プリント中の
¨
§
¥
高木
p.1¦= ⇒ “高木隆司, 「力学 (I)」(裳華房)”の p.1
¨
§
¥
香中
p.1¦= ⇒ “香取真理,中野徹, 「物理数学の基礎」(サイエンス社)”の p.1 を参照。
¨
§
¥
和達
p.1¦= ⇒ “和達三樹, 「物理のための数学」(岩波)”の p.1 を参照。
を参照しています。
物数 I.1
1 3 次元のベクトルとその演算
1.1 ベクトルとスカラー
¨§高木
p.4¥¦¨
§
¥
香中
p.2¦始点 を O, 終点 を P とする矢印を, ベクトル −→
OP という. A = −→
OP などとかく.
この矢印のように, 大きさと方向の両方のある量を ベクトル という.
大きさだけのある量を, ベクトルに対して スカラー という.
大きさと向きが両方等しければ, (始点 が違っても) ベクトルは等しい. つまり, 平行移動 して重なるようなベクトル は等しい.
A = −→
OP = −→
QR.
ベクトルの例: 風 (風向きと風力). スカラーの例: 気圧.
記号の使い方
• ベクトルは r や A のような傾いた太い字で (また は ~ r や A ~ のように矢印をつけて) 表わす.
• スカラーは r のような傾いた細い字で表わす.
• 点の名前や単位は O,P,Q,R, m, kg のように立った 細い字で表す.
戸田盛和, 「力学」(物理入門コース
1) (岩波, 1982)1.2 ベクトルの演算
¨§香中
p.3¥¦¨§和達
p.21¥¦ベクトルの和
一般に, ベクトル C = A + B とは, A と B を 2 辺とす
る平行四辺形の対角線のベクトル.
ベクトルとスカラーの積 ベクトルのスカラー倍ともいう.
ベクトル A と スカラー c の積 B = c A は, ベクトルであり,
• 大きさは A の | c | 倍.
• 向きは, c > 0 なら同じ向き c < 0 なら逆向き.
c = 0 なら, あとで出てくるゼロベクトルになる.
A
B A+B
- A A 2A
0
ベクトルの差
ベクトル A とベクトル B の差 C = A − B とは, ベクトルであり,
C = A − B = A + (( − 1) B) (2.1)
ゼロベクトル
A − A や, 0 A は, ゼロベクトル 0 である.
ゼロベクトルは, 大きさは 0 で, 向きはない.
0 A = 0 B = A − A = B − B = 0. (2.2)
ベクトル, スカラーについては, 普通の数であるかのように展開して計算してよい.
例: 2(3A − B) = − 2B + 6A.
1.3 ベクトルの座標表示
¨§高木
p.5¥¦¨§香中
p.9¥¦ベクトルを, やっぱり, 絵じゃなく数字で表わしたい!
図のように, 原点 O で垂直に交わる x-軸, y-軸を平面に描く. x-軸, y-軸には向きがあり, x-座
標, y-座標がある. x-軸, y-軸に垂線を下ろして x-座標, y-座標をよみとる.
この
A =
2 3
=
A
xA
y
x-成分 y-成分
(2.3)
を ベクトルの座標表示 または 成分表示 という. 2 を x 成分 , 3 を y 成分 という.
横に A = (2, 3) のように書くこともある.
x y
O
A = ( ) 2 3
+2
-2
-2 +2
P
物数 I.3 成分で書いた ベクトルの和とスカラー倍
ベクトル
A =
A
xA
y
, B =
B
xB
y
(3.1)
とスカラー c に対して,
A + B =
A
x+ B
xA
y+ B
y
c A =
c A
xc A
y
(3.2)
である. まとめると
x y
O A
B
A+B
-A
α
A
xA
y
+ β
B
xB
y
=
αA
x+ βB
xαA
y+ βB
y
(3.3)
1.4 3 次元の座標系
¨§和達
p.22¥¦¨
§
¥
香中
p.13¦互いに直交する x,y,z の 3 つの座標軸を使う.
3 次元のベクトル A の始点を原点に置いたとき, 終点の 座標を A の x, y, z 成分といい, A
x, A
y, A
zと書く.
A =
A
xA
yA
z
x-成分 y-成分 z-成分
(3.4)
ふつうは, 右手を開いたときの親指方向を x, 人指し指方向を y, 中指方向を z 軸の正の方向に とる. ( 右手座標系 (右手系) と呼ぶ.通常こちらを使う.)
左手を使うと,
z軸の向きが逆になる. (左手系と呼ぶ.特に理由がなければ使わない.)
点 P の座標を (x
1, y
1, z
1),点 Q の座標を (x
2, y
2, z
2) と すると,点 P を始点とし,点 Q を終点とするベクトル −→
PQ の成分表示は以下となる:
−→ PQ = (
x
2− x
1, y
2− y
1, z
2− z
1)
(3.5)
1.5 基本ベクトル
¨§香中
p.14¥¦単位ベクトル : 大きさが 1 のベクトル.
x,y,z 軸の正の向きの単位ベクトルを 基本ベクトル と
いい,
i =
1 0 0
, j =
0 1 0
, k =
0 0 1
(4.1)
と書く. これらを用いると,
A =
A
xA
yA
z
= A
xi + A
yj + A
zk. (4.2)
x, y, z 軸を右親人中指にとるとき, ベクトルの 3 個組
h i, j , k i は 右手系 だという. ( h i, j , − k i は左手系にな る.)
1.6 内積 ( スカラー積 )
¨§高木
p.6¥¦¨
§
¥
香中
p.4¦ベクトル A の大きさ (長さ, 絶対値) を | A | と書く (絶対 値と同じ記号). | A | はスカラー (実数).
2 つの 3 次元ベクトル A, B に対して, 次の式で計算され るスカラー A · B のことを 内積 という.
A · B = | A | | B | cos(θ) , 0 5 θ 5 π . (4.3)
ベクトル A, B, C, スカラー c に対して, 普通の数であるかのように, (2A + B) · A = 2A · A + A · B のように展開したりしてよい.
基本ベクトル i, j, k は互いに直交していて大きさ 1 なので,
i · i = j · j = k · k = 1. (4.4)
i · j = j · k = k · i = j · i = k · j = i · k = 0. (4.5)
物数 I.5 内積 A · B の成分表示
¨§香中
p.16¥¦A · B =(A
xi + A
yj + A
zk) · (B
xi + B
yj + B
zk)
=(A
xB
xi · i + A
xB
yi · j + A
xB
zi · k) +(A
yB
xj · i + A
yB
yj · j + A
yB
zj · k) +(A
zB
xk · i + A
zB
yk · j + A
zB
zk · k)
= A
xB
x+ A
yB
y+ A
zB
z(5.1)
(参考) 仕事
(スカラー)は, 力
(ベクトル)と変位
(ベクトル)の内積.
ベクトルの大きさ (内積の使い道 1)
三平方の定理を 2 回使うと, ベクトル A の大きさ | A | について
| A |
2= (√
A
2x+ A
2y)
2+ A
2z= A
2x+ A
2y+ A
2z= A · A (5.2) という関係式が成り立つ.つまり
| A | =
√
A
2x+ A
2y+ A
2z= √
A · A . (5.3)
内積の使い道 2: ベクトル A と B のなす角度 内積の定義の式 (4.3) を逆に使うと,
cos(θ) = A · B
√ A · A √
B · B = A
xB
x+ A
yB
y+ A
zB
z√ A
2x+ A
2y+ A
2z√
B
x2+ B
y2+ B
z2(5.4)
で, ベクトル A と B のなす角度 θ が計算できる.
(例) A = (
110
) , B =
(
011
)
とする. A · B, | A | , および A,B のなす角 θ は?
(答)
A · B = 1 × 0 + 1 + 0 × 1 = 1.
| A | = √
A · A = √
1
2+ 1
2+ 0
2= √
2, | B | = √ 2 cos(θ) =
√12√ 2
=
12,
(
0 5 θ 5 πなので θ = π/3.
)
1.7 外積 (ベクトル積)
¨§高木
p.126¥¦¨
§
¥
香中
p.6¦2 つの 3 次元ベクトル A, B に対して, 次の式で表わされるベクトル C = A × B のことを 外積 という.
この記号 ‘ × ’ は新しい記号.
(実数のふつうの ‘かける’ とたまたま同じ文字だが意味は異なる).
C = A × B = | A | | B | sin θ C ˆ (6.1)
ただし, ˆ C は, A と B の両方に垂直な単位ベクトルで, h A, B, C ˆ i が右手系をなすようなもの.
別の言い方:
C ⊥ A, C ⊥ B で, C の向きは, A から B に回る右ねじが進む向き.
大きさは | C | = | A || B | sin θ = A,B のはる平行四辺形の面積.
外積 (ベクトル積) と内積 (スカラー積) を混同しないよう注意
A × B : ベクトル , A · B : スカラー (6.2)
A × A = 0 , A · A = | A |
2(6.3)
A × B = − B × A , A · B = B · A (6.4)
( ) をはずすときはふつうの数であるかのように展開してよい.
計算例 (2A + 3B) × A = 2 A × A + 3 B × A = 0 − 3 A × B (6.5)
基本ベクトルの間の外積
i × i = 0, j × j = 0, k × k = 0. (6.6) i × j = +k, j × k = +i, k × i = +j , (6.7) j × i = − k, k × j = − i, i × k = − j. (6.8)
i, j , k が 循環的 (cyclic) に入れ替わってることに注意. i → j → k → i.
物数 I.7 外積 A × B の成分表示
¨§高木
p.127¥¦¨
§
¥
香中
p.16¦¨
§
¥
和達
p.26¦A × B
=(A
xi + A
yj + A
zk) × (B
xi + B
yj + B
zk)
=(A
xB
xi × i + A
xB
yi × j + A
xB
zi × k) + (A
yB
xj × i + A
yB
yj × j + A
yB
zj × k) + (A
zB
xk × i + A
zB
yk × j + A
zB
zk × k)
= (A
yB
z− A
zB
y)i + (A
zB
x− A
xB
z)j + (A
xB
y− A
yB
x)k.
(7.1)
x, y, z が循環的に入れ替わってることに注意. x → y → z → x.
覚え方
A
xA
yA
z
×
B
xB
yB
z
= =
¯¯ ¯¯
¯¯
A
yA
zB
yB
z¯¯ ¯¯
¯¯
¯¯ ¯¯
¯¯ A
zA
xB
zB
x¯¯ ¯¯
¯¯
¯¯ ¯¯
¯¯
A
xA
yB
xB
y¯¯ ¯¯
¯¯
=
A
yB
z− A
zB
yA
zB
x− A
xB
zA
xB
y− A
yB
x
【注】 上の式が使えるのは右手系の座標系を用いた場合.
(例)
A =
2 3 0
, B =
− 1
− 4 +5
に対して, 外積 B × A を計算しよう.
(答)
B × A =
− 1
− 4 +5
×
2 3 0
, =
− 4 · 0 − 5 · 3 5 · 2 − ( − 1) · 0
− 1 · 3 − ( − 4) · 2
. =
− 15 +10 +5
.
(参考) 角運動量
L = r×pや力のモーメント
N = r×F (¨
§
¥
高木
p.127,128¦),フレミングの左手の法則 F =I×B,やローレンツ力
F =q(E+v×B)は, 外積で簡単に書ける.
1.8 内積や外積についての補足
・ 平面の方程式
A と B をある平面に含まれるベクトルとする と,A × B はこの平面と直交するベクトル, つ まり 法線ベクトル となる.
A r
O B
r
r r
0A B × r r
r
0を平面上のある一つの点を表す位置ベクトル,r を平面上の任意の点を表す位置ベクトルと すると r − r
0は平面内に含まれるベクトルなので A × B と直交する;
(r − r
0) · (
A × B )
= 0 (8.1)
(r − r
0) · (A × B) > 0 の場合,r で表される点は平面で区切られた空間の 2 つの領域のうち,
平面に対して A × B の側の領域にある.((r − r
0) · (A × B) < 0 の場合は逆側にある.) また,平面までの距離は | (r − r
0) · n | となる.ただし
n = A × B
| A × B | (8.2)
は A × B と同じ向きの単位ベクトルで 単位法線ベクトル と呼ばれる.
平面
n r r r − r r
0(r − r
0) · n > 0
平面
n r
r r − r r
0(r − r
0) · n = 0
平面
n r
r r − r r
0(r − r
0) · n < 0
D = r
0· (
A × B )
と書くと平面の方程式は r · (
A × B )
= D (D は定数) (8.3)
となる.A × B = (a , b , c),r = (x , y , z) としてこの方程式を成分で書くと以下のように なる:
ax + by + cz = D . (8.4)
物数 I.9 内積 A · B のイメージ A と B の協力度みたいなもの
• 2 つのベクトルの向きが近いほど正で大きい. cos 0 = 1
• 2 つのベクトルの向きが反対だと負. cos π = − 1
• 2 つのベクトルの向きが直交してると零. cos
π2= 0. A · B = 0.
• B · u = B · A
| A | は, B の A 向き成分.
x y
i
A
A i u
A u
( A i ) ( A u ) u
. .
. .
L
i
i, u は単位ベクトル.
A · i: ベクトル A の x 成分 (i 向きの成分) (A · i) i: ベクトル A の x 軸への 射影 .
A · u: ベクトル A の (有向) 直線 L 成分 (u 向きの成分) (A · u) u: ベクトル A の直線 L への 射影 .
(参考) 仕事
(スカラー)は, 力
(ベクトル)と変位
(ベクトル)の内積.
外積 A × B のイメージ A と B のはった網みたいなもの
• 2 本の棒 A, B を使って網を張るような感じ.
• 網に直交する向きが C = A × B の向き. (表裏あり)
• 網の面積, つまり 平行 4 辺形の面積 が | C | = | A × B | . 2 本の棒が違う方向を向いて
るほうがたくさん魚がとれる.
スカラー 3 重積
¨§香中
p.7¥¦¨
§
¥
和達
p27¦B × C はベクトル. ということは, A · (B × C) はスカラーになる. これをスカラー 3 重積と いう.
下の図から, 絶対値 | A · (B × C) | は, A,B,C を 3 辺とする 平行 6 面体の体積 .
体 積 だ か ら, A, B, C を 循 環 的 に 変 え て も 等 し い.
A · (B × C) = B · (C × A) = C · (A × B) = − C · (B × A) . (10.1) (例)
ベクトル A = (0 , 0 , 1), B = (1 , 1 , 1), C = (1 , − 1 , 1) とする.
1. B, C を 2 辺とする平行 4 辺形の面積を求めよう.
2. A, B, C を 3 辺とする平行 6 面体の体積を求めよう.
(答)
1. B × C = (2 , 0 , − 2) なので,平行 4 辺形の面積は | B × C | = √
2
2+ ( − 2)
2= 2 √ 2 と なる。
2. スカラー 3 重積 A · (B × C) = − 2 より平行 6 面体の体積は | A · (B × C) | = 2 となる。
(参考) スカラー
3重積は
3行
3列の行列の行列式と関係する:
Ax
Ay
Az
·
Bx
By
Bz
×
Cx
Cy
Cz
=
¯¯¯¯
¯¯¯¯
Ax Bx Cx
Ay By Cy
Az Bz Cz
¯¯¯¯
¯¯¯¯ . (10.2)
物数 I.11
2 力のつりあい
力はベクトル
¨§高木
p.26¥¦¨
§
¥
香中
p.3¦力 は向きと大きさを持ち, ベクトルで表される. 大き さの単位はニュートン [N]=[kg · m/s
2].
物体に, 2 つの力 F
1と F
2が同時にはたらいているのは, 1 つの力 ( 合力 ) F = F
1+ F
2がはたらいているのと 同じこと.
物体にはたらくすべての力の合力が
F = F
1+ F
2+ · · · F
n= 0 (11.1)
のとき, 力はつりあっている ,
あるいは つりあいの状態にある という. このとき, 止 まっていた物体は止まったまま.
F
F F=F +F
1
2 1 2
F F F
F F
n
1 3 2
4
2 つの力のつりあい 綱引き 右図の場合,
F
1+ F
2= 0 (11.2)
のときつりあっている.
f f
F F
1
1 2
2
x 力の大きさを
f
1= | F
1| (> 0), f
2= | F
2| (> 0), (11.3) とすると,
F
1=
( − f
1, 0 , 0 )
, F
2= (
f
2, 0 , 0 )
(11.4) なので,つりあいの条件 (11.2) は
f
1− f
2= 0 つまり f
1= f
2, (11.5)
すなわち,力の大きさが等しいことを意味する.
【注】力 F
1, F
2はベクトル, 力の大きさ f
1, f
2はスカラー.
(例)
マルチ綱引きの 4 チームが, F
1, F
2, F
3, F
4の力で引いたところ, つりあいの状態になって綱は 動かなかった.
F
1=
1 3 0
, F
2=
− 2 2 0
, F
3=
1
− 4 0
(12.1)
のとき, F
4を求めよう. いちばん力の大きいチームはどれ?
(答)
F
4= − (F
1+ F
2+ F
3) =
0
− 1 0
(12.2)
となる. したがって
| F
1| = √
10 , | F
2| = √
8 , | F
3| = √
17 , | F
4| = 1 . (12.3) より力が最も大きいのは F
3.
(例)
右図に示すように,質量 M [kg] のおもりと質量 m
1, m
2[kg] の おもりが滑車を通してひもでつながれ, つりあっている. cos(θ) と cos(φ) を m
1, m
2, M で表しなさい.
ただし質量 m [kg] の物体には, 重力 という大きさ mg[N]
の力 が 鉛直下向き にはたらく.
¨§高木
p.36¥¦g = 9.8 · · · m/s
2(12.4) は 重力加速度 (の大きさ) とよばれる.
つまり質量 m [kg] の物体には働く重力の大きさは 9.8m [kg · m/s
2]=9.8m [N] となる.
m
1m
2M
θ φ
物数 I.13
.
sin2(θ) + cos2(θ) = 1
(答)
右図のように座標系をとる. (z 軸は紙面に垂直に上向き. ) それぞれの糸の向きに働く力を F
1,F
2および F
3とす ると
F
1= m
1g
( − sin(θ) , cos(θ) , 0 )
(13.1) F
2= m
2g
(
sin(φ) , cos(φ) , 0 )
(13.2) F
3= M g
(
0 , − 1 , 0 )
(13.3) となる.
θ φ
x y
F r
1F r
2F r
3力のつりあいの条件 F
1+ F
2+ F
3= 0 より
− m
1sin(θ) + m
2sin(φ) = 0 (13.4)
m
1cos(θ) + m
2cos(φ) − M = 0 (13.5)
が得られる.
cos(θ) と cos(φ) を求めるので,式 (13.4) を 2 乗した式
m
21(1 − cos
2(θ)) = m
22(1 − cos
2(φ)) (13.6) と式 (13.5) を考える.式 (13.5) より得られる
m
1cos(θ) = M − m
2cos(φ) (13.7)
を式 (13.6) に代入して m
21− (
M
2− 2M m
2cos(φ) + m
22cos
2(φ) )
= m
22− m
22cos
2(φ) (13.8) より
cos(φ) = M
2+ m
22− m
212M m
2(13.9)
が得られる.これを式 (13.7) に代入して
cos(θ) = M
2+ m
21− m
222M m
1(13.10)
が得られる.
例えば,m
1= 1
2 M , m
2= M の場合,
cos(θ) = 1
4 , cos(φ) = 7
8 (13.11)
が得られる.(θ ∼ = 76° , φ ∼ = 29°となる.)
直線上に束縛された物体にはたらく力のつりあい
¨§高木
p.17¥¦線路上しか動けない列車に綱をつけて綱引き
F
1を線路に 平行 なベクトル F
1kと 垂直 なベクトル F
1⊥に分解して考える:
F
1= F
1k+ F
1⊥. (14.1)
列車の動きに関係あるのは線路に 平行なベクトル F
1kだ け. 列車が動かないためには,
F
1k+ F
2k= 0 つまり F
1k= − F
2k(14.2) であればいい. 両辺の絶対値をとると,
| F
1| cos(θ) = | F
2| cos(π − φ). (14.3) この条件は内積を使うともっと簡単に書ける!
u F
F
1
2 θ φ π−φ
A
線路に平行な (単位ベクトルと限らない) ベクトルを A とする. 力 F
1の, ベクトル A の向き の成分は,
F
1· u = | F
1| cos(θ) (14.4)
となる.ただし,
u = 1
| A | A (14.5)
は A と同じ向きの単位ベクトル. 同様に,合力 F のベクトル A の向きの成分は, F · u なの で,直線上しか動けない物体にはたらく力のつりあいの条件は
F · u = (F
1+ F
2+ · · · F
n) · u = 0 (14.6)
となる.つまり, 合力 F の, (直線に平行な) ベクトル A の向きの成分が 0 になること. 成分 F · u は, 合力が A の向きにどれだけはたらくかを表す量.
【注】
F
1k= (F
1· u) u (14.7)
物数 I.15
.
cos(π−φ) =−cos(φ)
上の力 2 個の場合に, この条件 (14.6) は, | u | = 1 より,
0 = (F
1+ F
2) · u =F
1· u + F
2· u = | F
1|| u | cos θ + | F
2|| u | cos φ
= | F
1| cos θ − | F
2| cos(π − φ).
(15.1)
となり,たしかに条件 (14.3) と同じになっている.
(例)
まっすぐな線路が, ベクトル A = (1 , − 2 , 0) に平行に走っている.
1. 線路に平行な単位ベクトル u を求めよう.
2. 列車に力 F
1= (2 , 0 , 0) , F
2= ( − 1 , 1 , 0) が加わっている. 線路に平行な力 F
3を加 えて列車を動かないようにするには, F
3はどのようなベクトルであればいいか考えよう.
3. 力の大きさ | F
3| を求めよう.
(答 1) | A | = √
1 + ( − 2)
2= √ 5 より
u = 1
√ 5 (
1 , − 2 , 0 )
(15.2) (u の − 1 倍も可)
(答 2,3) F
1+ F
2= (
1 , 1 , 0 )
より (F
1+ F
2) · u = − 1
√ 5 となる.
従って,F
3= F u とおくと, 線路に平行な力の成分のつりあいの式 0 = (F
1+ F
2+ F
3) · u = (F
1+ F
2) · u + F u · u = − 1
√ 5 + F (15.3)
より F =
√ 5
5 となる.つまり, 力の大きさは
√ 5
5 であり
F
3= 1 5 (
1 , − 2 , 0 )
(15.4) となる.
ポイント 1: A の向きの単位ベクトルは u = 1
| A | A.
ポイント 2: f u の大きさは | f | .
平面上に束縛された物体にはたらく力のつりあい
同様に,平面上に束縛された物体に平面外から合力 F がはたらく場合,物体が静止するのは,
平面内の全てのベクトル A について F · A = 0 が成り立つとき.
いま, 平面内の独立な 2 つのベクトルを a,b とすると ,平面内の全てのベクトルは A = αa + βb と表されるので,平面上しか動けない物体にはたらく力のつりあいの条件は
F · a = 0 , F · b = 0 (16.1)
となる.この条件は,F が平面に直交するベクトル a × b と同じ向き,あるいは逆向きである ことを意味するので,F と a × b の外積がゼロベクトルになるという条件にも表せる (外積の 式 (6.1) で θ = 0 あるいは θ = π の場合):
F × ( a × b
)
= 0 . (16.2)
(参考) 式
(16.2)は左辺のベクトルの
3つの成分が全て
0という条件を表すので,式
(16.1)が表す
2つの条件
より条件の数が多いように見えるが,実は
(16.2)で独立な条件は
2つだけになる.
A= (
Ax, Ay, Az )
, B= (
Bx, By, Bz )
(16.3)
とすると,外積がゼロベクトルになるといる条件
A×B= (
AyBz−AzBy, AzBx−AxBz, AxBy−AyBx )
= (0,0,0) (16.4)
は,成分で表すと
AyBz = AzBy (16.5)
AzBx = AxBz (16.6)
AxBy = AyBx (16.7)
となるが
AxBy (16.5)
= Ax
AyBz
Az
=AxBz
Ay
Az (16.6)
= =AzBx
Ay
Az
=BxAy (16.8)
なので,(16.5) と
(16.6)から
(16.7)が出てくる.
物数 I.17
3 回転に対する力のつりあい
力のモーメント
¨§高木
p.124¥¦やじろべえ
¨§香中
p.5,7¥¦右の図のような原点で支えられたやじろべえが回転しな
い (つりあいの状態にある) 条件は,
| F
1| : | F
2| = | r
2| : | r
1| . (17.1)
じゃあ, 斜めに引っ張る場合は? x
y z
F
F r
1r
1 2
2
2
1
N N
F
1を, r
1に 平行, 垂直 に分解して得られるベクトルを F
1k, F
1⊥とする.
垂直な ベクトル F
1⊥, F
2⊥がやじろべえの動きに効く.
回転についてのつりあいの条件は
| F
1⊥| : | F
2⊥| = | r
2| : | r
1| . (17.2)
つまり | F
1| sin θ : | F
2| sin φ = | r
2| : | r
1| . (17.3)
y
x z
θ
φ F r
1F r
2r r
1r r
2F
1Pr
F r
1⊥F
2Pr
F
2⊥r
実は, これはベクトルの外積を使うと便利に書ける.
¨§香中
p.7¥¦n 個の力 F
1, F
2, · · · , F
nが位置 r
1, r
2, · · · , r
nにはたらいているとき,
N
1= r
1× F
1, N
2= r
2× F
2, · · · , N
n= r
n× F
n(17.4) とおく. これらを, (原点のまわりの) 力のモーメント という.
単位はニュートンメートル [N · m].
原点のまわりの回転についてのつりあいの条件は, 原点のまわりの力のモーメントの和がゼ ロになること:
N = N
1+ N
2+ · · · N
n= 0 (17.5)
【注】このとき,原点 (回転の中心) からやじろべえには − (F
1+ F
2+ · · · + F
n) の力がはたら
いているので,やじろべえにはたらく合力は 0 となっている.
上の n = 2 個の力の場合には,
N = r
1× F
1+ r
2× F
2= 0.
ここで, 外積の定義を使う.
0 = | r
1|| F
1| (sin θ)( − i) + | r
2|| F
2| (sin φ)(+i)
=( −| r
1|| F
1| sin θ + | r
2|| F
2| sin φ)i . よって, (17.3) と同じ式
| F
1| sin θ : | F
2| sin φ = | r
2| : | r
1| . (18.1) が得られた.
やじろべえの回転する向き N =r
1× F
1+ r
2× F
2=
0 2 0
×
0 0
− 1
+
0
− 1 0
×
0 0
− 3
=
1 0 0
6 = 0
(18.2)
で, つりあっていないので回転する. でも, どっちに?
x
y z
F
F
r r
1 2
2
1
回転の向き
・ 回転軸は N に平行.
・ 回転の向き (図で, 時計回りまたは反時計回り) は, N 向きに進む 右ねじ の回る向き.
3 次元やじろべえと外積
x
y z
F F
r
1 2
3
r
1r
3F
2立体的なやじろべえのときも同じ.
N = 0 ならつりあってる. (回転しない.) N 6 = 0 なら,
・ 回転軸は N に平行.
・ 回転の向き (図で, 時計回りまたは反時計回り) は, N
向きに進む右ねじの回る向き. · · · 右ねじの向き
物数 I.19 (例)
原点を中心に回転するやじろべえを考える。
r
1= (0 , 2 , 1) の点に力 F
1= (0 , 2 , − 1) を,
r
2= (0 , − 1 , 0) の点に力 F
2= (0 , − 1 , − 2) を加える。
右の図 (ベクトルは正確ではありません) のように x 軸の
正の向きから見たとき, やじろべえは時計回り, 反時計回 りどちらに回るか考えよう。
y x
z
F
F
r r
1 2
2
1 θ
φ
(答)
N
1= r
1× F
1= ( − 4 , 0 , 0) , N
2= r
2× F
2= (2 , 0 , 0) (19.1) より,N
1+ N
2= ( − 2 , 0 , 0) は x 軸の負の向きとなる。従ってやじろべえは時計回りに回る。
(例)
図 1 に示すように,長さ L の棒の一端 O を自由に回転できるように固定する.棒の中点 A に は質量 m のおもりをつるす。(このおもりで,棒の質量を代表する.)
棒の他端 B に結ばれたひもを点 C にある滑車を通して大きさ f (> 0) の力 F で引っ張ると,
棒が水平面から θ 傾いてつりあった.ただし,点 C は点 O から水平方向に L 離れた,高さ 2L の位置にある.
図 2 に示すように点 O を座標系の原点として z 軸を鉛直上向きにとる.また,棒と滑車が y-z 平面内にあるように y 軸を水平方向にとる.x 軸は点 O から紙の表側に向かっている.このと き次の問に答えなさい.ただし,棒とひもの質量は無視できるとし,重力加速度の大きさを g とする.
ᵟ ᵠ
ᵡ
ᵭ
L
2 L
m
L
F
r
図 1
ᵟ ᵠ
ᵡ
ᵭ
F2
F 1