論文内容要旨
論文題名
A standard intervention practice to promote appropriate lamotrigine therapy by pharmacists
ラモトリギン適正使用に向けた処方監査手順の評価
専攻科目名 生物化学 氏名 嶋村弘史
内容要旨
[背景・目的]ラモトリギンは、てんかん及び双極性障害に対する適応を もつ薬剤である。Stevens-Johnson 症候群などの重篤な皮膚障害が報告 されており、これらの副作用発現頻度は承認用量を超えて使用した場合
10.4%、承認用量内の場合は 2.9%である。医薬品副作用被害救済制度に
おいては、皮膚障害などの副作用が発現しても不適正使用の場合は給付金 が支給されない。ラモトリギンの用法用量は、適応疾患、年齢、併用薬及 び投与開始からの投与期間により異なっており、薬剤師が処方監査するう えで非常に苦慮する。そのため、ラモトリギンの処方監査を徹底し、不適 正な処方に対してはすべての薬剤師が確実に疑義照会できるよう
2013
年7
月から処方監査手順を導入した。処方監査手順導入前後の処方箋調査に より、その効果を評価した。[方法]ラモトリギン添付文書をもとに用法用量確認表を作成した。
2013
年7
月から適応疾患、年齢、併用薬、投与期間の4
点を確認し、用法用量 確認表をもとに処方監査することにした。2011 年7
月から2015
年6
月 までの期間にラモトリギンが処方された入院患者77
名を対象に、診療録 及び処方箋によりラモトリギンの処方の適正性、疑義照会の有無及び皮疹 の副作用の有無について後方視的に調査した。処方監査手順導入前後2
年 間で、処方の適正性及び薬剤師による疑義照会実施件数を比較した。なお、本研究は、昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会に て承認を得て実施した。
[結果]処方監査手順導入前患者数
33
名、処方箋枚数200
枚、導入後患 者数44
名、処方枚数223
枚であった。導入前後での不適正処方の割合は、それぞれ
29.0%と 12.1%であり、有意に減少した(P < 0.05)。不適正処方
のうち、初期投与量過剰事例が導入前後で9
件から0
件となった。副作用 は導入前に皮疹疑いが1
件あり、初期投与量過剰事例であった。一方、導入後に皮疹の副作用はなかった。疑義照会実施件数は、導入前後で
1
件(1.7%)から
10
件(37.0%)に増加した。導入後、疑義照会が実施され ていない事例は維持用量の過少・過剰事例で、多くは以前からの継続処方 であった。[考察]処方監査手順導入後、有意に疑義照会実施率が増加し、不適正処 方が減少した。処方監査の要点(疾患、年齢、併用薬、投与期間)を明確 にしたためと考えられる。本手順導入前に初期投与量過剰患者で皮疹疑い が
1
名いた。皮疹発現のリスクとして初期投与量過剰があるため、初期投 与量が過量の場合は、適正な用量を遵守すべきである。導入後は、初期投 与量過量事例は9
件から0
件に減少した。皮疹の発現もなく、リスク軽減 につながっている。本手順導入後、不適正な用法・用量にもかかわらず、疑義照会していない事例が見受けられた。すべて維持期間中の事例であり、
持参薬継続や前回処方からの継続処方であった。以前からの用法・用量継 続例においても、特に投与量過剰の場合は、一度は疑義照会し、適正な用 量にすべきと考える。