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雑誌名 福井大学工学部研究報告

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全文

(1)

円筒セル及び円孔モルタル板の力学的性質について : 機能性建設材料の基礎的研究

著者 川上 英男, 白澤 靖夫, 脇 敬一

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 43

号 2

ページ 385‑397

発行年 1995‑09

URL http://hdl.handle.net/10098/3634

(2)

工 学 部 研 究 報 告 第43巻 第2号 19959

円 筒 セ ル 及 び 円 孔 モ ル タ ル 板 の 力 学 的 性 質 に つ い て

一 機 能 性 建 設 材 料 の 基 礎 的 研 究 ‑

川上英男本 白 津 靖 夫 * 本 脇 敬 一 * 本

M e c h a n i c a l  P r o p e r t i e s  o f  P i p e ‑ C e I I  and M o r t a r  P l a t e  w i t h  C i r c u l a r  H o l e s  

‑Model A n a l y s i s  o f  S t r u c t u r a l  Members ‑

Hideo KAWAKAMI

, 

Yasuo SHIRASAWA

, 

and Keiichi WAKI 

( Received Aug. 31, 1995) 

Experimen

t a 1  

studies were carried out on the rnechanical properties of two匂rpesof  structural model : cell  sucturescomposed of circ叫 紅 paper‑pipesand cement mortar  plates with circular holes. 

Both types of sucturalmember are intended to  be applied for  slab  or wall which  provide puri五catoryfunction  of water or air  by containing purifier  materials白 血err holes. 

Parameters  evalua出19白e sength and  rigidity  of出e suctural members were  ob句ined.百lesefundamen

t a 1  

aspects of the mechanical properties of白esucturesfound  in the studies provide the base for the developement of白epractical application. 

1 まえがき

385 

近年、水質汚濁あるいは空気汚染の問題が大きくなると共に、その浄化対策が求められている。汚染 物質は多種多様であり浄化材料はそれらの汚染物質に対応して選別するのが最も効果的である[1J。

本研究では、構造的役割に加えて浄化機能を備えた建設部材(乙ζでは機能性建設材料という)の開 発を意図した。すなわち、多様な浄化材料を保持する建設部材の材料としてはコンクリートおよび鉄鋼 を、部材としては床、擁壁、隔壁を想定し、浄化材を保持するに効果的な構造としてセル (Ce11 )構造 体の応用を検討対象とした。

セル構造体にはハニカムの様な2次元セルとスポンジ (upencell)やコルク (Closed cell)のよう な3次元セルがある[2]。ζ乙では2次元セルを対象とし、長さkの円筒の連結体を作り、厚さkの床

または壁を構成した場合の力学的性質を明ちかにすることとした。 2次元セルにおいて空間を埋める方 式は、直線構成では連結度(一つのエッヂに集まるフェイスの数)が3の 6角形、連結度 4の4角形、

本環境設計工学科,

*大学院午,

*  * 

*技術部

(3)

386 

連結度6の3角形がある[2la

本論文で扱うのは円筒を連結したセルであるので、同一の形で空間を埋めるζとにはならない。乙ζ

では、セル内部で同一直任のものを使うこととして、その配列は最密配列(1 個の円筒 ~C6個が接する) と直交配タIJ1 個の円筒 ~C4個が接する)とを対象とした。そして円筒の直径、肉厚、配列が力学的性

ζの種の構造体の力学的特徴を杷握する乙とを目的とするものである。

質Lζ及ぼす影響を見いだし、

円筒セル構造の力学的性質 2 

紙管 の物理的性質と種類 2 

本論文では市販の紙管材料を所定の長さに裁断しエボキシ系接着材で各連結部を接合して円筒セルを 製作した。以下に紙管材料の性質を述べておく。

( 1 )気乾比重と構成

紙管は薄紙を5層』ζ貼り合わせたものである。 紙管 (内径 45mm、長さ 95.2 mm、重量 199.41 g )の 比重は 0.792 g/cm3と求められた。

( 2 )引張試験

紙管 (厚さ1.8 mm)より軸方向に、長さ 270mm、幅 20mmを切り山し、中央部 90mmを残して両 端を木片で挟んで接着した。中央部に歪ゲージを

M

り付け軸方向引張試験時比歪を計調']した。荷重 30 kg (83 kgf/cm2)までの荷重変形関係はほぼ直線と見倣し得るもので、その中間部分で求めた縦弾性係 数は 2.20x 10kgf/cm2で、あった。

( 3 )圧縮試験

紙管 (内径 45mm、長さ 70mm.厚さ 1.8mm)の直径上K圧縮力を加えた時の変形性状を調べた。干 動式圧縮試験機で術重を加え、直任の短縮量をダイアルゲージで計調']した。実験状況を写真1~C 紙管 の荷重変形図を図1~C示す。荷重に対する変形増加の苦1]合は荷重の増加と共に大きくなる。変形 lζ ょっ て横方向に円環が潰れて楕円形忙なるため、曲げスパン(水平方向直径)が増大するのが原因と考えら れる。弾性と見倣せるのは3kg 

o n

ち管長1cm当たり

o

4 kg 以!大!と考えられる。

内径:45. Omm  厚さ 1.8mm 長 さ :70.0mm  重量:14.83g 

15 

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( 笠 ) R 獲 出

300  400  (xl0‑mm)  紙 管 横 圧 縮 試 験 荷 重 変 形 関 係

200  形 量

∞ 変

図l 紙 管 横 圧 縮 試 験

写真l

(4)

( 4 )曲げ試験

紙管(厚さ1.8mm) より軸方向に、長さ 270mm、幅 20mmの試験片を2枚切り出し、片持梁方式で重り を吊るして集中荷重とした。荷重作用点は固定端よ句 40mm80mmの2種である。たわみの計測は、先端 に折曲げた紙片をのり付けし、固定端より 200mmの点のたわみを物差しで読み取った。試験状況と計測 結果を図 2~C 示す。 ζ れより算定した曲げ弾性係数は 5.5、4.7 (10kgf/cm2)であった。試験片NO.2 では下側に最外側紙の継ぎ目があり、そのために低い値となったものと考えられる。いずれにしてもと の荷重範囲では紙片は弾性範囲にあるものと見倣す乙とができる。

150 

100

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/ O K /

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︒/

40ml旦→ No.1 折り曲げ紙片

申p ‑‑¥¥試験片 、 8Ommー‑‑;

1 ,

¥N0.2; 

2 申~ ~:

たわみ計測 1

~~~~-200mm .~. ‑‑1 

t.a:  50 

。 。

2 4 6  8  変 形 量 (mm)

(荷重とたわみ変形量) 試験状況

図2紙管片の曲げ試験結果

~ )紙管の弾性性質

以上の結果かち、乙れら3種の変形』ζ対し紙管を弾性材料として扱うζとができるζと、すなわち 以下のモデル実験に用いる乙とが可能であることが明かとなった。

( 6 )紙管の種類

円筒セルの試験の種類によって紙管の直径と厚みを選定した。それらの種類を一括して表1~C 掲げて おく。同表には直交配列と最宮、配予IJ(以下それぞれ直列、最密と略称する)について横並び4個縦2段 分に対して算定した相対密度(次式参照)を併せて示す。

相対密度 =  セル構造体の密度 / セル構成材料の密度

表l 紙管の種類

紙管 内径 肉厚 内外径平均 相対密度(本) 名称 (mm)  (mm)  (mm)  直 列 最 密

D  28  1.3  29.3  0.128  0.148  C  32  1.7  33. 7  0.144  0.166  B  35  1.2  36.2  0.098  0.133  A  40  1.1  41.1  0.078  0.092  E  45  1.8  46.8  0.112  0.129 

(* :セル構造体の密度/構成材料の密度、

横並び4個、縦2段 分 に 対 し て 算 定 )

(5)

388 

185卜 185

ほ認~ ì 双手探 7

2 緊 密 i 包括立 i

187‑ 1 ト 187

対ふる摂 1 Y 子 fi 子 T

(ì' yyy~∞~守A",J "'"' 

>‑<xx>く>‑<∞ムλ 1. 1 0 )

‑ … 【 一 一 一

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… …   < 1ム 今4 凸ム1.

直 列 最 密 直 列 最 笹

D(28 B(35デ)

2. 2 円筒セルの面内圧縮試験 ( 1 )試験体の作製

図3円 筒 セ ル の 圧 縮 試 験 体

ト 195

196

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直 列 最 密

E(45ヂ)

紙管D、B、E(長さ1OOmm)それぞれを横積みとし、セル試験体l体の大きさが横幅約19cm、高さ

約23cmとなるようにした。円筒間の接線をエボキシ系接着材で接合した。績み方は直交配タ11と最密配列 (以下、直タ]1と最密と略称する)の2種、である。図3参照。各試験体の上下面にはト1.5cmの厚さ に石膏(水/石膏=0.5:重量比)を打ち増し、平滑な加圧面を作った。

2)圧縮試験

試験体をアムスラー型 圧 縮 試 験 機 に 設 置 し 荷 重IOkgごとに耐圧版聞の高さ変化をダイアルゲージ で計測した。試験の l 停|陀写真 2~C 示す。荷重変形関係を図 4~C 示す。荷重変形曲線は、直列では比較 的低荷重より直線的関係 (弾性範囲)よりはずれるが、最密では、かなり大きい荷重まで弾性的関係を

保っている。図5~C 示すように、直列と最密では載荷点聞の距離、及び荷重伝達線と円筒壁との距離 (偏心距離)~C 差があるためと考えられる。最大荷重の約 1/3 の荷重とそのときの変形よりセルの縦弾 性係数を求め乙れを圧縮剛門(E )とする。乙のH寺、石常による変形拘束を考慮、托入れ、計測した変形 量は上卜端円筒の中心問の距離に対するものとして算定した。表 2~ζ 各試験体の圧縮剛性を一括して示 す。

写 真2圧 縮 試 験 状 況

p  p 

直 ~IJ 最密

図5円 筒 セ ル の 荷 重 伝 達

bD 

200 

160 

図4圧 縮 荷 重 と 変 形 量

(6)

表2圧縮試験結果 紙 管 内 径 紙 管 数 最密セル 直列セル 名 称 (mm) 最 密 直 列 幅(mm)高(mm)本 幅(mrn)高(mm}本

D  28  54  48  185  215  185  215  B  35  35  30  187  194  187  188  E  45  20  20  196  167  195  188 

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圧 下

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( 3 )考察

a)直交、最密配列共、紙管の内径が大きくなるほど圧縮剛性は減少する(図6参照)。

b)単位相対密度当たりの圧縮剛性(圧縮剛性/相対密度)も紙管内径の増加lζつれてほぼ直線的に低 下している(図7参照)

c)同一の内径における(圧縮剛性/相対密度)の値は直列に比べて細密は8‑‑3 7倍で、その倍率は 内径が大きいほど減少する。

d)圧縮剛性

本実験によって紙管セルの圧縮剛性には相対密度と直径(内径)が基本的要因である乙とが明かとな った。

200 

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25  30  35  40  紙 管 内 径 (mm  ) 

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長3 円借jjしのき7断岡IJr'1: 

図7圧縮剛性/相対密度と紙管内径 図6圧縮剛性と紙管内径

2.  3 円筒セルの面内明断試験 ( 1 ) 試験体の作製

セルの製作は圧縮試験体の場合と同様である。紙管の長さ(セルの厚さ)は印刷、種穎はA、B、 Dの3種、それぞれ直列と最密の2種、セル試験体は計6体である。試験には隅角部ピン接合の正方形 鋼製専用枠を用いて荷重を掛けるため、試験体の上下端は同枠托密着している必要がある。そのため枠 の上下内側に、断面がコの字型のアルミ枠を一旦固定し、 ζのアルミ枠よりねじ釘 (4x25mm)を6本突 出せしめ、紙管との聞に石膏モルタル(水:砂:石膏=0.5:1:2‑質量比)を充填した。

( 2 ) 明断試験

試験状況を写真3R:示す。鋼製の明断試験専用枠の下部を万力で固定し、枠上部に水平方向に引張荷 重を掛け、荷重1kgごとに枠の水平変位をダイアルゲージで計測した。各試験体の荷重水平変位関係を 図8'[示す。

(7)

390 

写 真3勢 断 試 験 状 況

( 3 ) 考察

a) どの紙管においても最密の方が直列 K 比べて、 一荷重~[対する変位は小さく、 約 1/2--1/4.7 で あって、紙管の直径が小さくなるほど両配列聞の差は顕著になっている (図8参照)。

b)水平変位 (る)を上立市とド端の紙管の中心距離に対する変位、また(水平荷重/セルの本平断面積) を明断応力 (T)と見倣して、 明断剛性G(二T0)を求め、表3~ζ 示す。

~ 8 

‑R  6  1

r4、 4 

2~よ¥r

O O  2  3 

水 平 変 位 {mm}

図8円 筒 セ ル の 水 平 力 と 水 平 変 位

表3 円 筒 セ ル の 勇 断剛 性 紙管 内 径 紙管数 最 密 セ ル 直列セル

明断剛性 G(kgf/cm2)  名 称 (mm) 最 密 直 列 幅(mm)高(mm)牢 幅 (mm)高(mm)本 最 密 直 列

D  28  54  48  185  214  185  215  37.0  8.2  B  35  35  30  188  194  188  186  19.7  4.35  A  45  35  30  213  223  213  213  9.4  4.84 

(本:上下端紙管の中心距離)

c)相対密度と明断剛性の関係を図9~[示す。最密では明断剛性は相対密度の増加と共K 大きくなり、 その関係はほぼ直線的である。一方、直列では相対密度の増加に対して明断剛性の増加は比較的 小さく (鈍く)、 円筒の配列の違いによってその力学的性質は大きく異なっている。

d)円筒の内径と明断剛性との関係を図10 ~[、 内径と(明断剛性/相対密度)の関係を図 1 1 ~ζ 示す。

内 径 が 大 き く な る ほ ど 明 断 剛 性 及 び (明断剛性/相対密度)共K減少し、その関係ははほぼ直 線的である。

(8)

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相 対 密 度 (10‑2

図 9 勢 断 剛 性 と 相 対 密 度 15 

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口一一一直列一一一一一口一一一一]

30  35  40  内 径 (mm) 図11 (勢断剛性/相対密度)と内径

40 

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口¥‑‑‑麿タiJ '0  ー 口・一一一一一口

30  35  40  内 径 (mm) 図10勇断剛性と内径

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h5cm

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3

図12円筒セルの曲げ試験

( 4 )明断剛性の評価

以上の結果、相対密度あるいは円筒直佳のどちちも明断剛性の評価のパラメータになり得るζとが明 かとなった。

2.4  円筒セルの面外曲げ試験

明断試験体を用いて片持梁方式で、図12に示すように先端円簡の中心部に荷重を加えた。荷重1k  どとに荷重位置の変位をダイアルゲージで計測した。

( 1 )試験結果

荷重と変位の関係を図13 'C示す。最密の場合は紙管の直径が異なってもその変位の差は極めて小さ いが、直列の場合は同一の荷重に対する変位は直径が大きくなる程、大きいものとなっている。

( 2 )考察

a)曲 げ 剛 性 (E I )の算定

円筒セル片持ち梁のたわみをる、断面2次モーメントをIを図12の式によるものとすれば、曲げ 剛性 (EI )は次のように表される。

EI  P¥3/3b δ 

ζ のようにして求めた各試験体の曲げ剛性を表 4~C示す。梁幅 b は 20cm 'C換算してぶした。

(9)

392 

2000 

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O最密 口直列

50  100  150 

変 形 量 ( 10‑

1 n

m)  図13荷 重 と 変 形 量 ( た わ み )

200 

表4 円 筒 セ ル の 曲 げ 剛 性 紙 管 内径 曲げ剛性 (1

t t  

kg・cm2

名 称 (mm)  最 密 直 列

D  28  75.94  10.06  B  25  30.07  7.05  A  6.35 

O最密 口 直 列

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0.1  0.15  O  相 対 密 度 図14曲げ剛性と相対密度

30  35  40  直 径 (mm) 図15曲 げ 剛 性 と 直 径

b)曲げ剛性と相対密度の関係を図14 ~C 示す。相対密度が大きい程、曲げ剛性は大きくなる。その 度合いは直列より最密の方が大きい。また最密は直列

' c

対して3‑4倍の値を示している。

c)曲げ剛性と紙管内ほの関係を図 15に示す。全般に内径が大きくなるほど曲げ剛性はほぼ直線的 に低下する傾向にある。同一内径の比較では最密は直列に対して8‑5倍の曲げ岡IJ性を示している。

セルの曲げ作用の下では、セルを構成する個々の円筒は、セル断面の圧縮側と引張側では変形の方 向が直交する。

( 3 )曲げ剛性の評価

以上曲げ岡Ij性の評価 ~C は円筒内経あるいは相対密度がパラメータとなる乙とが明かとなった。

3、円孔モルタル板の j)学的性質 3.  1 目的

乙とで は前節まで、の検討からきちに実用化に向けて、円筒セルにコンクリ.‑トを用い、その接合方法 として円孔の他の空隙をコンクリートで充填した場合のモデルとして円孔モルタル板の実験を行なう。

外力としては圧縮力と明断力を検討の対象とした。

(10)

3. 2 圧縮試験

( 1 ) 試験体の種類、調合、 材料、養生

試験体 :セル試験体の幅は約 19.5cm、厚き10c皿,円孔の配列は水平方向に4個、上下方向に5段 とする。 円孔は紙管 D、C、Aの3種それぞれを型枠として用いた。円孔聞の距離は直安│卜最密 とも、中心間隔で4.86cmである。図16 R',試験体の円孔の配置を示す。

モルタルの絶対容積 調 合 (11m 3) 水 297,セメント232、砂 460 (水セメント

t . t

0.41)  普通ボルトラン ドセメント: 材齢4週 圧縮強度 382 kgf!cm2,曲げ強度 76.0 kgf/cI 砂 : 福井県九頭龍川産 粒大 1.2mm以下、表乾比重 2.  58 

混練、養生: 試験体l体分の材料を練り鉢の中で手練りを加え、その後モルタルミキサーを用いて 5分間練り混ぜ、ボール紙托紙管を接着した型枠内に打設した。同様に直径5CI,高さ10c・の円柱 試験体3本を製作し、圧縮および割裂試験用とした。翌日、脱型し、材齢7日の圧縮試験まで水中 標準養生をお乙なった。

( 2 )圧縮試験

100 t on耐圧試験機で載荷した。試験状況を写真4~C 示す。試験体の諸元と圧縮強度試験結果を表 5

K示す。なおモルタル円柱体の圧縮強度の平均は 502kgf!cm2,ヤング係数の平均は 2.45xl0kgf/cm であった。

NO.l 

NO. NO.l 

Ho.Z  NO.l 

NO.3 

圧縮試験

No.Z 

No 3 

HO.

43  5.

図16円孔モルタル板の 圧縮試験体

圧縮破壊 写真4 円孔モルタル板の圧縮 試 験

(11)

394 

( 3 )考察

a) 表 5~C 示すように直列の圧縮強度比対して、最密の強度は約 1/4--1/5 程度にとどまっている。

直列では円孔聞の肉部分を通じて上下に直線的に、荷重が伝達されるのに対して、最密では菱形 ~C 屈折して伝達されるζとに因るものと考えちれる。

b)圧縮強度と相対密度の関係を図17花、圧縮強度と最小肉厚との関係を図18 ~C示す。両図共ほ ぼ同様の傾向を示している。すなわち、直列では相対密度あるいは最小肉厚が大きくなると、圧縮 強度が大きくなる傾向を示す。最密では相対密度や最小肉厚が大きくなると圧縮強度はむしろ減少 しているが、乙れについては試験体が l体のみの結果であるのでさらに検討を要する。

( 4 )圧縮強度の評価

圧縮強度には材質の他、円孔の配列托因る影響が大きく、同一配列下では最小肉厚が関係するものと 見倣きれる。

表5 円孔モルタル板の圧縮試験結果

配 列 紙 管 孔 径 円 孔 面 積 2段高 実 面 積 相 対 密 度 最 小 肉 厚 最 大 荷 重 圧 縮 強 度 名 称 (mm) (cm2)  (cm)  (cm2)  (cm)  (ton)  (kg

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cm2)  最密 D  31  7.55  8.42  95.35  0.584  1.76  3.9  20.1 

C  36  10.17  8.42  81.94  0.502  1.23  5.0  25.8  D  31  7.55  9.72  129.14  0.681  1. 76  19.5  100.0  直列 C 36  10.17  9.72  108.2  0.571  1. 23  19.05  97.7  A 43  14.52  9.72  73.4  0.387  0.56  8.75  44.9 

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10  20  10  20 

相 対 密 度 最 小 肉 厚 (mm) 図17圧縮強度と相対密度 図18圧縮強度と最小肉厚

3.3 勇断試験

前述の円筒セルの場合と同様に専用型枠を用いて明断試験を行なうものとする。

( 1 )試験体

円孔部分の型枠KはA、 B、C、Dの 4種の紙管を用い、それぞれ直列と最密の 2種、計 8体の試験 体を作製した。試験体の厚さは専用型枠に合わせて5cm、円孔の配置は圧縮試験の場合と同様である。

ただし高さは、試験体がアルミのコの字型縁材を介して専用枠に密着するようにした。幅は約20cm,高 さ30cmで、ある。材料、調合、養生は圧縮試験の場合と同様である。アルミ枠を専用枠に取付け、モルタ ルを打ち込み、翌日試験体をアルミ枠どと取り外して水中養生を行なった。萌断試験直前K吸水して軟 らかくなった紙管を除去した。

(12)

( 2 )明断試験

材 齢7日で試験体を前述の鋼製専用枠に取付けて、アムスラ一試験機によって載荷用鋼製鞍を介して 専用枠の対角方向に加力した。荷重 50kgどとに対角方向 (耐圧板間)の変形をダイアルゲージで計 測した。 ζの変形量から専用枠の相対ずれ変形 (水平変位)を求めるには、別途』ζ実施した校正試験結 果にもとづいて算定を行なった。試験の状況を図19と写真5~C示す。

( 3 )試験結果

395 

関断試験の結果を表 6 にまとめて示す。試験体の破壊状況の例を写真 6~C 示す。なお、 モルタル円柱 試験体の圧縮試験16体の平均値は、圧縮強度 465(kgf/cm2,ヤング係数 2.4(105kgf/cm2)、害JI裂 試験8体の引張強度平均値は 41.1 (kgf/cm2)であった。

写真5 勢断試験状況 図19勇断試験

紙管名称 ・円孔 円 孔 配 列 最 大 荷 重 (kg) 最 小 肉 厚 (mm)

相 対 密 度 男 断 剛 性(1 Okgf/ cm

表6円孔モルタル板の勢断試験結果

│ ω │ 問 !日

最 密 直 列 最 密 直 列 │最 密 直列

418  465  1 639  652  1 890  826  8.78  8.43 1  10.45  12.1  0.344  0.415 10.440  0.502 10.493  0.550 

344  475  1 389  345  1 469  470 

写真6試験体破壊例

D‑31 

最 密 直 列

1335  1212  17.2  0.614  0.658 

543  553 

(13)

396  ( 4 ) 考察

l例は逆である。いずれにしても a) 最大荷重は、最密の方が l直列 ~c 比べてやや大きい場合が 3 例、

円孔の配 ~Ij~c 起因する差は小さいものと考えられる。

b)最大荷重は直予l卜最密共に円孔が大きくなるほど、すなわち最小肉厚が小さくなるほど低下す る。図20tc最小肉厚と最大荷重の関係を示す。

c)荷重と水平変位の関係を図2Uc示す。直列の方は最大荷重托到達してから、急激な荷重の低下 が見られるのに対し、最密では、荷重を維持したまま変形が進行しているのが特徴である。すな

ノ¥D

.'/ 

/ i  

/ i /

..J‑‑

, ヅ

r

r

 

i '  

0.2  0.4  0.6 

水 平 変 位 (mm) 最 密

粘りがあるととを示している。

f 人

~\.1 1¥ 

v  i H n  

\~

i

一一一¥正一

直 列

1200 

600  400  1000 

bIJ 

さ 800

E わち最密では塑性域を持つζと、所調

︒ / 口

ハ ロ ノ

1500 

..bD !<: 

'‑'  1000  酬 tJ[ 

4く 500 脳

0.2  0.4 

水 平 変 位 (mm) O最密

口直列

10  15  20  最 小 肉 厚 (mm) 図20最大荷重と最小肉厚

図21勢断試験:荷重と水平変位

d)荷重と水平変位の関係かち明断剛性を算定した。 ζの時現断変形は円孔の分布している範囲すな わち上端と下端の円孔の外端聞において生ずるものとした。明断剛性の算定結果を前掲の表6~c 示す。明断剛性と相対密度および最小肉厚との関係を図22と図23 ~c 示す。両図共最小肉厚や

タがパラついているのは肉厚が小さくなるほど、肉厚やモルタル允 相対密度の小さい範囲でデー

填のバラツキが生じ易くなるためと考えちれる。

図22~c よると、相対密度が大きくなるほど剛性は大きくなる。同じ相対密度托対する明断 剛性は最密の方が直列よりやや大きい。図 23では肉厚の大きい方では最小肉厚に対し、明断剛

J 0

︒ 6  5 

(NEυ¥

性は直列、最宮、共ほぼ同じ値を示している。

ノ 〆 グ ロ

0....口 ノ//

//0 

口 6 

(NEυ¥

)

O最密

口直列 O最密 4 

口直列 4 

10  15  20  最 小 肉 厚 (mm) 図23勢断剛性(G)と最小肉厚 3 

5  口

0.7  0.4  0.5  0.6 

相 対 密 度 図22勢断剛性(G)と相対密度

3 0.3 

(14)

( 5 )明断強度と明断剛性の評価

a)明断強度は円孔の配タIHC因る差は小きく、直予Ij、最密共、円孔聞の最小肉厚との関係が深い。

b)明断同IJ性は相対密度または最小肉厚との関係が大きい。

4 む す び

円筒セル及び円孔モルタル板の力学的性質について、モデル実験にもとづいて検討を行なった。

397 

円筒セルでは実用上最も多く想定される面内圧縮、面内明断、面外曲げに対して、紙管モデル実験の解 析から、円筒の配列、直径、相対密度がその力学的性質に及ぼす影響を明ちかにした。また隔壁のモデ ルとしての円孔モルタル板の圧縮および明断に対し円孔の配列、直径、肉厚が、その強度ならび ~C 変 形性質 ~C 及ぼす影響について明らかにした。乙れらの成果は ζ の種の建設構造部材の基本的性格を与え るものであって、今後の実大構造部材の研究の基礎となるものである。

参考文献

1 )楠田哲也 "自然の浄化機構の強化と制御" 技報堂、 1994

2) L. J. Gibson, M.  FAshby"Cellular  Solids‑‑Structure & Properties,"Pergamon  Press, 1988  大塚正久 訳"セル構造体ー多孔質材料の活用のために"内田老鶴田、 1993

(15)

398 

表 2 圧縮試験結果 紙 管 内 径 紙 管 数 最密セル 直列セル 名 称 ( m m ) 最 密 直 列 幅 ( m m ) 高 ( m m ) 本 幅 ( m r n ) 高 ( m m } 本 D  2 8  5 4  48  1 8 5  215  1 8 5  2 1 5  B  3 5  3 5  30  1 8 7  1 9 4  1 8 7  1 8 8  E  4 5  2 0  20  1 9 6  1 6 7  1 9 5  1 8 8  d 恥//一叶4‑白U円LFD一日 ド内+i

参照

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