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論文 理論と方法 33 巻 1 号 2018 年数理社会学会 Sociological Theory and Methods Vol.33 No Japanese Association for Mathematical Sociology 2015 年 SSM 調査データを用いて [

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(1)

Japanese Association for Mathematical Sociology

論文

家族構造や労働市場が自営業からの退出に与える影響:

2015

SSM

調査データを用いて 平尾一朗(大阪大学)

[要約]

日本における自営業率の長期的な低下にもかかわらず,自営業からの退出を対象とした 研究は少ない.本稿では自営業からの退出に家族構造や労働市場が与える影響を明らかに する.家父長制や性別役割分業を前提し,また

2000

年の大店法の廃止を念頭に置き,自 営業からの退出について仮説が立てられた.2015年

SSM

調査(社会階層と社会移動に関 する全国調査)データを用いた.非農業の自営業を経験した男性と女性を対象とした.男 女の「自営業からの退出」,離職理由を考慮に入れ,男性の「自営業からの退出(廃業)」,

女性の「自営業からの退出(家庭の理由)」を従属変数として離散時間ロジットモデルを 適合させた.分析の結果,男性自営業者では,息子がいても自営業を継がないため高齢自 営業者は廃業しやすい,同居する子どもがいれば廃業しにくい,離婚後に廃業しやすい.

女性自営業者では,結婚や配偶者との死別は退出を促さないが,子どもの育児期,娘がい なければ親の介護期に退出しやすい.また,大店法の廃止は自営業からの退出に影響を与 えないことが示された.自営業の減少は保護規制の弱まりよりむしろ,家族に基づいた社 会関係資本の弱まりに関連する.

[キーワード]

自営業,ジェンダー,家父長制,離職理由,社会階層

[審査記録]

受稿

2017

9

30

日/掲載決定

2018

3

25

1  自営業の減少

かつて国際比較研究において日本の就業人口に占める自営業率は

OECD

諸国の中で相 対的に高く,その理由は家族に基づいた社会関係資本の強さや,自営業に対する保護規 制の強さに求められた(Arum & Müller ed. 2004; Ishida 2004; Park 2010).しかし近年その 比率は低下傾向にあり,家族従業者を含む

OECD

の指標ならば

1960

年代の

4

割ほどから

2000

年代の

2

割弱ほどに低下し(OECD 2017),労働力調査で家族従業者を除いて自営業 率の変化を観察しても同様の傾向である(総務省統計局 2017).その低下傾向は経済学で も説明しにくいと指摘されている(神林 2017).

(2)

社会学においては様々な職種を含む自営業の操作的定義の困難ゆえに計量的な自営業の 研究が進まなかった.しかし

2000

年代に入り鄭賢淑(2002)が自営業の階層的独自性を 論じ,さらに

H. Ishida(2004)が日本の自営業を計量的に分析したことで,自営業の定義

に研究者間のコンセンサスが生まれ,その計量研究が飛躍的に増加した.まず先鞭をつ けたのが自営業への参入についての研究である(Ishida 2004; 鄭 2002; 三輪 2011; 仲・前田

2014; 西村 2008; 白倉・岩本 1990; 竹ノ下 2011).

いっぽう,自営業からの退出を扱った研究は少なく

Ishida(2004),H. Park(2010),竹

ノ下弘久(2014)のみである.最新の研究である竹ノ下(2014)は日本・韓国・台湾の自 営業を離散時間ロジットモデルで分析し,東アジアの文化的類似性のある国々であっても 労働市場や制度,家族的な価値観の違いが自営業の安定性に影響を及ぼすこと,そして,

東アジアの自営業におけるジェンダーの不平等と家父長制による家族構造の再生産の存在 を指摘する(竹ノ下

2014).

竹ノ下(2014)は家族構造と労働市場の制度的文脈がどのように自営業の安定性に影響 を及ぼすのかを議論した点において,自営業の安定性についての我々の理解に光明を投じ た.しかし竹ノ下(2014)の用いた

2005

SSM

調査には子どもの性別,子どもの同居・

別居の質問項目がないため,家父長制に由来しうる「跡継ぎ」の問題を論じにくい.また 先行研究は離職理由を扱っていないため,自営業からの退出の異質性が考慮されていない

(Ishida 2004; Park 2010; 竹ノ下 2014).転職研究では「良い仕事を見つけた」のような自 発的離職と「廃業」のような非自発的離職に異なるメカニズムがあることが明らかにされ ている(Kanbayashi & Takenoshita 2014; Takenoshita 2008).自営業からの退出でも離職理 由を考慮に入れた方がそのメカニズムの解明に貢献しうる.日本の現在の自営業の減少を 考えた場合,家族,ジェンダー,制度がどのように自営業の安定性に影響を与えるかを解 明することは重要である.そこで本稿では

2015

SSM

調査データを用いて竹ノ下(2014)

の問いに従い離職理由を考慮に入れて自営業の安定性を議論する.

2  先行研究と仮説

2.1

 自営業と家系の連続性

男性自営業者は父親が自営業ならば自営業になりやすく(Ishida 2004; 三輪 2011; 仲・

前田

2014;

西村

2008; Takenoshita 2012),その安定性も高く,退出も抑制される(Ishida

2004;

竹ノ下 2014).いっぽう,女性自営業者では父親が自営業でもその効果はない

(Takenoshita 2012; 竹ノ下 2014).自営業起業には開業資金,社会的ネットワークが少な くとも必要であるため,男性自営業者にのみ存在する父職自営のアドバンテージはジェ ンダーの不平等と家父長制的な家族構造の再生産を意味する(竹ノ下 2014).そうならば,

子どものジェンダーが自営業の安定性に影響を与える可能性もあろう.つまり自営業者に

「跡継ぎ」息子がいれば高齢期の自営業者は廃業しにくいはずである.

跡継ぎの考え方は近代家族論に従えば近代家族には存在しない「家系の連続性」(落合

2000)の観念である.近代家族論では「家」と近代家族の関係について複雑な議論がなさ

れているが(落合 2000; 上野 1994),家系の連続性の観念は明治民法で規定された長男単 独相続制に由来し,家父長制における男性支配の下地となった(瀬地山 1996)1).この観 念は現代のフェミニズムでは批判対象となりえないほど影響力を失っているとされること もある.しかし,この観念が自営業層に残るならば次の仮説が立てられよう.

(3)

仮説

1

高齢男性自営業者は息子がいれば自営業を廃業しにくい.

2.2

 自営業と性別役割分業の影響

日本では男性が稼ぎ主として家族を経済的に支え,女性が家事・育児・介護といった ケア労働をするという性別役割分業によるジェンダーの不平等がある(Brinton 2001; 岩間

2008).自営業からの退出では,子どもの数が多ければ男性自営業者は退出しにくい,す

なわち稼ぎ主役割が強くなることが報告されている(竹ノ下 2014).しかし男性自営業者 の稼ぎ主役割の内実は不明な部分もあるし,ケア労働役割が女性自営業者に与える影響も 不明である.

まず男性自営業者を対象とし,第一に,子どもの同居が自営業からの退出に与える影響 を考える.子どもの親との同居は子どもの貧困リスクを下げるが(白波瀬 2009),自営業 者ではその雇用創出効果(神林 2017)と相まり,自営業を営むことが家族による生活保 障として機能するかもしれない.つまり自営業者は子どもが失業状態にある時,子どもを 家族従業者や正社員として雇用できる.そうならば男性自営業層は子どもの同居があれば,

経営状況が少々悪くとも子のリスク回避のため廃業を避けるはずである.第二に,稼ぎ主 役割の強さの傍証を試みる.男性自営業者に稼ぎ主役割が強くあり,家父長制的な家族構 造の再生産が行われていれば,それらの破綻は家庭に否定的帰結をもたらすかもしれない.

つまり廃業の予期が男性自営業者とその配偶者の間で共有されれば離婚が生じやすいはず である2).上記の

2

つの論点より次の

2

つの仮説が立てられる.

仮説

2a

男性自営業者は同居する子どもがいれば自営業を廃業しにくい.

仮説

2b

男性自営業者は離婚後に自営業を廃業しやすい.

そして,女性自営業者についてケア労働の負担が自営業の安定性に及ぼす影響を焦点と し,家事と育児に関して次の

2

つの仮説が立てられる.

仮説

3a

女性自営業者は結婚後に家事を優先し自営業から退出しやすい.

仮説

3b

女性自営業者は育児期の子どもがいれば自営業から退出しやすい.

2.3

 小売・卸売の自営業と大店法廃止の影響

戦後の日本では自営業に対して保護的な政策がなされてきた(Arum & Müller ed. 2004;

Ishida 2004; Park 2010).本稿では小売・卸売の自営業に関連する制度的文脈に着目する.

百貨店法(1956)は小売・卸売の自営業への保護的な性格の強い法律で,百貨店の出店規 制により百貨店と商店街の共存が図られた.また後に百貨店法の規制に触れないスーパー マーケットが地域社会に出店された時も,百貨店法を強化する形で大規模小売店舗法(大 店法)(1973)が制定され,その性格は維持された(新 2012; 清成ほか 1978).

しかし後に流通業界の強いニーズにより大店法が廃止(2000)され,大型の小売店が地 域社会の近くに建設された.このことは自営業に対する保護規制の弱まりと捉えうる.先 行研究も大店法の廃止を俎上に載せるが(Ishida 2004; Park 2010),改正から間もない調査 データを用いたため,制度上の変化の帰結がわかりにくい.保護規制の弱まりを

2000

(4)

の大店法の廃止で例証し以下の仮説が立てられる.

仮説

4

他産業に比べ小売・卸売の自営業は

2000

年以降廃業しやすくなった.

3  データと変数

用いたデータは

2015

年「社会階層と社会移動に関する全国調査」(以下,SSM調査)

のバージョン

070(2017

2

27

日配布)である.SSM調査は

1955

年以降,10年毎実 施されているが,2005年

SSM

調査は子どもの性別,同居・別居に関する質問項目,1995 年以前の

SSM

調査は「離職理由」の質問項目がないため用いない.2015年

SSM

調査は

2014

12

月末時点で

20

79

歳の日本に居住する日本国籍を持つ男女を対象者として行 われた.層化

2

段無作為抽出法により抽出された個人に対して調査が実施され,有効回収 数は

7817

票,有効回収率は

50.1%

であった.

分析対象は男女の

20

歳以上の職歴における非農業の自営業経験者であり,その操作的

定義は

Ishida(2004)に従っている.つまり「従業上の地位」で「自営業主,自由業者」

をそのまま自営業,また「従業員の数」

30

人未満であり「従業上の地位」で「経営者(重役),

役員」を自営業とした.データはパーソン・ピリオッド・データに変換された.自営業に 複数回参入するケースは別々のイベントと扱う.分析のため作成された自営業者の職業小 分類の上位

3

種は,男性では「小売店主」(10.8%),「土木・建築請負師」(5.4%),「外交員(保険,

不動産を除く)」(4.8%),女性では「個人教師」(17.5%),「理容師・美容師」(9.5%),「飲 食店主」(7.9%)である.男女の自営業者の間には職種の違いに由来する相違が考えられる.

たとえば女性の個人教師では元より跡継ぎを想定しにくい.

統計モデルは離散時間ロジットモデルを用い(Singer & Willett 2003=2014),山口一男

(2002)で示される競合するリスクに対する離散時間ロジットモデルの分析手続きに従う.

まず仮説検証の前段階として競合するリスクを考慮せずに男女の「自営業からの退出」を

1

 男女自営業者における離職理由と退出時年齢のクロス集計表

男性自営業者 女性自営業者

退出時年齢 34歳以下 35~49歳 50~59歳 60歳以上 合計 34歳以下 35~49歳 50~59歳 60歳以上 合計 離職理由

年齢のため 1 1 2 49 53 1 0 4 17 22

  (行%) (1.9%) (1.9%) (3.8%) (92.5%) (100.0%) (4.5%) (0.0%) (18.2%) (77.3%) (100.0%)

健康上の理由 2 7 7 15 31 3 2 3 10 18

  (行%) (6.5%) (22.6%) (22.6%) (48.4%) (100.0%) (16.7%) (11.1%) (16.7%) (55.6%) (100.0%)

よい仕事がみつかった 11 19 7 2 39 11 7 2 2 22

  (行%) (28.2%) (48.7%) (18.0%) (5.1%) (100.0%) (50.0%) (31.8%) (9.1%) (9.1%) (100.0%)

家庭の理由 3 2 3 3 11 25 12 7 6 50

  (行%) (27.3%) (18.2%) (27.3%) (27.3%) (100.0%) (50.0%) (24.0%) (14.0%) (12.0%) (100.0%)

廃業・倒産 13 28 32 29 102 6 17 10 5 38

  (行%) (12.8%) (27.5%) (31.4%) (28.4%) (100.0%) (15.8%) (44.7%) (26.3%) (13.2%) (100.0%)

その他の理由 16 12 4 11 43 13 10 9 3 35

  (行%) (37.2%) (27.9%) (9.3%) (25.6%) (100.0%) (37.1%) (28.6%) (25.7%) (8.6%) (100.0%)

合計 46 69 55 109 279 59 48 35 43 185

  (行%) (16.5%) (24.7%) (19.7%) (39.1%) (100.0%) (31.9%) (25.9%) (18.9%) (23.2%) (100.0%)

(5)

分析し,その後,仮説検証のため競合するリスクを見出して分析する.

1

に離職理由を行に退出時年齢を列に配置した男女自営業者のクロス集計表が示され る.男女とも「年齢のため」「健康上の理由」は高齢者に偏り,「よい仕事がみつかった」

は若年層・中年層に偏る.男性は「家庭の理由」「廃業・倒産」で平坦な分布,女性は「家 庭の理由」が若年層で多く,「廃業・倒産」は中年層に多い.

本稿は自営業への参入経験者のみを対象とするため,ケース数の制限を受けやすい.分 析の妥当性のためケース数は多い方が良い.そのため男女ともに最も多い離職理由を焦点 とし,男性自営業者は「廃業・倒産」,女性自営業者は「家庭の理由」を対象とし,それ らを退出の競合するリスクとする.作成された従属変数は,退出した時点を1,それ以外 を

0

とした「自営業からの退出」,男性では廃業・倒産による退出の時点を

1,それ以外

0

とした「自営業からの退出(廃業)」,女性では家庭の理由による退出の時点を

1,そ

れ以外を

0

とした「自営業からの退出(家庭の理由)」である.

離散時間ロジットモデルで利用可能な独立変数には時不変の独立変数と時変の独立変数 がある(Singer & Willett 2003=2014).前者は個人のケースの値がどの時点でも同じ値をと り,後者は個人のケースの値が時点ごとに変わる.時不変の独立変数は次の変数を用い た.「父主職ダミー」は父職自営業を

1,それ以外を 0

とした.「本人教育」は義務教育卒,

高校卒,大学卒・短大卒・専門学校卒以上とし基準カテゴリを義務教育卒とした.そして,

「子同居ダミー」は

1

人でも子同居があれば

1,なければ 0

とした.

時変の独立変数は次のようになる.「持続年数」は自営業の継続年数毎に

1

年ごと増す 連続変数を作成した.「退出時年齢」は

34

歳以下,35~

49

歳,50~

59

歳,60歳以上と し基準カテゴリを

35

49

歳とした.「本人職業」は分析における因果関係を明確にする ため退出

1

年前の職業を用い,EGP階級図式を参照し(Erikson & Goldthorpe 1992),専 門(専門・管理,I + II),事務・販売(III),熟練(V + VI),非熟練(半熟練・非熟練,

VIIa)とし基準カテゴリを専門とした.「自営産業ダミー」は退出 1

年前の値を採用し「卸

売・小売・飲食店」を

1,それ以外を 0

とした.そして「2000年以降ダミー」では大店法 の廃止があった

2000年を区切りとし 1999年以前ならば 0,2000

年以降ならば1とした.「婚 姻状況」は退出

1

年前の値を採用し未婚,有配偶,離別,死別とし未婚を基準カテゴリと した.また退出

1

年前の「失業率」を「労働力調査」(総務省統計局 2017)より引用し連 続変数として用いた.そして「息子ダミー」「娘ダミー」「子

6

歳以下ダミー」「子

7

18

歳ダミー」「子

20

歳以上ダミー」を作成した.これら子どもに関する変数は子どもの性別 と子どもの生年を参照し

1

人でもいる時点は

1,いない時点は 0

とした.独立変数は以上 のように作成されたが記述統計量は紙幅の都合で割愛する.

4  分析

4.1

 自営業からの退出

2

に仮説検証の前段階として競合するリスクを考慮せずに行った男女自営業者におけ る従属変数を「自営業からの退出」とした離散時間ロジットモデルの分析結果が示され る.持続年数は男女とも有意差はなく自営業の継続年数は退出に影響を与えない.退出時 年齢はともに

60

歳以上で男性は

0.1%

水準で有意差があり

0.96,女性は 1%

水準で有意差 があり

1.06

である.男女とも

60

歳以上の自営業者は退出しやすい.父主職ダミーは先行 研究と異なり(Ishida 2004; Park 2010; 竹ノ下 2014)効果がない3).また本人教育は先行研 究と同様に有意でない(Ishida 2004; Park 2010; 竹ノ下 2014).本人職業は先行研究では男

(6)

性の非熟練職が退出しやすいとされたが(Ishida 2004; Park 2010; 竹ノ下 2014)有意でない.

女性の事務・販売のみ有意で

0.49,女性自営業者の事務・販売職は退出しにくい.失業

率では女性のみ有意で

0.26,失業率が高くなれば女性自営業者は退出しやすい.自営産業

ダミー,2000年以降ダミーは有意でない.婚姻状況は男性で効果はないが,女性で有配 偶が有意で

1.13,死別が有意で

1.41

である.女性自営業者は配偶者がいる場合,配偶 者と死別した場合で退出しにくい.子どもについては子

6

歳以下ダミーが女性のみ有意で

0.83,女性自営業者は 6

歳以下の子どもがいれば退出しやすい.男性では子同居ダミーが

有意で

0.32,男性自営業者は子どもが同居していれば退出しにくい.

2

 男女自営業者における「自営業からの退出」を従属変数とした離散時間ロジットモデルの 分析結果

男性 女性

係数 (S.E.) 係数 (S.E.)

持続年数

持続年数(連続変数) 0.00 (0.01) 0.00 (0.01)

退出時年齢(基準:2. 3549歳)

1. 34歳以下 0.19 (0.25) 0.34 (0.26)

3. 5059 0.11 (0.25) 0.52 (0.29)

4. 60歳以上 0.96 *** (0.27) 1.06 ** (0.34)

父主職ダミー(基準:0. 自営業でない)

1. 自営業である 0.10 (0.14) 0.24 (0.17)

本人教育(基準:1. 義務教育)

2. 高校 0.13 (0.18) 0.00 (0.25)

3. 大学, 短大, 専門学校 0.06 (0.21) 0.34 (0.26)

本人職業(退出1年前)(基準:1. 専門)

2. 事務・販売 0.41 (0.24) 0.49 * (0.22)

3. 熟練 0.27 (0.25) 0.29 (0.25)

4. 非熟練 0.21 (0.28) 0.16 (0.33)

自営産業ダミー(退出1年前)(基準:0. 小売・卸売でない)

1. 小売・卸売である 0.06 (0.16) 0.18 (0.21)

失業率(退出1年前)

失業率(連続変数) 0.03 (0.11) 0.26 * (0.13) 2000年以降ダミー(基準:0. 1999年以前)

1. 2000年以降 0.22 (0.28) 0.32 (0.32)

婚姻状況(退出1年前)(基準:1. 未婚)

2. 有配偶 0.23 (0.27) 1.13 *** (0.29)

3. 離別 0.42 (0.33) 0.09 (0.40)

4. 死別 0.68 (0.51) 1.41 ** (0.46)

息子ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.06 (0.18) 0.08 (0.24)

娘ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.17 (0.17) 0.22 (0.22)

6歳以下ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.05 (0.27) 0.83 ** (0.32)

718歳ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.13 (0.22) 0.11 (0.28)

20歳以上ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.13 (0.25) 0.23 (0.34)

子同居ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.32 * (0.14) 0.28 (0.18)

切片 4.46 *** (0.47) 3.66 *** (0.51)

モデル指標

2LL 2335.4 1418.8

d.f. 13885 5993

 観察数 13908 6016

 個人数 704 352

 イベント数 241 161

(注)*** p < 0.001,** p < 0.01,* p < 0.05.

(7)

3

 男性自営業者における「自営業からの退出(廃業)」を従属変数とした離散時間ロジットモ デルの分析結果

モデル1 モデル2 モデル3

係数 (S.E.) 係数 (S.E.) 係数 (S.E.)

持続年数

持続年数(連続変数) 0.01 (0.01) 0.01 (0.01) 0.01 (0.01)

退出時年齢(基準:2. 3549歳)

1. 34歳以下 0.26 (0.39) 0.29 (0.51) 0.43 (0.60)

3. 5059 0.65 * (0.30) 0.53 (0.45) 0.33 (0.54)

4. 60歳以上 0.80 * (0.36) 0.42 (0.69) 0.05 (0.75)

父主職ダミー(基準:0. 自営業でない)

1. 自営業である 0.00 (0.21) 0.04 (0.22) 0.09 (0.22)

本人教育(基準:1. 義務教育)

2. 高校 0.02 (0.29) 0.10 (0.29) 0.10 (0.30)

3. 大学, 短大, 専門学校 0.08 (0.34) 0.16 (0.34) 0.18 (0.34)

本人職業(退出1年前)(基準:1. 専門)

2. 事務・販売 0.81 (0.46) 0.85 (0.47) 0.74 (0.47)

3. 熟練 0.22 (0.48) 0.28 (0.49) 0.22 (0.49)

4. 非熟練 0.61 (0.52) 0.63 (0.53) 0.56 (0.53)

自営産業ダミー(退出1年前)(基準:0. 小売・卸売でない)

1. 小売・卸売である 0.45 (0.25) 0.43 (0.25) 0.04 (0.37)

失業率(退出1年前)

失業率(連続変数) 0.08 (0.18) 0.08 (0.18) 0.08 (0.18) 2000年以降ダミー(基準:0. 1999年以前)

1. 2000年以降 0.19 (0.42) 0.14 (0.42) 0.42 (0.46)

婚姻状況(退出1年前)(基準:1. 未婚)

2. 有配偶 0.02 (0.39) 0.37 (0.42) 0.30 (0.46)

3. 離別 0.83 (0.51) 1.03 * (0.52) 0.93 (0.54)

4. 死別 0.96 (0.82) 1.15 (0.84) 1.10 (0.87)

息子ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.48 (0.41) 0.50 (0.45)

娘ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.30 (0.45)

6歳以下ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.21 (0.46)

7~18歳ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.23 (0.34)

20歳以上ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.06 (0.41)

子同居ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.55 * (0.24) 0.55 * (0.24)

交互作用項(退出時年齢 × 息子ダミー)

1. 34歳以下 × 1. いる 0.14 (0.75) 0.01 (0.77)

3. 5059歳 × 1. いる 0.16 (0.56) 0.19 (0.58)

4. 60歳以上 × 1. いる 1.50 * (0.74) 1.55 * (0.77)

交互作用項(退出時年齢 × 娘ダミー)

1. 34歳以下 × 1. いる 0.41 (0.76)

3. 5059歳 × 1. いる 0.60 (0.58)

4. 60歳以上 × 1. いる 0.38 (0.60)

交互作用項(2000年以降ダミー × 自営産業ダミー(退出1年前))

1. 2000年以降 × 1. 小売・卸売である 0.71 (0.45)

切片 6.13 *** (0.80) 5.91 *** (0.83) 5.67 *** (0.84)

モデル指標

2LL 1060 1048.6 1041.7

d.f. 13891 13886 13878

AIC 1094.0 1092.6 1101.7

BIC 1222.1 1258.5 1327.9

尤度比検定

  基準:モデル1 0.045 0.147

  基準:モデル2 0.543

 観察数 13908 13908 13908

 個人数 704 704 704

 イベント数 91 91 91

(注)*** p < 0.001,** p < 0.01,* p < 0.05.

AIC =

2LL+2

×パラメータ数,BIC =

2LL+

パラメータ数×

log(N).

(8)

4.2

 離職理由を考慮に入れた自営業からの退出

次に仮説検証のため競合するリスクを考慮に入れた分析を行った.表

3

に従属変数を

「自営業からの退出(廃業)」とした男性自営業者に対する離散時間ロジットモデルの分 析結果が示される.モデル

1

は子どもの効果を含めないモデルであり,モデル

2

はとくに 仮説

1

の検証のため,モデル

3

は仮説

4

の検証を兼ねたフルモデルである.本研究では

AIC,BIC

と尤度比検定を用いてモデルを選択する.ただし,それらの結果が一致しない

場合は

AIC

と尤度比検定が優先される.AICと

BIC

ともに値が低い方がモデルとしてデー タに適合することを示し,尤度比検定は基準となるモデルとの比較で用いられる.AICは

モデル

2,BIC

はモデル

1

の適合を示し結果が一致しない.尤度比検定ではモデル

1

を基

準にモデル

2,モデル 3

と比較し,モデル

2

を基準にモデル

3

と比較した.尤度比検定の 結果はモデル

2

の適合を示す.

AIC

と尤度比検定の結果を優先しモデル

2

を中心に解釈する.

モデル

2

では婚姻状況は離別が有意で

1.03,離婚後に廃業しやすいため仮説 2b

は支持 されよう.子同居ダミーは有意で

0.55,子どもが同居していれば廃業しにくいため仮説 2a

は支持されよう.退出時年齢と息子ダミーの交互作用項は

60

歳以上で有意で

1.50,60

歳以上の男性自営業者では息子がいても廃業しやすいため仮説

1

は支持されない.そして,

仮説

4

について,モデル

3

2000

年以降ダミーと自営産業ダミーの交互作用項には有意 差がない.2000年以降に小売・卸売の自営業が廃業しやすいわけでないため仮説

4

は支 持されない.

4

に従属変数を「自営業からの退出(家庭の理由)」とした女性自営業者に対する 離散時間ロジットモデルの分析結果が示される.AIC,BIC,尤度比検定の結果を見ると

BIC

はモデル

1,AIC

と尤度比検定はモデル

2

の適合を示す.そのためモデル

2

を中心に

解釈する.

婚姻状況では有配偶の効果は有意で

1.49

であり,結婚は退出をしにくくする.そのた め仮説

3a

は支持されない.子

6

歳以下ダミーは有意で

2.05,6

歳以下の子どもがいれば 退出しやすい.よって仮説

3b

は支持されよう.退出時年齢と娘ダミーの交互作用項は自 営業者が

50

59

歳のとき有意で

3.07

である.また主効果の退出時年齢

50

59

歳は有 意で

2.25

である.つまり

50

59

歳の女性自営業者に限れば,娘がいなければ退出しや すいが,娘がいれば退出しにくい.50代を親の介護が発生する時分と考えると,女性自 営業者が親の介護をする代わりに娘がそれをするため,女性自営業者が退出しにくいと考 えうる.

5  考察

1995

年,2005年

SSM

調査データを用いた先行研究では男性自営業者は父職が自営業な らば退出しにくいとされたが(Ishida 2004; Park 2010; 竹ノ下 2014),2015年

SSM

調査デー タを用いた本分析ではその効果は確認されなかった.また,自営業者の職種では非熟練職 の退出のしやすさが指摘されたが(Ishida 2004; Park 2010; 竹ノ下 2014),その効果も確認 されず,女性自営業者の事務・販売職の退出のしにくさが確認された.本稿で用いたデー タを精査すると女性自営業者の事務・販売職には会計事務や総務・企画事務が多かったた め,補助的な書記業務を経営する女性は退出しにくいと解釈できる.そして,失業率が上 がれば女性自営業者は退出しやすかった.データを精査すると高失業率時には女性個人教 師の退出が目立って多い.自営業ホワイトカラー職は自営業ブルーカラー職と比べ開業コ

(9)

4

 女性自営業者における「自営業からの退出(家庭の理由)」を従属変数とした離散時間ロジッ トモデルの分析結果

モデル1 モデル2 モデル3

係数 (S.E.) 係数 (S.E.) 係数 (S.E.)

持続年数

持続年数(連続変数) 0.02 (0.02) 0.01 (0.02) 0.02 (0.02)

退出時年齢(基準:2. 3549歳)

1. 34歳以下 1.04 * (0.44) 1.16 (0.80) 1.20 (0.91)

3. 5059 0.36 (0.52) 2.25 ** (0.85) 2.82 ** (1.01)

4. 60歳以上 0.51 (0.65) 0.78 (1.29) 0.86 (1.53)

父主職ダミー(基準:0. 自営業でない)

1. 自営業である 0.42 (0.31) 0.53 (0.32) 0.55 (0.32)

本人教育(基準:1. 義務教育)

2. 高校 0.59 (0.50) 0.47 (0.51) 0.51 (0.52)

3. 大学, 短大, 専門学校 0.19 (0.47) 0.19 (0.47) 0.24 (0.48)

本人職業(退出1年前)(基準:1. 専門)

2. 事務・販売 0.62 (0.43) 0.74 (0.43) 0.80 (0.44)

3. 熟練 0.22 (0.44) 0.40 (0.46) 0.43 (0.46)

4. 非熟練 0.19 (0.68) 0.19 (0.69) 0.17 (0.70)

自営産業ダミー(退出1年前)(基準:0. 小売・卸売でない)

1. 小売・卸売である 0.03 (0.42) 0.03 (0.43) 0.07 (0.44)

失業率(退出1年前)

失業率(連続変数) 0.19 (0.24) 0.28 (0.25) 0.28 (0.25) 2000年以降ダミー(基準:0. 1999年以前)

1. 2000年以降 0.28 (0.61) 0.46 (0.63) 0.47 (0.63)

婚姻状況(退出1年前)(基準:1. 未婚)

2. 有配偶 0.45 (0.38) 1.49 ** (0.50) 1.56 ** (0.51)

3. 離別 0.93 (1.08) 1.69 (1.11) 1.74 (1.12)

4. 死別 1.23 (1.11) 2.15 (1.18) 2.14 (1.18)

息子ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.20 (0.40) 0.30 (0.72)

娘ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.82 (0.84) 0.71 (0.86)

6歳以下ダミー(基準:0. いない)

1. いる 2.05 *** (0.48) 2.09 *** (0.63)

718歳ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.06 (0.50)

20歳以上ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.81 (0.78)

子同居ダミー(基準:0. いない)

1. いる 0.20 (0.35) 0.27 (0.36)

交互作用項(退出時年齢 × 息子ダミー)

1. 34歳以下 × 1. いる 0.09 (0.89)

3. 5059歳 × 1. いる 1.50 (1.13)

4. 60歳以上 × 1. いる 0.64 (1.17)

交互作用項(退出時年齢 × 娘ダミー)

1. 34歳以下 × 1. いる 1.44 (0.95) 1.35 (0.95)

3. 5059歳 × 1. いる 3.07 * (1.36) 3.32 * (1.40)

4. 60歳以上 × 1. いる 0.28 (1.39) 0.10 (1.41)

切片 4.90 *** (0.93) 5.68 *** (1.14) 5.79 *** (1.21)

モデル指標

2LL 490.7 458.4 455.8

d.f. 5999 5992 5987

AIC 524.7 506.4 513.8

BIC 638.7 667.3 708.1

尤度比検定

  基準:モデル1 0.000 0.000

  基準:モデル2 0.755

 観察数 6016 6016 6016

 個人数 352 352 352

 イベント数 44 44 44

(注)*** p < 0.001,** p < 0.01,* p < 0.05.

AIC =

2LL+2

×パラメータ数,BIC =

2LL+

パラメータ数×

log(N).

(10)

ストが低いが(仲・前田 2014),その開業コストの低さゆえ景気悪化に柔軟に対応した結 果であると考えられる.

男性自営業者を考えた場合,強い稼ぎ主役割だけではなく,その役割には近代型の家父 長制の影響が色濃く残っていると想定した方が理解しやすいように思われる.男性自営業 者は子どもの同居があれば廃業を回避するが,それは家父長的・家族主義的に子どもの生 活保障を意図するためである.また,離婚と廃業の関連の強さも家父長制の影響の下,家 父長としての役割を担えなくなる時点で発生しやすい.本稿では「離婚後に廃業する」と いう因果を想定したため偽装離婚のようにも見える.しかし,筆者は予備分析において女 性の「自営からの退出(廃業)」を従属変数としたモデルでも検討したが,離婚と廃業の 関係はなかった.また,男性自営業者の配偶者は家族従業者として働くことが多いが,家 族従業者の減少を伴う配偶者との死別があっても廃業は促されないため,離婚による家族 従業者の減少が廃業を促すとも言い難い.

男性自営業者が家父長制に従うとしても,息子の不在は廃業をもたらさなかった.離職 理由で「年齢のため」「健康上の理由」とした高齢男性自営業者においては事業が継承さ れているだろうが,廃業した高齢男性自営業者においては,息子がいても息子は自営業を 継がない.商店街の歴史的な変遷を考察した新(2012)によると,商店街の小売店ではそ の家族の子ども以外には店を継がせようとしない.しかし,子どもは店の経営状況の悪さ を間近で見ているため店を継ごうとしない(新 2012).したがって,男性自営業者には家 父長制に含まれる家系の連続性の観念が残っていたとしても「跡継ぎ」息子はその観念を 受け継がず別の職につき,自身も高齢を迎えると廃業しやすい.

いっぽう,女性自営業者では結婚や死別は退出を起こりにくくし,育児期や娘がいなけれ ば介護期と思われる場面で家庭の理由による退出が起こりやすかった.すなわち子どもや親 に対してのケアは女性自営業者に要求されるが,配偶者に対するケアは求められない.また 配偶者がいなくなったときには家計を支える.先行研究でも女性自営業者の先進的な特徴は 指摘されているが(竹ノ下 2014),女性自営業者とその配偶者との間には,家事を平等に行 う関係性が構築され,それが女性自営業者の安定性をもたらしているものと思われる.

これまで日本の自営業率の高さは,家族に基づいた社会関係資本の強さや,自営業に 対する保護規制の強さに求められてきた(Arum & Müller ed. 2004; Ishida 2004; Park 2010).

分析結果では,2000年の大店法の廃止が小売・卸売の男性自営業者の廃業を促進した わけではなかった.予備分析における小売・卸売の女性自営業者の廃業も同様の傾向で あった.本稿の小売・卸売の自営業者と概念的に一致するわけでないが「商業統計」でも

1980

年代以降,小売業の個人事業者数は一貫して減少傾向にある(経済産業省 2009).大 店法の廃止以前より小売・卸売の自営業者の廃業が増加傾向にあるため,保護規制の弱ま りが自営業率低下の直接の要因とは言い難い.

いっぽう,先行研究(Arum & Müller ed. 2004; Ishida 2004; Park 2010)は必ずしも家族に基 づいた社会関係資本と家父長制を関連付けて議論しないが,日本の男性自営業においては 近代型の家父長制が,配偶者を家族従業者,長男を跡継ぎとする役割分担を促し,家族に 基づいた社会関係資本の形成に重要な役割を果たしてきたはずである.本稿では家族従業 者は議論できていないが,労働力調査では自営業率のみならず,家族従業者の比率も著し く減少している(総務省統計局 2017).跡を継がない息子,家族従業者の減少傾向より,家 族に基づいた社会関係資本の弱まりが日本の自営業率の低下と関連していると考えられる.

したがって,竹ノ下(2014)で指摘された東アジアにおける家父長制による家族構造の 再生産やジェンダーの不平等は,日本においては男性自営業者が家父長制の考え方を保持

(11)

しているかもしれないが,それは衰退しつつあり再生産はなされにくくなっている.また,

ジェンダーの不平等も出身階層に由来するものは弱まり,女性自営業者の育児・介護のよ うなケア労働に由来するものが根強く残っていると言えよう.

[付記]本研究は

JSPS

科研費

JP25000001,JP15H03405

の助成を受けたものです.本データ使用にあたり

2015

SSM

調査データ管理委員会の許可を得ました.本稿は

2015

SSM

テーマ班別研究会(移動・健康)の 報告論文「自営業からの退出についての考察:ジェンダー,家族構造,労働市場の観点から」と,移動レ ジーム研究会報告論文「どのように日本において家族構造や労働市場が自営業からの退出に影響を与える のか?:2015

SSM

調査データを用いて」を改定したものです.

[謝辞]移動レジーム研究会,2015SSM関西地区研究会,2015SSMテーマ班別研究会(移動・健康),2015SSM 体会議,関西社会学会第

67

回大会,第

64

回数理社会学会大会,第

90

回日本社会学会大会において,また,

筆者の所属する大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラムの同僚から英語要旨の校正を含め,多 くの有意義なコメントを頂きました.また,匿名の査読者の先生

2

名および編集委員会の先生方より有意 義なコメントを頂き,本稿の内容が大幅に改善されました.記して感謝申し上げます.

[注]

1)

家父長制の概念は非常に複雑である.瀬地山角(1996)は家父長制を近代型と現代型の

2

つに分ける.

近代型の家父長制は明治民法により規定された家の継承を重視する長男単独相続制に由来し,現代で は緩和されつつある.いっぽう,現代型の家父長制は性別役割分業を中心に構成され現代にも根強く 残っている(瀬地山 1996).本稿で便宜上「家父長制」とするものは前者のニュアンスが強い.

2)

廃業と離婚という

2

変数の因果関係を考えると,「廃業→離婚」と考えるほうが適切だが,本稿の分 析枠組みでは考察し難いため「廃業の予期→離婚」とする.後者は筆者の推測が含まれるため前者に 説明力で劣る.しかし,男性が稼ぎ主であることと廃業前の家庭内の経済状況の悪化を考慮すれば「廃 業の予期→離婚」の因果関係がありえないことではない.

3) EGP

階級図式を用いて予備分析を行ったが出身階層の効果はなかった.

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(12)

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(13)

Article

The Influence of the Family Structure and Labor Market in the Withdrawal from Self-Employment in Japan:

Using the 2015 SSM Survey Data Ichiro Hirao(Osaka University)

Abstract

Being self-employment decreasing in Japan, there is not much research on the withdrawal from self- employment. The hypotheses are set up by taking into consideration patriarchal ideology, the division of labor between men and women, and the abolition of the Large-scale Retail Stores Law (2000). The data used is the 2015 SSM survey data (the national survey of Social Stratification and social Mobility of 2015).

The analyses focus on male and female self-employers. Discrete logit models are applied to “withdrawal from self-employment” for male and female, “closing a business” for male, and “withdrawal for family reasons” for female. The findings for male self-employers are that they are likely to close their businesses in old age because their sons do not take over, they are not likely to close if children live together, and they are likely to close after divorce. The findings for female self-employers are that they are not likely to withdraw after marriage and their spouses’ deaths, and they are likely to withdraw for childrearing and nursing. The Large-scale Retail Stores Law has no effect on the withdrawal. The decrease of self-employment is not related to the weakening of regulation, but related to the weakening of family-based social capital.

Keywords

self-employment, gender, patriarchy, resignation reasons, social stratification

Review History

Received September 30, 2017/Accepted March 25, 2018

平尾 一朗(ひらお いちろう).大阪大学未来戦略機構第五部門 特任助教.〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-2 文理融合型研究棟6階.[email protected].研究関心:自営業,社会移動.

表 3  男性自営業者における「自営業からの退出(廃業)」を従属変数とした離散時間ロジットモ デルの分析結果
表 4  女性自営業者における「自営業からの退出(家庭の理由)」を従属変数とした離散時間ロジッ トモデルの分析結果

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