産 制 御 は30代 で は あ る が 下 降 を 示 して い る。 身 体 的苦 痛 に もあ る通 り 「体 力 の 限 界 を 感 じて い る」 こと が 出産 予 定 に 関 す る 認 識 に大 き く影 響 し て い ると 考 え られ る。 これ は34才 と い う年 齢 も影 響 して い る と思 わ れ る。 ま た 育 児 につ い て は,子 供 の可 愛 さ は よ く理 解 して い るが,妊 娠 の 継 続 の 大変 さ や 育 児 の 負 担 を 感 じて い るの が 伺 わ れ る。 上 の子 供 と 出産 した児 の 世 話 の 負 担 が 増 して く る1か 月 目 に次 の 出 産 予 定 を 「無 し」 と す る経 産 婦の 傾 向 が 見 られ る事 例 で あ る。 5)VI型 復 帰 型(未 考 → 無 し→ 未 考)経 産 婦 年 齢:本 人35才 夫38才,羊 水 過 少 で 妊 娠40週 時 指 示 入 院,分 娩 所 要 時 間:11時 間35分,分 娩 異 常 無 し,児:体 重35669,ア プ ガー ル ス コ ア6点 で クベ ース1日 収 容 自己 制 御 得 点29→25→31で,平 均 値 と比 べ 全 体 的 に 低 く,否 定 的 認 識 と な っ て い る。 特 に5日 目 に低 くな り1か 月 目 で 回 復 して い る。 出産 制 御 得 点 は24→25→29と 全 体 的 に 低 く否 定 的 認 識 を 示 し て い る。 分 娩 直 後5日 目 で 特 に低 く1か 月 目 で 上 昇 して い る。 お 産 の痛 み は80→90→80と5日 目 に 強 くな って い る。 育 児 の 大 変 さ は150→200→ 150と 全 体 的 に高 く,特 に5日 目 に 高 くな って い る。 母 乳 栄 養 率 は5日 目1か 月 目 共100%で あ っ た 。 サ ポ ー トは夫 や 家 族 に関 す る もの に否 定 的 認 識 を 示 して い る。 産 後 里 帰 りは しな か っ たが 手 伝 って くれ る人 は い た 。 身 体 的 苦 痛 は 「上 の 子 が5才 の 反 抗 期 」 「妊 娠 後 期 で は お 腹 を ぶ っ け な い努 力 」 「家 業 を 手 伝 っ て い た の で 車 の 運 転 で バ ック で 振 り返 る と き」 と 上 の 子 の育 児 と家 業 を 手 伝 い な が らの妊 娠 継 続 の 苦 痛 を 述 べ て い る。 精 神 的 苦 痛 は 「前 回 出 産 後 流 産 を 経 験 して い る の で 児 の 元 気 な 姿 を 見 る まで は とパ ニ ッ ク状 態 」 「育 児.仕 事 の こ と で赤 ち ゃん が 無 事 産 ま れ るか ど うか 不 安 」 と述 べ て い る。 〈事 例 の特 徴 〉 自 己制 御,出 産 制 御 と も20代 と全 体 的 に低 い 。 特 に5日 目 に 下 降 して1か 月 で復 帰 して い る 。 お 産 の 痛 み,育 児 の 大 変 さ も5日 目 に強 くな り,1 か 月 で 復 帰 して い る。 「私 の 家 族 計 画 は2人 で 達 成 した 。 で も出 来 た ら欲 しい 」 と5日 目 に述 べ て い るが 「経 済 的 に は2人 で 充 分 だ が3人 は欲 しか た 」 と1か 月 時 に述 べ て い る。5日 目 に 「無 し」 と判 断 した が1か 月 時 で 「未 考 」 と な って い る。 2人 の子 供 の 育 児 と家 業 の 手 伝 い 等 の 負 担 増 が, 次 の 子 供 が 欲 しい と い う気 持 ち との 間 で迷 って い る経 産 婦 の特 徴 が 出て い る事 例 で あ る。 6)III型 不 変 型(無 し→ 無 し→ 無 し)初 産 婦 年 齢:本 人29才 夫31才,妊 娠 異 常 無 し,分 娩 所 要 時 間:31時 間22分,分 娩 異 常 無 し,児:体 重3614 g,正 常 児, 自 己制 御 得 点29→24→25と20代 で 平 均 値 と比 べ 低 い。 ま た5日 目 に下 降 し,1か 月 時 も低 値 が 持 続 して い る。 出 産 制 御 得 点30→27→29で 平 均 値 と 比 べ 低 い 。 ま た5日 目 に 下 降 し,1か 月 目で 復 帰 して い る 。 お 産 の 痛 み は100→100→100と3時 期 共 最 高 の値 を 示 して い る。 育 児 の大 変 さ は 得 点 120→130→120と5日 目 に 強 くな って い る。 母 乳 栄 養 率 は5日 目,1か 月 目共 に50%で あ った 。 サ ポ ー トは 「医 療 従 事 者 の 言 動 に よ り緊 張 や 脅 威 を 感 じる こ とが あ っ た 」 「一 人 で 放 置 され 不 安
だ った 」 「希 望 す る と き,夫 や 家 族 が 側 に い て く れ な か った 」 と否 定 的 認 識 が 強 く出 て い る。 分 娩 前 後,90日 間 里 帰 り して い る。 身 体 的 苦 痛 は 直 後.5日 目 と も 「陣 痛 が 長 か っ た こ と」 「陣 痛 が だ らだ ら と長 く,半 殺 し状 態 だ った 」 と述 べ て い る。 精 神 的 苦 痛 は 「自分 が 今 ど の 程 度 分 娩 が 進 ん で る の か,ま た 進 ま な い 理 由 の 説 明 が な く,途 中 で く じけ そ う に な る の を 奮 い立 た せ るの に大 変 」 と分 娩 期 の 苦 痛 を 述 べ て い る。 〈事 例 の 特 徴 〉 (無 し→ 無 し→ 無 し)と した 理 由 で は,直 後 「出 産 の 苦 痛 は 想 像 を は るか に 絶 す る もの 」5日 目 「予想 以 上 に お 産 が 大 変 だ った の で 次 回 ま た こ の よ うな 思 い を す るの は 絶 対 嫌 で,次 の 予 定 は 考 え られ な い」1か 月 「育 児 で 振 り回 さ れ,余 裕 が もて な い,考 え られ な い 」 と述 べ て い る。 分 娩 遷 延 が 最 も影 響 して い る と 考 え られ る が,分 娩 期 の 苦 痛 に 対 す る 認 識 が1か 月 経 て も持 続 し,そ の 時 の 医 療 従 事 者 の 関 わ り に 対 して も不 満 を 持 って い る。 ま た1か 月 時 点 で も育 児 の 負 担 を 強 く感 じて い る 事 例 と言 え る。 4.ま と め 1)各 型 にお け る事 例 の 傾 向 IV型(上 昇)の 初 産 婦 は 自 己 制 御 ・出 産 制 御 と も平 均 値 よ り高 く,5日 目,1か 月 目で 上 昇 して い る。 こ れ に は育 児 体 験 が 肯 定 的 要 素 と して,経 時 的 に影 響 して い る と考 え られ る 。 経 産 婦 は 自 己 制 御,出 産 制 御 が3時 期 を 通 して 非 常 に低 い 。 出 産 体 験 の 否 定 的 認 識 は 変 化 しな い の に 対 して,出 産 予 定 の 認 識 は 時 間 的 経 過 や 育 児 の喜 び な ど に よ って 変 化 し う る こ と を 示 唆 して い る。 V型(下 降)の 初 産 婦 は 自 己制 御,出 産 制 御 が 平 均 値 に 比 べ 低 く,経 時 的 に 下 降 して い る。 サ ポ ー ト不 足 に よ る育 児 疲 れ の 為 に 出 産 予 定 の 認 識 が 否 定 的 に変 化 して い る と思 わ れ る 。 経 産 婦 は 自 己 制 御 は 平 均 値 よ り上 昇 して い るが 出 産 制 御 は 平 均 値 よ り低 く,直 後1か 月 時 で 低 くな って い る。 身 体 的 苦 痛 で 「分 娩 時 体 力 の 限 界 」 を 挙 げて お り 妊 娠 の 継 続 の 大 変 さ や 育 児 の 負 担 が 影 響 して い る と考 え られ る。 VI型(復 帰)は 経 産 婦 で 自 己 制 御,出 産 制 御 と も20代 と平 均 値 よ り低 く,特 に 前 者 で は5日 目 に 後 者 で は 直 後 と5日 目 に低 くな って い る。 児 が 第 一 度 仮 死 で 出生 し,ク ベ ース に1日 収 容 され た事 が 影 響 して い る と い え る。 お 産 の 痛 み,育 児 の大 変 さ も5日 目 に 強 くな って い る が1か 月 で は 復 帰 して い る 。 妊 娠 の 継 続 の 大 変 さ や 育 児 お よ び 仕 事 の 負担 が 影 響 して い る と考 え られ る。 I型 は,自 己制 御,出 産 制 御 共20代 と 平 均 値 よ り低 く,特 に5日 目 に 低 い。 遷 延 分 娩 と な り,陣 痛 の 苦 痛 を 強 く感 じて お り,「 分 娩 は2度 と した くな い 体 験 」 と な った 事 例 で あ る。 ま た1か 月 時 育 児 の 負 担 が重 く感 じて い る こ とが 影 響 して い る と考 え られ る。 2)全 体 と して 共 通 した特 徴 (1)III型(不 変)の 初 産 婦,VVI型(下 降 ・復 帰 は,自 己 制 御,出 産 制 御 が 平 均 値 と 比 べ 低 い。 (2)III型(不 変)の 初 産 婦,VVI型(下 降 ・復 帰 は,5日 目,1か 月 目 で 育 児 経 験 を 肯 定 的 に評 価 して い な い 。 (3)妊 娠 中 の 異 常(切 迫 早 産,骨 盤 位 等)や 分 娩 中 の 異 常(分 娩 遷 延,分 娩 時 出血)は 身 体 的,及 び精 神 的 苦 痛 と して 認 識 さ れ,1か 月 時 も持 続 す る。 (4)サ ポ ー トで 医 療 従 事 者 の 言 動 に 緊 張,脅 威 を 感 じて い た。 (5)「 高 齢 出産 」 「妊 娠 中 の 育 児 負 担 」 「分 娩 時 体 力 の限 界 」 が 出 産 予 定 に 関 す る認 識 に マ イ ナ ス の 因 子 と して 影 響 を 及 ぼ して い る。 以 上 事 例 検 討 した 結 果.変 化 群 のIVVVI型 の 初 産 婦 ・経 産 婦 と 不 変 群 のIII型の 初 産 婦 は,さ ま ざ ま の形 で 出 産 体 験,育 児 経 験 に よ る 影 響 を 受 け て い る こ とが 明 ら か に な った 。 産 婦 個 々 の 出 産 体 験,育 児 経 験 を尊 重 し・ 周 産 期 の ケ ア の 質 の 向 上 に っ な が る援 助 が 今後 求 め られ て い る。 参考文献 池III浩子他:出産鉢駿内在化のプロセス(第1紹)―出産体験の経纏的変化−,第35回 日木母性箱生学会学術集会,1994. 翼内責子他:出産体験内在化のプロセス(第2報)−出崖体験の切産・経産別比較−,第35回 日本母性新生字会学斎集会,1994. 恵美須文肢:経彦嬬の出産体験について−特に遇去の出産が影響している体験の内容分析一,日本助産学会誌,4(1),27-33,1990.
沖縄本 島市街地 の幼稚 園児母親 の
出生 数 に関 す る検 討
琉球大学医学部保健学 科 ○伊敷 和枝,宮 城万 里子, 山口 朝子 琉球大学医学部附属病院 仲村 美津江 は じめ に わ が国 の 出 生 率 は諸 外 国 に類 の な い 激 減 を も た らせ てい る。 厚 生 省 ま とめ の 人 口 動 態 統 計 に よ る と、平 成4年 の 出 生 率 人 口1,000対9.8で あ る。 前年 の9.9を 更 に0.1の 減 少 とな り、年 々最 低 記 録の 更新 が続 い て い る。 この 現 象 は 、合 計特 殊 出 生率 に も影 響 し過 去最 少 の1.50ま で に低 下 して い る。 この よ うな急 激 な 出生 率 の 減 少 は人 口の 高 齢 化 をあ お り深 刻 な社 会 問 題 まで に到 ら しめ て い る。 その よ うな 中 で 、 沖縄 県 の 出生 率 は 日本 々土 復 帰後 今 日 ま での 十 数 年来 、 全 国 一 の 高 率 を 占 め、平 成4年 で14.4、 合計 特 殊 出 生 率 は2.02で あ る。出生 数 を 左 右 す る と言 え る 沖縄 県 の 経 済 状態 は決 して恵 まれ て い る と は 言 え ず 、平 成2年 の年 間所 得 の比 較 で み る と、 全 国279.9万 円 に対 し沖 縄 県199.9万 円 と低 額 で あ る。 この よ うな状 況 で 当 県 の 高 出 生 率 は何 に よ る も の で あ るか の 検 討 を行 う。 1.研 究 目的 沖 縄 県 の 高 出 生 率 を もた らす 要 因 の 検 討 を試 み る こ とに よ っ て 、今 日 の少 子 時 代 で の 母 子 保 健 活 動 に示 唆 す る こ と を 目的 と した 。 II.研 究 方 法 対象 は、 県 内 北 部 、 中 部 、 南 部 地 域 の 市街 地 に 所在 す る幼 稚 園 で 調 査 に 承 諾 の 得 られ た22カ 所 の 幼稚 園 園 児 の 母 親2,200人 の うち 、 回収 さ れ た 1,430人(65%)の 中 で これ か ら の妊 娠 、 出産 の予 定 な しと答 え た 母 親982人 で あ る 。 方 法 は ア ンケ ー ト紙 に よ る郵 送 法 で あ る 。 園長 に 依 頼 し担任 に よ って 園 児 に 配 布 し、 母親 の 記 入 で あ る 。2週 間 据 え 置 き、園 で ま とめ ての 回 収 で あ る 。実 施 は 、平成4年10月 ∼12月 で あ る。 調 査 内容 は 、1)母 親 の 年 令2職 業 の 有無3) 現 在 の 子 供 数4)今 後 の 妊 娠 ・出 産 の 有無5)結 婚 当時 、 生 み た い と思 っ た子 供 の 数 と ① 生 み た い と思 っ た数 よ り少 な く生 ん だ理 由 ② 多 く生 ん だ理 由 ③ 望 み 通 りに生 ん だ が も っ と子 供 を欲 しい と思 い ますか の 質 問 に ハ イ と答 え た 理 由 とイ イエ の 理 由6)妊 娠 ・出 産 ・育 児状 況 に つ い て ① 沖 縄 は 日本 一 出 生 数 が 多 い が そ の理 由 に つ い て ② 妊 娠.出 産 ・育 児 で 負担 に思 っ た こ と ③ 妊 娠 ・出産,育 児 に どん な援 助 を望 み ます か ④ これ か らの妊 娠 ・出産 ・育 児 を奨 励 す る に は ど うい う こ とを必 要 とす る か につ いて の 複 数 回 答 で あ る。 III.結 果 調 査 対象 の母 親 の 年 齢 の 多 い の は30歳 代614人 (62.5%)、 次 い で20歳 代168人(17.1%)、40 歳代159人(16.2%)、50歳 代41人(4.2%)で あ る 。 有 職 者789人(80.4%)、 家 事193人(19.6%) で あ る 。対 象 の 子 供 数 を 出生 順 位別 に 沖縄 県 、全 国 の比 較 でみ る と、 三 者 と も1∼2児 が 多 く対 象 の3児 は沖 縄 と同 数 で全 国 よ り多 い。4児 は全 国 とほ ぼ同 数 で 沖縄 の10.2%よ り少 ない 。(表1) 表1出 生順 位別 にみ た子供諏 (%)結 婚 当 時 よ り生 み た い と思 っ た 子 供 の 数 と 実 際 に 生 ん だ 子 供 の 数 と の 関 係 に つ い て 、 少 な く 生 ん だ と 答 え た も の を1群 、 多 く生 ん だ をI群 、 望 み 通 り に 生 ん だ をIII群 と し そ の 中 で 、 も つ と子 供 を ほ し か っ た をIII群 のY.、 ほ し く な か っ た をIII群 のN.に 分 類 し て み た 。 最 も 多 い の がIII群 の48.9 %で あ り 、 そ の 中 でII群 のY.が8.2%で 、N. が40.7%で あ る.次 にI群31.2%、II群19.9%で あ っ た 。(表2)
表2対
象 の 分 類
人(%) 生 み た い と思 っ た数 と実 際 の 子 供 数 の 総 数 を平 均 でみ る と、 生 み た い数 は2.88人 で 実 際 の 子 供 数 は2.73人 で 、 実 際 の 子 供 数 が0.15人 少 な い 。 そ れ ら をI群 、II群 、III群で み る と 、I群 の生 み た い 数 の 平 均3.35人 に 対 し、 実 際 の 平 均2.13人 で実 際 数 が1.22人 少 な い 。II群 で は 、 生 み た い数 の 平 均 2.36人 で 実 際 数 の 平 均3.58人 で そ の 差 は1.22人 と 実 際 の子 供 数 が 多 い。III群は生 み た い 数 の 平 均 は 2.78人 で実 際 数 の 平 均2.78人 で 同数 で あ る。(表3) 表3生 みたい子供数と実際の子供数 子 供 数 の 分 布 を 総 数 で み る と 、 子 供 が1人 の 者 39.2%,2人 が35.8%、3人 が21.2%、4人 以 上 は3.8%で あ る 。 そ れ ら を 群 別 に み る と 、I群 で 最 も 多 い の が1人(48.5%)、 次 い で2人(39.4 %)で あ る 。II群 は1人 、2人 が29.7%,29.2%で 多 く 、 次 い で3人(26.7%)、4人 以 上(14.4%)で あ っ た 。III群 で 多 い の が1人(37.1%)、 次 い で 2人(36.3%)、3人(24.%)で あ る 。(表4) 表4子供 数 の 分 布 人(%) 出 生 順 位 別 の 母 親 の 出産 年 齢 を 、第1子 か ら第 4子 を 平 均 で み る と、 第1子 が25.5歳 、 第2子 が 28.0歳 、 第3子 は30.7歳 、 第4子32.6歳 で あ り、 20歳 後半 か ら30歳 前半 にか け て の 出 産 で あ る。 こ れ らを群 別 にみ る と 、第1子 出産 年 齢 で 、I群 が 27.4歳、II群 は24.1歳 、m群 で は25.3歳 で あ る 。 I とII群 の 年 齢 の 差 は3.3歳 で あ り、 危 険 率1% で有 意 の 差 が み られ る 。 各 群 の 年 齢 の 開 きは 第2子 出 産 年 齢 ま で み られ 、 第3子 で は 大 差 は見 られ ず 第4子 は ほ ぼ 同数 で あ った 。 な お 、 第1子 出産 年 齢 の 若 いII群 に第4子 を 出産 す る の が 多 いの で あ る 。(表5) 表5出 産 年 齢平均年齢(人数)
各 群 の 出 産 の 理 由 に つ い て は 、1群 の 少 な く生 ん だ 理 由 は 、 経 済 的 に 無 理 の134人(43.6%)が 最 も 多 く 、 次 い で 勤 め て い る の で 無 理130人(42 .3%)、 育 児 が 大 変115人(37.3%)、 お 産 が き つ か っ た74人(24.1%)、 健 康 が 優 れ な い67人( 21.8%)、 自 分 の 時 間 が と れ な い45人(14.6%) 、 住 宅 が 狭 い36人(11.7%)、 妊 娠 に 恵 まれ な か っ た26人(8.4%)、 そ の 他 高 齢 で あ っ た10人 、 悪 阻 、 流 産 を 繰 り 返 す5人 、 夫 との 離 婚 ・死 別4 人 な ど の6.2%で あ っ た 。 II群 の 理 由 で は 、 異 な る 性 の 子 が 欲 し か っ た が 102人(52.3%)と 最 も 多 く 、 次 い で 子 供 が 弟 妹を 欲 しが つ た59人(30.3%、 避 妊 に 失 敗 が49人(25 .1%)、 経 済 的 に 余 裕 が で き た24人(12.3%)、 お 産 が 苦 に な ら な い17人(8.7%)、 育 児 が 楽 し い15人(7.9%)、 老 後 を み て も ら え る10人(5.1%)、 双 子 だ つ た7人(3.6%)で あ つ た 。 III群Y.85人 の 理 由 を み る と 、 子 供 が 弟 妹 を 欲 し が る31人(38.7%)、 異 な る 性 の 子 が 欲 し い29 人(36.2%)、 育 児 が 楽 し い27人(33.7%)、 他 の 子 に 手 が か か ら な い19人(23.7%)、 子 供 が 成 長 し寂 し く な つ た14人(17.5%)、 経 済 的 に 余 裕 が で き た5人(6.3%)で あ つ た 。 III群のN.395人 の の 理 由 で は 、 理 想 ど お り で 満 足258人(65.3%)が 最 も 多 く 、 次 い で 経 済 的 に 無 理 が197人(49.8%)、 育 児 が 大 変143人( 36.2%)、 勤 め て い る の で 無 理122人(30.9%) 、 お 産 が 苦 に な る97人(24.6%)、 自 分 の 時 間 が な い90人(22.8%)、 健 康 が 優 れ な い75人(19.1%) 、 住 宅 が 狭 い39人(9.9%)、 上 の 子 に 手 が か か る34人(8.6%)で あ つ た 。 今 ま で に み て き た 生 み た い 子 供 の 数 の 問 題 に 関 連 し 、 沖 縄 の 妊 娠 ・出 産 数 の 多 い 理 由 に つ い て の 質 問 で は 、 沖 縄 的 の ん び り 、 ゆ つ た り と答 え た の が ト ッ プ で42.5%、 次 い で 子 孫 繁 栄 の 風 潮 が40.0 %、 子 供 は 宝 の 風 潮37.1%、 ま た 親 戚 、 門 中 と の 結 び つ き15.3%で あ っ た 。(図1) 図1妊 娠 ・出産 の 多い 理 由 妊娠 ・出産 ・育 児 に よ っ て負 担 に な っ て い る こ とは 、 ど ん な こ とか の 質 問 の 回 答 で は 、子 供 の 養 育 、教 育 な どに か か る経 済 的 負 担 が 多 い と回 答 し たの が最 も多 く76.8%で あ る。 次 い で育 児 の 負 担 が70.0%、 核 家族 に よ る家 事 の 負 担52.9%、 妊 娠 ・出産 ・育 児 に よ る女 性 へ の 負 担37.1%で あ つ た (図2) 図2妊 娠 ・出産 ・育 児 に よる負 担 妊 娠 ・出産 ・育 児 につ い て 、 どん な支 援 を望 む か の質 問 で は 、最 も多 い の が夫 ・家 族 の 協 力 を望 む の が91.8%と 最 も多 く、 次 い で母 子 保 健 推 進 員 を拡大30.1%、 行 政 施 策 と母子 保健 施 設 の 拡 充27 .8%、 訪 問指 導 の 拡大24.0%、 民 間 団 体 の 協力 活 用18.5%、 地 域 社 会 の人 材 活 用15.3%で あ る。(図3) 図3妊 娠・出産 ・育児に望む支援 実 際 問題 と して これ か らの妊 娠 ・出 産 ・育 児 の 奨 励 に どん な こ とが必 要 かの 質 問 では 、 最 も多 か っ たの が補 助 金 や奨 励 金 を出 す こ とが必 要 と答 え たの が58.0%で あ る 。次 いで 、夫 ・家 族 ・親 族 と の協 力体 制 づ く りが必 要50.1%、 育児 休業 の浸 透 49.3%や 地 域 社 会 で特 に 保 健所 や 保育 所 な どを拠 点 に ネ ッ トワ ー クづ く り47.4%、 地域 母 子 保 健 の 推 進 や啓 蒙 活動 と答 え たの は11.7%で あ つ た。 (図4) 図4妊 娠 ・出産 ・育児 の 奨励
IV.考 察 1.生 み た い 子 供 の 出 産 計 画 と出生 児 数 との 関 係 本 調 査 対 象 の99.5%の 母 親 は 、結 婚 当 時 よ り 生 み た い子 供 の 数 を 決 め て い た と答 え て い る が 、実 際 の子 供 数 の 関 係 をみ る とI群 とII群 に正 反 対 の 現 象 が み ら れIII群で は 同 等 の 現 象 を示 し て い る 。 ま た子 供 数 の 分布 状 況 か らみ て もI群 に1∼2人 の 子 供 を持 つ の が87.9%と 多 く、II・ III 群 に1∼3人 まで の 子供 を持 つ の が85.6%と98 .2と 目立 つ て い る 。 な お4人 の 子 供 を持 つ の は II群 に 目立 ち 、I.III群 に比べ 特 徴 の あ る こ と を 示 して い る。 この よ うな こ とか ら結 婚 当 時 よ り生 み たい 子 供 の 数 を何 人 に 設 定 す るか は 実 際 の 出生 数 に 影 響 を与 え て い る と思 え る 。 そ れ 故 、 結婚 に伴 う家 族 計 画 で生 み た い 子供 の数 の 認 識 を確 立 させ 、 そ の 実 際 支 援 の推 進 に 力 を 入 れ る こ とが 必 要 と考 え る。 2.出 産 年 齢 と出 生 児 数 との 関 係 第1子 出産 年 齢 と実 際 の 子 供 数 との 関係 をみ る と、27.4歳 と年 齢 の 高 いI群 で は子 供 を少 な く生 ん で い る。24.1歳 と年 齢 の 低 いII群 で は子 供 を多 く生 ん で お り、 ま た25.3歳 と中 間 の 年 齢 にあ るIII群で は生 み たい 数 の 子 供 を産 ん で い る な ど と出 産 年 齢 と出生 児 数 との 関 係 の 特 徴 が あ る。 本 調 査 の 第1子 か ら第4子 まで の 平 均 年 齢 を 全 国 の 平 均 を参 考 に み る と全 体 的 に年 齢 は 低 い の で あ る。 この よ うな こ とか ら沖 縄 の 出 生 数 の 多 い こ と は 、 出産 年 齢 に も関 係 して い る もの と 考 え る。 3.異 な る性 の 子 の 出産 と出生 児 数 との 関 係 II群 に子 供 を産 み た い数 よ り多 く生 ん だ理 由 の 上位52.3%に 異 な る性 の 子 供 が 欲 しか っ た 。 またIII群の 子 供 を理 想 通 り生 ん だが も っ と子 供 が欲 しか っ た に 同 じ理 由 で上 位36.2%を 示 し て い る。 この よ うに 異性 の 子 を混 ぜ て 生 む こ と を よ り好 ま し く誰 し も望 む と こ ろ であ る。 ま た同 じ くII群 の 子供 を 多 く生 ん だIII群の 、 まだ 生 み た か っ た の 理 由 の 上 位 に子 供 が弟 妹 を 欲 しが る で あ る 。 この よ うに も う一 人 子 供 を産 む とい う行 動 に は 、異 な る性 の 子 が 欲 しい 、今 い る子 供 が弟 妹 を欲 しが る とい つ たプ ラ イベ ー トの 面 に影 響 され て い る と思 わ れ る。 特 に沖 縄 の地 域 で は祖 先 崇 拝 の 信 仰 が 強 く位牌 とそ れ に 付 随 す る財 産 の 継 承 を 男 の 子(長 男)に す る と い う風 俗 が 未 だ 存在 して い る こ とか ら、男 の子 を出 産 す る た め に 出生 児 数 を 多 く して い る と も 考 え られ る 。 4.沖 縄 地 域 の風 俗 と出生 児 数 との 関 係 当 県 の妊 娠 ・出 産 の 多 い理 由 にあ げ られ た、 子 孫繁 栄 ・子 供 は宝 ・親 戚 門 中(子 孫 を共 通 に 父 系血 縁 に よ っ て結 び付 く共 同 体)と の 強 い結 び付 き な どの 風 俗 や民 族 性 は 地 域 環 境 の の ん び りム ー ドと と もに妊 娠 出 産 を 助長 し子 沢 山 に 通 じて い る と思 わ れ る 。 出生 率 全 国 一 を 維持 して い る要 因 に地 域 性 、文 化 的背 景 も加担 して い る もの と考 え られ る 。 5.経 済 力 と出生 児 数 との 関 係 経 済 的 問題 が妊 娠 ・出 産 ・育 児 の 負担 の上 位 に あげ られ 、 そ の解 消 や 奨 励 に必 要 な経 済 的援 助 と して補 助 金 ・奨 励 金 を トップ に あ げ て い る 。 またI群 に少 な く生 ん だの 一位 に経 済 的 無 理 、II群 の 多 く生 ん だ の 理 由 の4位 に経 済 的 余 裕 が で きた で あ っ た。 この よ うな こ とか ら経 済 的 理 由 は 出生 児 数 に 影 響 す る重 要 な要 因 と考 え られ る 。 当県 の 年 間 所 得 か らみ て全 国 平 均 よ り低 額 で経 済 的 に恵 ま れ な い 中 で高 出 生 率 で あ る こ とは前 述 の とお り 沖縄 の 地 域 性 と血 縁 ・地 縁 の 結 び付 き が未 だ確 か に機 能 して い る もの と考 え られ る 。 VI.結 語 沖 縄 に お け る高 出生 率 を もた らす い くつ か の要 因 を検 討 す る こ とが で き た 。沖 縄 地 域 に伝 わ る妊 娠 ・出産 ・育 児 に関 わ る風 習 や民 族 性 を 活 か し幸 せ な 生 命 誕生 に連 な る よ り一 層 の助 長 を 図 る ため 、 夫 や家 族 に よる サ ポ ー ト体 制 ・地 域 母 子 保 健 機 関 や 人 材 資源 を 活 用 した ネ ッ トワ ー クづ く りな ど 、母 子 保 健 対 策 の 拡 充 とそ れ に 伴 う地 域 母 子 保 健 活 動 の 推 進 と実 践 が 期 待 され る。 少 子 時 代 に お け る妊 娠 ・出産 ・育 児 の 現 状 進 展 に か か わ る一 端 と
して、 今 後 、研 究 方 法 を確 立 し継 続 す る こ とに 努 力 し たい 。 参 考 文 献 1)厚 生 統 計 協 会:厚 生 の 指 標 臨 時 増 刊 国民 衛 生 の 動 向 第40巻 第9号105-1131993 2)毎 日新 聞 社 人 口 問 題 調 査 会:第18回 全 国 家 族 計 画世 論 調査 報 告 書1986 3)財 団 法 人 沖縄 家 族 計 画 協 会:沖 縄 の 家 族 計 画 1969 4)財 団 法人 日 本家 族 計 画 協 会:現 代 の 家 族 計 画 1984 5)島尻 貞子,仲 村 美 津 江 他:沖 縄 県 にお け る家 族 計 画 の 実 態 調査 沖縄 県 公 衆 衛 生 学 会 誌 第21号9-21 1992 6)環境 保 健 部 保 健 総 務 課:環 境 保 健 の 概 要 145-177平 成5年 7)沖縄 県 総 務 部 女 性 政 策 室:93お きな わ 女 性 白 書 平成5年 8)野 嶋 佐 由美 監 訳 家 族 看護 学(理 論 と アセ ス メ ン ト)へ る す 出版279―298 1993