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博士(工学)前田幹夫 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)前田幹夫 学位論文題名

    FIVI 周 波 数 多 重 方 式 に よ る ハ イビジョン信号の光伝送に関する研究

学位論文内容 の要旨

  近年半導 体レ―ザダ イオード(LD)の直 線性が飛躍 的に改善さ れ,数十チャン ネルのアナログ映像信号の周波数多重光伝送システムの開発が精力的に進められて いる.周 波数多重光 伝送では,LDの非直線性に基づいて発生する相互変調歪がR F信号に妨害を与えるという問題がある.多重数が少ないときには最も強度が大き な2次 歪 に対 す る検 討 が重 要 であ る が,CATVの よう な多 チャンネル 伝送では3 次歪も考慮した検討が必要となる.

  ハイビジョンの信号方式には,素材信号の伝送に適したコンポーネント方式と,

放送分配伝送に適したMUSE(hlultiple Sub−Nyquist−Sampling Encoding)方式 が用いら れる.ハイ ビジョンは 衛星放送により普及すると考えられるので,CAT Vで ハ イ ビ ジ ョ ンを サ ービ ス する 場 合に は 衛星 放 送と 同 じMUSE−FM方 式 によ り伝送し,低廉なBSチューナで受信することが望ましい.

  映像信号 のアナ口グ 変調方式と しては,一般的に残留側波帯振幅変調(VSB. AM)方 式 と 周 波 数 変 調 (FM) 方 式 が 考 え ら れ る .FM方 式 はVSB.AM方 式 よりも歪 妨害の影響 を受けにく い,SN比をCN比 に対して大 きく改善できる,所 要受光亀カが低いなどの利点をもち,光ファイバの広帯域性を生かした高品質な伝 送が可能である.

  映 像 信号 の 多重 方 式と し ては ,TDM (Time Division Pdultiplexing)とFDM (Frequency DivisionXultiplexing)の2種 類が 考 えら れ る.FDMは 信 号多 重 効率がTDMに劣るものの,信号の同期回路や複雑な多重回路を必要としないため,

低廉なシステムをっくることができる・

  以上の点を考慮し,本研究は放送素材系から放送分配系に至るハイビジョン放送 の伝送系を一貫したFM周波数多重方式を用いた有線伝送システムとして実現する ことを目 的として, 昭和59年から 平成4年 までNHK放 送技術研究 所で行われた.

本論 文 はFM−FDM光伝 送の 具体的構成 法について 述べている が,特に多 チャン ネル伝送をしたときにLDで発生する相互変調歪に関する解析や実験に重点を置い ている.

(2)

これまでにLDで発生する相互変調歪に関する研究は数多いが,多チャンネルのハ イ ピ ジ ョ ンFM信 号で ,LDに 深い 光変 調を施 した 場合 にお ける受 信CN比な どの 伝送特性に関する研究は不十分であった.本論文は解析および実験により,この課 題に明快な指針を与えようとするものである.

  本論文では光ファイバによるハイビジョン信号の放送システムとして,2種類の 伝送システムについて述べている.そのひとっは素材信号の高品質な伝送を目的と した 輝度 色(YC)分離 コン ポーネント方式の局内伝送システムで,もうひとっは 多 チ ャ ン ネ ル の 低 廉 な 放 送分 配 を 目 的 と し たMUSE信 号に よ るCATVシ ス テ ム である.以下には本論文の概要を示す.

  第1章では ,関 連研 究分野 の概 要, 研究 の目的 ,論 文の 構成を述べている.

  第2章では ,光CATVをとり まく 放送 メデ ィアの 動向 ,伝 送方式,信号分配方 式 を 概 観 す る と と も に ,FTTH (Fiber To The Home)を低 廉 に 実 現 で き るCA TVと し て 提 案す るデ マンド アク セス 方式光CATVシス テム の特徴 につ いて 述べ ている.このシステムでは網の途中に設置するハプにおいて,加入者が希望するチ ヤンネルだけが選択されてスター型網により伝送される.この構成により,将来の チャンネル数の増加に対し,加入者端末を含めた加入者系に変更工事が不要となり,

ま た , ス ク ラ ン プ ル を 用 い ず に 有 料 放 送 サ ー ビ ス を 行 う こ と が で き る .   第3章では,YC分離コンポーネント方式ハイビジョン信号の局内光伝送システ ムの構成法にうぃて述べている.2次の相互変調歪を避けたFM信号の新しい周波 数配列法を提案している.2チャンネルのハイビジョン信号を伝送する場合,高い 周波数帯で伝送するチャンネルの3波のFM信号を低い周波数帯で伝送するチャン ネル のFM信号 に対し ,FMの極 性ま で対称 な周 波数 に配列 することにより,2次 歪をFM信号の谷間に効率的に落とし込むことができる.また,マルチモードとシ ングルモード光ファイバによる伝送実験を行い,局内光伝送には短距離の伝送であ ってもシングルモード光ファイバが適していることを明らかにしている.受信端で 無 評 価SN比55dB以上 が得ら れる こと を実験 で明 らか にし ている .ま た, 本装 置の中継放送用伝送装置への適用例について述べている.

  第4章では ,多 チャ ンネル のFM信号 を周 波数多 重光 伝送 した場合に,LDで発 生する相互変一歪の特性に関する基礎的な解析を行っている.その結果,光変調度 をm,伝送チャンネル数をNとしたときに,2次歪の電力和と搬送波亀カで定義す るCSO (Composite Second Order Beat),中 央 に配 列し たFM搬 送波 周波 数に おけ る3次歪 の亀 力和 と搬送 波電 カで 定義 するCTB  (Composite Triple Beat) はいずれもmー/ーNで表される実効光変調度で決定され,m俯を保てばNを増やし てもCSO,CTBが変化 しな いことを明らかにした.また,,実効光変調度を増加 さ せ た と き に,LDの 闘 値 に よ り 多 重 信 号の ク リ ップが 発生 する と,CSO,CT Bが急激に劣化することを示している.さらに,FM変調を受けた多数の相互変調 歪が白色雑音のように振る舞い,実効的にCN比を劣化させる事実を明らかにして いる.

(3)

  第5章では,第4章で述べた知見を基に少ない波数の正弦波で伝送実験を行い,

LDの非直 線性を表す4個の パラメータを知って,より多くのチャンネル数を伝送 す る場 合 にお け る 最大 の 受信CN比 を 推定 する幹 線系光CATVのシ ステム設計 法 について述べている.この設計法では,相互変調歪の数の分布と,歪とFM信号と の 帯域 の 重なり の2点 が考慮され ている.そ の結果,40チャ ンネルのFM信 号を ー18dBmで 受 光 す る 場 合 , 最 大 受 信CN比25.7dBの 設 計 値 に 対 し , ほ ぼ 同じ実験値が得られている.

  第6章 では,MUSE方式ハイビ ジョン信号 を含む多チ ャンネルの 映像信号を 高 品質に 伝送可能な デマンドア クセス方式 光CATVシステム の具体的な構成につい て述べている.特にデマンドアクセス方式に特徴的なハプのチャンネル選択方式に 焦 点を 当 てて, 幹線系で伝 送する80チャ ンネルのFM信 号から任意 の4チャ ンネ ルをBS―IF帯に選択す るための低 廉な回路構 成法につい て述べている.また,

受 信端 末 にお い て ,5段 階の 画 質評 価 にお ける評価 値4.5を与え る受信CN比1 7.5dBを 上 回 る22.4dBで サ ー ビ ス が 可 能 で あ る こ と を 明 ら か に し た .   第7章では本研究で得られた成果を総括している.

  本研究の実施例は以下の通りである.

  YC分離コンポーネント方式光伝送装置を世界に先駆けて開発し,ソウルオリン ピック開閉会式のハイビジョンによる生中継実験放送において,メインスタジアム か ら 国 際 放 送 セ ン タ ま で , ソ ウ ル 市 内3 4kmの 伝 送 に 本 線 系 で 使 用し た .   衛星 放 送と 同 じFM諸元 を 用い た80チ ャ ンネルのデ マンドアク セス方式光CA TVシステ ムは,東京 都が東京湾 岸13号埋め立 て地に現在 計画中の東京テレポー トタウンの未来型CATVとして導入が予定されている.

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

FM周波数多重方式によるハイビジョン信号の光伝送に関する研究

  近年半導体レーザダイオード(LD)の直線性の改善により,アナログ映像信号の周波 数多重光伝送システムの開発が精力的に進められている.周波数多重光伝送ではLDの非 直線性に起因する相互変調歪がRF信号に妨害を与えるという問題があるが,これまで相 互 変 調 歪 を 考 慮 し た シ ス テ ム 設 計 に 関 す る 研 究 は 十 分 と は い え ナ ょ い .   ハイビジョンの信号方式には,素材信号の伝送に適したコンポーネント方式と,放送分 配伝送に適したMUSE  (tdultiple SubーNyquist―Sampling Encoding)方式が用いられる.

アナ口グ映像信号の変調方式のうち,FM方 式には歪妨害の影響を受けにくい,高いSN 比が得られる,所要受光電カが低いなどの利点があり,光ファイバの広帯域性を生かした 伝送が可能である.特に,CATVでハイビジ ョンサービスを行う場合には,衛星放送の 普及 によ り低 廉化 され たBSチ ュー ナでMUSE−FM信号 を受 信す る方 式が 望ましい . 本論文はこのような状況の中で,放送素材系から放送分配系に至るハイビジョン放送の伝 送系を一貫したFM周波数多重方式を用いた有線伝送システムとして実現することを目的 と し て ,NHK放 送 技 術 研 究 所 で 行 わ れ た 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る .   1章では,関連研究分野の概要,研究の目的,および論文の構成について述ぺている.

  第2章では, 光CATVをとりまく放送メディアの動向,伝送方式,信号 分配方式を概 観 す る と と も に ,FTTH (Fiber To The Home)を 低廉 に実 現で きるCATVとし て提 案 す る デ マ ン ド ア ク セ ス 方 式 光CATVシ ス テ ム の 特 徴 に つ い て 述 べ て い る .   第3章では,YC分離コンポーネント方式ハイビジョン信号の局内光伝送システムの構 成法について述べている,2次の相互変調歪を避けたFM信号の新しい周波数配列法を提 案している,2チャンネルのハイビジョン信号を伝送する場合に,高い周波数帯で伝送す

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則 彦

彦 夫

正 精

吉 信

柴 藤

川 井

小 伊

小 永

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

るチャンネルの3波のFM信号を低い周波数帯で伝送するチャンネルのFM信号に対し,

FMの極性まで対称な周波数に配列するこ とにより,2次歪をFM信号の 谷間に効率的に 落とし込むことができる.また,シングルモード光ファイバによる伝送実験を行い,無評 価SN比55dBの良好な画像を得ている.

  4章では ,多チャンネルのFM信号を周波数多重光伝送した場合に ,LDで発生する 相互変調歪の特性に関する基礎的ナょ解析を行っている,光変調度をm,伝送チャンネル数 Nと し た と き にCSO (Composite Second Order Beat),CTB(Composite Triple Beat)mイ―Nで表される実効光変調度で決定され,m‑雨を保てばNを増やしても変化 しないことを明らかにした,また,実効光変調度を増加させたときに,LDの闘値により 多重 信号 のク リッ プが発生すると,CSOCTBが急 激に劣化することを示している.

さらに,FM変調を受けた多数の相互変調 が白色雑音のように振る舞い,実効的にCN を劣化させる事実を明らかにしている.

  5章では ,第4章で得られた知見を基 に,少ない波数の正弦波での実験により,LD の非直線性を表す4個のパラメータを知り,より多くのチャンネル数を伝送する場合にお ける最大の受信CN比を推定する幹線系光CATVのシステム設計法につし、て述べている.

相互変調歪の数の分布と,歪とFM信号と の帯域の重なりを考慮すると,40チャンネル FM信 号 を‑18dBmで 受 光 す る 場 合 に , 最 大 受 信CN25. 7dBが 得 ら れ る .   6章では ,多チャンネルのMUSE方式ハイビジョン信号を高品質に 伝送可能なデマ ンドアクセス方式光CATVシステムの具体 的な構成について述べている.特に,ハプの チャンネル選択方式に焦点を当て,幹線 系で伝送する80チャンネルのFM信号から任意 の4チャンネ ルをBS―IF 帯に選択するための低廉な回路構成法について述ぺている.

伝送実験を行い,受信端末において5段階の画質評価における評価値4.5を与える受信 CN17.5dBを 上 回 る22.4dBで サ ー ビ ス が 可 能 で あ る こ と を 明 ら か に し た .   第7章では本研究で得られた成果を総括している.

  これを要するに,著者は,有線系のハイビジョン放送システムの開発に関して,相互変 調歪を考慮したFM周波数多重方式による光伝送方式を提案するとともに,デマンドアク セス 方式 光CATVシ ステ ム の開 発を 通し て,FTTHを低 廉に 実現 でき る指 針を与えて おり,光通信工学の進歩に貢献するところ大なるものがある.

  よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める.

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