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Atmosphere 水蒸気含有酸素による気相酸化処理黒鉛の窒素吸着等温線

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(1)

水蒸気含有酸素による気相酸化処理黒鉛の窒素吸着等温線

三浦 和久* 柳沢 寛**

Adsorption lsotherms of N2 on the Graphites Burnt−off in 02−H20

Atmosphere

Kazuhisa MIURA and Hiroshi YANAZAWA

 The adg. oi t)tion−deti orption isotherms of N2 at. 77K on the graphite sampleg. , which had been obtained through burning off a nat,ural graphite with 02−H,O gas inixture, were measured volumetrically. And at the fi ame time the SEM obg. eivation for the samples were carried out. As a result., the basal plane were so eroded in the burning−off proceg. s that many holeg. were formed t,here, Both untreated graphit,e an(1 t・he 200/o−burnt−off one gave the .qjmilar adsorpt.ion jsotherm$ of 7 b早je II which have the cJoyner−Emmet,t st,ep near the relative presf ure of O.4, while the g. hape of the isotherm on t he 53Q/o−burnt−off graphite lookf stepwise. The ca囎es of this pheno皿enoll were discussed in this paper

Keywords: adsorl)tion i:otherm, nit,rogen, natural graphite, burning−off

1.緒 2。実

 液体窒素温度における粉体への窒素吸着は BET法1)による粉体の表面積の評価,あるいは Cranston−lnkley法2)やde Boerのt−plot3)など の方法による粉体の細孔分布の評価という面から,

セメントを始めとする粉体.五業 1)やゴム,電池,

繊維工業などの現場5)・6)においても,また研究室 ft  7 10)においても極めて頻繁に行われている.

著者は,スリランカ原産の天然黒鉛を出発試料 にして,そのものに各種の表面処理を施し,表面 特性の異なる試料を得た.これらの試料に対し,

主として水蒸気を吸着させ,その吸着サイトとな っている表面化合物ならびにその化合物サイトと 水との相互作用の強さを調べてきたll 16).今回,

これと同じ天然黒鉛を全圧1気圧の水蒸気と酸 素の混合気流中で酸化し,正確には部分燃焼し,

その酸化の程度が異なる試料を調製した.それら に対し液体窒素温度において窒素の吸着を行い,

この処理が黒鉛の窒素吸着能に及ぼす効果を調べ

た.

原稿受付  平成13年8月31日

de 一・一一ハ科目 化学

kk@超先端電子技術開発機構環境プロセス技術面

 究室

 用いた天然黒鉛の粉末は前報17 19)の試料と同 じではあるが,バッチが異なる.固体試料はバッ チが異なると試料の特性が異なることがよくある.

吸着能に関してもこのことは言える.

この黒鉛はH本黒鉛商事株式会社から販売され ている黒鉛ACPである。チオフェンを除去した 精製ベンゼンによって,この黒鉛を6H間ソック スレー抽出した後室温にて充分に真空排気して出 発試料G25とした.

 次に,このG25を全圧1 [atm]の含水蒸気酸素

(水蒸気分圧=23.8[Torr],ただし1.OO [Torr]

二133.3[Pa】)で部分燃焼した.その処理は600[℃]

の環状炉中に挿入された石英管に黒鉛粉末を入れ,

回転によって粉末を撹搾しながら,その中を平均 流速15[cm3/min]の混合気を流して行った13).

 酸化の程度は酸化による黒鉛質量の減少(burn−

oMで表すことにするが,本研究では20%10ssの ものと,53 Okolossのものを得た.前者をOG25,

後者をOG25 と名付けた.以下,本報告では,

この部分燃焼処理を気相酸化処理と言うことにす る.窒素の吸着測定は水銀ゼnマノメータを備え た定容法吸着装置を用いて行った.ゼロマノメー一一L タでは水銀面をゼロ点に合わせる際に無視できな い大きさの系統的誤差が入るため20),充分に注

(2)

津山高専紀要第43号 (2001)

12

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Fig.1 Adsorption−desorption isotherms of N2 at 77K on graphite samples. The inset is BET plot of the adsorption    isotherm. a:G25, b:OG25, c:OG25 . O:adsorption, e:desorption.

虚した.さらに,実験上特に注意したところは,

試料管を浸した液体窒素ジャー内の液体窒素メニ スカスが,液体窒素の蒸発によって徐々に下がる ので,メニスカスのレベルを所定の位置に常に保 たなければならなかったことである.

 窒素吸着等温線の測定の初期においては,窒素 の平衡圧が充分に低圧になるように,doseとし て加える窒素量を適切に加減し,以後のdoseに おいては窒素量を徐々に増やして行った.相対圧 X=0.93付近までの吸着過程を測定した後,直ち に脱離等温線の測定に入った.脱離等温線の測定 をそれが吸着等温線に一致するまで継続した.な お,吸着実験に用いた窒素ガスは液体窒素からの 蒸発によって得たものである.

 SEM観察には日本電子製のJEOL JSM・35型 電子顕微鏡を用いた.

3.結

Fig.1にG25,0G25およびOG25 の窒素吸着・

脱離等温線を示す.等温線は縦軸に黒鉛の単位質 量当たりの吸着量を標準状態の体積で,横軸には の平衡圧を相対圧(X)で示す.相対圧とは,平衡 圧を吸着温度での飽和蒸気圧で除したものであり,

無名数である.

 二本の等温線の内,下に位置する方が吸着等温 線であり,上にあるものが脱離等温線である.い ずれの試料においてもヒステリシスが現れている が,X<0.1の平衡圧域で脱離等温線は吸着等温 線に一致する.さて,OG25の吸着・脱離等温線 の特徴はG25のそれとよく類似している. G25 とOG25の吸着等温線の形状はH型に属するも のであるが,共にX=0.3〜0.4辺りにごく小さい ステップが認められる.これに対しOG25 の吸 着等温線は多段ステップ状であり,G25および OG25の等温線とは異なる形状をしている.ステ ップが何段か生じ,0〜20%burn−offで見られた スムースな等温線形状がここでは失われている.

これに加えて,ヒステリシスの幅がより大きくな った.図中,VBはB点法21)によって決定した単

st

      @1pm

分子吸着量

である.

 また,こ れらの図に は,X=0〜

0.4の範囲 の吸着等温 線から求め

たBETプ

ロットを挿

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水蒸気含有酸素による気相酸化処理黒鉛の窒素吸着等温線  三浦・柳沢

Table 1 Valueg. ofthe monolayer volume. VB, t・he constant, ofBET equation, V., ancl the g.pecific surface area, Z

VB/◎幣3(S↑P)9一等 V勝(し〉/◎m3(Sτ戸>9.1 V拠(H)/c櫓3(STP>9噂1 Σ/m29黒1

G25 壌鱒 1.53 t8 6.66

◎G25 t33 1.4 2 6」

OG25 α67 o.91 t54 3.95

OG紛0◎ 肇.4藤 t48 2.03 6.44

入している1どのBETプuットも二本の直線部 分から成っていることが認められる.G25のBET プロットはX=0.15の辺りで始めの直線から傾き のより小さな直線に移る.OG25のBETプロッ

トの折れ曲がり点も,やはりX=0.15付近に現れ ているが,こちらの折れ曲がりの程度はG25の ものよりも鮮明である. OG25 ではこの折れ曲 がり点はより低い圧力のX=O.12の辺りにシフト

する.

 Fig.2には,各黒鉛試料のSEMイメ・一一ジを示 す.写真aから,この黒鉛試料はフレーク状で あり,べ一サル面の方がより多く表面に出ている ことが判る.さらに写真bと。とから明らかな様

に,O。 一一一 1{。0混合気によつで黒鉛べ一サル面の末

端すなわちプリズム面が浸食され,鋸状になって いるのが認められる.OG25では,気相酸化前の G25において認められる直線的なプリズム面は 最早認められない.混合気の侵食の程度はOG25 では更にいっそう甚だしく,しかもべ一サル面に は大きなホール状のプリズム面が新たに形成され ている.これらのイメージからOG25 では甚だ

しく表面が荒らされていることが分かる.

 Fig.3はOG1000への窒素の吸着・脱離等温線 である.このものでは等温線にヒステリシスが生 じていない。なお,このOG1000を得る過程は OG25を真空下で逐次昇温熱処理して,最終的に 1000[℃]まで行く過程であるが,その際に5種類

の気体(H20, CO2, CO, CH4, H2)が生じる13).こ

の内,H20, CO2およびCOを熱分解して放出す

る様な表面官能基は極性を持っており,黒鉛べし・一一一 サル面のπ電子密度の偏りに寄与する22).π電 子密度は窒素の吸着に影響を及ぼす19)と考えら れるので,特にこれらの気体の放出量には注目し なければならない.著者は気相酸化によって原料 黒鉛G2511)よりも大きな気体放出量を持つ黒鉛試 料を手に入れたかったが,期待に反し,600[℃]

での気相酸化では達成できなかった.

 Table 1には,それぞれの吸着等温線にB点法 を適用して決定した単分子吸着量VBとBETプ

ロットの低圧域および高圧域に在る二本の直線か ら計算した単分子吸着量Vm(:L)およびVm(H),

   給    8   6セ覇︸的5\﹀.gn・︒・碍NZ ム.     2ち芒コOEく

//

020

霧︶竿葱\疑鷲思      沿O       α

O.05

         o

o o.1 o.2 e.3 o.4

    x

        ,

00L 一mu狽垂煤g一一L−ML一一LD2 o.4 c.6

       Relative pressure, X

』二__.一

O.8    1.e

Fig,3 Adsorl)t,ion−deson)t・ion isot・herm of N2 at 77K    on OGlOOO. The inset is BET plot,,

   O:adg. orption, e:desorption.

さらにVm(L)を用いて算出した比表面積Σを示す.

VBとVm(L)とがよく一致しているのが分かる.

また,比表面積Σは77[K1における吸着窒素分子 の断面積を0.162【nm 2]・として求めたものである.

4.考

 Table 1において見たように, VBがBET法で 計算した低圧領域のV皿(L)と良く一致しているこ

とから,著者はBETプロットの二本の直線の内,

低圧域のものが意味を持つと考えている.高圧域 のデータから求めたVIn(H)はVBとかけ離れてい

る.

まず,G25の吸着等温線のX=0.3〜0.4辺りに 在るステップはJoyner−Emmettステップ23)(以

(4)

津山高専紀要第43号  (2001)

下JEステップと略す)と考えられる.吸着等温 線に記入した第2の矢印はこのJEステップの終 了点と考えている.この点はJEステップ部分に B点法と同じ考え方を適用して決定したものであ る.G25におけるこのステップの終了点の吸着 量は2.06VBである.このことはステップ終了点 で第2層目の吸着が完了したことを示唆する.

この値は前報で取り扱った未処理の黒鉛ACP(異 なるバッチ)の場合と大きく異なる17)・24−26).同 じ黒鉛ACPとはいえ, porosityが随分異なって いることが判る.また,小さなヒステリシスがほ ぼ全圧力領域に出現している.これは細孔の効果 であると考えられる.この種の細孔はその深さが 浅いか,窒素が余り深いところまで入り込めない 細孔であろう.Fig.3で示す様に, OGlooOの等 温線は吸着・脱離ともよく一致しており,OG1000 に細孔は殆ど存在していないことが分かる.この ことは粉末粒子の重なりによって生じる隙間が窒 素分子に対しあたかも細孔の様に振舞うことがあ るという議論27)がこの場合には該当しないこと も示唆する.従って,ヒステリシスの原因はすぐ 上に述べた様に細孔であると考えてよい.G25 のBETプuットはX=O.15付近で二つに折れて いる.この折れ曲がり点は吸着等温線の傾きが上 向きに変化する点に対応している.この吸着等温 線の傾きが増加するという現象は犯ステップに は関係せず,しかも窒素に特有の現象であること は先に24 26)考察したとおりである.

8

      6        ム︐も窪の︶の毒\忌駐8碍αZ ち

2

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     ク

ジ/α2 α4t奮 α8 1.0

e.1 02 03 o.4as o.6 o.7 o.s oss Relative pressure, X

試料での囲ステップ終了点の吸着量は2.11VB である.比表面積はG25に比べ,僅かに小さく なっているが,これは気相酸化によって微細な黒 鉛粉末が完全に燃焼し,消滅したためと考えられ

る.

 OG25 に至っては,比表面積の減少は41%に も達する.これも上に述べたのと同様の理由によ ると考えている.この試料ではJEステップの出 現位置の判定が極めてむずかしい.OG25 の吸着 能は,表面のラフネスが顕著になったので(Fig.2),

大きくなると期待される.しかし,実際はオリジ ナルのG25に比べて小さくなった.このことか ら窒素の吸着能は表面積が支配していると言える.

黒鉛表面の不均一性が上がったにも拘わらず,吸 着等温線に幾つかのステップが現れている(Fig.1 c).この事実は従来のステップ出現に対する考え 方28)では説明できない.さらに,G25などに比 べヒステリシスが顕著になったのは,やはり細孔 が発達したためであろう.酸化前には浅くて小さ な孔だったものが,酸化後は深く,大きくなった

と考えて良い.

 上で述べた推測はFig.4に示すt一プロットと矛 盾しない.このプuットから明らかな様に,0〜

20%burn−offの場合と53%burn−offの場合とは 直線の折れ曲がり位置と傾きおよび直線の長さが 全く異なっている.気相酸化の程度が進むと細孔 構造そのものに大きな差異の生じることが分かる.

しかし,OG25 のt一プロットもX>0.7の領域に なると毛管凝縮が支配的になり他の二者と同じ傾 向になる.以上のことから53%burn−offの黒鉛 ではporosityが発達しており,細孔の容積も増 加していると言える.酸素による黒鉛プリズム面 の浸食の結果,同面の凹凸が顕著になったためと 考えられる.なお,t一プPットの最初の部分の直 線を原点まで延長して得た直線(Fig.4中の波線)

の傾きから求めた比表面積として,G25,0G25,

OG25 に対しそれぞれ6,87,6.34,3.74【m2/g]を 得た.これらは,BET法で計算したTable 1に 示す表面積に殆ど等しいので,マスターt値の選 び方は適切であったことが分かる.マスターt値 としてはSmithとKastenが提案したもの5)を用

いた.

Fig. 4 t−plot of the adsoip t,ion is ot,hermq. .   O: C,25, A: OC,20r. e: OG25 .

OG25についても殆ど同じことが言える.この

 電子顕微鏡による試料の観察において便宜を図 って下さいました岡山理科大学の橘高茂治,森重 国光両教授に心より謝意を申し上げます.

参 考 文 献

(5)

水蒸気含有酸素による気相酸化処理黒鉛の窒素吸着等温線 三浦・柳沢

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  42,r).

参照

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