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(1)

予備調査としてのモニター型インターネット調査の 可能性の検討 ー確率標本・個別面接法調査データ との比較分析ー

著者 歸山 亜紀

著者別表示 Kaeriyama Aki

雑誌名 博士論文本文Full

学位授与番号 13301甲第4125号

学位名 博士(社会環境学)

学位授与年月日 2014‑09‑26

URL http://hdl.handle.net/2297/40492

(2)

予備調査としてのモニター型インターネット調査の可能性の検討

― 確率標本・個別面接法調査データとの比較分析 ―

歸山 亜紀

平成 26 年 6 月

(3)

博 士 論 文

予備調査としてのモニター型インターネット調査の可能性の検討

― 確率標本・個別面接法調査データとの比較分析 ―

金沢大学大学院人間社会環境研究科 人間社会環境学専攻

学 籍 番 号 0921072703

氏 名 歸山 亜紀

主 任 指 導 教 員 名 轟 亮

(4)

目次

1.

問題の所在

... 1

1.1.

社会調査の意義 ... 1

1.2.

社会調査の困難 ... 1

1.2.1.

実査をめぐる困難... 2

1.2.2.

問いの高度化にまつわる困難 ... 2

1.3.

社会調査のさまざまな方法 ... 3

1.3.1.

社会調査の方法の分類 ... 3

(1)データ収集の方法

... 3

(2)標本抽出の方法

... 5

1.3.2.

モニター型インターネット調査とは ... 6

(1)インターネット調査の分類 ... 6

(2)モニター型インターネット調査の実施

... 8

(3)モニター型インターネット調査の特徴(メリットとデメリット) ... 12

1.4.

本研究の課題 ... 15

1.5.

本研究のアウトライン ... 16

2.

モニター型インターネット調査と確率標本調査を比較した先行研究 ... 18

2.1.

属性や回答分布について ... 19

(1) 国内の研究 ... 19

(2) 海外の研究 ... 20

(3) まとめ

... 21

2.2.

変数間関連について ... 21

2.3.

本研究の方法 ... 22

2.4. 先行研究との目的の違い ... 23

3.

モニター型インターネット調査の質の検証1 ... 25

3.1.

使用するデータと分析方法 ... 25

3.2.

単純集計による比較 ... 26

3.2.1.

回答者属性の比較... 26

(5)

(1)年齢と学歴 ... 26

(2)収入(個人年収)

... 28

(3)結婚の状況 ... 28

(4)職業の状況 ... 29

3.2.2.

意識項目の比較

... 30

(1)

5

段階階層帰属意識、10段階階層帰属意識

... 31

(2)仕事の満足度、仕事による収入満足度

... 32

(3)権威主義的態度項目

... 33

(4)意識項目の回答分布の違いを検討する(平均の差の検定) ... 34

3.2.3.

単純集計、平均の差の検定による比較のまとめ ... 34

3.3.

二変数間関連についての検討 ... 34

3.3.1.

意識項目間の相関係数の同等性の検討

... 35

3.3.2.

属性と意識項目の相関係数の同等性の検定 ... 37

3.3.3.

二変数間関連の比較のまとめ ... 38

3.4.

変数間の規定構造についての検討 ... 38

(1)

5

段階階層帰属意識、10段階階層帰属意識(表

3-24、3-25) ... 39

(2) 仕事の満足度、仕事による収入満足度(表

3-26、3-27) ... 40

(3) 権威主義的態度項目(表

3-28、3-29) ... 42

3.5.

まとめ ... 43

4.

モニター型インターネット調査の質の検証2 ... 45

4.1.

使用するデータと分析方法 ... 45

4.2.

単純集計による比較 ... 46

4.2.1.

回答者属性の比較

... 46

4.2.2.

意識項目の比較

... 47

4.2.3.

単純集計、平均の差の検定による比較のまとめ ... 48

4.3.

二変数間関連についての検討 ... 50

4.3.1.

意識項目間の相関係数の同等性の検討

... 50

4.3.2.

属性と意識項目の相関係数の同等性の検定 ... 54

4.4.

変数間の規定構造についての検討 ... 61

(6)

(1) 階層帰属意識(表

4-33、4-34) ... 61

(2) 満足度(表

4-35~4-38) ... 61

(3)

10

年間の生活水準の変化(表

4-39) ... 62

(4) 各種水準の自己評価(表

4-40~4-44) ... 62

(5) 意見・態度

12

項目(表

4-45~4-56) ... 62

4.5.

まとめ ... 64

5.

モニター型インターネット調査の質の検証3 ... 77

5.1.

使用するデータと分析方法 ... 77

5.2.

単純集計による比較 ... 77

5.2.1.

回答者属性の比較

... 77

5.2.2.

意識項目の比較

... 79

5.2.3.

単純集計、平均の差の検定による比較のまとめ ... 80

5.3.

二変数間関連についての検討 ... 81

5.3.1.

意識項目間の相関係数の同等性の検討

... 81

5.3.2.

属性と意識項目の相関係数の同等性の検定 ... 84

5.4.

変数間の規定構造についての検討 ... 90

(1) 階層帰属意識(表

5-28、5-29) ... 90

(2) 満足度(表

5-30~5-33) ... 90

(3)

10

年間の生活水準の変化(表

5-34) ... 91

(4) 各種水準の自己評価(表

5-35~5-39) ... 91

(5) 意見・態度

7

項目(表

5-40~5-46) ... 92

5.5.

まとめ ... 93

6.

モニター型インターネット調査の質の検証4(多母集団同時分析) ... 104

6.1.

分析 ... 105

6.1.1. 5

段階階層帰属意識の分析 ... 106

(1) SSP-I2010と

SSP-W2012

の多母集団同時分析 ... 106

(2) SSP-I2010と

SSP-W2013-1

stの多母集団同時分析 ... 108

6.1.2.

生活満足度の分析... 109

(7)

(1) SSP-I2010と

SSP-W2012

の多母集団同時分析 ... 110

(2) SSP-I2010と

SSP-W2013-1

stの多母集団同時分析 ... 111

6.1.3.

生活満足度を媒介とした階層帰属意識の分析 ... 112

(1) SSP-I2010と

SSP-W2012

の分析(表

6-7) ... 113

(2) SSP-I2010と

SSP-W2013-1

stの分析(表

6-8) ... 114

6.2.

まとめ ... 118

7.

結論 ... 119

7.1.

本研究の要約 ... 119

7.2.

本研究の主張とインプリケーション ... 120

7.3.

残された課題 ... 121

4

章付表:共通する意識

24

項目の質問文、回答選択肢および単純集計 ... 125

5

章付表:共通する意識

19

項目の質問文、回答選択肢および単純集計 ... 133

【付記】

... 140

【初出一覧】 ... 140

【参考文献】 ... 141

(8)

1. 問題の所在

本章では、まず、社会調査の意義、社会調査の困難といわれる状況、(量的)社会調査の 方法について整理し、本研究が研究対象とするモニター型インターネット調査を定義して、

量的社会調査法のひとつとしてのモニター型インターネット調査の特徴と、その実施方法 を紹介する。そして本研究が明らかにする課題について説明する。

1.1.

社会調査の意義

複雑で変動の激しい現代社会の社会的事実を明らかにしたり、また、さまざまに生起す る社会問題への対応と解決策を考えたりすることは社会学の重要な仕事である。そういっ た社会的事実や社会問題を知る方法のひとつとして社会調査がある。計量社会学研究は、

量的社会調査による大量観察データを分析することで、社会的事実を把握し、人びとの社 会生活を描き、理解することを可能にする(尾嶋 2001: 7、Payne and Payne 2004: 218)。社 会調査による社会的事実の把握は、市場調査や世論調査においても広く志向されており、

また、国や自治体の政策立案や決定においては社会調査データが重要な拠りどころとされ

る(木下

2013: 3、島崎 2007: 2-3)など、現代における社会調査の重要性は論を俟たない。

正しい現実理解のためには、当然、社会調査データは適切に測定されていなければならな い。適切に測定された社会調査データこそが経験的事実であり、それに基づいて正しい現 実理解が可能になる 1。そのため、いかにして適切なデータを得るかを考える社会調査方 法論(survey methodology)研究が重要となる。

1.2.

社会調査の困難

以上のように、現代社会を正しく理解するうえで、社会調査および社会調査方法論研究 の重要性は大きい。しかし、2000年頃から大学などの研究機関が、学術的な社会調査を実 施することの難しさ(以下、社会調査の困難という)がさかんに指摘されるようになって いる。社会調査の困難とは、おもに、(1)調査の実施(以下、実査という)のさいに直面 する困難と、(2)問いの高度化に伴う分析手法や社会調査方法の高度化にまつわる困難の ことである(山口

2003、盛山 2008)。

1 これは「命題の真偽を経験的事実で判定する」(小田2009: 6)という経験科学の立場である。

(9)

1.2.1. 実査をめぐる困難

ここからは量的な社会調査にしぼって論を進めたい。量的調査の実査をめぐる困難には、

①抽出台帳(sampling frame)の閲覧制限の問題、②回収率の低下の問題が挙げられる(盛 山

2008: 6、平沢 2013: 211-8)。

国内においては、個人を対象とした確率標本の社会調査では、抽出枠(台帳)として選 挙人名簿や住民基本台帳などが利用されてきた。この

2

つのように整備された優れた台帳 の存在は、確率標本調査を可能とする必要条件である。しかし、国民のプライバシー意識 や個人情報の漏洩に対する危機意識の高まり等を背景に、

2005

年には個人情報の保護に関 する法律が施行され、

2006

年には住民基本台帳法と公職選挙法の改正があり、市場調査だ けでなく、学術的な社会調査の標本抽出が目的であっても、これらの台帳を利用すること が難しくなりつつあり、実際に台帳の閲覧を認めない自治体が増加しているという(平沢

2013: 212、田邊 2013: 14)。これが①抽出台帳の閲覧制限問題である。

また、抽出台帳が利用できても、調査対象者から回答が得られない割合が高まってきて いる。これは②回収率の低下問題である。回収率の低下の理由は多様に考えられるが、プ ライバシー意識や個人情報漏洩に対する警戒感の高まりは、社会調査への協力を拒否する 方向に働いているだろうし、職業生活、家族形態、居住形態などのライフスタイルの変化 は、そもそも調査対象者への接触(調査依頼)を難しくさせている。せっかく抽出台帳か ら確率的な標本抽出ができたとしても、回収率の低さの程度によっては、統計的な推測に 偏りをもたらしてしまうことになる。

1.2.2.

問いの高度化にまつわる困難

このような社会調査の困難といわれる状況下にかかわらず、社会科学分野では、問いの 高度化・複雑化にともない量的調査の規模は拡大している 2(轟・歸山

2013: 126)。社会

学分野で代表的な確率標本調査であるSSM調査(社会階層と社会移動全国調査)やJGSS調 査(日本版総合的社会調査)は計画標本サイズが

5,000

を超える大規模な全国調査プロジ ェクトである。

2 たとえば、階層研究では、意識や消費の差異に対する職業階層の説明力の弱さは職業的地位の空 洞化によるものではなく、その階層変数が少数の職業カテゴリー(ビッグクラス)で表されている ことに起因するとし、マイクロクラスを用いることで、職業階層の説明力はいまだに有効であると するマイクロクラス・アプローチ(Grusky 2005)があるが、このマイクロクラスによるアプローチ は、非常に大きなサンプルサイズ(と個人の詳細な職業情報)を要求する(三輪 2009: 2)。

(10)

このような大規模社会調査は当然、非常に大きな調査コスト(資金、時間、人的資源)

を必要とするため、「研究目的が達せられない場合の損失はきわめて大きく、ときには社会 的責任も問われかねない(轟・歸山

2013: 126)」状況であるという。一方で当該研究領域

の発展のためには、既存項目の有効性についての批判的検討を絶えず行い、同時に斬新な 発想にもとづいた新規の質問項目の設定も求められる(Krosnic and Lupia 2012)3。このよ うに社会調査データを用いる計量社会学研究は大きなジレンマを抱えているように思われ る。

1.3.

社会調査のさまざまな方法

以下では、社会調査のさまざまな方法について、データ収集(data collection)の方法と 標本抽出(sampling)の方法という

2

つの側面(大隅 2006: 3、大隅・前田 2007: 58)から 簡単に説明する。

1.3.1.

社会調査の方法の分類

1

) データ収集の方法

データ収集の方法にはさまざまなものがあるが、日本の学術研究においては、伝統的に 個別面接法、郵送法、留置法の

3

つが多く用いられてきた。個別面接法は、調査員が調査 対象者の自宅などへ行き、調査票を示しながら質問をし、その回答を調査票に記入する調 査である 4。郵送法は、調査対象者に調査票を送付し、調査対象者自身に回答を記入して 返送してもらう方法である。留置法は、調査員が調査票を持って調査対象者の自宅などに 行き、調査の内容や調査票への記入のしかたを説明し、調査票を調査対象者に渡していっ たん戻り、調査対象者が自分の都合のいい時間などに調査票に回答を記入しておき、その 後、調査員が回収に行く、という方法である。

そのほか、新しいテクノロジーを積極的にデータ収集法に取り入れてきたアメリカでは、

調査員が調査対象者に電話をかけて電話口で質問し回答を記入する電話法、調査員が持参

3 そのためAmerican National Election Studies(Aldrich and McGraw eds. 2012)、早稲田GLOPE世論 調査プロジェクト(日野・田中編 2013)など、一部の大規模調査では、新しい研究課題について、

その研究上の妥当性などを検討するために「予備調査(preliminary survey)」を行い、本調査(main survey)への採否を判断するプロセスを取り入れている。

4 コンピュータ支援を用いる個別面接法と区別するために、伝統的な個別面接法は、紙の調査票に 鉛筆などの筆記具を使って記入することからPAPI(paper and pencil interview)とも呼ばれる。

(11)

し た コ ン ピ ュ ー タ 画 面 に 電 子 調 査 票 と し て 質 問 文 を 表 示 し 、 回 答 を 入 力 す る

CAPI

(computer assisted personal interview)、調査員が持参したコンピュータ画面に電子調査票を 表示し、回答者が直接回答を入力する

CASI(computer assisted self-interview)の利用も多

い。また、

1990

年頃からのパーソナルコンピュータやインターネットの一般への急激な普 及に伴って、社会調査におけるウェブ(web)法の実施例も増加している。ウェブ法は、

調査対象者自身が所有する

PC

画面上に表示される電子調査票に、調査対象者自身が回答 を入力する、入力と同時に回答がサーバに送信されるというデータ収集法である(轟・歸 山

2014: 46)。

データ収集法において、回答への影響という点でもっとも重要だと考えられるのは調査 員の関与の程度である(小林 2013: 66)。この点から、代表的なデータ収集法について分 類したのが図

1-1

である。

調査員の存在は、調査コストを当然引き上げるが、調査員がいることで一般的には回収 率が高まるといわれている。また調査の場に調査員がいることで、調査対象者とのさまざ まな相互行為を通じて、本人性の問題(調査対象者本人が回答をしているか)(小林 2013:

65)をチェックすることができる。調査員がなんらかのかたちで関与するデータ収集法に

CAPI、一般的な個別面接法(PAPI)、電話法、 CASI

などがあり、調査員の関与がない

ものとしては、ウェブ法、留置法、郵送法などがある。

調査対象者が回答を記入する方式(自記式)ではなく、調査員が回答を記入する方式(他 記式)の場合、回答内容が調査員に知られることになるため、性行動などのセンシティブ な質問や「投票に行きましたか」などの社会的望ましさバイアス(social desirability bias)

Level 2 回答を記入するのは…

Level 1 調査員が…

データ収集の 方法

いる

調査員

あり なし

調査対象者

あり なし

いない

調査対象者

あり なし

CAPI 個別面接法

(PAPI)

電話法

CASI ( 特 殊 な

個 別 面 接 法 ? )ウェブ法 留置法 代表的なデータ収集法 郵送法

(Level 3 コンピュータ支援)

1-1

調査員の関与の程度による代表的なデータ収集法の分類

(自記式)

(他記式)

(12)

5の か か る よ う な 質 問 は 回 答 精 度 が 低 く な る 可 能 性 が あ る 。 他 記 式 の デ ー タ 収 集 法 に は

CAPI、個別面接法(PAPI)、電話法などがあり、自記式にはCASI、ウェブ法、留置法、郵

送法などがある。

2

) 標本抽出の方法

C.ブースが 19

世紀の終わりにロンドンで行った貧困調査は、近代的な社会調査の原点の

ひとつであるといわれる(Groves et al. 2004=2011: 4、轟

2013b: 9)。ブースが行ったような

初期の社会調査は、明らかにしたい調査対象の範囲(母集団)すべてのケースを調査する ことを目標としていた(Groves et al. 2004=2011: 7)。現在の調査研究では、母集団が大き い場合(例えば日本に居住する

20

歳以上の日本人を母集団とする場合)、時間的、金銭的、

人的コストを考えると、全数調査による調査研究をおこなうのはほとんど不可能であり、

また全数を調査することが必ずしも最善ではないので、通常、母集団の一部分(標本)を 調査する標本調査が行われる。

18

世紀に確立していた確率論が標本調査に応用され、確率 標本(probability sample)による社会調査が行われるようになったのは

1940

年頃で、アメ リカの月例失業調査(Monthly Survey of Unemployment)(Groves et al. 2004=2011: 7-8)や、

のちに現在の全米国政選挙調査(ANES: American National Election Studies)へと発展する コロンビア大学によるエリー調査 6(田中

2013: 3-4)などはかなり初期の確率標本社会調

査である。

確率標本は、母集団に含まれるすべての個人に、既知のゼロはない確率で標本に選ばれ る 機 会 を 与 え る こ と で あ り 、 そ の 確 率 は 必 ず し も 同 じ で な く て よ い 7

Groves et al.

2004=2011: 103)。確率標本を用いる調査であれば、標本の調査結果から母集団について推

測することができる。確率標本抽出以外の標本抽出法も実際にはさまざまに行われており

8、これらは一括して非確率標本抽出と呼ぶことができる。非確率標本の調査結果から母集

5 社会的望ましさバイアスとは、回答者が自分をより良く見せようと回答をする傾向のことである

(Groves et al. 2004=2011: 168)。

6 1940年のアメリカ大統領選挙のさいに、オハイオ州エリー郡で有権者全体から無作為抽出法によ

って標本を選んで行った調査(さらに、選挙の前後で同一サンプルに対して調査するパネル調査の 手法も取り入れられている)(田中2013: 3-4)。

7 母 集 団 に 含 ま れ る す べ て の 個 人 が 同 じ 確 率 で 標 本 に 選 ば れ 得 る よ う に す る 方 法 は 無 作 為 抽 出 法

(ランダム・サンプリング)といい(杉野2013: 98-9)、ほかの確率標本調査の設計の標本抽出分散 の比較基準となる(Groves et al. 2004=2011: 108)。

8 たとえば母集団についてすでにわかっている性別や年齢の構成比などの情報を用いて、標本がそ

(13)

団について推測することはできない。

標本抽出の方法は、このように確率標本抽出と非確率標本抽出の

2

つに大きく分けられ る。

1.3.2. モニター型インターネット調査とは

インターネット調査は、現在、市場調査においては実施数や売上高ベースで最もポピュ ラーな調査法となっている(日本マーケティングリサーチ協会

2013)が、実際にはインタ

ーネット調査にはさまざまなタイプがある。ここではインターネット調査を分類し、本研 究が扱う「モニター型インターネット調査」がどのようなデータ収集法と標本抽出法を用 いる調査法なのかを明確にしておきたい。

1

) インターネット調査の分類

インターネット調査はデータ収集法としてはウェブ法をとるが、標本抽出の方法によっ て、多様なタイプに分けられる。

住民基本台帳などの標本抽出枠から確率的に抽出した調査対象者に調査票画面のURLを 知らせ、ウェブ法で回答してもらう方法(したがって確率標本調査となる)や、ポータル サイトなどの閲覧数が多いサイトにバナー広告を設定して、「行きずり」の閲覧者を調査票 画面に誘導し回答してもらう方法 9(小林

2013: 75)などがあるが、一般的なのは調査会

社が保有するモニター登録者集団(パネル 10)から調査対象者を抽出する方法である 11

(轟・歸山

2014: 46)。この方法を用いるインターネット調査をモニター方式と呼ぶことと

する。

モニター方式のインターネット調査は、さらにパネルの構築方法と回答者の抽出方法

(case selection)によって分類できる。

の分布に一致するように対象者を割り当てる割当抽出法(quota sampling)などがある(De Vaus 2002:

90、杉野2013: 97-8)。

9 オープン型と呼ばれることがある。また、アメリカなどではUnrestricted self-selected surveysとい う(Couper 2000: 478-82、Tourangeau et al. 2013: 11-8)。

10 ここではモニター登録者集団そのものを指してパネルと呼ぶが、大隅(2002)は、モニター登録 者集団全員に対して行うインターネット調査をパネル型、モニター登録者集団から実査の対象者を 選 ぶ イン タ ー ネ ッ ト 調査 を リ ソー ス 型 と し て 区別 し て おり 、 本 研 究 で の使 用 法 とは 異 な る ( 大 隅 2002: 206)。

11 こ の よ う に パ ネ ル を 使 う 調 査 を ク ロ ー ズ ド 型 と 呼 ぶ こ と が あ る 。ア メ リ カ な ど で は Volunteer opt-in panelsという(Tourangeau et al. 2013: 11-8)。

(14)

パネルの構築方法としては、(

A)インターネット上などでの調査会社の勧誘によって、

協力の意思のある人びとをモニターとして登録する公募型と、(B)何らかの確率的な方法

(たとえば住民基本台帳から無作為抽出によって選ばれた人にモニター登録を依頼する等)

でパネルを構築する非公募型、の

2

つに分けられる(大隅・前田

2007、轟・歸山 2014: 46-7)。

パネルからの回答者の抽出方法には、(a)確率的な抽出を行う方法と、(b)非確率的方法 がある(轟・歸山

2014: 47)。

このようにパネルの構築方法と回答者の抽出方法でモニター方式のインターネット調査 を分類したのが図

1-2

である。

1-2

モニター方式のインターネット調査の分類

①は(B)非公募型+(a)確率的方法で、確率標本に対するウェブ法調査となり、母集 団に対して代表性を有する 12。②は(A)公募型+(a)確率的方法で、パネルの中からラ ンダムに回答者を選ぶので、登録モニターを母集団とみなした統計的推測ができる。③は

(A)公募型+(b)非確率的方法で、この方法の一つとして、従来型調査の割当抽出法の ように特定の属性などに回収数を割り当てて 13、その数に到達するまで回収する「目標回 答数充当法」(轟・歸山

2014: 47)があり、日本国内でもっとも多く用いられている方法で

ある(大隅

2002: 206-7)。本研究が、その質を検証・評価するモニター型インターネット

調査とは、このもっとも普及しているタイプの調査のことである。以降、このタイプを指

12 実際には、パネルへの登録に協力するかしないかの時点で誤差が生じる。

13 詳しくは次項1.3.2(2)を参照されたい。

④非公募型・非確率的方法

(方法としてはあり得る)

①非公募型・確率的方法

(確率標本・ウェブ法の調査)

③公募型・非確率的方法

(例:目標回収数充当法)

本研究で扱う、最も典型的な モニター型インターネット調査

②公募型・確率的方法

(モニターからランダムに回答 者を選ぶ)

非確率的 確率的

公募型 非公募型

(15)

して本研究では「モニター型インターネット調査」とする。なお、④の(B)非公募型+

(b)非確率的方法も方法的にはあり得るが、実際にはほとんど行われていないと思われる。

2

) モニター型インターネット調査の実施

量的社会調査は、①構想・計画(調査テーマの設定、調査デザインの決定、実施計画)

②準備(調査票の作成、サンプリング)③実査(調査依頼、配票・回収)④データの入力・

点検(データチェック、有効票の確定)⑤分析⑥報告⑦データの管理、といったプロセス で進められる(轟 2013c: 33-6)。モニター型インターネット調査を実施する全体的な手順 も、伝統的な量的社会調査の手順と異ならない(Sue and Ritter 2012: 1-13)。ここではモニ ター型インターネット調査の実査のプロセスを、標準的な量的社会調査のプロセスに沿っ て整理し(表

1-1)、モニター型インターネット調査の実査に特徴的な部分(表 1-1

の太字)

について、その手順を紹介する。

1-1

モニター型インターネット調査の実査プロセス

①構想・計画 ・調査テーマの決定

・調査時期、調査資金の決定

・調査対象(仮の母集団)、標本サイズの決定 例:日本国に在住する20~64歳の日本人男女

・調査委託会社の決定

②準備 ・割当ての設計

・調査票の作成/電子調査票の作成依頼

・電子調査票のチェック

③実査 ・依頼メールの送信、実査

・回収状況の確認

④データの入力・点検 ・納品データのチェック/有効票の確定

⑤分析

⑥報告

⑦データの管理

・調査委託会社の決定

モニター型インターネット調査では、調査委託会社の役割が大きい(標本抽出、電子調 査票の作成、実査、データ作成等)ため、調査委託会社の選定は重要である。選定の基準 としては、調査主体側の調査設計に対応できるかが第一のポイントである。現在のところ、

市場調査経験が豊富な調査会社であっても学術調査の経験が多くないこともあるので、学 術調査に求められる、調査設計を厳守して実査を行わなければならないという意識やその ための技量などを有しているかについては慎重に検討することが必要である。そのほか、

(16)

登録モニターの規模、モニターのメンテナンスの方針、電子調査票の体裁、納品データの 標準構成(調査データのファイル形式、電子調査票、単純集計、コード・ブック、回収経 過報告書等)なども事前に確かめ、調査主体が必要とするものを提供できる会社を選択す る。

近年は、学術的社会調査における個人情報の取扱いについても対応しなければならなく なっている。モニター型インターネット調査は調査会社が保有するモニターに対する調査 であり、確率標本調査のような抽出台帳から抽出した対象者リストは存在せず、この点で 調査主体が個人情報を扱うことはないが、調査主体は調査会社が保有モニターの情報を適 切に管理しているかについてのチェックはすべきである。それは、社会調査の専門業界団 体によって、個人情報の適切な保護のための体制を整備している、という認定(プライバ シーマーク)を受けていることであり、これが選定の必要条件となるだろう。

・割当ての設計

前項

1.3.2(1)で分類したとおり、モニター型インターネット調査は公募型で構築され

たパネルから非確率的な方法で対象者を選ぶが、この非確率的な方法のひとつに割当て法 がある。割当ては、たとえば、住民基本台帳人口データでは都道府県別、市区町村別、男 女別、年齢階級別の人口がわかるので、これを用いて、「住民基本台帳人口を母集団とし、

都道府県と性別と年齢階級を組み合わせたセルを作成し、母集団におけるセルの大きさに 比例して回収数を割当てる」ことである(轟・歸山

2014: 47)。

実際の割当ての例を示す。モニター型インターネット調査でサンプルサイズ

3,000

の調 査を在住都道府県と年齢で割り当てて行う場合、住民基本台帳年齢別人口データ(市区町 村別)を用いて都道府県と年齢階級を組み合わせた人口の「セル」を作成し(図

1-3)、こ

のセルの母集団における大きさを計算する。例の住民基本台帳人口データでは

20

歳から

64

歳 ま で の 総 人 口 は

72,977,413

で あ る の で 、 北 海 道 ・

20

代 の セ ル の 大 き さ は

523,003/72,977,413=0.007167

で 、 こ れ に 比 例 さ せ て

3,000

ケ ー ス を 割 り 当 て る

(0.007167×3,000)と、回収数は

22

となる 14(図

1-4)。すべてのセル(例の場合、47

都 道府県

×5

年齢階級=235セル)について同様の計算を行って割当数を決定する。

14 小数点以下の処理についてはいくつかのやり方がある(この図の例では最大剰余方式で行ってい る)が、ここでは詳述しない。

(17)

1-3

割当てセルの作成

1-4

セルの大きさの計算と割当数の決定 セル

セルの大きさ 割当数(回収目標数)

セル

(18)

・調査票の作成、電子調査票の作成依頼

電子調査票の作成は、調査委託会社に依頼することになるが、そのさいには調査主体は 電子調査票の元となる調査票を、郵送調査法で使用するような自記式調査票形式で作成し、

提出する。最初の画面には、調査協力依頼文を表示することが可能であるので、必要な場 合は作成する。電子調査票では条件付き、枝分かれ質問(有職者だけ答える等)、矛盾回答、

無回答 15が生じないように予めプログラムでコントロールすることが可能であるので((3)

①(ア)および(ウ)も参照)、これらを行う場合は調査主体が作成した調査票内で指示を する。こうすることで、従来型の自記式調査票を作成した経験があれば、調査全体のボリ ュームをおおよそ把握できるし、調査委託会社は提出された紙の自記式調査票と同じよう なインターフェイスとなるように電子調査票を作成する 16ので、調査回答者に対する刺激 を出来る限り統制することにもなる。

・電子調査票のチェック

調査会社が作成した電子調査票のインターフェイス、テキストおよび条件付き質問など をプログラム上でコントロールした場合の動作のチェックは、調査主体が行う。調査委託 会社は、調査主体によるこの動作チェックの時間を

1、 2

日程度しか見積もっていないこと が多いが、この動作チェックを正確に丁寧に行うには時間がかかる。調査票内のテキスト 情報、インターフェイス、動作で不具合を見つけたときには修正指示をし、指示通りに修 正されているか再度点検しなければならないため、チェックの期間としては

1

週間から

10

日程度は見ておく必要がある。

・依頼メールの送信、実査

調査対象条件に合致し、割当てセル一定数の登録モニターに対し、回答依頼メールが配 信される。回答依頼メールには、調査のタイトルと回答ページの

URL

等が記載されており、

URL

をクリックすると回答ページへジャンプし、回答を始めることができる。

15 何らかの回答がなされていないと先に進めないようにするのは簡単だが、無回答を認めないこと は、回答者のその項目に回答したくない、という意思を無視してしまうので倫理的な問題を含めて 設計する必要がある(轟・歸山 2013: 127)。

16 1画面に複数の質問を配置しないと回答者が回答できない場合を除いては、基本的には 1 画面 1 質問がよい。しかし、従来型の調査票と回答者に対する刺激が変わってしまうことや画面の切り替 え数によって調査料金が高くなることなどにも考慮しなければならない。

(19)

・回収状況の確認

割当てたすべてのセルが目標回答数に達すると実査の終了となるが、達するまでは調査 委託会社に対し回収状況の確認をこまめに行い、目標回答数に足りていないセルがあれば、

回答依頼メールを再度配信するなどして、すべてのセルが充足されるまで回収を続ける(実 際には、

1~2

週間程度/回答依頼メールを数回再送信しても目標回収数に達しない場合も ある。その場合、どこで調査を打ちきるか調査主体が決定しなければならない)。

・データチェック/有効票の確定

実査終了後、データが納品される。この期間は従来型調査に比べるとデータ入力の必要 がないので格段に早く、回収終了後、1~2 日でデータが届く。まずは、調査対象の範囲、

各セルの回収数が指定と異ならないか、条件付き質問などが設計どおりであったかをチェ ックする。そのほか、調査票全体での回答時間、モニター登録情報(属性)、項目ごとの回 答時間や項目無回答数などを使ってデータを点検する。

3

) モニター型インターネット調査の特徴(メリットとデメリット)

モニター型インターネット調査には、いかなる特徴があるのだろうか。以下では、モニ ター型インターネット調査がもつメリット、デメリットの重要なものについて説明する(イ ンターネット調査一般に共通するものも多いので、モニター型インターネット調査だけが 持つ特徴にはその旨明記する)。

①メリット

(ア)金銭的・時間的コストの小ささ

従来、標準的に用いられてきたデータ収集法である個別面接法、郵送法、留置法と比較 すると、モニター型インターネット調査は金銭的コストを格段に小さくできる。調査会社 がすでに保有するパネルを利用するため、サンプリングや実査に訪問する調査員の人件費、

調査票の印刷や郵送にかかる費用が不要になるからである。このコストの小ささがどのく らいなのかについては、たとえば「調査企画者集団が、調査設計、調査票作成、実査、コ ーディング、入力、分析、報告、事後処理等の調査の全過程を直接的にマネージできる規 模の調査」である中規模社会調査(Middle-Scaled Survey)は、おおよその目安としてサン

(20)

プルサイズが数百、予算総額は

70

万円程度であるという(轟・溝部

2007: 137)。モニター

型インターネット調査の場合(もちろん設計によって幅はあるが)、同じ金額で

10

倍程度

(3,000~4,000)のサンプルサイズの調査が可能であり、これはサンプルサイズでいえば、

個別面接調査法で数千万円かかるであろう全国調査と同規模となる。

データ収集法としてウェブ法を用いるインターネット調査では、ほかのデータ収集法に 比べ時間的コストも小さい。インターネット調査では、回答者がweb画面上でクリックし たり、入力したりした回答がそのまま電子情報となる(小林

2013: 75)ため、コーディン

グやデータ入力の必要が基本的には生じないためである。また、回答の矛盾を論理エラー としてプログラム上でコントロールすることができるため、エディティングの手間もある 程度省くことができる 17。そしてモニター型インターネット調査では、調査依頼から回収 完了までの期間が短いことも挙げられる。たとえば、先の中規模社会調査を郵送法で行う 場合、調査依頼から実施、回収完了までに約

1

カ月~1 ヶ月半かかる(溝部・轟 2008)。

しかし、モニター型インターネット調査の場合、通常は

3

日~1 週間程度で完了できる。

モニター型インターネット調査の最大の魅力は、従来の大規模調査と同程度の大きなサイ ズのデータを、相対的に小さな金銭的・時間的コストで得られる、この点にあるといえる。

(イ)レア・ターゲット、地理的に大きく分布している対象者への調査

パネルが大規模化している 18ことや、調査会社が特定属性のモニターを構成している 19 ことから、対象者が地理的に大きく分布している場合や確率抽出では対象者として出現し にくい属性の人びと(レア・ターゲット)の回答を効率よく集め(Payne and Payne 2004: 128、

小林

2013: 76)、統計的処理が可能な規模の回答が得られる場合がある(轟・歸山 2013: 126)。

(ウ)電子調査票を使用することについて

ウェブ法を用いるインターネット調査の調査票は、電子調査票となる。電子調査票では、

17 どのような回答の矛盾を論理エラーとするかは、調査主体が決めなければならないが、これには 調 査 票 全 体 に つ い て の シ ス テ マ テ ィ ッ ク な 思 考 が 要 求 さ れ 、 実 際 に は と て も 難 し い 作 業 で あ る

(轟・歸山2013: 127)。

18 業界大手になると、個々の会社が独自に構築しているモニターが100万人を超えている。また数 社でモニター提携をしている場合もあり、200~300万人以上のモニターを対象にすることも可能に なっている。

19 複数の調査会社のホームページ等によれば、たとえば「疾病モニター」「医師モニター」「ペット オーナーモニター」「自動車保有モニター」などがある。

(21)

画像、音声、動画などを組み込むことができる(大隅

2002、Couper 2008)など、これまで

は困難であった研究領域、調査項目での調査も可能になる。

また、電子調査票は質問項目や回答選択肢の開発や検証にも適している(歸山 2010)。

調査票の作成時には、正確な測定のために、質問項目の配置の順序が回答に影響する質問 順効果(田渕

2013: 89)や回答選択肢の順序によって回答に影響する選択肢順効果(Groves et al. 2004=2011: 172-3

、田渕

2013: 90)を十分に考慮しなければならないが、電子調査票

はプログラム上で質問や回答の表示順をランダムにすることが容易にできるため、表示し た順によって回答分布が異なるかどうか、異なる場合はどのように異なるのかの検証がで きる 20

そのほか、電子調査票ではこれまでの調査票調査では得ることが難しかった調査パラデ ータ(paradata)を得ることができる 21(大隅

2002: 209、大隅・前田 2008: 85-6、 Kreuter ed.

2013)。回答開始日や時間、調査全体の所要時間、1

つの項目の回答所要時間などのパラデ

ータが、基本的には自動的に記録される。たとえば、このようなパラデータによって、あ る項目だけ回答所要時間がとても長い(回答に迷う)ことがわかれば、質問項目のワーデ ィングや選択肢を見直すことが可能となる。

アメリカなどではCAPIやCASIなど電子調査票を使った調査が数多く実施されているが、

日本国内においてはまだ実施例が少なく、電子調査票が回答にどのように影響するかにつ いて、十分明らかにされているとはいえない(轟・歸山

2013: 126)。2015

年に行われる予 定の第

1

回SSP(Stratification and Social Psychology)調査は、日本国内において

CAPIで実

施されるおそらく初めての大規模調査である(吉川

2013: 116)

22が、このような調査の前 に実験的なインターネット調査をおこなえば電子調査票の回答への影響を検討しておくこ とができる(轟・歸山

2013: 126)。

②デメリット

モニター型インターネット調査は、上記のようなさまざまなメリットがあるにもかかわ

20 歸山(2010)では、5段階階層帰属意識の回答選択肢(「上」「中の上」「中の下」「下の上」「下の 下」)をランダムに「上」から表示したときの回答分布と「下の下」から表示した回答分布を比較 している。5段階階層帰属意識では、この選択肢順効果は見られなかった(歸山2010: 59)。

21 技術的に可能である、という意味。こういったパラデータを得ることに対し、回答者に了解を得 るか/得られるか等については倫理的に検討しなくてはならない。

22 2015 年 第 1 回 SSP 調 査 の 設 計 と 実 施 に つ い て は 、SSP プ ロ ジ ェ ク ト の ホ ー ム ペ ー ジ

(http://ssp.hus.osaka-u.ac.jp/activity.html#p01)も参照されたい。

(22)

らず、学術調査への利用はメリット(イ)のような特定の利用方法以外では慎重にならざ るを得なかった。その理由は大きくはインターネット調査のもつ以下の

3

つのデメリット にあると考えられる。それは、

1)本当に調査対象者本人による回答かどうかのチェックが

難しいこと(本人性の問題)、2)コンピュータ・リテラシーが回答に影響する可能性が十 分明らかになっているとはいえないこと、そして

3)モニター型インターネット調査の標

本抽出における問題、である。

1)は、従来型調査においても自記式の留置法や郵送法に共

通する問題であり、2)はCAPI、CASIなどIT技術支援を受ける調査法すべてが共有する問 題である。これらは調査方法論上、当然検証されていくべき問題ではあるが、モニター型 インターネット調査固有の、そして最大の問題は

3)の標本抽出に関する問題である。図 1-2

に示したようにモニター型インターネット調査は公募型モニター+目標回答数充当法 を用いる調査である。公募型でモニターを構築する際はカバレッジ誤差 23(coverage error)

等が生じ、目標回答数充当法では母集団について推測するための統計学的根拠をもたない のである(轟・歸山

2014: 47)。

1.4.

本研究の課題

モニター型インターネット調査は、従来の調査法にはないさまざまなメリットを持って いるにもかかわらず、これまで学術調査でほとんど利用されてこなかった。その理由は、

母集団が明確でなく、母数推定の根拠をもたない点にあると考えられる。本研究も、この 理由からモニター型インターネット調査が確率標本による従来型調査を代替できる、とは 主張しない。しかし、1.2 で述べたように、抽出台帳の閲覧制限、回収率の低下など学術 的な社会調査を取り巻く環境はますます厳しくなりつつあり、また、そのような環境下で 調査研究の「失敗」が許されにくい一方で、アウトカム(研究成果)は常に求められる状 況を、計量研究に携わるわれわれはいかにして解決しうるのだろうか。

まずは従来通り、選挙人名簿や住民基本台帳を抽出枠とした確率標本調査を行えるよう に努力していかなければならないが、現状を鑑みるに楽観はできない状況である。そこで ひとつのアイディアとして、モニター型インターネット調査を予備調査(preliminary survey)

23 標本抽出枠が母集団を正しくカバーしているかどうかの割合をカバレッジ(coverage)、そこから のズレをカバレッジ誤差という(杉野 2013: 102-3)。カバー不足はunder coverage、重複などの過剰 はover coverageという。

(23)

として利用することを提案したい 24

予備調査という用語は、類似の社会調査用語に「プリテスト」や「パイロット・サーベ イ」などがあり、これらと混同して使われていることも多い(小林

2012: 1020)が、轟(2013a)

や轟・歸山(2013)は、予備調査とは、新規の質問項目がその研究課題を明らかにするた めに本当に有効なものか、また大きなコストがかかる本調査(main survey)にその項目を 設定するほどのアウトカムが期待されるのか、を査定する目的で実施する調査で、その項 目の試行的な統計分析が可能なサイズの調査のこと(轟

2013a: 56-7、轟・歸山 2013: 126)

と定義しており、本研究もこれと同義とする。

本調査は、ある母集団に対してその分布や変数間関連についての結論的な判断を下すこ とが目的であるため、これまでどおり確率標本を用いた調査を行うべきである。調査実施 における限られた機会、資源は出来る限りこの本調査に投入して、それにより最大限のア ウトカムを目指すべきである。そして、本調査でアウトカムが得られそうかどうかの見積 もりをモニター型インターネット調査で行う。社会調査全体を広く見渡したときに、この ようにモニター型インターネット調査を研究プロセスに取り入れることは、調査資源、調 査機会などの適切で有効な利用、かつ研究成果の最大化という意味で望ましいのではない か。

このとき、モニター型インターネット調査のデータがまったくのでたらめであっては、

本調査におけるアウトカムの見積もりにならず、予備調査としての意味を持たない。では、

どのようなモニター型インターネット調査であれば、予備調査としての「質」を備えてい るといえるのか。次章では、モニター型インターネット調査のデータの質の評価について 検討する。

1.5.

本研究のアウトライン

次章以降の構成を以下に示し、本研究の見取り図としたい。

2

章では、先行研究のレビューを通じて、モニター型インターネット調査の質を検証す る方法を提示する。

3~5

章では確率標本・個別面接法調査データの分析結果とモニター型 インターネット調査データの分析結果を比較し、変数間関連が類似しているかどうかの検

24 溝部・轟(2008)は、「中範囲の社会調査(Middle-Ranged Social Survey)」 を大規模社会調査の ための調査手法の試行的開発に用いるなど、現代的な社会調査の困難への対応としての可能性につ いて検討している(溝部・轟2008: 22)。これもひとつのアイディアであるが、現在は、中範囲の社 会調査ですら、その実施が困難になってきている状況であると思われる(田邊2013: 23)。

(24)

討を行う。6章では、多母集団同時分析を用いることで、3~5章の分析より精緻な比較を 行う。7 章は結論部分で、モニター型インターネット調査が予備調査として利用すること が適切であると主張する。

(25)

2. モニター型インターネット調査と確率標本調査を比較した先行研究

調査方法論研究では、新しい調査手法が登場するたび、その新しい調査法をそれまで用 い ら れ て き た 方 法 と 比 較 し 、 そ の 質 を 査 定 ・ 評 価 す る こ と が 行 わ れ て き た (Chang and

Krosnick 2009: 642)。モニター型インターネット調査が市場調査でさかんに用いられるよ

うになったこと、また社会調査の困難といわれる状況が指摘されるようになったことなど が重なり、

2000

年代に入ってモニター型インターネット調査に対する学術的関心は高まり、

ほかの調査法(データ収集法、標本抽出の方法)と比較することで、その性質を明らかに しようとする研究が行われるようになった 25。しかし、モニター型インターネット調査は 非確率標本であるがゆえに、学術研究に用いることへの抵抗や確率標本調査データとの比 較によって質を統計的に検証することの難しさがあり、研究が十分に蓄積されてこなかっ た。

このモニター型インターネット調査と従来型の確率標本調査データの比較を行っている 代表的な研究としては、国内では、統計数理研究所の大隅らによる一連の研究(大隅 2004、

大隅 2005、大隅 2010a、大隅 2010b、大隅・前田

2007、大隅・前田 2008

など)、労働政 策研究・研修機構の研究(労働政策研究・研修機構 2005)、東京大学社会科学研究所の研 究(石田ほか 2009)が挙げられる。調査方法論研究がさかんな北米や欧州でも、同じよう な事情からモニター型インターネット調査(volunteer opt-in panels)と従来型の確率標本調 査の比較研究が行われており、代表的な研究としては、たとえばアメリカでは

Malhotra and Krosnic

(2007)、

Chang and Krosnic

(2009)、

Yeager et al.

(2011)など、カナダでは

Stephenson and Crête(2010)、イギリスでは Duffy et al.(2005)や Sanders et al.(2007)、オランダで

Spijkerman et al.(2009)などがある。

本章では、非確率標本であるモニター型インターネット調査のデータの質を、従来型の 確率標本調査データと比較することで、その質の評価、検証をおこなった先行研究を紹介 する。先行研究がどのような方法を用いて比較を行っているか、そしてどのような結果が 得られているか、を検討することによって、モニター型インターネット調査データの質を 評価するために、本研究がどのような項目を使用するか、またどのような方法を用いるか、

を示したい。

25 国内では 1996 年という早い時期に、統計数理研究所の大隅らを中心に、モニター型インターネ ット調査の研究が始められている(大隅 2004: 10)。

(26)

2.1.

属性や回答分布について

1

) 国内の研究

労働政策研究・研修機構の研究は、確率標本・個別面接法調査を比較基準とし、3 つの モニター型インターネット調査を行い、結果を比較している 26(労働政策研究・研修機構

2005)。その結果、モニター型インターネット調査では①学歴が高い②未婚者が多い③自営

業・内職、専門技術職が多く、技能労務職が少ない④非正規被雇用者が多い、など属性の 分布の偏りを報告している(本多 2005b: 214)。意識項目では、職業にかかわる意識を中 心に階層帰属意識や生活満足度など

83

項目の回答傾向について、χ2検定などをおこなって 比較しており、7 割から

8

割といった多くの項目で比較基準の調査とモニター型インター ネット調査の間に有意な差があり(本多

2005a: 123-61、本多 2005b: 214)、モニター型イ

ンターネット調査で階層帰属意識、生活満足度が低いという(本多 2005b: 137, 143)。

東京大学社会科学研究所の研究では、確率標本・個別面接法調査である就業構造基本調 査 27

2

次データ、および確率標本・留置法のワーキングパーソン調査 28

2

次データを 比較対象(基準)として

3

つのモニター型インターネット調査を行ない、比較している 29

(萩原 2009: 6)。単純集計を比較した結果、モニター型インターネット調査は、①学歴が 高い②未婚率が高い③ひとり自営業(自分以外の従業員なし)が多い④専門技術職が多い

⑤男性は収入が低く、女性は高いと指摘している(佐藤 2009: 133)。また、意識項目の回 答では、4件法または

5

件法で尋ねた意識

5

項目(階層帰属意識や国の年金制度に対する 信頼感など)のうち

4

項目で、平均値に有意な差があったという(前田

2009: 54-7)。

統計数理研究所の一連の研究では、「意識調査型質問(階層帰属意識と生活満足度)」を 継続して尋ね、モニター型インターネット調査データでは階層帰属意識も生活満足度も低 いことが指摘されている(大隅・前田 2008: 82-3)。

これら国内の先行研究に共通するのは、モニター型インターネット調査データは、従来

26 ほかにも、非公募型モニターを使ったインターネット調査、公募+非公募モニターを使った郵送 法調査も同時期に行っている(本多 2005a: 97-101)。

27 就業構造基本調査の調査設計等については、以下の総務省統計局HPを参照されたい

(http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index2.htm)。

28 リクルートワークス研究所による調査。詳しくは、リクルートワークス研究所HPを参照のこと

(http://www.works-i.com/surveys/conscious/)。

29 そのほか、確率標本・郵送法による調査、調査会社保有のモニターに対する郵送法調査も同時に 行っている(萩原 2009: 6)。

(27)

型の確率標本調査データと比較すると、回答者属性の分布や意識項目の回答傾向が異なる こと、そしてその異なり方に傾向性があること、である。

(2) 海外の研究

差異の詳細については省略するが、海外の研究でも、従来型の確率標本調査データとモ ニター型インターネット調査データでは回答者属性や回答傾向が異なると報告されている。

たとえば、Malhotra and Krosnick(2007)は、確率標本・個別面接法調査である全米国政選 挙調査(ANES:American National Election Study)30とモニター型インターネット調査の比 較を行い、年齢、性別、教育程度、人種の分布に差異が見られるとしている。アメリカの 最新人口動態調査(CPS:Current Population Survey)31とモニター型インターネット調査を 比較したChang and Krosnick(2009)は、教育程度、収入、年齢、人種の分布が異なってい ると報告している。

Yeager et al.

(2011)は、

CPSなど政府による複数の調査を比較基準に、

モニター型インターネット調査の結果を比較し、いくつもの属性においてモニター型イン ターネット調査が比較基準の調査データと異なっているとしている 32

Berrens et al.

(2003)

33、Duffy et al.(2005)34、Bracken et al.(2009)35、Stephenson and Crête(2010)36もモニ ター型インターネット調査データと確率標本に対する調査データでは、回答者の性別、年 齢、人種などの分布が異なるとしている。

属性以外の、一般的な意識項目についての検討はあまり行われておらず、投票行動・政 党支持に関する項目の比較が非常に多い。これらの項目においても、従来型の調査データ

( ま た は 政 府 統 計 ) と 比 較 す る と モ ニ タ ー 型 イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査 の 回 答 分 布 は 異 な る

(Duffy et al. 2005、Malhotra and Krosnick 2007、Sanders et al. 200737、Bracken et al. 2009、

30 ANESはエリアサンプリング(まず、地点を無作為抽出し、選ばれた地点に行って世帯のリスト

を作成する方法(杉野 2013: 110))による確率標本調査である。

31 CPSは、無作為抽出された60,000世帯に対する調査(U.S. Census Bureau 2013)。

32 モニター型インターネット調査のほかに、RDD によって標本を得た電話法調査とウェブ法調査

(確率標本とみなしている)も行い比較している。比較基準の調査データと属性の分布を比較する と、これら3つの調査法による調査はそれぞれ異なっており、もっとも差が大きいのはモニター型 インターネット調査であったという(Yeager et al. 2011)。

33 アメリカにおけるRDDによる確率標本・電話法調査、RDDによる確率標本・ウェブ法調査とモ ニター型インターネット調査の比較研究。

34 イギリスにおける確率標本・CAPI調査とモニター型インターネット調査の比較研究。

35 アメリカにおける確率標本・CATI調査とモニター型インターネット調査の比較研究。

36 カナダにおける確率標本・CATI調査とモニター型インターネット調査の比較研究。

37 イギリスにおける確率標本・個別面接調査とモニター型インターネット調査の比較研究。確率標

(28)

Chang and Krosnick 2009、Stephenson and Crête 2010

など)。

海外の研究からも、モニター型インターネット調査データでは、回答者の属性や意識項 目の回答分布に偏りがあることがわかる。

(3) まとめ

このように従来型調査とモニター型インターネット調査を比較したとき、属性および回 答分布は異なる。そのため、学術研究ではモニター型インターネット調査を(何らかの補 正なしで)そのまま利用することはできない、と結論されることが多かった。しかし、そ れは尚早にすぎる。なぜならば、われわれが社会調査データを分析するとき、研究関心と して明らかにしたいのは変数と変数の関連のしかたやある変数をほかの複数の変数で説明 する規定の構造であることが多いからである(盛山

2004:76、樋口ほか 2012: 96)。変数

間関連でも、モニター型インターネット調査データは従来型調査データと異なるのだろう か。

2.2.

変数間関連について

たとえ回答の分布が違っていても、多変量解析では変数間関連は周辺分布の影響を受け にくくなるので、変数間関連の有無が一致することはあり得る(轟・歸山 2014: 49)。そ のため、予備調査としてのモニター型インターネット調査の質を評価するためには、単純 集計だけではなく、むしろ変数間の関連についての検討が必要である。しかし、こういっ た視点の研究はあまりなされていない。

海外では、投票行動や政党支持を予測する回帰モデルによって変数間関連を比較する研 究がいくつかある(Berrens et al. 2003、Malhotra and Krosnick 2007、Sanders et al. 2007、

Bracken et al. 2009、 Stephenson and Crête 2010

など)。たとえば、

Malhotra and Krosnick

(2007)

では、効果があると予想される

1

つの独立変数で、従属変数の投票行動(二人の候補者の うちどちらに投票するか/投票したか)を説明する

2

項ロジスティック回帰分析を、考え うる独立変数の数だけ行い、

ANES

とモニター型インターネット調査の独立変数の投票行 動への効果の有無やその大きさを比較している。Sanders et al.(2007)は、属性など複数の 独立変数で、従属変数(投票率や政党支持)を説明するモデルで従来型の確率標本・個別 面接法調査データとモニター型インターネット調査で規定要因やその効果の大きさを比較

本インターネット調査との比較も行っている。

(29)

している。

これらの比較の結果から導かれている結論にはやや幅があるが、Berrens et al.(2003)、

Sanders et al.(2007)、Stephenson and Crête(2010)などは、確率標本による従来型調査デ

ータとモニター型インターネット調査データの変数間関連における類似性を主張している。

国内の研究は多くない。東京大学社会科学研究所の研究(石田ほか 2009)では、前田(

2009)

が、投票行動および階層帰属意識を従属変数とし、属性(性別・年齢・学歴)と調査方法 をダミー変数にして独立変数に投入する重回帰分析を行って、調査間での結果が異なると し、変数間関連(効果)の類似性にかんしては否定的である。ただし、この前田(2009)

では、モニター型インターネット調査データと比較基準の確率標本調査データを併合して、

調査法ダミーを投入して分析する方法を用いている(Berrens et al.(2003)、Sanders et al.

(2007)なども同様の方法を用いている)。この検証の方法は、従属変数に対する調査方法 の影響を明らかにするためには有効であるが、属性の効果の有無やその大きさを、調査間 で比較したい本研究の目的とは合わない。また、異なる母集団から抽出された標本をなん の検証もなしに併合して分析することにも疑問がある。母集団ごとに母数の値が異なると き、これらを併合した場合、分析上の問題が生じることがあるためである 38

2.3.

本研究の方法

比較調査では、従来の調査でおおよその傾向がわかっている項目を使うことが重要であ る(大隅 2004: 24)。また、オランダの

Spijkerman et al.(2009)らの研究では薬物使用に

関する項目を用いているが、こういった明らかに社会的望ましさバイアスが大きいと考え られるものも、調査データ間の類似性(や異質性)を判断するためには適当ではない。ま た、先行研究の関心は、確率標本調査データとモニター型インターネット調査データの属 性の度数分布が一致するかに重点があって、属性以外の項目の回答分布についての検討も 不足している。

そこで本研究では、計量社会学研究でこれまで多くの研究が蓄積され、属性との関連が ある程度わかっており、かつ社会的望ましさバイアスが(大きく)ないと考えられる階層 帰属意識や生活満足度といった一般的な社会意識項目を用いて、その変数間関連が従来型 の確率標本調査データと一致しているかどうかを判断の基準としたい。そのために、吉川

(2008)、斎藤・大槻(2011)、轟(2011)などにみられるような社会階層研究における基

38 詳しくは、豊田(1998)、米村(2003)を参照されたい。

参照

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