香 川 大 学 経 済 論 叢 第68巻 第 2・3号 1995年11月 249-277
目標管理に関する一考察
一一予算制度との関連において一一
堀 井 憧 暢
I は じ め に 目標管理(
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,以下MBO
と略す)は1
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年代 のはじめにドラッカー(pF
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に よ っ て 概 念 的 な フ レ ー ム ワ ー ク が 提 示 さ れ た こ ぷMBO
が ゼ ロ ベ ー ス ・ パ ジ ェ テ ィ ン グ(
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, 以下ZBB
と略す)と類似性をもっていること,また,ZBB
がMBO
の特質を 注 意 深 く 受 け 継 ぐ こ と に よ っ て , 予 算 管 理 機 能 と し て のZBB
が よ く 機 能 す る ことの可能性を指摘した。MBO
は い う ま で も な く , 予 算 管 理 手 法 と し て 開 発 さ れ た も の で は な い 。 に も か か わ ら ず , 予 算 管 理 手 法 と し て のZBB
とMBO
とが類似性の強いものと し て 扱 わ れ る の で あ ろ う か , 詳 し く 検 討 す る 必 要 が あ る 。 ま た , 予 算 管 理 手 法 としてのZBB
と ど の 点 に お い て な じ ま な い の で あ ろ う か 。 こ れ ら の こ と を 明 ら か に す る こ と が , 予 算 管 理 手 法 と し て の あ る べ き 特 質 を 明 瞭 に す る こ と に な (1) ドラッカーの概念的な MBOの概要及びその後のシュレイ (Schleh,E. Clの展開につ いては,拙稿「予算管理手法としてのゼロベース・パジェティングー←一目標管理 (MBO) とPPBSとの比較を中心にしてー←ーJif香川大学経済論叢』第 66巻第 2号, 1993年 9 月を参照のこと。 (2 ) プラニング (Blanning,R W)は予算に対するアプローチとしとの MBO,プログラム 予主主 (ZBBとPPBS),増分予算,責任中心点管理あるいは利益中心点管理,及び過激 増分主義をあげ,どのようなアプローナがよいかについて論じている。これについては, 拙稿 rlBBの予算機能とその特質についてJ I香川大学経済論叢』第 64巻第 4号, 1992 年 2月を参照のこと。また, ZBBがどのように MBOの特質を受け継ぐべきかについ ては,註(1)の拙稿「予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング一一目標管理 (MBO)とPPBSとの比較を中心にし、て一一一」を参照のこと。 香 川 大 学 経 済 論 叢 第 68巻 第 2・3号 1995年 11月 249-277目標管理に関する一考察
一一予算制度との関連において一一
堀 井 憧 暢
I は じ め に 目標管理(
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,以下MBO
と略す)は1
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年代 のはじめにドラッカー(pF
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に よ っ て 概 念 的 な フ レ ー ム ワ ー ク が 提 示 されたこと,MBO
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の特質を 注 意 深 く 受 け 継 ぐ こ と に よ っ て , 予 算 管 理 機 能 と し て のZBB
が よ く 機 能 す る ことの可能性を指摘した。MBO
は い う ま で も な く , 予 算 管 理 手 法 と し て 開 発 さ れ た も の で は な い 。 に も か か わ ら ず , 予 算 管 理 手 法 と し て のZBB
とMBO
とが類似性の強いものと し て 扱 わ れ る の で あ ろ う か , 詳 し く 検 討 す る 必 要 が あ る 。 ま た , 予 算 管 理 手 法 としてのZBB
と ど の 点 に お い て な じ ま な い の で あ ろ う か 。 こ れ ら の こ と を 明 ら か に す る こ と が , 予 算 管 理 手 法 と し て の あ る べ き 特 質 を 明 瞭 に す る こ と に な (1) ドラ、yカーの概念的な MBOの概要及びその後のシユレイ (Schleh,E. C)の展開につ いては,拙稿「予算管理手法としてのゼロベ ス・パジェティング一一目標管理 (MBO) とPPBSとの比較を中心にして一一Jif香川大学経済論叢』第 66巻第 2号, 1993年 9 月を参照のこと。 (2 ) プラニング(Blanning,R W )は予算に対するアプローチとしての MBO,プログラム 予主主 (ZBBとPPBS),増分予算,責任中心点管理あるいは利益中心点管理,及び過激 増分主義をあげ,どのようなアプローチがよいかについて論じている。これに、ついては, 拙稿 rlBBの予算機能とその特質についてJ I香川大学経済論叢』第 64巻第 4号, 1992 年2月を参照のこと。また, ZBBがどのように MBOの特質を受け継ぐべきかについ ては,註(1)の拙稿「予算管理手法としてのゼロベ}ス・パジェティング 目標管理 (MBO)とPPBSとの比較を中心にして一一」を参照のこと。-250 香川大学経済論叢 446 るであろう。 MBOは一つの経営管理手法として開発されたものである。 ZBB は予算管理手法であるとともに,いうまでもなく一つの経営管理手法?もあ る。このことは,一つの組織の中に二つの経営管理制度が存在することを意味 する。同じような目的をもっ二つの経営管理制度が存在することをどのように 考えればよいのであろうか。一般的にいうと,一つの組織の中にこつの経営管 理制度があることは,意味のないこと,無駄な・ことと考えられるかもしれない。 しかし,われわれは,このことを積極的な意味をもつものと考えたい。 II MBOとMOR MBOが流行した 1960年代の初頭,主としてそれは「ボトムライン」での 全社的な財務,販売,生産における期待される結果に主として適用され,その 後 MBOがいろいろに展開されたことは,周知のことである。本稿では, MBO を具体的に展開し,実務的にもMBO協会の会長として指導的な役割を果たした モリセイ (GL.Morrisey)の MBOを詳細に検討することによって, MBOの 具体的内容と特徴をまず明らかにしたい。モリセイは, MBOを発展させ,精般 化したものとして「目的と結果による経営管理J(Management by Objectives
and Results,以下 MORと略す)を展開していよ
彼は, MORを MAR(i活動あるいは反応による経営管理J (Management
by Activity or Reaction)) の対極にあるものとして位置づけている。 MAR では代替案を熟慮する時間の不足やあらかじめ決定された目標の不足のため, 計画の頻繁な変更が行われ,管理者の勘による管理が行われるのに対して, MORでは達成すべき結果と,その達成に必要な実行計画をあらかじめ確認し ているので,経営管理はより効率的になるとしていよ また, MORは, PPBSや PERTなどの他の経営管理システムと矛盾する ものでも,現存の予算編成及び報告で要求されているものを複製するものでも ( 3 ) Morrisey, G.L, Management by Objectives and Results for Business and Indus -try, 2 nd ed, Addison-Wesley Publishing Co, 1977 ( 4) lbid, pp3-4また, MARとMORを火事の消火と火事の予防にたとえ, MORの方 をより評価しなければならないとしている。
司明
-250 香川大学経済論叢 446 るであろう。 MBOは一つの経営管理手法として開発されたものである。 ZBB は予算管理手法であるとともに,いうまでもなく一つの経営管理手法でもあ る。このことは,一つの組織の中にこつの経営管理制度が存在することを意味 する。同じような目的をもっ工つの経営管理制度が存在することをどのように 考えればよいのであろうか。一般的にいうと,一つの組織の中にこつの経営管 理制度があることは,意味のないこと,無駄なことと考えられるかもしれない。 しかし,われわれは,このことを積極的な意味をもつものと考えたい。 II MBOとMOR MBOが流行した 1960年代の初頭,主としてそれは「ボトムライン」での 全社的な財務,販売,生産における期待される結果に主として適用され,その 後 MBOがいろいろに展開されたことは,周知のことである。本稿では, MBO を具体的に展開し,実務的にもMBO協会の会長として指導的な役割を果たした モリセイ (GL.Morrisey)の MBOを詳細に検討することによって, MBOの 具体的内容と特徴をまず明らかにしたい。モリセイは, MBOを発展させ,精般 化したものとして「目的と結果による経営管理J(Management by Objectivesand Results,以下 MORと略す)を展開している。
彼は, MORを MAR(i活動あるいは反応による経営管理J (Management
by Activity01 Reaction)) の対極にあるものとして位置づけている。 MAR では代替案を熟慮する時間の不足やあらかじめ決定された目標の不足のため, 計画の頻繁な変更が行われ,管理者の勘による管理が行われるのに対して, MORでは達成すべき結果と,その達成に必要な実行計画をあらかじめ確認し ているので,経営管理はより効率的になるとしている。 また, MORは, PPBSや PERTなどの他の経営管理システムと矛盾する ものでも,現存の予算編成及び報告で要求されているものを複製するものでも ( 3 ) Morrisey, G.L, Management by Objectives and Results for Business and Indus -try, 2 nd ed, Addison-Wesley Publishing Co, 1977 ( 4) lbid, pp3-4また, MARとMORを火事の消火と火事の予防にたとえ, MORの方 をより評価しなければならないとしている。
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
447 目標管理に関する一考察 -251-なしそれらを促進するように設計することができるとしている。
MOR
を展開するうえで,MOR
と経営管理機能及びそれらに関連する活動と の関係をあらかじめ知る必要がある。モリセイは,経営管理機能を,計画策定機能, 組織化機能,人員配置(staffing)機能,指揮機能,統制機能の5つの機能に分類 している。このうち,MOR
との関係が深い活動として,以下のものがあげられよ 計画策定に関連する活動としては,1
.
役割とミッションの定義(遂行されるべき仕事の性質と範囲の決定)2
.
重要な結果領域の決定(時間,エネルギー,能力をどこに投入すれば良い かの決定)3
.
有効性の指標の確認と特定(目的が設定される測定可能要因の決定)4
.
目的の選択と設定(達成されるべき結果の決定)5
.
実行計画の準備(特定の目的の達成方法の決定) a)プログラミング(目的達成に伴う一連の行動の確立) b)スケジューリング(目的と実行ステップのための時間的必要条件の決定) c)予算編成(目的達成に必要とされる資源の決定と割り当て) d)責任の割り付け(誰が目的や実行ステップの達成を引き受けるかの決定) e)評価と調整(行動へのコミットメントに先立ち必要とされる仮の計画の 試行と改良) また,統制機能に関連する活動としては,以下の活動があげられる。1
.
標準設定(目的を達成するときにうまくいく業績の基準を案出すること) 2. 業績測定(実際対計画上の業績の算定)3
.
是正措置(目的に向けての業績改善を引き起こすこと)MOR
において,重要な役割を果たす機能は,計画策定機能と統制機能であ り,それ以外にそれらを働かせるのに不可欠なコミュニケーションを要素に含 む指揮機能であると,モリセイは指摘している。 (5) lbid, pp 4.5 1977年の出版当時は ZBBはまだ視野に入っていないと思われる。 (6) lbzd, pp 8.10 (7) lbzd, pp.11.12 447 目標管理に関する一考察 -251-なしそれらを促進するように設計することができるとしている。MOR
を展開するうえで,MOR
と経営管理機能及びそれらに関連する活動と の関係をあらかじめ知る必要がある。モリセイは,経営管理機能を,計画策定機能, 組織化機能,人員配置(staffing)機能,指揮機能,統制機能の5つの機能に分類 している。このうち,MOR
との関係が深い活動として,以下のものがあげられよ 計画策定に関連する活動としては,1
.
役割とミッションの定義(遂行されるべき仕事の性質と範囲の決定)2
.
重要な結果領域の決定(時間,エネルギー,能力をどこに投入すれば良い かの決定)3
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目的の選択と設定(達成されるべき結果の決定)5
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実行計画の準備(特定の目的の達成方法の決定) a)プログラミング(目的達成に伴う一連の行動の確立) b)スケジューリング(目的と実行ステップのための時間的必要条件の決定) c)予算編成(目的達成に必要とされる資源の決定と割り当て) d)責任の割り付け(誰が目的や実行ステップの達成を引き受けるかの決定) e)評価と調整(行動へのコミットメントに先立ち必要とされる仮の計画の 試行と改良) また,統制機能に関連する活動としては,以下の活動があげられる。1
.
標準設定(目的を達成するときにうまくいく業績の基準を案出すること) 2. 業績測定(実際対計画上の業績の算定)3
.
是正措置(目的に向けての業績改善を引き起こすこと)MOR
において,重要な役割を果たす機能は,計画策定機能と統制機能であ り,それ以外にそれらを働かせるのに不可欠なコミュニケーションを要素に含 む指揮機能であると,モリセイは指摘している。 (5) lbid, pp 4.5 1977年の出版当時は ZBBはまだ視野に入っていないと思われる。 (6) lbzd, pp 8.10 (7) lbzd, pp.11.12一-252 香川大学経済論叢 また, MORにおいては,原価便益分析が意思決定と同質的なプロセスと してその前提となっており,至るところで適用されている。モリセイは, ドラ ッカーを引用し i企業内には利益中心点はなく,原価中心点のみがある。エ ンジニアリング,販売,製造,経理といったどの企業活動に関しても確かにい える唯 のことは,その企業が労力を費やし,それによって原価を発生させる ということだ。それが成果に貢献するかどうかは,将来明らかになる。」と指 摘
J
,したがって, MORの大半の目的に,一部分として原価を含ませること の重要性に大きな強調を置いている。 1. M O Rプロセス ところで,MORのプロセスは,具体的にはどのようなものであろうか。MOR プロセスを簡潔な用語で示すと,次の図のような水平な通風筒のようになり, それは「役割とミッション」という広く一般的なものから,最後の「統制」ま で,だんだん特定化されたものになっている。 ( 8 ) Ibid , p 12 ( 9) Ibzd, p 13また,ドラッカーの4コの原価カテゴリー,すなわち,生産原価(productive C∞
os託t岱同sり),支援原価(supportcωos討t岱同sω),予肋防-原価(ωpoωIiにcingc∞
os坑tωωsω),浪賀(waste)をあげている。 (α10ω) モリセイの初版における MORのプロセスは次のように提 実行計画画-と統制の内容が明示されており, MORプロセスを理解するのが容易であろう。 図 MORプロセス (Morrisey,G.L,Ibid, p. 19) 川 川 ! マ 448 〈 ぺ 一-252 香川大学経済論叢 448 また, M O Rにおいては,原価便益分析が意思決定と同質的なプロセスと してその前提となっており,至るところで適用されている。モリセイは, ドラ ッカーを引用し i企業内には利益中心点はなく,原価中心点のみがある。エ ンジニアリング,販売,製造,経理といったどの企業活動に関しても確かにい える唯一のことは,その企業が労力を費やし,それによって原価を発生させる ということだ。それが成果に貢献するかどうかは,将来明らかになる。」と指 摘己したがって, M O Rの大半の目的に,一部分として原価を含ませること の重要性に大きな強調を置いている。 1. M O Rプロセス ところで,M O Rのプロセスは,具体的にはどのようなものであろうか。MOR プロセスを簡潔な用語で示すと,次の図のような水平な通風筒のようになり, それは「役割とミッション」という広く一般的なものから,最後の「統制」ま で,だんだ、ん特定化されたものになっている。 ( 8 ) Ibid , p 12 ( 9) Ibzd, p 13また,ドラッカーの4つの原価カテゴリ ,すなわち,生産原価(productive costs),支援原価(supportcosts),予防原価(policingcosts),浪費(waste)をあげている。 (10) モリセイの初版におけるMORのプロセスは次のように提示されている。この図では, 実行計画と統制の内容が明示されており, MORプロセスを理解するのが容易であろう。 図 MORプロセス (Morrisey,G.L,Ibid, p. 19)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
449 目標管理に関する一考察 -253-モリセイは,
MOR
を機械的なプロセスではなく,人間的なプロセスとして 理解したうえで, コミュニケーションを, プロセス全体をともに結ぶ触媒とし て認識し,逆に,MOR
プロセスは,人々の聞のコミュニケーション手段とし て役立たなければならないとしている。 モリセイは,彼の著書全体を通じて,MOR
ステップを (全体)組織, (組 J織内の)ユニット及び個々の管理者レベルにも適用している。 それは,MOR
を 組織のどこからでも,また個人管理者に対してでも,適用・運用することがで きるところから始めようというMOR
普及のための実際的理由からであり, のことが,彼のMBO
論の特徴でもある。 次に, 6つの主要なステップを詳細に検討することとする。2
.
役割とミッションの定義 守 、 ー 役割とミッションに関するステートメントは r実行されるべき仕事の性質 と範囲」を説明するものである。全体組織のステートメントには,全体組織が 責任をもっ業務の広い確認, サービスを行う主要地域,顧客または利用者グル ープ,組織的ア‘プローチ, る広い確認などを含む。 それに加えて, その業務に対する哲学的基準に関す 全体組織のための役割とミッションに関するステートメントの内容として, 具体的に次の事項を考慮しなければならない。 1 (11) (12) われわれは, どんなビジネスの中にいるのか。なぜわれわれは存在するの 指 標i
i
実 行 計 画 な 要 重 と 害t 1主 告 。 品 売 的 自 ミソション 結 果 領 域 -一一一一」一一一一 MOR通 風 筒 の6つのステップ (Morrisey, Ibid, p 20) Ibzd, p 23. Ibid, p 34. 449 目標管理に関する一考察 -253-モリセイは,MOR
を機械的なプロセスではなく,人間的なプロセスとして 理解したうえで, コミュニケーションを, プロセス全体をともに結ぶ触媒とし て認識し,逆に,MOR
プロセスは,人々の聞のコミュニケーション手段とし て役立たなければならないとしている。 モリセイは,彼の著書全体を通じて,MOR
ステップを (全体)組織, (組 織内の)ユニット及び個々の管理者レベルにも適用している。 それは,MOR
を 組織のどこからでも,また個人管理者に対してでも,適用・運用することがで きるところから始めようというMOR
普及のための実際的理由からであり, のことが,彼のMBO
論の特徴でもある。 次に,6
つの主要なステップを詳細に検討することとする。 役割とミッションの定義 守 、 ー 役割とミッションに関するステートメントは r実行されるべき仕事の性質 と範囲」を説明するものである。全体組織のステートメントには,全体組織が 責任をもっ業務の広い確認, サービスを行う主要地域,顧客または利用者グル ープ,組織的ア‘プローチ, る広い確認などを含む。 それに加えて, その業務に対する哲学的基準に関す 全体組織のための役割とミッションに関するステートメントの内容として, 具体的に次の事項を考慮しなければならない。 1 (11) (12) われわれは, どんなビジネスの中にいるのか。なぜわれわれは存在するの 役 害t と 重 要 な 指 標i
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実 行 計 画 品先 。告 ミ ソ ン ョ ン 結 果 領 域 -一一一一」一一一一 MOR通 風 筒 の6つのステップ (Morrisey, Ibid, p 20) Ibzd, p 23. Ibid, p 34.-254 香川大学経済論議: 450 カ〉。
2
.
われわれの一義的そしてと義的な顧客/依頼人/利用者は誰か。 3. われわれの主要な製品/サービスは何か。 4. われわれの主要な市場/販路/流通チャネノレは何か。5
.
われわれのビジネスに関して,5
~10 年前のそれと何が異なるのか。6
.
われわれのビジネスに関して5
'~10 年先,何が異なるだろうかもしくは 異なるべきか。 7. われわれの主要な経済的関心/興味は何か。8
.
われわれの主要な資金源(利益と資本)は何か。9
.
われわれの組織に重要な哲学的問題は何か(組織イメージ,産業/地域社 会でのリーダーシップ,環境,マーケティング戦略,確信的な行動,革新 /リスク選好,最新技術,品質,適時性,組織構造,管理的実践などに関 して)。1
0
次のことに関してわれわれはどのような特別な配慮をするのか。 a)所有者/株主, b)親会証, c)従業員, d)顧客/依頼人/利用者, e)供 給者, f)一般の公衆など。 組織内のユニットのステートメントは,全体組織のステートメントの場合と 同様に作られていくが,その他に,全社的な目的に対して行われるべき,独特 かつはっきりした貢献や,経済的,機能的,及びその他のコミットメントや, そのユニットによって引き受けられるべき主要な仕事の種類を含む。 (13) モリセイが「役割とミッション」に関する組織内のユニットのステートメントの一例 としてあげているアパレル産業 MOR会社の ABC部門の場合を紹介する。 Ibzd,pp 36 37 1. 動的,能率的,そして成長志向である MOR会社の部門を,利益をもたらすよう動 かすこと。 2. 男性,女性,少年少女の主的市場に対する高級な運動用及び観戦用のスポーツアパ レルを,創造し,製造し,販売すること。 3. 宣伝や広告,市場戦略,流通チャヰJv,製品の品質を通じて,われわれのブランド イメージを維持し,強化すること。 4. 設計,試作,製造をし,顧客に販売及び発送するように商品のすべてのラインを適 時に準備すること。 5. 全従業員が,個人的な成長や会社の目的を成し遂げるために,自分達の能力を使う -254 香川大学経済論議: 450 カ〉。 2. われわれの一義的そしてと義的な顧客/依頼人/利用者は誰か。3
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われわれの主要な製品/サービスは何か。4
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われわれの主要な市場/販路/流通チャネノレは何か。5
.
われわれのビジネスに関して,5
~10 年前のそれと何が異なるのか。6
.
われわれのビジネスに関して5
'~10 年先,何が異なるだろうかもしくは 異なるべきか。 7. われわれの主要な経済的関心/興味は何か。8
.
われわれの主要な資金源(利益と資本)は何か。9
.
われわれの組織に重要な哲学的問題は何か(組織イメージ,産業/地域社 会でのリーダーシツプ,環境,マーケティング戦略,確信的な行動,革新 /リスク選好,最新技術,品質,適時性,組織構造,管理的実践などに関 して)。1
0
次のことに関してわれわれはどのような特別な配慮をするのか。 a)所有者/株主, b)親会社, c)従業員, d)顧客/依頼人/利用者, e)供 給者, f)一般の公衆など。 組織内のユニットのステートメントは,全体組織のステートメントの場合と 同様に作られていくが,その他に,全社的な目的に対して行われるべき,独特 かつはっきりした貢献や,経済的,機能的,及びその他のコミットメントや, そのユニットによって引き受けられるべき主要な仕事の種類を含む。 (13) モリセイが「役割とミッション」に関する組織内のユニットのステートメントの一例 としてあげているアパレル産業 MOR会社の ABC部門の場合を紹介する。 Ibzd,pp 36 37 1. 動的,能率的,そして成長志向である MOR会社の部門を,利益をもたらすよう動 かすこと。 2. 男性,女性,少年少女の量的市場に対する高級な運動用及び観戦用のスポーツアパ レルを,創造し,製造し,販売すること。 3. 宣伝や広告,市場戦略,流通チャヰル,製品の品質を通じて,われわれのブランド イメージを維持し,強化すること。 4. 設計,試作,製造をし,顧客に販売及び発送するように商品のすべてのラインを適 時に準備すること。 5. 全従業員が,個人的な成長や会社の目的を成し遂げるために,自分達の能力を使うOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
451 目標管理に関する一考察 -255 ところで,このような抽象的で,ある意味で漠然とし,また,お題目的な「役 割とミッシヨン」がなぜ、必要なのであろうか。モリセイは,複数のユニットが 本質的に同ーの仕事を重複して行っている組織,結果に対する責任が特定され ずに,結果として重大な仕事が実行されない組織,個々の従業員が(管理者も 含めて)全体組織の存在理由との聞の関係を理解せず,実質的な努力が,全体 組織の経済的繁栄にほとんど貢献していない仕事に費やされている組織,生産 における支援関係についてユニツト間ず一致が存在するような組織におげる 問題点を解消するからであるとしている。 全体組織のための明瞭簡潔‘でb包括的な役割とミッションに関するステートメ ントは,組織内のユニットの役割とミッションに関するステートメントのため の基準を与えることにな
:
i
役割とミッションに関するステートメントが,経 営管理階層の上位で存在するなら,下位のユニットレベルのステートメントを 展開する個々の管理者の仕事は比較的容易となる。 役割とミッションに関するステートメントは,MOR
のプロセスの出発点で あり,これ以後のステップ聞における整合性を得るための基準ともなるべきも のである。したがって,このステップでは他のどんなステップ以上に,コンセ ンサスを得るために主要な管理者間で行われる議論と分析が重要であり,そう することにより効率的なコミュニケーションがはかられる。 3. 重要な結果領域の決定 重要な結果領域(
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は,活動ではなく結果が,管理者によ る特定の注意を保証するのに十分重大な領域である。重要な結果領域の決定 は,役割とミッションの定義に続くステップであって,役割とミッシヨンに関 ように彼らを刺激し,挑戦させる環境を与えること。 6. 全従業員に対し,たとえどこにいようとも,その地域社会やわれわれ自身の産業の それと等しい報酬を維持すること。人種,JlJ[の色,性別,年齢,信条とは関係なし 訓練プログラムや成長目的の達成を通じて成長の機会を与えること。 (14) Ibid, pp 25-26 (15) モリセイは全社的なステートメントがない場合には,各管理者はそのユニットの役割 とミッションが定義される前に,少なくとも概念的に℃も全社的なステ トメントを創 り出す必要があると述べているoIbid, p.26-27 451 目標管理に関する一考察 -255-ところで,このような抽象的で,ある意味で漠然とし,また,お題目的な「役 割とミッション」がなぜ、必要なのであろうか。モリセイは,複数のユニットが 本質的に同ーの仕事を重複して行っている組織,結果に対する責任が特定され ずに,結果として重大な仕事が実行されない組織,個々の従業員が(管理者も 含めて)全体組織の存在理由との聞の関係を理解せず,実質的な努力が,全体 組織の経済的繁栄にほとんど貢献していない仕事に費やされている組織,生産 における支援関係についてユニット聞で不一致が存在するような組織におげる 問題点を解消するからであるとしている。 全体組織のための明瞭簡潔でb包括的な役割とミッションに関するステートメ ントは,組織内のユニットの役割とミッションに関するステートメントのため の基準を与えることになる。役割とミッションに関するステートメントが,経 営管理階層の上位で存在するなら,下位のユニットレベルのステートメントを 展開する個々の管理者の仕事は比較的容易となる。 役割とミッションに関するステートメントは,MOR
のプロセスの出発点で あり,これ以後のステップ聞における整合性を得るための基準ともなるべきも のである。したがって,このステップでは他のどんなステップ以上に,コンセ ンサスを得るために主要な管理者間で行われる議論と分析が重要で件あり,そう することにより効率的なコミュニケーションがはかられる。 3. 重要な結果領域の決定 重要な結果領域(
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は,活動ではなく結果が,管理者によ る特定の注意を保証するのに十分重大な領域である。重要な結果領域の決定 は,役割とミッションの定義に続くステップであって,役割とミッションに関 ように彼らを刺激し,挑戦させる環境を与えること。 6. 全従業員に対し,たとえどこにいようとも,その地域社会やわれわれ自身の産業の それと等しい報酬を維持すること。人種,即!の色,性別,年齢,信条とは関係なし 訓練プログラムや成長目的の達成を通じて成長の機会を与えること。 (14) Ibid, pp 25-26 (15) モリセイは全社的なステートメントがない場合には,各管理者はそのユニットの役割 とミッションが定義される前に,少なくとも概念的にでも全社的なステ トメントを創 り出す必要があると述べているoIbid, p.26-27-256 香川大学経済論叢 わらせて,個々の管理者が,どこに自分の時間,エネルギー,能力を投入して いるべきかの決定に関係する。 重要な結果領域の選択的決定については,投入原価と産出価値との聞の関係 によることが提案されている。 投入原価と産出価値との関係によって 3つの領域に分類する。 たとえば,
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とする。 「必要不可欠な少し」は,管理者の時間,エネルギー及び能力の投入が,そ のユニットの役割とミッションに最大の貢献をする結果領域であり,人材開発 及び訓練,戦略的計画策定または業務的計画策定,品質管理,地域社会との関 係などがこのような重要な結果領域である。 「中庸」は,主として自己維持的で重要かつ継続的な生産的労力や,産出は 重要で、あるが,それに対するインプットが標準化できたり,産出に影響せずに インプットを減少しうるような反復的機能を含む結果領域である。 「ささいなたくさん」のカテゴリーに分類される活動に対しては,どの活動 が完全に除去できたり,部下に委任できたりするかを決定することができる。 このように3つの領域に区分するのは,時間,エネルギー,及び能力に限り があることと,これに関連してMOR
の手段を完全に行うことの困難さによる ものであろう。 また,重要な結果領域には,たとえば人材開発,組織関係,及び公衆関係な どのような「ソフト」もしくは「測定困難な領域」と,たとえば業務成果,原 価管理,及び生産性のような「ハード」もしくは「触知できる領域」があり, これ以後のMOR
のステップにそれぞれ異なる影響を与える。 重要な結果領域の上記以外の例としては,社会的責任,自己開発,期待/革 (16) Ibid..,pp.46-48 -256 香川大学経済論叢 452 わらせて,個々の管理者が,どこに自分の時間,エネルギー,能力を投入して いるべきかの決定に関係する。 重要な結果領域の選択的決定については,投入原価と産出価値との聞の関係 によることが提案されている。 投入原価と産出価値との関係によって3
つの領域に分類する。 たとえば,1
5
の投入原価と6
5
の産出価値を「必要不可欠な少し(
c
r
i
t
i
c
a
l
f
e
w
)
j
,たとえば,2
0
の投入原価と2
0
の産出価値を「中庸(
m
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, 及びたとえば,6
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の産出価値を「ささいなたくさん(
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とする。 「必要不可欠な少し」は,管理者の時間,エネルギー及び能力の投入が,そ のユニットの役割とミッションに最大の貢献をする結果領域であり,人材開発 及び訓練,戦略的計画策定または業務的計画策定,品質管理,地域社会との関 係などがこのような重要な結果領域である。 「中庸」は,主として自己維持的で重要かつ継続的な生産的労力や,産出は 重要で、あるが,それに対するインプットが標準化できたり,産出に影響せずに インプットを減少しうるような反復的機能を含む結果領域である。 「ささいなたくさん」のカテゴリーに分類される活動に対しては,どの活動 が完全に除去できたり,部下に委任できたりするかを決定することができる。 このように3つの領域に区分するのは,時間,エネルギー,及び能力に限り があることと,これに関連してMOR
の手段を完全に行うことの困難さによる ものであろう。 また,重要な結果領域には,たとえば人材開発,組織関係,及び公衆関係な どのような「ソフト」もしくは「測定困難な領域」と,たとえば業務成果,原 価管理,及び生産性のような「ハード」もしくは「触知できる領域」があり, これ以後のMOR
のステップにそれぞれ異なる影響を与える。 重要な結果領域の上記以外の例としては,社会的責任,自己開発,期待/革 (16) Ibid..,pp.46-48OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
453 目標管理に関する一考察 ~257 新,戦略的計画策定,業務的計画策定,財務成果,品質管理,ユニット管理, 従業員関係,経営管理コミュニケーション,組織イメージなどがあげられてい る。 個々の管理者にとっての重要な結果領域のリストは, 5 '"'-10ぐらいが通常 であるとして,それより多くても少なくてもいけないとしていることも,現実 j 的な提案である。 また,全社的及びユニットの重要な結果領域の決定は,これについての同意 の過程が重要視されているのも,先のステップと同様である。
4
.
指標の確認と特定 モリセイは,有効性の指標の確認と特定のステップは,MOR
プロセスの中 で最も難しいステップであり,その理由は,目的を最古』こ書いて,それから指 標を確認しようとする傾向にあるからであるとしている。 指標とは,目的を設定するだけの価値のある,ある所与の重要な結果領域内 の測定可能な要因である。指標は,いくら原価がかかるとか,いつまでかかる とかではなく,何が測定されるかのみを確認するものであり,それを見る必要 側 がある人々に有効性を示すものである。 指標の確認と特定のステップは,MOR
のプロセスにおいては微妙なステッ プである。それは,重要な結果領域を確認した後,通常,即座に目的の設定を 始める傾向にあり,そうすることは可能でトあるからである。特に,個別問題 (pro -ject)志向的な領域においては,すでに特定な成果や目的ははっきりしていて 指標は必要がない。しかし,たいwていの場合,選ばれるかも知れない公平で広 く変化に富んだ指標があり,すぐに利用されそうに思われる指標よりも潜在的 な指標の大きな集合を見ることによって,管理者は他の関係者の助けを借り て,代替案を調べ,それから設定されるべき目的に関して,最大の意味を与え (17) Jbid., p 50 and p 52 (18) Jbid., P 51 (19) Jbzd, p 65 (20) Jbzd, p 56-57 453 目標管理に関する 考察 ~257~ 新,戦略的計画策定,業務的計画策定,財務成果,品質管理,ユニット管理, 従業員関係,経営管理コミュニケーション,組織イメージなどがあげられてい る。 個々の管理者にとっての重要な結果領域のリストは, 5 '"'-10ぐらいが通常 であるとして,それより多くても少なくてもいけないとしていることも,現実 的な提案である。 また,全社的及びユニットの重要な結果領域の決定は,これについての同意 の過程が重要視されているのも,先のステップと同様である。4
.
指標の確認と特定 モリセイは,有効性の指標の確認、と特定のステップは,MOR
プロセスの中 で最も難しいステップであり,その理由は,目的を最初に書いて,それから指 標を確認しようとする傾向にあるからであるとしている。 指標とは,目的を設定するだけの価値のある,ある所与の重要な結果領域内 の測定可能な要因である。指標は,いくら原価がかかるとか,いつまでかかる とかではなく,何が測定されるかのみを確認するものであり,それを見る必要 目的 がある人々に有効性を示すものである。 指標の確認と特定のステップは,MOR
のプロセスにおいては微妙なステッ プである。それは,重要な結果領域を確認した後,通常,即座に目的の設定を 始める傾向にあり,そうすることは可能であるからである。特に,個別問題 (pro -ject)志向的な領域においては,すでに特定な成果や目的ははっきりしていて 指標は必要がない。しかし,たいていの場合,選ばれるかも知れない公平で広 く変化に富んだ指標があり,すぐに利用されそうに思われる指標よりも潜在的 な指標の大きな集合を見ることによって,管理者は他の関係者の助けを借り て,代替案を調べ,それから設定されるべき目的に関して,最大の意味を与え (17) Jbid., p 50 and p 52 (18) Jbid., P 51 (19) Jbzd, p 65 (20) Jbzd, p 56-57-258 香川大学経済論叢 るであろう指標を選択する機会をもつことができるというのが, のステップを重視する理由であるO 454 モリセイカまこ 指標は, ある所与の重要な結果領域の範囲内に論理的にある,通常測定可能 な要因であり, それを前提に次のステップの目的が設定される。 たいていの指 標は統制の測定尺度として等しく役立つだろうが,統制の測定尺度すべてが指 日2) 標として機能するとは限らないことに注意を要する。 ω 指標の区分については,次のようなものをあげている。 (1)たとえば,作業時間当たりの生産単位のような「ハード」な数字や, (2)た とえば,顧客に価格政策の変更を説明するなどの克服されるべき問題など,必 ず、しも測定可能であるための数字をもっ必要はないもの,及び
(
3
)
たとえば, ス タッフモラールに関するものである従業員の雇用率や無断欠席率のような「ソ フト」な数字, すなわち,主観的な領域の中での有効性を表すものである。 具体的には,典型的な重要な結果領域と関連して, として,次のものが例としてあげられている。 しばしば利用される指標 重要な結果領域「財務成果」の指標としては,実際/予算,生産単位当たり 原価,売上高純利益,キャッシュフロー,及び資本利益率が, また重要な結果 領域「戦略的計画策定」の指標としては,長期計画,市場調査,製品段階的廃 止計画,設備開発計画,人的資源計画, があげられている。 5. 目的の選択と設定 目的の選択と設定(単に, 目的の設定という) は,他の経営管理手法におい ても, ごく普通に行われるものである。目的の設定は, MORにおいては,最 初の3つのステップである役割とミッション,重要な結果領域,及び指標から 導かれる。モリセイによれば, 目的の設定は, MORプロセスの中で最もはっ きりしたステップであり,実際に, 目的のステップは, MORの残りのプロセ (21) (22) (23) (24) lbid , p 58 lbid., p 59. lbid.., p.59-60 lbid,.p..62 -63一一明
-258 香川大学経済論叢 454 るであろう指標を選択する機会をもつことができるというのが,モリセイがこ のステップを重視する理由であるO 指標は,ある所与の重要な結果領域の範囲内に論理的にある,通常測定可能 な要因であり,それを前提に次のステップの目的が設定される。たいていの指 標は統制の測定尺度として等しく役立つだろうが,統制の測定尺度すべてが指 日2) 標として機能するとは限らないことに注意を要する。 ω 指標の区分については,次のようなものをあげている。 (1)たとえば,作業時間当たりの生産単位のような「ハード」な数字や, (2)た とえば,顧客に価格政策の変更を説明するなどの克服されるべき問題など,必 ず、しも測定可能で、あるための数字をもっ必要はないもの,及び(
3
)
たとえば,ス タッフモラールに関するものである従業員の雇用率や無断欠席率のような「ソ フト」な数字,すなわち,主観的な領域の中での有効性を表すものである。 具体的には,典型的な重要な結果領域と関連して,しばしば利用される指標 として,次のものが例としてあげられている。 重要な結果領域「財務成果」の指標としては,実際/予算,生産単位当たり 原価,売上高純利益,キャッシュフロー,及び資本利益率が,また重要な結果 領域「戦略的計画策定」の指標としては,長期計画,市場調査,製品段階的廃 止計画,設備開発計画,人的資源計画,があげられている。 5. 目的の選択と設定 目的の選択と設定(単に,目的の設定という)は,他の経営管理手法におい ても,ごく普通に行われるものである。目的の設定は, MORにおいては,最 初の3つのステップである役割とミッション,重要な結果領域,及び指標から 導かれる。モリセイによれば,目的の設定は, MORプロセスの中で最もはっ きりしたステップであり,実際に,目的のステップは, MORの残りのプロセ (21) lbid, p 58 (22) lbid., p 59. (23) lbid.., p.59-60 (24) lbid,.p..62 -63OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
455 目標管理に関する一考察 -259ー スから独立して利用できるものであり,目的は,どんな活動が実行されるべき か決定するための基礎を構成し,またそれらの活動がどれだけ良く実行されて いるか評価するための基準(criteria)を確立するのを助けるものであるとして
ω
いる。 目的設定プロセスは2
つの局面,(1)目的の確認(優先順位の割り当ても含め て),(
2
)
目的を効果的な経営管理の手段にする様式で書くこと(目的を書くこ と)からなる。 (a) 目的の確認 目的は,達成されるべき結果に関するステートメントである。1
つの重要な 結果領域の目的に関するリストは,期待される結果のすべてを反映すべきアウ トプットも含む必要がある。MOR
の最初のステップである役割とミッション は,一度確立されてしまうと,かなりコンスタントなままであるということを 仮定すると,次の2つのステップ,すなわち重要な結果領域と指標は,目的の 臼 日 確立に論理的に導くように設計されている。管理者とその上司との聞で交渉さ れ,その結果,とりかわされるMOR
合意文書の書式に含まれるのは3
つのス テップ(役割とミッション,重要な結果領域,及び目的)についての内容であ る。次のステップである実行計画 (actionplan)のステップにおいては,もし 位1) 目的が達成されるように思われる場合には,上司と交渉する必要はない。 また,モリセイは r私の従業員とのコミュニケーションを改善することJ, 「私のユニットでのより良いチームワークを開発すること」などの主観的目的 に関連した問題については,MOR
を採用していなければシステマティックに (25) lbid, p 67 (26) lbid, p 70 (27) 重要な結果領域及び指標と目的との関係は,たとえば重要な結果領域「組織的イメー ジJ,指標「従業員による出版物j,目的 '80作業時聞を超えない原価で,現時の会計年 度間に,ユニットの従業員によって書かれ,専門誌に出版された,積極的なイメージを 示している記事を最低限 4つもつ」となり,重要な結果領域「品質管理J,指標「全体 労力の百分率としてのやり直しJ,目的 '2000ドルと 50作業時間を超えない実行原価 で 4月15日から,全体労力の 5 %を超えない平均水準にやり直す量を減少させるこ と」となる。 lbid,p.71また, MORを採用していない場合の目的の決定についても, モリセイは述べ叩ている。 lbzd,pp72-77を参照のこと。 455 目標管理に関する一考察 -259ー スから独立して利用できるものであり,目的は,どんな活動が実行されるべき か決定するための基礎を構成し,またそれらの活動がどれだけ良く実行されて いるか評価するための基準(criteria)を確立するのを助けるものであるとしてω
いる。 目的設定プロセスは2
つの局面,(1)目的の確認(優先順位の割り当ても含め て),(
2
)
目的を効果的な経営管理の手段にする様式で書くこと(目的を書くこ と)からなる。 (a) 目的の確認 目的は,達成されるべき結果に関するステートメントである。 1つの重要な 結果領域の目的に関するリストは,期待される結果のすべてを反映すべきアウ トプットも含む必要がある。MOR
の最初のステップである役割とミッション は,一度確立されてしまうと,かなりコンスタントなままであるということを 仮定すると,次の2つのステップ,すなわち重要な結果領域と指標は,目的の ( 制 確立に論理的に導くように設計されている。管理者とその上司との聞で交渉さ れ,その結果,とりかわされるMOR
合意文書の書式に含まれるのは3
つのス テップ(役割とミッション,重要な結果領域,及び目的)についての内容であ る。次のステップである実行計画 (actionplan)のステップにおいては,もし 位1) 目的が達成されるように思われる場合には,上司と交渉する必要はない。 また,モリセイは r私の従業員とのコミュニケーションを改善することJ, 「私のユニットでのより良いチームワークを開発すること」なIどの主観的目的 に関連した問題については,MOR
を採用していなければシステマティックに (25) lbid, p 67 (26) lbid, p 70 (27) 重要な結果領域及び指標と目的との関係は,たとえば重要な結果領域「組織的イメー ジJ,指標「従業員による出版物j,目的 '80作業時聞を超えない原価で,現時の会計年 度間に,ユニットの従業員によって書かれ,専門誌に出版された,積極的なイメージを 示している記事を最低限 4つもつ」となり,重要な結果領域「品質管理J,指標「全体 労力の百分率としτ
のやり直しJ,目的 '2000ドルと50作業時間を超えない実行原価 で 4月15日から,全体労力の 5 %を超えない平均水準にやり直す量を減少させるこ と」となる。 lbid,p.71また, MORを採用していない場合の目的の決定についても, モリセイは述べ叩ている。 lbzd,pp72ー77を参照のこと。-260- 香川大学経済論首長 456 解決することは困難であるとして,
MOR
を積極的に評価してい2
。 資源、の利用可能性を前提にすると,目的に対しては優先順位をつけなければ ならず,またこれはどうしても主観的判断を伴うものである。この目的の優先 順位づけに対しては様々な方法が存在するが,モリセイは,先の「原価→更益 分析」と「必要不可欠な少し」を,優先順位の設定に最も決定的なもののーっ としてあげているが,その他に2つの技法 r1
憂先順位のグルーフρ分け」と「意ω
思決定行列」を紹介している。 (b) 目的を書くこと 確立したい目的に関する基本的要素がいったん決定されたら,その要素が効 果的なワーキングツー/レになるようにそれを書かなければならない。 目的は,その目的の達成に責任をもっ管理者,その目的を評価し,許可しな ければならないその管理者の上司,その目的の達成の責任を負わされ,その達 成に貢献しているであろうその管理者の部下,その目的によって自分の努力に 影響を受ける同僚管理者などの,それを知る必要のある人々の伝達手段として 設計される必要があることはいうまでもない。 目的は,達成されるべきある一つの重要な結果を特定化する。その達成のた (28) Ibid, pp.77ー78 (29) r優先順位のグループ分け」は,優先順位の高いものから,目的を「するようになっ ているもの(Got-to-do's)J,rすべきもの(Ought-to-do's)J及び「するのがよいもの (Nice-to-do's)Jに分けていくものである。この時,注意すべきは,ある一つの目的が, 一部分(生産量)を変えて,この3つの分類のどれにも入れることができることである。 たとえば,期日,原価などの条件に合わせて,ある一定量を生産を行うことが目的だと すると,組織やユニットが生き残る最低条件としての生産設は100単 位 で あ れ ば す るようになっているもの」であり,組織やユニットの業績を改普ーするためには,これだ けは生産したいと期待し, r125単 位 生 産 す る 」 と い う 目 的 を 設 定 す れ ば , そ れ は す べきもの」の分類に入る。さらに,期待する以上に望ましい生産量として150単位があ り,それを生産するために他の重要な目的を犠牲にしないとしたら,r150単位生産する」 という目的は rするのがよいもの」の分類に入る。 「意思決定行列」は,優先順に提出される必要のある目的や計画が多い場合に有効で ある。優先順を設定したいプロジェクトを,それぞれ水平方向と垂直方向に同じ順序で 並べ,それぞれのプロジェクトをクロスするところで 1対 1を基本に比較し,横の項 目が重要ならば四角の欄に×を入れ,縦の項目が重要ならば,欄は空白とし,縦に見た 空白の合計と,横に見た×の合計を足しその合計の多い順に f~先順位をつけるものであ る。 Ibid,p 78-85 -260- 香川大学経済論首長 。 曲 解決することは困難、であるとして, MORを積極的に評価している。 456 資源の利用可能性を前提にすると,目的に対しては優先順位をつけなければ ならず,またこれはどうしても主観的判断を伴うものである。この目的の優先 順位づけに対しては様々な方法が存在するが,モリセイは,先の「原価→更益 分析」と「必要不可欠な少し」を,優先順位の設定に最も決定的なもののーっ としてあげているが,その他に2つの技法 r1
憂先順位のグルーフρ分け」と「意 日 明 思決定行列」を紹介している。 (b) 目的を書くこと 確立したい目的に関する基本的要素がいったん決定されたら,その要素が効 果的なワーキングツー/レになるようにそれを書かなければならない。 目的は,その目的の達成に責任をもっ管理者,その目的を評価し,許可しな ければならないその管理者の土司,その目的の達成の責任を負わされ,その達 成に貢献しているであろうその管理者の部下,その目的によって自分の努力に 影響を受ける同僚管理者などの,それを知る必要のある人々の伝達手段として 設計される必要があることはいうまでもない。 目的は,達成されるべきある一つの重要な結果を特定化する。その達成のた (28) Ibid, pp.77 -78 (29) r優先順位のグループ分け」は,優先順位の高いものから,目的を「するようになっ ているもの(Got-to-do's)J,rすべきもの(Ought-to-do's)J及び「するのがよいもの (Nice-to-do's)Jに分けていくものである。この時,注意す。べきは,ある一つの目的が, 一部分(生産量)を変えて,この3つの分類のどれにも入れることができることである。 たとえば,期日,原価などの条件に合わせて,ある一定量を生産を行うことが目的だと すると,組織やユニットが生き残る最低条件としての生産設は100単 位 で あ れ ば す るようになっているもの」であり,組織やユニットの業績を改善す一るためには,これだ けは生産したいと期待し, r125単位生産する」という目的を設定すれば,それはす べきもの」の分類に入る。さらに,期待する以上に望ましい生産量として150単位があ り,それを生産するために他の重要な目的を犠牲にしないとしたら,r150単位生産する」 という目的は rするのがよいもの」の分類に入る。 「意思決定行列」は,優先順に提出される必要のある目的や計画が多い場合に有効で ある。優先IJ民を設定したいプロジェクトを,それぞれ水平方向と垂直方向に同じ順序で 並べ,それぞれのプロジェクトをクロスするところで 1対 1を基本に比較し,横の項 目が重要ならば四角の欄に×を入れ,縦の項目が重要ならば,欄は空白とし,縦に見た 空白の合計と,横に見た×の合計を足しその合計の多い順に優先順位をつけるものであ る。 Ibid,p 78-85OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
目標管理に関する一考察 -261ー めの目標期日,ある特定の終了期日やタイムスパンや最大限の原価要因を含ま なければならない。特に,モリセイは,原価要因は,最も重大な要素のーっと して考慮されるべきであるとしている。その理由は,多くの管理者トは,目的の ー部として原価を確認するのを嫌がり,原価要因が目的設定のステップで最も 無視される要因となりがちであるからである。しかし,これを含めることが, 計画策定をより容易にし,そしてより挫折の少ないものにするだろうとしてい
ω
る。 このような原価要因を含めて,目的はできるだけ特定的でかつ数量的である ことが望ましいことはいうまでもないであろう。そのことが,目的を測定可能 にし,検証可能にし,MOR
をよりオペレーショナノレなものにしている。 さらに,目的は過度の圧力や強制力なしに,上司と部下の両者によって快く 同意されるものでなければならない。また,目的は現実的で達成可能だが,そ れでもなお意義のある挑戦を表す。 6. 実行計画の準備 実行計画の準備のステップは,目的の設定のプロセスを受けた「特定の目 的を達成するやり方の決定」である。実行計画は,異なる代替案を検討し,現 状の環境下で最も意味をなすアプローチは何かを決定することを可能にする。 どのような目的も具体的な実行計画がなくては達成されない。実行計画によ り,目的ははじめて意味のあるものとなる。それは次の5つのサブステップをω
合わせたものである。すなわち,1.プログラミング, 2.スケジューリング, 3. 予算編成, 4.責任の割り付け,及び5.評価と調整である。 (a) プログラミング 実行計画のステップでは,このプログラミングが最も必要不可欠なサブステ ップであ2
。目的をプログラムすることは,目的の達成を確実にするために行 わなければならないルートをレイアウトすることである。また,プログラム化 (30) Ibzd., p.90 (31) Ibzd., p.93 (32) Ibid, p.107 (33) Ibid , p 139 457 目標管理に関する一考察 -261ー めの目標期日,ある特定の終了期日やタイムスパンや最大限の原価要因を含ま なければならない。特に,モリセイは,原価要因は,最も重大な要素のーっと して考慮されるべきであるとしている。その理由は,多くの管理者トは,目的の ー部として原価を確認するのを嫌がり,原価要因が目的設定のステップで最も 無視される要因となりがちであるからである。しかし,これを含めることが, 計画策定をより容易にし,そしてより挫折の少ないものにするだろうとしていω
る。 このような原価要因を含めて,目的はできるだけ特定的でかつ数量的である ことが望ましいことはいうまでもないであろう。そのことが,目的を測定可能 にし,検証可能にし,MOR
をよりオペレーショナノレなものにしている。 さらに,目的は過度の圧力や強制力なしに,上司と部下の両者によって快く 同意されるものでなければならない。また,目的は現実的で達成可能だが,そ れでもなお意義のある挑戦を表す。 6. 実行計画の準備 実行計画の準備のステップは,目的の設定のプロセスを受けた「特定の目 的を達成するやり方の決定」である。実行計画は,異なる代替案を検討し,現 状の環境下で最も意味をなすアプローチは何かを決定することを可能にする。 どのような目的も具体的な実行計画がなくては達成されない。実行計画によ り,目的ははじめて意味のあるものとなる。それは次の5つのサブステップを 日 目 合わせたものである。すなわち,1.プログラミング, 2.スケジューリング, 3. 予算編成, 4.責任の割り付け,及び5.評価と調整である。 (a) プログラミング 実行計画のステップでは,このプログラミングが最も必要不可欠なサブステω
ップである。目的をプログラムすることは,目的の達成を確実にするために行 わなければならないルートをレイアウトすることである。また,プログラム化 (30) Ibzd., p.90 (31) Ibzd., p.93 (32) Ibid, p.107 (33) Ibid , p 139-262 香川大学経済論叢 458 をする手続きは,様々な方法を評価する過程を通じて,達成する目的の最初の (3~ 見積が不正確であることを明らかにし,目的を考え直すことができる。 特定の目的のプログラミングを,より実行司能にするために,さらに,次の ことを考慮する必要がある。目的達成には不可欠である大きな努力を伴う複数 の大きなステップを探索し,これに対して優先順位を割り当てる。また,これ を支援するために必要な詳細ステップを探索する。この大きなステップを実行 可能な単位に分解する(プログラミング分解)ことによる詳細ステップの決定 は,実行するよう期待される部下達に委任される。通常,一つの実行計画は, 5 (35) から