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高木

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Academic year: 2021

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(1)

プリント中の

¨

§

¥

高木

p.1¦

= “高木隆司, 「力学 (I)」(裳華房)”の p.1

¨

§

¥

香中

p.1¦

= “香取真理,中野徹, 「物理数学の基礎」(サイエンス社)”の p.1 を参照。

¨

§

¥

和達

p.1¦

= “和達三樹, 「物理のための数学」(岩波)”の p.1 を参照。

を参照しています。

(2)

物数 I.1

1 3 次元のベクトルとその演算

1.1 ベクトルとスカラー

¨§

高木

p.4¥¦

¨

§

¥

香中

p.2¦

始点 を O, 終点 を P とする矢印を, ベクトル −→

OP という. A = −→

OP などとかく.

この矢印のように, 大きさと方向の両方のある量を ベクトル という.

大きさだけのある量を, ベクトルに対して スカラー という.

大きさと向きが両方等しければ, (始点 が違っても) ベクトルは等しい. つまり, 平行移動 して重なるようなベクトル は等しい.

A = −→

OP = −→

QR.

ベクトルの例: 風 (風向きと風力). スカラーの例: 気圧.

記号の使い方

ベクトルは rA のような傾いた太い字で (また は ~ rA ~ のように矢印をつけて) 表わす.

スカラーは r のような傾いた細い字で表わす.

点の名前や単位は O,P,Q,R, m, kg のように立った 細い字で表す.

戸田盛和, 「力学」(物理入門コース

1) (岩波, 1982)

1.2 ベクトルの演算

¨§

香中

p.3¥¦¨§

和達

p.21¥¦

ベクトルの和

一般に, ベクトル C = A + B とは, AB を 2 辺とす

る平行四辺形の対角線のベクトル.

(3)

ベクトルとスカラーの積 ベクトルのスカラー倍ともいう.

ベクトル A と スカラー c の積 B = c A は, ベクトルであり,

大きさは A| c | 倍.

向きは, c > 0 なら同じ向き c < 0 なら逆向き.

c = 0 なら, あとで出てくるゼロベクトルになる.

A

B A+B

- A A 2A

0

ベクトルの差

ベクトル A とベクトル B の差 C = A B とは, ベクトルであり,

C = A B = A + (( 1) B) (2.1)

ゼロベクトル

A A や, 0 A は, ゼロベクトル 0 である.

ゼロベクトルは, 大きさは 0 で, 向きはない.

0 A = 0 B = A A = B B = 0. (2.2)

ベクトル, スカラーについては, 普通の数であるかのように展開して計算してよい.

例: 2(3A B) = 2B + 6A.

1.3 ベクトルの座標表示

¨§

高木

p.5¥¦¨§

香中

p.9¥¦

ベクトルを, やっぱり, 絵じゃなく数字で表わしたい!

図のように, 原点 O で垂直に交わる x-軸, y-軸を平面に描く. x-軸, y-軸には向きがあり, x-座

標, y-座標がある. x-軸, y-軸に垂線を下ろして x-座標, y-座標をよみとる.

この

A =

 2 3

 =

A

x

A

y

x-成分 y-成分

(2.3)

を ベクトルの座標表示 または 成分表示 という. 2 を x 成分 , 3 を y 成分 という.

横に A = (2, 3) のように書くこともある.

x y

O

A = ( ) 2 3

+2

-2

-2 +2

P

(4)

物数 I.3 成分で書いた ベクトルの和とスカラー倍

ベクトル

A =

A

x

A

y

, B =

B

x

B

y

 (3.1)

とスカラー c に対して,

A + B =

A

x

+ B

x

A

y

+ B

y

c A =

c A

x

c A

y

 (3.2)

である. まとめると

x y

O A

B

A+B

-A

α

A

x

A

y

 + β

B

x

B

y

 =

αA

x

+ βB

x

αA

y

+ βB

y

 (3.3)

1.4 3 次元の座標系

¨§

和達

p.22¥¦

¨

§

¥

香中

p.13¦

互いに直交する x,y,z の 3 つの座標軸を使う.

3 次元のベクトル A の始点を原点に置いたとき, 終点の 座標を Ax, y, z 成分といい, A

x

, A

y

, A

z

と書く.

A =

 

  A

x

A

y

A

z

 

 

x-成分 y-成分 z-成分

(3.4)

ふつうは, 右手を開いたときの親指方向を x, 人指し指方向を y, 中指方向を z 軸の正の方向に とる. ( 右手座標系 (右手系) と呼ぶ.通常こちらを使う.)

左手を使うと,

z

軸の向きが逆になる. (左手系と呼ぶ.特に理由がなければ使わない.)

点 P の座標を (x

1

, y

1

, z

1

),点 Q の座標を (x

2

, y

2

, z

2

) と すると,点 P を始点とし,点 Q を終点とするベクトル −→

PQ の成分表示は以下となる:

−→ PQ = (

x

2

x

1

, y

2

y

1

, z

2

z

1

)

(3.5)

(5)

1.5 基本ベクトル

¨§

香中

p.14¥¦

単位ベクトル : 大きさが 1 のベクトル.

x,y,z 軸の正の向きの単位ベクトルを 基本ベクトル と

いい,

i =

 

  1 0 0

 

  , j =

 

  0 1 0

 

  , k =

 

  0 0 1

 

  (4.1)

と書く. これらを用いると,

A =

 

  A

x

A

y

A

z

 

  = A

x

i + A

y

j + A

z

k. (4.2)

x, y, z 軸を右親人中指にとるとき, ベクトルの 3 個組

h i, j , k i は 右手系 だという. ( h i, j , k i は左手系にな る.)

1.6 内積 ( スカラー積 )

¨§

高木

p.6¥¦

¨

§

¥

香中

p.4¦

ベクトル A の大きさ (長さ, 絶対値) を | A | と書く (絶対 値と同じ記号). | A | はスカラー (実数).

2 つの 3 次元ベクトル A, B に対して, 次の式で計算され るスカラー A · B のことを 内積 という.

A · B = | A | | B | cos(θ) , 0 5 θ 5 π . (4.3)

ベクトル A, B, C, スカラー c に対して, 普通の数であるかのように, (2A + B) · A = 2A · A + A · B のように展開したりしてよい.

基本ベクトル i, j, k は互いに直交していて大きさ 1 なので,

i · i = j · j = k · k = 1. (4.4)

i · j = j · k = k · i = j · i = k · j = i · k = 0. (4.5)

(6)

物数 I.5 内積 A · B の成分表示

¨§

香中

p.16¥¦

A · B =(A

x

i + A

y

j + A

z

k) · (B

x

i + B

y

j + B

z

k)

=(A

x

B

x

i · i + A

x

B

y

i · j + A

x

B

z

i · k) +(A

y

B

x

j · i + A

y

B

y

j · j + A

y

B

z

j · k) +(A

z

B

x

k · i + A

z

B

y

k · j + A

z

B

z

k · k)

= A

x

B

x

+ A

y

B

y

+ A

z

B

z

(5.1)

(参考) 仕事

(スカラー)

は, 力

(ベクトル)

と変位

(ベクトル)

の内積.

ベクトルの大きさ (内積の使い道 1)

三平方の定理を 2 回使うと, ベクトル A の大きさ | A | について

| A |

2

= (√

A

2x

+ A

2y

)

2

+ A

2z

= A

2x

+ A

2y

+ A

2z

= A · A (5.2) という関係式が成り立つ.つまり

| A | =

A

2x

+ A

2y

+ A

2z

=

A · A . (5.3)

内積の使い道 2: ベクトル AB のなす角度 内積の定義の式 (4.3) を逆に使うと,

cos(θ) = A · B

A · A

B · B = A

x

B

x

+ A

y

B

y

+ A

z

B

z

A

2x

+ A

2y

+ A

2z

B

x2

+ B

y2

+ B

z2

(5.4)

で, ベクトル AB のなす角度 θ が計算できる.

(例) A = (

1

10

) , B =

(

0

11

)

とする. A · B, | A | , および A,B のなす角 θ は?

(答)

A · B = 1 × 0 + 1 + 0 × 1 = 1.

| A | =

A · A =

1

2

+ 1

2

+ 0

2

=

2, | B | = 2 cos(θ) =

1

2 2

=

12

,

(

0 5 θ 5 πなので θ = π/3.

)

(7)

1.7 外積 (ベクトル積)

¨§

高木

p.126¥¦

¨

§

¥

香中

p.6¦

2 つの 3 次元ベクトル A, B に対して, 次の式で表わされるベクトル C = A × B のことを 外積 という.

この記号 ‘ × ’ は新しい記号.

(実数のふつうの ‘かける’ とたまたま同じ文字だが意味は異なる).

C = A × B = | A | | B | sin θ C ˆ (6.1)

ただし, ˆ C は, AB の両方に垂直な単位ベクトルで, h A, B, C ˆ i が右手系をなすようなもの.

別の言い方:

C A, C B で, C の向きは, A から B に回る右ねじが進む向き.

大きさは | C | = | A || B | sin θ = A,B のはる平行四辺形の面積.

外積 (ベクトル積) と内積 (スカラー積) を混同しないよう注意

A × B : ベクトル , A · B : スカラー (6.2)

A × A = 0 , A · A = | A |

2

(6.3)

A × B = B × A , A · B = B · A (6.4)

( ) をはずすときはふつうの数であるかのように展開してよい.

計算例 (2A + 3B) × A = 2 A × A + 3 B × A = 0 3 A × B (6.5)

基本ベクトルの間の外積

i × i = 0, j × j = 0, k × k = 0. (6.6) i × j = +k, j × k = +i, k × i = +j , (6.7) j × i = k, k × j = i, i × k = j. (6.8)

i, j , k が 循環的 (cyclic) に入れ替わってることに注意. i j k i.

(8)

物数 I.7 外積 A × B の成分表示

¨§

高木

p.127¥¦

¨

§

¥

香中

p.16¦

¨

§

¥

和達

p.26¦

A × B

=(A

x

i + A

y

j + A

z

k) × (B

x

i + B

y

j + B

z

k)

=(A

x

B

x

i × i + A

x

B

y

i × j + A

x

B

z

i × k) + (A

y

B

x

j × i + A

y

B

y

j × j + A

y

B

z

j × k) + (A

z

B

x

k × i + A

z

B

y

k × j + A

z

B

z

k × k)

= (A

y

B

z

A

z

B

y

)i + (A

z

B

x

A

x

B

z

)j + (A

x

B

y

A

y

B

x

)k.

(7.1)

x, y, z が循環的に入れ替わってることに注意. x y z x.

覚え方

 

  A

x

A

y

A

z

 

  ×

 

  B

x

B

y

B

z

 

  = =

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

¯¯ ¯¯

¯¯

A

y

A

z

B

y

B

z

¯¯ ¯¯

¯¯

¯¯ ¯¯

¯¯ A

z

A

x

B

z

B

x

¯¯ ¯¯

¯¯

¯¯ ¯¯

¯¯

A

x

A

y

B

x

B

y

¯¯ ¯¯

¯¯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=

 

 

A

y

B

z

A

z

B

y

A

z

B

x

A

x

B

z

A

x

B

y

A

y

B

x

 

 

【注】 上の式が使えるのは右手系の座標系を用いた場合.

(例)

A =

 

  2 3 0

 

  , B =

 

 

1

4 +5

 

 

に対して, 外積 B × A を計算しよう.

(答)

B × A =

 

 

1

4 +5

 

  ×

 

  2 3 0

 

  , =

 

 

4 · 0 5 · 3 5 · 2 ( 1) · 0

1 · 3 ( 4) · 2

 

  . =

 

 

15 +10 +5

 

  .

(参考) 角運動量

L = r×p

や力のモーメント

N = r×F (

¨

§

¥

高木

p.127,128¦),フレミングの左手の法則 F =I×B,

やローレンツ力

F =q(E+v×B)

は, 外積で簡単に書ける.

(9)

1.8 内積や外積についての補足

・ 平面の方程式

AB をある平面に含まれるベクトルとする と,A × B はこの平面と直交するベクトル, つ まり 法線ベクトル となる.

A r

O B

r

r r

0

A B × r r

r

0

を平面上のある一つの点を表す位置ベクトル,r を平面上の任意の点を表す位置ベクトルと すると r r

0

は平面内に含まれるベクトルなので A × B と直交する;

(r r

0

) · (

A × B )

= 0 (8.1)

(r r

0

) · (A × B) > 0 の場合,r で表される点は平面で区切られた空間の 2 つの領域のうち,

平面に対して A × B の側の領域にある.((r r

0

) · (A × B) < 0 の場合は逆側にある.) また,平面までの距離は | (r r

0

) · n | となる.ただし

n = A × B

| A × B | (8.2)

A × B と同じ向きの単位ベクトルで 単位法線ベクトル と呼ばれる.

平面

n r r r − r r

0

(r r

0

) · n > 0

平面

n r

r r − r r

0

(r r

0

) · n = 0

平面

n r

r r − r r

0

(r r

0

) · n < 0

D = r

0

· (

A × B )

と書くと平面の方程式は r · (

A × B )

= D (D は定数) (8.3)

となる.A × B = (a , b , c),r = (x , y , z) としてこの方程式を成分で書くと以下のように なる:

ax + by + cz = D . (8.4)

(10)

物数 I.9 内積 A · B のイメージ AB の協力度みたいなもの

2 つのベクトルの向きが近いほど正で大きい. cos 0 = 1

2 つのベクトルの向きが反対だと負. cos π = 1

2 つのベクトルの向きが直交してると零. cos

π2

= 0. A · B = 0.

B · u = B · A

| A | は, BA 向き成分.

x y

i

A

A i u

A u

( A i ) ( A u ) u

. .

. .

L

i

i, u は単位ベクトル.

A · i: ベクトル Ax 成分 (i 向きの成分) (A · i) i: ベクトル Ax 軸への 射影 .

A · u: ベクトル A の (有向) 直線 L 成分 (u 向きの成分) (A · u) u: ベクトル A の直線 L への 射影 .

(参考) 仕事

(スカラー)

は, 力

(ベクトル)

と変位

(ベクトル)

の内積.

外積 A × B のイメージ AB のはった網みたいなもの

2 本の棒 A, B を使って網を張るような感じ.

網に直交する向きが C = A × B の向き. (表裏あり)

網の面積, つまり 平行 4 辺形の面積 が | C | = | A × B | . 2 本の棒が違う方向を向いて

るほうがたくさん魚がとれる.

(11)

スカラー 3 重積

¨§

香中

p.7¥¦

¨

§

¥

和達

p27¦

B × C はベクトル. ということは, A · (B × C) はスカラーになる. これをスカラー 3 重積と いう.

下の図から, 絶対値 | A · (B × C) | は, A,B,C を 3 辺とする 平行 6 面体の体積 .

体 積 だ か ら, A, B, C を 循 環 的 に 変 え て も 等 し い.

A · (B × C) = B · (C × A) = C · (A × B) = C · (B × A) . (10.1) (例)

ベクトル A = (0 , 0 , 1), B = (1 , 1 , 1), C = (1 , 1 , 1) とする.

1. B, C を 2 辺とする平行 4 辺形の面積を求めよう.

2. A, B, C を 3 辺とする平行 6 面体の体積を求めよう.

(答)

1. B × C = (2 , 0 , 2) なので,平行 4 辺形の面積は | B × C | = √

2

2

+ ( 2)

2

= 2 2 と なる。

2. スカラー 3 重積 A · (B × C) = 2 より平行 6 面体の体積は | A · (B × C) | = 2 となる。

(参考) スカラー

3

重積は

3

3

列の行列の行列式と関係する:



Ax

Ay

Az



·









Bx

By

Bz



×



Cx

Cy

Cz









=

¯¯¯¯

¯¯¯¯

Ax Bx Cx

Ay By Cy

Az Bz Cz

¯¯¯¯

¯¯¯¯ . (10.2)

(12)

物数 I.11

2 力のつりあい

力はベクトル

¨§

高木

p.26¥¦

¨

§

¥

香中

p.3¦

力 は向きと大きさを持ち, ベクトルで表される. 大き さの単位はニュートン [N]=[kg · m/s

2

].

物体に, 2 つの力 F

1

F

2

が同時にはたらいているのは, 1 つの力 ( 合力 ) F = F

1

+ F

2

がはたらいているのと 同じこと.

物体にはたらくすべての力の合力が

F = F

1

+ F

2

+ · · · F

n

= 0 (11.1)

のとき, 力はつりあっている ,

あるいは つりあいの状態にある という. このとき, 止 まっていた物体は止まったまま.

F

F F=F +F

1

2 1 2

F F F

F F

n

1 3 2

4

2 つの力のつりあい 綱引き 右図の場合,

F

1

+ F

2

= 0 (11.2)

のときつりあっている.

f f

F F

1

1 2

2

x 力の大きさを

f

1

= | F

1

| (> 0), f

2

= | F

2

| (> 0), (11.3) とすると,

F

1

=

( f

1

, 0 , 0 )

, F

2

= (

f

2

, 0 , 0 )

(11.4) なので,つりあいの条件 (11.2) は

f

1

f

2

= 0 つまり f

1

= f

2

, (11.5)

すなわち,力の大きさが等しいことを意味する.

【注】力 F

1

, F

2

はベクトル, 力の大きさ f

1

, f

2

はスカラー.

(13)

(例)

マルチ綱引きの 4 チームが, F

1

, F

2

, F

3

, F

4

の力で引いたところ, つりあいの状態になって綱は 動かなかった.

F

1

=

 

  1 3 0

 

  , F

2

=

 

 

2 2 0

 

  , F

3

=

 

  1

4 0

 

  (12.1)

のとき, F

4

を求めよう. いちばん力の大きいチームはどれ?

(答)

F

4

= (F

1

+ F

2

+ F

3

) =

 

  0

1 0

 

  (12.2)

となる. したがって

| F

1

| =

10 , | F

2

| =

8 , | F

3

| =

17 , | F

4

| = 1 . (12.3) より力が最も大きいのは F

3

.

(例)

右図に示すように,質量 M [kg] のおもりと質量 m

1

m

2

[kg] の おもりが滑車を通してひもでつながれ, つりあっている. cos(θ) と cos(φ) を m

1

, m

2

, M で表しなさい.

ただし質量 m [kg] の物体には, 重力 という大きさ mg[N]

の力 が 鉛直下向き にはたらく.

¨§

高木

p.36¥¦

g = 9.8 · · · m/s

2

(12.4) は 重力加速度 (の大きさ) とよばれる.

つまり質量 m [kg] の物体には働く重力の大きさは 9.8m [kg · m/s

2

]=9.8m [N] となる.

m

1

m

2

M

θ φ

(14)

物数 I.13

.

sin2(θ) + cos2(θ) = 1

(答)

右図のように座標系をとる. (z 軸は紙面に垂直に上向き. ) それぞれの糸の向きに働く力を F

1

,F

2

および F

3

とす ると

F

1

= m

1

g

( sin(θ) , cos(θ) , 0 )

(13.1) F

2

= m

2

g

(

sin(φ) , cos(φ) , 0 )

(13.2) F

3

= M g

(

0 , 1 , 0 )

(13.3) となる.

θ φ

x y

F r

1

F r

2

F r

3

力のつりあいの条件 F

1

+ F

2

+ F

3

= 0 より

m

1

sin(θ) + m

2

sin(φ) = 0 (13.4)

m

1

cos(θ) + m

2

cos(φ) M = 0 (13.5)

が得られる.

cos(θ) と cos(φ) を求めるので,式 (13.4) を 2 乗した式

m

21

(1 cos

2

(θ)) = m

22

(1 cos

2

(φ)) (13.6) と式 (13.5) を考える.式 (13.5) より得られる

m

1

cos(θ) = M m

2

cos(φ) (13.7)

を式 (13.6) に代入して m

21

(

M

2

2M m

2

cos(φ) + m

22

cos

2

(φ) )

= m

22

m

22

cos

2

(φ) (13.8) より

cos(φ) = M

2

+ m

22

m

21

2M m

2

(13.9)

が得られる.これを式 (13.7) に代入して

cos(θ) = M

2

+ m

21

m

22

2M m

1

(13.10)

が得られる.

例えば,m

1

= 1

2 M , m

2

= M の場合,

cos(θ) = 1

4 , cos(φ) = 7

8 (13.11)

が得られる.(θ = 76° , φ = 29°となる.)

(15)

直線上に束縛された物体にはたらく力のつりあい

¨§

高木

p.17¥¦

線路上しか動けない列車に綱をつけて綱引き

F

1

を線路に 平行 なベクトル F

1k

と 垂直 なベクトル F

1

に分解して考える:

F

1

= F

1k

+ F

1

. (14.1)

列車の動きに関係あるのは線路に 平行なベクトル F

1k

だ け. 列車が動かないためには,

F

1k

+ F

2k

= 0 つまり F

1k

= F

2k

(14.2) であればいい. 両辺の絶対値をとると,

| F

1

| cos(θ) = | F

2

| cos(π φ). (14.3) この条件は内積を使うともっと簡単に書ける!

u F

F

1

2 θ φ π−φ

A

線路に平行な (単位ベクトルと限らない) ベクトルを A とする. 力 F

1

の, ベクトル A の向き の成分は,

F

1

· u = | F

1

| cos(θ) (14.4)

となる.ただし,

u = 1

| A | A (14.5)

A と同じ向きの単位ベクトル. 同様に,合力 F のベクトル A の向きの成分は, F · u なの で,直線上しか動けない物体にはたらく力のつりあいの条件は

F · u = (F

1

+ F

2

+ · · · F

n

) · u = 0 (14.6)

となる.つまり, 合力 F の, (直線に平行な) ベクトル A の向きの成分が 0 になること. 成分 F · u は, 合力が A の向きにどれだけはたらくかを表す量.

【注】

F

1k

= (F

1

· u) u (14.7)

(16)

物数 I.15

.

cos(π−φ) =−cos(φ)

上の力 2 個の場合に, この条件 (14.6) は, | u | = 1 より,

0 = (F

1

+ F

2

) · u =F

1

· u + F

2

· u = | F

1

|| u | cos θ + | F

2

|| u | cos φ

= | F

1

| cos θ − | F

2

| cos(π φ).

(15.1)

となり,たしかに条件 (14.3) と同じになっている.

(例)

まっすぐな線路が, ベクトル A = (1 , 2 , 0) に平行に走っている.

1. 線路に平行な単位ベクトル u を求めよう.

2. 列車に力 F

1

= (2 , 0 , 0) , F

2

= ( 1 , 1 , 0) が加わっている. 線路に平行な力 F

3

を加 えて列車を動かないようにするには, F

3

はどのようなベクトルであればいいか考えよう.

3. 力の大きさ | F

3

| を求めよう.

(答 1) | A | = √

1 + ( 2)

2

= 5 より

u = 1

5 (

1 , 2 , 0 )

(15.2) (u の 1 倍も可)

(答 2,3) F

1

+ F

2

= (

1 , 1 , 0 )

より (F

1

+ F

2

) · u = 1

5 となる.

従って,F

3

= F u とおくと, 線路に平行な力の成分のつりあいの式 0 = (F

1

+ F

2

+ F

3

) · u = (F

1

+ F

2

) · u + F u · u = 1

5 + F (15.3)

より F =

5

5 となる.つまり, 力の大きさは

5

5 であり

F

3

= 1 5 (

1 , 2 , 0 )

(15.4) となる.

ポイント 1: A の向きの単位ベクトルは u = 1

| A | A.

ポイント 2: f u の大きさは | f | .

(17)

平面上に束縛された物体にはたらく力のつりあい

同様に,平面上に束縛された物体に平面外から合力 F がはたらく場合,物体が静止するのは,

平面内の全てのベクトル A について F · A = 0 が成り立つとき.

いま, 平面内の独立な 2 つのベクトルを a,b とすると ,平面内の全てのベクトルは A = αa + βb と表されるので,平面上しか動けない物体にはたらく力のつりあいの条件は

F · a = 0 , F · b = 0 (16.1)

となる.この条件は,F が平面に直交するベクトル a × b と同じ向き,あるいは逆向きである ことを意味するので,F と a × b の外積がゼロベクトルになるという条件にも表せる (外積の 式 (6.1) で θ = 0 あるいは θ = π の場合):

F × ( a × b

)

= 0 . (16.2)

(参考) 式

(16.2)

は左辺のベクトルの

3

つの成分が全て

0

という条件を表すので,式

(16.1)

が表す

2

つの条件

より条件の数が多いように見えるが,実は

(16.2)

で独立な条件は

2

つだけになる.

A= (

Ax, Ay, Az )

, B= (

Bx, By, Bz )

(16.3)

とすると,外積がゼロベクトルになるといる条件

A×B= (

AyBz−AzBy, AzBx−AxBz, AxBy−AyBx )

= (0,0,0) (16.4)

は,成分で表すと

AyBz = AzBy (16.5)

AzBx = AxBz (16.6)

AxBy = AyBx (16.7)

となるが

AxBy (16.5)

= Ax

AyBz

Az

=AxBz

Ay

Az (16.6)

= =AzBx

Ay

Az

=BxAy (16.8)

なので,(16.5) と

(16.6)

から

(16.7)

が出てくる.

(18)

物数 I.17

3 回転に対する力のつりあい

力のモーメント

¨§

高木

p.124¥¦

やじろべえ

¨§

香中

p.5,7¥¦

右の図のような原点で支えられたやじろべえが回転しな

い (つりあいの状態にある) 条件は,

| F

1

| : | F

2

| = | r

2

| : | r

1

| . (17.1)

じゃあ, 斜めに引っ張る場合は? x

y z

F

F r

1

r

1 2

2

2

1

N N

F

1

を, r

1

に 平行, 垂直 に分解して得られるベクトルを F

1k

, F

1

とする.

垂直な ベクトル F

1⊥

, F

2⊥

がやじろべえの動きに効く.

回転についてのつりあいの条件は

| F

1

| : | F

2

| = | r

2

| : | r

1

| . (17.2)

つまり | F

1

| sin θ : | F

2

| sin φ = | r

2

| : | r

1

| . (17.3)

y

x z

θ

φ F r

1

F r

2

r r

1

r r

2

F

1P

r

F r

1

F

2P

r

F

2

r

実は, これはベクトルの外積を使うと便利に書ける.

¨§

香中

p.7¥¦

n 個の力 F

1

, F

2

, · · · , F

n

が位置 r

1

, r

2

, · · · , r

n

にはたらいているとき,

N

1

= r

1

× F

1

, N

2

= r

2

× F

2

, · · · , N

n

= r

n

× F

n

(17.4) とおく. これらを, (原点のまわりの) 力のモーメント という.

単位はニュートンメートル [N · m].

原点のまわりの回転についてのつりあいの条件は, 原点のまわりの力のモーメントの和がゼ ロになること:

N = N

1

+ N

2

+ · · · N

n

= 0 (17.5)

【注】このとき,原点 (回転の中心) からやじろべえには (F

1

+ F

2

+ · · · + F

n

) の力がはたら

いているので,やじろべえにはたらく合力は 0 となっている.

(19)

上の n = 2 個の力の場合には,

N = r

1

× F

1

+ r

2

× F

2

= 0.

ここで, 外積の定義を使う.

0 = | r

1

|| F

1

| (sin θ)( i) + | r

2

|| F

2

| (sin φ)(+i)

=( −| r

1

|| F

1

| sin θ + | r

2

|| F

2

| sin φ)i . よって, (17.3) と同じ式

| F

1

| sin θ : | F

2

| sin φ = | r

2

| : | r

1

| . (18.1) が得られた.

やじろべえの回転する向き N =r

1

× F

1

+ r

2

× F

2

=

 

  0 2 0

 

  ×

 

  0 0

1

 

  +

 

  0

1 0

 

  ×

 

  0 0

3

 

 

=

 

  1 0 0

 

  6 = 0

(18.2)

で, つりあっていないので回転する. でも, どっちに?

x

y z

F

F

r r

1 2

2

1

回転の向き

・ 回転軸は N に平行.

・ 回転の向き (図で, 時計回りまたは反時計回り) は, N 向きに進む 右ねじ の回る向き.

3 次元やじろべえと外積

x

y z

F F

r

1 2

3

r

1

r

3

F

2

立体的なやじろべえのときも同じ.

N = 0 ならつりあってる. (回転しない.) N 6 = 0 なら,

・ 回転軸は N に平行.

・ 回転の向き (図で, 時計回りまたは反時計回り) は, N

向きに進む右ねじの回る向き. · · · 右ねじの向き

(20)

物数 I.19 (例)

原点を中心に回転するやじろべえを考える。

r

1

= (0 , 2 , 1) の点に力 F

1

= (0 , 2 , 1) を,

r

2

= (0 , 1 , 0) の点に力 F

2

= (0 , 1 , 2) を加える。

右の図 (ベクトルは正確ではありません) のように x 軸の

正の向きから見たとき, やじろべえは時計回り, 反時計回 りどちらに回るか考えよう。

y x

z

F

F

r r

1 2

2

1 θ

φ

(答)

N

1

= r

1

× F

1

= ( 4 , 0 , 0) , N

2

= r

2

× F

2

= (2 , 0 , 0) (19.1) より,N

1

+ N

2

= ( 2 , 0 , 0) は x 軸の負の向きとなる。従ってやじろべえは時計回りに回る。

(例)

図 1 に示すように,長さ L の棒の一端 O を自由に回転できるように固定する.棒の中点 A に は質量 m のおもりをつるす。(このおもりで,棒の質量を代表する.)

棒の他端 B に結ばれたひもを点 C にある滑車を通して大きさ f (> 0) の力 F で引っ張ると,

棒が水平面から θ 傾いてつりあった.ただし,点 C は点 O から水平方向に L 離れた,高さ 2L の位置にある.

図 2 に示すように点 O を座標系の原点として z 軸を鉛直上向きにとる.また,棒と滑車が y-z 平面内にあるように y 軸を水平方向にとる.x 軸は点 O から紙の表側に向かっている.このと き次の問に答えなさい.ただし,棒とひもの質量は無視できるとし,重力加速度の大きさを g とする.

ᵟ ᵠ

L

2 L

m

L

F

r

図 1

ᵟ ᵠ

F2

F 1

y z

x

図 2

参照

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