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(1)

「シリコーン」絶縁を用いた直流電動機の試作(第4 報) : 「シリコーン」絶縁の温度上昇と絶縁抵抗, 絶縁破壊について

著者 藤宗 寛治

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 4

号 2

ページ 91‑97

発行年 1955‑12

URL http://hdl.handle.net/10098/5866

(2)

91 

「シリコーン」絶縁を用いた直流電動機の試作(第 4

報)

「シリコーン」絶縁の温度上昇と絶縁抵抗 絶 縁 破 壊 に つ い て

万てとう

f

A Trial Manufucture of a Silicone Insulated  Direct Current Motor (N) 

Hiroharu  FU]lSO 

It is  to provide with the data of the silicone insulation on its insulating properties  with regard to temperature rise, which is necessary in the designing of si1icone insulated  motor. 

Some of  the results  of  examination on the  insulating  properties  of  the  silicone  insulation are described. 

1  . 

温 度 上 昇 と 絶 縁 抵 抗

シリコーン絶縁を用いた電気機器を設計する場合には温度上昇と絶縁抵抗,絶縁破壊について その資料を確認して者くととも必要であるD

絶縁物の試験を行う場合には,絶縁物個々について行う場合と,乙れを組立て〉行う場合があ る口

機器として組立てられると絶縁物の型,厚さ等は各部に於て一様でないから,絶縁物個々につ いて行った試験成績はそりま〉では実用機に適合しない場合が多い。しかし絶縁物個々についての 特性を究めて長くととは実用機に者ける絶縁を予測することを容易ならしめることができる。実際 に近い試料をうればそり成績は一層有用の度が高くなる。

絶縁物の試験規格は我国では JES,米国では A.S.T.M.,独国では VDE等に定めら れている白

C2J 

絶 縁 抵 抗 の 測 定 法 絶縁抵抗を測定する方法には次C諸法がある司

(1)  絶 縁 抵 抗 法 (2) 検 流 計 法 (3)  弾 力 検 流 計 法 (4)  高 絶 縁 抵 抗 測 定 法

しかし一般には (2)の直偏法を用うるむが便利であるo

(3)

92  福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第4巻 第2

以下これによって筆者の行ったシリコーン絶犠の体積国有抵抗。測定結果について述べる。

乙白場合,体積国有抵抗

R

は次むようにして求めるo

R=Ro 

X試料面積(cmり /

/試料厚さ (cm)(.Q‑cmコ・・HH・.. . ~・'"・ H ・...・H ・-・・〈じ ここに R=500V/  ‑oである。

/問、尺読み(cm)x 3.6 x 10‑

C3J 

試 料 並 び に 測 定 装 置

(a) 試 料

シりコーン処理硝子繊維布0.15mmのものについてOlreを行ったもり,行なわないものにわ けで測定したoCureは2500C 3時間としたロ

挿を た ツ 用 タ を ス の に 度 側 感

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/ /

由 時

蓋AはM

整 町 調x圧6電 3 .

0は

モ 計 ド 市 を 討 し 樹 白 瀧 用

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︒ Vに

m

箱 置 を 定 調 っ た 源

∞ う 也 炉 属 装 度 整 力 極 よ 置 い

5

ょ 必 金 を 温

D

電 に 詐 る ω ' D 泉 各 度 し 格 九

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V

m

謝 て 温 と 規 一 同 装 線 北 減 約 熱 仇 電 っ

D

度 の む ド し 加 は

2

こ ょ た 程 榊 図 属 ル 用 を 界

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m

哨 ク に す 制 淵 シ 電 担 電 定 加 K. F ツ う 要 電 状 臼 附 び

‑ 側 測

d

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∞ 縁

‑ フ き 日 つ り 極

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︑ 加 絶 ス で 約 行 ハ し い 竜 町 れ 十 倍 し む 熱 ' 撃 は を 入 と を し 調 に 整 た

(b) 測 定 装 置

C3J 

の 結 果 体 積 (a)  マイクロメーターを以て40mm4Om m<D試有 料の 10点を測定し平均厚さ O.155mmを得たD

10

(b) 

。 環

値(.Q

‑ c m J

測定の結果を Fig2に示した。同図には参考 むためシりコーン樹脂,ポエピ=【Jレ.W73Z ー スD成績も比較して示したD

500V 

水 銀 電 極

Fig 1 体積固有抵抗測定接続図

17  10 

..:~

, d '   1¥ 

l'え'13:1 20  50  100  15'0.  200 

温度。C Fig2 温度と体積固有抵抗C関係

(4)

「シりコ‑;/J絶操を用いた直流電動機の試作(第4報) 93 

C4J 

(a)  Cure0程度が絶縁抵抗に及lます影響に就い

τ

Fig2に見るようにCureを行ったものと Cureを行わないもDに就いてはその絶暢抵抗に大差 がある白とりととは実際使用の場合にCureを充分行わなければならぬ乙とを示している。

一般に絶縁物。電気伝導はその内部イオン が,電界白方向に移動すると信ぜられているか ら,乙む観点からCureを行えばワzス類は硬 化してイオン移動に対する抵抗を増すととは当 然と考えられシりコーンC如く高分子構造のも むについては特にそり傾向が著しいととが予想 せられるoCH3 : 51 

1. 3 ([)割合であるシ りコーン樹脂の場合はFig3のように筆者。実 験と全く類似の傾向を示している1)

以上D結果からシリコーンガラス繊維布に

ついても温度特性としてV特性があるととが認められる。

Cure ([)温度が進むと体積聞有抵抗は高くなり,かつ高温域ではその温度変化の割合が大きく たる。

'7  10 

体 阻積 10'.

固 占有 10

抵 抗 日 (.Q‑cm】

o

o  20 + 0 臼 冒o1ω120 140 1& 0 180 200 ZlIJ 

Fig3 温度と絶縁抵抗の関係 温度t 

〈図中文字はCuring([)程度を示す〉

(b) そ の 他 の 影 響

以上の外湿度含有物,樹脂の種類によって欝響をうけるけれども実用上Cureを充分に行った 場合D体積固有抵抗は2000C附近で1015JJ一cm位と見てよい。

又表面抵抗はシリコーンのみθ場合は 100%R. H. ([)場合でも 1015.Q一cm程度であるが,と れをベークライト,硝子等に塗布すると基板D抵抗に近い値を示すようになるから,表面固有抵抗 C低い基板にシリコーンを塗布する場合には注意を要する:1)。

s  . 

温 度 上 昇 と 絶 縁 破 壊

絶履物が電圧に対して堪え得るか否かを試験するDに2つ0場合がある。すなわち国体内部。

絶縁破壊と表面白絶縁破壊であるo しかも乙D場合には持間.温度,湿度,周波数,装置等θ影響 を吟味しなくてはならない。

最近絶縁物D破壊。機構D論証に就いては相当進歩しているけれども複雑な物質についてはそ り理論は未だ確立していない口しかし電位傾度によって国体内部にイオンの移動が行なわれイオン 電流によって熱的破壊が告乙り,次いで電圧破壊に移行するであろうという一般的の考え方は是認 されている引。

筆者はととではこれ等本質的。問題にふれる乙となく実用化を目的とするH種絶縁の試験成績 に就いて論宇、ることにする。

[2J 

測 定

試験θ方法は JISC‑2103,A. 5. T. M.によることにした。

(5)

福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第4巻 第2 94 

実用的に絶縁物を試験するには二つり方法があるロ

電圧を加えて破壊を起させる最低電圧値を求めるとと。

(a) 

所定D電圧を加えて耐え得る時閣を測定する乙と白 Cb) 

(b)は耐電圧試験であるo

(a)は絶縁破壊試験

試 料 並 び に 測 定 装 置

C 3 J  

シリコーン硝子繊維布 O.lmmのもり,シラスティックテープ 0.32mmのものについて夫々 Cureを行ったもの, Cureしないもりにわけて試験を行った。

Cureは2500C3時間とした。

(a)  資

電源としては直流高圧,商用周波数電圧,正弦波電圧等が用いられるけれども筆者θ場合は10 K Vまで連続的に調整しうるネオン変圧器を用い,一次側にスライダツクを入れτ二次電圧を調整 した口二次電圧はやや波形D歪んだ6000高電圧実効値となるわけである。波形。歪は実用上差支 え註いもりと考えるD

くb) 電

電極には 25mm(周辺に 1'" 2. 5mm CD丸味をつけた〉目板に直径12.5mmの球状電極をD せ 日Ogrを加重して変圧器油中で測定する

ようにした。

A. S.  T. Mでは試料C広い場合は士グ (周辺にす1玄ゲむ丸味をつける〉の棒ではさ み0.10.051YTの重量を加えて試験する方 法をとっている凸

SkV

10 

絶 縁 破 壊 電 圧 (c)  電

250ヒ 温度

1S 0  200  100 

5"

結 果 の 現 定

IJ

C 4 J  

Fig4  調)1定D結果はFig4に示すようであるo

以上の結果に就いて若干考察を加え 察

筆者の目的は絶繰破壊そりも D を究明するりではないが,

てみるととにするo

C 5 J  

絶縁試験を行う場合に強電界の為に電極り撮端から沿面放電を起し絶縁。破壊が絶縁物の接触 した電極面内でなく,電極の端又はそり外側で起る現象でとり場合む破壊電圧は低くなるo

筆者。場合は比較的低電圧かつ泊中であるからとの方法θ顧慮は必要ないと考えるD

効 端

(a)  縁

(6)

「シリコ‑;/J絶縁を用L、た直流電茸搬の試作(第4報) 95 

(b) 厚 さ の 影 響

縁端効果を考慮しなくてもよい程度の薄い試験片を用うる場合には破壊電圧は厚さに略比例す る。しかし一般には厚さ tについてt"(nく1)に比例するとされ

τ

いるD

シりコーン樹脂の場合にも破壊電圧をVとすると次D式が成り立つ。

V  ..  k 

d ‑ ・

H

・ . . . . . . ・

H

H

H

・ . . . . . ・

H

・ . . . . . ・

H

・ . . . . . ・

H

・ . . . ・

H

・ . . … . . . ・

H

・ . . . ・

H

・ ‑ ・ ・

(2) 

(c)  電 極 形 状 の 影 響 (d) 媒 質 の 影 響 (e) 電 源 の 影 響

(c)  (d)  (e)についても一応θ考察をしてみたが本論の範囲外なりで省略し電圧上昇速度と温 度についτ考察をつづけるととにする。

(f)  電 E上 昇 速 度 の 影 響

電圧上昇速度を高くすればする程破壊電圧は高くなるoまた寿命試験を行う場合D如きは電圧 をかける時聞が長くなれば破壊電圧は低く,短かければ高くなるo

F.W.Peekは次の式を提案しているへ (1  L a/一¥

Vo = Vot ~1 /FTj 

H

H

・ ‑ …

H

H

・ ‑ … ・ ・ …

H

H

・ . . . . . . ・

H

・ . . … . . . . . . . . ・

H

. ・

(3)  Vo :絶縁破壊C強さ

VOl:加圧時間無限大のときの絶縁破壊の強さ (KVjmm)

‑ r 加 圧 時 間 (sec)

a 常 数

本試験に長いても上昇速度の遅速によって破壊電圧に若干D差。認められるもDもあったが実 用上は顧慮を要しない程度と認め追究しない乙とにした。

くg) 破 壊 電 圧 と 温 度 と の 関 係

一般に国体誘電休む誘電率は、温度とともに増大するが,とれは主として伝導にあ守、かる陰陽。

遊離イオンまたは伝導電子C数が温度とともに増加す7るからであって,導電率gと温度との関係は g=goεa;tまたはg =go e‑fn であらわす乙とが出来る。こ乙にgα.sは常数である。

また電界が強くなると遊離イオンが増加し,その衝突または電子θ衝突によって電離伝導電子 が増加してその結果導電率は急激に増大し遂に絶様破壊にいたるD 導電率gと電界強度E との聞に は g=goεγ日なる関係がある白乙とにTは常数であるD

こり破壊電圧には温度に無関係な範囲と温度の増加とともに増加する範囲とがある。前者θ低 温範囲は電気破壊領域, 後者む高温範囲は熱破壊領域と呼ばれ, 前者では10‑8秒,後者では数秒 ないし数10分以上に及ぶ場合がある。

著者C実験によればCureしないもりむ破壊電圧は温度に対して大体指数函数的に変化するも のと認められるが.Cureしたものについては殆ど変化が認められないのみか,強いていえば若干 下降している程度である。

とDととは従来の絶縁物D破壊電圧が温度と共に急激に低下するりに比ペて著るしい特色をな

(7)

96  福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第4巻 第2

している口

豊田実はX線回折。観察からシり コーン樹脂は硝子むような特性があ

り,また一面結晶性を有するととから Frohlich,及びVonHippel rD行った Fig 5に示すシりカガラス,水品。例 を引いて,シりコーン樹脂D絶縁破壊 電圧が温度に対し殆んど影響をうけな いととを説明しているEhB10

H種絶縁の場合は硝子とシリコー ンとり組合せであるから下降効果白方 が若干強いととが考えられ実験の結果

'X106 

7  6  5 

loo‑‑80604020 0  20 40 60 8'100 

温度。C Fig5  シリカガラスと水品D温度と

絶縁破壊電圧強度。関係 絶

縁 破 壊

︒ 強 さ / m V /  

も乙れを裏書きしているととを指摘し

たが,全体として Cureが完全に台となわれていれば破壊電圧D温度特性は殆ど一定と見られるこ とが首肯せられる。

C 6 J  

衝 撃 電 圧 に よ る 絶 縁 破 壊 温度には関係なしに単に衝撃電

圧を加えた結果について述ペるo

厚さともに 0.19mmのシリコ ーン処理マイカプレート,シリコー ン処理ガラス繊維布を全波 10KV 40μS,直径2mmの球電極で試験し た結果は第1表のようである。

な長沿面絶縁破壊試験を行った のでその結果を第2表に示す口

第2表測 定 時θ室温310C気圧 741.5mm Hg相対湿度 94%であ

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第2表沿面絶醸破壊試験〈衝撃電圧〉

ったo

た命第6図 (a)(b)に衝撃電 圧波形とその破壊した場合の例を示 す凸

a

as s

ヘ / ν ¥ f ¥ I ¥ N ¥ A V ν

¥IV¥,I'¥.Mr 

a.)  (b) 

Fig6 衝撃破壊電圧の1例 使用電圧 10KV,シリコーンガラス繊維布 0.19mmを使用し (a)は破壊した場合(b)は破壊 しない場合を示すロ

(8)

7 J

「シリコーン」絶縁を用いた直流電動機の試作(第4報)

‑=品

97 

以上温度上昇と絶縁についてその測定結果より絶縁抵抗については 500C 附近で体積固有抵抗 が減少し1∞ロC附近で急昇し漸次対数函数的に下降する乙とが認められるから電気機器の使用直後 に告ける絶縁抵抗D変化には一応注意匙払うととが必要である凸しかしH撞絶諒以外む場合で他。

材料。表面に塗布したような場合は母体む彰響をうけることが知られ亡いるから注意を要するo な ~Cure は完全に行わなくてはならない。

絶縁破壊についてはO.lmm(f)試料で 8( ‑ 1∞OOV([)耐電圧あるもりと見τよい。しかも 温度に対しては殆んど変化を認めない。この点は有機絶縁物と著しい差異りあるところである。

衝撃電圧については単に試験を行ったりみであるが

.H

種絶縁を用いた乾式変圧器等D場合に はそり試験要領について今後θ研究が必要であると考える。

終りに臨み本研究に終始熱心な鞭捷と指導を頂いた京都大学阿部清名誉教使,林千博教授及び 主として実験の指導協力を頂いた豊田実博士に対し厚く感謝。意を表する。衝撃電圧試験は株式会 社立正電機製作所の好意によって行った。記して関係者へり謝辞に代えたいロ

参 考 文 献

1.  豊田実,樹脂状シリコーyの電気的性質 p. 82.  2.  !/  !/ 

3.  電気工学ノ、γドプツグ,

4.  F.  W. Peek, Dielektric Phenomena,  5.  豊田実,樹脂状シリコーンの電気的性質,

6.  Von Hippel, Phys.  Rev., 

p.  95.  p. 498.  p.  2451929). p.  117.  59  820 (1941). 

Fig2 に見るように Cure を行ったものと Cure を行わないも D に就いてはその絶暢抵抗に大差 がある白とりととは実際使用の場合に Cure を充分行わなければならぬ乙とを示している。 一般に絶縁物。電気伝導はその内部イオン が,電界白方向に移動すると信ぜられているか ら,乙む観点から Cure を行えばワ z ス類は硬 化してイオン移動に対する抵抗を増すととは当 然と考えられシりコーン C 如く高分子構造のも むについては特にそり傾向が著しいととが予想 せられる o CH 3 :  5 1 

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