i231-MlBG無集積例におけるQTdispersion およびQT-RR関係
吉田尚弘ザ 藤木明学
能澤孝ヂ 麻野井英次瀞
井川晃彦群 井上博議
井戸藤瀬 ※※※望光
〔目的〕
QTdispersion(QTd)は心筋の再分極過程の 不均一性を反映する指標として虚血1性心疾患や QT延長症候群における突然死との関係で注目さ れているが、左室の交感神経機能を反映するl231- metaiodobenzylguanidine(MIBC)とQTdis- persionの関係については明らかではない。そこで 今回、我々はMIBC無集積例におけるQTdと、心 室の再分極過程を反映するQT-RR関係につき MIBC正常集積例と比較検討した。
〔対象〕
対象はMIBC無集積群が16例で陳|H1性心筋梗塞 7例、肥大型心筋症2例、狭心症,心房中隔欠損Iiii,
心アミロイドーシスが各1例ずつ、器質的心疾患が ない症例が4例であった。平均年齢66±8歳、左室 駆出分画は59±12%であった。MIBC正常集積群 は7例で狭心症2例、器質的心疾患がない症例が5 例であった。平均年齢51±19歳とMIBG無集積群 より若年であるが、左室駆出分画は62±6%で MIBG無集積群と差はなかった。
〔方法〕
MIBG心筋像は安静,空腹,無投薬下でlllMBq のMIBCを静注して3時間後の遅延像において planarimageとSPECTから心筋への取り込みを 評価した。QT-RR関係はHolter心電図で1時間毎 に10心拍のQT時間とRR時間を計測して求めた。
QTdispersionは標準12誘導心電図の最大QT時 間と最小QT時間の差から求めた。
〔結果〕
図1は62歳の肥大型心筋症の症例で、2olTI心筋 シンチグラフィではほぼ正常な集積を示している が、上段のMIBCでは視覚的には心筋に全く集積 が認められず、MIBG無集積と判定した。図2は58 歳の心室性期外収縮の症例で、MIBG2olTlともほ ぼ均一な左室への集積が認められた。図3に先程の 症例のQT-RR関係を示す。QT-RR関係はMIBC無
集積例、MIBC正常集積例ともに良好な正の相関 関係を示しているが、MIBC無集積例はMIBC正常 集積例よりも傾きが急峻で上方に偏移していた。
図4に両群でのQT-RR関係のまとめを示す。QT- RR関係はMIBG正常集積群に比しMIBC無集積群 では上方に偏位し、その回帰直線の傾きは大で あった。具体的には、RR間隔が08秒のところでは QT時間は両群でほぼ同じであったが、RR間隔が 12秒のところではQT時間はMIBC無集積群で著 明に延長していた。すなわち、MIBC無集積群では MIBC正常集積群に比べ徐脈時にQT時間が長く、
RR変換に対するQT時間短縮程度が大であった。
図5に先程の症例のQTdispersionを示す。MIBC 正常集積例ではQTdispersionは002秒、MIBG 無集積例ではRR間隔が短いにも関わらずQT dispersionは006秒と延長していた。図6にQT dispersionの結果を示す。QT時間はMIBC無集積 群が044±005秒、MIBO正常集積群は040±
007秒であった。QTdispersionはMIBC無集積 群が0070±0.016秒、MIBC正常集積群は0027
±0010秒でMIBC無集積群で増大していた。最近 の論文では心筋梗塞例や肥大型心筋症でQT dispersionが延長することが知られているが、本 研究でのMIBC無集積群の心筋梗塞例と肥大型心 筋症9例の平均QTdispersionは0075秒、MIBG 無集積群のその他の症例の平均QTdispersionが 0.058秒となっており、心筋梗塞例や肥大型心筋 症で増大する傾向にあった。
〔総括〕
MIBC無集積例ではMIBC正常集積例に比べ、
QTdispersionは増大しており、QT-RR関係は上 方に偏位し、その回帰直線の傾きは急峻であった。
すなわち、徐脈時にQT時間が延長していた。
〔結語〕
QT時間は交感神経活動の影響を受けるといわ れているが、MIBC無集積群では心筋の再分極過 程の不均一性が強く、交感神経刺激に対する反応
’性冗進が示唆された。
※富山医科薬科大学第二内科
※※ 同放射線科
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第29回北陸循環器核医学研究会(1997.12)
M1BG無集積例 M1BG正常集積例側
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鏡 鑿 鍵
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-18-
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