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マクロセル電流計測の自動測定方法に関する実験的検討

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Academic year: 2022

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(1)

マクロセル電流計測の自動測定方法に関する実験的検討

(株)富士ピー・エス 正会員 ○山口

光俊・徳光 卓

(株)東京測器研究所 藤田

数正・鈴木 丘

1.目的

分割鉄筋などを用いたマクロセル腐食電流測定は無抵抗電流計を用いて行うのが通例である.しかし,インター バル測定や多点測定を可能とする無抵抗電流計は存在しないため,実験においては多大な労力と費用を要している のが現状である.本実験ではこの問題を解決するため,既存の静ひずみ計とスイッチボックスを用いてマクロセル 腐食電流を自動測定することを目的とし,計測方法および精度について検討した.

2.実験概要 2.1 試験体

マクロセル電流測定用として供試体

1

2

2

体を製作した.供試体の形状寸法を図 1に示す.供試体は早強セメ ントを用いたモルタル製(

1

2.5

モルタル)とし,

W/C

55%

とした.供試体内部には黒皮を残したままの

D13

鉄筋を

2

本並列に配置し,鉄筋相互はモルタルにより電気的に切り離された状態とした.供試体

1

は片側の鉄筋の 中央部付近を半分露出させることで,不働態皮膜が形成されず,水と空気が十分供給されるように切欠きを設けた.

モルタル打設後

1

週間の湿空養生を行い,脱枠後に水中に浸漬した.その後,供試体

1

は供試体全体を水道水中 に浸漬した状態で養生した.供試体

2

は供試体の底部

5mm

程度を塩水(

5%NaCl

水溶液)に浸漬した状態で室内暴 露した.マクロセル電流測定日の前日には,アノード側・カソード側の鉄筋に接続したリード線をつなぎ,マクロ セル電流が流れる状態とした.

2.2 マクロセル電流計測

供試体

1

は測定前に水中から引き上げた状態,供試体

2

は塩水中 に浸漬した状態で,各々のマクロセル電流を測定した.測定器には 無抵抗電流計(北斗電工製

HM-103

),ならびに静ひずみ計(東京 測器製

TDS-303)を使用した.無抵抗電流計による電流測定は,各

リード線に無抵抗電流計の測定用端子を接続したのち,リード線相 互の短絡を解いて電流値を直読した.

腐食電流測定において,腐食電流の変化を最小限にとどめるため には,電流測定時を除いて可能な限り腐食電流回路の抵抗が小さい 状態に保つことが必要である.そこで,静ひずみ計による計測では,

常時に供試体のリード線が短絡した状態となり,測定時にはシャン ト抵抗による測定が可能となるよう,図 2に示すリレースイッチを 用いることとした.リレースイッチは

2

個のスイッチ(

SW1

SW2

) により構成されている.計測では無抵抗電流計による計測と同様に,

マクロセル電流回路を切らないよう,常時短絡(SW1 ON・SW2

OFF

)→計測(

SW2 ON

の後に

SW1 OFF

)→短絡復帰(

SW1 ON

の後に

SW2 OFF)というスイッチング操作を行う.試験ではこの

操作を手動で行うこととし,シャント抵抗に

1

2

2.5

5

10

Ωの

5

種類を用いた.また,リレースイッチ切替え後の電流変化を確認 するため,動ひずみ計を用いた電流計測を実施した.

キーワード:マクロセル電流,無抵抗電流計,シャント抵抗,自動計測

連絡先:〒105-0004 東京都港区新橋 4-24-8 (株)富士ピー・エス 技術本部 TEL:03-3432-0836

鉄筋 D13

300

100 100 100

56 101010 1313 16

15 270 15

56 101010 1313

鉄筋 D13

33 10 10

13

被覆銅線(Φ1.25)

鉄筋 D13

300

100 100 100

56 101010 1313 16

15 270 15

56 101010 1313

鉄筋 D13

33 10 10

13

被覆銅線(Φ1.25)

図 1 供試体の形状寸法

<供試体 1>

<供試体 2>

V

シャン

SW1 SW2

静ひずみ計

V

シャン

SW1 SW2

静ひずみ計 図 2 リレースイッチを用いた

マクロセル電流測定方法の概念 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-369- 5-185

(2)

3.実験結果および考察

無抵抗電流計および手動式リレース イッチを用いた測定結果を図 3 に示す.

供試体 1 において,無抵抗電流計の測定 値に対する静ひずみ計での測定結果(電 圧測定値を電流に換算した計算値)との 比は 0.78~0.89 程度と比較的大きくな ったが,測定値の絶対値差は 0.001~

0.002mA 程度であった.一方,供試体 2 における静ひずみ計の無抵抗電流計に対する比 は 0.97~1.00(誤差 0~3%)となり,測定値の 絶対値差は 0.001~0.006mA であった.いずれの 測定結果も静ひずみ計による測定値が無抵抗電 流計による測定値より小さく評価される傾向と なっているが,これはシャント抵抗による電圧 降下の影響と推察される.一般に,電流測定に おいてはシャント抵抗を大きくすることで計測 精度は向上するが,供試体 2 に見られるように 抵抗が大きくなるほど電圧降下も大きくなるた め,計測対象物に応じてシャント抵抗の抵抗値 を選定する必要がある.

リレースイッチ切替え直後の電流の経時変化 を図 4に示す.なお,それぞれの計測値は同一 時刻における測定結果ではないため,計測され る電流値に若干の違いがある.図より,リレー スイッチ切り替え後に電流が安定するまでの時 間は,シャント抵抗が大きいほど長く,電流の

ばらつきは抵抗が大きいほど小さくなった.これは抵抗が小さいほど測定電圧が低下するためと考えられる.この 傾向は,供試体

1

の場合も同様であった.このことから,自動測定における測定精度を向上させるには,適切なシ ャント抵抗を選定し,リレースイッチ切り替えから測定までのタイミングを可能な限り遅くするのが良いと判断で きる.本実験の範囲内では,今回の供試体について自動計測を行う場合,シャント抵抗

5

Ω~

10

Ωを用い,シャン ト抵抗に電流を流してから計測するまでのタイミングを

1~3sec

に設定するのが良いと考えられる.

4.まとめ

本実験の範囲内で以下の知見が得られた.

1)シャント抵抗は大きいほど計測精度は向上するが,電圧降下も大きくなるため計測精度および計測対象物に応 じて抵抗値を選定する必要がある.塩水に浸漬した供試体 2 において,無抵抗電流計に対する静ひずみ計の測定 誤差は 0~3%であり,高精度を要求しない場合であれば,シャント抵抗は 5~10Ω程度が適当である.

2)スイッチング(リレースイッチ)を伴う計測では,シャント抵抗に電流が流れてから電流が安定するまでに時 間を要するため,計測時間を制御することが必要である.5~10Ωのシャント抵抗を用いる場合,シャント抵抗 に電流が流れてから 1~3sec 後の計測タイミングで自動計測が可能になると考えられる.

<謝辞>本実験に際し,PC 技術協会 PC グラウト規準作成委員会実験検討 WG 委員各位に貴重なご助言を賜ったこと 記し,深謝の意を表します.

0 0.165 0.170 0.175 0.180 0.185 0.190

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

5.0Ω

電流,mA

時間,sec

0.176mA/0.01sec

0.008mA 0

0.165 0.170 0.175 0.180 0.185 0.190

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

2.0Ω

電流,mA

時間,sec

0.173mA/0.01sec

0.004mA

0 0.165 0.170 0.175 0.180 0.185 0.190

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

2.5Ω

電流,mA

時間,sec

0.177mA/0.01sec

0.005mA

0 0.165 0.170 0.175 0.180 0.185 0.190

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

10.0Ω

電流,mA

時間,sec

0.170mA/0.01sec 0.014mA

図 4 リレースイッチ切替直後の電流変化(供試体 2)

(シャント抵抗 5Ω)

(シャント抵抗 2Ω) (シャント抵抗 2.5)

(シャント抵抗 10Ω)

図 3 無抵抗電流計および手動式リレースイッチを用いた測定結果

0.006 0.008 0.010 0.012 0.014

0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

0 2 4 6 8 10 12

静ひずみ計 無抵抗電流計 比(①/②)

電流,mA (①無/②静ひ)

抵抗,Ω

0.170 0.180 0.190 0.200 0.210

0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

0 2 4 6 8 10 12

静ひずみ計 無抵抗電流計

比(①/②)

流,mA (②静ひずみ計)

抵抗,Ω

a)供試体 1 b)供試体 2

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-370- 5-185

参照

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