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ドイツにおける合併に関する
基準日の設定とその変則例
ー は じ め に ー ドイツにおける遡及的合併 付合併の実務的手続き 帥種々の基準日について田 村 詩 子
仲 合併契約書における変則的遡及的合併 一 日本の合併制度について 四 お わ り に はじめに ドイツにおける合併制度は,1
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年西独株式法における合併法が1
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年に改 正され,そして,現在,諸法にわたる合併に関する規定は,株式会社だけでな く他の企業形態に関する合併法とともに,組織変更法において統一されようと している。1
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年合併法は,ヨーロッパ経済共同体条約に基づく合併ディレクティブと 称されている第3
ディレクティブの国内法化により改正されたものである。い わゆる遡及的合併制度については,改正前から実務上慣行として行われていた ものであり,改正により,合併契約一書の法定記載事項のーっとして,消滅会社 の財産が存続会社に移転し,そして,消滅会社の業務が存続会社の計算で行わ れたものとみなされる時点(株式法3
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条l
項6
号),すなわち,合併基準日 (Verschmelzungsstichtag)が記載され,そして,消滅会社の株主が存続会社 の株式の利益配当請求権を与えられる時点も記載しなければならない(株式法-160ー 香川大学経済論叢 852 340条 l項 5号入と明文化された。この新株の利益配当請求権及び計算の承継 に関する基準日を,合併登記により合併の効力が生じるより以前に設定するこ とにより,あたかも合併の効力が合併基準日から生じたのと同様の効果を有す るとごろから,遡及的合併とドイツで称されていたものであり,その法的性質 につし、ては物権的遡及効ではなく債権法的遡及効と解されていたのである。 このドイツの遡及的合併制度に関する実務の取扱い,特に基準日の設定に関 する実務の取扱いを参考にして,日本において改正されようとしている合併制 度の一方向を模索することとしたい。
ニ
ドイツにおける遡及的合併 株式会社の合併は,法による段階的手続きを経なければならない。合併当事 会社の取締役は,合併についての合意の後,合併契約書草案 (Entwurfeines Verschmelzungsvertrags) を作成するか,株主総会の承認が得られることを条 件とする合併契約書 (Verschmelzungsvertrag) を先に締結する。合併契約書 における最も重要な記載事項は,株式の割当比率である。株主総会による合併 契約書または合併契約書草案の承認決議のために,各合併当事会社の取締役 は,合併報告書を作成し (340条a),合併契約書または合併契約書草案を独立 の合併検査役に検査さIせなければならない (340条b)。合併契約書または合併 契約書または合併契約書草案・直近3
営業年度の年度決算書・中間貸借対照表 ・取締役報告書・検査報告書が,合併承認の株主総会開催前遅くとも←カ 月前に,会社の営業所において株主の閲覧に供されなければならない。合併承 認株主総会において,株主は,当該会社の業務に関してだけでなく,他の合併 当事会社の業務に関しでも知る権利を有する (340条d)。そして,合併当事会 社の株主総会が承認決議をする (340条c)。合併により資本が増加する場合に は,これにつき更に株主総会決議を要する。しかし,存続会社が消滅会社の株 (1) 拙稿「西ドイツにおける遡及的合併」呑川大学経済論議第63巻第l号111頁以下参照。853 トイ Yに お け る 合 併 に 関 す る 基 準 日 の 設 定 と そ の 変 則 例 -161-式または自己株式を有する場合には,資本の増加がなされないととがある (344条〉。合併登記は,まず,存続会社においてなされ,その後,消滅会社に おいてなされる。 合併は,存続会社の合併登記によりその効力が発生し,消滅会社の財産が債 務をも含めて包括的に存続会社に移転し,消滅会社の株主が存続会社の株主と なり,そして,消滅会社は消滅するのである (346条〉。 このような合併制度が実務上どのようになされるのかを合併計画予定表によ り見てみることとする。
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)
合併の実務的手続き ドイチェノミンク (DeutscheBank AG, Frankfurt)が1987年に扱った, MGV (Mercator Getr加ke-undVerpackungstechnik AG, Duisburg)によるSEN (Seitz Enzinger Noll Maschinenbau AG, Manheim) とHuK(Holstein und Kappert AG, Dortmund,当会社は合併前は有限会社であったため,以下の 表の合併手続中に組織変更の手続まで含まれている。〉の吸収合併の予定に関 するメモ (1987年1月 5日付〉をみてみると,次表のように手続きがなされて いる。 時 一 年 目一釘月 G u v -A SEN HuK 公正証書による 有限会社から株式会社 への組織変更の決定 及びそれに関する手続き 同当事者の登記裁判所に 当事者の登記裁判所に おける,合併検査役(~ おける,合併検査役 (~340b) 340 b)としlてSchitag としてSchitagTreuhandvereinigung Treuhandvereinigung を選任するためのSEN'MGV. を選任するためのHuK HuK"MGVの共同の申誇 .MGVの共同の申請 MGV 1987年 1月 両当事者の登記裁判所に おける,合併検査役(~ 340 b)としてSchitag Treuhandvereinigung を選任するためのSEN "MGVの共同の申請 SEN'MGVの 合併契約脅草案 HuK'MGVの 合併契約書草案 SEN'MGV. HuK'MGVの 合併契約書草案 信託受託者 (~346bll) としての機能について、 ドイチエ“ノミン ク(Frankfurt) との合意,契約
-162- 香川大学経済論叢 854 日時 SEN HuK M G V 特に,証券取引所へのM G Vの 株式の上場に際して, シンジケート団のIiiif事としての 機能について ドイチェ・ノ〈ンク (Frankfurt) との合意 Duisburgの登記裁判所における, 事後設立検査役(~ 342)として Schitag Treuhandvereinggung を選任することに関する申請 (備霞のための) 1986年12月31日の 中間決算書及び 営業報告書の作成, 会社の経済監査による監査 ドイチェ・ノミンク (Frankfurt) との,合併の進行計商・ 証券取引所の上場承認及び 取引所の上場目論見書, についての打合せ 不動産に関する問題 不動産に関する問題 新定款の草案,特に 名称,住所,基本資本, 監査役員の数 1987年 有限会社からの 2月 組織変更に関する手続き 取締役の合併報告書草案取締役の合併報告露草案取締役の合併報告書草案 (~340a) (~340a) (~340 a) 経済監査土合併検査報告経済監査士合併検査報告経済監査土合併検査報告書草案 書草案 (~340b) 脅草案 (~340b) (~340b) 合併承認株主総会 合併承認株主総会 合併承認株主総会 (同時に,定時総会〉 (臨時総会〉 (臨時総会〉 招集草案 招集草案 招集草案 合併承認総会に関する 合併承認総会に関する 合併承認総会に関する 公証人による議事録草 公証人による議事録草 公証人による議事録草案 案 案 E主査役の 事後設立報告脅草案 (~~ 342. 52. 33)
855 ド イ ツ に お け る 合 併 に 関 す る 基 準 日 の 設 定 と そ の 変 則 例 -163ー 日時 SEN HuK M G V 経済監査土の 事後設立報告詩草案 ( ~~ 342, 52, 33) 備債のための 備fIJのための 備院のための12月31臼の 直近3営業年の年度決算 直近3営 業 年 の 年 度 決 算 中 間 決 算 書 及 び 書 及 び 営 業 報 告 書 の 準 備 書 及 び 営 業 報 告 脅 の 準 備 営 業 報 告 書 の 準 備 (~340d) (~ 340d) (~ 340d)任意 証券取引所への 上場目論見書草案 合併登記後の 監査役会への労働者の 裁判所による任命の申請草案 1986年5月14日の 万ーのために 株主総会後の 組織変更登記後の 監査役会への労働者代表監査役会への労働者代表 の裁判所による任命の の裁判所による任命の 申請草案 申請草案 監査役会の招集草案 監査役会の招集草案 資本増加に関する決議 登記申請書類草案 公証人及び商業登記所 公証人及び商業登記所 公証人及び商業登記所 との調整 との調整 との調整 合併登記後,株式法97条による旨 (共同決定法の適用) に関する連邦公報及び会社内公告紙 における公告草案 株主総会想定問答集の準備 株式法125条の通知でもある, 総会招集通知草案 (両合併契約書に関する書類〕 3月12日の監査役会の 3月の監査役会の招集 招集 合併後の会社名維持のた 合併後の会社名維持のた めの100%子会社の設立 めの100%子会社の設立 組織変更のための手続き 3月5日 商業登記簿への 資本増加の登記申請
-164- 香川大学経済論叢 856 日時 SEN HuK M G V 3月12日 3月27日の監査役会の 監査役会の貸借対照表 招集 会議 定時社員総会での合併に 関する決議草稿 Dortmundの商業登記簿へ の資本増加の登記 3月13日 商業登記簿への 株式会社への組織変更 の登記申請 (詳細に前もって 商業登記所との調整) 3月 監査役会 合併に関する決議草稿 取締役の新選任 (遅くとも記者会見までに〕 3月14日 連邦公報への 商工会議所・Duisburgの登記所 株主総会招集通知掲載 との調整後 のための原文 (記者会見前〕商号の決定 (3月27日掲載〕 及びその後の住所の決定 3月20日 連邦公報" 連邦公報への 証券取引所新聞への 株主総会招集通知掲載 株主総会招集通知掲載 のための原文 のための原文 (4月3日掲載〕 (4月3日掲載〕 株主への通知の印刷J (同時に125条による 株主への通知〉 3月26日 〈遅くとも)Dortmund の商業登記簿への組織 変更の登記 商業登記簿への 合併契約書草案の提出 (~340d) 3月27日 監査役会の貸借対照表会議 15時 合併に関する決議 3月27日 連邦公報へ4月27日の 株主総会招集通知掲載 法定脅類の備置 (特に、合併契約書草案。 直近3年の年度決算書 及び営業報告書・
857 日時 ド イ ツ に お け る 合 併 に 関 す る 基 準 日 の 設 定 と そ の 変 則 例 SEN H uK MGV 取締役による 合併報告番。経済監査土に よる合併検査報告書〕及び SEN及びMGVにおいて備慣れる 全書類の備債 3月30日 ス イ ス で の スイスでの スイスでの -165-MGVとの合併契約書の MGVとの合併契約書の SEN'HuKとの合併契約書の作成 作 成 作 成 3月31日 SEN. HuK.MGVによる共同の記者会見 11時 債権者保護4月 3日 3月31日 商業登記簿への 合併契約替の提出 (~ 340d) 4月 3日 連邦公報及び 誕券取引所法上 義務のある誌へ 5月14日の 株主総会招集通知掲載 法定書類の倒置 (特に,合併契約番" 直近3年の年度決算脅 及び営業報告脅・ 取締役による合併報告設。 経済監査士による 合併検査報告書〕及び 債権者保護4月3日 HuK及びMGVにおいて備置れる 全書類の備置 株主のための通知の送付 4月27日 合併承認株主総会 5月11日 5月14日 合併承認株主総会 5月15日 監査役会の労働者代表の 裁判所による選任の申請 債権者保護4月3日 商業登記簿への 合併契約書の提出 (~340d) 連邦公報へ5月11臼の 株主総会招集通知掲載 法定書類の備霞 (特に,合併契約菩}" SEN及びHuKの li1!近3年の年度決算書 及び営業報告書" 取締役による合併報告書。 経済監査土による 合併検査報告書〉 裁判所・取締役会。 Duisburg商工会議所における 事後設立の検査に関する 経済監査土の報告書の提出 合併承認株主総会 定款変更登記の効力発生に伴う新監査役 の選任,決算検査役の選任
-166- 香 川 大 学 経 済 論 議 日時 SEN H u K 5月27日 4月27日の株主総会決議 に対する取消訴訟提起期 間経過 5月29日 商業登記簿への合併の 申請 6月12日 6月15日 5月14日の株主総会決議 取消訴訟提起期間経過 6月16日 商業登記簿への合併登記申請 M G Vの合併登お後 (前もって, Dortmund, Mannheimでの登記〉 (ニ) 種々の基準日について 858 M G V 商業登記簿へのH u Kとの合併の申請 (株主・取締役員。監査役会員 の取消の断念〉 5月11日の株主総会決議取消訴訟 提起期間経過 商業登記簿へのSENとの合併 登記申請 商業登記簿への 監査役会の労働者代表の 裁判所による選任の申請 共同決定法の適用 (株式法97条〉による旨 に関する連邦公報における公告 及び会社内公告紙における公告; それに伴う共同決定法による 労働者代表の選任 証券取引所の上場承認 合併当事会社の取締役は,合併契約書を締結するか,書面による合併契約書 草案を作成する
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条1
項〉。 合併契約書は,その法的性質によれば,財産法上および、会社法上,債権法的 かつ物権的に効力を生じさせる契約であ2
。 合併は,存続会社の本屈の所在地の登記簿に登記をすることにより,物権的 にその効力が生じ,消滅会社の全財産が債務をも含め存続会社に移転し(
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条3
項),かつ消滅会社の株主が存続会社の株主となる。これに反する合併契(2) Kraft, K凸lnerKomm zum AktG (1972)~ 341 Rn 2 ; Godin/Wilhelmi, Komm zum AktG 4 Aufl (1971)~ 341 Anm 1 Wurdinger, Aktien-und Konzernrecht, 2 AufL (1966), S 225f
859 ドイツにおける合併に関する基準日の設定とその変則例 -167-約は,無効である。それは,合併の法的効果として生じるものである。 法上,合併基準日に関する明文はないが,合併に関する基準日として問題と なるのが,終結貸借対照表の基準日,消滅会社の最終貸借対照表の基準日,中 間貸借対照表の基準日,計算の承継の基準日及び消滅会社の存続会社の利益配 当請求権の基準日であり,この他にも税法上の財産移転の基準日がある。これ らの基準日の設定につき定型的な原則はないが,基準日の設定につき制約のあ るものがある。以下,これらの基準日につきみてみることとする。
(
め
消滅会社の終結貸借対照表及び最終年次貸借対照表の基準日 合併契約書には,法定記載事項としての計算の承継の基準日及び消滅会社の 株主の存続会社株式の利益配当請求権の起算点だけでなく,消滅会社の終結貸 借対照表の基準日が記載されるのが通例である。終結貸借対照表は,消滅会社 の合併の登記申請のための添付書類の一つである (345条3項 1文)。終結貸借 対照表は,会社の吸収後の貸借対照表の継続性の維持に資するものであるが, 存続会社の株式の割当比率算定については何等意味を有しない。それは,貸借 対照表に計上された数値によって算定されるのではなく,経済的な価値による ものだからである。合併契約書に記載されることを要せず,また,必ずしも消 滅会社の最終営業年度の貸借対照表が終結貸借対照表と同一でなければならな いことはない (345条3項 2文, 3文〉が,消滅会社の最終営業年度の貸借対照 表を終結貸借対照表とする旨が記載されるのが通例である。 終結貸借対照表の基準臼は,定時株主総会が決算後8
カ月内に開催されなけ ればならないこと075
条l
項2
文〕に対応するよう,1
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年の改正法により,合 併の登記申請の日から遡って8
カ月内に定められなければならない,とされた (345条3項〉。これにより,消滅会社の最終営業年度の決算貸借対照表を終結(3) Schilling, Groβkomm zum AktG 3 Aufl (1974)~ 339Anm 4 Luther/ Happ. Formular-Komm ll. 2 Aufl. Handels-und WirtschaftsRII(1982)Form 2 401.Anm 8 Fischer/Lutter/Hommelhof. Komm zum GmbHG. 12Aufl (1987).~ 21KapErhG. Rn 2 ; Priester. Scholz Komm zum GmbHG 7 Aufl(1988)~ 21KapErhG Anm I
(4) Kraft. Kolner Komm zum AktG. 2 Aufl(1990)~ 345Rn 15ff Barbara. Gesler/ Hefermehl Komm zum AktG (1991)~ 345Rn 12 Schedlbauer. Sonderprufungen im Zusammenhang mit Verschmelzungen (Teil1)WPg 1984.S.35.S.39
-168- 香川大学経済論叢 860 貸借対照表として利用することが可能であるばかりで町なく,定時株主総会にお いて,最終営業年度の決算及び合併承認決議をなすことができるからである。 消滅会社の終結貸借対照表の基準日が合併登記申請前
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カ月を超えない日に 設定された場合にのみ,合併を登記することができる(株式法345条3項〉。し かし,税法上の理由によることが多いが,何らかの事情により,または,合併 承認決議取消の訴訟により,それができない場合には,通常の営業年度とは異 なる基準日を設定することとなり,それは,通常の年度決算検査と全く同じで ある。この基準日に関する規定は,強行規定と解されている。わずかでも期限 を超えている場合には登記が拒否されなければならない。しかし,それでもな お登記がなされてしまった場合には,有効である,と解されている。基準日と して設定されるのは,消滅会社が自己の計算で業務をなすのを終える時点であ る。すなわち,終結貸借対照表の基準日は,消滅会社の業務が存続会社の計算 でなされるものとみなされる基準日でもある。 終結貸借対照表とは別に,法定されていないが,いわゆる合併貸借対照表 (Verschmelzungsbilanz)が実務上作成されるのが通例となっている。合併貸 借対照表として,格結貸借対照表を流用することはできず,合併当事会社の真 の価値を示すものであり,株式の割当比率算定のため等の用に供されるもので ある。(
ω
中間貸借対照表 最終年次貸借対照表と,合併契約書の締結または合併契約書草案の作成との 聞に6カ月以上の期聞が経過した場合には, 1982年の改正により新たに,中間 貸借対照表が作成されなければならないことになった (340条d2項3号入 中間貸借対照表は,株主に新しい情報を提供することを可能にするものであ (5) Kraft(Fn 4)~ 345 Rn 1 ; KroPff, Aktiengesetz(1965) S 460 ; Hoffman-Bιking, Das neue Verschmelzungsrecht in der Praxis, FS fur Fleck, ZGR-Sonderh 7 (1988), S. 108 (6) Kraft(Fn 4)~ 345 Rn 1, Rn 19; Schedlbauer(Fn 4)S 35 ; Barbara(Fn 4)~ 345 Rn 12(7) Widmann/Mayer, Umwandlungsrecht, Anh UmwG Verschm AktG, Rn 1742 1 ; Balser/ Bockelmann u a, Umwandlung, Verschmelzung, Vermogensubertragung (1990) Rn H311
861 ドイソにおける合併に関する基準日の設定とその変則例 -169ー る。この趣旨から,合併契約書を承認する株主総会の招集の時点,遅くとも
1
カ月前から,他の書類とともに,会社の営業所に備置かれなければならず,か っ,各株主にその請求により遅滞なく無料でその写しが付与されなければなら ない。中間貸借対照表に対する決算検査役による検査は,不要である (340条 d)。
中間貸借対照表が作成され,備置かれるのは,最終営業年度の終期,すなわ ち,最終営業年度の貸借対照表の基準日が,合併契約の締結または合併契約書 草案の日から遡って6カ月を超えて,存する場合である。例えば,合併契約 が7
月中に締結されるかまたは合併契約書草案が作成される場合には,一一 営業年度が暦と合致すると,仮定して一一最終営業年度の貸借対照表により12 月31日までに与えられる情報に時事性をもたせるために中間貸借対照表が作成 されなければならない。この中間貸借対照表の基準日は,合併契約書の締結ま たは作成に先立つ第3
月めの初日とされなければならない。例示すれば,それ は. 4月1日になることになるが,基準日として 3月31日とはならない。 (c) 利益配当請求権の基準日 消滅会社の株主に合併により割当てられる存続会社の株式の利益配当の起算 日は.1982年の改正前西独株式法においても実務上合併契約書に記載されてい たが,同改正によって法上記載することを要することになった (340条 1項5 号)。しかし,親会社と100%子会社との合併の場合には,株式の割当比率に関 する事項 (340条 l項3号.4号〉及び利益配当請求権の起算点につき合併契約 書に記載しなくてもよい (352条b2項〉。 利益配当請求権の起算点として通例として設定されるのは,消滅会社の最終 年次貸借対照表の基準日に次ぐBである。例えば,その基準日が12月31日と設 定された場合には,消滅会社の株主は,新営業年度の1
月1
日から存続会社の (8) BT-Drucksache 9/1065. S 18 Ganske. Anderungen des Verschmelzungsrechts. DB 1981. S 1554 Priester. Das neue Verschmelzungsrecht. NJ.W 1983. S 1463 Hoffman-8ιking (Fn 5) S.109 ; Kraft (Fn 4)~ 340d Rn 10 ; 8arbara (Fn 4)~ 340d Rn 5ff. 参照。-170ー 香川大学経済論叢 862 株式の利益配当権を有することになるのが,通例である。これは,消滅会社の 株主の利益配当請求権に間断なく繋げようとするものである。さらに,この利 益配当請求権の基準日として存続会社の営業年度の期首に設定されるのも,通 例である。 しかし,これは,強制的ではない。存続会社の株式の利益配当の起算点が もっと遅く設定される,例えば,新営業年度の第
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半期の期首から起算される とすることを合併契約書に定めることができる。合併基準日が消滅会社の年次 貸借対照表の基準日でもある場合には,その日で消滅会社の株式の利益配当請 求権が終了することによる,存続会社の株式の利益配当の起算点までの時間的 空白は,妥当な株式割当比率の決定において考慮されるか,または何らかの方 法で考慮されなければならない。利益配当権の起算点が遅く設定されること は,消滅会社の株主のために割当て比率を有利にすることにより調整される ことができるのである。また,合併契約の効力が合併契約書の締結より後の営 業年度上の時点に生じる場合には,その聞の営業年度の利益配当に関する条項 を合併契約書に記載されることが望ましい,とされている。 (d) 計算の承継に関する基準日 計算に関する基準日の設定は不可欠である。それは,登記によって合併は効 力を生ずるから,これによって任意にはもはや存しない消滅会社の業務が存続 会社の計算で実際にはこの時点からなされるからである。登記をする時点は合 併契約書締結の時には未明である。法は困難を避けるために他の時点,すなわ ち,消滅会社の業務が存続会社の計算でなされるものとみなされる時点を設定 することを可能にしている。計算の承継に関する基準日は,計算の処理が消滅 会社から存続会社へ移転することが念頭におかれている。 (9) Hoffman-Becking(Fn 5) S. 110 ; Kraft(Fn 4)S
340 Rn 28 ; Barbara(Fn 4)S
340 Rn 12 (10)Schilling(Fn 3)S
341 Anm 7 Hoffman-Becking(Fn 5) S 110 Barz, Rechtliche Fragen zur Verschmelzung von Unternehmungen, AG 1972, S. 3 Luther/ Happ (Fn 3) Anm 15863 ドイ Yにおける合併に関する基準.日の設定とその変則例 f'A ヴ , , a , , 合併契約書において,移転基準日 (Ubergabestichtag)と記載しているもの も あ る ( 例 え ば , 下 記 表 中 の Lehrter Zucker AG/ Aktien-Zuckerfabrik Munzel-Holtensen参照〉。 利益配当請求権の基準日と計算の承継に関する基準日とは必ずしも同ーであ る必要はない。法上列挙されているからである。もっとも,利益配当請求権を 与→えることが計算処理を条件とする場合には,これら基準日は重なり合わなけ ればならない。それは,合併登記まで消滅会社の株主になお利益が配当される 場合には,消滅会社はその間なおも計算を処理することも守られねばならない からである。 計算の承継に関する基準日は,消滅会社の終結貸借対照表と連動している。 そして,最終年次貸借対照表の基準日を終結貸借対照表の基準日とすること が,必ずではないが,目的的である。これらの基準日が異なる場合には,終結 貸借対照表に計上された利益が存続会社のものとされるからであ(宮。 (e) 合併基準日 1990年5月11日に締結されたBergmann株式会社 (Bergmann-Elektricit盈ts-
-Werke AG) に よ る DeTeWe株 式 会 社 (Deutsche Telephonwerke und Kabelindustrie AG)の吸収合併の合併契約書の第
l
条(財産移転〉の3項にお いて,合併は,決算検査役の証明の記載がなされ,かつ監査役により決算が確 認された取締役作成の1989年12月31日までのDeTeWe会社の年次貸借対照表 が,基礎とされる。財産の移転は, 1989年12月31日24時/1990年1月 1日O時か ら両当事会社の内部関係において効力が生じる。この時点から, DeTeWe会 社 の全業務はBergmann会社の計算で行われるものとみなされる。 DeTeWe会社 の1989年営業年度に関する損益計算書および利益処分決議は, Bergmann会社 を拘束する,と記載されてしJ
Z
。 (12)Priester (Fn 8) S. 1461 ; Heckschen. Verschmelzung von Kapitalgesellschaften(1989) S 17 ; Barbara (Fn 4)S 340 Rn 19 (13) Hoffman-Becking (Fn 5) S. 111 ; Schedlbauer (Fn 4) S.. 41 ; Kraft (Fn 4)S 340 Rn 28 ; Barbara (Fn 4)S 340 Rn 12-172- 香川大学経済論叢 864
このような条項は債権法的遡及効条項 (schuldrecht
i
1
che Ruckwirkungskla usel)と称され,合併の債権法的遡及効を定めたものと解されていたのである。 登記簿に合併登記をするより前の時点において,外部的関係において財産の移 転を遡及させることを,合併契約書に定めることはできない。しかし,契約当 事者の内部関係において,あたかも合併の効力がそれ以前に定められた基準日 に生じるかのように,設定することはできる。合併当事会社の内部関係におい て遡及関係を定めることは,通例である,とされていた。1
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7
1
年の Zentralka-sse/Reiffeisen-Zentralbank (下記表,参照〉の合併契約書第1
条において, Reiffeisen-Zentralbank会社及びZentralkasse会社とは株式法3
3
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条l
項により1
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7
1
年6
月3
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日に遡及することを合意するものである,と直哉に記載されてい るものもあるが,最近の合併契約書においては,合併は1
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9
1
年1
月1
日をもっ て そ の 効 力 を 有 す る も の と す る , と の み 記 載 さ れ て い る ( 下 記 表 中 ,AUT
ANIA/WMB GmbH
参照〕。 ところで,この消滅会社の業務が存続会社の計算で行われたものとみなされ る時点は,合併基準日 (Verschmelzungsstichtag)と称されていたが,法定記 載事項とされた後もそう称されるであろう,とする見解と,合併基準日は,消 滅会社の株主が存続会社により割当てられる株式についての利益配当の起算日 として,の意義を有しているとする見解,すなわち,合併基準日を設定する意 義は間接的であり,合併基準日まで各合併当事会社はその株主に利益配当をす るが,合併基準日から消滅会社の株主が合併新株式につき利益配当請求権を有 することに,その意義がある,とする見解とがある。 (15)Henn, Handbuch des Aktienrechts, 4 Aufl(1991)i!38, S 552(16) Luther/Happ (Fn3) Anm 13; Kraft (Fn2) i!339Anm 54, dersi!Jl341Anm 18, dersi!345Anm 12 ; Priester(Fn8)S 1461Fn 48
(17) 拙稿・注(1)掲 125頁以下参照。
(18) Priester(Fn8)S. 1461, Fn 48 ; Hoffman-Becking (Fn5)S 111 ; Schedlbauer(Fn4)S 41Fn 28,参照。
(19)Schilling(Fn3)i!341Anm 7 Barz (Fn10) S 3 Martens, Kontinuitat und Diskontinuitat in Verschmelzungsrecht der Aktiengesellschaft, AG 1986 S. 57Fn 1 (20) Heckschen (Fn12) S 17
865 ドイツにおける合併に関する基準日の設定とその変則例 -173-有限会社法は,合併契約書の法定記載事項として合併基準日及び存続会社の 株式の利益配当の起算点を記載することを明文化していないが,実務上は,株 式法による書式に倣っており,株式会社の合併契約書とほぼ同様である。しか し,合併契約書に合併基準日の記載がない場合には,合併登記の日を合併基準 日とみなす,と解されている。 ( 司 合併契約書における変則的遡及的合併 (1) ドイツにおける合併契約書をみてみると,近年,相対的に合併契約書の 記載が充実してきたような感が否めないが,もちろん例外もある。 前記の合併に関する基準日の設定に関する点を考慮してこれらの合併契約書 にみられる基準日をみてみると,その
8
割近くが定型的ともいえる通例的な基 準 日 が 設 定 さ れ て い る 。 す な わ ち , 終 結 貸 借 対 照 表 の 基 準 日 が 前 年 の1
2
月3
l
(21)Priester(Fn 3)
S
21KapErhG, Anm 4 ; Fischer/ Lutter/ Hommelhゅf(F n 3)Rn 3ff ;Luther/Happ (Fn 11)Form 2406; Hoffman-Becking, Munchener Vertragshandbuch, Bd ,J
Gesellschaftsrecht, 2 Aufl.(1985) IX 22 Zimmermann, Rowedder Komm zum GmbHG (1985), S 77 Anh 77 Rn 405 ; Schilling/Zutt, Groβkomm zum GmbHG 7 Aufl(1984)S 77 Anh lJ, S 21Rn 22, S 24 Rn 17 (22) Schilling/Zutt(Fn 21)S 21Rn 23 (23) 1970年から1991年8月までの連邦公報に掲載され,筆者の自にとまった70近くの合併契約脅 に限定される。この中には株式会社間の合併だけでなく,株式会社・有限会社聞の合併も含ま れる。 1951年から1988年までの株式会社間の合併数は,次表の通りである (Quelle Statistisches Bundesamt, Heckschen(Fn 12) S. 139)。 年 1951-1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 数 45 11 10 6 4 7 5 10 4 規模(MillDM) 512,2 332,4 106,2 120,9 40,4 26,2 7,9 132,6 2,7 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 3 5 4 25 18 36 5 7 126,4 29,2 8,7 1,8 767,1 465,5 380,3 197,9 134,6 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 4 3 5 3 2 6 11 9 11 8 16 5,9 28,5 73,1 54,3 7,0 155,9 689,7 133,7 513,4 447,9 1009,1 1988 12 (計)296 409,9
-174- 香川大学経済論議 866 日,計算の承継日がそれに次ぐ日である
l
月l
日,そして利益配当請求権の基 準日がやはり同日の1
月1
日であるというパターンである。また,合併承認も 定時株主総会においてなされるのがほとんどである。(
2
)
これらの合併契約書における特徴的な記載がなされた条項をみてみる と,まず,消滅会社の株主が存続会社の議決権を有することとなる始期に関す る条項を明記した合併契約書はあまりないが, Zentralkasse sudwestdeutscher Volksbanken AG/Reiffeisen-Zentralbank Baden AG (下記表中, Zentralkasse/ Reiffeisen-Zentralbank)の合併契約書の第 4条 1項において,存続会社の株式 につき1971年1月1日より利益配当請求権及び議決権がある旨記載されている。 次に,利益配当請求権につきみてみると, 1937年法の注釈においても,消滅 会社がその株主に対して利益配当を何時まで町かつどの程度支払うかとし、う問題 を定めることが実務上なされていた。それは,明示的になされなければならな いのは,さもなければ,消滅会社によって資本準備金の全額が利益配当されう るからである,とされていた。したがって,合併契約書の中には利益配当につ き明示されているものがある。例えば, Braunl王ohlen-undBrikett-Industrie AG/Elektrische Licht-und Kraftanlagen A G (下記表中 BUBIAG/Elektrische Licht)の合併契約書の第l条2項において,消滅会社が1970年5月31日の終結 貸借対照表を添付書類とすること,及び, 1969年10月 1日から1970年5
月31日 までの残了営業期聞についての,終結貸借対照表上に計上されている, 180万 マルクの利益は,合併登記前に株主に配当されること,が記載されている。ま た,第2条において,新株の利益配当請求権の起算点が1970年6月1日であ り, 1969年/1970年(1969年7月1日から1970年6月30日〉の営業年度について は,存続会社によって配当される利益の1/12とする旨が記載されている。 (3) これらの他に,例外的または特徴のある記載がなされた合併契約書か ら,その終結貸借対照表の臼付・合併契約書締結日・計算の承継時・消滅会社 の株主の存続会社株式の利益配当の起算点・合併承認総会日につき,一覧表を (24)Bottcher/ Meilicke, Umwandlung und Verschmelzung von Kapitalgesellschaften, 5 Aufl (1958)~ 235Anm. 22867 ド イ ツ に お け る 合 併 に 関 す る 基 準 日 の 設 定 と そ の 変 則 例 -175-作成してみることとする(株式会社聞の合併だけでなく株式会社・有限会社聞 の合併も合む。 MGV/HuK, MGV /SENについては,前l記合併手続予定の参考 とするためである〉。 BAnz 存続会社 終結貸借対 合併契約書 計算の承継 利主主配当請 合併承認総 掲載日 消滅会社 照表の日付 締結日 時 求権発生日 dZ与" 1970 Stern-Brauerei 1970 4 20貸借対照表 1970 4 20 3 7 ↑ 基準日より (定) Dom-Brauerei 1969 9 30 1970 4 20 (定) ・ 1970 ATH 登記により 1969 10 1 1970 4.29 3.17 (定〕 TRW 1970 BUBIAG i1970 7-21 1970 6 1 1970 6 1 813 ElektorischeLicht 1970. 5 31 1970 9.23 Waldhof-Aschaffenburg 1970 6. 4 1970 L 1 i1970示23 12 5 (定) Aschaffenburger 1970 7 24 Zellstoffwerke 1971 7. 1 (定) 11971 7 16 Zentrallekasse 1971. 1.1 6 9 ↑ (定) Reiffeisen-Zentralbank 1971 6 30 1972 Stern-Brauerei, Essen 1972 1 12貸借対照表 1971.10.. 1 1972 3. 14 127 ↑ 基準日より (定〉 Stern-Brauerei, K凸ln 1971 9 30 1972 3. 10 (定〕 ー ーーー・ 11973
u
-
2ji 1973 ALOKA 1973 10 4 1974 1 1 1974 L 1 10 10 ↑ (臨〉 AG fur lndustrie u 1973 12.31 1973 11.28 Verkehrswesen (臨〕 ーl 晶 圃亭・_.‘ー・... r1983
"
34
1984 3 31 ーー・. - - ‘ ・ ‘ " ‘ 1983 Lehrter Zucker AG 1984 4. 1 1983.. 6 24 5 3 ↑ /1984 4.1 (臨〕 Aktien-Zuckerfabrik 1984. 3 31 1983. 6.14 Munzel-Holtensen (定) --ー・・ー・・...-・ ・--- ー ー ・ ー...ー 1984 Zuckerfabrik Uelzen AG 1985 1 1 1985 3. 1 1984.. 4.12 229 (臨〕 Braunschweiger Zucker 1984. 12 31 1984 4..10 AG (臨〉 。"..- ...‘晶 a 圃晶 ー.-... ー.・ーー . ・....".. 1984 Lehrter Zucker AG 1984 9 27 1984.. 9.. 1 1984 11. 8 10. 2 (臨〕 Zuckerfabrik Sehnde 1984 8 31 1984 11. 7 AG 〔臨〉-176- 香川大学経済論叢 BAnz 存続会社 終結貸借対 合併契約書 掲載日 消滅会社 照表の日付 締結日 1984 Lehrter Zucker AG 1984 9.12 12 12 ↑ Zuckerfabrik Dinkler 1985 3 30 AG 1986 ト Lehrter Zucker AG 1986 3 15 5 13 ↑ Hannoversche Z ucker 1986 6 30 AG ト 1987 MGV 1987 3 30 3 26 ↑ HuK 1986 9 30 1987 MGV 1987. 3 30 4 3 SEN 1986 12 30 ト ー Seilwolff AG 1987 11.21 ↑ GFB GmbH 1987 12 31 1988 A A A 7 23 Forum Unter GmbH 1988 7.15 1989 DAB 5..11 HANSA 1988 12 31 I 1989 FKV 1989 9 27 9.29 中間貸借対 WNW 照 表 1989. 6.30 骨骨,." . ー ー-ーーーーー ...ー ー 1989 VKS AG 11.11 ↑ Gutbrod-Verwaltungs -GmbH ・ ・ ーー ー・・・.. 1990 AUTANIA 11 10 ↑ WMB GmbH ( 定 定 時 株 主 総 会 ( 磁 臨 時 株 主 総 会 1990. 1 1 1990 10 31 1990 12 31 868 計算の承継 利益配当請 合併承認総 時 求権発生日 ~ 1985. 3.31 1985.. 4 1 1985 118 I (臨) 1985 1 16 (臨) 1986.6 30 1986 4 1 1986 619 /1986 7 1 (臨〉 1984 6..18 (定〉 seit 1986.10. 1 1987 5 11 Ablauf des (臨〕 1986 9 30 1987 4 27 seit 198610 1 1987臨5〕11 Ablauf des (臨) 1986. 12 31 1987 5 14 (定〕 1988 1 1 1988 1 1 1987.12 29 (定) 1988 7..15 1989 1 1 1988 8 29 (定〕 1989 1 1 DABの 1989 6.20 合併登記が (定〉 なされた月 1989 6 20 初より (定) 1989 7. 1 1989 L 1 1989 1121 (臨) 1989 11 3 (臨) 1990 L 1 1989 12 20 (定〕 1991 1 1 1991 1 1 1990 12 20 (臨〕
869 ドイアにおける合併に関する基準日の設定とその変則例
-177-この表における,前記の通例的な合併手続と異なる点は何かである。まず, 例外なく,終結貸借対照表の基準日と計算の承継の基準日とは向日であるが, 中には,合併契約書締結日より前に設定される通例とは異なり,後に設定され ている例があるのが特徴的である。例えば, Allgemeine Organisations-und Kapitalbeteiligungs AG (ALOKA)/ AG fur Industrie und Verkehrswesen LehrterZuckerAG/ Aktien-Zuckerfabrik Munzel-Holtensen
,
Zuckerfabrik Uelzen/ Braunschweiger Zucker AG, Leh巾 r Zucker AG/ Z叫 (e巾 brikDinkler, Lehrter ZuckerAG/Hannoversche Z出 版rAG,Seilwolff AG/ GFB
Gesellschaft fur Finanzbeteiligu時en mbH, VKS Freizeitbet巾 be AG/
Gutbrod-Verwaltungs-GmbH, AUT ANIA Verwaltungs-und Beteiligungs-AG/ 羽1MB Beteiligungsgesellschaft fur 羽1erkzeugmaschinenbau GmbHであ
る。これらの基準日は,合併承認、総会開催日の後でもある。
August Thyssen-Hutte AG (ATH)/Thyssen Rohrenwerke AG (TRW)の場合 は,利益配当請求権の基準日は合併承認総会開催日より前であるが,計算の承 継については「登記により」なされ,また, Dortmunder Actien-Brauerei AG (DAB)/Dortmunder Hansa-Brauerei AG (HANSA)の場合,利益配当請求権は
r
D
ABによる合併登記がなされた月初めより」発生する,と定められ,さら に, A A A AG Allgemeine Anlageverwaltung/Forum Untemehmensbetei-ligungen GmbHの場合も利益配当請求権が計算の承継の基準日よりも合併承認 総会開催日よりも後に設定されているのは珍しい例といえよう。FKV/
ハ
W九iVertpapi悶e創rs鎚ammelbank王 N、~oωrd伽rhei泊nl
悶9
8
ω
9
年6
月3
釦O
日の消滅会社の中間貸借対照表を終終.結貸借対照表としており,存 続会社のFKVも同日の中間貸借対照表を作成して閲覧に供している(合併契約 書 第 8条 )0 F K V (Frankfurter Kassenverein AG,合併後, Deutscher Kassenverein AGと商号変更〉は,合併契約書締結日・消滅会社の終結貸借対照 表の基準日・計算の承継の基準日・利益配当請求権の基準日を全く同じくし て , こ の 他 に も , Norddeutscher Kassenverein AG (NKV) , Bayerische Wertpapiersammelbank AG (BWS) , Berliner Kassenverein AG (BKV) ,-178ー 香川!大学経済論議 870 羽Wert句p叩apl悶e釘rs阻ammelb凶an山11此k王Ba吋de叩n いる。これに対して,上記表中にみられるように, Lehrter Zucker AG, Lehrteも数社と合併しているが,その合併契約書における基準日の設定は同じ で引はない。また,前記合併計画メモを例示した
MGV
は,吸収するHuK
及び SENと同一日に合併契約書を締結しているが,両社への利益配当請求権の基準 日は同ーであるのに対して,終結貸借対照表の基準日及び計算の承継の基準日 は異?なっている。 三 日本の合併制度について (1) 現行合併制度上,合併期日において,消滅会社の財産が存続会社に引き 渡され,また,存続会社の株式が消滅会社の株主に割り当てられ,合併当事会 社が実質的に合体JZ
。しかし,合併は合併登記によって効力を生じ,合併の 効力発生とともに存続会社は消滅会社の権利義務を包括的に承継する(商法4
1
6
条1
項,1
0
2
条,1
0
3
条〉。すなわち,占有ないし財産の管理は,合併期日に 引き継がれるが,法律上,消滅会社の全財産についての権利は,合併登記の日 に,包括承継によって移転する。したがって,合併期日後も合併登記までは消 滅会社の財産を構成する権利義務の主体は消滅会社である,と解されている。 昭和6
1
年の「商法・有限会社法改正試案」により,従来の合併手続の改正提 案がなされている。まず¥現行商法上,合併期日と合併登記との聞に期間があ ることから,その聞の法律関係に問題があることに鑑み,商法・有限会社法改 正試案七2
制1
前段において「合併は,合併契約書の承認、後,合併の公告(七 11)をしたうえ,合併期日に合併の登記をして行う」として事実上の合体の時期 と法律上の合体の時期とを一致させることとしている。したがって,この前提 のもとでは,合併貸借対照表の基準8
,合併契約書の締結,合併承認総会,と (25)今 井 宏 ・ 新 版 注 釈 会 社 法ω (平 成2年) 176頁;鈴木竹雄編・株式実務(新版)v
合併(昭 和38年)153, 159頁。 (26)大限健一郎=上回明信=鮫島英男他・合併手続一一実務家のために一一(昭和39年)77頁以 下(大限発言),大限=今井・新版注釈会社法(1)(昭和60年)418頁以下。871 ドイツにおける合併に関する基準日の設定とその変則例 a , , ヴ'' ny いう段階的手続きを経て,そして,合併期日すなわち合併登記,により合併の 法的効力が生じるものとする合併制度である。また,合併手続として,現行制 度を改正した合併・いわゆる遡及的合併制度・簡易合併の三制度に整備されよ うとしている。まず¥第
1
の制度につき,I
合併期日の前日をもって消滅会社の 営業年度は終了し,消滅会社は決算手続を行わなければならない。J
(試案七3
a)I
aの場合において,決算手続(利益処分を含む。〉に関しては,消滅会社 は,合併登記後もなお存続するものとみなし,消滅会主i
の株主総会を開催する ことができる(ただし,計算書類の報告のためだけに総会を招集する必要はな しう。」として合併による計算の承継に関する手続が明文化されようとしている。 簡易合併手続として,I
吸収される会社(消滅会社〕の規模が相対的に小さい 場合(例えば消滅会社の総資産の比率が存続会社のそれの20分の l以下)J
(試 案七1
3
a)及び「存続会社の株主の株式の希薄化が生じない場合(例えば, 100%子会社の吸収合併の場合またはこれに準ずる新株発行の少ない場合)J (試案七1
3b)
には,存続会社の株主総会の合併契約書の承認総会決議を省略 することができることとして,合併が株主の利益に重要な影響を及ぼさず,当 事会社の株主の利益保護をとくに問題とする必要のない場合に合併承認総会の 省略を認めようとするものである。 さらに,改正により導入されようとしている遡及的合併制度として,試案七4
は,試案七の3
によらないときは,I
合併貸借対照表の基準臼(5
参照〉の後 の消滅会社の計算は,存続会社の計算と合体して行うことができ,合併による 承継財産の評価は,合併貸借対照表の記載による(遡及的合併)Jとしている。 合併契約書の締結前に設定される合併貸借対照表の基準日に,合併当事会社 の計算を合体させようとするものである。すなわち,合併の法的効力が合併登 記がなされる合併期日に生じるのであるから,合併の効力発生を条件として, 合併貸借対照表の基準日に合併の内部的・実質的効力を生じさせようとするも のである,と解することになる。また,それは,合併契約締結前に存する日に (27)大谷禎男「合併J,稲葉威雄=大谷"商法・有限会社法改正試案の解説,別冊商事法務No.89 (昭和61年), III頁,今井。注ω
掲文献57頁。-180- 香川大学経済論議 872 合併が内部的・実質的になされたものとみなす,ことでもある。しかし,合併 貸借対照表の基準日に実質的に消滅会社の財産の引き渡しがあり,存続会社が その管理権限を有する,と解することはできない。それは,改正による合併期 日の位置付けの趣旨にあわないからであり,そして,合併契約書締結前に消滅 会社の財産の管理権限が存続会社にあるとは解しえなし、からである。したがっ て,合併貸借対照表のこの基準日は現行の合併期日とは同様ではない。 (2) ところで,現行商法上,合併当事会社の合併期日,消滅会社の財産の引 継,存続会社の新株式の利益配当の起算臼がどのように設定されているのか, である。 合併契約書承認総会の会日の
2
週間前から合併の各当事会社の貸借対照表を 本応に備え置くことを要するが(商法4
0
8
条ノ2)
,これは合併条件を定めるた めの基礎となる貸借対照表であり,一般に合併貸借対照表と称されているが, 当事会社が合併手続に入る前またはその手続中に到来した決算期について作成 する決算貸借対照表とは区別される。もっとも,合併契約書作成の時が当事会 社の決算期に接近しているような場合には,合併承認総会前の最終の決算貸借 対照表が合併貸借対照表として流用されるのが通例である,とされている。承 継財産表示のための貸借対照表は,合併期日における貸借対照表を作成するの が最も適当であるが,実際上それが困難であれば,合併契約書作成の基礎と なった貸借対照表に,その後合併期日までの財産の変動を明らかにする計算書 を添付する方法がとられる。実際には,消滅会社財産の引継に関しては,合併 契約書において,例えば,I
第5
条 乙は平成元年l
月3
1
日現在貸借対照表,損 益計算書その他向日現在の計算を基礎とし,爾後合併期日までの聞においてそ の資産,負債に変動を生じたものについては,平成2
年1
月3
1
日現在の計算書 および別に計算書を添付してこれを明確にし,合併期日においてその資産,負 債その他一切の権利義務を甲に引継ぎ,甲はこれを承継する。J
(山水電機=山 和総合サービス,合併期日:平成2
年4
月l
日〉と記載されている。 (28)上柳克郎「合併」会社法。手形法論集(昭和56年)241頁,今井・注ω
掲文献83頁以下,松井 一郎「合併覚書│新版合併ハンドブック(昭和57年)162頁。873 ドイジにおける合併に関する基準日の設定とその変則例 -181-改正試案は,貸借対照表の基準日が合併承認、総会の前
6
月以内でなければな らない,としている(改正試案七日。 合併契約書に利益配当の起算日の条項の記載の無い会社もある。しかし,例 えば,r
第7条 合併に際して発行する甲の新株式に対する利益配当金は,合 併期日から起算する。J
(東芝=日本電子力事業〉のように,利益配当の起算日 が合併期日と同日である,と規定されているのが,ほとんどである。合併期日 から起算して利益を配当するのは,合併期日に消滅会社の財産が存続会社に引 き渡され,実質的には合併新株に対する出資が履行されたことになるから,こ のような定めは,いわゆる日割配当の慣行を前提とするかぎり当然のことを注 意的に規定したものである,とされている。他方p クラレ=協和ガス化学工業 (合併期日:H.. 1..10し 財 産 の 承 継 日 :H 1ゅ 3..31,利益配当の起算日;H 1.4
“1),及び同和鉱業=同和興産(合併期日:H.
2.1
れl
し,財産の承継 日:H.. 1 会社の最撚営業年度の貸借対照表の基準日の一年後が存続続‘会社の利益配当の起 算白とされている。また,合併期日を含む営業年度について,合併新株に,存 続会社の従来の株式と同額をの配当を行う旨を定める場合もあり,例えば,三 菱マテリアノレ/東北開発においては,第8条で「第3条により合併に際して発 行される新株式に対する l株当たりの利益配当金は,その発行日にかかわら ず,甲の他の株式に対する1
株当たりの利益配当金と同一額とする」とされて いる。 これに対して,ドイツにおける遡及的合併型といえるような基準日が設定さ れる場合もある。すなわち,消滅会社の業務が存続会社の計算で行われたもの とみなされる時点に関する記載こそなされていないが,存続会社の利益配当請 (29)資料版/商事法務N.o65。以下,同様に,資料版/商事法務N.o1 -N.o91に掲載されている合併契約 容承認議案を参照したものである。なお,以下に引用した,資料版/商事法務N.o73までに掲載 された合併例については,合併当事会社の合併期日,消滅会社の財産の引継,存続会社の新株 式の利益配当の起算日の設定に関する比較表(拙稿・注(l)掲論文140頁以下の表)参照。 (30)大限=今井・注ω
掲文献196貰,上柳・注1'28)掲論文244頁以下。 (31)今井・注ω
掲文献197頁以下。-182ー 香川大学経済論議ー 874 求権を与える時点が合併契約書に記載され,しかも,消滅会社の最終営業年度 の貸借対照表の基準日の翌日が存続会社の利益配当の起算日とされているので ある。合併期日または合併期日後が利益配当の起算日とされる通例からすれ ば,例外的である。丸興/カネミストアー(合併期日:
S
,,5
9
,7
"
1
,消滅会社 財産の引継:S
,,5
9
,,2
ゅ2
9
,利益配当の起算日:,S
,,5
9
,,3
引1),信州、│ジャスコ/ カネマンジャスコ(合併期日:S
,,6
2
,8
,,2
1,消滅会社財産の引継;s
,6
2
,,2
2
0
,利益配当の起算日:S
"
6
2
,,22
1),信州ジャスコ/ほていや(合併期日:S
,,6
3
,8
,,2
1,消滅会社財産の引継:S
"
6
3
,,2
,,2
0
,利益配当の起算日:S
.
6
3
"
2,21) ,ユアサ・フナショク/山野(合併期日:H 1 ,,10,,31,消滅会社財産の 引継:H
,L 5
れ3
1,利益配当の起算日:H
“L 6
1),及び日本郵船/日本ラ イナーシステム(合併期日:H
,3
.
.
1
0
,,1
,消滅会社財産の引継::H" 3.3
,,3
1,利益配当の起算日:H
引3 4
1)の合併の場合に,存続会社の利益配当の 起算日が合併期目前,消滅会社財産の引継の基準日の翌日に設定されている。 これらの場合,利益配当の起算日の4カ月ないし6カ月後が合併期日とされて いる点も他の通例の合併事例に比し,特徴的であり,改正試案七4紺2 I計算 の遡及期間は,合併期日を基準として一定の期間(六月)に制限する」ょう検 討されていることにも適合している。(
3
)
合併法が改正され,現行合併制度に遡及的合併制度が導入されても,前 記のように既に遡及的合併事例ともいえる基準日が設定されていることから, あまり,混乱は生じないであろう。 ドイツ合併法により合併契約書において設定される計算の承継に関する基準 日または利益配当請求権に関する基準日,すなわち,合併基準日を設定するこ とがいわゆる遡及的合併についての合意をすることを意味するにすぎず,今や それは当然のことであるのである。日本においても,前述のように,利益配当 の起算日についても合併契約書の法定記載事項としてもよいが,実務上合併契 約書に記載されることが多いことから問題はないであろう。 合併契約書の法定記載事項のーっとして,存続会社株式の利益配当の起算日 及び合併の計算の承継の基準日を記載することを明文化することによって,合875 ドイツにおける合併に関する基準日の設定とその変則例 -183-併当事会社にとり都合のよい日を設定することが,従来通りの合併手続により 合併期日より計算の承継をもなすのか,または遡及的合併手続により合併期日 前に計算の承継の基準白から消滅会社の業務を存続会社の計算でなされるとみ なされることとして合併期日に当事会社の計算を合体することを選択すること になるのではなかろうか。 改正試案は,報告総会の制度を廃止することとし(試案七
2)
,I
合併は,合 併契約書の承認後,合併の公告(試案七11)をしたうえ,合併期日に合併の登 記をして行う」こととしている(試案七2
制1)が,合併期日を例えば1
月1
日のような休日に設定した場合には,合併期日に登記申請をすることができな いことから,問題であり,合併期日が合併登記に先行する余地を認めるかどう (32) かは,改正の検討課題とされている。このような問題を解決するために規定の 内容を複雑にするよりは,消滅会社の株主に割当てられる存続会社の株式の利 益配当の起算日及び合併の計算の承継の基準日を記載することを合併契約書の 法定記載事項のとして明文化することによって,規定を簡素化すべきである。 また,合併期日は合併契約書に記載されなければならない(商法4
0
9
条6
号〉 から,合併の登記をする日を合併契約書に記載することとなるのか,問題であ る。 ドイツにおいて,合併登記日は法上も実務t
も合併契約書に記載されるこ ととはされていないからである。ただ,基準日の変更条項として,例えば,前 記MGV/HuK
の合併契約書の第7
条において,1
9
8
7
年5
月3
1
日までに登記申請 がなされない場合に,終結貸借対照表・計算の承継・利益配当に関する基準日 が1
9
8
7
年の当該基準日となる旨(及び,更なる変更も同様である旨)が規定さ れ,そして,前記合併計画メモにおいて,1
9
8
7
年5
月2
9
日に登記申請される予 定が記載されている。このように,終結貸借対照表の基準日から8
カ月後に合 併の登記申請をしなければならない(独株式法345条うことから当然の期限が 記載されているのみでその予定日は記載されていないのである。 (32)今井"注ω
掲文献82頁, 180頁,大谷・注的文献101頁。 (33)これは,一定の日のみを合併登記申請のために予定していた場合には合併取消の訴えの提起 等による登記申請の遅延が合併契約書の無効を生じさせることを防止するために,二重の基準 日設定の予定を記載しようとするものである。拙稿"注(1)掲論文133頁以下参照。-184- 香川大学経済論叢 876 四
おわりに
ドイツの合併制度と日本の改正試案における合併制度を簡単に比較検討した が,日本において3つの合併手続きが実際にどのように明文化されるのかが問 題であろう。現在の合併制度と異なる遡及的合併及び簡易合併を導入しようと することから,明示的に明文化することも一策ではある。 合併期日に合併の内部的効力も法律的効力も同時に発生させようとするのが 改正法の趣旨であるが,他方,合併当事会社としては,きりのよい日を合併期 日としたい,とし、う希望がある。しかし,合併期日として登記ができない場合 の法的措置を講ぜよ,ということになるのは,少なくともドイツ合併法からみ れば,何とも理解に苦しむことになろう。そうであるならば,現行法の合併期 日と改正法の合併期日の中間の方法を採ってはどうであろうか。すなわち,合 併期日は合併登記をする日であり,合併登記の法的効果により,消滅会社の財 産が存続会社に包括承継され,実際に消滅会社の財産が存続会社へ引渡される。 しかし,消滅会社の計算に関しては,他に設定した合併基準日以後存続会社の 計算でなしたものとみなされるという合併方法を選択しうることとするのであ る。これにより,実質上合併当事会社は合併基準日に既に合併をなしていたと 同様の効果を生じさせることができることになる。 したがって,改正試案七4
のように,合併貸借対照表の基準日以後に合併当 事会社の計算を合体する,というような明文化をするよりも, ドイツ合併法の ように,合併契約書に計算の承継の基準日を記載させることとすべきであろう。 合併当事会社は,計算の承継の基準日後,実際に計算を合体するのではなく, 消滅会社はその業務を存続会社の計算で行うものとみなされるだけであり,合 併登記により合併の効力が生じて後に,あたかも,既に計算の承継の基準日以 後合併当事会社の計算が合体されていたかのような会計処理をすることにより 合体されるのである。前述のように,合併登記までは,存続会社は消滅会社の 管理権を有することはなし、から,何もすることはできないのである。 また, ドイツにおいては,最近の合併法に関する注釈書等において「遡及的877 ドイツにおける合併に関する基準日の設定とその変則例
一
185-合併」なる表現が見出し難くなっていることからも,合併契約書において設定 される計算の承継に関する基準日または利益配当請求権に関する基準日,すな わち,合併基準日を設定するととが遡及的合併についての合意をすることを意 味するにすぎず,今やそれは当然のことであるのである。したがって,日本に おいても,合併契約書の法定記載事項のーっとして,合併の計算の承継の基準 日を記載することを明文化することによって,従来通りの合併制度及び遡及的 合併制度については,合併当事会社にとり都合のよい日を設定することによ り,いわゆる遡及的合併手続きによるのか,または,従来通り,合併期日また は合併登記の日以後計算の承継をもなすのか,を選択すればよいのではなかろ うか。もちろん,日本においても,利益配当の起算日についても合併契約書の 法定記載事項としてもよいが,実務上合併契約書に記載されことが多いことか ら,そう問題ではないかもしれない。 合併当事会社の株主及び債権者等の保護等の合併に必要最小限の規制をする に止め,他はそれぞれの実状に応じた弾力的な合併手続きを認めてもよいので はなかろうか。そして,それが,あまり複雑な規定を明文化しないという日本 法に妥当するであろう。 本稿は,合併制度規定の簡明化に対する単なる問題提起にすぎない内容と なったが,詳細については次稿の問題としたい。 (追記〉なお,洩れ伝え聞くところによれば,現行の財産の承継がなされる日 としての合併期日なるものを廃止し,遡及的合併制度と称しないまでも, ドイj
ッ合併制度類似の計算の遡及的処理としての計算の一括処理による承継方法に 統一する合併制度への方向で改正につき検討されている由である。(34) Barbara (Fn 4)~ 340Rn 20 ; Hoffmann-Becking (Fn 5) S. 111 ; Barz (Fn 10) S 3 ; Schilling(Fn 3)~ 341 Anm 7