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日本糖尿病学会誌第58巻第3号

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Academic year: 2021

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地方会記録

第 88 回日本糖尿病学会

中部地方会

会期:2014 年 10 月 26 日(日)

会場:名古屋国際会議場 2 号館

会長:岡山 直司

(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝 内科学) A-1 糖尿病性ケトアシドーシスを契機に,多腺性自己免 疫症候群 3 型と診断した 1 例 公立松任石川中央病院糖尿病内分泌内科 奥村美輝 赤堀 弘 68 歳女性.53 歳頃から近医で内服加療されていた.インス リン自己注射にて HbA1c13 %前後が続いた.意識障害の ため搬送され,糖尿病性ケトアシドーシスを認めた.抗 GAD 抗体 21000 U!ml,内因性インスリン分泌能は枯渇し ており,1 型糖尿病と診断.びまん性甲状腺腫,抗 TPO 抗体であり慢性甲状腺炎,さらに乾燥性角結膜炎を伴う シェーグレン症候群,RF 陽性と抗 CCP 抗体高値の慢性関 節リウマチの併発も認めた.経過より緩徐進行 1 型糖尿病 と上記疾患を合併した,多腺性自己免疫症候群 3 型と診断. 糖尿病治療経過中に,急速に血糖コントロールが不良に なった場合,自己免疫性甲状腺疾患などの自己免疫性疾患 の併発に留意し,1 型糖尿病の可能性を疑い,除外する必要 がある. A-2 ケトーシスで発症しその後インスリン非依存状態と なった抗 GAD,IA-2 抗体強陽性高齢者糖尿病の 1 例 名古屋大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科1 国立病院機構名古屋医療センター糖尿病・内分泌内科2 梅村臣吾1,2 2 福井彩子2 田實麻智子2 永井純子2 山田 努2 山家由子2 村瀬孝司2 症例は 73 歳女性.約 1 か月前より口渇出現し近医受診.血糖 440 mg!dl と高血 糖が判明しリナグリプチン内服, インスリングラルギン 8 単位!day 注射開始. 抗 GAD 抗体(GAD)高値が判明し 10 日後に当院紹介入院となった.入院時血 糖 167 mg!dl,HbA1c13.7 %,血中総ケトン体 470μ mol!l,GAD9700 U!ml,抗 IA-2 抗体 13.4 U!ml,血中 CPR2.0 ng!ml,尿中 CPR51μ g!day.糖尿病網膜症・ 腎症なし.内因性インスリン分泌は保たれていたが,GAD 陽性のためグラルギ ン 4 単位!day で継続,ボグリボース内服併用で退院.その後外来で血糖良好な ため退院 3 か月後インスリンを中止.退院 10 か月後には HbA1c5.3 %まで改 善,その後もインスリン非依存状態が続いているが GAD は 6300 U!ml と依然 高値である.抗体の内因性インスリン分泌への影響,糖尿病発症との因果関係は 不明であった.抗体と内因性インスリン分泌の推移等と併せて発表する. シスと鑑別を要した 1 型糖尿病の 1 例 名古屋市立大学病院内分泌糖尿病内科 堀田明沙美 今枝憲郎 安田聡史 大口英臣 八木崇志 蜂谷真代 岡山直司 【症例】52 歳女性.身長 159.5 cm,体重 39.4 kg,BMI15.5【現病歴】 2014 年 1 月頃から口渇あり,清涼飲料水を多飲していた.2 月下旬 から嘔吐 1 回!日,下痢,食欲低下あり.3 週間で 10 kg 体重減少し た.3 月上旬当院受診時,随時血糖 530 mg!dl,HbA1c(NGSP) 12.2 %,pH7.299,尿ケトン体 3+であり,経過よりソフトドリンク ケトーシスが疑われ緊急入院となった.入院後抗 GAD 抗体 8300 U!ml,尿中 C―ペプチド 16.9μ g!日から 1 型糖尿病と診断.強化イ ンスリン療法を導入した.また,入院時のスクリーニング検査より バセドウ病と診断した.また本症例では HLA 型で DRB1 0405-DQB1 0401 と 1 型糖尿病疾患感受性ハプロタイプを認めた.その 他自己抗体は認めなかった.【考察】バセドウ病と同時期に 1 型糖尿 病発症が認められた多腺性自己免疫症候群 3 型が疑われる症例を 経験した.今後ほかの自己免疫疾患の合併に留意する必要がある. A-4 鑑別を要する腹痛を伴い DKA を発症した 1 型糖尿 病の 1 例 独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター内科 奥田昌也 後藤浩之 田中剛史 症例は 48 歳女性.2 型糖尿病の診断で近医にてインスリン 療法を受けていたが,約 1 か月前より治療を中断していた. 来院日の朝から間欠的な上腹部痛を生じ,当院救急外来へ 搬送された.血液検査で血糖 561 mg!dl,尿中ケトン体 4+, 動脈血ガス pH6.959 であり DKA と診断された.また入院 後に抗 GAD 抗体陽性(26.4 U!ml)と判明した.さらに腹 部症状から急性腹症の合併を疑い,腹部単純 CTscan 検査 を施行したところ,胃から十二指腸の著明な拡張を認めた. DKA の治療に並行して絶食・経鼻胃管チューブ留置によ る保存的治療を行い,腹痛は速やかに軽快した.腹痛の併発 は,劇症 1 型糖尿病のみならず,DKA にしばしば認められ るが,まれに急性腹症との鑑別が必要な場合もあり注意が 必要である.今回,我々が経験した症例に若干の文献的考察 を加えて報告する. A-5 多職種が連携して糖尿病教育に関わった DKA で発 症した 1 型糖尿病の女児の 1 例 名古屋市立大学病院臨床栄養管理室1 名古屋市立大学大学院新生児・小児医学2 名古屋市立大学病院看護部3 名古屋市立大学病院薬剤部4 名古屋市立大学病院地域連携室5 名古屋市立大学大学院消化器・代謝内科学6 寺西絵美1 山田悠史1 田中達之2 吉田佳代3 木村理恵4 黒田絵美5 太田美穂1 水野晴夫2 岡山直司6 【症例紹介】1 歳 5 か月女児.食欲不振で他院受診し 1 型糖尿病による DKA と診断さ れ,当院に緊急転院となった.発育は正常範囲.【結果】点滴加療により病状改善.MD, RN,PhC,RD の連携を図り,母親に SMBG,インスリン注射,食事療法等の説明を 実施.理解力に応じた説明を行ったため,手技習得に時間を要した.特に,計算が苦 手なためカーボカウント習得は,資料の工夫や確認など苦渋した.食事は市販離乳食 (後期)と育児用ミルクを併用していた.発育に必要な食事計画を立て,指導.段階 的に進め,入院中は離乳食(完了期)を提供.退院後,地域連携室が関わり,訪問看 護や保健所保健師が介入.多職種で情報を共有し,外来栄養相談に繋げ,具体的な食 事指導を実施.【考察】今後変化する病態及び発育に伴う食事計画を継続的に支援す るためには,多職種連携による生活背景の理解が重要であることが示唆された.

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A-6 1 型糖尿病の母・娘例 トヨタ記念病院内分泌科 宮田 崇 岡田則男 加藤二郎 篠田純治 母は 39 歳時に随時血糖 249 mg!dl, HbA1c10.9 %(JDS), GAD 抗体 20.4 U!ml で 1 型糖尿病と判明.IA-2 抗体 4.7 U! ml,インスリン抗体は陰性.尿中 CPR37.9μ g!日であり緩 徐進行型と考えられた.インスリン強化療法を施行.娘は 17 歳時に随時血糖 200 mg!dl,HbA1c6.6 %,GAD 抗体 155 U!ml,インスリン抗体陽性で 1 型糖尿病と判明.食後 3 時間の血中 CPR2.5 ng!ml であり当初は緩徐進行型と思わ れた.インスリングラルギン開始したが血糖は悪化し,グル カゴン負荷で CPR0.2→0.3 ng!ml とインスリン分泌能は初 診から 2 か月間で急速に低下しており急性発症型と考えら れ CSII 導入となった.1 型糖尿病の親子例に関する報告で は子は親の診断時の年齢より若年で発症する例が多く,ま た親が緩徐進行型で子が急性発症型である例が多いとされ ており本症例も同様の特徴を示した. A-7 1 型糖尿病の姉妹例 トヨタ記念病院内分泌科 岡田則男 宮田 崇 加藤二郎 篠田純治 姉は 27 歳時に健診で耐糖能異常を指摘されるも放置.37 歳時に食思不振あり,随時血糖 948 mg!dl,HbA1c13.9 % (JDS),抗 GAD 抗体 38.6 U!ml で入院.CPR1.0 ng!ml,尿 中 CPR24.0μ g!日,グルカゴン負荷での Δ CPR0.86.妹は 41 歳時に健診で糖尿病を指摘され,近医で内服加療を開始.47 歳時に随時血糖 247 mg!dl,HbA1c12.0 %(JDS),抗 GAD 抗体 16.3 U!ml で紹介入院.CPR0.2 ng!ml,尿中 CPR6.4 μ g!日,グルカゴン負荷での Δ CPR0.3.2 症例とも緩徐進行 1 型糖尿病と考えられ,現在もインスリン治療中である.1 型糖尿病は 2 型に比べ家族内浸透率は低いと考えられてい る.1 型糖尿病の同胞間発症例では,発端者の同胞の 3∼ 6 %が発症,危険因子は父親が若年発症の 1 型糖尿病,発端 者が男児,同胞出生時の両親が高年齢などが報告されてい る. A-8 複合型下垂体機能低下症を合併した 1 型糖尿病の 1 例 大垣市民病院糖尿病・腎臓内科 藤谷 淳 加藤 誠 板野祐也 榎本康宏 三浦絵美梨 押谷 創 柴田大河 大橋徳巳 傍島裕司 55 歳女性,19 歳で糖尿病を発症し 25 歳でインスリン導入,53 歳で原 発性甲状腺機能低下症の治療を開始.デテミル 2 単位で HbA1c7.5 % 前後であったが,意識障害で当院へ搬送され血糖 28 mg!dl,Na116 mEq!l認め当科へ入院.低血糖時のインスリン分泌は<0.6μ IU!ml

と抑制され,内分泌学的検索を開始.頭部 MRI で empty sella を認 め,4 者負荷試 験 で ACTH,TSH,GH 系 は 無∼低 反 応,GHRP-2 負荷は GH は正常反応であり,ACTH・TSH 欠損の複合型下垂体機 能低下症(CPHD)と診断.GAD 抗体,甲状腺自己抗体,下垂体抗 体は陰性だが, グルカゴン負荷で C ペプチド値の増加は 0.1 ng!ml, インスリン依存状態(IDD)の 1 型糖尿病と診断.ヒドロコルチゾン 10 mg の投与で自覚症状は軽快,血糖はアスパルト 3 回法 1 日 12 単位で管理している.IDD であるが基礎分泌補充なく経過している 症例であり,CPHD の合併症例として文献的考察を含め報告する. A-9 インスリン分泌能が保持された,バセドウ病合併 GAD 抗体陽性糖尿病患者の 1 例 福井県済生会病院 若栗ひとみ 青木桂子 金原秀雄 久田あずさ 番度行弘 症例は 43 歳男性.2014 年 2 月末より口渇,多飲が出現,3 月の検診で随時血糖 393 mg!dl を認め当院紹介入院.空腹 時血糖 215 mg!dl,HbA1c7.8 %,尿ケトン陰性,抗 GAD

抗 体 1633.9 U!ml,抗 IA-2 抗 体 12.7 U!ml,TSH 0.01 IU! ml,FT3 8.00 pg!ml,FT4 2.52 ng!dl,TSHRAb 27.7 IU!l, 抗 Tg 抗体 503.9 IU!ml であり,糖尿病とバセドウ病の合併 例と診断し,インスリン療法,MMI 内服を開始した.一方 尿中 CPR は 104.8μ g!day と保持され,インスリン中止後 も血糖コントロールは 100 mg!dl 前後と良好だった.本症 例は自己抗体強陽性で急性の発症病態を呈したが,インス リン分泌能は保持された比較的稀有なバセドウ病合併糖尿 病症例であり,文献的考察を加え報告する. A-10 右母指壊疽を生じた 1 型糖尿病 名古屋市立東部医療センター内分泌内科 稲垣明子 竹田勝志 増渕孝道 赤尾雅也 症例は 63 歳,男性.1 型糖尿病,高血圧症,脳梗塞後遺症 で当院外来通院中であった.1 型糖尿病は発症後,約 2 年の 経過.201X 年 6 月中旬,右母指の変色で受診.発熱は認め られなかったが,WBC34170!μ l,CRP38.9 mg!dl と炎症反 応を認め,右母指蜂窩織炎の診断で入院となった.入院後, 抗生剤の投与で炎症所見は改善し,外来で経過観察となっ た.整形外科で壊死した右母指の離断術が検討されたが,8 月中旬,デブリ中に右母指は自然脱落した.上肢の糖尿病性 壊疽はまれと考えられるため,文献的考察を加え報告する. A-11 SLE の治療中に発症した劇症 1 型糖尿病の 1 例 黒部市民病院内科 吉澤 都 東 友理 家城恭彦 竹田慎一 37 歳女性.19 歳∼SLE で定期通院中(PSL10 mg!日),2013 年 8 月慢性甲状 腺 炎 に よ る 甲 状 腺 機 能 低 下 症 を 発 症, Levothyroxine25μ g!日で治療開始.2014 年 5 月 X 日∼口 渇,5 日後∼多飲多尿を自覚.10 日後の定期診察で 7 kg!6 か月の体重減少と随時血糖 388 mg!dl,HbA1c6.1 %,尿糖 陽 性,尿 ケ ト ン 陽 性 よ り 入 院.BMI15.2,血 圧 132! 84 mmHg,皮疹なし,胸腹部異常なし.抗 DNA 抗体 10.5

IU!ml と陽性であったが,抗 GAD 抗体,抗 IA-2

抗体,ICA-IgG 全て陰性.sAmy128 IU!l,グルカゴン負荷試験:sCPR

(mg!dl)0 分!6 分=0.1!0.1.劇症 1 型糖尿病の診断基準を

満たし,血糖コントロールが極めて不安定よりインスリン ポンプ治療を導入.自己免疫性疾患の治療中に発症した劇 症 1 型糖尿病は稀であり臨床経過を報告する.

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A-12 IA-2 抗体陽性を示した 1 型糖尿病の 1 例 岐阜大学医学部附属病院1 岐阜市民病院2 浅野元尋1 池田貴英1 川島実可子1 谷本真由美1 森 一郎1 山内雅裕1 梶田和男1 森田浩之1 石塚達夫2 症例は 37 歳女性.X−1 年 8 月に健診で空腹時血糖 103 mg!dl, HbA1c6.7 %を指摘.X 年 1 月,随時血糖 558 mg!dl,血中ケト ン体高値,尿糖 4+のため当科に紹介入院.身長 151 cm,体重 45 kg,BMI20 kg!m2,随時血糖 269 mg!dl,HbA1c11.9 %,空 腹時血中 CPR0.36 ng!ml,尿中 CPR6μ g!日,抗 GAD 抗体陰 性,抗 IA-2 抗体 37 U!ml.糖尿病食 1,400 kcal,強化インスリン (超速効型朝 8 単位,昼 5 単位,夕 5 単位,持効型就寝前 11 単位) で血糖コントロールは安定.HLA-DNA タイピングで日本人 1 型糖尿病と関連がある DRB1*09:01 を認めた.抗 IA-2 抗体は 若年発症 1 型糖尿病患者に出現頻度が高く発症前から出現し,1 型糖尿病の発症予測マーカーとも考えられている.抗 IA-2 抗体 と抗 GAD 抗体とは低い相関を示す報告もあり,中年以降発症 の 1 型糖尿病が疑われる症例において,抗 GAD 抗体陰性でも, 抗 IA-2 抗体測定が, 1 型糖尿病の診断に寄与することがある. A-13 MDS に合併した膵島細胞質抗体陽性劇症 1 型糖尿 病の 1 例 三重大学医学部付属病院糖尿病内分泌科1 三重大学医学部付属病院消化器肝臓内科2 尾崎加奈子1 岡野優子1 橋本 礼1 堀田康広1 上村 明1 安間太郎1 大西悠紀1 鈴木俊成1 古田範子1 矢野 裕1 竹井謙之2 【症例】71 歳,女性【主訴】口渇,多飲,多尿【現病歴】70 歳時に,耐糖能障 害を指摘されていた.この頃から大球性貧血を認め,精査により MDS と診断. 以後当院血液内科に通院していた.外来受診の 2,3 日前に,口渇,多飲を認 め,血糖高値を指摘され当科紹介.DKA と診断され,入院となった.【経

過】HbA1c8.1 %,随時血糖値 426 mg!dl,血液 PH7.29,HCO311.4 mmol!l,

尿ケトン 3+であり,糖尿病性ケトアシドーシスを認めた.膵島細胞質抗体陽 性,尿中 CPR3.3μ g!日,グルカゴン負荷試験は基礎値 0.2 ng!dl,頂値 0.3 ng! dl であり,内因性インスリン分泌が低下していた.以上より,劇症 1 型糖尿病 と診断し,強化インスリン療法開始し血糖値は改善した.また,合併症は認め なかった.【総括】MDS に合併した 1 型糖尿病の報告と今回の発症様式は極め て稀である.診断に苦慮した 1 例であり,文献的考察を加え報告する. A-14 関 節 リ ウ マ チ と の 鑑 別 を 要 し た 糖 尿 病 性 Stiff-Hand 症候群の 1 例 あま市民病院内科 熊崎由佳 熊崎 滋 黒田憲治 鈴木大成 岡田雅美 神谷吉宣 症例は 40 才女性.14 才時に発症した 1 型糖尿病で,網膜症 は前増殖期網膜症で腎症は第 2 期である.H24 年に入った 頃から両側の PIP・MCP 関節痛と朝のこわばり感と両手 指の屈曲制限と両中指の伸展制限が出現した.リウマチ因 子 186.6 抗 核 抗 体 x320 ESR48 mm!H:87 mm!2H の血液 検査より関節リウマチを疑ったが,抗 CCP 抗体,抗 DNA 抗体,抗 RNP 抗体は陰性であり,手指 XP も正常であった. 保存的治療にて症状が軽快するとともにリウ マ チ 因 子 (12.4)と抗核抗体は陰性化し ESR(20 mm!H)も低下した. 1 型糖尿病に合併した Dupyuitren 拘縮および Stiff-Hand 症候群と診断をした.糖尿病性 Stiff-Hand 症候群の増悪時 に血液検査異常を呈したため,関節リウマチとの鑑別が困 難であった 1 型糖尿病患者を経験したので報告する. A-15 1 型糖尿病における糖質制限食と CGM を用いた基 礎インスリン量調節の試み 金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学 齋藤麗奈 竹下有美枝 金森岳広 中川浩実 御簾博文 篁 俊成 1 型糖尿病に対する基礎インスリン量の評価法は一般的に 絶食法が行われるが,食事中蛋白質や脂質が基礎インスリ ン必要量に寄与することから,我々は糖質制限食を用いた 方法を試みており,その有用性を検討する.1 型糖尿病 16 名に対し,10 %糖質制限食下に基礎インスリンのみでの血 糖変動,CGM デ ー タ を 解 析 し た.患 者 は,年 齢 53±14 歳,HbA1c8.9±2.3 %,総インスリン量 35±16 単位!日(頻 回注射 12 名,CSII4 名).糖尿病食下の平均血糖 156±45 mg!dl,SD49±18,M 値 97±118,糖質制限食後の平均血 糖 146±62 mg!dl,SD37±19,M 値 94±127 となった.糖 質制限食後の血糖が,基礎インスリンの過不足,あるいは脂 質由来糖新生を反映するものと推測する.本法の有用性と 課題を考察する. A-16 清涼飲料水ケトーシスから重症急性膵炎に至り,集 中治療にて救命し得た肥満を伴う初発 2 型糖尿病 の 1 例 富山県立中央病院内科(内分泌・代謝) 古村芳樹 島 孝佑 加藤健一郎 臼田里香 【症例】19 歳男性.BMI34.7.口渇,清涼飲料水多飲 2 週間後,上 腹部痛,意識障害にて搬送.JCSII-10,BP64!35 mmHg,HR108!分, PG1722 mg!dl,HbA1c11.4 %,血液ガス pH7.1,pO2 112.0 mmHg, pCO2 22.9 mmHg,HCO3-6.3 mmol!l,尿ケトン(+)より DKA と 診 断.s-Amy1311 IU!l,Lipase1631 U!l,TG173 mg!dl,CT 上膵腫大し前腎傍腔まで炎症波及.ICU にて生理食塩水 10 l!日,イ ンスリン(I)0.1 U!kg!時(投与量 120 U!日)開始.ガベキサート メシル酸塩,メロペネムで重症急性膵炎改善.GADAb(−),u-CPR92.9μ g!日.I 漸減し 3 ヶ月後,薬物療法なく HbA1c5.2 %.75 gOGTT では血糖(mg!dl)!IRI(μ IU!ml)83!8.3(前),145!52.5 (30 分),167!68.6(60 分),164!92.4(120 分),I.I0.82.【考察】DKA が急性膵炎の誘因となり,その後相互の病態を増悪させたと思わ れる.肥満症例の報告と合わせて病態を若干の考察をする. A-17 血糖値 1652 mg!dl ,2210 mg!dl であった高血糖 高浸透圧症候群の 2 例 福井県立病院 浅香裕之 勝田裕子 若杉隆伸 【症例 1】57 歳男性.脂質異常症,高血圧症にて加療中.清 涼飲料水 5 l!日程度摂取.全身倦怠感にて受診.血糖 1652

mg!dl,HbA1c11.1 %,Cr1.91 mg!dl,HCO3-26.4 mmol!l, 尿ケトン(−).血清 CPR 測定感度以下.抗 GAD 抗体,抗 IA-2 抗体,インスリン抗体陰性.インスリン治療後,内因

性インスリン分泌は回復し,内服治療へ変更.【症例 2】36

歳男性.半年程前より HbA1c7 %台.清涼飲料水 3 l!日程度

摂取.意識障害にて他院受診,当院搬送.血糖 2210 mg!dl,

HbA1c14.4 %,Cr4.81 mg!dl,HCO3-14.2 mmol!l,尿ケト ン(−),血清 CPR 測定感度以下.抗 GAD 抗体,インスリ ン抗体陰性.インスリン治療後,内因性インスリン分泌は回

復し,インスリン離脱.【考察】顕著な高血糖をきたした要因

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A-18 急性膵炎に続発した高血糖高浸透圧症 候 群 後 に DPP-4 阻害薬単剤でコントロールし得た 1 例 大垣市民病院糖尿病・腎臓内科 加藤 誠 板野祐也 三浦絵美梨 榎本康宏 押谷 創 藤谷 淳 柴田大河 大橋徳巳 傍島裕司 症例は 73 歳男性.72 歳時より統合失調症の診断で近医精神科病院 にて入院加療中,意識障害,血清アミラーゼ上昇,腎機能低下を認 め当院へ救急搬送された.膵酵素,BUN,Cre の上昇と,血糖 1048 mg!dl,pH7.34,尿中ケトン 1+を認めた.腹部単純 CT で膵周囲に 脂肪織濃度上昇を認め,急性膵炎,高血糖高浸透圧症候群および高 度脱水による腎前性腎不全の診断で加療開始し,インスリン持続静 注で血糖コントロールを行った.第 9 病日までに膵炎は改善し一時 強化療法を行なったが,グルカゴン負荷試験で負荷前 CPR1.3 ng! ml,6 分後 CPR1.6 ng!ml とインスリン非依存状態と判断できた. インスリン自己注射が難しい症例であったためビルダグリプチン 単剤投与としたところ良好な血糖コントロールが得られ,第 22 病 日に退院となった.急性膵炎に続発した高血糖高浸透圧症候群後に DPP-4 阻害薬単剤でコントロールし得た 1 例を経験した. A-19 高浸透圧性脳症によると思われる片麻痺を来した 糖尿病性ケトアシドーシスの 1 例 静岡市立病院内分泌代謝内科 柿栖奈保子 脇 昌子 朴 貴典 杉山美帆 近藤仁江 【症例】53 歳男性.【既往歴】なし.【現病歴】13 年前糖尿病を 指摘されていたが放置.1-2 週間前から食思不振のため,清 涼飲料水を多飲.左上下肢の痙攣発作・意識レベルの低下 が出現し救急搬送.JCSIII-300,体温 40.3 ℃,左片麻痺を認 めた.受診時血糖値 1810 mg!dl,HbA1c16.8 %,pH7.08, カリウム値 8.3 mmol!l.一旦心停止したが,CPR により一 旦蘇生し入院.インスリン投与・補液により血糖値や意識 レベルは改善し,会話,経口食事摂取は可能となったが,左 上下肢の片麻痺が残存した.頭部 MRI では拡散強調像での み右大脳皮質表層にわずかに高信号を認めた.全身状態は 安定し,リハビリテーションを実施.【まとめ】著しい高血糖 による高浸透圧性昏睡で痙攣後に片麻痺を生じ MRI 所見 は乏しいながら,代謝状態改善後も片麻痺が残存した稀な 症例を経験した. A-20 低血糖性昏睡と敗血症で入院後にたこつぼ型心筋 症を発症した 1 例 静岡県立総合病院糖尿病・内分泌代謝センター1 静岡県立総合病院循環器内科2 馬屋原理英子1 森下加惠1 佐藤友里1 姜 知佳1 米本崇子1 小川達雄1 田口吉孝1 井上達秀1 田中一成1 西川隆介2 【症例】82 歳男性【既往歴】不安定狭心症【現病歴】糖尿病性腎症にて透 析中.2 型糖尿病についてはサキサグリプチンと混合型インスリン製剤で 加療されていたが HbA1c は 11.2 %とコントロール不良であった.2014 年 5 月 25 日夕方に意識障害が出現し当院に救急搬送.低血糖性昏睡,誤嚥 性肺炎併発のため入院となった.【入院後経過】低血糖性昏睡に対してブド ウ糖投与を行い意識レベルは改善,肺炎は敗血症にいたっており抗生剤の 投与を行った.入院 6 時間後より呼吸状態の悪化と心電図上 V2-4 の ST 上昇を認め,急性心筋梗塞疑いにて心臓カテーテル検査施行.新規の冠動 脈狭窄疾患は認めず,たこつぼ型心筋症,急性心不全と診断し治療を開始 した.心機能の回復を認め第 34 病日に退院となった.【結語】低血糖,敗血 症を契機として入院後に発症したたこつぼ型心筋症の 1 例を経験した. A-21 インスリノーマによる低血糖後脳機能障害に対し て diazoxide による血糖改善が有益に作用した 1 例 金沢医科大学糖尿病内分泌内科学 小倉慶雄 渡邉 愛 中川 淳 高木 晋 小西一典 北田宗弘 金崎啓造 西澤 誠 古家大祐 71 歳女性,糖尿病歴なし.2 年前より夜間不眠,1 年前から頻繁なもの 忘れに加え,夜間に体を震わせる発作性不随意運動出現,抗てんかん薬 開始も症状は悪化していった.2014 年某日午後,呼びかけに反応しなく なり,翌日夕になって当院救急外来搬送された.血中グルコース(PG) 27 mg!dl で当科入院(IRI6.1μ U!ml,CPR0.83 ng!ml).血糖改善後も 意識回復不十分,経管栄養+持続輸液行うが第 6 病日朝に低血糖再出現 した(PG52,IRI22.3,CPR3.09).CT で膵体部に径 2 cm の腫瘤認めイ ンスリノーマと考えられた.輸液グルコース増量し血糖日中 100∼140, 夜間 60∼70 台で推移した.意識改善したが,大声・昼夜逆転・介護へ の抵抗があり,管理困難により手術適応なしと判断された.入院 2 ヶ月 後より diazoxide 開始し,血糖は昼夜通して 80∼150 で推移,昼夜逆 転・介護への抵抗は改善,簡単な会話が成立するようになった. A-22 胆嚢炎による DIC 改善後にコハク酸シベンゾリン による薬剤性低血糖が疑われた 1 例 独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院内分泌・糖尿病内 科 山田健悟 川口頌平 加納麻弓子 山川文子 林 正幸 【背景】コハク酸シベンゾリン(CB)は SU 薬と同様に膵β 細胞の ATP 感受性 K チャネルを閉鎖してインスリン分泌を亢進するこ とが報告されている.【症例】87 歳女性,心房細動のため CB 内服加 療中に,胆嚢炎による DIC を発症し入院加療.全身状態回復後に中 止していた CB など内服薬を再開したところ,翌朝より 36-70 mg! dl の低血糖が出現.副腎不全など内分泌学的な低血糖は否定的で あり,CB 中止したところ,中止後 2 日目以降は低血糖を認めず退 院.中止前,血糖値 45 mg!dl と低血糖時の血中 C ペプチド 0.5 ng! ml,IRI1.3μ U!ml であり,CB 中止後に血糖値 78 mg!dl に回復し た際の血中 C ペプチド 0.5 ng!ml,IRI1.2μ U!ml であった.【考察】 本症例はインスリン分泌亢進を認められなかったが,低血糖時の インスリン分泌抑制も明らかではなく,臨床経過と合わせ CB によ る薬剤性低血糖が疑われた.過去の報告例を交え考察し報告する. A-23 自殺企図にて大量のインスリン投与を行った 1 例 小松市民病院内科 吉本幸子 窪田美幸 松本裕幹 症例は 20 歳,男性.12 歳発症の 1 型糖尿病.1 日 75 単位の インスリンにて随時血糖 200-500 mg!dl 台 HbA1c は 11-12 %であった.本年 5 月 11-12 日,自殺企図にてインスリン 2400 単位(デグルデグ 1500 単位アスパルト 900 単位)皮下 注.糖分摂取しながら救急受診,意識清明 血糖 61 mg!dl K2.7 mEq!l,入院となった.食事摂取,随時糖質摂取,末 梢より 10 %ブドウ糖を持続静注するも低血糖持続,頻回に 50 %ブドウ糖静注を繰り返した.14 日,中心静脈より 50 % ブドウ糖持続注入開始.次第に血糖安定し,18 日よりブド ウ糖静注中止し少量のアスパルト皮下注を再開した.14

日肝機能障害出現,16 日には AST254 U!lALT158 U!lで

あったが以後,徐々に改善し,21 日退院となった.デグル デグの大量投与の報告はなく,大量投与時,早期に中心静脈 からのブドウ糖投与が望ましく,肝機能への注意は必要,血 糖低下効果は 6 日間であった.

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B-1 血糖コントロールが良好となってから舞踏症状が再 燃した糖尿病性舞踏病の 1 例 公立陶生病院内分泌・代謝内科1 打田内科クリニック2 公立陶生病院神経内科3 溝口 暁1 篠原由里2 打田佑人3 富貴原紗侑里1 伊藤麻里子1 赤羽貴美子1 吉岡修子1 【症例】77 歳男性【既往歴】盲腸癌術後,COPD,睡眠時無呼吸症候群 【現病歴】受診 2 週間前から左上下肢をくねらせるような不随意運動が 出現し来院した.随時血糖 378 mg!dl,HbA1c15.9 %とコントロール不 良な糖尿病が存在し,頭部 CT で右被殻・尾状核に高吸収域を,頭部 MRI では同部位に T1 強調画像で高信号域を認め,糖尿病性舞踏病と して矛盾のない所見であり入院加療とした.ハロペリドールにて舞踏 症状は抑制され,インスリン強化療法により良好な血糖値となった第 10 病日頃にはほぼ消失したが,第 20-40 病日頃にかけて,血糖値は良好 ながら舞踏症状が再燃するという経過を辿った.その後症状は消失し, 第 56 病日に療養型病床へ転院とした.【考察】糖尿病性舞踏病の成因と しては諸説あるが,本症例は血糖値が落ち着いた後に舞踏症状の再燃 を認めた点で特徴的といえる.過去の文献と考察を添えて報告する. B-2 発症早期に治療介入でき,血糖是正により改善し得 た糖尿病性舞踏病の 1 例 岐阜県立多治見病院内分泌内科1 岐阜県立多治見病院神経内科2 石原 亮2 富永隆史1 堀部 亮1 杉浦里果1 山内雄一郎1 小澤由治1 岸本祥之2 症例は 70 歳男性.BMI:31 と高度肥満を認め,以前から健 康診断で血糖高値を指摘されていたが糖尿病の診断は受け ておらず,治療は受けていなかった.来院数日前より左上肢 の不随意運動と,呂律困難が出現するようになり当院救急 外来受診し,精査加療目的で入院となった.来院時血糖 548 mg!dl,HbA1c15.2 %,頭部 CT では右被殻に高吸収域,頭 部 MRI では T1 強調画像で右被殻に高信号域を認めた.入 院後,インスリンで血糖コントロールを行った.血糖値の低 下に伴い,不随意運動も次第に減少した.糖尿病性舞踏病の 診断に頭部 MRI が有用であり,また,発症早期に治療介入 でき,継時的に MRI フォローされている 1 例を経験したの で,文献的考察を交えて報告する. B-3 CGMs(持続血糖測定)により夜間の血糖低下を観察 し治療に有用であった 2 型糖尿病の 2 例 名古屋大学大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科1 名古屋大学大学院医学系研究科代謝病態学2 岩下由佳1 清野祐介2 坂野僚一1 恒川 新1 濱田洋司2 大磯ユタカ1 【症例 1】69 歳男性.2012 年に 2 型糖尿病と診断され内服治療開始.テネ リグリプチン 40 mg!日,メトホルミン 1000 mg!日内服にて,BMI30.46 kg!m2,HbA1c6.4 %,FBG104 mg!dl,CPI2.6,HOMA-IR0.958,尿 中 CPR43μ g!日であった.【症例 2】66 歳男性.1996 年に 2 型糖尿病と診 断.シタグリプチン 100 mg!日,メトホルミン 750 mg!日内服にて BMI 23.84 kg!m2,HbA1c8.2 %,FBG148 mg!ml,CPI0.81,HOMA-IR2.94, 尿中 CPR110μ g!日であった.【経過】入院にて CGMs を施行した所,深 夜の血糖値低下を認めたが,早朝空腹時血糖値はやや高値を呈してい た.食後高血糖を認めたため,α グルコシダーゼ阻害薬を追加投与した ところ深夜の血糖値低下は改善し,良好な血糖コントロールとなった. 【まとめ】2 型糖尿病の内服治療において,CGMs が有用であったと考え られる症例を経験した.若干の文献的考察を加えて症例提示をする. B-4 血糖コントロール悪化により発見された腎細胞癌膵 転移の 1 例 岡崎市民病院内分泌・糖尿病内科 滝 啓吾 倉橋ともみ 金田成康 渡邉峰守 症例は 71 歳男性,2002 年に腎細胞癌と診断,右腎摘出術施行 された.2005 年に 2 型糖尿病と診断,経口血糖降下薬(OHA) で HbA1c6 %台で推移.2013 年 4 月頃より HbA1c12.7 %に上 昇,膵頭部に腫瘤性病変を認めた為 5 月に当科紹介となった. 紹介時 HbA1c14.1 %,随時血糖 377 mg!dl,造影 CT で膵頭部 に 40 mm 大の早期相で造影効果良好な腫瘤を認めた.超音波 内視鏡穿刺吸引術(EUS-FNA)施行したが細胞少数で診断困 難.7 月に亜全胃温存膵島十二指腸切除術施行されたが周囲の 浸潤強く摘出中止,その後 EUS-FNA 再検し腎細胞癌膵転移 と診断.糖尿病ではインスリン療法開始したが,インスリン分 泌能低下なく現在は OHA のみで良好な血糖コントロールで ある.腎細胞癌は根治術後,長期を経て転移巣が発見されるこ とがあるが膵転移は稀である.血糖コントロール悪化により発 見された腎細胞癌膵転移の 1 例を経験したので報告する. B-5 演題取り下げ B-6 当院における 2 型糖尿病合併高血圧患者の血圧コン トロール状況 浅ノ川総合病院内科 奥田理香 織田展成 【目的】2 型糖尿病合併高血圧患者の RA 系阻害薬(RA)!Ca 拮抗薬(CaB)!サイアザイド系利尿剤(T)の単剤!併用療 法での血圧コントロール状況について,調査を行った.【対 象】当科通院中で RA!CaB!T の単剤!併用療法にて治療さ れている 2 型糖尿病合併高血圧患者 139 名(年齢 66.1± 10.6 歳)で,降圧目標値は 130!80 mmHg 未満とした.【結 果】平均は 129±14!76.0±13 mmHg であったが,降圧目標 値を達成していたのは,全体で 45 %であり,RA 単独療法 (49 %),CaB 単独療法(45 %),RA+T 併用療法(0 %), RA+CaB 併 用 療 法(38 %),ARB+CaB+T 併 用 療 法 (57 %)であった.【考察】2 型糖尿病合併高血圧患者の血圧 コントロールは困難であり,多剤併用での降圧治療が必要 であると考えられた.

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B-7 糖尿病患者におけるレチバル(フリッカー網膜電位 計)を用いた網膜電位測定に関する検討 愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科1 中部労災病院職場復帰両立支援(糖尿病)研究センター2 杉浦有加子1 渡会敦子1,2 神谷英紀1 加藤義郎1 近藤正樹1 山田祐一郎1 中井博美1 野田紗恵子1 髙田恵理子1 安藤敏仁1 中村二郎1 【目的】レチバルを用いて糖尿病(DM)患者の網膜電位評価を行い,潜時・ 振幅と合併症及び各種パラメーターとの関連を検討した.【対象】2014 年 3 月から 6 月まで当院に入院した DM 患者 36 名(平均年齢 57.2 歳,平均 HbA1c10.0 %,DM 罹病期間 12.2 年).【結果】①振幅は網膜症あり,腎症 3 期以上の群で低下(p=0.02,0.03),潜時は神経障害あり群で延長(p=0.03). ②潜時は年齢と有意な正の相関(r=0.35),振幅は DM 罹患歴,maxIMT, baPWV と負の相関(r=−0.43,−0.36,−0.41)を認めた.③更に網膜症な し群で年齢・性で調整すると潜時は ACR(r=0.40)と,maxIMT で(r=0.44) と正の相関を認め(有意性なし),振幅は HbA1c と負の相関(r=−0.51), ABI と正の相関(r=0.48)を認めた.【考察】網膜電位には年齢,罹病期間, 血管合併症と動脈硬化パラメーターが関連することが示唆された. B-8 糖尿病性腎症による腎性貧血に対する持続型 EPO 製剤の効果 岡本内科医院 井村満男 【目的】糖尿病性腎症(保存期)の貧血は QOL,心・腎機能 に悪影響があるとされている.今回,DM 腎症(3・4 期)に よる貧血に対して持続型 EPO 製剤(EPO)による臨床効果 について検討.【対象と方法】外来の 3・4 期腎症 20 名(3! 4=15!5)に対して EPO 投与前と 3 か月後の貧血・腎機 能・糖代謝・血圧の影響について検討. EPO は漸増方式. 統計処理は t 検定で行う.【成績】平均罹病期間 22 年,年齢 76 歳.EPO 投与前後の Hb 値 10.4 から 10.9(P=0.07)で上 昇傾向,不応例は 40 %.eGFR は 39.6 から 38.0(P=0.360), HbA1c は 6.96 から 7.04(P=0.420).血圧は変動認めず.【結 論】DM 性腎性貧血に対して EPO 製剤は有用例があり,積 極的に EPO 製剤治療はやるべきと考える. B-9 治療歴がなく,神経因性膀胱が誘因で,尿毒症性意識 障害を発症した 2 型糖尿病の 1 例 公立能登総合病院内科 中島理晋 村本信吾 泉谷省晶 藤岡正彦 吉村光弘 【症例】57 歳,女性【主訴】意識障害【現病歴】40 年間,健 診を受けていなかった.54 歳時,腹部の帯状疱疹に罹患した 際,HbA1c が 11.4 %(JDS)であったが,治療にはつながら なかった.今回,意識障害を認め,救急車で搬送された.GCS E2V5M5 であった.尿蛋白 3+,BUN136 mg!dl,Cr12.6 mg! dl,K8.3 mEq!l,血糖 118 mg!dl,HbA1c4.5 %,動脈血ガス 分析:pH7.161.【臨床経過】直ちに急性透析を 2 時間と,7 時間後に 3 時間実施した.2 日後の BUN!Cr は 35!6.5 mg!dl となり,3 週間後に 49!5.0 mg!dl となっていた.透析前の CT 画像では,神経因性膀胱に伴う両側水腎症!水尿管があ り,腎後性腎不全が疑われた.眼底は,福田分類:右 B5,左 B1(H3S2)にあった.視力障害から自己導尿が出来ず,膀胱 カテーテル留置の状態で退院した.【考察】網膜症病変から, 神経因性膀胱を伴う糖尿病性腎症 4 期の患者と判断した. B-10 巨大結腸症を呈した糖尿病の 2 症例 稲沢市民病院糖尿病・内分泌内科1 稲沢市民病院病理科2 竹藤聖子1 伊藤真梨子1 松永眞章1 草田典子1 野村由夫1 飯田健一2 【症例 1】87 歳男性【既往歴】1999 年心筋梗塞,2002 年右慢 性硬膜下血腫,頚椎症手術.【現病歴】1991 年健診で糖尿病指 摘.2006 年以降は便秘著明.2014 年下腹痛,食思不振のた め入院.腹部 X-P で著明な結腸ガスの貯留あり,巨大結腸症 と診断.保存的療法にて軽快.【症例 2】81 歳女性【現病歴】 1985 年に糖尿病指摘.1998 年頃より便秘傾向.2006 年腹部 膨満のため入院,著明な結腸ガス貯留から巨大結腸症と診 断.イレウス管挿入するも改善せず,結腸拡張部切除術施行 し症状は改善.2007 年嘔吐,胸腹水あり救急搬送.再び結腸 ガス貯留認めた.大腸内視鏡検査にて虚血,感染が加わった 巨大結腸症再発と診断し治療を行ったが回復せず永眠され た.病理解剖により著しい結腸の腫大と粘膜の浮腫を認め た.【考察】一般には巨大結腸症は稀であるが,症例 2 のよう に致死的となる例もあり,細心の注意が必要と考えられた. B-11 高血糖の是正が有効であった 2 型糖尿病に合併し た hemiballism の 1 例 医療法人名南会名南病院内科 中島千雄 伊藤春見 伊藤有史 辻村文宏 三宅隆史 55 歳男性.【主訴】左上下肢の不随意運動.【既往歴】47 歳 2 型 糖尿病,高血圧,脳出血・左片麻痺.2013 年 9 月禁煙治療.【現 病歴】2013 年 12 月 26 日から左上下肢の不随意運動出現.翌年 1 月 15 日当院受診.clonazepam 投与するが改善なく 1 月 22 日入院.【入院時現症】BMI35.2,意識清明,左上下肢を投げ出 すような粗大な不随運動 hemiballism が睡眠中を含め 1 日中 続く.【入院時検査】pioglitazone15 mg を内服し,随時血糖値 541 mg!dl,HbA1c13.2 %,総コレステロール 171 mg!dl,中性 脂肪 155 mg!dl,尿ケトン陰性.頭部 MRI では陳旧性右被殻出 血のほか多発性虚血性病変を両側基底核や放線冠に認める. 【入院後の経過】clonazepam を継続しながら 1 月 22 日からイ ンスリン強化療法開始.血糖値の低下とともに不随意運動は減 少し,1 月 31 日には消失した.【考察】高血糖と hemiballism との関連が推測され,文献的に検討して報告する. B-12 経口避妊薬服用により肝細胞腺腫を合併した 2 型 糖尿病の 1 例 旭労災病院糖尿病内分泌内科1 旭労災病院看護部2 旭労災病院消化器科3 小川浩平1 小栗太一1 青木ゆかり1 岸 雅也1 大西みさ2 遠藤雅行3 症例は 44 歳女性.既往に帝王切開 3 回.28 歳時に妊娠糖尿病,29 歳時 に 2 型糖尿病と診断され内服治療開始.34 歳時よりインスリン治療. BMI32.当院通院中に肝障害を認め腹部単純 CT 施行,脂肪肝をベース に多発肝腫瘤を認め消化器科に精査依頼.腹部造影 CT にて造影効果の ある多発腫瘍あり,一部腫瘍内出血を認めた.Gd-EOB-DTPA 造影 MRI では早期相で増強され,平衡相にて wash out され,肝細胞相では低信号 となった.肝腫瘍生検は本人が希望されなかった.上下部消化管内視鏡 で異常なく,中用量の経口避妊薬の長期服用もあり,年齢的に肝細胞腺 腫と診断した.経口避妊薬中止を指示し,後に施行した CT にて腫瘍は 消失傾向にあり,γ GTP の正常化と HbA1c の 1 %以上の低下を認めた. 経口避妊薬服用により肝細胞腺腫を合併した 2 型糖尿病の報告は稀で あるが,血糖コントロール不良の一因となりうると考えられ,報告する.

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B-13 クリプトコッカス髄膜炎を合併した 2 型糖尿病患 者の 1 例 中京病院内分泌・糖尿病内科1 安城更生病院内分泌・糖尿病内科2 加納麻弓子1 川久保充裕2 岡嵜裕子2 永田香苗2 水谷直広2 山本昌弘2 近藤國和2 【症例】72 歳女性【主訴】物忘れ【既往歴】2 型糖尿病,高血圧,閉塞 性動脈硬化症【現病歴】30 年前に 2 型糖尿病発症,内服治療にて HbA1c 7.2 %前後で推移.2013 年 4 月より物忘れや性格変化を認め,アルツハ イマー型認知症と診断.6 月 24 日精査目的入院.【現症】身長 143 cm, 体重 42 kg,体温 36.6 ℃,血圧 135!90 mmHg,GCS E4V4M6,MMSE 23 点.項部硬直なし.【経過】入院後に発熱を認め血液及び髄液培養より

Cryptococcus neoformansを検出.amphotericinB と flucytosine の併用療 法,fluconazole にて加療.MMSE26 点に改善し退院.【考察】クリプト コッカス髄膜炎の危険因子として免疫不全状態の他に糖尿病が挙げら れる.発熱,頭痛の他に,認知機能低下や性格変化が緩徐に進行するた め高齢者の認知症と鑑別を要する.2 型糖尿病の経過中にクリプトコッ カス髄膜炎を合併し,典型的な臨床経過を辿った 1 例を報告する. B-14 原因不明の大動脈周囲炎・脊椎炎を合併した 2 型 糖尿病の 1 例 岐阜市民病院総合診療・リウマチ膠原病センター 田口皓一郎 村上大輔 藤岡 圭 丸山貴子 山田浩司 石塚達夫 73 歳男性,170 cm,72 kg.発熱・腰痛で LVFX500 mg を 9 日間内 服したが改善なく,腹痛が出現し当科受診.臍部に圧痛あり,脊椎 叩打痛や心血管雑音などなし.CT で大動脈弓・腎動脈下腹部大動 脈・左内腸骨動脈に限局した造影される周囲脂肪織濃度上昇を認 め た.CRP7.49 mg!dl,WBC8670 !μ l,D-dimer4.7 μ g!ml,PCT 0.04 ng!ml,IgG1474 mg!dl,IgG4 19.1 mg!dl,ACE11.3 U!l,ANA 40 倍,ANCA 陰性,他自己抗体陰性,sIL-2R546 U!ml,T-SPOT 陰性,梅毒反応陰性.随時血糖値 232 mg!dl,HbA1c8.1 %で強化イ ンスリン療法,後にリキシセナチド併用し良好な血糖管理を得た. 腰椎 MRI で L2!3 に化膿性脊椎炎疑い,Ga シンチで大動脈・腰椎 に集積あり.血液培養陰性.糖尿病の易感染性での細菌感染症を 疑ったが,抗菌薬使用なく解熱し,CRP は 2 か月後陰性化,画像で も改善傾向となった.原因不明の炎症性疾患として経過観察中. B-15 顔面神経麻痺を伴う悪性外耳道炎を発症した 2 型 糖尿病の 1 例 金沢市立病院内分泌糖尿病内科1 金沢市立病院耳鼻咽喉科2 宇野将文1 小池伸彦1 石川 滋2 66 歳男性.40 歳代より糖尿病で内服加療を受けていた.20 xx 年 10 月に脳梗塞で入院となった際にインスリン強化療 法を導入されたが,退院後食前血糖 400 mg!dl 以上とコン トロール不良の状態が続いていた.翌年 2 月より右耳痛を 自覚し耳鼻科を受診.外耳道炎と診断され,外来にて加療が 開始された.しかし症状の軽快なく,4 月になると右顔面神 経麻痺が出現した.画像検査では右外耳から耳下腺にかけ て骨破壊を伴う膿瘍が認められ,悪性外耳道炎に進行して いると診断され入院となった.HbA1c10.0 %と高値であっ たが,インスリン量の変更を行うことなく入院翌日には速 やかに食前血糖が低下した.耳漏より緑膿菌が検出された. 合併症の進行があり,手術は高リスクと考えられたため,保 存的治療としてピペラシリンの投与を行った.6 週間後,顔 面神経麻痺は残存するものの炎症,疼痛の軽減を認めた. B-16 2 型糖尿病治療中に深頚部膿瘍を発症,急速に悪化 し気管切開を要した 1 例 国立病院機構金沢医療センター内分泌代謝内科1 国立病院機構金沢医療センター耳鼻咽喉科2 木村友美1 石倉和秀1 栗田征一郎1 長岡 匡1 中島正志2 瀧口哲也2 症例は 59 歳男性.糖尿病歴は 14 年間.SU 薬,DPP4 阻害薬お よび BG 薬内服にて血糖 228 mg!dl.HbA1c6.9 %.第 1 病日に 咽頭痛を自覚,第 3 病日に微熱あり近医受診し,CTRX 開始. 第 4 病日,当院耳鼻咽喉科を紹介受診,喉頭内視鏡で後頭蓋腫 脹,声門浮腫を認めた.CRP31.3 mg!dl.呼吸困難強く,同日 に気管切開を施行.CTRX4 g!day,CLDM1.2 g!day,サクシ ゾン 300 mg 開始.入院中はインスリン療法にて血糖管理.経 過中に CTRX から MEPM に変更,第 23 病日に抗生剤終了. 起因菌は不明.経口摂取が可能になり,強化インスリン療法を 導入(1 日計 42 単位)した.基礎疾患に 2 型糖尿病を有すると, 深頚部膿瘍は急激に重症化することがある.比較的血糖良好な がらも,深頸部膿瘍が急速に進行した 1 例を経験し報告する. B-17 2 型糖尿病に肝膿瘍などの多臓器病変を合併した 侵襲性 Klebsiella pneumoniae 感染症の 1 例 名古屋第一赤十字病院内分泌内科1 名古屋第一赤十字病院消化器内科2 佐藤勝紀1 安田寛子1 牛田美帆1 清田篤志1 渡邉保子1 尾崎信暁1 村上義郎2 八鹿 潤2 春田純一2 【症例】68 歳・男性【現病歴】2 型糖尿病にて近医通院中.2014 年 1 月に発熱を主訴に当院受診.肝膿瘍,敗血症性肺塞栓症の診断で入 院.【入院後経過】セフメタゾール,肝膿瘍ドレナージにて治療.血液 培養および膿瘍培養から K.pneumoniae を検出.両増殖網膜症による 硝子体出血を認め第 6 病日に網膜光凝固術施行.第 11 病日に右細菌 性眼内炎を併発し抗菌薬眼内注入開始.第 19 病日に CT で両側肺膿 瘍,両側腸腰筋膿瘍を認めたため,胸腔および腸腰筋ドレナージを施 行.以降,セフトリアキソンやメロペネムを使用し徐々に炎症反応は 低下し感染制御ができた.また,インスリン自己注射により血糖コン トロールは安定したため退院となった.【考察】糖尿病に合併した K. pneumoniaeによる肝膿瘍では,眼内炎などの肝外病変を伴う侵襲性 K.pneumoniae感染症を合併する可能性に留意する必要がある. B-18 コントロール不良の糖尿病に合併した気腫性腎盂 腎炎の 1 例 名古屋市立東部医療センター内分泌内科 竹田勝志 増渕孝道 赤尾雅也 症例は 72 歳女性.糖尿病のためグリベンクラミド 2.5 mg,シ タグリプチン 50 mg,ボグリボース 0.9 mg で近医通院中で あったが,HbA1c12.0 %前後とコントロールは不良であっ た.201X 年 4 月 2 日より右背部痛と食欲低下を認め,4 月 9 日に当院受診.血液検査で WBC31160!μ l,CRP28.9 mg!dl と著明な炎症所見と DIC を認め,腹部 CT では右腎実質に放 射状に気腫像を認め,右気腫性腎盂腎炎と診断し緊急入院と なった.抗生剤治療と右尿管ステントを留置したが改善に乏 しく,右腎瘻を設置した.その後,症状の改善を認め入院第 29 病日に退院となり,退院一週間後の外来受診で腎瘻は抜去 となった.糖尿病の治療はビルダグリプチンとボグリボース の内服で退院としたが,HbA1c 悪化を認め再度入院としイン スリン自己注射を導入した.コントロール不良の糖尿病に気 腫性腎盂腎炎が合併した 1 例を経験したため報告する.

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B-19 未治療の糖尿病からバルサルバ洞膿瘍を合併した 感染性内膜炎を発症した 1 例 安城厚生病院 永田香苗 川久保充裕 岡崎裕子 水谷直広 近藤國和 山本昌弘 【症例】64 歳,男性.【既往歴】高血圧,高脂血症.【家族歴】 特記事項なし.【現病歴】201X!5!14 より発熱,5!26 当院受 診.血液検査にて WBC20900!μ l,CRP27.40 mg!dl,多臓器 不全,DIC の所見と随時血糖 651 mg!dl,HbA1c11.7 %の未 治療の糖尿病を認めた.胸部レントゲン異常なし,心電図で 心房細動を認めた.診察中に意識障害と血圧低下を来し入 院,抗生剤治療開始.CT にて心房に腫瘤を指摘,心エコー にてバルサルバ洞の膿瘍と診断された.血液培養からはム コイド型肺炎球菌陽性となった.入院 2 日目に緊急手術を 行うも術中に心停止となり永眠.【考察】バルサルバ洞膿瘍 を合併した感染性心内膜炎と考えられた.糖尿病と膿瘍は いずれも感染性心内膜炎の予後不良因子であり,本症例は 非常にリスクの高い 1 例であると考えられた. B-20 回盲部膿瘍を合併した 2 型糖尿病の 1 例 愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科!糖尿病センター 安藤敏仁 加藤義郎 神谷英紀 近藤正樹 杉浦有加子 佐藤沙未 山田祐一郎 笠置里奈 高田恵理子 速水智英 中村二郎 【症例】78 歳男性【既存症】水疱性類天疱瘡にて PSL4 mg 内服中. 【現病歴】約 25 年前に 2 型糖尿病と診断され,メトホルミン 750 mg,ピオグリタゾン 30 mg,ボグリボース 0.9 mg,インスリンリ スプロ mix50 朝 4 単位,夕 2 単位にて治療中であった.201X 年 7 月 17 日に下腹部全体に疼痛が出現し,当院救急外来を受診した. 腹部・骨盤 CT にて回盲部の炎症性変化を強く認め,WBC8600, CRP2.85 mg!dl と炎症反応の上昇を認めた.憩室炎の診断にて同 日入院となった.【経過】絶食,TAZ!PIPC4.5 g×3 回!日にて治療開 始されたが,炎症反応の改善なく,7!24MEMP0.5 g×3 回!日に変 更となった.7!25 腹部造影 CT 上,回盲部の炎症性変化の増悪・膿 瘍形成が判明し,ISP400 mg 追加となった.炎症反応が落ち着いた 8!21 に回盲部切除術施行となった.【結語】盲腸憩室炎が原因と思 われる回盲部膿瘍を合併した 2 型糖尿病の 1 例を経験した. C-1 一般市民におけるアルコール摂取量と糖代謝の関 係―岐阜市糖尿病実態調査から― 岐阜薬科大学実践薬学大講座医薬品情報学1 岐阜大学保健管理センター・大学院連合創薬医療情報研究科2 国立保健医療科学院生涯健康研究部地域保健システム研究領域3 岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野・医療経済学 分野4 岐阜大学大学院医学系研究科内分泌代謝病態学分野5 上田夏実1 山本眞由美2 中村光浩1 大庭志野3 永田知里4 武田 純5 【目的】一般市民を対象にアルコール摂取量と糖代謝の関連につ いて検討した.【方法】岐阜市住民台帳から無作為抽出された 5,270 人のうち,同意を得た 1,100 人に糖尿病実態調査を実施.こ のデータよりアルコール摂取量と 75 gOGTT(120 分血糖値,I!I, HOMA-β ,HOMA-R),脂質,肝機能,BMI,BMI 変化量,血圧 の関係を検討した.【結果・考察】非飲酒群に比べて多量摂取群 (40 g 以上!日)では HOMA-β ,I!Iの有意な低下,γ -GTP の有意 な上昇,75 gOGTT120 分血糖値,中性脂肪,血圧の上昇傾向を認 めたが,HOMA-R,BMI との関係は認めなかった.アルコール多 量摂取はインスリン分泌能に影響を与えることが示唆された. C-2 一般市民における特定保健用食品の使用状況とその 関連要因―岐阜市糖尿病実態調査から― 岐阜薬科大学実践薬学大講座医薬品情報学研究室1 岐阜大学保健管理センター・大学院連合創薬医療情報研究科2 国立保健医療科学院生涯健康研究部地域保健システム研究領域3 岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野・医療経済学 分野4 岐阜大学大学院医学系研究科内分泌代謝病態学5 中山蓉子1 山本眞由美2 中村光浩1 大庭志野3 永田知里4 武田 純5 【目的】一般市民を対象に特定保健用食品(特保)の使用状況とその関連要 因を検討した.【方法】岐阜市住民台帳から無作為抽出され,同意の得られた 1,100 人(男 452,女 648)人に糖尿病実態調査を実施.このうち,特保使用 状況,生活背景,75 gOGTT の結果を検討した.【結果・考察】特保使用率は, “65 歳未満”“女性で運動をしている”“非飲酒者”“サプリメント・民間療法 薬・ビタミン剤を使用している”群で有意に多かったが,“高血圧”“睡眠不 足”“持病”の有無は関係なかった.75 gOGTT の結果で HOMA-R 低値群お よび HOMA-β 正常群の方が,特保使用率が高い傾向だった.特保の使用が 好ましい耐糖能と関係があったのか,特保使用を含む健康意識の高い行動が 間接的に好ましい耐糖能と関係があったのかは,今後の検討が必要である. C-3 当院における J-DOIT3 の経過から見た,厳格な血 糖・体重コントロールの困難性について 国立病院機構三重中央医療センター看護部1 国立病院機構三重中央医療センター内科2 尾畑千代美1 押田久美子1 今原早紀1 福澄夏菜1 奥田昌也2 田中 崇2 後藤浩之2 田中剛史2 【はじめに】当院における「糖尿病予防のための戦略研究 J-DOIT3」の現状から,2 型糖尿病における血糖・体重管理の 難しさを検証した.【方法・結果】治療継続中の J-DOIT3 対象者 51 例の平成 26 年 7 月時点でのコントロール状況を み た.強 化 療 法 群(I 群)26 例,従 来 療 法 群(C 群)25 例の比較において,LDL コレステロール,収縮期血圧は I 群で有意(p=0.0035,p=0.0066)に低値であった.HbA1c 値 6.2 %未満達成率は I 群 31 %,C 群 12 %であったが,平 均 HbA1c(%)は I 群 6.52±0.74,C 群 6.90±0.64 と両群間 に有意差は認めなかった(p=0.0586).また,BMI も両群間 に有意差はなかった.【結論】積極的な介入をもってしても, 血糖値,BMI の厳格な管理は難しいと考えられた. C-4 TKA 後の膝屈曲・伸展角度は糖尿病の有無で差があ るか 国立病院機構東名古屋病院 西川昌宏 【研究目的】人工膝関節全置換術(以下 TKA)後の患者に ついて,糖尿病合併群と非合併群で膝屈曲・伸展角度の差 を分析し,理学療法実施の一助とするものである.【対象と 方法】2013 年 1 月∼10 月に TKA を実施した 85 患者から, 年齢,性別,患肢左右側,糖尿病の有無,術前と退院時の膝 屈曲・伸展角度を抽出し比較検討した.【結果】糖尿病合併 患者 22 人,非合併患者 63 人であった.術前と退院時の膝屈 曲・伸展角度は,膝屈曲・伸展とも有意な正の相関があっ た.術前と退院時の膝屈曲・伸展改善率を求め糖尿病の有 無と比較したところ,膝屈曲・伸展とも有意な差はなかっ た.【考察】術前の可動域が良好なほど退院時の可動域も良 好であった.糖尿病の有無で膝屈曲・伸展改善率に差はな く,糖尿病に関わらず同様のリハビリプログラムを実施す ることで特に問題はないことが改めて推定された.

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C-5 糖尿病神経障害の診断における神経伝導検査の有用 性とその意義 愛知医科大学中央臨床検査部1 愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科2 柴田由加1 小見山みる1 神田竜平1 神谷妙子1 神谷英紀2 加藤義郎2 近藤正樹2 杉浦有加子2 佐藤沙未2 安藤敏仁2 中村二郎2 【目的】糖尿病患者の神経伝導検査(NCS)の有用性を合併症や患者背景か ら検討した.【対象】糖尿病入院患者 72 名(平均年齢 55.8 歳,平均 HbA1c 10.3 %)【方法】神経伝導検査は,左右正中,尺骨,後脛骨の運動神経,正 中,尺骨,腓腹の感覚神経を計測した.糖尿病神経障害(DN)の重症度は NCS による重症度判定(馬場基準)を用いた.網膜症・腎症および DN との関連と患者の臨床背景について検討した.【結果】85 %の患者に DN あり(馬場基準:NCS-I 度以上)となり,糖尿病性多発神経障害の簡易診 断基準で DN なしと診断された患者の 77 %に NCS により DN ありと診 断された.患者背景については糖尿病の罹病期間が長いほど DN の重症度 が上昇した.【考察】糖尿病入院患者に NCS を施行することにより,DN の早期診断および重症度の判定ができる可能性が示唆された. C-6 CGM(iPro2)の外来運用システムの構築 トヨタ記念病院臨床検査科1 トヨタ記念病院看護室2 トヨタ記念病院内分泌科3 宇野稚香子1 竹田美帆1 中村志賢1 小澤由美2 加藤二郎3 宮田 崇3 岡田則男3 篠田純治3 当 院 で は 2013 年 9 月 よ り CGM(iPro2)1 台 を 導 入,2014 年 1 月には 3 台に増設した.iPro2 は主に外来で使用し,運用方法は糖 尿病チームの医師・看護師・臨床検査技師が中心となって構築し た.医師が対象患者の抽出と概略を説明,看護師が iPro2 の装着, 臨床検査技師が取り外し及びデーターのアップロードを行い, iPro2 の管理・メンテナンスも行っている.糖尿病チーム内で患者 情報が常に共有できるように電子カルテ内の共通フォルダに取り 付け予定表を作成し管理している.2014 年 7 月より担当する検査 技師を 3 人に増員した.取り外し後すぐにレポートを出力して診 察することも可能となっている.2014 年 7 月までに 66 件実施し た.糖尿病チーム内での役割分担を明確にして,患者の導線と情報 伝達をスムーズにするためにそれぞれの部署がどうするべきかを 突き詰めてシステム構築をし順調な運用ができている. C-7 院内血糖測定機器(POCT)と電子カルテとの接続に ついて 社会医療法人抱生会丸の内病院診療技術部検査課 黒栁淳子 荻野千尋 井出 充 【はじめに】当院では 2014 年 2 月から,電子カルテとグル コース分析装置グルテストミント(三和化学研究所)の接続 を開始した.今回その運用及び看護師に行ったアンケート 結果について報告する.【血糖測定から電子カルテ結果参照 までの運用】血糖測定後専用端末に設置すると電子カルテ に結果が転送され,測定結果から自動的にインスリン量が 表示される.【アンケート内容・結果】①電子カルテとの接 続前に血糖測定に関してのインシデントを起こした事があ るか:「ある」6 %②グルテストミントと電子カルテとの接 続における使い易さ:普通以上 74 %③インスリンスケー ルの使い易さ:普通以上 82 %【考察】院内血糖測定機器と 電子カルテを連携させることは,血糖結果の転記ミスやそ れに伴うインスリンの投与量間違いといったアクシデント が回避され,医療安全面で重要であると考える. C-8 基礎カーボカウントをサポートする「食品糖質交換 表」のトライアル 岡崎市民病院医療技術局栄養管理室 浅田英嗣 簗瀬徳子 井尻靖子 加藤恵子 岩本博美 上川美和子 太田萌菜 藤井裕子 応用カーボカウントが 1 型糖尿病に有効であるのに対して,基礎 カーボカウントは 2 型糖尿病の食事療法の有効な手法だと言え るが,現実的には患者自身が食事の糖質量を調整することは大変 に難しいため,食品交換表の表 1 と表 2 をできるだけ均等に配分 することを指導することになるが,この方法で糖質量が一定にな るというわけではない.結局,管理栄養士が食事記録を点検して 糖質の多い部分を指摘することになる.そこで栄養食事指導に基 礎カーボカウントの自由さを取り入れるためのツールとして「食 品糖質交換表」を独自に考案した.食品交換表が 1 単位の食品の グラム数を表記しているのに対して,糖質交換表は 1 カーボ(糖 質 10 g)に相当する食品のグラム数を表記していて,1 カーボの 食品を適切な数量選択することで糖質の量を一定にできるので, 簡単な計算で血糖コントロールの改善が期待できる. C-9 栄養指導を受けてやる気が出た言葉とやる気をなく した言葉 467 名への意識調査より 糖尿病・内分泌内科クリニック TOSAKI1 岡崎東病院2 村瀬世枝恵1 京野陽子1 野澤美知子1 城所史津子1 髙手梨衣1 木原八千代2 戸崎貴博1 【目的】栄養指導を勧めても拒否される方の意識を知りより 良い指導にするため,アンケートを実施し栄養指導に対する 意見を詳しく聞いた.【方法】2013 年 9 月に当院外来を受診さ れた糖尿病または耐糖能異常を有する患者全員にアンケー ト用紙を配りほぼ全員の 467 名から回答を得た.【結果】回答 により 5 群に分けると「当院・他院を問わずこれまで栄養指 導を受けた事がなく今後も受けたくない」と回答した患者群 (21 名)で平均 HbA1c 値は 6.7 %と最も悪かった.栄養指導 を受けてやる気が出た言葉とやる気をなくした言葉,受けて みたい指導を具体的に報告する.【まとめ】栄養指導を受けた ことがない方,今後も受けたくないと回答した方は,栄養指 導にかかる時間的拘束と,指導者の心ない言葉で,栄養指導 に対するネガティブイメージをもっていることが分かった. C-10 糖尿病透析予防指導における食事療法による意 識・食習慣の変化 医療法人鉃友会宇野病院栄養科1 医療法人鉃友会宇野病院内科2 剣持千佳子1 神谷友美1 安部后可1 山本昌弘2 【目的】糖尿病透析予防指導後の食習慣の変化と臨床指標を比 較検討し,今後の指導に生かす事を目的とする.【方法】平成 24 年 5 月から指導介入した 92 名の内,平成 26 年 3 月∼6 月 に実施した食習慣アンケートで回答が得られた 35 名(68.3± 10.9 歳)を対象とした.【結果】介入後の HbA1c,血圧は有意 に改善,体重は改善傾向を示した.一方,Cr は差を認めなかっ た.アンケートと各臨床指標を改善群・非改善群の 2 群間に 分け比較したところ HbA1c 改善群は,非改善群と比較すると 間食を減らしていた.一方,体重非改善群が改善群と比較して 間食を減らしていたとの一見矛盾した結果を得た.【考察と結 論】指導介入後,食習慣の変化がみられたものの患者の認識と 臨床指標が必ずしも一致しないとの結果が得られ,患者行動 の把握には十分な注意が必要である事が示唆された.

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C-11 バイキングを取り入れた外来糖尿病教室の試み 名古屋市立東部医療センター栄養管理科1 名古屋市立東部医療センター内分泌内科2 豊福千夏1 赤尾雅也2 藤井三保子1 【対象】入院による指導が望ましいが,諸事情により外来で 管理している発症初期の 2 型糖尿病患者.【方法】バイキン グ形式の昼食を含めた実践形式の外来糖尿病教室を行っ た.参加スタッフは栄養士の他,医師,歯科医師,看護師, 薬剤師,理学療法士,臨床検査技師で昼食会や質問コーナー を設けることで患者同士やスタッフと話やすい教室となる ように配慮した.【結論】通常の診察で患者の生活習慣を十 分に把握するのは困難な場合が多く,特に栄養指導時の食 事記録や聞き取りでは患者の実際の食事量などを正確に把 握することは難しいと考えられる.今回外来患者に対して, バイキングや運動の実践によりコミュニケーションの時間 を取り入れることが具体的な指導を行うのに有効であると 思われた. C-12 独自で考案したパスを用いた栄養指導の退院後血 糖コントロールにおける有用性と課題 藤田保健衛生大学病院食養部1 藤田保健衛生大学医学部内分泌・代謝内科2 二宮絵梨1 伊藤明美1 小川幸子1 木下 忠1 鈴木敦詞2 伊藤光泰2 【背景】糖尿病入院患者の退院後の食事療法継続率は必ずしも高くな い.【目的】当院で取り組んでいる独自の栄養指導パスの有用性と問 題点を検討するために,退院後のフォローアップ調査を行った.【方 法】対象患者 17 名(男性 9 名,女性 8 名;平均年齢 63±15 歳)を, 退院後個別指導の有無で二群に分け,退院 6 ヶ月後までの HbA1c 値を検討した.【結果】入院時平均 HbA1c は 9.9±1.2 %であった.退 院 1,3,6 ヶ月後の HbA1c は,個別指導継続群(8 名)では,8.1± 0.7→7.7±1.3→7.5±1.2 %と比較的有効にコントロールされていた. 一方,指導未継続もしくは中断群(9 名)では,8.6±0.9→8.1±1.0 →8.1±1.4 %であった.【結語】パスによる栄養指導患者,特に退院後 個別指導を行ったものは,退院 6 ヶ月後の再憎悪を認めなかった.今 後退院後の栄養指導継続向上に向けてパスを改善していきたい. C-13 当院でのインスリン療法中 2 型糖尿病患者におけ るリナグリプチンの追加投与の検討 岡崎市民病院内分泌・糖尿病内科 倉橋ともみ 滝 啓吾 金田成康 鈴木千津子 渡邉峰守 【背景】以前我々はインスリン療法中でない 2 型糖尿病患者 15 例の検討にて,リナグリプチン(L)は肝腎機能に影響を 及ぼさず糖代謝改善効果が期待されることを報告した.【目 的】インスリン療法中の 2 型糖尿病患者における L の追加 投与の有用性を検討した.【対象と方法】L を追加投与した 症例のうち HbA1c を 3 か月後までフォローアップできた 30 例において各指標につき検討した.【結果】投与開始時 HbA1c8.89±1.25 %が,3 か月後 8.44±1.57 %と有意に改善 (p<0.01),インスリン使用量は投与前 34.4±17.2 単位が, 3 か月後には 32.0±17.9 単位と有意に減少(p<0.05),肝酵 素及び腎機能指標は有意な変化を認めなかった.【結語】イ ンスリン療法中の 2 型糖尿病患者において,L の追加投与 は肝腎機能に影響を及ぼさずに糖代謝改善効果が期待さ れ,インスリン使用量の減量が期待される. C-14 DPP-4 阻害薬と少量スルホニル尿素薬併用療法 (Combination therapy)の高血糖未治療 2 型糖尿病 患者に対する有効性について こじま内科クリニック 小島敏弘 【緒言】DPP-4 阻害薬の血糖降下作用は,ブドウ糖依存性で あるが,スルホニル尿素薬(SU 薬)と併用した場合,常に 作用すると考えられる.本来,インスリン療法の適応と考え られる高血糖未治療 2 型糖尿病患者に対して,DPP-4 阻害 薬と少量スルホニル尿素薬併用療法(以下,Combination therapy)を施行したので報告する.【対象と方法】2010 年 7 月 26 日より,約 30 名の未治療高血糖 2 型糖尿病患者に対 して,Glimepiride0.25-1.0 mg,Sitagliptine は 50 mg,同時 投与にて治療開始した.【結果】ほぼ,治療対象全例で有効, Glimepiride は減量ないし中止可能であった. 【考察】Combi-nation therapy は高血糖未治療 2 型糖尿病患者に対する有 効な治療法と考えられた. C-15 2 型糖尿病患者における Sitagliptin 増量効果にお ける検討 名鉄病院 服部正典 横塚陽子 岡本秀樹 【目的】当院通院中の 2 型糖尿病患者 84 名を対象とし,Sita-gliptin(S)増量効果について検討を行った.【方法】すでに S50 mg 投与中コントロール不十分な症例において,S を 100 mg へ増量し,その効果を検討した.観察期間は 6 ヶ月間で, 主要評価項目は,血圧,体重,HbA1c,GA,脂質,肝機能 とした.【結果】S 増量により,HbA1c は 8.0 %から 7.5 %へと 有意に低下した(p<0.001).さらに,インスリン併用の有無 で 2 群に分けて検討した.インスリン併用群(n=52),イン スリン非併用群(n=32)の両群において,共に HbA1c の有 意な低下を認めた.2 群間で,HbA1c の変化量に有意差は認 められなかった.【考察】S の増量により約 0.5 %の HbA1c の低下がみられ,それはインスリン併用の有無に関わりなく 認められた.血糖コントロール不十分な症例において,S 増量は有効な選択肢の一つであると考えられた. C-16 尿中アルブミン陽性の 2 型糖尿病に対するアログ リプチンの尿中アルブミンへの影響 順天堂大学医学部附属静岡病院糖尿病・内分泌内科 佐藤文彦 杉本大介 登坂祐佳 榎澤尚子 【目的】尿中アルブミン陽性の 2 型糖尿病に対し,アログリ プチン投与,または他の DPP-IV 阻害薬からアログリプチ ンへ切り替えることにより,1 年後の尿中アルブミン値の 変化や,血糖降下作用等を検討した.【方法】2 型糖尿病患者 17 例,平均年齢 62.5 歳,DPP4 阻害剤未使用例(13 例),シ タグリプチン使用例(4 例)であった.【結果】アログリプチ ンを新規投与または,シタグリプチンからアログリプチン へ切り替えを行ったところ,12 か月後,HbA1c 値や体重に は有意差がなかったにもかかわらず,尿中アルブミン値が 有意に低下(p<0.03)していた.【考察】アログリプチン投 与によって,尿中アルブミン値を抑制することにより,腎保 護作用が期待できることが示唆された.

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