氏名・(本籍)
学位の 挿∴類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件
学位論文題目
論文審査委員
蒜 美 音(神奈川県)
工 学 博 士
工博甲第 21 号 昭和59年3月28日 学位規則第5条第1項該当
電子科学研究科 電子応用工学専攻
ディジタル2値画像の形状解析アルゴリズムに関する 研究
(委員長)
教 授 鈴 木 久 喜
助教授 阿 部 圭 一 教 授 安 藤 隆 男 教 授 秋 山 鉄 夫 教 授 松 本 欣 二 助教授 堀 部 安 一 助教授 落水浩一郎
論文内容の要旨
ディジタル画像処理の分野では,文字認識,医用画像処理,リモートセンシングなどの目的のた めに,いままでに様々な処理手法が研究された。近年,ハードウェアの急速な発達によって,より 大規模な画像の処理や画像の並列処理が可能になるとともに,処理対象や目的が多様化している。
このような現状において,既存の処理手法だけでは十分でなく,新しい処理手法を開発することが 望まれている。また,既存の画像処理手法のなかで,汎用性の高い,すなわち,特定の画像を対象 としない基本処理手法は,様々な画像の処理にひんぽんに使われる。そこで,それらの基本処理手 法を体系的に整理し,有効なアルゴリズムを蓄積することが必要である。特に,処理速度の向上と いう目的から,汎用の逐次型電子計算機による大規模な画像の処理に向いたアルゴリズムと並列処 理専用ハードウェアによる処理に向いたアルゴリズムの必要性は高い。
本論文は,陣形部分の画素の値を1,背景部分の画素の値を0とする2値画像を入力とする処理 手法について,上記の観点から次の目的で行った研究をまとめたものである。
(1)新しい処理手法を開発する。
(2)既存の各基本処理手法に対して,汎用の逐次型電子計算機向きの逐次型アルゴリジム及び逐 次追跡型アルゴリズムと,並列処理専用ハードウェア向きの並列型アルゴリズムを整備する。
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まず,線図形距離変換に対して,波の伝搬モデルをそのまま定式化した定義を示した。この定義 は,従来のものより簡単な並列型アルゴリズムを与える。また,線図形距離変換の逐次型アルゴリ ズムと逐次追跡型アルゴリズムを提案した。これらは,逐次型電子計算機を用いる場合には,並列 型アルゴリズムより少ない反復回数で処理を行える○実験の結果,これらのアルゴリズムは,処理 速度を1.5倍から3.5倍向上させた。
第二に,Max型距離変換を提案した。この処理手法は,波の伝搬していない1−画素のトポロ ジカルな性質をほぼ保存しながら,背景と図形の境界から波を伝搬速度1画素//単位時間で図形部 分に伝搬する。そして,波が伝搬した時刻を各1−画素の値とする。この処理によって得られる距 離値は,図形の中心線にそって大きくなる○従って,この手法は,細線化,図形の長さの計測及び
1−画素の連結成分の構造解析などに有効である。
第三に,図形融合に対して,画像の縁に影響されない並列型アルゴリズムと逐次型アルゴリズム を提案した。これらは,図形融合を拡散と収縮に分解したときの最初の演算を距離変換とともに実 行し,次の演算を最初の演算で得られる距離情報を用いて行うというアルゴリズムである。これら のアルゴリズムでは,図形融合について無限に広がる画像上で成り立つ性質のほとんどが,有限の 大きさの実際の画像上でも成り立つ。また,このことを利用して,提案したアルゴリズムが,少数 個の処理装置による並列処理にも適することを示した。
第四に,6つの新しい図形融合演算を提案した○これらの処理手法は,次のようにして導出し た。まず,原画像の1−画素の連結成分の個数を変えない拡散(トポロジカルな拡散)と,原画像 の穴の個数を変えない収縮(トポロジカルな収縮)を定義した。そして,既存の拡散・収縮とトポ
ロジカルな拡散・収縮を逐次的に組み合せた○これによって,原画像のトポロジカルな性質をはば 保存する図形融合が4つと,その他の新しい図形融合が2つ得られた。これらは,形状のスムージ ング,連結成分の分割・併合,連結成分の包囲関係の解析に有効である。
第五に,細線化に対して,2サイクル方式並列型アルゴリズムを提案した。このアルゴリズム は,3×3よりやや大きい近傍を用いて,同時に消去できる画素は,なるべく消去するという方針 で,既存の4サイクル方式のアルゴリズムを2サイクル方式に変更したものである。提案したアル
ゴリズムの特徴は,反復回数が4サイクル方式より少ないことと,反復回数が少ない段階では画素 の除去条件をゆるめることによって,非常に良い画質の線図形が得られることである。
第六に,細線化に対して,距離情報を利用した逐次型アルゴリズムと逐次追跡型アルゴリズムを 提案した。これらのアルゴリズムでは,入力画像を距離変換し,その情報を使って中心線を残すよ うにしながら,1回の画面走査で境界から何画素分も細めている。提案したアルゴリズ項は,4回 又は6回の画面走査で実行できる。実験の結果,これらのアルゴリズムは,幅の広い図形の細線化
を逐次型電子計算機で行う場合の処理速度の向上に有効であった。
第七に・トポロジカルな特徴抽出のための境界追跡アルゴリズムを2つ提案した。−一つは,境界 を外周境界と孔境界に分類して,それらの間の包囲関係を抽出するアルゴリズムである。外周境界 と孔境界は,それぞれ1−画素の連結成分と穴に一対一に対応する。従って,このアルゴリズムに よって得られる境界とそれらの間の関係を記憶することにより,画像を復元することなく,いくつ かの特徴抽出や処理を行える。もう一つのアルゴリズムは,最も外側にある外周境界だけを抽出す
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る。1二画素の連結成分が他の1−画素の連結成分に囲まれていない場合,このアルゴリズムによ って,1画素の連結成分を計数することや1点で代表することを効率よく行える。
以上のように,本研究によって,二,三の新しい処理手法と既存の基本処理手法に対する有効な アルゴリズムが開発された。これらを用いることによって,画像処理技術の応用範囲を広げること が期待できる。
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