• 検索結果がありません。

博 士 ( 農 学 ) 石 渡 輝 夫

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 農 学 ) 石 渡 輝 夫"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 石 渡 輝 夫

学 位 論 文 題 名

北海道における農用地の造成と整備保全に関する土壌学的研究

学 位 論文 内 容 の 要旨

  農 業 基 本 法 の 成 立 に と も な っ て 制 度 化 さ れ た 農用 地 開発 事 業25年間 の 造 成 対 象 地 に っ い て 土 地 条 件 と 整 備 水 準 を 集 計 整 理し , 今後 の 農用 地 の 造 成 と 整 備 保 全 に お け る 土 壌 学 的 課 題 を 現 地 調 査 に よ り 究 明 し た . 1.北 海 道 に お け る 国 営 農 用 地 造 成 対 象 地 の 土 地 条 件 , 整 備 水 準 と 今 後 の 課題

  農 用地(普通畑と公共草地)造成対象地の土地条件(傾斜,土層厚,土性,

礫 含量および 土壌タイプ )と整備水 準(各種の 土地改良と 土壌改良資 材)を 集 計 整 理 し , 今 後 の 造 成 と 整 備 保 全 に お け る 課 題 を 抽 出 し た .

! ) 両 造成 と も, 造 成面 積 の広 い 道東 や 道北 地 方で 平 坦地 の割合が高 く,

湿 性 土 壌 で 暗 渠 排 水 を 施 工 す る 面 積 割 合 も 高 か っ た. こ れに 対 して , 道 南 地 方 は 逆 の 傾 向に あ った . 室蘭 地 域で は 畑地 造 成の7割 強が 粗 粒火 山 灰 土 壌によって 占められた .

2) 両 造 成 と も 造 成 面 積は 逐 年減 少 し, 傾 斜地 の 割 合が 増 加し た .こ の た め , 暗 渠 排 水 を 施 工 す る 面 積 割 合 は 減 少 傾 向 に あ った . 畑地 造 成で は 改 良 山 成 エ 造 成 や 心 土 破 砕 を 施 工 す る 面 積 割 合 が 増 加し , 近年 で はこ れ ら が 全造成面積 の半分を占 めるように なった。

3) 収 益 性 の 低 い 公 共 草地 で は普 通 畑と 異 なり , 傾 斜地 が 多く 選 定さ れ , さ ら に 低 い 整 備 水 準 で 造 成 さ れ て き た . こ の た め ,公 共 草地 で は侵 食 対 策 を 含 め た 再 整 備 の 必 要 性 が 高 い こ と が 明 か に な っ た .

2.農用地の造成における土壌の変化とその課題 Zー1.表土の薄い土壌地帯における草地造成法

  表土が薄い粗粒火山灰地において,レーキ1゛ーサ゛を用いた慣行法を対照と し , 即地 破 砕 工法 に よっ て 草地 を 造成 し た. 牧 草収 量 の推 移 ,造 成 後 の 耕 土 の理 化 学 性お よ び耕 土 内に 残 留し た 粗大 有 機物 の 消長 を 調ベ , 本 工 法の有効性を明かにした.

192

(2)

  1) 即 地 破 砕 区 の 牧 草 の 発 芽 率 と 収 量 は 慣 行 区 に 優 っ た ・   Z) 即 地破 砕 区の 耕 土は 未 耕地 の 表土 に 由 来し ,慣 行区の耕土 は未耕地の 心 土 に 表 土 が 混 入 し た も の で あ っ た . こ の た め , 即 地 破 砕 区 で は 耕 土 の 性状は慣行区より良好となった.

3) 造 成 時 に , 即 地 破 砕 区 の 耕 土 に 混 入 した 前 植 生の 切 削片 は 急速 に 腐朽

・消失した.

2−2.改良山成工により造成した畑土壌の性状 2←2−1改良山成工造成畑の物理的性状とその課題

    最 近 の畑 地 造 成の 大 半は 傾 斜改 良 を伴 っ た改 良 山成 工 によ る もの で , 造 成 後 の作 土 とな る 土層 は 表土 扱 いの 工 程に お い て圧 縮 や練 返 しを 受 け,

物 理 的 性 状 が 大 き く 変 化 す る . そ こ で , 土 壌 の 異 な る4造 成 地 に お い て 表 土 扱 い 層 を 中 心 に そ の 物 理 的 性 状 の 経 時 変 化 を 調 査 し , 改 良 山 成 工 造 成における留意事項を明かにした.

1) 表 土 扱 い 層 の 大 部 分 は 未 耕 地 のA層 お よびB層に 由 来す る もの と 推定 さ れた.

2)粗 粒 質な 土 壌で は ,表 土 戻し 直 後, 造 成直 後 および造成 数年後の表 土 扱 い層 の 容 積重 はlg/cm 以 下と 小 さく , 重力 水 孔隙量(CP)および易 有効 水 分 孔 隙 量 (RA) は い ず れ も10% 以 上 で 良 好 な 孔 隙 分 布 を 呈 し た . 3) 中 〜 細 粒 質 な 土 壌 で は 表 土 扱 い 作 業 によ り 土 眉が 圧 縮さ れ ,表 土 戻し 直 後 のCPお よ びRAは い ず れ も10X未 満 に 減 少し た .こ れ ら 土壌 で の両 孔 隙 量 の 増 加 ・ 回 復 は 施 工 時 の 土 壌 水 分 や 合 ま れ る 粘 土 鉱 物 に よ っ て 大 き く 異 な っ た . 膨 潤 性 粘 土 を 含 む 土 壌 で は 特 に 少 水 分 時 に 施 工 す る 必 要 が あ ると考えられた.

4) 上記 の 土壌 物 理性 の 変化 は 収縮 特 性と 微 細構 造 の面からも 証明された . 2−2―2改良山成工造成畑の可給態微量要素含量

  改 良 山 成 工 造 成 畑 の 作 土 の 可 給 態 微 量 要 素 含 量 を 測 定 し , 全 成 分 組 成 や母材との関係を検討した・

1) 可給 態Cu,Znお よびMn含量 は 相互 に 有意 な 相関 が認めら れ,また, これ ら3要素は全硅酸含量と負,全鉄および全アルミニウム含量と正の相関を有した.

酸 性 岩 質 の 母 材 に 由 来 す る 土 壌 は 全 硅 酸 含 量 が 高 く , 可 給 態Cu,Znお よ びMn含 量 は 土 壌 診 断 基 準 値 よ り 少 な か っ た . し た が っ て , 可 給 態Cu.Zn お よ びMn含 量 の 過 不 足 は 母 材 の 岩 質 か ら 予 見 で き る と 推 論 さ れ た , 2) 可 給 態Bおよ びMo含 量 には 上 記の よ うな 相 関は な く, そ の過 不 足の 予 見 は困難であった.

―193―・

(3)

2−3. 各種 酸性硫 酸塩 土壌 の区分 、分 布お よび 性状

1) 大 規 模 な 切 土 を 伴 う各地 の農 用地 造成 地や客 土材 採取 地で地 表に 露出 後 ,強 酸性 となる 酸性 硫酸 塩´土 壌を 見い だし た。こ れを 海成 ,火山成に 大 別し ,そ の分布 と性 状の 差異を 明か にし た.

2) 農 用 地 造 成 ぬ ど に おける ,酸 性硫 酸塩 土壌に よる 被害 防止の ため の調 査 ・対 策手 法を明 示し た.

3.農用地の整備保全における土壌学的課題

3―1. 排 水 不 良 畑 の 性 状 、 特 に 暗 渠 排 水 埋 戻 し 部の 性 状 と そ の 改 良 対 策   北 海 道 の 農耕 地 土 壌 の40% は 排水 不良 土壌 であ り,こ れら には 暗渠 排水 が 広 く 施 工 さ れ て い る が , 施 工 数 年 後 に は そ の 機能 が 低 下 す る 圃 場 も あ る . そ こ で , 暗 渠 排 水 が 施 工 さ れ た 重 粘 土 と 泥 炭土 の 圃 場 に お い て 排 水 不良原因を解明し,その改善対策を検討した.

1) 重 粘 土 圃場 で は , 埋 戻 し 上 部 は 圧 縮 され た 状 態 に あ っ た . 埋 戻し 下部 は 容 積 重 は 小 さ か っ た が , 多 水 分 状 態 の た め 土 壌構 造 が 変 化 し て い た . こ の た め , 埋 戻 し 上 部 と 下 部 のCPは と も に 少 な く, 透 水 性 は 不 良 で あ っ た . し た が っ て , 掘 削 土 を そ の ま ま 埋 戻 す の で はな く , 多 量 のCPを 保 持 で き る 資 材 を 埋 戻 す こ と が 暗 渠 排 水 の 機 能 維 持 に 有 効 と 考 え ら れ た . 2) 資 材 と して 砂 利 を 使 用 し た 改 良 暗 渠 を重 粘 土 圃 場 で 試 験 施 工 し, 埋戻 し 部 が 水 み ち と し て 機 能 し , 地 下 水 位 が 低 く 推 移す る こ と を 確 認 し た . 3) 泥 炭 土 圃場 に お け る 暗 渠 排 水 の 機 能 低下 に は 上 記 の ほ か , 沈 下に よる 凹地形の形成が関与していることを明かにした・

3―2.農耕地土壌の孔隙分布特性分布図とその利用法

  農 耕 地 土 壌の 深 さ50cmま で の 孔 隙 分 布を 約600地 点 で 測 定 し ,CPお よび RAの 地 域 お よび 土 壌 毎 の 統 計 量 を 算 出 する と と も に ,25mm単 位 の5段 階に 設色した分布図を作成した。

1)CPおよ びRAの両分 布図 によ り排水 ・保 水特 性の 分布が 一目 で判 読さ れ,

耕種管理や農地整備に活用できることを示した.

2) 同 一 類 型の 土 壌 で も , 母 材 な ど の 相 違に よ り 両 孔 隙 量 が 大 き く異 なる 例も認められた.

3)原数値テ゛−タをデータベース化し,孔隙量の断面分布を容易に判読でき,

土 地 改 良 な ど の 要 否 に 関 し 有 効 な 情 報 を 提 供 で き る よ う に し た .

‑ 194

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

佐久間 梅田 但野 波多野

学 位 論 文 題 名

敏雄 安治 利秋 隆介

北海道における農用地の造成と整備保全に関する土壌学的研究

   本論文は総ページ数210 ページ,表63 ,図64 ,添付地図2 葉からなる和 文論文で,他に参考論文20 編が添えられている.

   土壌資源を持続的に利用するためにはその特質を適切に分析・評価し,

それに基づいて地域の環境条件に応じた農用地の造成・改良および管理

・保全対策をこうずることが不可欠である.本論文は北海道における農 用地の造成と改良を主題にしてこの問題に取り組んだものである.

   第 I 章では北海道における農用地開発の展開過程を要約し,研究の重 点を農業基本法成立以降の国営農用地開発事業に置くことにした.

   第 u 章では,北海道の国営農地および草地開発事業地区147 地区の土地 資源調査結果を集計し,低平地の排水不良地面積は減少,傾斜地面積は 増加しっっあり,対象地の地形,土壌条件が逐年悪化の趨勢にあること を明らかにした.これに基づいて,新規造成地にっいては保全的造成法 の開発と改良山成工による造成法の改善が,また,既開発地については 湿 地 畑 に お け る 排 水 の 機 能 維 持 が 重 要 な こ と を 指 摘 し た .    第 m 章では新規造成地における即地破砕工および改良山成工による造 成地の土壌学的問題を取り上げて研究している.

   即地破砕工法が開墾過程における表土の損失を防止するのに有効で,

在来法よりも高い初期生産カをもたらすことを確かめ,表土の薄い粗粒 火山灰土壌ナょどの草地造成法として優れた方法であることを示した.

   改良山成工にっいては,共通的問題として造成にともナょう土壌物理性 の劣化を先ず取り上げ,造成から8 年にわたってその変化を追跡し,微細 構造の観察結果と合わせて次のことを明らかにした.1 )切盛土および運 土の過程で孔隙特性が大きく変化する.2 )中〜細粒質な土壌では造成作 業による粒団の破壊と圧縮がとくに顕著で,,表土戻し直後の重力水・易 有効水孔隙量はいずれも著しく小さな値になり,排水性,保水性の劣化

195 ‑

(5)

が激しい.3 )これらの変化は膨潤性粘土鉱物を主成分とする土壌が高水 分で処理されたときにとくに顕著で,その回復にも長時間を要する.

   次に,改良山成工造成地の特殊問題として微量要素の過不足と深層の 不良土壌の影響にっいて検討している.微量要素問題にっいては酸性岩 質の母材に由来する造成地土壌はCu ,Zn およびMn に欠乏する可能性があ るとし,全分析によるSi ,Al ,Fe 含有率からこれらの過剰または欠乏の 可能性を予察できることを示した.深層の不良土壌にっいてはその代表 例として酸性硫酸塩土壌にっいて研究し,海成,火山成に大別して分布 と鉱物学的・化学的性質の違いを明らかにするとともに,いずれも好気 的環境になると多量の酸を生成するためその悪影響を除去しにくいとし,

こ の種土壌を耕土にすることは避ける方がよいとの判断を示した.

   第1V 章では既造成農用地の整備・保全における土壌学的問題として,

暗渠排水の機能低下にっいて研究し,暗渠排水施工数年後にその効果が 低下する例があること,このような圃場では暗渠埋め戻し部の重力水孔 隙が経年的に減少し,これが排水機能の低下をもたらしていることを明 らかにした.重力水孔隙減少の原因が埋め戻し層上部の機械的圧縮と同 下部における粗粒団の崩壊にあると推定し,そうした影響を受けにくい 資 材を使用した改良暗渠を試験施工してその効果を確認している.

   さらに,農用地の造成および整備にまっわる土壌物理性の問題がいず れも孔隙分布特性に関係していることを重視し,農牧適地の土壌約600 地 点の孔隙分布を測定・整理して分布図を作成するとともに,その基礎に ナよった数値情報をデータベース化した.

   第V 章では第III ,IV 章の結果を総合考察し゛て土壌資源評価の指標を導 き , こ れ に 基 づ い た 調 査 計 画 手 法 の 体 系 化 を 試 み て い る .    以上本論文は農用地の造成と維持管理に関する土壌学と農業工学の境 界領域の問題を多面的に解明したものであり,学術的に重要ナょ成果をも たらしただけでなく,土壌資源の評価とそれに基づいた農用地の造成お よ び改良に関する実際的問題の解決にも寄与するところ大である.

   よって審査員一同は別に行った公開発表および学力確認試験の結果と あわせて本論文の提出者石渡輝夫は博士(農学)の学位を受けるのに十分 な資格があるものと認定した.

196

参照

関連したドキュメント

成人では、開瞼時では縦の瞼裂の3 剖程慶、閉験時でf 幸7

( 1 ) サ ーマ ル、 ( 2 )プロンプト、(3 )リバーニング、の 3 種類のメカニズムを考慮 し て NO 生 成 モ デ ルに 組入 れた 。試 験炉 での 解析 結 果は 、計 測さ れた NO 発

   本論文の構成は大き< 3

  

[r]

となり,この結果は北海道内の他の地域への適用が可能であることもわかった。また,林分の成長お

これに根からのクエン酸放出が関わっていることが示された。 Ac ロc 血m ロngmm の根では、高 濃度の培地AI により何らかのAl キレート物質の放出が誘導され、

1 )根の表面積を簡易に測定するため、パーソナルコンピューターを用いて画像処理 し、これを直接測定する方法を開発した。投影図からの根表面積の計算方法は根を円