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雑誌名 福井大学工学部研究報告

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Academic year: 2021

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(1)

CsBr:Pb2+の電気伝導度およびITCの測定

著者 浅田 拡志, 中峠 哲朗

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 36

号 1

ページ 25‑30

発行年 1988‑03

URL http://hdl.handle.net/10098/3814

(2)

36巻 第1 昭 和63年 3

CsBr:Pb2+の電気伝導度およびITCの測定

浅 田 拡 志 ¥ 中 峠 哲 朗 ・

Electric  Conduc七ivi七y and  ITC  of CsBr:Pb2+ 

Hiroshi  ASADA and Tetsuro NAKATAO 

(Received  Feb.  26

, 

1988) 

We  aim 七o investiga七e the  differn七 properties, op七ical and  electrical

, 

of  CsBr  doped  Pb':2+ :".  Firstly  we  make  a mul七ipurpose equipmen七 七o measure  electrical  conduc七ivi七y, ionic 七hermo‑

curren七,七hermal stimula七ed curren七 and七hermo luminescence. 

Secondly we measure a CsBr:Pb2+ sample in which七he absorp七ion spec七rum varies  largely  by  the  adding  thermal七rea七men七 1七 is found七ha七 elec七ric conduc七ivity and  ionic  thermocurrent  are  largely  affec七ed by 七he thermal  preーもreatmen七bu七differen七from  七he other's report.  This resul七suggests七ha七七he procedure of  impuri七y doping  should  be  one  of  impor七ant fac七ors in  these  discussions. 

.序論

25 

2

価不純物を含むアルカリ・ハライド結品中では、混入した不純物の電荷補償のために生じた陽 イオン空孔子と

2

価不純物が結合してダイポールを作るために、容易に不純物集合体が生成される ことはよく知られている。

これら不純物の挙動を調べるために、従来いろいろの方法が用いられている。そのうち光学的の 方法と電気的な方法とについては次のようである。まず光学的に調べる方法として、例えば試料に 種々の熱処理を施こし、それによるスベクトルの変化を調べることが用いられ、我々もこの方法で 不純物の挙動を調べてきた。例えばCsBr:Pb2+のas‑grown試料では不純物による股収が見られないが、

この試料を500.Cで

1

時間アニールした後、室温あるいは液体窒素温度まで急冷すると、いくつかの 駿収帯が現れる。この吸収帯は、試料温度を再び上昇させると、温度の上昇にしたがって減少し、

他のスベクトル形に変化することを観測し、それに基づいてダイポールから集合体へと変化してい くことを推論した。一方、電気的に調べる方法として、ダイポールによる誘電体損やionictherao  current  ( 1 T C)の測定、あるいは電気伝導度の測定などがあるoこれらの測定を熱処理された試 料について行なうことにより、ダイポールの数やその変化、あるいは活性化エネルギーなどを求め

*応用物理学科

(3)

26 

ることができる。

今回、 CsBr中の不純物Pb2+の挙動を電 気的に調べるための装置を製作し、 CsBr : Pb2+結晶の電気伝導度やITCを測定し、

吸収スベクトルの測定結果との関連を検 討した。また、 X線照射により生じる各 種欠陥によるtheralstimulated cur‑ rent (T S 

C)

も併せて測定した。

2 .

装置の概要

電気伝導度の測定法は基本的に良く知 られているので省略し、 ITCの測定に ついて簡単に述べる。 ITCの測定にお いては、まず板状試料片の両面につけた 電極に電圧を加えて、結晶内部のダイポ ールを一定方向に配向させ、そのまま液 体窒素などで試料を低温にし、ダイポー ルの配向状態を凍結する。低温になった のち、電圧を除去し、電極聞に流れる電 流を測定するために電源の代わりに、エ レクトロメーターを付ける。その後、試 料温度を一定速度で上昇させる。この過 程では、ある温度になると一定方向に向 いていたダイポールがランダムな方向分 布に移り、いわゆる緩和現象を起こす。

この緩和過程において検出される電流が ITCである。このとき、温度変化によ る電流の変化状況などから、ダイポール の数や回転に要する活性化エネルギーな どの情報が得られる。

作成した装置はクライオスタット、エ レクトロメータ一、プログラム温度調節 計および真空排気装置からなっている。

以下に、それぞれについて説明する。な お分光スベクトルの測定は別の装置によ

り行なう。

2.1クライオスタット

今回、 1つの試料について種々の電気

液 体 窒 素 溜B

ス テ ン レ ス ‑

,,~イプ C

サ ン プ ル

排 気 装 置

(a) 

ハ ー メ チ ヲ ク ・ シ ー ル ド

試 料

エ レ ク ト ロ メ ー タ ー へ

(b) 

ト 図 面 ツ体断タ全の

スので

オ ト 面 イ ッ ' ラ タ

X

クス‑

た オ

X

しイの 成 ラ れ 作 ク

︑ ︐ ︐ ︐ ︑ ︐ そ

J

'I

LU

J︐ ︑ ︐ ︐

︑ ︑

90 F r  

(4)

的測定〈電気伝導度、

ITC

TSC

t h e r m o1 

UI i 

n e s c e n c e   ( T  L )  

)を行なうとき、試料に手を 加えないまま連続して測定することを目的としてクライオスタットを作成した。それを図

1

に示す。

試料室は立方形をしており、下部は排気装置に接続している。上部には二重の冷却系、すなわち液 体窒素溜A、Bがある。銅で作ったサンプル・ホールダーは試料室の真ん中に位置し、細いステン レスパイプCを通して液体窒素溜Aの下部につながっている。このサンプルホルダーは、電気電導 度の測定時に電圧の印加電極として使うため、これに接続された液体窒素溜

A

B

との間は電気的 に絶縁されており、さらに窒素溜Bにつながっている輔射シールドによって、試料室壁からの輯射 熱を防いでいる。サンプル・ホルダーには温度調節のためのカートリッジヒーターと白金抵抗測温 体、および温度モニターのための白金抵抗測温体とが取り付けてある。試料室の他の4つの側面に はプランジが設けてあり、それぞれに各種リード線の取り出し口であるハーメチックUール、試料 電極からの電流の取り出し口である3軸同軸の

B N C

コネクター、 X線照射のためのアルミ箔の窓、

サーモ・ルミネッセンス (TL)を測光するための石英窓がそれぞれ取り付けてある。

2 . 2

測定関係

まず、不純物ダイポールが作る

ITC

を測定するには

1 0 ‑

16

A

程度の非常に微弱な電流を測定する 必要がある。一般的な微小電流測定には、シャント抵抗を用いて、その両端の電圧を測定する方法

と、フィードパック抵抗を用いて、それに生ずる電圧を測定する方法があるが、今回は、電流測定 系での入力インピーダンスを下げるために後者の方法を用いた。すなわちテレダイン・

7

ィルプリ

ック社のエレクトロメータ用の

OP

アンプである

1 7 0 2

を用いて、図

2

に示すエレクトロメータを制 作した。既知抵抗を用いて検定した結果、

1 0 ‑

16A程度の電流変化まで測定可能だとわかった。

分光スベクトルの測定は、分光用の温度可変型のクライオスタットを備えた分光測定装置1)で測 定した。なお、このクライオスタットは低温試料をセットできるようにしである。

フォト・ルミネッセンス光をフランジに設けた石英製の窓を通し、光電子増倍管を用いてフォト ン・カウンティング法で検出した。

サンプル・ホルダーの温度調節は理化工業の

R E X ‑ P 1 0 0

プログラム温度調節計を用いて行い、

‑ 2 0 0

‑ 6 0 0 '  C

の温度範囲で制御可能である。

ITC

の測定は昇温速度を

O . r  C / s e c

で行なった。

X線照射は東芝製

A D P ‑ l0 1  

X線発生装置に

C u

ターゲットのX線管を用いて行なった。最大定格出 力は

6 0 K V

3 0 m A

である。液体窒素温度に保持した試料に

X

線照射を行えるようにするため、フラン ジにはアルミ箔の窓を設け、試料を窒素温度に保ったまま照射できるようにした。なお、分光スベ クトル測定に用いる試料にX線を照射するとき

は、マイラー・フィルムの窓を付けた液体窒素 溜を別に作成し、その中に試料を入れて行なっ た。

3 .

測定とその結果

この装置を用いて測定した例と、それについ ての討論を以下に示す。

3 . 1

電気伝導度

試料への印加電圧は、接地された液体窒素溜

Fig.2製 作 し た エ レ ク ト ロ メ ー タ ー の 回 路 図

(5)

28 

Bと電極を兼ねている窒素溜Aの聞に加える。

伝導度の測定には直流法と交流法があるが、伝 導度の小さい低温領域では交流法が使えないた めに、直流法で測定した。エレクトロメーター のオフセット電圧などによる誤差を小さくする ために、印加電圧の極性を変えて測定し、それ らの平均値を用いた。伝導度の大きい高温領域 では、空間電荷の影響を避けるため交流法で測 定した。すなわち周波数

1 H z ‑ 1 0 0 K H z

の領域で電 気伝導度の周波数特性を求め、そのうち浮遊容 量などの影響の現われていない周波数領域(測 定温度によってかなり変化する)の値を用いた。

図3に

C s B r

の電気伝導度の測定結果を示す。

純粋な試料と

P b

2+を混入した試料との差はほと んど見られない。不純物を混入した試料では、

1 0  

'E 

d

t‑

g20 

企:

p u r e  

0: 

prdoped 

一ー‑:Pb 

d o p e d

 

(  S . R a d h a k r i s h n a

lJ

3 0  

2  3 

1 0 0 0 /   T  ( 

K1) 

F i g . 3

電 気 伝 導 度 の 測 定 結 果 肉眼観測および分光スベクトルの測定によると、

仕込んだ不純物量のうち、かなりの量が不純物塊として析出し、結晶内に分散している

P b

2+の量が 少ないことがわかった。従って、図3中での特性が不純物量に依存しない理由は、結晶中の

P b

2+量 が実際には非常に少なかったためであると結論してよい。また、番考として

S . R a d h a k r i s h n a

られの 測定結果も併せて示す。

3 0 0 . C

以上の

i n t r i n s i c

領域では、我々の測定と彼らの測定との両者によい 一致が見られる。一方、不純物の影響が現われる低温領域では両者聞に遣いが見られる。この遣い は単に不純物量の多少によるとも考えられるが、さらに、両者の聞には不純物の混入操作につぎの ような相遣がある点の影響も考えらる。すなわち我々はあらかじめ

P b B r 2

の粉末を混ぜた

C s B r

粉末を 石英アンプルに真空封入し、プリッジマン法で結晶を育成したが、彼らは、あらかじめ作った

C s B r

結晶と

P b

金属をアンプルに真空封入し、

5 5 0

℃で

1

時間加熱している。このために、両試 料では

C s B r

中の不純物の状態が異なっている ことが考えられる。従って、電気伝導度の測 定における低温領域での測定については不純 物の状態を含めて、今後詳しく検討する必要 がある。

3 . 2   1  T  C 

C s B r : P b 2

+結品試料に

1 0 0 0 V

の電圧を

2 0 ・ c

で3分間印加して、

ITC

を測定した例を図 4に示す。

A s ‑ g r o w n

試料では2つの

ITC

バ ンドが見られるが、

q u e n c h e d

試料では

5

つの バンドが現われている。このうち、両試料に 見られる 1番大きいバンドは空間電荷による

E10

<( 

F

I(

5

J

1 5

一 一 a s ‑ g r o w n

一一

‑quenched

︑  

L︐  

e

4

1

‑50  0 

TEMRATUR・(c)

5 0  

1 0 0

F i g . 4   C s B r : P b2

+の 1

T C 

: 偏 極 は

2 0

c 、

1000V

3

分間行なった。

(6)

1.0 

( E U)

05g a 

I.f) 

̲̲̲  240nm 

ノ マ

d

100  150  200  TEMARA TURE  (K) 

X線 照 射 し たKC1 : P b+の F‑band、 bandお よ び

T S C

の 温 度 依 存 性

可能性があり、現在検討中である。 6  その他のバンドについては次のようで

ある。 S.Radhakrishnaられによれば、 ‑17 5 

. C

ITC

バンドが現われると報告して

r u

J

(︿

V F )

おり、我々の測定では、 as‑grown試料に それに対応するバンドがみられる。しか しquenched試料には対応するバンドがな

2

← 

いこと、 4つのバンドが現われている。

これらの点については、電気伝導度の場 合と同様に、試料作成条件を含めた今後 の検討が必要である。

3.3 

T  S  C  。

F ig. 5  240nm  KCI :Pb2+試料を液体窒素温度まで冷却

し、 30KV、10mAで発生させたX線出力を 3時間照射した。その後、試料への印加

電圧を

5V

にし、試料温度をO.lK/secの一定速度で上昇させながら

TSC

を測定した。またその試 料を先と同様にX線を照射した場合について、吸収スベクトルの温度依存性を測定し、併せて検討 した。吸収スペクトルのうちF‑centerによる540nl1バンドと試料に混入した鉛による240nmのバンド の温度依存性を

TSC

と併せて図5に示す。図の結果は、 F‑centerの減少が、

TSC

と240nmバンド の増加と密接に関連していること、 F‑centerから放出された電子がPb2+にトラップされてPb+になり、

さらにPb+から放出されているという

2

段階の過程を示していると思われる。

250‑254nmにピークをもっとの報告引があり、今回見られた240nmの吸収バンドと異なっているので、

しかしPb2+の駿収帯は

今後検討する必要がある。

4.結語

今回、

1

つの試料について種々の電気的測定(電気伝導度、

ITC

TSC

、thermo lumines‑ cence (T L) )を行なうとき、試料に手を加えないまま連続して測定することを目的として測定器 を作成したo このうち測定していない

TL

を除いて、十分に所期の目的に使用可能であるとわかっ た。また、電気伝導度と

ITC

の連続測定については良好な結果が得られたが、

TSC

TL

も含 めた連続測定、あるいは

TSC

TL

の同時測定を行なうためには、炭素電極を

X

線と光が透過す るような電極に変更するよう改良する必要がある。ついで、この装置を用いて、 CsBrに

2

価不純物 としてPb2+を混入した試料の電気的測定を行なったが、その結果を他の文献と比較した結果、不純 物の混入方法の違いによる不純物状態の差異が吸収スベクトルのみならず、電気的な測定において も現れた。今後、種々の不純物濃度や熱処理を加えた試料の低温領域における統合した測定、討論 を行なうことによって、問題点を解決する糸口が見つかるものと思われる。

文献

1)H.  Goto.  H.  Asada and T.  Nakatao:  Mem.  Fac.  Engin.

, 

Fuku i Univ.  SS (1985)  171 

(7)

30 

2)S.  Radhakrishna and  K.P.  Pande:  Phys.  Rev.  B 7 (1972) 424. 

3)S. Radhakrishna and S.  Haridoss:  Solid States Commun.  18  (1976)  1247  4)T.  Tsuboi:  Phys.  Rev.  B 21  (1980)  2635. 

参照

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