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学位論文内容の要約 Thrombomodulin improves rat survival after extensive hepatectomy. ( 過大肝切除後肝不全におけるトロンボモジュリンの肝保護作用 ) Yohei Ota 大田洋平 Department of Gastroentero

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Academic year: 2021

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学位論文内容の要約

Thrombomodulin improves rat survival after extensive

hepatectomy.

(過大肝切除後肝不全におけるトロンボモジュリンの肝保護作用)

Yohei Ota

大田 洋平

Department of Gastroenterological Surgery,

Yokohama City University Graduate School of Medicine

横浜市立大学

大学院医学研究科 消化器・腫瘍外科学

Thesis Adviser:Itaru Endo, Professor )

( 指導教員:遠藤 格 教授 )

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学位論文内容の要約

Thrombomodulin improves rat survival after extensive

hepatectomy.

(過大肝切除後肝不全におけるトロンボモジュリンの肝保護作用)

【背景】広範な肝切除は時として致死的となる.教室ではラットの 90%肝切除は全例生存 する一方,95%肝切除は致死的であることを報告し,以後過大肝切除についての研究を進め てきた.過大肝切除後肝不全のメカニズムとして教室ではこれまでに肝切除の侵襲により Heat shock protein 発現低下やアポトーシス関連遺伝子の発現変化によるアポトーシスの 促 進 ,Cell Cycle 関 連 遺 伝 子 や 肝 細 胞 分 裂 を 抑 制 す る Plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)の発現変化による肝細胞再生遅延があることを報告してきた. Thrombomodulin(TM)は主に 3 つの作用を持つ.第 1 の作用として血管内で TM が Thrombin と結合し血管内皮で Protein C(PC)を活性化することで凝固因子を不活化し強力 な抗凝固作用を有する..第 2 の作用として TM が代表的な Alarmin のひとつである HMGB-1 を吸着分解することで抗炎症作用を持つ. これらの作用から Recombinant TM(rTM)が抗 DIC 治療薬として臨床応用されている.さらに第 3 の作用として活性化 Protein C が Protease activated receptor-1(PAR-1)を介して Apoptosis 関連遺伝子を発 現変化させることで抗アポトーシス作用を持つ. 近年では線溶系や組織修復に関与する Plasminogen activetor inhibitor-1(PAI-1)の発現に与える作用も報告されている.

【目的】上記の諸作用によってトロンボモジュリンが過大肝切除後肝不全予防に有用では ないかとの仮説を立て,ラット過大肝切除モデルの肝不全の予防に対してrTM の肝保護作 用を明らかにした.

【対象と方法】8 週齢雄性ラットに rTM(TM 群)と生食(対照群)を尾静脈より緩徐に静脈内 投与したのち 95%肝切除を行った.まずトロンボモジュリンの至適投与量を明らかにする

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ため,対照群とトロンボモジュリン投与量を生食対照群,1,2,4mg/kg の 3 群に分けて 1 週間生存率,生存期間を比較した. 2mg 投与群で対照群と比較して 1 週間生存率・生存期間が延長した.以後の実験は TM の 投与量を2mg/kg とした.TM 群または対照群で薬剤投与後に 95%肝切除を行い,切除直後, 切除後1,3,6,12,24 時間目で肝臓、血液を採取し血液生化学データ,組織学的変化, 遺伝子発現変化を比較検討することでTM の肝不全抑制効果について解析した. 【結果】TM 群で 1 週間生存率(TM 群:対照群= 28.6%:0% p<0.001)、生存期間中央値(52h: 20h p<0.001)が有意に延長した(図 1). 図1 95% 肝切除+rTM 1mg,2mg,4mg,生食コントロールでの生存率の比較(執筆 者作成) 血液生化学検査ではTM 群は対照群と比較して術後 6 時間目の ALT 値が抑制された.細胞 増殖マーカーであるKi67 陽性細胞が術後 3,6,12 時間後で有意に増加し,TUNEL 陽性 細胞は術後3,6,12 時間後で有意に減少した.Real Time PCR では rTM 群で PAR-1 が 術後6 時間で有意に増加し,肝再生遅延を惹起する PAI-1,アポトーシス促進遺伝子 Bax もそれぞれ術後6 時間で有意に減少した.また肝細胞増殖因子 HGF が術後 3 時間で有意に

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増加した.免疫組織学的染色とウエスタンブロットではTM 群で肝細胞の PAR-1 mRNA お よび24 時間後のタンパク発現の増加を認めた. 【考察】結果からrTM の投与がラット過大肝切除モデルで生存率,生存期間の延長に寄与 したと考えられた. 致死的な過大肝切除モデルでは高サイトカイン血症が惹起されるが血管内皮障害は軽度で, 血管内皮障害による敗血症性DIC とは病態が異なると考えられている. 過大肝切除後の肝 不全の機序として門脈圧の上昇,ミトコンドリアのエネルギー危機などから Free radical および高サイトカイン血症が誘導されたことで肝細胞のアポトーシスと残肝再生遅延によ り肝不全が惹起されることが報告されている.cDNA マイクロアレイの結果から過大肝切 除モデルではp21,Fas,多くの Caspase が高発現し Bcl-2 family が低発現で過大肝切除 後の肝不全がアポトーシスにより惹起される可能性が示唆されている. アポトーシスの減少はrTM 投与による PAR-1 の発現増加が寄与したと考えられた.PAR-1 はTM により活性化された PC により発現増加する.APC は PAR-1 を介して抗アポトーシ ス蛋白であるBcl-2 レベルを維持した状態で向アポトーシス蛋白である p53、Bax の低発現 による抗アポトーシス効果を有する.結果からrTM の投与によりアポトーシスの有意な減 少があり,Bax の発現減少があり rTM の抗アポトーシス作用による生存率の向上と生存期 間の延長が示唆された. 肝切除後は肝再生により肝重量が回復するが,肝細胞の定常状態であるG0 期から肝切除な どのプライミング刺激により細胞外マトリックス(Extracellular matrix 以下 ECM)が plasminogen activetor(PA)により分解されることで G1 期に入り肝再生が促進されるため ECM の分解は肝再生の初期段階で重要な役割を果たしていることが報告されている.一方 でPAI-1 は、線維素溶解カスケードにおける PA の重要な生理的不活性化物質であり肝再生 の負の調節因子とされ,過大肝切除により PAI-1 が過剰発現することで術後の肝再生が遅 延することが明らかになっている. rTM は Thrombin と結合した後 PC と結合して PC を活性化させる.活性化 PC は Protein S を補酵素として FVa, FVIIIa を選択分解してトロンビン形成の律速段階であるテナーゼ、 プロトロンビナーゼ複合体産生を抑制して抗凝固作用を示すと同時に PAI-1 と結合不活化 して向線溶作用を発現する.PAR-1 は Gi タンパクを誘導することで TNF-α依存性 E -セ レクチンなどの細胞接着分子の発現抑制を介して好中球活性化の阻害,VCAM-1,および

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ICAM-1,PAI-1 の抑制を通じて線維素溶解状態を促進することが明らかになっている.rTM 投与により PAI-1 の発現低下が見られ,組織学的にも肝再生の促進による過大肝切除後肝 不全の予防への寄与が示唆された. 今回の結果から推測される過大肝切除後肝不全予防のメカニズムについて図2 に示す. 図2 rTM による肝切除後肝不全予防におけるメカニズム(執筆者作成) rTM の投与により SPHK-1 の高発現を認めた.SPHK-1 は PAR-1 や APC を介して活性化 しS1P を生成する.S1P にはアポトーシスを抑制する調節因子としての働きがありその動 的均衡が細胞の生死に関与すると考えられているが不明な点も多い.rTM の投与により S1P を介したアポトーシス抑制作用などの多方面の機序により rTM 投与早期の段階から肝 保護作用を持つ可能性が示唆されたが今回の実験では検証が不十分であった. 一方,HMGB-1,IL-6 は rTM 投与後 24 時間以内には有意な変化が見られず過大肝切除後 におけるrTM 投与による抗炎症反応の肝不全との因果関係は明らかにできなかった.肝切 除後のサイトカインの変化は虚血再灌流モデルでは活性化PC,rTM 投与により HMGB-1 やサイトカインの低下が起こることが明らかになっており,rTM 投与による炎症反応と肝 不全の関連については観察期間の延長などさらなる研究が必要と思われた.

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【結語】 rTM には PAR-1 を介した肝再生促進とアポトーシス抑制による肝保護作用を認 めた。rTM は過大肝切除後の治療戦略の選択肢となる可能性がある.

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論 文 目 録

Ⅰ 主 論 文

Yohei Ota, Takafumi Kumamoto, Atsushi Ishibe, Kazuteru Watanabe, Ryutarou Mori, Koichi Taniguchi, Ryusei Matsuyama, Hirochika Makino, Michio Ueda, Toru Kubota, Hirotoshi Akiyama, Kuniya Tanaka, Yasushi Ichikawa, Itaru Endo. Thrombomodulin improves rat survival after extensive hepatectomy. (2014), J Surg Res. 2015 Apr;194(2):375-82. doi: 10.1016/j.jss.2014.10.048. Epub 2014 Nov 5.

Ⅱ 副 論 文 なし

Ⅲ 参 考 論 文 なし

参照

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