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上 肢 の 骨 1 上 肢 の 骨 は 上 肢 帯 ( 肩 甲 帯 )と 自 由 上 肢 が 区 別 される 上 肢 帯 骨 鎖 骨 肩 甲 骨 自 由 上 肢 上 腕 骨 橈 骨 尺 骨 手 の 骨 手 根 骨 舟 状 骨 月 状 骨 三 角 骨 豆 状 骨 大 菱 形 骨 小 菱 形 骨 有 頭

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(1)

上肢の運動器

骨 01 関節 10 筋 22 横断 33 動脈 34 静脈 36 神経 37 神経支配 41

東京有明医療大学 木村明彦

2015 年 10 月 01 日変更

(2)

上肢の骨

上肢の骨は上肢帯(肩甲帯)と自由上肢が区別される。

上肢帯骨 鎖骨 肩甲骨 自由上肢

上腕骨 橈骨 尺骨 手の骨 手根骨

舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨 大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨 中手骨(第1~第5)

指節骨

基節骨(第1~第5)

中節骨(第2~第5)

末節骨(第1~第5)

上肢帯の骨

上肢帯は鎖骨と肩甲骨でつくられる。

鎖骨

鎖骨はS字状に彎曲した骨である。

全長の約2/3に相当する内側で前方へ凸の形をとり、外側では後方へ凸の彎曲を示す。

胸骨に向かう胸骨端と肩甲骨に向かう肩峰端がある。胸骨端にはほぼ三角形を呈する胸骨関節面がある。肩峰関節面はほぼ卵円 形である。

鎖骨下面の胸骨端の近くに肋鎖靭帯圧痕がある。鎖骨体の下面には鎖骨下筋溝がある。肩峰端の近くで下面に円錐靭帯結節と いう結節が隆起しており、その前外側には菱形靭帯線がある。

鎖骨への筋付着

停止

鎖骨の下面 鎖骨下筋 鎖骨の外側1/3 僧帽筋

起始

鎖骨の内側1/2 大胸筋_鎖骨部 鎖骨の外側1/3 三角筋_鎖骨部

(3)

肩甲骨

肩甲骨は扁平な三角形の骨である。前面である肋骨面は軽くくぼんでいる(肩甲下窩)。

背側面は肩甲棘によって、狭い棘上窩と広い棘下窩とに分けられる。肩甲棘は内側の棘三角に始まり、外側へ向かうにつれて高く なり、圧平された肩峰をつくって終わる。外側端の近くに鎖骨と結合するための肩峰関節面がある。肩峰角は容易に触れることのでき る骨の突出点であって、この外側縁が肩甲棘に移行する。

外側角には関節窩がある。その上縁には関節上結節がみられる。下方には関節下結節がある。関節窩の上には烏口突起があり外 前方へ直角をなして屈曲し、扁平になって終わる。肩峰とともにその下にある関節を保護している。烏口突起の基底部の内側で上縁 には肩甲切痕という切れ込みがみられる。

肩甲骨は胸郭に接している。肩甲棘は位置を定めるのに役立ち、これはほぼ第3胸椎の高さにあることになっている。下角は第7~

8肋骨の間にあり、内側縁は上肢を下垂したときには棘突起の列と平行している。関節窩は外前方を向いている。

肩甲骨への筋付着

停止 起始

肩甲棘 僧帽筋 肩甲下窩 肩甲下筋

肩峰 僧帽筋 肩甲骨の肩甲棘 三角筋_肩甲棘部

肩甲棘より下方 大菱形筋 棘上窩 棘上筋

肩甲骨上角 肩甲挙筋 棘下窩 棘下筋

肩甲骨内側緑 前鋸筋、小菱形筋(肩甲棘 より上方)、大菱形筋

肩峰 三角筋_肩峰部 肩甲骨外側縁 小円筋

烏口突起 小胸筋 肩甲骨下角 大円筋

関節上結節 上腕二頭筋_長頭 関節下結節 上腕三頭筋_長頭

烏口突起 烏口腕筋、上腕二頭筋_短頭

(4)

自由上肢骨

上腕骨、前腕骨(橈骨、尺骨)、手骨(手根骨、中手骨、[手の]指節骨)をいう。

上腕骨

上腕骨は肩甲骨、尺骨および橈骨と関節によって連結している。この骨は骨幹または骨体と近位(上)ならびに遠位(下)端とからな る。

上端は上腕骨頭をつくっており、解剖頚によって境されている。上端の前面には外側に大結節、内側に小結節がある。両結節の間 で結節間溝が始まり、この溝は下方では小結節稜と大結節稜によって境されている。

骨体の上方には外科頚がある。骨体のほぼ真ん中で外側に三角筋粗面がみられる。上腕骨体は内側縁をもつ内側前面と、外側 縁がある外側前面とに分けられる。外側縁は下方では鈍くなり、外側顆上稜といわれる。骨体の後面には橈骨神経溝がある。

下端には内側によく発達した内側上顆、外側に発達のよくない外側上顆がみられる。

上腕骨滑車と上腕骨小頭は前腕骨と関節で連結している。上腕骨小頭の上方には橈骨窩が、滑車の上方にはやや大きな鉤突窩 がある。

上腕骨滑車の内側には尺骨神経溝という浅い溝が走る。後面では滑車の上方に肘頭窩という深いくぼみがある。

上腕骨への筋付着

停止 起始

大結節 棘上筋、棘下筋、小円筋 上腕骨体前面の下半部 上腕筋

小結節 肩甲下筋 上腕骨体外側面 上腕三頭筋_外側頭

大結節稜 大胸筋 上腕骨体後面 上腕三頭筋_内側頭

小結節稜 広背筋、大円筋 上腕骨下部外側緑 腕橈骨筋

上腕骨体 烏口腕筋 上腕骨内側上顆 円回内筋_上腕頭、橈側手根屈筋、

長掌筋、尺側手根屈筋_上腕頭、浅 指屈筋_上腕尺骨頭

三角筋粗面 三角筋

上腕骨外側上顆 肘筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根 伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手 根伸筋_上腕頭、回外筋

(5)

前腕の骨

外側の𣓤𣓤骨と内側の尺骨からなる。

橈骨

橈骨に橈骨体、上端および下端を区別する。

上端には関節面をもつ橈骨頭がある。その関節面は関節環状面に続く。橈骨頚と橈骨体との移行部の内側に橈骨粗面がある。

下端には外側に茎状突起、内側に尺骨切痕がある。下方へ向かって手根関節面がある。後面には発達の程度に差のある溝があり、

それらの溝には長い諸伸筋の腱が走っている。外側(橈側)から内側(尺側)へかけて、第1溝は長母指外転筋と短母指伸筋の腱を容 れるもので、茎状突起にある。第2溝は長および短橈側手根伸筋の腱を納めている。第3溝は斜めに走り、長母指伸筋の腱を通して いる。第4溝は[総]指伸筋と示指伸筋を受け入れている。第3溝の外側にある骨稜は多くの場合触れることができるが、これは後結節

(6)

ともいわれる。

尺骨

尺骨は尺骨体と上および下端をもっている。

上端には鈎状に曲がった粗面をもつ突起、すなわち肘頭がある。前には滑車切痕があり、鈎状突起に及んでいる。

外側には橈骨切痕があり、この切痕は橈骨の関節環状面と適合するようになっている。

尺骨体への移行部に尺骨粗面がみられる。外側へ向かって、橈骨切痕の延長線上に回外筋稜がある。尺骨の前面にはほぼ真ん 中に栄養孔がある。尺骨頭には関節環状面がある。

尺骨の下端には茎状突起という小さい突起がある。

(7)

前腕の骨(橈骨・尺骨)への筋付着

橈骨 橈骨

停止 起始

橈骨粗面 上腕二頭筋 橈骨体前面 長母指屈筋 橈骨下部前面 方形回内筋 橈骨体背面 長母指外転筋 橈骨上部外側面 回外筋 橈骨体下部背面 短母指伸筋 回内筋粗面 円回内筋 橈骨上部の前面 浅指屈筋_橈骨頭 橈骨茎状突起 腕橈骨筋

尺骨 尺骨

停止 起始

肘頭 上腕三頭筋 鈎状突起 円回内筋_尺骨頭 尺骨粗面(尺骨) 上腕筋 尺骨粗面 浅指屈筋_上腕尺骨頭 尺骨上部後面 肘筋 尺骨体前面 深指屈筋

尺骨下部前面 方形回内筋

尺骨体後面 長母指外転筋、長母指伸筋 尺骨体下部背面 示指伸筋

尺骨上半部の後緑 尺側手根屈筋_尺骨頭 尺骨後緑上部 尺側手根伸筋_尺骨頭 回外筋稜 回外筋

手の骨

手根骨

近位列:舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨 遠位列:大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨 中手骨(第1~第5)

指節骨

基節骨(第1~第5)

中節骨(第2~第5)

末節骨(第1~第5)

手根骨

手根は8個の手根骨からなる。手根骨は4個ずつが2列に並んでいる。

近位手根骨の列には外側から内側へ向かって舟状骨、月状骨、三角骨およびこれに積み重なって豆状骨がある。

遠位手根骨の列では外側から内側へ大菱形骨、小菱形骨、有頭骨および有鈎骨がみられる。

これらの手根骨はいずれも近隣の骨と関節をつくるための小面をもっている。

全手根骨すなわち手根骨の両列は、一体としては上方へ凸、下方へ凹の形を呈する。掌側へ向かっても手根は凹面をなし、その 上を屈筋支帯という靭帯が張っている。そのすき間には骨線維性の管である手根管が通る。この屈筋支帯は舟状骨と大菱形骨から 有鈎骨と豆状骨を伴う三角骨にまで広がる。

(8)

手根管

手掌面には、舟状骨結節と大菱骨結節を外側の隆起、豆状骨と有鉤骨鉤を内側の隆起とし、近位列:舟状骨→月状骨→三角骨、

遠位列:大菱形骨→小菱形骨→有頭骨→有鉤骨を底とした手根溝があり、その上を屈筋支帯が張り手根管を作る。

手根管には、正中神経、長母指屈筋腱(1本)、浅指屈筋腱(4本)、深指屈筋腱(4本)が通る。橈側手根屈筋腱は舟状骨結節、大 菱形骨結節の内側で屈筋支帯の下方を通るが、手根管を通るものとは考えない。

長掌筋の停止腱膜は屈筋支帯の上方を通過する。

豆状骨の外側、有鉤骨鉤の上方には尺骨神経管(ギヨン管)が構成され、尺骨動・静脈、尺骨神経が通る。

手根管症候群

何らかの原因で正中神経が手根管の中で圧迫されると、手根管より末梢の正中神経支配領域の障害がおこる。症状は痛み・しび れ、母指球の萎縮などである

中手骨

5本の中手骨はそれぞれ頭、体および底からなる。両端には一方では手根骨と、他方では指骨と結合するための関節面がある。中 手骨は掌側へ軽く凹をなし、手背側へは軽く凸をなして湾曲している。手背面は頭に向かって特徴的な三角面を示す。第 1 中手骨 の近位関節面は鞍状を呈する。

(9)

指節骨

[手の]指骨は複数の指節骨よりなる。すなわち基節骨、中節骨および末節骨である。母指(第1 指)だけは例外的に2 つの指節骨

(基節骨・末節骨のみで、中節骨がない)しかもっていない。

基節骨の掌側は平らで、手背側には横方向に凸をなし、屈筋の線維性腱鞘が付着するためのとがった粗な角をもっている。基節 骨には体があり、遠位には頭(滑車ともいわれる)、近位には底がある。底には横長の卵円形の窩状の関節面があり、中手骨と関節を つくる。

中節骨では、底は誘導稜をもち、基節骨の頭と適合するようにつくられている。

末節骨も同様に底に稜がある。その遠位端には掌面に深指屈筋の腱が付着するための粗面があり、また掌面にシャベル形の末節 骨粗面もあって、これが頭の先端をなしている。

種子骨は母指の中手骨・基節骨間の関節結合に2つ並んで出現する。

手の骨への筋付着

手根骨

停止 起始

豆状骨 尺側手根屈筋 舟状骨 短母指外転筋 豆状骨 小指外転筋

大菱形骨 短母指屈筋_深頭、母指対立筋 小菱形骨 短母指屈筋_深頭

有頭骨 短母指屈筋_深頭、母指内転筋_斜頭 有鈎骨 短小指屈筋、小指対立筋

中手骨

停止 起始

第1中手骨底 長母指外転筋 第3中手骨手掌面 母指内転筋_横頭 第1中手骨体の橈側縁 母指対立筋 第1・2中手骨の相対面 [手の]第1背側骨間筋 第2(第3)中手骨底 橈側手根屈筋 第2・3中手骨の相対面 [手の]第2背側骨間筋 第2中手骨底 長橈側手根伸筋 第3・4中手骨の相対面 [手の]第3背側骨間筋 第3中手骨底 短橈側手根伸筋 第4・5中手骨の相対面 [手の]第4背側骨間筋 第5中手骨の尺側緑 小指対立筋 第2中手骨の尺側 第1掌側骨間筋 第5中手骨底 尺側手根屈筋 第4中手骨の橈側 第2掌側骨間筋 第5中手骨底 尺側手根伸筋 第5中手骨の橈側 第3掌側骨間筋

指節骨

停止

第1指基節骨底 短母指伸筋、短母指外転筋、短母指屈筋、母指内転筋 第2指基節骨底・指背腱膜の尺側 第1掌側骨間筋

(10)

第4指基節骨底・指背腱膜の橈側 第2掌側骨間筋 第5指基節骨底・指背腱膜の橈側 第3掌側骨間筋 第2指基節骨底・指背腱膜の橈側 [手の]第1背側骨間筋 第3指基節骨底・指背腱膜の橈側 [手の]第2背側骨間筋 第3指基節骨底・指背腱膜の尺側 [手の]第3背側骨間筋 第4指基節骨底・指背腱膜の尺側 [手の]第4背側骨間筋 第2指基節骨底橈側面・指背腱膜 [手の]第1虫様筋 第3指基節骨底橈側面・指背腱膜 [手の]第2虫様筋 第4指基節骨底橈側面・指背腱膜 [手の]第3虫様筋 第5指基節骨底橈側面・指背腱膜 [手の]第4虫様筋 第5指基節骨底 小指外転筋、短小指屈筋

第2~5指の中節骨 総指伸筋 第2~5指の中節骨底 浅指屈筋

第1指末節骨底 長母指屈筋 第1指末節骨底 長母指伸筋 第2~5指の末節骨 総指伸筋 第2~5指の末節骨底 深指屈筋

(11)

上肢の関節

肩関節(広義):胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節(狭義の肩関節)

上肢帯(肩甲帯)とは、肩関節周辺の機構の総称である。

手の巧緻性の高い運動機能を最大限に発揮させるために、上肢帯は可動性を主とした構造になっている。体幹と上肢は胸鎖関節、

肩鎖関節、肩(肩甲上腕)関節の3関節と肩甲骨と胸郭のあいだの筋によって連結されるが、上肢帯の構造の支持は多くの靭帯、筋 によって保たれている。

胸鎖関節

胸鎖関節は胸骨柄および第1肋骨と鎖骨の胸骨端(内側端)との間にできる二重関節で、体幹と上肢帯を結ぶ唯一の関節である。

構造的には鞍関節に属するが、関節円板の介在で事実上球関節としての機能を持っている。前・後胸鎖靭帯が関節包を補強し、肋 鎖靭帯が第1肋骨および肋軟骨と固定する。

関節面の形態 鞍関節 運動軸 2軸性関節

構成部位 胸骨柄の鎖骨切痕、鎖骨胸骨端(内側端)

概要 両関節面の大きさと形状は著しく異なるが関節円板の介在によって球関節上の自由運動が可能であ る。ヒトの上肢運動の全てが多少ともこの関節を起点ないし支点として行われている。

靭帯 前・後胸鎖靭帯 肋鎖靭帯 鎖骨間靭帯

前・後胸鎖靭帯 鎖骨の胸骨端の前後面から出て、関節の前面および後面を補強し、胸骨柄の前後面にいたる。

前面のものの方が後面のものの方より強い。

肋鎖靭帯 鎖骨下面の肋鎖靭帯圧痕と第 1 肋軟骨内側端の上面との間を走行する。短くて強靭な靭帯で、関節 包の外側下部を補強し、鎖骨の挙上、水平面上の前後の動きを制限する。

鎖骨間靭帯 胸骨の鎖骨切痕より上に突出した両側の鎖骨胸骨端を結ぶ強い靭帯で、関節包の上面を補強し、一 部は頚切痕の縁に付着しながらその上を通って対側の同種の線維とつながる。鎖骨の肩峰端が押し 下げられた時胸骨端が挙上されるのを制限する。

胸鎖関節の運動

胸鎖関節は、上内方から下外方へ向く垂直軸と後内方から前内方に向く前後を中心として、上・下・前・後いずれの方向にも動き、

その合成による描円運動を行うほか、約30°の回旋を行う。上方と前方への運動範囲が最大10°で、下方と後方へは最小3°であ る。

肩甲骨の運動

肩甲骨は鳥口鎖骨靭帯、肩鎖靭帯によって鎖骨と結合するだけで、体幹とは筋肉によってつながる。従って肩甲骨は体幹の後上 部を滑りつつ運動する。

上腕帯の運動に関する筋肉 浅背筋:僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋 浅胸筋:小胸筋、鎖骨下筋、前鋸筋

上肢帯

挙上 下制 外転(屈曲) 内転(伸展) 上方回旋 下方回旋

(12)

20 10 20 20

鎖骨下筋 ○

小胸筋 ○ ○ ○

前鋸筋 ○ ○

僧帽筋上部 ○ △ ○

僧帽筋中部 ○

僧帽筋下部 ○ △ ○

肩甲挙筋 ○ △

菱形筋 ○ ○ ○

○:主動作筋 △:補助動作筋

肩鎖関節

肩鎖関節は鎖骨の肩峰端(外側端)と肩甲骨の肩峰関節面との間にできる、両関節面がほぼ平面で不完全な関節円板を有する平 面関節であり、運動範囲は極めて小さい。関節円板は、多くは部位による厚みが平等でなく、あるいは不完全で関節腔を完全に二分 しない。関節の長軸の方位は矢状に近いが、前端がやや外方に偏する。同時に鎖骨の関節面はやや下を、肩峰の関節面はやや上 を向くような斜位をとる。関節包はゆるく、その前側がやや強いほか、上面は肥厚して肩鎖靭帯(関節前面を補強)をつくる。また、こ の関節の近くに、肩甲骨の烏口突起と鎖骨下面とを結ぶ烏口鎖骨靭帯(菱形靭帯と円錐靭帯)がある。

運動の範囲は狭いが、肩甲骨の外側角が上方に向くような動きがあるほか、肩甲骨の少しの回旋が行われる。また、胸鎖関節と共 同して動き、肩甲骨が肩関節の運動に伴って動く事(肩甲上腕リズム)を可能にする。

関節面の形態 平面関節 運動軸 1軸性関節

構成部位 鎖骨の肩峰、肩甲骨の肩峰関節面

概要 しばしば関節円板があるが不完全な場合が多く、関節腔は完全には2分されていない。滑走運動の範囲は 小さいが関節包がゆるいので回旋範囲は比較的大きい。胸鎖関節と共に動き、肩甲骨が肩関節の運動に 伴って動くことを可能にしている。

靭帯 菱形靭帯 円錐靭帯 (烏口鎖骨靭帯) 肩鎖靭帯

烏口鎖骨靭帯 肩甲骨烏口突起と鎖骨下面の間に張る強い靭帯で、両者を固く結びつけ、肩鎖関節と副靭帯として働く。

鎖骨が肩甲骨と自由上肢の重みを支持するのに重要である。菱形靭帯と円錐靭帯に分けられる。

菱形靭帯 烏口鎖骨靭帯の前外側の部である。

烏口突起の内側縁と一部上面から起こり、前部の線維は垂直に近く前上方及び上方へ、後部の線維は斜 めに外上方へ走って鎖骨の菱形靭帯線に着く。関節面が斜位をとる肩鎖関節の脱臼を防ぐ事に与り、また 肩甲骨が前方、内方に動くのを制限する。

円錐靭帯 烏口鎖骨靭帯の後内側の部である。

烏口突起の屈折部付近の内側縁から起こり、上方に広がりながら後の線維は外上方に走るようにひねった 三角形をつくり、鎖骨の円錐靭帯結節と烏口突起の間を走行し、円錐靭帯結節に着く。

肩甲骨が後方に動くのを制限する。菱形靭帯と円錐靭帯の間に鎖骨下筋の外側部がはさまれる。

肩鎖靭帯 肩関節の関節包の上面を補強している靭帯。鎖骨が肩峰の上に偏位を防止。

(13)

肩関節(肩甲上腕関節)

上腕骨頭と肩甲骨関節窩がつくる代表的な球関節で、多軸性であるとともに運動範囲がはなはだ大きい。上腕骨頭は球の約1/3 にあたるが、卵円形の関節窩は狭く、浅く関節頭の1/3を容れるのみで、その周縁につく関節唇で補われてもなお関節頭より小さい。

関節窩の周縁は線維性軟骨の関節唇で囲まれているものの、それでもなお関節窩は浅くかつ小さいため、運動性が大きい反面、脱 臼も多い。

関節包はゆるく、広く、肩甲頚及び関節唇とその外周から起こり、下方は上腕骨の解剖頚、大・小結節に付く。結節間溝はこの上を 被う関節包の下で上腕二頭筋長頭の腱を通す管となるが、その下端は関節包内面と、この腱の表面を被う滑膜が反転して一続きに つながることより関節腔は閉鎖され結節間滑液鞘となる。回旋腱板(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の停止腱膜)が側副靭帯に 類似し、上腕二頭筋長頭腱が関節内靭帯に類似する。

関節面の形態 球関節 運動軸 多軸性関節

構成部位 肩甲骨の関節窩、上腕骨の上腕骨頭

概要 全身中最も運動域の広い関節である。関節窩は浅いがその周辺には軟骨性の関節唇が張り出して、これを 深く広げている。関節腔内を上腕二頭筋の長頭腱が走行している。

靭帯 烏口肩峰靭帯 烏口上腕靭帯 関節上腕靭帯 上腕横靭帯

烏口肩峰靭帯 烏口突起の水平部から広く起こり、やや外上方に集まって肩峰の先端で肩鎖関節の外側と下面に着く三角 形状の強い靭帯である。

肩関節を上から被うが、両者の間の肩甲下筋と棘上筋の腱及び肩峰下包が介在するため、関節包とは直接 しない。

肩関節を保護するとともに、上腕骨が水平より上方にあがることを抑制する。

烏口上腕靭帯 烏口突起と上腕骨大結節とを結ぶ靭帯で、烏口突起の外側縁の全長と基部から起こって関節包の上部を 被いやがて関節包に癒合して上腕骨の大・小結節に着く。関節包の上面を補強する強い靭帯である。

上腕の下垂、外転時に緊張し脱臼を防止。屈曲、伸展を制限する主因子となる。

関節上腕靭帯 関節包の内面に存在し、関節唇の上、前、下部からでて解剖頚につく。上、中、下関節上腕靭帯とも呼ばれ ている。関節包前面を補強する。全体ではZ状をなし、外転時は上、中が外旋時は全ての靭帯が緊張する。

上腕横靭帯 上腕骨の大結節と小結節を結ぶ靭帯。上腕二頭筋長頭腱を支える支帯の働きをする。

肩関節の運動

肩関節の運動方向は3軸性(水平軸、垂直軸、前後軸)である。この軸上で屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋の運動が行われる。

これらの運動は肩甲骨および体幹から起始し上腕骨に停止する以下の主作用:筋および補助作用:筋によって行われる。

上腕の運動に関する筋肉 浅胸筋:大胸筋

浅背筋:広背筋

上肢帯の筋:三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、大円筋、肩甲下筋 上腕の筋:烏口腕筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋(長頭)

肩関節

屈曲 伸展 外転 内転 外旋 内旋 水平屈曲 水平伸展

90 50 90 0 60 80 135 30

三角筋前部 ○ △ ○ 三角筋中部 ○ ○ 三角筋後部 ○ △ ○

(14)

棘上筋 ○ 大胸筋鎖骨部 ○ △ △ ○ 大胸筋胸腹部 ○ △ ○ 烏口腕筋 △ △ ○ 肩甲下筋 △ ○ ○ 広背筋 ○ ○ △ △ 大円筋 ○ ○ ○ △ 棘下筋 ○ ○ 小円筋 ○ ○ 上腕二頭筋長頭 △ 上腕二頭筋短頭 △ △ 上腕三頭筋長頭 △ △

○:主動作筋 △:補助動作筋

肘関節、橈骨と尺骨の連結

肘関節は、外から見ると屈伸運動のみの蝶番関節に見える。この関節は、上腕骨、橈骨、尺骨からなる複関節で一つの関節包の 中にいくつかの関節が存在するものである。

肘関節:上腕骨、橈骨、尺骨の3つの骨からなる複関節である。

構成部位 上腕骨、橈骨、尺骨

概要 複関節であり、腕尺関節、腕橈関節、上橈尺関節からなる。関節包はこれらの関節を完全に包むが広くてゆ るい。前後面は弱く、両側は外側、内側側副靭帯によって補強されている。

腕尺関節 上腕骨滑車と尺骨滑車切痕からなる蝶番関節。肘関節の屈曲運動をする。

前腕の回旋運動時に5~10°程度の側方偏位がみられる。

腕橈関節 上腕骨小頭と橈骨頭小窩からなる関節で、形態的には球関節であるが、運動的には顆状関節である。

肘の屈曲運動と前腕の回内、外運動に伴って追従運動を行う。

橈骨頭が前後方向に長く、左右方向に短いため、前腕の回旋運動時、運動軸が側方移動する(これは最大 回内時、軸は外側方向に1~2㎜ずれる)。

上橈尺関節 橈骨頭の関節環状面と尺骨の橈骨切痕からなる関節で、車軸関節。

下橈尺関節と共同して前腕の回内、外運動をする。

靭帯 外側側副靭帯 内側側副靭帯 橈骨輪状靭帯 方形靭帯 外側側副靭帯

(LCL)

上腕骨外側上顆から起こり前後2つの部分に分けられる。

前部は橈骨の前面に出て橈骨輪状靭帯に癒着し、尺骨の滑車切痕から鈎状突起下縁につく。

後部は尺骨の橈骨切痕後縁から回外筋稜につく。いずれにせよ、橈骨に直接的な強い結合は作らない。

この靭帯は橈骨輪状靭帯に癒合しており、走行などから大きく三つの部分に分けることができる。

肘関節の運動時において、外側側副靭帯の長さはほとんど変化しない。よって、この靭帯が短縮すると、肘 関節の全運動域において一定の運動制限を引き起こす。

内側側副靭帯 (MCL)

上腕骨内側上顆から起こり、前部は上腕骨内側上顆と尺骨鉤状突起内側縁間に、後部は内側上顆後下部 と肘頭の内側縁間に、斜部は肘頭内側縁と鉤状突起の内側縁間に付着する。

各部は、前斜靭帯(AOL)・後斜靭帯(POL)・横斜靭帯(OF)の3つの靭帯に称される。前斜靭帯は後斜靭帯の 前部を覆うようにありこの靭帯の前縁は伸展位で緊張、屈曲位で弛緩して、後縁と後斜靭帯は逆の作用をす る。よってこの靭帯は肘関節運動時において、運動の両運動域において緊張を見せる。

橈骨輪状靭帯 (AOL)

尺骨の橈骨切痕の前縁と後縁に付着し、橈骨の関節環状面を輪状にとりまく強い靭帯、橈骨頭が抜けない ような構造をしている。

この靭帯は回外筋に被われており、その筋膜を切除すると、遠位方向に狭くなる。

方形靭帯 尺骨の橈骨切痕の下端と橈骨頭とを結び、腕尺関節下端の骨膜を支える。橈骨の回旋を制限している。

(15)

橈骨と尺骨の連結

構成部位 橈骨、尺骨

概要 近、遠位両端で関節を構成。中間部には靭帯結合である、前腕骨間膜と斜索で連結している。

上橈尺関節 尺骨頭の関節環状面と橈骨の尺骨切痕とで構成される車軸関節である1軸性の関節である。

下橈尺関節 尺骨頭の関節環状面と橈骨の尺骨切痕とで構成される車軸関節である1軸性の関節である。

尺骨切痕と尺骨の茎状突起との間には三角形の関節円板(三角靭帯)が存在しこれは関節内靭帯の性格 をもち回内外の運動制限因子でもある。

橈尺関節の運動 上・下橈尺関節は共同で働き前腕を回内・外させる。運動軸は橈骨頭と尺骨の茎状突起とを結ぶ線で、橈 骨がこれを中心として回転し尺骨はほとんど不動である。この運動の際、上橈尺関節は橈骨頭が橈骨輪状 靭帯尺骨の橈骨切痕で囲まれた輪の中を回旋運動し、下橈尺関節では橈骨遠位端が尺骨頭の周りを回 旋運動する。この結果、回内運動の終点では橈骨は尺骨の前を斜めに横切ることになる。

前腕骨間膜 橈骨粗面より遠位の骨間縁と尺骨の骨間縁を結ぶ。基本的には線維は橈骨から尺骨へ斜め下方に向かう が、下端では逆方向に上行する。手関節に加わる力を前腕から上腕へ伝え、回外運動の主要な制動組織 でもあり、前腕深層筋の起始部でもある。

斜索 尺骨粗面から外側下方の橈骨粗面のすぐ下方に付着する。

(16)

前腕の運動 肘関節の運動

肘関節の運動方向は2軸性(水平軸、垂直軸)である。この軸上で屈曲・伸展、回内・回外の運動が行われる。

これらの運動は以下の主作用:筋および補助作用:筋によって行われる。

肘関節の運動に関する筋肉

上腕の筋(屈筋群):上腕二頭筋、上腕筋 上腕の筋(伸筋群):上腕三頭筋、肘筋 前腕の筋(屈筋群):円回内筋、方形回内筋

前腕の筋(伸筋群):腕橈骨筋、回外筋、長母指外転筋 前腕の筋(屈側):橈側手根屈筋、尺側手根屈筋

前腕の筋(伸側):長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋

肘関節と前腕

屈曲 伸展 回内 回外

上腕二頭筋 ○ △ 上腕筋 ○ 腕橈骨筋 ○ △ △ 円回内筋 △ ○ 上腕三頭筋 ○ 肘筋 △ △ 方形回内筋 ○ 回外筋 ○ 手関節屈筋群 △ △ 手関節伸筋群 △ 長母指外転筋 △

○:主動作筋 △:補助動作筋

(17)

手の関節:手根の関節、手根中手関節(CM 関節)、中手指節関節(MP 関節)、手の指節間関節(IP 関節)

橈骨、尺骨そして手根骨の8つを含めた10個の骨から成り立つ。すなわち、橈骨と手根骨近位列の成す撓骨手根関節、手根骨近 位列と遠位列の成す手根中央関節、及び橈骨、尺骨の遠位端で構成される下橈尺関節で構成される複関節である。

手関節の主な運動は、橈骨手根関節、手根中央関節で行われ、手根間関節及び下撓尺関節がこの二つの関節を支えている形態 をとっている。

この関節を機能的に見ると、力の伝達を受ける橈骨部とそうでない尺骨部とに分けられる。橈骨部は、手根骨近位列は月状骨・舟 状骨、遠位列は有頭骨・小菱形骨であり、第2・3中手骨基底部へとつながる。手や手指の力は逆の順序を通り、橈骨へと伝達され る。

手根の関節:橈骨手根関節、手根間関節、手根中央関節、豆状骨関節

橈骨手根関節(手関節)

前腕を解剖学的肢位に置いたとき、橈骨遠位端は長軸に対して内側へ約25~30°(関節面は尺側に15°)彎曲しており、矢状 面で見ると長軸に対して前方へ約20~25°(関節面は掌側に12°)彎曲している。これは運動そのものが対角線上の動きを基本と していることでもある。実際、手関節の伸展運動では橈側への偏位を起こし、橈屈運動では背側方向へ偏位する。また、その逆の屈 曲運動では尺側へ、尺屈運動では掌側方向への偏位が起こる。

二段の凹面を持つ橈骨の遠位関節面の外側は舟状骨が、そして内側には月状骨が位置し半球関節が二つ並ぶ形態をとる。この 他の三角骨と豆状骨は撓骨と直接に関節を構成しない。三角骨は三角靭帯・内側側副靭帯とともに手関節運動時の手根骨の移動 空間を造っているといえる。舟状骨と月状骨の間には多少の開き現象があり、扇のように開閉することで、集合体である手根骨遠位列 を動きやすくしている。この現象は特に尺屈運動をよりスムーズに、かつ可動域の広い運動の支えとなっている。(骨間の靭帯の位置 による)

関節面の形態 楕円関節 運動軸 2軸性関節

構成部位 橈骨縁位端下面、舟状骨、月状骨、三角骨

概要 手根に関節の主要な部分であり橈骨縁位端下面にある関節面とそれに連続する尺側に有る関節円板 を関節窩とし、近位手根骨の舟状骨、月状骨、三角骨および骨間靭帯を関節頭とする。尺骨はこの関 節には直接は加わらない。

靭帯 背側橈骨手根靭帯 掌側橈骨手根靭帯 掌側尺骨手根靭帯 外側手根側副靭帯 内側手根側副靭帯

背側橈骨手根靭帯 橈骨遠位端および茎状突起の後縁と舟状骨、有頭骨、月状骨および三角骨の後面の間に張る。

掌側橈骨手根靭帯 橈骨遠位端および茎状突起の前縁と舟状骨、三角骨、月状骨および有頭骨前面の間に張る。

掌側尺骨手根靭帯 尺骨の茎状突起および下橈尺関節の関節円板と月状骨、三角骨の間に張る。

外側手根側副靭帯 橈骨の茎状突起の先端と舟状骨および大菱形骨の外側面との間に張る。

内側手根側副靭帯 尺骨の茎状突起の先端と三角骨および豆状骨の内側面との間に張る。

手関節の運動

手関節(橈骨手根関節)の運動方向は2軸性(水平軸、前後軸)である。この軸上で掌屈・背屈、橈屈・尺屈の運動が行われる。これ らの運動は以下の主作用:筋および補助作用:筋によって行われる。

運動に関する筋肉

前腕の筋(屈側 第1層):橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋 前腕の筋(屈側 第2・3層):浅指屈筋、深指屈筋、長母指屈筋 前腕の筋(伸側 橈側):長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋 前腕の筋(伸側 後面浅層):指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋

前腕の筋(伸側 後面深層):長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋

手関節

掌屈 背屈 橈屈 尺屈

90 70 25 55

橈側手根屈筋 ○ △ 長掌筋 ○

尺側手根屈筋 ○ ○

長橈側手根伸筋 ○ ○ 短橈側手根伸筋 ○ ○

尺側手根伸筋 ○ ○

浅指屈筋 △ 深指屈筋 △

指伸筋 △

示指伸筋 △

(18)

小指伸筋 △ 長母指屈筋 △

長母指伸筋 △ △

短母指伸筋 △

長母指外転筋 △ △

○:主動作筋 △:補助動作筋

手根間関節

この関節は形態的には、舟状骨・月状骨を主体に形成する手根骨近位列の関節面である。この関節面は、関節窩を構成し、ここに 有頭骨の近位頭を中心に骨頭として形成した手根骨遠位列が組み込まれるように全体が構成されている。

近位列は、関節の遊びの傾向が強く(←動きの要素を引き出す)、流動的な関節窩を形成し、遠位列は一つの集合体としてより強 固に働き、この関節の関節頭を形成している。

関節面の形態 平面関節 運動軸 1軸性関節

構成部位(近位) 豆状骨を除く近位手根骨(舟状骨、月状骨、三角骨)と遠位手根骨(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有 鈎骨)の相互間

概要 関節腔は狭く、しかも関節腔内に骨間手根間靭帯が存在するため手根間運動は強く制限されている。

関節腔は手根中央関節、手根中手関節と交通している。

靭帯 背側手根間靭帯 掌側手根間靭帯 骨間手根靭帯 背側手根間靭帯 手根骨の背面間に張る小靭帯。

(19)

掌側手根間靭帯 隣接する手根骨の掌側面間に張る短い靭帯。

骨間手根間靭帯 近位列の手根骨間および遠位列の手根骨間に張る関節腔内の小靭帯。

手根中央関節

関節面の形態 平面関節(橈側部:舟状骨と大・小菱形骨間)

楕円関節(尺側部:有頭骨、有鈎骨と舟状骨、月状骨、三角骨間)

運動軸 1軸性関節 2軸性関節

構成部位 橈側部:舟状骨と大・小菱形骨

尺側部:有頭骨、有鈎骨と舟状骨、月状骨、三角骨

概要 手根骨の近位列と遠位列の間の複関節で、手根の中央を横断するS字状にうねった関節をつくる。橈 側部と尺側部に分けられる。

靭帯 内側・外側側副靭帯 放線状手根靭帯

内側・外側側副靭帯 内側は三角骨と有鈎骨の間に、外側は舟状骨と大菱形骨の間に張る。非常に短い靭帯。

放線状手根靭帯 掌側面で、有頭骨等と周囲の手根骨の間に張る線維束。

豆状骨関節

関節面の形態 平面関節 運動軸 1軸性関節 構成部位 三角骨 豆状骨

概要 関節包はゆるく、関節腔は多くの場合は独立している。

靭帯 豆鈎靭帯 豆中手靭帯

豆鈎靭帯 掌側面で豆状骨と有鈎骨鈎との間に張る靭帯。

豆中手靭帯 掌側面で豆状骨と第5中手骨底との間に張る靭帯。

手根中手関節(CM 関節)と中手間関節

手根中手関節(CM 関節)

中手骨は撓側から尺側へ順に第1~5中手骨とよばれ、手根骨遠位列との関節を手根中手関節という。拇指だけは第1中手骨と大 菱形骨の間に独立した関節包をもつ鞍関節を形成する。第2中手骨は大・小菱形骨と有頭骨、第3中手骨は有頭骨、第4中手骨は 有頭骨と有鈎骨、第5中手骨は有鈎骨と連結し、関節包と関節腔は共通である。靭帯には背側・掌側手根中央関節、豆中手靭帯が ある。第2・3中手骨の CM関節には可動性がほとんどない。第4・5中手骨のCM関節には若干の可動性があり、拇指との対向運動 における横アーチの増減に関与する。

関節面の形態 平面関節 運動軸 1軸性関節

構成部位 手根骨の遠位列を構成する骨 第2~5中手骨底

(20)

概要 複関節で、いずれも鞍関節から可動域の狭い平面関節になったものとみなされている。第2中手骨と 大・小菱形骨および有頭骨が第3中手骨が有頭骨、第4中手骨と有頭骨、有鈎骨、第5中手骨と有鈎 骨と、それぞれ連結している。関節包は共通で関節腔はお互いに交通している。

靭帯 背側・掌側手根中手靭帯 背側・掌側手根中手

靭帯

背側・掌側でそれぞれ遠位の手根骨と第2~5中手骨底の間に張る。

母指の手根中手関節(CM関節)

関節面の形態 鞍関節 運動軸 2軸性関節

構成部位 大菱形骨 第1中手骨

概要 関節包はゆるくて広く、かつ他の手根中手関節から独立している。稼動しやすくなっている。

靭帯 背側・掌側手根中手靭帯 背側・掌側手根中手

靭帯

大菱形骨と第1中手骨底の間に張る。

母指の手根中手関節の運動 以下の各筋が働く。

前腕(伸筋群):長母指伸筋、短母指伸筋

手の筋(母指球筋):短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、母指内転筋 手の筋(小指球筋):小指対立筋(第5指)

母指CM関節

橈側外転 尺側内転 掌側外転 尺側内転 対立

60 0 90 0

小指対立筋 ○V

長母指屈筋 △

長母指伸筋 △ △

短母指伸筋 △ △

長母指外転筋 ○ ○

短母指外転筋 ○

短母指屈筋 ○ ○

母指対立筋 ○

母指内転筋 ○ ○

○:主動作筋 △:補助動作筋

中手間関節

関節面の形態 平面関節 運動軸 1軸性関節

構成部位 第2~5中手骨底の互いに向き合う面

概要 関節包、関節腔は手根中手関節のものと共通している。

靭帯 背側・掌側中手靭帯 骨間中手靭帯

背側・掌側中手靭帯 第2~5中手骨底の背側面、掌側面それぞれ張る。

骨間中手靭帯 第2~5中手骨間の関節面のすぐ遠位で隣り合う中手骨間に張る。

(21)

中手指節関節(MP 関節)

中手指節関節(MP関節)

中手骨と基節骨は中手指節関節を形成する。球関節であるが、伸筋腱・靭帯で可動性は大幅に制限され、機能的には蝶番関節に 近い。

第2~5指のMP関節の屈曲は90°、自動伸展はわずかであるが、他動的には45°まで伸展が可能である。

内・外転は中指から離れる運動が外転、近付く運動が内転である。第2・4指は45°、第5指は50°外転する。他動的にはわずか に回旋運動ができる。

関節面の形態 顆状関節 運動軸 2軸性関節

構成部位 第1~5中手骨 第1~5基節骨

概要 各指のこの関節はそれぞれ独立した関節包、関節腔を有する。関節包は比較的ゆるく、背側面は(総)

指伸筋腱が膜状に広がった指背腱膜からなり、掌側面は浅・深指屈筋腱を入れる手指の線維鞘が固く 付着する。

靭帯 側副靭帯 掌側靭帯 深横中手靭帯

撓側・尺側側副靭帯 中手骨頭の側面と基節骨底の側面の間に張る。

掌側靭帯 中手指節関節の掌側面で側副靭帯の間に張る。

深横中手靭帯 第2~5中手骨頭の掌側面を横走し、これを結びつける靭帯。中手指節関節のところでは掌側靭帯と混 じりあい手指の線維鞘に付着。

中手指節(MP)関節の運動

前腕(屈筋群):浅指屈筋、深指屈筋、長母指屈筋

前腕(伸筋群):指伸筋、小指伸筋、短母指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋 手の筋(母指球筋):短母指外転筋、短母指屈筋、母指内転筋

手の筋(小指球筋):小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋

手の筋(中手筋):虫様筋、掌側骨間筋(2・4・5指)、背側骨間筋(2・3・4指)

MP関節

屈曲(Ⅰ) 屈曲(他) 伸展(Ⅰ) 伸展(他) 外転 内転

60 90 10 45 0 90

浅指屈筋 △ △ 深指屈筋 △ △

指伸筋 ○

示指伸筋 ○

小指伸筋 ○

虫様筋 ○

掌側骨間筋 △ⅡⅣⅤ ○ⅡⅣⅤ

背側骨間筋 △ⅡⅢⅣ ○ⅡⅣ

小指外転筋 △ △ ○

短小指屈筋 ○

小指対立筋 △ △ 長母指屈筋 ○

長母指伸筋 ○

短母指伸筋 ○

短母指外転筋 △ △ 短母指屈筋 ○

母指内転筋 △ △

○:主動作筋 △:補助動作筋

手の指節間関節(IP 関節):IP関節、PIP関節、DIP関節

手の指節間関節(IP関節)

関節面の形態 蝶番関節 運動軸 1軸性関節

構成部位 基節骨頭と中節骨底(近位指節間関節:PIP関節)

中節骨頭と末節骨底(遠位指節間関節:DIP関節)

母指には1つの指節間関節(基節骨頭と末節骨底)しか存在しない。

(22)

概要 関節包の背面は(総)指伸筋の腱によって補強されている。

靭帯 側副靭帯 掌側靭帯

側副靭帯 近位の指節骨頭の側面と遠位の指節骨底の側面の間に張る線維束。側方への安定性を高めている。

掌側靭帯 関節包の掌側面にあり指の線維鞘に付着。

IP関節(母指)

前腕(屈筋群):長母指屈筋

前腕(伸筋群):長母指伸筋、短母指伸筋 手の筋(母指球筋):短母指外転筋、短母指屈筋

PIP関節(2~5指)

前腕(屈筋群):浅指屈筋、深指屈筋

前腕(伸筋群):指伸筋、小指伸筋、示指伸筋 手の筋(小指球筋):小指外転筋

手の筋(中手筋):虫様筋、掌側骨間筋(2・4・5指)、背側骨間筋(2・3・4指)

DIP関節(2~5指)

前腕(屈筋群):深指屈筋

前腕(伸筋群):指伸筋、小指伸筋、示指伸筋 手の筋(小指球筋):小指外転筋

手の筋(中手筋):虫様筋、掌側骨間筋(2・4・5指)、背側骨間筋(2・3・4指)

IP関節 PIP関節 DID関節

屈曲 伸展 屈曲 伸展 屈曲 伸展

80 10 100 0 80 0

浅指屈筋 ○

深指屈筋 △ ○

指伸筋 ○ ○

示指伸筋 ○ ○

小指伸筋 ○ ○

虫様筋 ○ ○

掌側骨間筋 △ⅡⅣⅤ △ⅡⅣⅤ

背側骨間筋 △ⅡⅢⅣ △ⅡⅢⅣ

小指外転筋 △ △

長母指屈筋 ○

長母指伸筋 ○ 短母指伸筋 ○ 短母指外転筋 ○

短母指屈筋 ○

○:主動作筋 △:補助動作筋

(23)

上肢の筋系

上肢の筋系は、体幹から上肢の筋(浅胸部の筋、浅背部の筋)、

上肢帯の筋、上肢の筋、前腕の筋、手の筋から構成される。

浅背部の筋

僧帽筋 trapezius m.

広背筋 latissimus dorsi m.

菱形筋 rhomboideus m.

肩甲挙筋 levator scapulae m.

浅胸部の筋

大胸筋 pectoralis major m.

小胸筋 pectoralis minor m.

鎖骨下筋 subclavius m.

前鋸筋 serratus anterior m.

上肢帯の筋

三角筋 deltoid m.

棘上筋 supraspinatus m.

棘下筋 infraspinatus m.

小円筋 teres minor m.

大円筋 teres major m.

肩甲下筋 subscapularis m.

上腕の筋(屈筋群)

上腕二頭筋 biceps brachii m.

長頭 long head 短頭 short head

烏口腕筋 coracobrachialis m.

上腕筋 brachialis m.

上腕の筋(伸筋群)

上腕三頭筋 triceps brachii m.

長頭 long head 内側頭 medial head 外側頭 lateral head 肘筋 anconeus m.

前腕の筋(屈筋群 第1層)

円回内筋 pronator teres m.

橈側手根屈筋 flexor carpi radialis m.

長掌筋 palmaris longus m.

尺側手根屈筋 flexor carpi radialis longus m.

前腕の筋(屈筋群 第2層)

浅指屈筋 flexor digitorum superficialis m.

前腕の筋(屈筋群 第3層)

深指屈筋 flexor digitorum profundus m.

長母指屈筋 flexor pollicis longus m.

前腕の筋(屈筋群 第4層)

方形回内筋 pronator quadratus m.

前腕の筋(伸筋群 橈側)

腕橈骨筋 brachioradialis m.

長橈側手根伸筋 extensor carpi radialis longus m.

短橈側手根伸筋 extensor carpi radialis brevis m.

前腕の筋(伸筋群 後面浅層)

指伸筋 extensor digitorum m.

小指伸筋 extensor digiti minimi m.

尺側手根伸筋 extensor carpi ulnaris m.

前腕の筋(伸筋群 後面深層)

回外筋 supinator m.

長母指外転筋 abductor pollicis m.

短母指伸筋 extensor pollicis brevis m.

長母指伸筋 extensor pollicis longus m.

示指伸筋 extensor indicis m.

手の筋(母指球筋)

短母指外転筋 abductor pollicis brebis m.

短母指屈筋 flexor pollicis brevis m.

浅頭 superficial head 深頭 deep head

母指対立筋 opponens pollicis m.

母指内転筋 adductor policis m.

手の筋(小指球筋)

短掌筋 palmaris brevis m.

小指外転筋 abductor digiti minimi m.

短小指屈筋 flexor digiti minimi brevis m.

小指対立筋 opponens digiti minimi m.

手の筋(中手筋)

虫様筋 lumbrical ms.

掌側骨間筋 palmar interosseous ms.

背側骨間筋 dorsal interosseous ms.

浅背部の筋(上肢を脊柱につなぐ筋)

僧帽筋

起始:後頭骨の上項線、外後頭隆起、項靭帯、C7~Th12 の棘突起・棘上靭帯

走向:上部は斜外側下方、中部は水平、下部は斜外側上 方に走る

停止:鎖骨外側1/3(鎖骨部)、肩峰(肩峰部)、肩甲棘

(肩甲部)

作用::上部:肩甲骨挙上、中部:内転、下部:肩甲骨下牽 し、下角を外側方に転ずる

全体として肩を後方に引く(上方回旋、内転)

上肢帯が固定されていると頭部を後方に引く 神経:副神経の外枝、頚神経叢筋枝 C2~4 動脈:下行肩甲動脈(頚横動脈)

(24)

広背筋

起始:胸腰筋膜の浅葉、Th4~8・腰椎・仙骨の棘突起、肩 甲骨下角、腸骨稜、下位3~4肋骨

走向:上部はほとんど水平に外側方、下部は次第に斜外 側上方に走る

停止:上腕骨小結節稜

作用::下垂した上腕を内側上方に引く。上腕が挙上して いる時は引き下げる

神経:胸背神経 C6~C8

動脈:下行肩甲動脈(頚横動脈)、肩甲下動脈 菱形筋(大菱形筋・小菱形筋)

起始:C6~7(小)、Th1~4(大)の棘突起と項靭帯 走向:平行して斜外側下方に走る

停止:肩甲骨内側縁下部2/3 作用::肩甲骨を内側上方に引く 神経:肩甲背神経 C4~6 動脈:下行肩甲動脈(頚横動脈)

肩甲挙筋

起始:C4/5の横突起の後結節 走向:斜外側下方に走る 停止:肩甲骨内側縁上部1/3

作用::肩甲骨を引き上げ(挙上)、下角を内側方に戻す 神経:肩甲背神経 C4~6

動脈:下行肩甲動脈(頚横動脈)

浅胸部の筋(上肢を前胸壁と側胸壁につなぐ筋)

大胸筋

起始:鎖骨部:鎖骨内側2/3

胸肋部:胸骨、第2~第7肋軟骨の前面 腹部:腹直筋鞘前葉

走向:上部は外側下方に、中部はほぼ水平に、下部は斜 に上外側方に走る

停止:上腕骨大結節稜

作用::上腕を内転し、内方に回旋する。上腕を固定すると 胸郭を挙上し吸気筋として働く

鎖骨部:屈曲、水平屈曲 胸腹部:内転、水平屈曲)

神経:内側・外側胸筋神経 C5~C8,Th1 動脈:胸肩峰動脈の胸筋枝、内胸動脈の貫通枝

小胸筋

起始:第2~5肋骨前面 走向:外側上方に走る 停止:肩甲骨烏口突起

作用::肩甲骨の外側角をやや下方に引く。肩甲骨を固定 すると胸郭を引き上げる

神経:内側・外側胸神経 C7~Th1

動脈:胸肩峰動脈、内胸動脈の肋間枝、外側胸動脈 鎖骨下筋

起始:第1肋骨と肋軟骨の連結部の上前面 走向:外側上方に走る

停止:鎖骨下面

作用::鎖骨を前下方に引く

(25)

神経:鎖骨下筋神経 C5 動脈:胸肩峰動脈の鎖骨枝

前鋸筋

起始:第1~9肋骨側面

走向:胸郭と肩甲骨との間を後方に走る

停止:肩甲骨上角(第1・2肋骨)、内側縁(第2~3肋骨)、

下角(第4~9肋骨)

作用::肩甲骨の下角を前外側方に引く。肩甲骨を固定す ると肋骨を外側上方に引く

神経:長胸神経 C5~7 動脈:外側胸動脈

上肢帯の筋(肩の筋)

三角筋

起始:鎖骨外側1/2、肩甲棘、肩峰

停止:上腕骨中央外側部・三角筋粗面 作用::上腕を水平位まで持ち上げる 前部:屈曲、水平屈曲

中部:外転

後部:伸展、水平伸展 全体:外転

神経:腋窩神経 C4~C6

動脈:後上腕回旋動脈、胸肩峰動脈の三角筋枝

棘上筋

起始:肩甲骨棘上窩、棘上筋膜内面 停止:上腕骨大結節上部

作用::外転、上腕を外側方に挙上する 神経:肩甲上神経 C4~6

動脈:肩甲上動脈(肩甲横動脈)

棘下筋

起始:肩甲骨棘下窩 停止:上腕骨大結節中央部

作用::外旋、水平伸展 上腕を外方に回す 神経:肩甲上神経 C4~6

動脈:肩甲上動脈(肩甲横動脈)、肩甲回旋動脈 小円筋

起始:肩甲骨外側縁上部1/2 停止:上腕骨大結節下部

作用::外旋 上腕を外方に回す 神経:腋窩神経 C5~6

動脈:肩甲回旋動脈 大円筋

起始:肩甲骨下角部

(26)

停止:上腕骨小結節稜 作用::伸展、内転、内旋 神経:肩甲下神経 C5~C7 動脈:肩甲回旋動脈

肩甲下筋

起始:肩甲骨肋骨面、肩甲下窩 停止:上腕骨小結節および小結節稜

作用::水平屈曲、内旋 上腕を内方に引き、内方に回 す

神経:肩甲下神経 C5,C6 動脈:外側胸動脈、肩甲下動脈

上腕の筋(屈筋群)

上腕二頭筋

起始:長頭:肩甲骨の関節上結節 短頭:肩甲骨の烏口突起

停止:2頭合して橈骨粗面、一部は前腕筋膜上内側 作用::前腕を曲げ、かつ回外する (肘:屈曲 前腕:回

外)

神経:筋皮神経 C6,C7 動脈:上腕動脈の筋枝

烏口腕筋

起始:肩甲骨の烏口突起

停止:上腕骨内側面(上腕骨小結節稜の下方)

作用::水平屈曲、内転 上腕を前内方に上げる 神経:筋皮神経 C6,C7

動脈:上腕動脈の筋枝 上腕筋

起始:上腕骨前面(三角筋粗面下方)、内側・外側筋間中 隔

停止:尺骨粗面、肘関節包(尺骨鈎状突起)

作用::前腕を曲げる (肘:屈曲)

神経:筋皮神経 C6,C7、外側部は橈骨神経 動脈:橈側反回動脈、上腕動脈

(27)

上腕の筋(伸筋群)

上腕三頭筋

起始:長頭:肩甲骨の関節下結節

内側頭:上腕骨後面内側(橈骨神経溝の下部)、内 側上腕筋間中隔

外側頭:上腕骨外側(上腕骨大結節下部)、筋間中 隔

停止:3頭合して尺骨肘頭 作用::肘:伸展(前腕を伸ばす)

神経:橈骨神経 C6~C8~Th1 動脈:上腕深動脈の枝

(28)

肘筋

起始:上腕骨外側上顆

停止:肘頭 Olecranon の外側面 作用::肘:伸展、肘関節包の緊張 神経:橈骨神経 C6~C8~Th1 動脈:上腕深動脈の枝

前腕の筋(屈筋群)第1層 円回内筋

起始:上腕頭:上腕骨内側上顆、内側筋間中隔 尺骨頭:尺骨鈎状突起

停止:2頭合して橈骨中央外側、後側部(回内筋粗面)

作用::前腕を回内し、かつ曲げる (肘:屈曲 前腕:回 内)

神経:正中神経 C6,C7 動脈:前尺側反回動脈

橈側手根屈筋

起始:上腕骨内側上顆

停止:第2、第3中手骨底の掌側

作用::前腕を回内し、手を外転する (前腕:回内 手 関節:掌屈、橈屈)

神経:正中神経 C6~C8 動脈:橈骨動脈の筋枝

長掌筋

起始:上腕骨内側上顆、前腕筋膜内面 停止:手掌腱膜

作用::手関節:掌屈 神経:正中神経 C6~Th1 動脈:後尺側反回動脈

尺側手根屈筋

起始:上腕骨頭:内側上顆 尺骨頭:肘頭後面

停止:豆状骨、有鈎骨、第5中手骨底 作用::手関節:掌屈、尺屈

神経:尺骨神経 C7~Th1 動脈:後尺側反回動脈

前腕の筋(屈筋群)第2層 浅指屈筋

起始:上腕尺骨頭:内側上顆、尺骨粗面 橈骨頭:橈骨上端部前面 停止:第2~5指中節骨底 作用::第2~5指中節骨屈曲 神経:正中神経 C7~Th1

動脈:尺骨動脈の筋枝、橈骨動脈の筋枝

前腕の筋(屈筋群)第3層 深指屈筋

起始:尺骨前面、前腕骨間膜 停止:第2~5指末節骨底 作用::第2~5指末節骨屈曲 神経:正中神経、尺骨神経 C7~Th1

動脈:尺骨動脈の掌側骨間枝、尺骨動脈の筋枝

(29)

長母指屈筋

起始:橈骨前面、前腕骨間膜 停止:母指末節骨底

作用::母指IP屈曲,MP屈曲 神経:正中神経 C6~Th1 動脈:尺骨動脈の掌側骨間枝

前腕の筋(屈筋群)第4層 方形回内筋

起始:尺骨下部の前面 停止:橈骨下端の前面 作用::前腕を回内する 神経:正中神経 C6~Th1 動脈:尺骨動脈の掌側骨間枝

前腕の筋(伸筋群)橈側 腕橈骨筋

起始:上腕骨外側縁の下部、外側筋間中隔 停止:橈骨茎状突起の上部

作用::前腕を外転しかつ曲げる (肘:屈曲 前腕:回 内、回外)

神経:橈骨神経 C5,C6 動脈:橈側反回動脈

長橈側手根伸筋

起始:上腕骨下端外側、外側上顆、外側上腕筋間中隔 停止:第2中手骨底背側

作用::手関節:背屈、橈屈 神経:橈骨神経 C5~8

動脈:橈骨動脈の筋枝、橈側反回動脈

(30)

短橈側手根伸筋

起始:上腕骨外側上顆、橈骨輪状靱帯 停止:第3中手骨底背側

作用::手関節:背屈、橈屈 神経:橈骨神経 C5~8

動脈:橈骨動脈の筋枝、橈側反回動脈

前腕の筋(伸筋群)後面浅層 指伸筋

起始:上腕骨外側上顆

停止:第2~5指中節骨底、末節骨底背側 作用::第2~5指:伸展 手関節:背屈 神経:橈骨神経 C6~8

動脈:後骨間動脈

小指伸筋

起始:指伸筋下部から分離 停止:第5指指背腱膜 作用::第5指伸展

神経:橈骨神経 C6~8 動脈:後骨間動脈

尺側手根伸筋

起始:上腕骨頭:外側上顆 尺骨頭:尺側上部後面 停止:第5中手骨底

作用::手関節:背屈、尺屈 神経:橈骨神経 C6~8 動脈:後骨間動脈

前腕の筋(伸筋群)後面深層 回外筋

起始:上腕骨外側上顆、尺骨後上面、肘関節包後面、橈 骨輪状靱帯 尺骨外側縁、前腕骨間膜

停止:橈骨下端の前面 作用::前腕を回外する 神経:橈骨神経 C6~C8

動脈:橈側反回動脈、後骨間動脈

(31)

長母指外転筋

起始:尺骨、橈骨外側面、前腕骨間膜 停止:第1中手骨底外側

作用::手関節橈屈,手根及び母指の外転 神経:橈骨神経 C6~8

動脈:後骨間動脈 短母指伸筋

起始:前腕骨間膜、橈骨背面 停止:母指末節骨底背側 作用::母指IP伸展,母指外転 神経:橈骨神経 C6~8 動脈:後骨間動脈

長母指伸筋

起始:尺骨後面、 前腕骨間膜 停止:母指末節骨底

作用::母指IP伸展,MP伸展,橈側外転、掌側内転 神経:橈骨神経 C6~8

動脈:後骨間動脈 示指伸筋

起始:尺骨後下部、前腕骨間膜 停止:第2指指背腱膜

作用::第2指伸展 神経:橈骨神経 C6~8 動脈:後骨間動脈

手の筋 母指球筋 短母指外転筋

起始:舟状骨,屈筋支帯橈側端

停止:第1中手骨頭橈側種子骨,母指基節骨底 作用::母指掌側外転

神経:正中神経 C6~Th1 動脈:橈骨動脈の浅掌枝

短母指屈筋

起始:浅頭:屈筋支帯

深頭:大小菱形骨,有頭骨

停止:第1中手骨の橈側種子骨,第1中手骨の尺側種子 骨,母指基節骨底

作用::母指MP屈曲,内転 神経:正中神経 C6~7 尺骨神経 C6~Th1

動脈:橈骨動脈の浅掌枝

(32)

母指対立筋

起始:大菱形骨結節,屈筋支帯 停止:第1中手骨橈側縁 作用::母指を小指の方向に引く 神経:正中神経 C6~Th1 動脈:橈骨動脈の浅掌枝

母指内転筋

起始:横頭:第3中手骨掌面

斜頭:有頭骨,第2・3中手骨底掌側

停止:両頭合して,第1中手骨頭尺側種子骨,母指基節骨 底

作用::母指内転

神経:正中神経 C8~Th1 動脈:深掌動脈弓

手の筋 小指球筋 短掌筋

起始:手掌腱膜尺側縁 停止:掌皮の小指縁 作用::手掌腱膜を緊張 神経:尺骨神経 C7~Th1 動脈:浅掌動脈弓

小指外転筋

起始:豆状骨,屈筋支帯

停止:小指基節骨底尺側,種子骨 作用::小指外転

神経:尺骨神経 C7~Th1

動脈:尺骨動脈の深掌枝、尺骨動脈の背側手根枝

短小指屈筋

起始:有釣骨釣,屈筋支帯 停止:小指基節骨底尺側,種子骨 作用::小指MP屈曲

神経:尺骨神経 C7~Th1

動脈:尺骨動脈の深掌枝、尺骨動脈の背側手根枝 小指対立筋

起始:有釣骨釣,屈筋支帯 停止:第5中手骨尺側縁 作用::小指を母指の方向に引く 神経:尺骨神経 C7~Th1

動脈:尺骨動脈の深掌枝、尺骨動脈の背側手根枝

(33)

手の筋 中手筋 虫様筋

起始:橈側の2筋:FDPの腱の橈側 尺側の2筋:FDPの腱に相対する面

停止:それぞれ第2~5基節骨底橈側面,指背腱膜 作用::第2~5指のMP屈曲,PIP,DIPの伸展 神経:橈側の2筋:正中神経

尺側の2筋:尺骨神経 C6~Th1 動脈:浅掌動脈弓、深掌動脈弓

掌側骨間筋

起始:第2中手骨尺側,第4・5中手骨橈側 停止:第2・4・5基節骨底橈側

作用::第2・4・5指のMP内転,屈曲.PIP,DIPの伸展 神経:尺骨神経 C8~Th1

動脈:深掌動脈弓 背側骨間筋

起始:第1~5中手骨の相対する面 停止:橈側のもの:第2指橈側 中央の2個:第3指両側

尺側のもの:第4指,尺側の基節骨底と指背腱膜 作用::第2・4指MP外転,屈曲.第3指MP橈・尺屈,第2・

3・4指PIP.DIP伸展 神経:尺骨神経 C8~Th1 動脈:深掌動脈弓

(34)

(35)

上肢の動・静脈

上肢の動脈

鎖骨下動脈→腋窩動脈→上腕動脈→ ➚橈骨動脈→⤵深掌動脈弓➘ ➘尺骨動脈→⤴浅掌動脈弓➚ →中手動脈→指の動脈

鎖骨下動脈:右側の鎖骨下動脈は腕頭動脈から、左側の ものは大動脈弓から直接出て、肺尖の前を外方に走り、前 斜角筋と後斜角筋の問を通り、鎖骨の下を通り、腋窩に入 り腋窩動脈となる。おもに上肢に血流を送る動脈で、その 枝は主として、脳、頚部および胸壁に分布する。ここから椎 骨動脈(脳底へ、左右合して脳底動脈)、内胸動脈(肋間 動脈と吻合、上腹壁動脈と筋横隔動脈に分岐)、肋頚動 脈(最上肋間動脈と深頚動脈に分岐)、甲状頚動脈(下甲 状腺動脈、頚横動脈、肩甲上動脈に分岐)の枝を出す。

腋窩動脈:鎖骨下動脈のつづきで腋窩にあり、腕神経叢と ともに走り、大胸筋の停止部の腱の下で上腕動脈に移行 する。分枝状態に変化が多い。→肩峰枝、胸筋枝

最上胸動脈:大・小胸筋、前鋸筋に分布する。

胸肩峰動脈:胸筋枝、肩峰枝などに分かれ、大胸筋、

肩峰、三角筋などに分布する。

外側胸動脈:前鋸筋の上を下行し、この筋に分布する 他、外側乳腺枝を乳腺に送る。

肩甲下下動脈:後方に向かい、胸背動脈と肩甲回旋動 脈に分かれる。

胸背動脈:肩甲骨外側縁を下り、広背筋、前鋸筋に 分布する。

肩甲回旋動脈:肩甲骨の背側に出て棘下筋に分布 する。肩甲上動脈と吻合して、棘上筋、大円筋、小円 筋、肩甲下筋、三角筋、広背筋を養う。

前上腕回旋動脈:上腕骨外科頚の前面をまわって外方 に走り、後上腕回旋動脈と吻合して肩関節付近の筋に 分布する。

後上腕回旋動脈:上腕骨外科頚の後面を通り、外方に 走り前上腕回旋動脈と吻合する。三角筋、肩関節に分 布する。

上腕動脈:腋窩動脈のつぎで、上腕の内側を上腕二頭筋 の内側縁にそって下り、肘窩で橈骨動脈と尺骨動脈に分 かれる。経過中つぎの3本の枝を出す。

上腕深動脈:上腕二頭筋長頭、三角筋、上腕骨、上腕 三頭筋内側頭、外側頭などを養う。中側副動脈と橈側 側副動脈に分岐

上尺側側副動脈:肘関節付近に分布する。

下尺側側副動脈:肘関節付近に分布する。

橈骨動脈:肘窩で上腕動脈から分岐後、前腕の前面橈側 側を下行して、手根に達し、手背におもむき、第1・第2中 手骨底の問を通り、手掌の深部て母指主動脈と深掌動脈 弓に分かれる。橈骨動脈下端で脈拍を触れる事ができる。

さらに、橈骨動脈の末梢は、尺骨動脈の枝とともに手掌で 浅・深掌動脈弓をつくり、手根の背側で背側手根動脈網を 形成する。橈骨動脈からつぎの枝が出る。

橈側反回動脈:肘関節の下に出て弓状に上方にまがり、

肘関節付近に分布する。

浅掌枝:母指球の表面を通り、母指球筋に分布し、尺骨 動脈の浅掌枝と吻合して浅掌動脈弓をつくり、ここから 総掌側指動脈を出し指を養う。

母指主動脈:母指の橈側、尺側縁およぴ第2指の橈側 縁に分布する。

深掌動脈弓:中手骨底の掌側に深く位し、弓状をなし、

尺側に向かって尺骨動脈の深掌枝と交通する。この動

参照

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