【学位論文審査の要旨】
本研究では,バングラデシュ人の脊髄損傷者は,退院後の生活における作業(生活活動)
の参加を取り戻すプロセスをいくつの研究で検討した.
副論文では,高所得国と低・中所得国に居所する脊髄損傷者の日常生活への参加に影響 する促進因子と妨害因子の固定,記述,比較のためにスコーピングレビューを実施した.
その結果,4つの医学モデル,2つの社会モデル,2つの人権モデルのカテゴリーが見出 され,これらは,低所得国であるバングラデシュに居所する脊髄損傷者の作業参加の向上 等を提案した.
主論文では,バングラデシュのリハビリテーションセンター退院後,脊髄損傷者の作業参 加にどのように変化が起こるのかを記述し理解することを目的として民族誌的研究デザイ ン(エスノグラフィー)を用いて行われ,参加者は19名であって,インタビューや観察を データ収集方法として実施した.ナラティブスロープおよび主題的ナラティブ分析の結果,
8テーマが,推移する傾向すなわち進展(上昇スロープ),後退(下降スロープ),安定(平 坦スロープ)を特定した.それぞれの参加者の推移(transition)は,固有で複雑なパター ンによく表れていた.推移(transition)のプロセスの方向は,主体性(agency)の満ち欠 けとして理解された.この主体性(agency)は,個人,そして他人と共有し,他人から捧 げられ得る.主体性(agency)を高める介入は,退院前から本人や家族,地域の住民の教 育を開始すべきであり,3つの形態の主体性(agency)を高め,地域に根ざした参加型ア プローチのケアのモデルを通して,地域社会状況を変える必要があると考えられた.
研究の論文は,論理帝に構成されており,論旨も一貫している.データの収集および分 析方法には,確立された方法を用いている.極めたチャレンジ度の高い研究方法を遂行し,
信憑性の高いと興味深い結果を示唆した.
口頭試問においても論文の結果に基づきおよび先行研究などの根拠を明示し,自分の意 見を整理して応答しており,今後の研究課題,本研究の展開,脊髄損傷者や作業療法貢献 について述べるなど研究に対する意欲も認められた.
評価: 研究の目的 秀
研究デザインと研究対象者 秀
データ収集とデータ分析 秀
考察 秀
研究の長所・短所について考え 秀
以上のことから,本研究が博士論文として適格であり,本申請者が博士の学位(作業療 法学)を授与するに相応しい知識と研究能力を備えている判定する.