80 完全な機能回復を見た.残る一例は回復せず現在に 至っている.しかし,全例2ヵ月以内に気切カヌーラ を抜去,退院出来た.リンパ節の部位別転移率,転移 度も報告した. 33.駒込病院における食道表在癌症例の検討 (都立駒込病院外科) 岩塚 迫雄・吉田 操・増山 克 開院以来10年置経過したが,その問,当科に入院し た食:道癌症例は293例であり,そのうち切除例は215で 切除率は73%である.しかし切除例のうちStage IV は50%で進行例が多く,Stage O, Stage Iは計15例で 併せて7%にすぎない.しかし,最近表在癌症例が少 しずつ増えつつあり,表在癌も18例を数えるように なった.これら表在癌症例について検討した.18例中 4例が早死しているが,これらはいずれもsm症例で, 表在癌といえどもsm症例は予後不良のものもあり, とくにIy(+),v(+)症例は予後がよくない.このよ うな症例には術後の化学療法も考慮すべきである.以 上表在癌について報告したが,更に症例を増やして検 討を続けたい. 34.中山記念胃腸科病院の現況 (中山記念品腸科病院) 林 恒男・矢川 彰治・上田 哲哉・ 安康 晴博・金子 篤子 当院開院以来2年8ヵ月,消化器病センターの全面 的協力を得て,中山記念病院に相応しい病院造りに専 念し,当初の予想を上回る成績を挙げることが出来た. 本年8月末を目標に109床へと現在増築工事中である. 個室を中心とした病室増床,手術室,中材,回復室, ナースステーション,X側室等の拡充を図っている. これまでに経験した624例の手術例を中心に現況を報 告した.624例中,虫垂切除術は188例で,悪性疾患は 136例であり,食道5,胃70,大腸40,胆のう,胆道系 5,膵5,肝1例等である.このうち早期食道癌2, 早期胃癌14,早期大腸癌2例を経験し,十二指腸乳頭 部括約戸内に限局した癌(リンパ節転移陽性)1例の 治験例も得ている.長径8mmの微小早期癌(m癌), 膵炎進行により増強した線維性食道狭窄を合併した早 期食道癌(m癌),primary sclerosing cholangitis,直 腸悪性黒色腫,十二指腸乳頭部癌等を供覧した. 35.B型肝炎とは何か一B型肝炎症候群の提唱一 (国立横浜病院消化器科)
林直諒・栗原毅・鴨川由美子・
横山 聡・進藤 仁 種々のHBVマーカー陽性を示す症例について検討 し,B型肝炎の診断は疾患診断ではなく症候群ととら えるべきであると結論した.IgM HA抗体陽性A型急性肝炎で, HBsAg(+), Anti HBs(一)で, HBeAgは当初陽性その後消失し た例があった.組織ではしC.この例はA型およびB型 肝炎ウイルスマーカーを同時測定し,初めて全体像が つかめた例で,B型肝炎の診断は除外診断も加えて初 めてしうることを示す.B型慢性肝炎ではhealthy carrierのゼロパターンがHBsAg(十),HBeAg(十), Anti HBc(+)であるのと同一のものが多い.又anti HBe(+)のものでも活動性のものもみられる.以上 より血清ウイルスマーカーでは病態の診断が全くし得 ないことが分る.更にHBeAgのみ陽性を示し, HBs, HBc抗原,抗体, DNAP全て陰性で,非Bと思われた が,組織内にHBV DNAをみた例があった.このよう にB型肝炎の診断基準は自明とはいえず,B型肝炎と は症候群診断として認識するべきであろう. 36.慢性膵炎に対する全胃幽門輪温存膵頭十二指腸 切除術 (東京女子医大消化器病センター外科) 鈴木 衛・羽生富士夫・中村 光司・ 今泉 俊秀・吉川 達也・大橋 正樹・ 重松 恭祐・中等 利明・新井田達雄・ 梁 英樹 1935年Whipple等が十二指腸乳頭肝癌に対し,最初 の膵頭十二指腸切除術施行以来約50年を経ている.こ の間,消化管再建法については,Whipple自身,ある いはChild, Cattell等によって,幾多の工夫と変遷を 経て,今日に至っている.最近まで,術後の吻合部潰 瘍発生の危惧から,膵頭十二指腸切除術に際しては, 原病巣の状況とは全く無関係に広範囲な胃切除が行な われてきた,1977年Traverso and Longmire lま,こ の胃切除という既存概念を打ち破り,全胃幽門輪温存 による膵頭十二指腸切除術の2症例を報告した.本邦 においても,1981年頃から諸家によって追試され,わ れわれも,現在までに,慢性膵炎10例,膵胆管合流異 常3例,十二指腸乳頭部癌1例の計14例に,全胃温存 膵頭十二指腸切除術を行なった.そして,術後一過性 の胃内容排出遅延以外は,重篤な合併症もなく,さら に術後体重増加については従来の膵頭十二指腸切除術 に比べ良好であった.現在のところ,癌性疾患に本術 一532一
81 式の適応は慎重でなければならないが,慢性膵炎や, 膵胆管合流異常症,十二指腸あるいは乳頭部良性腫瘍 などで,膵頭十二指腸切除術が適応となる場合には, 試みるべき術式であろうと考えている. 37.幽門輪温存・膵胃吻合による 膵頭十二指腸切除術 (帝京大学第一外科) 高田 忠敬・安田 秀喜・内山 勝弘・
長谷川浩・四方淳一
幽門輪温存膵頭十二指腸切除後の再建では,これま で膵はいずれも空腸と吻合されてきた.そのため,挙 上空腸のねじれやblind loopの問題があった.そこ で,膵胃吻合をとりいれた再建術式を考案した.切除 範囲は,膵に関しては通常の膵頭十二指腸切除術と同 じであるが,全胃ならびに幽門輪を温存する.十二指 腸の切離は,幽門輪の約4cm下方で行ない,かつ肛門 側腸管の切離を十二指腸第3−4部で行なうこともこ の術式の特徴の1つである.再建は,膵尾側を胃内に 陥入する形で吻合し,ついで,十二指腸・十二指腸端々 吻合,胆管・空腸端側吻合を行なう. この手術の特徴は,膵胃吻合を取り入れることによ り消化管配列をむだのない簡単な1列配列にした事:で ある. 指定講演1.消化器血管造影に対するコンビュー ターの応用 武藤 晴臣 ここ数年,肝,膵などの実質臓器に対する治療法は 著しい進歩を遂げたが,それに対応し血管造影室も, 昨年秋,機器の更新,整備を行なったが,その内,コ ンピューターに関するものを具体例を交えながら説明 した. まず,画像処理としては,いわゆるDSAの他に透視 像の改善,透視線量の軽減も行なえる様にしたが,さ らにに撮影されたmmに対しても種々の画像処理を 行なえる様にした.これにより,今まで施行されてい なかったSubtraction像に対するRelief, Edge En・ hancementなどが容易に施行され得るようになった. 今後,門脈像,小肝癌などの診断能の向上が期待され る. 血管像の三次元表示はマイコンで表示するが,今回 導入された立体撮影装置との組み合わせで,肝等の厚 みのある臓器の部位診断,支配血管の同定などに威力 を発揮しよう.さらにFilm Changer, Injectorなどの制御,チェッ クをマイコンで行ない安全性を高めた. 指定講演2.早期胃癌の内視鏡的治療 丸山 正隆 95例107病変の早期胃癌に対して内視鏡的治療を行 なった.内視鏡的治療として,レーザー照射,ポリペ クトミーの外,純エタノール局所注射と粘膜切除術(粘 切)を用い,症例によってはこれらを併用した. 癌の陰性胃癌は全体で65.4%で,肉眼型では隆起型 77。2%(44/57例),陥凹型46.5%(20/43例),組織型 では高分化型75%(39/52例),中分化型59.5%(25/42 例)となっていた. 純エタノール川平後手術を行なった24例では本法単 独例19例中2例が摘出標本に癌を認めず,本法で癌が 消失していた.標本上癌陽性だった17例には初期の試 験的注入や部分的治療例がかなり含まれている.本法 後経過を見ている27例中本法単独例は12例で,この内 3例は併存疾患の増悪で治療を中止したが,残る9例 中7例は現在のところ癌陰性となっている. 粘膜切除後手術を行なった13例の内10例は本法単独 施行例で,この中で結果の出ていない1例を除く7例 で癌は陰性となっていた.経過観察の30例では本法単 独の28例全例が癌陰性となった.しかし,1例は約8 ヵ月後により低分化な癌が再発した. レーザー照射は14例に施行したが,単独施行例は経 過観察例2例のみで,これらは今のところ癌陰性と なっている.ポリペクトミーは歴史も永く,最長9年 になるが,14例全例現在のところ癌が消失している. 以上の結果から,アルコールやレーザーによって癌 を胃内で破壊する方法より,ポリペクトミーや粘切の ように癌を取り出す方法の方が優れていると言うこと ができる. 内視鏡的治療の適応は今のところ手術不可能な症例 に限られているが,微小胃癌を見つけ出す努力は局所 の治療のみで,胃を温存して初めて本当の意義を発揮 する.この場合局所リンパ節への転移の有無が問題と なる.早期胃癌手術1,019例の検討からは,1cm以下で 中分化型以上の隆起型で,さらに深達度mであれぽ内 視鏡的治療の適応と言うことができる. 教育講演 胆道感染症の臨床 羽生富士夫 胆道感染症は閉塞性黄疸とならんで,胆道疾患の二 大症候であり,これを看過すれぽ原疾患の診断がおろ 一533一