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下顎骨成長率の推移

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374 金沢大学十全医学会雑誌 第77巻 第3号 274−385 (1969)

下顎骨成長率の推移

金沢大学医学部解剖学第三講座(主任 松田健史助教授)

     相  模  嘉  夫

       (昭和43年12月13日受付)

 著者はすでに下顎骨の成長を,相対成長ならびに成 長率の2つの新しい方法論的展開によって報告した.

 その結果,下顎骨各部位の成長は,2歳から20歳ま での成長期間を通じ,推計学的にそれぞれ1本の回帰 直線によって適合され,成長の動揺的変化が認められ なかった.このことから,各部位は成長期間を通じて 円滑な成長過程をとることが推定された.

 この推定は,Brodie 1、, Woods 2), Newmanら3)

の下顎骨の成長様相に関する見解に一致したが,He1・

1man 4), Goldstein 5), Harris 6), Tanner 7、らの,

成長期のある時期に成長の加速や減速が存在するとい う報告とは一致しなかった.

 著者は,さきに行なった相対成長の報告8)におい て,下顎骨各部位に相対成長式(allometry式)を適 用し,2つの部分の成長の関係をあらわす平衡定数に よって,下顎骨の成長を検討した.しかし,年令を消 去した相対成長式の適合は,成長期間を通じて,2つ の部分の比成長率の比が一定であることを示したが,

個々の成長率の年令的変動の有無について結論をくだ すことはできなかった.

 また,著者の成長率による下顎骨成長の報告9)は,

各部位別の比成長率の比較が主目的であった.したが って,亀歳から20歳に至るdataの全量に対して1つ の指数関数を適合し,全成長期間を通じての比成長率 を誘導して検討したため,各年令別の比成長率は算定 し得なかった.

 以上の下顎骨成長に関する著者の報告は,2歳から 20歳までの成長速度の傾向を,いわば巨視的に観察し

たものである.

 そこで今回は,さきの報告で得られた1本の回帰直 線の周辺における各年令群比成長率の変動を分析し,

成長期における各項目の比成長率の推移を,いわば微 視的に検討した.このことにより,従来の相反する下 顎骨の成長様相に関する見解に考察を加えたので報告

する.

研究材料と研究方法 工.研究材料

 材料は金沢大学医学部解剖学教室所蔵の,2歳から 20歳に至る下顎骨,男性29個,女性24個,計53個であ

る.これを表1に示したように6群の年令期に分類し

た.

皿.研究方法  1.計  測

 Martinら10)の方法に準拠し,下顎骨の22項目を計 測した.その計測部位を図1a, bに示した.

 2.比成長率とその差の検定

 前著9)に詳述したように,年令をt,部位の大きさ をyとすると,下顎骨各部位の成長は指数関数y昌 deKtにしたがうことが認められた.ここで, d, kは 定数で,eは自然対数の底である.成長がこの形の式 にしたがうとき,比成長率は÷薯一kで与えら れる.表1に示した6群の年令;期について,それぞれ 指数関数y=deKtを適合し,比成長率kを算定した.

この式は,両辺の自然対数をとると10gy=kt+log d となり,1次回帰式に変換できる.この場合kは回帰

表1 材料およびその年令期分類

Stage 1 IV

V

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8−11 5

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14−17 16

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 Transition of Mandibular Growth Rate with Age. Yoshio Sagami, Department of Anatomy(皿)(Director:Associate Prof. T. Matsuda), School of Medicine, Kanazawa

University.

(2)

係数である.したがって,2っの比成長率の比較は回 帰係数の差の検定によって行なうことができる.そこ で,各項目別に,互いに隣接する年令期の比成長率の 有意差検定を行ない,比成長率の推移を検討した.危 険率5%をもって有意性を認めた場合は,比成長率の 変化が生じたと判定した.なお,標本数が少ないた め,男女の合同計算を行なった.

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     図1 下顎骨の計測部位

①関節突起幅②筋突起幅③下顎角幅④オト ガイ孔間幅⑤下顎長 ⑥下顎体長⑦下顎枝幅

⑧下顎切痕幅 ⑨オトガイ高 ⑩下顎体高(オト ガイ孔部)⑪下顎体高(第2大臼歯部)⑫下顎 枝高 ⑬下顎最小枝高 ⑭関節突起垂直高 ⑮筋 突起垂直高 ⑯下顎切痕高 ⑰下顎体厚 ⑱下顎 枝角 ⑲下顎基底角 ⑳下顎基底面とInfraden・

tale−Gnathion線とのなす角 ⑳歯槽縁線とIn・

fradentale−Pogonion線とのなす角 ⑳筋・関 節突起線の傾斜角

研 究 成 績

 2歳から2Q歳に至る下顎骨を,6群の年令期(stage 工〜IVの記号で示した)に分類〜し,22項目について,

それぞれ指数関数y二deKtの変形である回帰式10g y=kt+10gdを適合した.この式から得られた各項 目の各stageの比成長率値を表2に示した.各stage において回帰の有意性が認められた数値は※印で示し た9項目,11stageにすぎなかった.すなわち,下 顎角田のstage IとV,下顎長のstage五,下顎切 痕幅のstage V,オトガイ高のstage皿とV,下顎 高高(オトガイ孔部)のstage V,下顎枝高のstage 工,下顎切痕高のstage II,下顎基底面とid−gn線 とのなす角のstage皿,歯槽下線とid−pg線とのな す角のstage皿の各年令期で適合が認められた.

 以上の11stage以外は式の適合が認められなかっ たが,比成長率を算定した.そして,この比成長率値 を用いてstage間の有意差検定を行なった.厳密に 言って有意義でないおそれがあるが,大略の成長過程 を概観するためにあえて行なった,

 図2から図23ま,では,各項目の各stageにおける 回帰直線であり,横軸に年令を,縦軸に大きさ(mm または度)を対数であらわしてある.この直線の傾斜 が比成長率を示している.

 この半対数二二から,項目ごとに各stage間の成 長過程の傾向をみると以下のようである.

 関節突起幅bicondylar diameter(図2)

 比成長率はstage Iと皿で大であるが, stage皿 とIVではなだらかになり, stage Vで軽度に上昇した 後,stage VIで低下する.

 筋突起幅bicoronoid diameter(図3)

 比成長率はstage Iと皿で大であるが, stage皿 以後ではなだらかになり,stage VIに至る.

 下顎角幅bigonial diameter(図4)

 比成長率はstage I,皿,皿で大であるが, stage IVに至って低下する. stage Vで再び上昇した後,

stage VIでなだらかになる.

 オトガイ孔二幅bimental diameter(図5)

 比成長率はstage工より漸次上昇し, stage皿で 最:大となる.以後stage IVとVで著明に低下し,な だらかなstage V[に至る.

 下顎長condylosymphyseal length(図6)

 比成長率はstage Iと五で上昇し,以後なだらか になり,stage Wに至る.

 下顎体長mandibular length(図7)

 比成長率はstage工と皿で大である, stage皿で

(3)

相 模 376

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(4)

一旦なだらかになり,stage IV, Vで軽度に上昇した 後,stage VIで再びなだらかになる.

 下顎枝幅ramus breadth(図8)

 比成長率はstage Iと皿で大である. stage皿 でなだらかになり,stage IVで上昇した後, stage V で低下し,なだらかなstage VIに至る.

 下顎切痕幅breadth of the incisura(図9)

 比成長率はstage r rと11で大で, stage皿で低 下する.以後stage IV, Vで上昇するが, stage V[

でなだらかになる.

 オトガイ高symphysis height(図10)

 比成長率はstage工から上昇し, stage皿で頂点 に達した後,stage IVで一旦低下する. stage Vで 再び急激に上昇し,stage V[で著明に低下する.

 下顎体高(オトガイ孔部)body height(mental foramen)(図11)

 比成長率はstage Iできわめて大, stage皿でな だらかになり,stage皿で上昇する. stage IVでな だらかになり,stage Vで再び上昇して最大の値を 示した後,stage VIで低下する.

       

 下顎体高(第2大臼歯部)body height(M2)(図

12)

 比成長率はstage Iで大, stage皿でなだらかに なり,stage皿, IVで急上昇した後, stage Vで再 びなだらかになり,stage VIで僅:かに上昇する.

 下顎枝高ramus height(図13)

 比成長率はstage Iで最大の値を示し, stage皿,

皿まで比較的高い値が続く.stage IVで一旦低下し た後,stage.Vで再び上昇し, stage VIでややなだ らかになる.

 下顎最小枝高ramus minimum height(図14)

 比成長率はstage I,五,皿と上昇し, stage IV で急になだらかになり,stage Vで上昇した後, sta・

ge VIでややなだらかにる.

 関節突起垂直高condylar vertical height(図15)

 比成長率はstage工,皿で大であるが, stage皿,

IVでなだらかになり, stage Vで上昇し, stage VI でなだらかになる.

 筋突起垂直高coronoid vertical height(図16)

 比成長率はstage I,丑で大であるが, stage皿 ではなだらかになり,stage IV, Vで上昇した後,

stage V[で再びなだらかになる.

 下顎切痕高depth of the incisura(図17)

 比成長率はstage Iで比較的なだらかであるが,

stage∬で急上昇し, stage皿で急激に低下する.

その後,stage W, Vで再び上昇し, stage V[でな

だらかになる.

 下顎体厚body thickness(図18)

 琵成長率はstage工から漸次上昇し, stage皿に 至って頂点に達する.stage IV, Vでは低下し,stage VIでなだらかになる。

 下顎枝角mandibular angle(図19)

 比成長率はstage Iからstage皿までなだらか である.stage Wで低下し, stage Vでなだらかに なった後,stage V[で僅かに低下する.

 下顎基底角mandibular basal angle(図20)

 比成長率はstage I,皿で低下し, stage皿で一 旦上昇するが,stage Wで再び低下する. 以後, sta・

ge V, VIではなだらかになる.

 下顎基底面とid−gn線とのなす角

 angle of the id−gn line to the base plane(図 21)

 比成長率はstage Iではなだらかで, stage皿で 急激に低下し,stage皿で僅:かに上昇する. stage lvで再び低下した後, stage V, VIでなだらかにな

る.

 歯槽二線とid−pg線とのなす角

 angle of the id−pg line to the alveolar margin

(図22)

 比成長率はstage Iで低下し, stage皿でなだら かになる.stage皿で著明に低下した後, stage W らでなだらかになり,stage Vで低下, stage VIでな

だらかになる,

 筋・関節突起線の傾斜角

 angle of inclination of the coronio−condylar line(図23)

 比成長率はstage I,皿,皿で漸次低下し, stage lVで一旦急激に上昇するが, stage V, VIではなだ らかになる.

 以上に述べた各項目内の隣接stageについて,比 成長率の有意差検定を行ない,5%以下の危険率で有 意差の認められたものを表3に一括して示した.すな わち,オトガイ二間幅のstage皿:とIVの間,オト ガイ高のstage皿とIVの間, stage IVとVの問,

stage VとVIの間,下顎体高(オトガイ孔部)の stage VとVIの間,最小枝高のstage皿とWの間,

下顎切痕高のstage Iと皿の間, stage皿と皿の 間,下顎基底面とid−gn線とのなす角のstage皿 と皿の間に,それぞれ比成長率の有意差が認められ

た.

(5)

378

  図2〜図23下顎骨各項目の回帰直線 直線の傾斜は比成長率を示す.

     各年令期における回帰直線

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総括と考察

 下顎骨の成長については数多くの報告があるが,下 顎骨各部位の成長様相に関しては,いまだ普遍的な結 論が得られておらず,対立する2説が主張されてい る.第1は,成長期のある時期に成長の加速や減速が 存在するという説であり,第2は,このような加速や 減速の存在を否定し,成長が円滑な過程をとるという 説である.

 まず,第1の成長率の変動を認めている報告は次の

ようである.すなわち,Hellman 4)は,乾燥骨の材 料について下顎骨長径の増加率を検討し,幼児期から 小児期にかけての急激な成長加速を見いだした.Go・

1dstein 5)は,3歳から21歳までの生体計測のdataか ら下顎骨の長径,高径,幅径の成長を観察し,この3 径とも3〜5歳において早;期加速を生じ,さらに長径

と高径では13〜15歳において思春期加速をも生じるこ とを認めた.また,とくに高径の成長様相には,著明 な加速と減速の周期性があると報告した.井原11)は,

胎生期から20歳に至る乾燥骨の計測dataを検討し,

下顎骨半径における早期加速の存在を暗示し,とくに 高径では思春期加速も存在することを見いだした.松 田ら12)の9歳から15歳までの生体計測による下顎角幅 の検討では,12歳において最大の発育が認められた.

Meredith 13)は,同一個体の下顎骨長径をX線撮影に よって5歳から17歳まで連続観察した結果,対象の68

%において思春;期付近の成長加速を認めた.Harris 6)

は,下顎骨長径の個体追跡dataの集積から,年令別 平均値をとって増加率を検討し,4歳から12歳までの 期間に,明らかな成長の加速と減速の周期性があるこ とを認めた.しかし,Irieら14)はHarrisと同様な 方法で検討したが,11歳〜12歳における成長加速を認 めたのみで,成長様相の周期性は存在しないと結論し た.Tanner 7)は,各研究者の報告を総括して,下顎 骨の発育が顔面の他部に比して遅延するため,思春

;期において最大の加速を示すのであろうと述べた.

 第2に,このような成長様相の変化を認めず,成長 が円滑な過程をもって進行すると結論した報告は次の ようである.すなわち,Brodie 1)は,生後3月から

8歳に至る同一個体の追跡観察から,下顎骨各部位が 一定の減少する比率で成長すると述べ,成長加速の存 在を否定した.また,Woods 2)は,3歳から15歳ま での小児について,Newman一ら3)は5歳から11歳ま での小児について,下顎二幅の個体追跡を行ない,い 表3 各隣接年令期における比成長率の有意差検定

Mandibular dimensions       Bimental diameter       Symphysis height     Body height(mental for.)

    Ramus minimum height      Depth of the incisura

Angle of the id−gn line to the base plane

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(9)

382 相

ずれも円滑な成長過程を示すと結論した.

 ところで,著者はさきに下顎骨の22部位の成長を,

相対成長8)ならびに成長率9)の2つの方法によって検 討した.その結果,各径とも2歳から20歳までの期間 を通じ,それぞれ1本の直線が推計学的に有意に適合 したことから,各径は加令に伴って直線的に成長する と考え,成長率の大きな変動は存在しないと推定し た.ただ,dataが同一個体の追跡によって得られた ものでない場合,SholP5)が述べているように,求め られた成長曲線は個体差を平滑化して,個体において 存在するかも知れない成長加速を示さない危険性があ る.たしかに,従来行なわれてきた成長の研究は,主 として種々の個体の年令別平均値によって検討された ため,個体差が平滑化され,明らかな結果が生じ難い おそれがあった。この点について,Zuckerman 16)が 論述しているように,平均値から導かれた成長曲線よ りも,相関分析の方がより役に立つと考えられる.す なわち,年令に対する各部分の大きさのplotは,そ の1つ1つが成長曲線の誘導に直接関与していること から,dataのすべての値を直接使用して求められた 回帰式は,単なる年令別平均値の表示よりも大きな意 義があるといえよう.この観点に立って,著者は,下 顎骨のcross sectional dataの分析に当たり,一貫 して回帰分析法を用いてきた.ただ,著者のこれまで の研究では,2歳から20歳までの集団について,全体 を一括して回帰分析を行なったため,その間における 平均的成長の傾向を知ることはできたが,成長率の変 動については,単に推計学的に1本の回帰直線が適合 したことによって,おそらく円滑な成長過程をとるで あろうと推定レたにとどまった.そこで,本研究では この点に焦点を合わせ,成長期を6期に細分して,そ れぞれ回帰分析を行ない,比成長率の推移を検討し

た.

 まず,各項目の各stage内における指数関数y騙 deKtの適合度を検定した結果,表2に示したように,

下顎角幅,下顎長,下顎切痕幅,オトガイ高,下顎体 高(オトガイ孔部),下顎枝高,下顎切痕高,下顎基 底面とid−gn線とのなす角,歯槽縁線とid−pg線 とのなす角の9項目の11stageにおいて,年令に関 する回帰が有意に認められた.この他のstageでは,

標本数が少ないことと,年令範囲が小さいため増減が 著明でないこととによって,回帰の有意性が否定され た.回帰が認められたstageでは,その分散は他の 回帰の認められないstageと大差ないため,比較的 著明な増減の変化が存在すると考えられる.

 次に,各stage間の回帰係数の差の検定によって,

比成長率の変動の有無を分析した.その結果,表3に 示したように,オトガイ孔間幅,オトガイ高,下顎体 高(オトガイ孔部),最小枝骨,下顎切痕高,下顎基 底面とid−gn線とのなす角の6項目において,比成 長率の変動が生じることを認めた.

 そこで,以上の各stage内回帰の有意性検定の結 果と各stage間回帰係数の有意差検定の結果とを加 重すると,次のように考えられる.すなわち,オトガ イ孔二幅では11歳からかなり著明な減速が始まる.オ

トガイ高では8歳〜11歳間に著明な増大が認められる が,11歳〜14歳間には減速が生じ,14歳〜17歳間には 逆に加速を示して,きわめて著明な増大を続け,17歳 以後再び減速して20歳に至る.下顎半円(オトガイ孔 部)では14歳〜17歳間において増大が認められるが,

以後減速して20歳に至る.最小枝高では11歳〜14歳間 に減速が認められる.下顎切痕高では5歳から著明な 加速が始まり,8歳まで増大が続くが,8歳〜11歳間 には減速が認められる.下顎基底面とid−gn線との なす角では5歳〜8歳間に著明な減少が認められる が,8歳〜11二間には増大の傾向がある.この他の16 項目では,どのstageにおいても比成長率の有意差 が認められず,成長率の変動は証明されなかった.前 述の,stage 烽ノおいて回帰が認められた9項目のう ち,下顎二幅,下顎長,下顎切痕幅,下顎枝高,歯槽 縁線とid−pg線とのなす角の5項目は,回帰の有意 であったstageとその隣…接stageとの間の有意差が 認められなかった. したがって,たとえstage内で 増減が著明であったとしても,比成長率の変動が生じ たといえる明らかな証拠はなかった.

 この結果,Goldstein 5)らによって示された成長の 早期加速は下顎切痕高のみに認められ,いわゆる思春 期加速はオトガイ高および下顎体高(オトガイ孔部)

の2項目のみに認められた.また,オトガイ二間幅,

オトガイ高,最小枝高の3項目は思春期前減速と考え られる11歳〜14歳間の減速を示した.さらに,オトガ イ高では8歳以後成長の加速と減速の周期性が認めら

れた.

 以上に述べたように,2歳から20歳に至る期間にお いて,比成長率の変動が存在すると考えられるもの は,下顎骨の22項目中わずかに6項目にすぎなかっ た.その他の16項目では,成長期を細分して検討して も,成長率変動の証拠は得られなかった.この事実を 別の観点から分析するために,各stageの回帰直線 が,さきの研究によって得られた2歳から20歳までの 期間に関する1本の回帰直線の周辺でどのように位置 しているかを検討した.一般に,回帰からの標本標準

(10)

偏差は・一ノ両によって求められる・ここで・は 残差,Nは標本の大きさである.いま,得られた回帰 直線に対し±1sの距離に2本の平行線を引くと,

plotされた点のうち約68%がこの中に含まれ,距離 を±2sにとると95.5%が,±3sにとると99.7%ま でがこの中に含まれることになる.そこで,図2〜23 に示したように,2歳から20歳に至る各項目の年令 に関する回帰直線の上下に,±1sの距離に標準偏差 線を引いた.図にみられるように,オトガイ孔四幅

(stage IV),下顎体厚(stage皿, IV),下顎基底角

(stage∬)〜下顎基底面とid−gn線とのなす角(sta・

ge皿),歯槽呼線とid−pg線とのなす角(stage IV)

を除く各項目においては,各stageの回帰直線のす べてが±1sの間に含まれている.また,上記の5項 目の±1sの範囲外にある部分も±2sの範囲内には 完全に含まれる.したがって,2歳半ら20歳までの期 間全体について考えれば,各stageにおける比成長 率の変動は誤差の範囲内にはいるものであり,一般に は,下顎骨各部位の成長が円滑な過程をとると考えて よい.ただ前述のように,成長期の一時期に焦点を合 わせると,その前後の時期に比して比成長率の変動を 示すものが6項目あることから,下顎骨の特定の部位 には,成長の加速や減速が存在することを否定できな

い.

 最後に,過去の研究者たちによって報告された下顎 骨の成長様相に関する見解の相違はどう解釈すべきか という問題が残る.この問題の解釈には,少なくとも 次の2点が強調されるべきであろう.第1には,data に関する方法論的approachである.従来の成長の 研究は,主として種々の個体の年令別平均値によって 検討されている点に問題がある.この点についての考 察は,さきの報告においても詳述したが,年令別平均 値に依存する方法は,絶対値の大きさに幻惑されるお それがあり,また最小の年令における大きさを基準と して,それに対する各年令における大きさの比率を増 加率としてあらわす方法も,統計的処理が行なわれ ず,単なる印象的結論に終っている傾向がある.これ らに比して,著者の採用した比成長率による検討は統 計的分析が容易であり,かつまた,大きさの異なる種 々の部位の比較も可能である.したがっで,著者の行 なったような,全成長期にわたる比成長率の通覧によ って各部位の成長を比較検討し,さらに1つの部位に ついて,成長期を細分して比成長率の推移を追跡する 方法は,成長様相の解明にきわめて有用な手段である

と思われる.

 第2に考えられることは,成長が多種多様な要因に よって支配されるということである.すなわち,遺伝 と環境とが複雑にからみ合って,種々の成長様相が形 成され,成長の個体差が生じる.したがって,ある個 体の成長追跡から得られた結論が,他の個体の追跡か ら得られた結論と一致しないことがあるのは当然であ る.思春期加速の存在を認めているTanner 7)も,

個体追跡のdataでは個体変異のため外見上成長加速 を示さないものがあると述べており,Meredith 13)の 成績では,個体追跡の結果,思春期付近の成長加速 を示すものと示さないものとの比率が約2:1であっ た.さらに,種々の年令の個体によって構成された集 団から導かれた結論が,個体追跡から得られた結論と 異なるというSho1115)の見解も,結局個体差の存在 に基づくものである.厳密にいえば,個体追跡の場合 も,集団としての傾向をみる場合も,得られた結論は 対象とした個体ないし集団に対してのみ真実であるに すぎず,成長歴史の異なる他の個体ないし集団に対し ても適合するかどうかは不明である.この意味で,成 長の検討を行なう場合には,種々の成長程度を示す個 体の集合である研究対象のもつ背景を充分考慮し,個 体変異をいかに処理するかが重要な問題である.著者 の材料は,北陸地方に在住した日本人の下顎骨である が,その背景の詳細は不明である.したがって,得ら れた結論は,推計学的分析によって一応普遍化された とはいえ,これをすべての下顎骨の成長に当てはめる には,なおいくばくかの危険性がある.統計的処理は 結論の普遍化に有用ではあるか,複雑な成長現象の解 明には分析すべき要因があまりに多く,確率的な結論 を得るのみであることを忘れてはならない.

 以上のような観点からみれば,従来の各研究者によ る成長様相に関する見解の相違は,主として標本め質 の差と研究方法の相違とに基づくものと考えられ,現 在の段階では,そのいずれもが成長の一断面をとらえ ているという他はない.成長に関する普遍的結論を得 るためには,個体追跡dataの集積を行なうととも に,個体変異を分析して,研究材料の質の均一化をは かって検討することが今後の課題であろう.

結 論

 1.金沢大学医学部解剖学教室所蔵の2歳から20歳 に至る下顎骨53個を6群の年令期に分類し,下顎骨 の22部位について,各年令期ごとに比成長率を算定 し,成長の推移を分析した。

 2.各年令期の比成長率を比較した結果,推計学的 に有意の差が認められ,比成長率の変動が存在すると

(11)

384 相

考えられる項目と年令は次の通りであった.すなわ ち,成長の加速は,オトガイ高の14歳〜17歳間,下顎 切痕高の5歳ッ8歳間,下顎基底面とid−gn線との なす角の8歳〜11二間においてそれぞれ認められた.

また,成長の減速は,オトガイ孔間話の11歳〜14歳 間,オトガイ高の11歳〜14歳間および17歳〜20歳間,

下顎体高(オトガイ孔部)の17歳〜20歳間,最小枝高 の11歳〜14歳間,下顎切痕高の8歳〜11歳間において それぞれ認められた.その他の項目では,比成長率の 変動が存在する証拠は見いだされなかった.

  3.さらに,上記の6項目における比成長率の変動 は,2歳から20歳までの期間を通じて引かれたそれぞ れの成長曲線の標準偏差内にはいることが認められ た.したがって,一般には,下顎骨各部位の成長はほ ぼ円滑に進行する過程であると推定された.

 4.今後の成長の研究には,対象の成長背景の解明 および個体変異の分析が重要であることを考察した.

 稿を終るにあたり,ご指導ならびにご校閲を賜わった松田健史 助教授に厚く感謝する.

文 献

1)Brodie, A. G.: Amer. J. Anat.,68,209

(1941).   2)Woods, C. A.:Amer. J.

Orthodont.,36,676(1950).   3)Newman,

K.」.&Meredithg H. V.=Amer. J. Anat.,

99,157(1956).  4)Hellman, M:.=Dent.

Cosmos,69,250(1927).    5)Golds奮ein,

M:.S.3 Amer. J. Physic. Anthrop.,22,37

(1936).    6)Harris,」. E.= Amer. J.

Orthodont.,48, 161 (1962).      7) Tan皿er,

」.M.:Growth at Adolescence,2nd ed., p.

14,0xford, Blackwell Scientific Pub1.,1962.

8)相模嘉夫3解剖誌,42,240(1967).  9)

相模嘉夫書解剖誌,44,(1969).印刷中.

10)Martin, R.& Saller, K.: Lehrbuch der Anthropologie,】3d.1,3. Auflage, p.481,

Stuttgart, Gustav Fischer Verlag,1957.

11)井原正安3慈恵医大解剖学教室業績, 3,1

(1950).   12)松田健史・岩佐隆明=金沢大 学解剖学教室業績,59,11(1959).    13)

Meredith, H. V.: Growth,25,229(1961).

14)Irie, M., Sekiguchi, T.&Watanabe,

H.=Bull. Tokyo Med. Dent. Univ.,12,219

(1965).     15)Sho11,1). A= Proc. Roy.

Soc., London, Bio1. Sc.,137,470(1950).

16)Zllckerman, S.:Proc. Roy. Soc.,:Lon・

don, Bio1. Sc.,137,433(1950).

      Abstract

   Transitions of growth rates as to 22 items of human mandibular dimensions during the postnatal period from 2 years to 20 years.of age were investigated by means Qf stochastical analysis on the measurements of 53 malldibles, collected in the Department of Anatomy, Kanazawa University.

   As the result of the test on significancy of difference among the specific growth rates for six stages between 2 years and 20 years old,(1)acceleration of growth was found in the symphysis height at the ages from 14 to 17 years, in the depth of the incisura at the ages from 5 to 8 years, and in the angle of the id−gn line to the mandibular base plane at the ages from 8 to ll years, respectively, and

(2)deceleration of growth was found in the bilnental diameter at the ages from ll to 14 years, in the symphysis height at the ages from ll to 14 years and from 17 to 20 years, in the body height at the ages from 17 to 20 years, in the ramus minimum height at the ages from ll to 14 years, and in the depth of the incisura at the ages from 8 to ll years, respectively. In other dimensions, an evidence of fluctuation in growth rate could not be found. In addition, the fluctuations in growth rates of above six items also fell inside of the standard deviation from each growth curve covered the period from 2 years to 20 years of age. Consequently, it was presumed that the course of growth in each mandibular dimension was possi・

bly a smooth process going on throughout childhood.

   However, for confirmation of whether the above fluctuation results from illdi一

(12)

vidual

human

varlatlons

mandible

or actual

must be

      Tveeeutfti$iOdept 385

 changes in growth pattern, future studies on growth of founded on unbiassed data with a known growth history.

参照

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