論文内容要旨
論文題名
Small Dense LDL Cholesterol is a Promising Biomarker for Secondary Prevention in Elder Men with Stable Coronary Artery Disease
(Small dense LDL コレステロールは安定した冠動脈疾患を有する高齢男 性における二次予防を予見する有用なバイオマーカーである.)
掲載雑誌(予定)
Geriatrics & Gerontology International
専攻名 医学研究科内科系内科学講座(循環器内科学分野) 酒井 孝志郎
内容要旨
目的)過去の先行研究にて, 低密度 LDL コレステロール(sdLDL−C)が LDL-C に独立して心血管イベント(CEs)の発生に有意に関連していることは知ら れているが,CEs の二次予防に関しては未だに一定の見解は得られていな い.今回, 我々は sdLDL−C が LDL-C を含む他の脂質バイオマーカーより CEs の二次予防を予見するのに有用であることを検証する.
方法)2003 年 9 月から 2011 年 12 月までに安定冠動脈疾患(CAD)を有する 65 歳以上の男性患者 345 名を対象とした.sdLDL-C はホモジェナス法で測 定し,レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C),LDL 粒子径(LDL-PD) などの他のバイオマーカーと比較検討した.CEs を心血管死,急性冠症候群 の発症,血行再建術の施行,入院加療を要する心不全または脳梗塞の発症, 心血管疾患に対する外科治療と定義した.採血時を起点として,60 ヶ月後 での CEs を評価した.
結果)対象患者の LDL-C 平均値は 100.5 ± 30.1 mg/dL であった.60 ヶ月 間 で 96 名 に CEs を 認 め た .CEs 群 で は 非 CEs 群 に 比 較 し て,LDL-C,sdLDL-C,non HDL-C,アポ蛋白 B,RLP-C,血糖,HbA1c,BNP が有意に 高値であり,LDL-PD 及びアポ蛋白 A1 が有意に低値を示した.sdLDL-C は LDL-C と比較して,中性脂肪(rho=0.452, P<0.001)や RLP-C(rho=0.516, P<0.001)などの動脈硬化惹起性マーカーとより強力な正相関を示した.カ プランマイヤー生存曲線では,sdLDL-C(中央値) 25mg/dL 以上は有意に CEs のリスクを増やした(log-rank 6.155, p=0.003).年齢調整された Cox 回帰 分析では,LDL-C ではなく sdLDL-C 10mg/dL 増加毎に CEs に有意に関連し た (HR 1.206,95%CI 1.006-1.446). さ ら に ス タ チ ン 内 服 患 者 群 (HR 1.252,95%CI 1.017-1.540),糖尿病患者群(HR 1.219,95%CI 1.018-1.460), 中性脂肪高値群(HR 1.376,95%CI 1.070-1.770)の高リスク CAD 患者群でも sdLDL-C は CEs と有意な関連を認めた.
結語)sdLDL-C はスタチン内服及び高リスクな安定 CAD 患者において CEs の二次予防を予見する最も有用なマーカーである.