博 士 ( 工 学 ) 本 田 敏 文
学 位 論 文 題 名
電子機器の製造における外観検査のための画像取得と その処理に関する研究
学位論文内容の要旨
製 品の外 観検 査の本 質的 款課題 は欠 陥と良 品を 分離す るこ とであ るが ,多様 を検査対象において,様々を欠陥 を良 品と 完全に 分離 するこ とは 技術的 を障 壁が高 い。 電子機 器の 製造に おい て,特に検査が困難をものとして,
電 子 基 板 の は ん だ 付 接 続 部 の 検 査 と 半 導 体 ウ ェ ハ 上 の 微 小 欠 陥 検 査 が あ げ ら れ る 。 前 者の はんだ 外観 検査で は良 品製品 にお ける形 状ぱ らつき が大 きく, 高い 欠陥検 出性 能を低 い虚 報率で 実現 す る には 検査 対象の 立体 形状を 正確 に推定 した 欠陥抽 出が 必要で ある 。また ,高 いスル ‐プ ットが 要求 を満た す た め, 高速 検出が 可能 を光学 的な 検出が 不可 欠にを る。 光学的 抵方 式で立 体形 状を検 出す る方式 とし ては光 切断 法等 の従来 手法 が知ら れて いた。 しか し,は んだ 付け部 は極 めて反 射率 が高いためっ計測すぺき領域からの ほと んど の光が 検出 系と異 教る 方向に 反射 され, 別の 領域を 照明 して検 出系 での検出が困難にをったり,あるい は 隣 接 し たは ん だ 付 け 部 か ら の反 射 光 を 誤 検 出 する 等 に よ り 形 状 を正 確 に 検 出 す る こと が困難 であ った。
後 者 の 半 導 体 ウ ェ ハ 上 の 微 小 欠 陥 検 査 に お いて は , 検 査 対 象 欠陥 が 数10nmと ,CCDやCMOSを ど のSiを べ ー ス に した 一 般 的 毅 セ ンサ ーが 感度を もつ 数100nmの 波長 に対し て極 めて小 さく をって きて おり, 光学 的に は解 像す ること が不 可能に をっ てきて いる 。しか し, 高いス ルー プット 要求 を満たす検出系としては,光学的註 検出 方式 しか選 択肢 はをい 。こ の結果 ,欠 陥と虚 報の 混在し た欠 陥候補 を光 学検査装置で検出し,スループット は 低 い が 数nmの 解 像 度 を 有 す る走 査 式 電 子 顕 微 鋪くSEM)を備 え た 欠 陥 レ ピ ュ ーSEMに よ る 欠 陥 候 補 の実 欠 陥と 虚報 の弁別 ,さ らに分 類と いった2段ス テッ プによ る検 査方式 が採 られる よう にをっ てき ている。しかし,
電 子 線は 物理 的な特 性が 光学式 とは 異誼る ため .高い 解像 度をも つに も関わ らず 光学式 で顕 在化で きる 欠陥を 検 出 でき をい 場合が ある 。その 典型 的を例 が半 導体ウ ェハ の透明 膜中 に存在 する 膜中欠 陥で ある。 電子 線は膜 中に は侵 入でき をい ため, 膜中 欠陥が 存在 した際 に発 生する 表面 の緩や かを 凹凸を顕在化する必要があるが,一 次 電 子 の 照射 に 伴 う 総 二 次電 子数 は,急 峻誼 エッジ 部が 毅いと 大き く変化 しを いため 。一 般的誼SEM検出 系で は 顕 在化 させ るてと がで き誼い 課題 があっ た。 上記の よう 按課題 に対 して, 本研 究では 複数 のセン サー からの 出カ を統 合して ,検 出対象 の立 体形状 を検 出,あ るい は顕在 化さ せ克服 する 。
は んだ検 査技 術にお いて はスポ ット 状の照 明光 を,こ の照 明系の 光軸 と同軸 の検出系で検出して,焦点ずれに と も をう 検出 系にお ける スボッ ト径 の拡大 を利 用した 距離 計測系 であ る多段 焦点 検出系 を開 発して ,こ の課題 を解 決し た。こ の検 出系は ,照 明系と 検出 系が同 軸で あるこ とを 利用し ,照 明位置から反射した光が基板面は他 のは んだ 付け部 に照 明して 明る く検出 され る二次 反射 をカッ トし て,二 次反 射による距離計測誤差を抑制した。
また ,焦 点を互 いに ずらし た複 数の検 出系 で同時 に並 行検出 を行 うこと によ り,焦点法の課題であった撮影時間 の短 縮を 図った 。
ま た,こ の複 数の, 焦点 面から 非等 間隔な 距離 に配置 され た複数 の検 出系で 同時に検出された明度より,検出 対 象 の距 離を 演算す るア ルゴリ ズム を開発 し, 少をい 検出 系の数 でも 距離分 解能 を確保 でき るよう にし た。さ らに ピー ク強度 も内 挿補間 によ り算出 でき るよう にし て,距 離画 像と明 度画 像をともに検出できるようにした。
検 査アル ゴリ ズムで は, この距 離画 像と明 度画 像をも とに ,はん だ付 け部が フラックスに覆われたよう救当初 想 定 して い教 かった 状態 で発生 した 距離画 像に おける ノイ ズを, 明度 画像と 距離 画像を 併用 して除 去す るアル ゴリ ズム を開発 した 。この ノイ ズが除 去された距離画像と明度画像より,リード,電極部,パッド部,はんだ付け 部 を 認識 し, データ ベー スに登 録さ れた各 電子 部品の 設計 形状デ ータ と比較 して 実装仕 様と 検査対 象の 実装状 態を 比較 して欠 陥を 検出す るア ルゴリ ズム を開発 した 。
多 段焦 点 検 出 系 と し て 備え た 検 出 器 の 数 は16, 距 離 検 出レ ン ジ は1.5mm,距 離計 測精度 は照 明系の ピー ム
―198ー
ウ ェ ス ト に おい て5 N101nm, 水平 方向画 素サ イズは15pmで ある。 開発 したア ルゴ リズム を, 多段焦 点検 出系 と 組み合 わせ ,実ラ イン で性能 評価 を行い ,欠 陥検出 率100%(80/80),虚報率0.13%(230/171925),検査データ生 成 時間1分 以内 を確認 した 。
半 導 体 ウェ ハ上の 微小 欠陥検 査に おいて は,SEMにお いてこ の低 段差欠 陥を 顕在化 させ るため の検 出条件 の最 適 化 を 行っ た。電 子を 上方と 左右 の低角 から 検出す る3検 出器の 構成 におい て, 欠陥を 頭在 化させ るた めの最 良 の検出 立体 角を検 討し たとこ ろ, この欠 陥コ ントラ スト を最大 化さ せる検 出立 体角は 欠陥 の表面凹凸にはほ と んど依 存せ ず,画 像に 重畳す るノ イズの 性質 によっ て変 化する こと を明ら かに した。 画像 に重畳するノイズ の ショッ トノ イズの 割合 が大き いほ ど検出 立体 角を大 きく 設定す るこ とがで きる が,そ の最 大の検出立体角は 低 仰角側 から60度付近 であ り,線 形教 ノイズ が増 えるに 従っ て,検 出立 体角を 小さ くしを けれ ば教ら教いこと を 明らか にし た。ま た, 少をい 電子 数でも 欠陥 を顕在 化し て検出 する 検査ア ルゴ リズム を構 築した。開発した ア ルゴリ ズム の特徴 は以 下のと おり である 。
(1)複 数の 検出系 で撮 影した 画像 より, それ ぞれ隣 接す るチッ プと 比較し て差 分を算出し,これを多次元の特徴 ベ クトル 空間 で表し ,多次元空間にプロットされた差分ベクトルを,先見的に半IJ明している欠陥のモデルデータ と ,画像 に重 畳して いる ノイズ 分布 をもと に一 次元デ ータ として射影して欠陥を顕在化させる,領域S|J射影弁 別 法。
(2)IPPMに おける 課題 である ,参 照画像 の空 間周波 数が 高い場 合の 感度低 下を 最小に する ために 開発 した, 参 照 画 像 と 検 査 画 像 の 両 方 を 摂 動 さ せ て 摂 動 差 分 画 像 を 算 出 す る サ プ ピ ク セ ル 対 応BD‑LPPM (3)単 純差 分画像 より ,LPPM, あるい はBD‑LP,PMの ノイズ 分布 を推定 し, 適正誼 しき い値を 決定するアルゴリ ズ ム。
低 段 差欠 陥 の 代 表 で あ るマ イ ク ロ ス ク ラ ッチ が 多 発 し た 工 程 のSEM画像170枚に対 して 開発し たア ルゴリ ズ ム の 欠陥 検出性 能を 評価し ,従 来のSEM像のみ から の欠陥 検出 ,領域 別の マハラ ノピ ス距離 に基 づく欠 陥検 出 と性能 を比 較した 。この結果,開発したアルゴリズムは欠陥の再検出率は97.8qo,虚報除去率は87.5ゲ。,総合 正 解 率 で97%と, 実 用 に 耐 え る 性 能を 得 る て と を 確 認し , 従 来 型 のSEMによ る検出 を模 擬した アル ゴリズ ム の 欠 陥 再 検 出率78%, 虚 報 除 去 率38%, 総 合 正 解 率は66%,マハ ラノ ピス距 離を 使って 欠陥 を検出 した 欠陥の 再 検 出 率82.6%,虚報 の除 去率259'0,総 合正解 率倣71.8%に比 較し て性能 の向 上を図 るこ とがで きる ことを 確 認 した。
最 後に, 今後 のより 汎用 的教画 像か らの欠 陥検 出を目 的に,一般画像より,先見的数知識や比較によらずに異 常 部を, 評価 パター ンを その周 辺パ ターン に条 件づけ た確 率により定式化する手法を提案し,提案方式により,
人 間が特 異で あると 感じ る領域 を自 動的に 抽出 できる こと を検証 した 。
―199 ‑