• 検索結果がありません。

博 士 ( 工 学 ) 米 田 孝 夫 学 位 論 文 題 名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 工 学 ) 米 田 孝 夫 学 位 論 文 題 名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 米 田 孝 夫

学 位 論 文 題 名

A STUDY ON THE DEVELOPMENT OF GRINDING SYSTEMS       WITH LEARNING FUNCTION

(習 熟型 研削加 工シ ステ ムの開発研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近 年, 市場環 境は個 性の尊 重,利 便さ と快適 性の追 求から ,製 品需要 が多様化し,製品種類の 増 加,製 品ライ フサ イクル の短縮 化が進 行し ている 。この ような 現状に 呼応して,機械工場に望 ま れてい る生産 形態 として は多品 種少量 生産 ,さら には市 場環境 の変化 に迅速に対応可能なよう に ,生産 品種と 生産 量が比 較的容 易に変 更可 能な, 変種変 量生産 へと変 化しっっある。しかし,

高 品質, 高精度 ,高 効率を 維持し ながら これ らの要 求に応 えてい くため には,生産システムは従 来 とは異 なる, 例え ば生産 システ ムの可 塑性 の実現 などの ,新し い機能 を具備することが要求さ れ ている 。この 様な 現状認 識のも とに, 本研 究は生 産シス テムか 具備す べき新しい機能のーっと 考 えられ ている 機械 システ ムの自 律化の 実現 を目的 とした もので ある。 そのために,まず生物,

生 態系の もつ機 能を モデル にそれ と生産 シス テムと のアナ 口ジー をとり ,人工物である機械シス テ ムに関 してシ ステ ム論的 に考察 し,そ の結 果に基 づいて 機械シ ステム に新機能を付加した設計 法 に っ い て , ハ ー ド ウ ェ ア お よ び ソ フ ト ウ ェ ア の 両 面 か ら 検 討 を 加 え る 。   こ れ らの 検 討 の 結 果, 生 産 シ ス テ ムの 構 成 要 素 であ る 個 々 の 機械 に1)普 遍性,2)親和 性,

3)習 熟 性,4) 自 律 性, の4っ の 新機 能 と し て の特 徴 を 持 っ よ うな シ ステム ,ここ で吾う 習熟 型 自 律 機 械 シス テ ム の開 発の 必要性 が導か れた。 この ような 機械シ ステ厶 実現の 具体 的なア プ 口 ーチと して本 研究 ではニ っの視 点から 問題 をとら え解決 を図る 。すな わち,思考領域内問題に 対 する知 能化お よび 行動領 域内問 題に対 する 高速・ 高精度 化の実 現であ る。本論文は,機械加工 の 中で最 も安定 化困 難であ る研削 加工を 例に とり, 実用化 を目指 した場 合をも含めた研削加工シ ス テムの 持つ個 々の 具体的 問題に対して,これら新機能の実現に関する理論展開とシステム開発,

数 値 実 験 と 実作 業 に 基づ く本 アプ口 ーチ法 の評価 等な どにっ いて考 察を加 え議論 した もので あ る 。

  本 論文 は三部 から構 成され ており ,第I部で は機 械シス テムの 基本構 成要 素であ る人間 ・機械

241

(2)

・制御の関係を思考領域,行動領域のニっの視点から考察し,それらの問題点を解決するために 生物,生態系のもつ機能のアナ口ジーとして新しい概念の習熟型自律機械システムを提案すると ともに,システム化が大きく立ち遅れている研削加工への適用例として習熟型研削加工システム の持つ意義にっいて述べている。第H部では,思考領域内問題に的を絞り,熟練者がもつ加工ノ ウハウの中で言葉で表現できない゛陰のノウハウぃに着目し,研削準備作業,特にマン・マシン

・コミュニケーション,研削条件の最適化に関する問題解決のための実現方法と試作評価結果に っいて考察している。第m部では,思考領域内問題解決の基礎であり,人間の手足に相当する行 動領域内問題に関して駆動系の高速・高精度化にっいて考察している。特に動作が複雑な輪郭形 状加 工 など を例 に新 し い制御方法を提案し,試作評 価結果にっいて検討を加え ている。

  各部,各章は以下に示す内容となっている。

    第I部習熟型自律機械システムの開発

  第1章は序論でり,始めに機械生産システムのこれまでの発展の経緯と将来動向にっいて展望 し,その有るべき姿を議論している。次に生産システムの現状の問題点と課題にっいて述べ,そ れらの解決を計るために構成要素である個々の機械が果たすべき役割にっいて考察している。第 2章では,始めに生産システムの構成要素である個々の機械が具備しなければならない4っのシ ステム的特徴にっいて述べ,これらのシステム的特徴を有した習熟型自律機械システムの基本構 造にっいて検討している。第3章では,研削加工へ習熟型自律機械システムを適用する意義を述 ベ,具体的な適用例として習熟型研削加工システムの基本的構造にっいて考察している。更に,

習熟型研削加工システムを実現させるために,研削加工における人間の役割を思考領域と行動領 域に分け,思考領域の代替としての知能化と行動領域の代替としての高速・高精度化が必要であ ることを主張している。

    第H部思考領域内問題としての習熟型研削加工システムの開発

  第1章では序論であり,熟練者の思考や判断に大きく依存している研削準備作業の問題点につ いて考察している。更に,それらの問題を解決するためには知能化が必要であり,具体的には人 間との親和性を重視したヒューマン・インタフェース,および研削条件最適化機能の構築が必要 であることを述べている。第2章では研削準備作業における人間の役割にっいて複数の研削作業 現場の事例を調査し,理想的状態で人間が処理すべき作業内容を示している。特に,形状定義作 業などにっいてヒューマン・インタフェースの設計法を述べ,具体的にシステムを試作しその結

242

(3)

果 にっ いて考 察し ている 。第3章で は,始 めに研 削条件 最適 化に関 する従 来の研 究に っいて 考察 し ,その 問題 点を指 摘する ととも に, 学習機 能を有 した新 しい考 え方 の研削条件最適化手法を提 案 してい る。 具体的 には, 手続き 論的 アプ口 一チに より標 準値を 求め ,その標準値に対する熟練 者 の修正 事例 を学習 する事 による 最適 化手法 を提案 し,熟 練者の ノウ ハウを学習する手段として ニ ューラ ルネ ットワ ークが 極めて 有効 である と提案 してい る。特 に, ニューラルネットワークを 現 場の生 産機 械に実 装する ために 解決 すべき 幾っか の課題 と解決 方法 を示し,計算機実験結果に っ いて考 察し ,シス テムを 試作し 実研 削評価 を行い 研削時 間とし て10% から15%の短縮効果を示 し てその 有効 性を確 認して いる。

    第m部行 動領域 内問題 として の習熟 型研 削加工 システ ムの開 発

  第1章で は研削 加工は 仕上 げ加工 であり ,高速 ・高精 度加 工の要 求が特 に強く ,思 考能カ だけ でなく 運動能 カそ のもの の知能 化が必 要であ るこ とを指 摘し, クラン クピ ンとカム研削を例とし て具 体的問 題点に っいて 考察 してい る。第2章 では, 始めに クラ ンクピ ン研削 加工の 高速・ 高精 度化を 最も阻 害す る要因 と考え られて いる工 作主 軸回転 同期精 度にっ いて 計算機実験により数値 解析し 問題点 を議 論して いる。 次に, 電気式 サー ボシン クロ駆 動の同 期制 御方式を提案し,具体 的に シ ス テ ム を 試作 し 工 作 主 軸の 回 転 同 期 精度 が1/3から1/5ヘ 改善で きた ことを 示して い る。 第3章では ,輪郭 形状研 削加工 の代 表例と してカ ム研削 加工 におけ る従来 の制御 方式の 問題 点 を 指 摘 し , そ の 解 決 のた め にNC制御 方 式 を 提 案しNC輪 郭 指令 デ ー タ の 生成 法 に っ い て理 論解析 すると とも に,高 速研削 加工で 問題と なる 仕上げ 面精度 と形状 精度 の低下を防止するため に,自 己調整 機能 と学習 機能を 特徴とした新しい制御方式を提案し,装置を試作し考察している。

こ の 結 果 , 形 状 精 度 が1/2か ら1/3に 改 善 で き た こ と を 実 研 削 に よ り 示 し て い る 。

最 後に ,総括 として本研究で得られた成果を要約している。

‑243

(4)

学位論文審査の要旨

  本 論文は ,次世 代生産 シス テムが 具備す べき要 素技 術の― っとさ れてい る可塑性機能をシステ ムの 習熟 自律機 能とし て具体 的に 実現する事を目的とし,そのための概念・理論・方法を提案し,

続い て具 体例を 研削加 工シス テム にとり ,実際 にハー ドウェ ア, ソフト ウェアを開発・構築し,

実切 削実 験・実 作業を 通して ,提 案した 概念・ 理論・ 方法の 検証 を行い ,種々の新知見を得たも ので ある 。

  論 文は3部か らなり ,各部3章 より構 成され てい る。

  第I部では 次世代 生産 システ ム構築 のため に人間 ・機 械・制 御の関 係を, 思考 領域, 行動領 域 のニ っの 視点か ら考察 し,生 物, 生態系 のもつ 機能の アナ口 ジー として 新しい概念の習熟型自律 機械 シス テムを 提案し ている 。こ こでの 提案tま次 世代生産システムのーっの方向を示していて高 く 評価 できる 。第1章は 序論で あり ,生産 システ ムの現 状の 問題点 と課題 ,それ らの解 決方 法が 模索 され ている 。第2章で は,生 産シス テム の構成 要素である個々の機械が具備しナょければなら ない シス テム的 特徴と これら の特 徴を有 した習 熟自律 機械シ ステ ムの基 本構造にっいて検討して い る。 第3章では ,習熟 型自律 機械 システ ムの適 用例と して 習熟型 研削加 工シス テムの 基本 的構 造に っい て提案 し,研 削加工 にお ける人 間の役 割を思 考領域 と行 動領域 に分け,それぞれの代替 とし ての 知能化 ,高速 ・高精 度化 の必要 性を明 らかに してい る。

  第I部 では, 熟練者 がもつ 加工ノ ウハ ウの中 で言葉 で表現できない゛陰のノウハウ。に着目し,

研削 準備 作業, 特にマ ン・マ シン .コミ ュニケ ーショ ン,研 削条 件の最 適化に関する問題解決の ため の実 現方法 と試作 評価結 果に っいて 考察し ている 。ここ で述 べられ ていることは生産システ ムの 可塑 性機能 実現方 法の具 体的 要素技 術の根 幹を成 すもの であ り,そ の概念・方法論共に斬新 で 高く 評価し 得る。 第1章では ,熟 練者の ノウハ ウに依 存し ている 研削準 備作業 問題を 解決 する ため にヒ ューマ ン・イ ンタフ ェー ス,お よび研 削条件 最適化 機能 の構築 が必要であることを明ら か にし ている 。第2章で は複数 の研 削作業 現場の 事例を 調査 し,理 想的状 態で人 間が処 理す べき 作業 内容 を示し それに 基づき ヒュ ーマン ・イン タフェ ースシ ステ ムを試 作しその評価を行ってい

昇 政

脩 東

侑 勝

数 藤

   

嘉 斎

島 大

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

る。第3章でfま,新しい研削条件最適化手法として,熟練者のノウハウをニューラルネットワー クにより学習する手法を提案し,更にニューラルネットワークを生産機械に実装するための課題 と解決方法を示し,システムを試作し実研削評価を行い研削時間として10%から15%の短縮効果 を示してその優れた有効性を確認している。

  第m部では,行動領域内問題に関して駆動系の高速・高精度化方法を目的として,特に動作が 複雑な輪郭形状加工を例に新しい制御方法を提案し,実機開発を行い種々の評価・検討を加えて いる点は高く評価される。第1章では仕上げ加工としての研削加工では運動能カそのものの知能 化が必要であることを指摘している。第2章では,研削加工の高速・高精度化を最も阻害する要 因と考えられている工作主軸回転同期精度にっいて計算機実験により数値解析し問題点を議論 し,また電気式サーボシンクロ駆動の同期制御方式をも提案し,具体的にシステムを試作し工作 主軸の回転同期精度が1/3から1/5ヘ改善できたことを示している。第3章では,輪郭形状 研削加工用NC制御方式を 提案しNC輪郭指令データの生 成法を述べ,高速研削加工で問題と なる仕上げ面精度と形状精度の低下を防止するために,自己調整機能と学習機能を特徴とした新 しい制御方式を提案し,装置を試作し考察している。この結果,形状精度が1/2から1/3に 改善できたことを実研削により示している。

  最後に以上の結果を所期の目的と対比しつつ総括している。

  これを要するに,著者は生産システムにおける可塑性機能としての習熟自律機能を実現するた めの理論・方法を提案し,実際にハードウェア,ソフトウェアを開発・構築し実切削実験・実作 業を通して,その評価・検証を行ったもので得られた新知見は生産工学・精密工学,応用知識工 学の進歩に貢献するところ大である。よって著者は,博士(工学)の学位を授与される資格ある ものと認める。

参照

関連したドキュメント

   第 1 章は 序論 であ り、研 究の 背景 、既往 の研 究お よび 目的に っい て述 べた 。

低倍率から高倍率まで連続的に可変でき,しかも操作が容易なことから様々な分野での研究開発 にしばしば署q 用されている。SEM

   遺 伝子 診断 法で は上記の3 菌群に関し.16 −23S リボソーマルRNA 遺伝子のspacer 領域の塩 基配 列が 竹内 およ び筆 者ら (1997

   ー方, 上部 三畳 系では,火山砂岩とカリ長石・石英に富む砂岩が認められる.前者 は 準同時 的な 酸性 火山活動に由来し,後者は花崗質岩や大陸性基盤岩を起源とすると 考

体の違赤外分光に関する報告はほとんど無い。これは、これまで速赤外領域を連続的

[r]

  

第 4 章では,特に需要変動が大きく,前章の解析が成立しなくなる可能性の高い住宅を対 象として,需要変動の影響および