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黒鉛への窒素およびアルゴンの吸着(第4報)

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(1)

三浦和久** 柳沢寛***

Adsorption of Nirrogen and Argon on Graphite. 4 一 Various Anomalies in I sotherms

Kazuhisa MIURAde* and Hiroshi YANAZAWA*

 Several adsoq)tion ano皿ahes have occun℃d dur㎞g the prDcess of adso耳)tion・desoq)tion of N2 and Ar at 77 K on 騨phite samples:the appea㎜ce of a(listii}Ct step around a relative pressure of O.4, a pro血nent hysteresおover 曲。前the whole㎎e ofpress㎜, and a breakpo血t in the BET plot for N2.1伽㎞o㎜t㎞t the step s舳s伽m the pmcess of a seoondぬyer ads()翠ption. Applying the same method for dett)m:血ation of po血t B, we read an adso】i eed amount up to eompletion of a se(nnd layer from the isotherm.  IIhe observed hysteresis is probably due to the presence of sht−shaped pores on graphite samples. From both the height of the st£p and the a皿ount of su曲oe oxygen, the re]lationship between s曲oe a1℃a血po1℃s and an a皿ount of sur塩oe oxygen is obtained. FUrthermore, the cause of the apPearanoe of a breakPoi皿t j皿aBET plot蛤bhefly dおcussed血terms ofd幽rence血the ch㎜(艶r㎏tics ofthe gas

nd FmrhAtp,q.

 Key words:nauma1 graphite, adso塑ption, ni旗)gen argo  step, hystewesiS, pore, BEI  plot, breakpo血t

1.緒

 77Kでの黒鉛化カーボンブラックの窒素吸着等温

線1 3)ならびにアルゴン吸着等温線4 6)において,相 対圧0.3〜0.4の領域でステップが現れることは既 に知られている.著者らは先報7 9)において,スリラ ンカ原産のフレーク状の天然黒鉛およびこの黒鉛を 種々に処理して得た黒鉛試料に対する窒素およびア ルゴンの吸着においても同様なステップが現れるこ とを,さらに両気体とも顕著なヒステリシスを与え ることを見出した.また,窒素吸着等温線から得た

BETプロットが,相対圧(X)O.2付近で下に折れ曲 がり2本の直線になることも分かった.この種の折

れ曲がりは既にJoynerとEmmettが1948年に

MPCブラックを3200℃で一部黒鉛化したカーボン ブラックにおいて見出しているが1),その原因は未 だ明確になってはいない、

 そこで本報告では,天然黒鉛に施した種々の処 理が窒素とアルゴンの吸着性に及ぼす影響をまとめ ると共に,上に挙げたステップ出現,ヒステリシス,

さらにBETプロットの折れ曲がりという異常現象 の原因について考察と,それらから得られる知見

を述べる.

  原稿受付 平成14年8.月30目

 * lntl. Symposium on Physical Basis ofAdsorption in   2000(Okayama)で一部講演発表

  さらに第7回高専シンポジウム(御坊2001)にて一部講演   発表

**一般科目

***ASET環壌プロセス技術研究室

2.実

試料とした黒鉛は日本黒鉛商事から市販されてい る黒鉛ACPである.純度99.5%,灰分0.5%,粒 子径1〜30μmである.これを6日間精製ベンゼン でソックスレー抽出後,室温で1.3x10−3Paの真空

(2)

津山高専紀要第44号 (2002)

負軌

灘灘懸

嫁講灘i

罐灘

 y

 隊

灘継灘

醤騰

  鱗

      ze

Fig.1 Scaiming electron micrographs of main graphite samples:

翼渉.z

お  じがナぽドクゆゆ 

         3pm

a)G25; b)HYG25; c)OZG25

度で充分に真空引きしてG2510)とした.このものに に水素処理を施してHYG2511)を,さらにHYG25 にオゾン処理を施してOZG2512)を得た. OZG25を 500℃真空処理してOZG500を,続いてOZG500 を1000℃真空処理してOZGIOOOを得た12).吸着・

脱離の測定はバラトロン圧力計装備の容量法装置で 行った.相対圧σ9が0.93を越える辺りで,吸着

を止め,脱離の測定に入ったが,脱離等温線が 吸着等温線と一致した段階で脱離の測定をうち切 った.吸着・脱離等温線測定の前後においては,試 料を室温で充分に真空引きした.水蒸気等を除去す

るためには,100℃以上の温度に加熱しつつ排気す ることがよくなされるところであるが,著者らの 条件で得られた等温線は再現性が良好なこと,な らびに加熱によって不安定な表面酸化物が熱分解し てしまうおそれがあるという二つの理由から,室 温排気とした。容量法では直接測定量は圧力であり,

智14

曼12

景1。S8

g

その測定誤差の影響を可及的に小さくするため,

黒鉛試料量として13〜14gを取っている.また,試

料管の試料が収まる部分は内径25㎜,高さ 55mmの石英製であり,ここに約13gの黒鉛試料 を入れ,これを液体窒素に充分に浸して測定に供 する.液体窒素の軍団スカスは自動的に調節され,

測定中液体窒素に浸っている試料管部の体積は一定 に保たれている.測定中における他の気体の液体窒 素への溶解による沸点の変動については考慮してい ない.また,吸着および脱離平衡については7分間 以上で圧力が1.33Pa,中間圧力領域以上において は同時間で13.3Paの変動幅で収まったときを平衡 と判断した.BET比表面積は窒素吸着等温線を用い て算出した.その算出の詳細は本報の内容でもある ので,以下の章において触れる.SEM観察は日立 X−650と日本電子JEOL−JSM35の二台の走査電子

顕微鏡を用いて行った.

20 16

ぼ  a窃

乃。  b 20   C d e

14

・・房評 § ε 5貧

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12

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 匹P5㌃  oも\噂 】5巴@㌃  o沽\Iox室  ざ5

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6

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.4

0  0L20

x

4

 ouB

 o vf α20  OuB  o」2

VB

2

00

02 04 0.6 0β 0 02 04 α6 α8 0 0.2 04 O,6 0,8 0 Q2 04 σ6 α8 0 0.2 0ム 0.6 0B 1.0        Re lative pressしre, X

Fig.2 Adsorption−desorption isotherms of N, for each graphite sample at 77K: a) G25; b) HYG25; c) OZG25;

   d)OZG500; e)OZG IOOO. e and O denote adsorption and desorption respectively, The inset is a    BET plot,

(3)

       む ↑b︵年鑑﹀︑碧遥々も彗婁

24 A

 )

h・『慈

22 oも

20 5・ 20 20

18

E

璽52 15い )

O G2。汐

o

16 x o

10\ 10\

14 15$@笙  & 15り

@㌃  o

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吃︑o\

5 5

10

8 5 5 0  α2 0 0

@  X

0 02  α4

6

0  0,2◎ 0

 oq2

4   2 VB

x  → VB← X  →

VBu τ VB←

0 暉   j       a

0 α2 0ム G6 0.8 0 Q2 04 0る α8 o 02 0ム 0.6 0B 0 Q2 04 0β α8 0 Q2 04 0,6 0β 1.0       R訊ε爵>e preSSure, X

Fig.3 Adsorption−desorption isotherms ofAr for each grap hite samp le at 77K: a) G25; b) HYG25; c) OZG25;

   d)OZG500; e)OZG IOOO. e and O denote adsorption and desorption, respectively. The inset is a    BET plot.

3.結

 Fig.1に代表的な黒鉛試料のSEM写真を示す.処 理による形状の差は殆ど認められない.いずれもべ 一サル面が優勢である.べ一サル面の末端に酸素が 結合してカルボキシル基などの表面酸化物を形成し ている13).後述する全酸素量は,種々の表面酸化物 中に結合している酸素原子の総数のことである.著 者らの測定ではG25が試料中最も多くの表面酸化

物を持つ10 12)。

 :Fig.2は窒素の吸着・脱離等温線である.xo.4近 傍で小さいがはっきりしたステップが出現する.そ

して,顕著なヒステリシスが現れる.また,G25 を除いてどの場合にも脱離等温線はX=O.44付近で 吸着等温線に一致する.G25の揚合の一致点は X=0.35付近に在る.図中のVB矢印はB点14)であ る.B点は数値解析の手法で決めた.即ち,まず吸 着等温線を描き,B点が在ると思われる領域を見 出す.その領域で吸着量を相対圧の関数として多項 式近似する.5次から8次のXの多項式が良いフ ィッティングを与える.多項式を決めたら,次に相 対圧を僅かずつ変えてこの関数の微係数の最小値を

捜す.この最小値は幾つかの相対圧値に対して一定 の値となるはずである.この方法をX=0.4付近のス テップ(著者等はこのステップを発見者1・2)に因んで J:Eステップと呼ぶ)に対しても適用し,図中第二の 矢印で示す点を見出した.この第二の矢印で示すス

Table l Amou皿t of gas adsorbed at end of step near X=0.4

N2 Ar

G25 L63 VB 工87VB

HYG25 t93 VB 2.05VB

OZG25 工87VB 玉.94VB

OZG500 L91 VB L87 VB OZG玉000 193VB 2.00VB チップ終了点の吸着量をVBで表したものをTable 1 に挙げる.また,これらの等温線をBET法によっ て処理して得たBETプロットは, G25では余り目 立たないものの,いずれのものもX=0.2辺りで下に 折れている.すなわち,高圧側と低圧側にそれぞれ

(4)

津山高専紀要第44号 (2002)

直線関係が得られる.

 Fig.3はアルゴンの吸着・脱離等温線である.い ずれも対応する窒素吸着等温線(Fig2)と同型である が,X=0.4近傍のステップはより顕著である. G25 を除くどの試料もX=0.32より高い平衡圧で顕著な ヒステリシスを示し,G25ではXFO,02まで続く 典型的な低圧型ヒステリシスが出現する.どのヒス テリシスにおいてもその終了圧は窒素よりもアルゴ ンの場合の方が低い.著者らの知る範囲では,天然 黒鉛へのアルゴンのヒステリシスについては報告さ れていない.また,G25を除き,試料の処理に依 らず常に決まった相対圧でヒステリシスが閉じるこ とから,吸着は粒子間隙に起きているのではない と考えて良い.X=0.4近傍の第二の矢印が示すステ ップ終了点の吸着量もVBで表した.それもTable 1 に示す.HYG25とOZG25については第二のステッ プ(第三の矢印で指示)が現れている.同様の事実は Po皿ey等4)が2700℃処理を経たp−33カーボンブラ ックへの77Klでのアルゴン吸着で,またGrillet とRouquerol15)はBoron nitrideへの77 K:でのア ルゴン吸着において確認している.

 ところで,窒素の場合と異なり,アルゴン吸着等 温線のBETプロットは0<X<0.25で極めて良好な 直線性を示している.

 Table 2はFig.2およびFig.3として示した窒素 およびアルゴンの吸着等温線から求めた吸着データ である.Vm6El[)は(以下ではVmと略記する)は 0<X<0.18の等温線データにBET法を適用して算 出した単分子吸着量であり,Σ aSiroはVmと分子断 面積σとを用いて計算した比表面積である.77Kに

おけるσの値としては,窒素とアルゴンでそれぞれ 0.162,0.138nm2を用いた16). Cは,いわゆるBET のC値である.さらに,VB値の下に位置する括弧内 の相対智歯はB点での相対圧である.

4.考

4.1各処理試料の窒素およびアルゴンの吸着等温線  Fig.2および3に示すとおり等温線形状は殆ど変 化していないが,HYG25のゼロ圧吸着量は両気体 共G25のそれの約半分であり,さらにHYG25表面 がオゾンによって浸食されて,OZG25では吸着量を 増加させている.Table 1に示す様に原料黒鉛(}25 以外の試料においてはEステップ終了点の吸着量 はほぼ2VBである.またTable 2から,いずれの 試料においても窒素,アルゴンともVB値とVm値は 極めてよく一致している.

4.2 JEステップの大きさと細孔内面積

 窒素吸着等温線に見られるヒステリシスは,78K:

におけるモンモリロナイトへの窒素吸着において,

BarrerとMacLeodが見出したヒステリシス17)と よく類似している.よく知られている様に,モンモ リUナイトは層状の化合物である.黒鉛もスリット 型細孔を持つ.GreggとSingによれば,スリット型 細孔があればヒステリシスが生じる18).従って,本 試料の黒鉛に生じるヒステリシスは細孔によると判 断される.そこで,窒素吸着等温線の内で代表的な もののtプロットを取った.それをFig.4に示す.マ スタt一一一t値はsmithと:Kastenの提出したもの19)を

Table 2 Data calculated frbm adsorption isothenns ofN2 and Ar on each sample.

G25 HYG25      、nZG25 OZG500 OZG 1000

V組!。m 9 3.11 1.45 L61 1.79 L85

N2

VBんmr94  3.10 iX召α076}

 1.50

iX=0.036)

 L63

iX謂σ038)

 L78

iX謁ρ29)

 L80

qX橿0ρ22)

Σ!m29 1 135 63茎 7.01 7.79 &05

C 322 1513 1218 924 774

V鵬1c冊39 } 3.Q4 L66 1.81 2.Ol 2.10

Ar

.VB!crn39  3.12

iX瓢0.077)

 L72

iX謂α044》

 190

iX冨0.060>

 2.10

iX霜0、060>

 2.14

oX=α05◎)

Σ!m29●1 江6 6.16 6.71 7.4・5 7.79

C 299 1075 850 719 553

(5)

10

8       6      4      2

 も︵住↑の︶o∈W\ ﹀.℃Φ曾︒穏£おだコΩヒく

     一)tyl ;

 / チ

 ,.:.:+. [  O,Z , O,4

0

T

t/nrn  O.6

t t T

O.8 1.0

       o.1 a2 03 oA o.s o.6 07 o.s          Relat}ve pressure. X

Fig.4 t−plots of adsorption isotherms of N2 for main    graphite samples: O: G25; O: HYG25;

  e : OZG25. imws show breaks in each line.

用いた。(彼らのデータは1970年のものなので,念 のためASTMのD6556−0120)も参照した.後者の適 用できる相対二二は0.2くX<0.5で前者の場合より も狭く,しかも両者は全く一致した.)図中の波線 で示す原点を通る直線の傾きから求めた全表面積は G25,且YG25およびOZG25でそれぞれ13.6,6.61

したBET比表面積Σに殆ど等しいので,マスター t値の選択は妥当なものであることが裏付けられた.

さらにこの図から次のことが分かる.G25では,最 初の波線で示した直線の傾きが他の試料に比べて急 峻である.この事実はG25上にはマイクロボアが 多数存在していることを示唆する.そして,この事 はアルゴンのヒステリシスがX=0.02まで閉じない 事実とよく合致する.G25で,急峻であった直線が t・O.68umを境にして再び緩い傾き1こなる.このこ

とから,G25の細孔幅の最大値は1.36nmである ことが分かる.同様にして,HY(}25ならびに OZG25上の細孔幅の最大値はほぼ120nmである

ことが分かる.縦軸の値からこれらの細孔の体積は G25のほうが他のものの2倍であることも分かる.

このこととTable 1に示すG25のJEステップ終了 点の窒素吸着量が他の試料に比べ際だって小さいと いう事実から,G25への窒素吸着のメカニズムは 次の様であると推測できる.即ち,G25では多く の突出したべ一サル面が不規則に積み重なっている ため,べ一サル面間に幅の異なる隙間や奥の深い 細孔が在る21).幾つかの細孔の入り口は狭く,他の 入り口は窒素やアルゴンの分子がアクセスできるほ

ど広い.吸着前にはこれらの細孔は空であるが,第 一層吸着分子が細孔の入り口を塞ぎ22),内部には 未だ吸着できる空間が残っているにも拘わらず,

内部へのそれ以上の吸着を阻害する.それ以後のプ リズム面への吸着は細孔に影響されずに進行する.

結果として,JEステップの終了点の窒素吸着量は 2VBを随分下回ることになる. HYG25の表面は水 素処理の際の2800℃前処理11)によってG25上の細

Table 3 Ratio of inner surfaoe area to total surface area, total oxygen contained血evolved gas, s曲ce area     oovered by oxygeq and surface area covered by oxygen as a percentage of total sui face area.

﹁Samp亜e

To囲oxyge琵 To面s騒曲㏄a紀a

i8ET su曲㏄afca)

@    ノ鵬29 }

R撤重oof孟㎜cr sロ㎡鵬aτca

@ to tαal su曲㏄轟re碑

@      く%) x量olg aωmsg夏

Sロ幽ce area c◎vered

@  by oxyg㎝〆

@    m29正

P町㏄郎暴ge of SU㎡iace area 盾盾魔???п@by oxyge羅to to匙al

@ su㎡加。 area(%〉

G25 13.5 37 7,235 6.01 44.5

HYG25 6,3! 7 0,◎86 0.07 1.1

OZG25 7.01 …3 1,373 L14 163

OZG5◎o 7.79 9 0,376 03{ 4.0

OZGIひ00 8.05 7 0,000 α00

Total oxygen was calculated fbom the alliount of gas evolved through pyrolysis of the surfaoe oxides present on the sample. Data on the amount of gas is shown elsewhereiO i2). [Ib estiniate the area eovered by surfaoe oxides, an effective area coverage of O.083 nm2/atom of oxygen was assumed24).

(6)

津山高専紀要第44号  (2002)

葡Φ冶 Φ

孔の入り口が脱離して,種々の気体となって散逸 した結果滑らかになったのではなかろうか.そのこ とがHYG25でのJEステップ終了点の窒素吸着量 が2VBにほぼ等しくなったことに反映されている.

この推測は次の事実とも矛盾しない.すなわち,

G25のJEステップ終了点の吸着量はアルゴン

(1.87V.)の方が窒素のそれ(1.63VB)より大きい.

 次に,JEステップは文献4・23)からも明らかなよ うに第二層目の吸着過程で現れる.このステップ終 了点の吸着量は,従って第一層と第二層の吸着量 の合計を与えると考えて良い.G25のJEステップ 終了点のN2吸着量の1.63V.から単分子吸着量に相 当する1.00VBを差し引くと,0.63V.を得る.これは 第二層吸着量である.ここで,αが細孔の表面積を 表し,βが外部表面積とすれば,試料の全表面積は

(α+β)で与えられ,次の関係が成立する.

B/(a十B) = O.63

即ち,G25の全表面積の63%が外部表面積であり,

従って細孔表面積(内部表面積)は全単分子層表面積 の37%である。この計算を他の黒鉛試料の吸着デ・一.一L タにも適用した.その結果をTable 3に示す.表中,

全酸素量はプリズム面に存在する表面酸化物が熱破 壊され,変化したCO, CO2およびH20中に含ま

れるものである10 12).また,ベーサル面末端に化学 結合している酸素原子が0.083nm2の面積を被覆す る24)とすれば,各試料について表面酸化物に被覆 された表面積が計算できる.Table 3はこれらの値 およびそれらの問の比を示す.

 Fig.5は,各試料の全表面積に対する細孔表面積 と酸素被覆面積の割合の関係を示す.ここでは吸着 第二層目は狭い入り口の細孔内には形成されないと 仮定している.この図から,表面を酸素が被覆して

いる割合と細孔面積は比例関係にあることが分かる.

ただし,試料管の材質から来る制約によって,

1000℃の熱処理後は表面からすべての酸素が駆逐 されたと仮定しているので,酸素被覆が無い場合 でも細孔が存在している結果となった.また,図中 の点線に注目すれば,酸素被覆が全表面積の10%

以上になる様な比較的酸素被覆が高い場合には,

細孔の壁だけが酸素を保持しているのではない様に なっている.しかし,この事はG25上には窒素分 子がアクセスできない小さな径の細孔も多く存在す

ることを示していると理解すべきである20.

4.3BETプロットの折れ曲がり

 :Fig.2および:Fig.3に示した様に,窒素のBET プロットは二つの直線部分から成る.前述の様に,

JoynerとEmmettもGraphonへの窒素吸着のBET プロットにおいて見出したが,彼らの折れ曲がり点

(以下breakpointと表記)はX=0.22に在り, JEス テップはXニ023から始まっている1).この平衡圧 の一致について彼らは言及していない.著者らは,

両者は関係していないと考えている.その理由は,

前述の様に黒鉛のJEステップは, Xニ0.32で始ま り,一方,BETプロットのbreakpointはX=0.20 に在るからである.著者らのこの考えを支持するも のとして,アルゴン等温線にはJEステップが出現

しているが,BETプロットにbreakpointは現れ

ない事実がある(Fig.3).さらに, Kjemsらの報告%)

も両者が無関係であることを主張するデータである と思われる.彼らの仕事の目的は著者らのそれとは 別のところにあるが,彼らが示したGrafoilへの窒 素吸着等温線にはJEステップが現れないにも拘わ

5

4

L

 0   0   0   0   0 4   3   2   1雷冶Φuりt⊃O聾££

Ψりぞコψ﹂Φ⊂⊂こ︒ΦO〜8∪﹂︒巳

一, ノ

.べ  ◇

O 10 20 30 40 .  50

 Percentage of surface area covered by oxygen to       total surface area

Fig.5 Relationship between inner surface area and smbce    area coveted by oxygen both of which are given as a    peroentage of the total surfaoe area. Datted line re−

   presents 1:1 relationship between them.

Oひ︒

3

2

1

﹂︵︶O

O.2 O.4t・g(Vm/m3(STP>す1>

O.6

Fig.6 Relationship between C−value and mono−

   layer volume V.. e; N, O; Ar

(7)

は二つに折れる.著者らのものも含めて,どの等温 線もbreakpointから等温線の勾配が少し大きくな

る.

 Fig.2に示す窒素のBETプロットからは二つの 可能なVmとC値が得られる. Breakpointで交わる これら二本の直線の内,低圧側の直線のみがVBと 一致するVmを与える.加えて, Fig.6に示す様な,

VmとC値(Table 2)との間の単純な直線関係が在る.

VmとC値の間のこの直線関係がアルゴンにも認め られ,しかも窒素の関係とよく合致している.最小 二乗法で,窒素については

log C=3.49−2.02 log V.

の黒鉛の表面積は少なくともその四割程度がプリズ ム面の面積であるということが,従って,判明した.

原料黒鉛に各種の処理を施せば,このスリット型細 孔の末端炭素原子に結合している表面酸化物が熱分 解し,その結果スリットは浅くなり,細孔容積も減 少することになった.また,現段階で明確ではない

が,この種の細孔あ存在がBETプロットに

breakpointを出現させていると考えられる.そして,

ちょうどべ一サル面が三つ抜けた,すなわち窒素二 分子層の厚さの幅のスリット些細畑中での窒素分子 同士の相互作用の効果は細孔が比較的浅い場合,言 い換えれば均一性の高い表面での方がよりはつきり と表に現れるようである.この点に付いては,さら なる実験と考察が必要である.

また,アノレゴンについては

log C=3.47−2. 10 ldg V. 参考文献

の実験式を得た.これら図式は殆ど差異が無い.従 って,VmとC値の間には唯一の関係が在ると言え る.この式から,窒素とアルゴンについて,C値 はVmの平方根に反比例することがわかる.その比 例定数は約3000である.Break:pointを越えた高圧 側のデータからはこの様な結果は得られない.この 事からbreakpointより下の低圧領域が:βET法に

とっては意義を持つと言える.それにしても,著者 らの吸着系では,単分子吸着量:Vmが大きいほど,

C値が小さくなるという一見奇妙なことが起きてい る27).理由は現在のところはっきりしていない.た だ,Fig.4から, break:pointの在るX=O.2近傍の t値が0.43㎜と読める.窒素分子の77 Kでの分子 断面積からEmmettとBnmauerの方法2,14)で算出

した同分子の直径は0。43㎜である.窒素分子は核 四重極を持つ.もし,著者等の黒鉛のプリズム面に ベーサル面が三つ抜けたスリット型の細孔(スリッ ト幅は1.01nm)が在れば,ここに窒素が吸着する 際には,それまでの状況と異なり,二つの分子が 背中合わせで吸着して行くことになる.このとき,

両分子間で何等かの相互作用があって当然であり,

それは直ぐにC値に反映されることになる.

5.結

 窒素とアルゴンが天然黒鉛へ第二層吸着する際に 現れるJEステップがスリット岬町孔内への吸着の 影響を受けていると考えて,細孔内面積を評価した.

その結果,原料の天然黒鉛で全窒素表面積の四割弱 が細孔内表面積であることがわかった.黒鉛表面は

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参照

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