• 検索結果がありません。

【学位論文審査の要旨】

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "【学位論文審査の要旨】"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

【学位論文審査の要旨】

2011 年3月 11日の東日本大震災で発生した東京電力福島第一原子力発電所事故は環境 中に大量の放射性物質を放出した。福島県土の 7 割を占める森林汚染が県の二大産業の林 業に大きな被害をもたらした。森林整備も停滞し、森林荒廃による放射性物質の流出と将 来の森林確保が懸念されている。チェルノブイリ原発事故による森林と樹木の放射性物質 による汚染予測は、事故後 5 年以上経過してからの調査で初期汚染状態が不明であること と、土壌や樹種が日本とは異なることから、福島での被害予測に適用されるか不明である。

本論文では、将来の森林経営に資するために、放射性物質による樹木の初期汚染状態と汚 染の経時変化を調査し、森林資源の安全な利用方法を提案した。

主な研究成果は以下の通りである。

1) チェルノブイリ原発事故では現地調査が開始したのは事故後5年が経過していて、初期 の森林汚染状況は不明であった。事故直後から、空間線量率の異なる森林で伐採したスギ 樹木の外部ならびに内部の汚染状況を初めて明らかにした。樹皮、葉などの外部汚染には 方位性があり、高さ方向の放射性セシウム(137Cs)の分布には傾向が認められた。樹皮の 汚染と辺材の汚染の方位性が一致し、137Cs が樹皮や葉から樹木内部へ浸透していること が予想された。

2) スギ樹木の内部汚染の経時変化を、空間線量率の異なる複数の森林から伐採したスギの 水平ならびに垂直方向の 137Cs 濃度プロファイル変化から、明らかにした。垂直方向の

137Cs 濃度プロファイルは、心材は高さに関わらず一定であるのに対し、辺材は地表面か

らの高さよりも、樹冠からの距離に相関が認められた。また、比較的経時変化の少ない地

上高0.5 mの辺材の137Cs濃度で規格化することで、空間線量率の異なる森林で伐採した

スギの内部濃度分布を比較することができた。

3) スギ樹木内部の137Cs濃度分布は、2011年から2013年に大きく変化した。水平方向の 濃度分布は2011年には辺材の濃度が心材よりも高いが、2012年には辺材の137Cs濃度が 低下し心材の濃度が高くなった。水平方向には辺材から心材に向かって濃度に逆らって移 動する能動的な輸送が、心材では拡散によって137Csが移動したと考えられる。また、心 材では垂直方向に拡散による137Csの移動が生じた。2013年には、心材に137Csが蓄積 され、濃度分布は定常状態に近づいている。

4) 広葉樹のコナラ、針葉樹のヒノキでも、樹木内部の137Cs濃度分布の経時変化を調査し、

コナラとヒノキの樹木内部の137Csの移動速度はスギよりも遅く、樹木の水分率の影響が あると考えられた。

5) 成長錘を用いて、季節毎に同一樹木からサンプリングを行い、2011年から2015年まで の樹体内の137Cs濃度分布の経時変化を調べた。2011年には辺材の濃度が心材よりも高い が、2012年には辺材濃度が減少し心材濃度が増加してきた。2011年から2013年では心材 濃度は辺材から髄心に137Cs濃度勾配があったが、心材の濃度勾配は年ごとに緩やかにな り、心材、辺材ともに濃度分布は均一になってきている。

(2)

6) 成長錘のデータから、円板中の137Cs量分布を算出し、2012年から2015年まで分布の 変化はあるが、総量はほとんど変化していないことを明らかにした。これは137Csの経根 吸収はほとんど起こっていないと考えられる。

7) 木材資源の利用の観点から、製材として利用される辺材と心材部分の137Cs濃度を減少 させる試みとして葉枯乾燥の効果を調べた。伐採後に枝葉をつけたまま森林内で乾燥し、

水分の蒸散による樹体内の137Csを辺材に移動させることが可能なことを示した。また、

製材過程で出る高濃度の137Csを含む樹皮、枝葉を安全に処理する燃焼装置を開発し、実 証試験を行い、汚染森林廃棄物の処理方法の指針を示した。

本研究の成果は今後の福島県における林業の再生に資するもので、その工学的価値は高 く、本論文は博士(工学)の学位を授与するに十分に価値あるものと認められる。

参照

関連したドキュメント

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名だったのに対して、2012 年度は 61 名となり約 1.5

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名、2012 年度は 61 名、2013 年度は 79 名、そして 2014 年度は 84

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名、2012 年度は 61 名、そして 2013 年度は 79

今年度は 2015

2011 (平成 23 )年度、 2013 (平成 25 )年度及び 2014 (平成 26 )年度には、 VOC

・主要なVOCは

二酸化窒素の月変動幅は、10 年前の 2006(平成 18)年度から同程度で推移しており、2016. (平成 28)年度の 12 月(最高)と 8

z 平成20年度経営計画では、平成20-22年度の3年 間平均で投資額6,300億円を見込んでおり、これ は、ピーク時 (平成5年度) と比べ、約3分の1の