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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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氏 名 工代 健太 授与した学位 博 士 専攻分野の名称 工 学

学位授与番号 博甲第 5742 号 学位授与の日付 平成30年 3月23日

学位授与の要件 環境生命科学研究科 環境科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 南海トラフ巨大地震下の岡山市に来襲する津波の予測法および氾濫特性に関する検討

論文審査委員 教授 前野 詩朗 教授 西山 哲 准教授 吉田 圭介

学位論文内容の要旨

本研究では南海トラフ巨大地震を想定した岡山市の津波対策に資するため,地震下において岡山市の沿岸 に打ち寄せる津波挙動をリアルタイムで予測する手法の検討と岡山市の津波氾濫特性の検討を行った。

南海トラフ地震下において岡山市沿岸の津波の高さや到達時刻を正確に予測し住民に伝えることは,津波 氾濫が進む過程やその被害の大きさをあらかじめ見積もり,避難場所や避難継続時間など津波避難の成否を 分ける判断を臨機応変に行うために必要である。本研究では津波伝播経路における地点間の津波波高の相関 関係を明らかにし,岡山市沿岸の最大津波高および津波到達時刻を簡易的にリアルタイム予測する手法を構 築した。この検討では紀伊水道において津波の共振によるセイシュが生じることが岡山市に津波が数波に 渡って押し寄せる原因であることが分かり,紀伊水道入口で得られた津波波形を用いて岡山市沿岸の津波 ピーク水位を第1波,第2波では到達の約100分前,第3波では到達の約160分前に予測できることが示さ れた。本研究で検討した津波の予測手法は岡山市の津波対策のみならず,津波の伝播海域でセイシュが発生 する場合や 2 つの海峡を経た津波の重畳が起こる場合の津波予測の方法として国内外の地域の津波予測に 応用できる可能性がある。

岡山市の土地利用の特徴として,網状に張り巡らされた用水路がある。本研究では,津波の氾濫過程に対 する用水路網の影響を検討するため,用水路網を再現した津波解析を行った。その結果,用水路により津波 氾濫時刻が大幅に早期化し,津波の人的被害が深刻化する可能性があることが示された。特に海や河川から 離れた地域でその影響が顕著であり,用水路を考慮しない場合は地震発生から 150 分経過後に浸水がない 地点においても地震発生から20分後の時点で用水路を伝った海からの氾濫流により浸水が進むことが明ら かとなった。さらに,岡山市における津波氾濫特性をより詳細に検討するため,用水路に加え建物も再現し た数値解析を行った。その結果,臨海地域の住宅区よりも海から離れた北側の地域が用水路からの氾濫によ り先に完全に浸水することなどの氾濫特性が明らかになり,今後の津波避難の方針を決めるうえでも貴重な 研究成果が得られた。また,本研究は岡山市のように用水路網が発達した地域の津波氾濫解析ではその影響 を考慮する必要があることを初めて示し,他地域の津波対策にとっても重要な知見が得られた。

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論文審査結果の要旨

本研究では南海トラフ巨大地震を想定した岡山市の津波対策に資するため,地震下において岡山市の沿岸部 に到達する津波挙動をリアルタイムで予測する手法の検討と岡山市の津波氾濫特性の検討を行っている。

まず,津波伝播経路における地点間の津波波高の相関関係を明らかにし,岡山市沿岸の最大津波高および津 波到達時刻を簡易的にリアルタイム予測する手法を構築した。この検討では紀伊水道において津波の共振によ るセイシュが生じることが岡山市に津波が数波に渡って襲来する原因であることを明らかにし,紀伊水道入口 で得られた津波波形を用いて岡山市沿岸の津波ピーク水位を第1波,第2波では到達の約100分前,第3波で は到達の約160分前に予測できることを示した。本研究で検討した津波の予測手法は岡山市の津波対策のみな らず,津波の伝播海域でセイシュが発生する場合や2つの海峡を経た津波の重畳が起こる場合の津波予測の方 法として国内外の地域の津波予測に応用できる可能性がある。

次に,岡山市の土地利用の特徴として,網状に張り巡らされた用水路がある。本研究では,津波の氾濫過程 に対する用水路網の影響を検討するため,用水路網を再現した津波解析を行っている。その結果,用水路によ り津波氾濫時刻が早期化し,津波の人的被害が深刻化する可能性があることを示した。特に海や河川から離れ た地域で用水路を伝った氾濫流により浸水が進むことを明らかにしている。さらに,岡山市における津波氾濫 特性をより詳細に検討するため,用水路に加え建物も再現した数値解析を行った。その結果,臨海地域の住宅 区よりも海から離れた北側の地域が用水路からの氾濫により先に完全に浸水することなどの氾濫特性が明ら かになり,今後の津波避難の方針を決めるうえでも貴重な研究成果を得ている。

以上のように,本研究の成果は岡山市における津波の早期予測や氾濫過程を明らかにしており今後の津波防 災に大いに貢献するものであり工学的意義は大きい。したがって,本論文は博士(工学)の学位に値するもの と判断する。

参照

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